一見さん 2023-12-23 17:33:22 |
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〈倉木真澄〉
「─言ったね?…五条くんもおいで、二人まとめて─喰い尽くしてあげるよ。」
(まるで肉食獣が獲物を前にした時のように青灰色の瞳が鋭く光り、俄に─欲望と食欲、そして加虐性を綯い交ぜにしたような─何処か捕食者めいた色を帯びる。獣が低く唸るように囁いた後、ぎり、と爪を立てながら反対側の内腿に犬歯を突き立てた。足の付け根にちゅ、ちゅ、と軽いリップ音を立てながら─今からそこを"喰う"とでも言わんばかりにちろりと舐めつつ─空いた手で五条を手招き、大人しく近寄って来た五条に唇を落として舌を絡める。口内に溜まった夏油傑の血を嚥下させるように水音を立てた後、蕩けた瞳で既に出来上がった表情の五条から唇を離した。─つう、と銀色の糸が二人の間に伸び、途中でぷつんと途切れる。解放された五条は暫しの間ぼんやりとしていたが、漸く問い掛けに気付いたのか「…ん~?どんな風に、って…あはは、意識トんじゃうくらいかなあ。」と瞳孔が大きく開いて頬が酷く紅潮している─所謂完全に"キマった"顔でけらけらと笑った。)
──
〈五条悟〉
(彼女が頷くのを見た家入はいよいよ揶揄うような笑みを深くして、その肩にぽんと手を置く。"二人っきりの時のあいつ、どんなのだった?"と本人も彼女も揶揄う気満々の問い掛けを一つ、夏油の方へ目配せをする。夏油も普段の─何とも言えないような笑顔を浮かべ、身体を屈めて"私も気になるな、教えてよ"と首を傾げた。)
夏油傑
「期待しているよ。」
(本気を見せてくれと告げると捕食者めいた表情で反対側の内腿に歯を突き立てた。痛みと気持ち良さが押し寄せ何とも表現し難いが悪くなくされるがままになってしまう。しかしやられっぱなしもどうかと思い、五条に舌を絡めている隙に倉木の腰に手を回せば擽るように撫で小さな刺激を与えて。五条は唇が離れればぼんやりとしていたが答えでは無い答えを返してきた。もう考える余裕も無いようで、何方にしろ意識飛ばすくらいならどんな事をされたかはっきりとは分かっていないだろう。そんな事を考えつつも「…悟に訊いた私が馬鹿だったよ。」と溜息をついた。)
白雪咲桜
「え…そうだね……いつもより素直で子供みたいに甘えてきた…かな。」
(家入と夏油からその時の五条の事を訊ねられる。2人から問い掛けられては逃げるに逃げられず、五条に怒られるかもしれないなと思いつつも答えることにする。その時のことを思い出し頬が熱くなるのを感じつつもおずおずとその時の五条の様子を伝えて。)
〈倉木真澄〉
「…安心しなよ、君もすぐに─天国を見せてやるからさ。」
(戯れるように腰に触れる彼の手を、下手をすると骨が軋みそうな程の力で掴んで顔を寄せたかと思えば─壮絶な色気を纏った表情で嗤ってみせる。倉木は夏油傑の内腿に歯を立てたは良いものの、態と焦らすようにかぷり、と軽く犬歯を立てて甘噛みしては離れる、を何度か繰り返していた。そうして、何度目かで─ガリッ、と一際鋭い音を立てて彼の内腿に噛み付く。だがそれは、最早噛み付くというよりも─動物が肉を噛み切ろうとしている力に近かった。普段はきちんとセットされているアシンメトリーの黒髪は妙に色っぽく乱れ、小さなシルバーのピアスが目立つ口元からは荒く興奮した吐息が漏れ出している。ギチ─と肉に犬歯が深く食い込んだ音を立てて犬歯を引き抜くと、血が大量に付着した唇をゆっくりと舐めた。そのままギシ、と音を立ててソファに体重を預け─今しがたまでの荒々しさとは真逆の、恋人にでもするような、優しく甘い口付けを夏油傑の唇へ落とす。五条はまだ戻ってこれないらしく、ぽやぽやとした表情で床にへたり込んでいた。)
──
〈五条悟〉
(彼女の言葉を聞いた家入は一瞬目を見開き─すぐにげらげらと笑い出した。"あいつが?信じらんねー"と膝を叩いて爆笑する家入に釣られるかのように夏油も、"あの悟がね…"と肩を小刻みに震わせて笑っている。)
(失礼します、背後です…!此方では直接的な描写はできませんので、暗転という形になるのですかね…?他にも表現が細かすぎる、などありましたら遠慮無く仰ってくださいね…!修正致しますので…!)
夏油傑
「天国か…楽しみだなぁ。」
(擽るように倉木の腰を撫でていれば手を強く掴まれ顔を寄せ見惚れてしまう程の色気のある表情で嗤った。それに応えるように笑みを返す。歯を立てているものの強い刺激はなく焦らされる。早く噛むのなら噛めと思っていた矢先強く噛み付かれた。焦らされていた分、強い刺激が快楽に感じてしまう。頬を上気させ吐息を漏らしされるがままであれば今度は顔に近付き唇を重ねてきた。先程とは真逆の甘い優しい口付けに受け入れ舌を倉木の口内に這わせる。これは確かに翻弄されてしまうのも頷ける。やはり倉木は侮れないな。快楽に溺れかける頭でそんな事を考えて。)
白雪咲桜
「うん、いつもと違うからドキドキしちゃった。」
(その時の五条のことを話すと2人は一瞬驚いた様子だったが笑い出した。2人とも信じられないといった様子で笑っている。その様子に此方も釣られ小さく笑みを浮かべつつもこくりと頷いて上記のようにドキドキしてしまったことを伝えて。)
(/そうですね!暗転ということになると思います…!表現素敵で良いと思います!)
〈倉木真澄〉
「…ッ、はぁ……」
(手負いの獲物を見下ろすように瞳を細め、何処か獰猛に唇の端を引き歪めた。甘ったるく艶っぽい吐息と淫靡極まりない水音を重ねた唇の隙間から漏らし─先程よりは意識が引き戻されたようだが、蕩けた表情で床にへたり込んでいる五条に熱を帯びた目線を向け、手招きだけで自身の方へ呼び付ける。呼ばれた五条は床に手を付いて這いずるようにソファへ向かい、蕩け切った表情のまま夏油傑の手を取った。そのままぽやぽやとした声色で「傑~、一緒にトぼうよ。何もかもぜ~んぶどうでも良くなるくらい、真澄の連れてってくれる"天国"─すっごく気持ちいいからさぁ。」と心底楽しげに笑う。その言葉に瞳だけを意地悪く細めた倉木は─右手を流れるような手付きで夏油傑の袈裟に掛け、高く上げた左脚の内腿をするりと撫でた。─(暗転)─倉木は疲れたような吐息を吐き出しながら自身の乱れた黒髪を掻き上げ、細かな皺の寄ってしまったジャケットを脱ぐ。白いタートルネックのセーター姿のまま煙草を取り出し、火を点けて煙を吸い込んだ。)
──
〈五条悟〉
(家入は散々大声で笑った後、"それにしても、甘えるアイツとか想像できないな"と未だ漏れ出る笑みを噛み殺した。─と、夏油が二人の肩を叩いて"そろそろ戻った方がいいんじゃないかな"と声を掛ける。その声に反応した家入は携帯の時計に目を向け、"お、そうだな"と答えた。)
(了解です…!いえいえ、そんなことは…)
夏油傑
「はぁ……はぁ…っ…」
(快楽に溺れ暫く放心していたが乱れた息を整えながらゆっくり起き上がり、乱れた袈裟を整える。五条から一緒にトぼうと手を取られ倉木が意地悪く瞳を細め袈裟に手を掛け内腿を撫でられたまでの記憶ははっきりしているがそれからの記憶は朧気であるがとても気持ちが良く天国と表現していたのがよく分かる程の快楽であった。息を整え終え煙草を吸う倉木に目を向ければ「真澄の本気伝わったよ。」といつもの胡散臭い笑みを浮かべ述べる。)
白雪咲桜
「あ…ほんとだね、そうしようか。」
(家入の言葉に笑みを浮かべていれば夏油から声が掛かる。此方も携帯の時計を確認しては上記のように告げ賛成をしては教室に向かい歩き出して。気持ちもやっと落ち着き頬の熱も無くなり良かったと考えつつ教室に到着をしてはドアを開けて入って。)
(/素敵な表現ですよ!此方は語彙力なくて上手い表現が見付からないのですごいと思います…!!)
〈倉木真澄〉
「……はは、それなら良かった。僕も久々に本気が出せて─すっきりしたよ。」
(ふわり、と口から煙草の煙を吐き出した後─夏油傑が起きたことに気が付いたのか、少しばかり楽しげに笑ってその頬をするりと撫でる。テーブルに頬杖をついて前屈みの姿勢を取りながら─「─ああ、そうだ…"天国"は見れたかい?」思い出したかのように悪戯っぽく問い掛けながらソファから腰を起こし、相変わらず頬が紅潮している五条の腕を引いて立ち上がらせた。なに、と間の抜けた声を漏らす五条に倉木は「次は五条くんだよ。君にも天国、見せてあげるから─一旦帰ろうか。」とその耳元で囁く。途端、濁っていた五条の瞳に光が戻り、酷く嬉しそうに倉木の腕に縋り付いた。「一旦帰って、報告してから…また来るよ。」と手を振る倉木の後に続き、くるりと振り返った五条は「傑、僕が言った通りだったでしょ?と首を傾げる。)
──
〈五条悟〉
「……」
(五条は二人に見つかって揶揄われたことが不愉快だったらしく、不貞腐れた顔のまま足をぶらつかせていた。ドアが開く音に反応して目線を向けはするものの、入ってきた人間の確認が終わると─またふいと顔を背ける。家入は肩を竦めながら"拗ねてんだよ、あいつ"と馬鹿にするような笑いを浮かべた。)
(お褒めいただいて光栄です…!ところで、今後の展開なのですが…今回のことで夏油の気持ちが倉木に更に傾き出す、という展開でもよろしいでしょうか…?)
夏油傑
「あぁ、見られたよ。天国と言うだけの事はあるな。」
(倉木に声を掛けると、此方に気付いた倉木は楽しげに笑い頬を撫でた。倉木はすっきりした様子で本気だったということは更に確信した。テーブルに頬杖をついた倉木は天国は見られたかと訊ねてきた。言うまでもなく倉木は最中の此方の反応から分かっているとは思うが頷き上記のように答えた。どうやら1度帰って報告するようで手を振る倉木。「待っているよ。」と倉木に声を掛け手を振り見送る。倉木に続き歩いていた五条は振り返り問い掛けてきた。それに頷き「あぁ、悟の言う通りだったね。…真澄の事が益々気に入ったよ。」と告げて。)
白雪咲桜
「…ほんと子供みたい。」
(先に戻っていた五条は此方に目を向けるも顔を背ける。家入は拗ねていると笑っており、その言葉にクスッと笑みを浮かべ上記のように呟いて。そうしていれば夜蛾がやって来て“掃除、終わったんだろうな?”と訊ねてきた。「はい、終わりました。」と告げると、満足したような様子で頷き、“それなら今日はもう解散で良い。”と告げては去って行き。)
〈倉木真澄〉
「……そう妬くなよ、五条くん。君のことだって…ちゃんと天国に連れていってやるさ。」
(施設を後にし、真昼の雑踏に紛れてすぐ後の事─「…傑と遊んでる時、随分気持ちよさそ~だったね。」腕に絡み付いた五条が倉木の顔をじっと見つめ、ぽつりとそう零す。煙草の煙を揺らす倉木は億劫そうにそちらに顔を向け、五条の美しい顔に向けて煙草の煙を吐き出しながら─今にもふらりと何処かへ行ってしまいそうな、酷く危うい色気を纏った笑みを浮かべてみせた。その途端─けほ、と煙草の煙に咳き込みながらも、五条の口元には、まるで雄に喰われることを望む雌のような─被虐性に満ちた笑みがへらりと浮かぶ。「…うん、連れてって。…真澄、大好きだよ。」幼い子供のように従順に頷いた五条を連れ、倉木は一旦の自宅であるマンションの一室へと戻っていった。)
──
〈五条悟〉
「……おう。」
(五条は話もまともに聞いていなかったらしく、家入達が立ち上がってもまだ席に腰を下ろしたままだった。見かねた夏油が近寄り、肩を叩きながら"…悟、もう終わりだってさ"と声を掛けて漸く─気の抜けた返事を返しながら立ち上がり、妙に早足で教室の扉を引き開け、立ち去ってしまう。)
(よろしくお願い致します…!)
夏油傑
「あぁ…これか、飼い犬にやられてね。」
(倉木と五条が去った後、倉木が煙草を切らした時の為にと煙草を菅田に持ってこさせる。菅田は“失礼します、お持ちしました。”と部屋に入りテーブルに何箱か煙草を積み置いた。部屋を出ようと夏油に目を向けたところ首に赤い痕があるのを見付け“首の所、赤いですがどうかされたんですか?”と訊ねて。その言葉に夏油はいつもの笑みを浮かべ首に触れ上記のように答える。その言葉に菅田はまだ分かり兼ねているが、深くは聞かず部屋を後にして。)
白雪咲桜
「あ…もう、行っちゃった。」
(夏油と家入と共に立ち上がるも五条はまだ座ったままで。その様子に夏油が声を掛けるとあっという間に教室を立ち去ってしまった。その様子に目を瞬かせながらも呟いて。先程の一件のことを気にしているのだろうかと思い。)
〈倉木真澄〉
「……チッ…老害共め。」
(タートルネックのセーターも脱ぎ捨て、男性にしては細身の体躯を惜しげもなく露わにした状態で、大きめの舌打ちを漏らした。─切る直前だったので向こうに聞こえたかもしれないが、最早関係無い。通話を切った携帯をサイドテーブル目掛けて思い切り放り投げ、苛立ち紛れにぐしゃり、と髪を乱すと─その音に反応した五条が目を覚ます。気怠そうにベッドの上を這いずり、肩に体重を預けながら「……なぁに、また電話?」舌っ足らずな発音故か、普段よりも少し幼く聞こえる声色でそう問うた後、こてん、と首を傾げた。真っ直ぐに注がれるアイスブルーの眼差しから逃げるように、倉木は小さく頷いただけでベッドから起き上がる。五条もそれを追うようによいしょ、と声を上げつつ、のろのろとした怠慢な動きでベッドから降りた。倉木はベッド横のクローゼットから二人分の服を適当に見繕い、五条に一着分を放り投げる。着替えた後は一旦全てをリセットするかのように─普段の銘柄で一服し、長く深い溜息を吐き出しながらマンションを出、施設へと足を向けた。)
──
〈五条悟〉
(家入は五条の背中を見送り、"まだ拗ねてんのかよ"と乾いた笑い声を上げながら煙草に火を点ける。のんびりとそれを吸いながら彼女に顔を向け、"リベンジのチャンスじゃないか?行ってこいよ"と相変わらず揶揄うような声を掛けた。)
夏油傑
「何だろうなぁ。」
(菜々子と美々子が学校が終わり戻ってきた。色々今日の出来事を話してくれる。すると首元に気付いた菜々子は“夏油様、それどうしたの?今朝は無かったよね?”と首元に付けていた絆創膏を指さし、美々子も“うん、無かった。”と絆創膏を見つめる。己としては何も付けずとも痕をそのまま見せびらかしていても良かったが非術師に見せるのも何か気に食わないし、菜々子と美々子も気にしてしまうだろうと思い首元の噛み痕に絆創膏を付けた。訊ねる2人に笑みを浮かべ上記のように答えずはぐらかして。)
白雪咲桜
「え…リベンジって…もー…揶揄わないでよ。」
(教室から去って行った五条の様子に呆然と見ていると家入からリベンジのチャンスだと揶揄われる。その言葉に先程の一件を思い出しまたも頬を赤らめ上記のように述べて。そう言いながらも五条の事が気に掛かれば追い掛けるようで、「…行ってくる。また明日ね。」と2人に挨拶をすれば教室を出て。近くに居るだろうかと辺りを見ながら廊下を早足で歩いて。)
〈倉木真澄〉
「………はは、」
(羽織っている白のジャケットから漂う、ふわりと鼻を擽る濃いイランイランの香りに眉を顰めた後─唇の端から弱々しく、自虐的な笑みがふと漏れた。─忘れた筈なのに、まだ未練がましく"コレ"を残していた自身が嫌になって─ぎり、と知らず食い締めた歯が鳴る。気付けば、ポケットの中に入っていた煙草の箱を力任せにぐしゃりと握り潰していた。潰してから後悔し、五条に声を掛けて近くのコンビニへ足を踏み入れる。普段よりも匂いと味のキツい銘柄を購入し、コンビニ側の喫煙所で一気に三本程吸い切って─ジャケットから漂う忌々しい香水の香りを、煙草の匂いで殆ど上書きした。それでも尚ジャケットから微かに香るそれには─無視を決め込み、施設の中へ足を踏み入れる。)
──
〈五条悟〉
("おー"と軽い調子で見送った家入は少しした後にひょこ、と教室の扉から顔を覗かせ、彼女と五条の様子を見守っている。─一方、五条は乱暴な足音を立てながら廊下を歩いており、何処かぴりぴりとした雰囲気に─実際は拗ねているだけなのだが─補助監督達が怯えて道を開けていた。)
夏油傑
「何れ教えるよ。」
(菜々子と美々子の問いをはぐらかすと菜々子は“教えてくれてもいいじゃん~!ねぇ、美々子。”と美々子に同意を求めて。それに美々子も“うん、夏油様教えて。”と頷き述べて。しかし、教えれば倉木に敵対心が向かうのは目に見えている為言う訳にもいかず。上記のようにまたもはぐらかせば2人の頭を撫でてやり。)
白雪咲桜
「悟…!」
(五条に追いつくべく早足で歩いていれば少し先に乱暴な足音を立て歩く五条の背中が見えて。見るからに拗ねている様子にクスッと笑みを浮かべつつも、早足で駆け寄ると上記のように名前を呼び声を掛けて。隣に並べば「…追いついた。…一緒に帰ろう?」と笑みを浮かべ述べて。)
〈倉木真澄〉
「……何でもない、思い出すだけだよ。」
(ジャケットの裾を握り締め、引き千切らんばかりの力で生地を伸ばす姿に只事ではないと察したのだろうか─五条が「真澄~、どしたの?」と首を傾げる。倉木はその問いから逃げるように顔を背け、静かな声で呟いた。─自身の脇腹から止め処無く溢れる血。出血多量で霧がかかったようにぼやけていく視界。眼の前の誰かが構える、赤い血に濡れた出刃包丁。傷口を押さえた自身の手にべっとりと付着した赤色。薄れゆく意識の中で、甲高い足音とともに近付いてくる濃いイランイランの香りが鼻腔を擽って─脳裏に次々と浮かび上がるイメージを皮肉っぽい嘲笑で押さえ付け、何処か不満げな顔の五条を放ったまま─煙草を一本取り出して火を点ける。コンコン、と控え目に目の前のドアをノックし、平常通りの声を心掛けて声をかけた。)
「…やあ、待たせて悪いね。」
──
〈五条悟〉
「…あ゛?なんだ、お前かよ。…別にいーけど。」
(五条は背中から掛かった声に振り返り、あからさまに不機嫌そうな表情とドスの利いた低い声で返事をするが─声を掛けてきたのが誰なのか気付いたらしく、途端にその表情と声は普段のものへと戻った。問い掛けには頭を掻きつつ、こくりと首を縦に振る。)
夏油傑
「真澄か、待っていたよ。」
(はぐらかす夏油に菜々子と美々子は何やら文句を言っているが軽く受け流し宥めて。そうしていれば、ドアがノックされ開き入ってきたのは倉木だった。一見いつも通りだが、何処かいつもと雰囲気が違う気がした。しかし確実性もないためそこには触れず様子を見ることにして上記のように声を掛けて。菜々子と美々子は倉木に気付けば今朝の事を根に持っているのか敵対心のある表情で見ていて。)
白雪咲桜
「…さっきのことまだ怒ってるの…?」
(不機嫌そうな声で返事してきた五条だったが白雪だと分かるといつもの様子に戻って一緒に帰ることを了承してくれた。その様子に笑みを浮かべ「ありがとう。」と伝える。そして、家入からリベンジだと言われた事を思い出し、体育館倉庫での一件のことを訊ねて。)
〈倉木真澄〉
「……失礼するよ。」
(敵意を剥き出しにした眼差しを─彼女達にとっては鋭いのだろうが、倉木にしてみれば草食動物の甘噛みのようなそれを─突き立ててくる彼女達に向け、皮肉っぽく唇の端だけを歪めた。咥えた煙草の煙を入口の方に向けてふわりと吐き出し、夏油傑の目前にどすん、と腰を下ろした。尻に敷かれた拍子にジャケットの裾がよれて細かな皺を作るが、一切気にもせず彼女達に再び目線を向け─「……元気そうで何より。学校は楽しいかな?」と嫌味混じりの声で嗤う。聞いておいて彼女らの返事は待たず、くるりと視線を夏油傑の方へ戻した。倉木の腕に縋り付く五条はべ、と彼女達を馬鹿にするように舌を出し、ぷいと顔を背ける。)
──
〈五条悟〉
「……怒ってねーよ。」
(彼女の問いかけに、五条は何処かばつの悪そうな表情を浮かべて─再び頭を掻いた。─自分でもらしくない行動だったと分かっているのか、彼女の手をぐい、と引いては「……さっきの続き、してもいいか?」とぼそりと問う。)
夏油傑
「騒がしくてすまないね。」
(菜々子と美々子が答えるよりも早く視線を夏油に向けられては更にムッとしたように菜々子は“は?アンタに教える訳ねーし。”と述べ、美々子も“夏油様にしか教えない。”と菜々子に続き述べ2人とも敵意むき出しであり。その様子に此方に目を向けている倉木に上記のように謝って。菜々子は夏油がはぐらかすため共に居た倉木なら分かるだろうと夏油の首元を指さし“これ、アンタがしたんじゃないよね?”と訊ねて。)
白雪咲桜
「…いいよ。…けど、誰も見てないかな…?」
(先程の事を怒っているのかと問うと怒ってはいないようで。手を引かれては続きをしてもいいかと問われる。頬に熱が集まるのを感じつつもおずおずと頷いて。補助監督達も姿を消し、一見誰も居るようには無いがちらと周りを見て述べて。)
〈倉木真澄〉
「…さあ?僕は知らないね。猿にでも引っ掻かれたんじゃないかな。」
(─どうやら元々、彼女達からの返答など求めていなかったらしい。夏油傑の謝罪には軽く手を上げ、大して気にもしていない様子で頷いた。彼女達のあからさまな敵意を一身に受けて尚、くつくつ、と喉の奥で押し殺したような声を立てながら─"猟犬"は余裕綽々に、一人前に唸る二匹の草食動物を気怠げに嘲笑う。右手では白い煙の揺れる煙草を指先に挟み、もう片方の手では五条の頭を撫でながら空惚けた返答を返した。身動ぎする度に羽織ったジャケットから僅かに香り立つ─忌々しいイランイランの香りに、ごく小さな舌打ちを一つ。煙草の色濃い匂いを纏って誤魔化しても尚、その匂いに混じって鼻腔を擽る香りを掻き消すように深く煙を吸い込んで─普段のように、いや─普段よりももう少し酷く、肺を痛め付けた。)
──
〈五条悟〉
「……見てねえって。」
(五条は彼女と同じく周囲を見回し、そう答える。─先程まで覗いていた家入は面倒事に巻き込まれたくないのか、既に自室へと戻ったらしい。ぐい、と今しがたよりも強めに手を引き、彼女の顔は五条の目前へと引き寄せられた。)
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