スレ主 2023-12-10 17:44:55 ID:896f7f474 |
通報 |
>87 ことも、ALL
【廃屋敷/リビング】
笑い声がした方向へ視線を向けると、そこにはドアがひとつだけ。おそらくあの奥に声の主がいる。ドアに獣狩りの短銃を向けながら、声の主が姿を見せるのを待った。そして遂にドアが開かれたが、そこには何の姿もなかった。狩人は不審に思い短銃を下ろしかけたが、続いて聞こえた笑い声で再び構え直した。姿は見えず、音のみが聞こえる。推測が当たっていれば、奴は不可視の存在。姿が見えない以上、音を頼りにするしかない。が、しかし。適当に攻撃を行えば、こちらの発する音で奴の音は掻き消され、音による居場所の特定が難しくなる。さてどうするかと狩人は思考を巡らせた。対処の方法を考えている最中、ふと後方から狩人を横切る小さな物体が視界に入った。よく見るとそれは小さな石。背後から現れたので、少女(ことも)が投げたものだろう。するとそれがきっかけになったのか、足下前方の霧がまるで此方に向かっているかのような揺らぎを見せた。そうか、と狩人は心の中で手を打った。幾ら不可視の相手でも、実体がある以上は霧の中で動くならば必然的にそれを掻き分ける形になる。不自然に霧が動く場所が、奴の居場所を示すヒントになるのだ。これに気付かせてくれた少女(ことも)に「助かった」と礼を言ってから、振り下ろすようにして右手のノコギリ鉈を変形させた。折り畳まれた刃を前方へ展開する鉈形態では、振りの遅さと引き換えに長いリーチと遠心力による一撃の強さを手に入れる。その変形させたノコギリ鉈を、霧を掻き分けて向かってくる何かに向けて一文字を描くように振り抜いた。
トピック検索 |