共に辿る理想郷(〆)　

………

（ 考え込む様から一瞬たりとも目を逸らさず。思うところがあるのか更に口を開こうとするも、彼の性格や性質、置かれた立場等からこれ以上は此処で言っても仕方がないと考え。）

今回は時短の為に魔術を使いました。では此方に。私が最高の時間を送りましょう。

（ 漏れた感嘆の声を聞いて少しだけ目を細めて口角をあげ。それから椅子を引いて座り、貴方も座るようにと促すかのように真正面にある椅子へと視線を向け。）
　

分かった。じゃあお言葉に甘えて…お願い、モルガン。

　( 一瞬何か言いかけたような気がするが敢えて言及はせず彼女からの言葉に軽く頷き。もてなされてばかりと言うのは落ち着かないが、先程から言い聞かされた言葉を思い出しここは素直に甘えようと心に決め。指定された椅子に腰掛けると一体どの様な展開が待っているのかと緊張感は残しつつわくわくしながら彼女からのアクションを待っていて。)

よく言いました。手始めに私がお茶を淹れましょう。

（ 素直に甘えられ、表情は変わらないものの内心はとても喜びながら首を縦に振って述べ。自身の側に置いてあるティーポットを手に取っては、茶漉しをとおしてティーカップに注ぐ。すると辺りにフルーティーな香りが漂い。2人分を入れ終え、緩やかな所作で彼の目の前に紅茶の入ったティーカップとプリンを置いて。）
　

ありがとう。それにしても凄い絵になるね…ただお茶を淹れているだけなのに、綺麗だなあって…思わず見惚れちゃった。

　( 目の前に置かれたティーカップから漂う香りを堪能しながら彼女に向けお礼を告げ。ただ何でもない普通の光景であるにも関わらず行動一つ一つが完璧にこなす姿に釘付けになってしまった事を正直に告げると直後にストレートな褒め言葉を自覚すると思わず目線を横へと逸らしてしまい。)

目を逸らさないでそのまま私に見惚れているように__と言いたいところですが冷めないうちにどうぞ。

（ 自身の目の前にも同じものを置き、相手へと視線を向け。 "見惚れてそのまま私に全てを委ねてしまえば良い"といった思いが腹の底からでてきかけるもぐっと押さえ込んで、やや揶揄うような微笑で告げ。正直に言えば、そのまま釘付けになっても構わない…というよりそっちの方が好ましい。しかし折角お茶を淹れたのだから温かいうちに飲むように勧め。)
　

折角淹れてくれたからには冷めたら申し訳ないしね｡いただきます｡

　( 普段の態度から彼女の真意を読み取る事が出来ずいつもの調子で言ってるのだろうとしか思わず、勧められるがままティーカップを口に含むと口当たりがよく満足の行く味わいに美味しいと感想を抱くもそれを口にする事はなく。)

…見惚れてたのは今だけじゃないんだけどね。

　( 茶の感想よりも先に先のやり取りで聞いた彼女の言葉が自身の脳内を反芻し続け､溢れる思いがぽつり呟く形で漏れて。)

そう…ですか。

（ 自分が述べた先程の言葉。どうせ彼の英雄たらしとも評されるコミュニケーション能力で、平然としながら受け止めるか流されるかのどちらかだろうと思っていた為、想像しなかった反応が返ってきてきょとんとした表情でじーっと見つめ。）

ふふ、そう言われると妻としてとても冥利に尽きますね。

（ 暫くしてからその言葉を理解し、嬉しくも恥ずかしい気持ちになり頬が赤くなりながらも満面の笑みを浮かべて。）
　

…ごめん、今のは忘れて…っ、あっつ！

　( 本当に無意識の内に漏れていたのか彼女が反応を示した事でようやく自分の発した言葉を自覚すれば顔がみるみる赤く染まっていき何とも言えない空気になってしまうとその空気を打破する為忘れるよう告げた後慌てて茶を口に含むも、当然先程淹れたばかりの為温度が保たれておりティーカップを置くとその場から立ち上がって。)

大丈夫ですか?

（ その言葉が嬉しかったから忘れはしない、といった主旨の言葉を伝えようとした途端、慌てて熱いお茶を飲み、声を荒げてその場に立ち上がった様子を見て目を見開いて驚き。しかし即座に状況を理解し、何処からか水が入った一杯のコップを用意して、からの隣へ立ち渡そうとして。もし火傷していたら魔術を用いて治そうと次の行動を考え。）
　

…はぁ…はぁ…うん…らいひょうふはほ(大丈夫かも)…｡

　( コップを受け取りゆっくり飲み干すと少しずつ落ち着きを取り戻したのか呼吸を整えていき、未だひりひりする舌先を見せようと口を開き軽く伸ばしてみれば熱によって若干赤く染まっていおり痛みも生じているのか顔を歪ませていて。)

大丈夫ではないみたいですね。私が治します。

（ 舌の赤みと苦痛に歪む表情を眺め、"やはりか…"と呟きながら眉を顰め。再び魔槍を顕現させ、先程と同じようにとん、と軽く床に打ちつけて治癒魔術をかけて。）
　

ん…ほへんへ(ごめんね)｡

　( 我ながら間抜けと言ってもいい失態と折角のお茶会を台無しにさせてしまったと内心落ち込み、回復していく舌とは裏腹に心は沈んだままであるが彼女に気を遣わせないようにと笑顔を浮かながら舌の感覚が戻るのを待機して。)

ちょっとした火傷で良かったのですが、以後は気をつけるように。……それはそれとして私としては貴方が乱される様を見ることができて嬉しいのですが。

（ 幸い、軽く済んで良かったもののやはり彼の身に何かあるのは非常に嫌なことで注意を促して。火傷はともかく、無意識の発言や羞恥故の慌てよう。自身に対してこうも反応する様子を見ていると、愉悦を感じてしまい若干ほわほわとした雰囲気を纏い。）
　

うん、気を付けるけど…もしかしてモルガン楽しんでる？

　( 魔術のお陰でまるで何事もなかったかのように舌の痛みは引いていき通常通り口を開いても全く支障がない事に安心して。自分の不注意が招いた結果なので申し訳なく思うも、どこか和やかな雰囲気になっている彼女に揶揄われているように思えてしまいむすっとした態度を見せて。)

そうですね、火傷という点では全く笑えませんが、貴方の愛らしい反応を見ていると楽しくなりますね。

（ マスターや魔術師などの肩書きなしに1人の人間として、自分に本音を漏らしたり狼狽えたりする様子や今見せているむすっとした態度。こうして大好きな人の様々な姿を見るのは新鮮な気がし、こくり、と頷いて肯定して。）
　

愛らしいって俺としては複雑だな…その言葉が似合うのはモルガンの方だと思うけど？

　( 良い意味でそれを喜ぶ人がいる事は理解しているものの、やはり自分にとってはしっくり来る言葉ではなくむすっとした態度は崩さず。それよりも彼女は威厳ある女王に見え実際はとても優しく、照れた時の可愛らしい姿こそ似合うのだと真っすぐ見詰めながら反論して。)

はぁ、私が可愛い…ですか?私は全てを呪い、支配する女王であり、私に従わぬ身内すら処断する魔女。愛らしいといった言葉とは無縁だと思いますが…。

（ 彼女からすれば、雨の魔女として魔術に没頭していた頃、或いは救世主として争いのない理想の国をつくる為に奮闘していた頃ならまだしも、今の自分は異聞帯においては妖精國を支配してきた女王であり、汎人類史においてはブリテンを滅ぼした魔女。おおよそ愛らしいものではない。不思議そうに首を傾げて、真っ直ぐな眼差しを見つめ返して。）
　

まあ…確かにそうなのかもしれないけど。少なくとも俺は知ってるよ？モルガンの愛らしい一面。

　( 彼女の表情から感じられるのは照れ隠しでも何でもなく理解不能と言った所であろうと感じで確かに周りの評価や他ならない彼女自身が口にした事なので否定はしきれないが、それでも先程見せた笑顔や照れた顔、髪を乾かしてた時の優しい手付き等他の人が見た事のない一面を知ってる自分には肯定も出来ず優しく微笑むと彼女の頬に触れようと手を伸ばして。)

……我が夫がそう言うのならそうなのかもしれませんね。

（ 冬の女王に魔女…そういった一面を安易に否定せず、しかし、自身の別の一面をしっかりと見てそう評してくれる。凄惨な目に遭ってき、出会いに恵まれることが少なかった自身だがこうして彼と会えて本当に良かった、そう思いながら微笑み返し、述べ。微動だにせず自身に触れようとする手を受け入れ。）
　

ほら、その顔。そうやって素直に笑う所はとても愛らしいと思うよ。

　( 再度見せた微笑みに例えそれが自分含めて限られた人間だとしても愛らしい一面がある事は変わらず直様指摘すると抵抗なく触れた彼女の頬を輪郭に沿い優しく手を滑らせ、首許まで移動したかと思えば唐突に両手を彼女の首に回して急接近。そのまま抱き付く形で体を密着させて。)