大倉 奏 2023-11-01 22:06:09 |
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(数ヶ月ぶりの連休初日は通い始めて数回の美容室の予約から始まる。今自分が指名している人物に今日もお願いしているが、枠がギリギリであった。早めに予約をしておかなければ直ぐに予約が埋まってしまうような人で、その理由はあの風貌と物腰…確かな腕前である事に間違いない。朝目を覚ましてから1度シャワーを浴びて、黒いストレートパンツに黒い薄手トレーナーというブラックコーデに、手先にだけシルバーアクセサリーを片手に二つ付けたシンプルな装いで家を出る。歩いて10分程の場所にお気に入りの美容室があり、扉を開けるこの瞬間いつも緊張をするのだがその理由は自分でも分からないまま中に入ると10分後に予約をしている事を受付に伝えて)……予約してる大倉です。
(特に預かってもらうようなものもなく、言われるがまま待合スペースまで歩みを進めると大人しく着席。近場に座っていた女性の視線に気付き目が合い謎の沈黙が流れた末、スッと目を逸らし携帯に意識を移して)
( 最近気になっている人がいる。人、というか自分を指名してくれている客なのだが。初めて来たときにいわば一目惚れに近い状態。顔立ちや雰囲気、話し方全てがどストライクだった。自分を気に入ってくれてかどうかはわからないが、ここ数回指名をもらえている。同性同士ましてや男が恋愛対象かどうかも分からない相手に迫るのもな、と暫く様子を見てからと計画をしているところ。今日も自分を指名してくれているようで、予約名を見て思わず頬が緩む。
受付をして待っている彼の姿を見つけるのと同時に、近くの女性客が彼のことをちらちら見ているのを視界に捕える。やはり女性から見ても彼のような真面目でガタイの良い男はよく見えるのだろう。近くに座る女性客にもにこやかに微笑みお辞儀のみの挨拶を済ませ、彼の隣へそっと移動し声をかけて。)
大倉さん。お待たせしてしまいましたね。
すみません。
こちらへどうぞ。
(すぐ近くで息を呑む微かな音が耳に届き、横目で先程の女性客を見るとそこには目を輝かせて何かを見上げている姿。と、ほぼ同時に自苗字を呼ばれ意識を声の方へと向ければ御指名の彼で。相変わらずと麗しいその容姿に呼ばれているというだけで少し気分も良く、微動だにしなかった表情を少し和らげて。携帯をポケットにしまい立ち上がると彼の案内通りに後へ続き)…いえ、俺が早く来てしまっただけです。よろしくお願いします。
いえいえ、時間にきちんと間に合うように来ていただけて有難いですよ。...、こちらどうぞ?
( 彼の言葉には微笑みで返して。案内をするために彼の前を先導してゆけば、一番奥の椅子に辿り着き、彼が座りやすいよう回転式の椅子を其方へ向けて。彼が座るのを待ちつつ、今日はどんな話をしようかと話題を考え、座ったのを確認すれば鏡の方へと椅子を向け、高さを調整する。後方の棚にあったカットクロスを取り出せば、「失礼します」と一言申し出てから、彼の前にクロスをかけて首元できつくないように結ぶ。)
今日もいつものような感じで良かったですか?今の形で短く整える感じで。
今日は休みだったので…時間に余裕があって。ここは…というより、月島さんは相変わらず忙しそうですね。
(いつもの流れで支度を受け鏡越しに彼と目を合わせる。問い掛けには「はい、それで。」と短く返答しながら明らかに女性受けするであろう彼の仕草を目で追い、先程より心拍がいくら速く脈打つのを感じた。つい一年前までは同性の恋人がいた事は勿論、恋愛対象が男性である事も鏡越しの人物には伝えておらず、好みである事も伝えられないまま今日も散髪を済ませるつもりで目を伏せる。しかしながら、平然を装いある疑問を投げ掛けて)
…あの。ご結婚されてるんでしたっけ?
はは、ありがたいことに。お客さんは途切れないですね。
( 彼の言うように自分指名の客は途切れることがなく。出勤しているときは休む間もないくらいだ。それはありがたいことなのだが、彼のように男性からの指名がほとんどないのが悲しいところで。それもあり彼に指名されていることは本当に嬉しく思う。髪を切り始めたところでの質問には、不思議そうな表情を。確かに美容師は指輪をしないため、結婚しているかどうかは分からないだろうな。と納得すれば、首を振って苦笑し。しかしこれで相手の恋愛事情に首を突っ込む機会ができたと内心ガッツポーズを決めて。)
…結婚?してないどころか、恋人すらいませんから。
大倉さんは?してるんですか?
(素直に褒め言葉を受け取る彼の様子に口角が緩く持ち上がる。嫌味がない飾らない性格も好印象で、ぱらぱらと肩から滑り落ちてくる短い髪の束を目で追いながらそのまま瞼を下ろす。そうでもしなければ鏡越しに映る彼をずっと見てしまいそうで、職業柄そういった行為は相手に対して威圧感を与えると思っているからこその事。元々、整える程度であった為、この時間というのはとても儚いもので、個人的に興味深い彼への追求心をひっそりと隠しながら穏やかな口調で会話を続け限られた時間で情報を得ようと。)
急にそんな事を聞かれても困りますよね、すみません。月島さん綺麗だから…そのお相手になる方はどんな人なんだろうって気になったんです。
かくいう俺も独身ですけど……結婚する気も、特になくて。
…綺麗だなんて。でも大倉さんにそう言われて嬉しいです。
そうなんですか。よかった。
...あぁ、仲間がいてよかったって意味ですよ?
( まさかの褒め言葉にこれまた心拍は上がって。しかし表面には出さないように、それでいて相手からの言葉が嬉しいという気持ちは正直に伝える。結婚はしていないし、その願望もないと知ればこれまた嬉しそうに、本音が出てしまう。その後で訂正を入れるも別に隠す必要はないかと思いつつ。髪を整え終え、シャンプー台へと移動を促しながらお誘いを。)
そういえば、大倉さんて俺と同じ歳なんですよね。
よかったら今度ご飯でもどうですか?
……月島さんは、投げた言葉を突き返さないで素直に受け取ってくれるから、褒めがいがありますね。
え?あ、あぁ…はい、そうですよね。仲間。
(褒め言葉に対し必要以上の謙遜もなくこちらに返されると気分も良く、伏せていた瞼を持ち上げて鏡越しに彼へ視線を向ける。本音を告げた後の「よかった」の言葉に一瞬表情を強張らせるも、取り違えであった事にふっと思わず微かな笑い声を上げて立ち上がり。流し台に移動し身を預けてはまさかのお誘いに戸惑いつつ、嬉しいという感情が勝り)
…行きます。俺で良ければ。
連絡先、聞いてもいいですか?
はは、せっかく褒めてくれているのにあんまり否定するのも失礼かなと。
( 褒め言葉に関しては苦笑しつつも、褒められていることに慣れているが正直な所だが、せっかくの言葉を否定しては失礼だろうとの考えで。必要以上の謙遜はしないようにしている。それが伝わったのなら良かった。鏡越しに目が合うと、やはり彼がいいなと改めて思う。シャンプー台に移動しつつ、先程のお誘いに承諾を貰えたことが嬉しかったのかにっこりと微笑んで。さすがに今は教えられないが、会計の際に自分の連絡先を渡そうと提案して。シャンプー用の水よけを首周りに付けると、「椅子倒します」と断りを入れてから椅子を倒し。顔の上に水避けのタオルを静かに置くと、シャワーを使って髪を洗い流し、シャンプーをしていく。)
よかった。大倉さんがいいんですよ。
実は前から大倉さんと仲良くしたいと思ってたんです。
連絡先、会計の時に渡します。
その方が、褒めた側も変な空気に耐えずに済みます。
(冗談交じりにそう返せば椅子に身を預けシャンプーが終わるのを待つその間、普段と同様の流れではあるが何時もより気持ちが浮ついていて。自分自身がそれに気付き腹の上で5本指を絡める様にして手を組む事で、落ち着きを取り戻そうと試みる。)
…それは、嬉しいです。
こういった場所で美容師さんに連絡先を聞いて、出禁になったらどうしようかと思いました。
出禁になんてしませんよ。
まぁ、普段なら聞かれても断ってますが。今回は俺から誘ってるので。
( こうやって話しているとやはり彼という人柄にすごくひかれる。確かに美容室で客を相手にしていると、連絡先を聞かれることもそれなりにあり、しかし1度も連絡先を教えたことはなく。彼が特別だとサラリとアピールすれば、洗い終えた髪をさっとタオルドライして再び元の席へ移動する。ドライヤーをセットすると髪をかわかしていき。)
大倉さんてお酒飲めますか?
光栄です。
(濡れた髪のまま浅く頭を下げてひっそりと笑みを深めるとそのままドライヤーの風に当てられて、途中の問い掛けには先程よりも少し声を張って聞き取りやすいように配慮を)
飲めますよ。そこまで強いわけではないですけど…飲みますか、一緒に。
いい店、知ってます?
俺もそこまで強くは無いので、じゃあお酒と食事と両方美味しい店探しておきますね。こういう職業柄店のリサーチは得意なので。任せてください。
( ドライヤーをしていても聞き取りやすくしてくれているのか、彼の声ははっきりと聞こえる。お酒は自分も言うほど強くないが人並みだと伝えると、それならばお酒がメインより料理も楽しめる店の方がいいかと提案をして。ドライヤーをとめて、髪の最終チェックをすれば、最後に鏡を出して後ろの感じを見てもらい「こんな感じで良かったですか?」と確認を。)
助かります。休暇中に出掛ける事があまりないから…お店には疎くて。
(任せてしまう事に少しばかり罪悪感を覚えるものの慣れない事は下手にしない方が良いだろうと店のチョイスは彼に。スタイルの確認には「大満足です。ありがとうございました」と笑顔を見せて席を立つと、忘れ物がないかの確認でポケットがある箇所を触り確認をしてから会計に向かう。この仕草は職業柄癖になっている様で、いまだ仕事の話を詳しくは話していない為、神経質に見られているだろうかと考えた事もあった。携帯を取り出し会計を待ちながら、横目で辺りを気にした後、彼の方に顔を寄せて小声で再度連絡先の交換を切り出し)
改めて……連絡先、教えてください。
えぇ、任せてください。
( 満足と言ってもらえれば、良かったと胸を撫で下ろす。最後に髪が服や首元などにかかっていないかを確認すると、会計の方へ。会計を済ませ、連絡先をと言い出そうとしたところで近付いてきた彼に胸を高鳴らせる。間近で顔を見てもやはり整っているなとか、このままキスしたら…なんていらない考えばかりが頭をめぐっていたが、小声で話す内容に小さく笑って自身の携帯を取り出し。こちらもそっと小声で「QRコード出すので読み取って貰っていいですか?」と、メッセージアプリの画面を開いて)
(彼が携帯を操作している間に、もはや日本人離れしている端正な顔立ちと人形の様な肌を間近に見て改めてモテると確信。長い睫毛が目元に影を作っている彼の顔をぼんやりと眺めていれば、途中ハッとして目を逸らし携帯の操作を行う。QRコードを読み取り友達追加をすると、まるで芸能人が友人になったかのようなそんな気分になった。トークルームに「大倉 奏です。かな、と読みます」と面白みのない文を打ち込んでから携帯をポケットに滑り込ませて)
…夜にまた連絡します。楽しみにしてますね、ご飯。
(「ありがとうございました」と再度お礼を述べてから軽くなった身を返して、自宅ではなくジムの方へ)
はい、じゃあまた。
ありがとうございました。
( 無事連絡先の交換が済むと先に送られてきたメッセージを見て頬が緩む。なんとも彼らしい文面には好感しかなく。そして彼の名前を再度知れば、いい響きの名前だなと思う。男性にしては珍しい読みだが、それも新鮮でいい。彼が店を出た後にこちらもメッセージを。「月島 琥珀です。御来店ありがとうございました。奏さん、素敵な名前ですね。また夜に連絡します。」と送ると次の接客へと戻り。)
───
( 店を出た後帰宅してすぐメッセージアプリを立ち上げ、彼へとメッセージを。)
「お疲れ様です。今週空いている日を教えてください。」
(/ありがとうございます!お願いします。)
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