掲示板ファンさん 2023-10-09 19:52:48 |
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(/ 応援してますね千秋さん!!まあ何かの拍子に薄葉のスイッチ入るかも知れませんけど!!()お姉様!!弟さんヤバいですお姉様!!あっでも新しい作品見たいですお姉様!!()解ります…遠くからそっと見守ってたい……よしよし行っちゃいましょう!薄葉からのご感想はご入り用でしょうか!?こいつ作品とお話する変人タイプですけど!!() )
( 会計はさっさとカードで済ませ、店外に出る。さて近場のギャラリーはと、携帯で地図を開いた所で青年が隣を通り過ぎていく。「…ちーちゃん?」先程まではどうも渋々としていた彼。それが比較的解り易く変化した歩みに、疑問の形で愛称を呼びつつ、その一歩後ろに大人しく従ってみる。すると、辿り着いたのは彫刻を主役とした広いギャラリー。「ちーちゃん、此処が良いのぉ?」目的地が解れば疑問は笑顔に昇華して、俄に喜色付いた問いを掛けるが答えは聞くまでも無く、その展内に足を踏み入れる。「わぁ、可愛いねぇ。」入り口付近は、腕に収まりそうな小さな彫刻作品が並んでいる。一声先ずは漏れた声の後、ひょいと顔を作品の一つに近付け接触可能なそれの縁を指先でなぞり、「へぇ~…ん~…君ってば小さいのに難しい事言うねぇ。」次いで奥に進んで円と曲線を奔放に重ねた抽象の作品を眺め、首を傾げての一言。むぅ、と唸りまで溢したその後、「ところでちーちゃん、」不意にパッと青年の方へ顔が向く。「どうして此処にしたのぉ?此処に見たい子でもいるのぉ?」意識を向けた理由は、己が見る限りでは珍しく感じた青年の行動から。――己は何処でも良かった。しかし彼は違うように思えた。それ故、フワフワご機嫌なその目で彼を覗き理由を質して )
(あーっ!!あーっ!!お姉さん!!お姉さん大変ですよ!!ちーくんが!ちーくんが!狙われてます!!次の新作を作らないでください!!()是非感想を!お姉さん喜びますよ!)
(時間も時間だからだろうか、閑散としたギャラリーに足を踏み入れた後は投げ掛けられた彼の不思議そうな言葉に答えるのも忘れたまま、奥まったエリアの中心に据え付けられた"鷹狐 茜姫作"のプレートを掲げた大型の彫刻の前へと吸い寄せられるように近付いて、その前でぴたりと足を止める。写真で見たよりもずっと大振りだったそれを見つめていると、鷹の怜悧な眼差しに、狐の底知れぬ妖しい雰囲気に射止められるような気がした。─相変わらず、姉の彫る彫刻は普段の春風のように自由奔放な姉とは全く違う、近寄り難いような雰囲気を纏っている。少しの間表する言葉も無く彫刻に見惚れていたが、ふと気付いたように鞄から携帯を取り出すとメッセージアプリを起動し、"作品、見たよ。凄いね、いつものことだけど圧倒された。空の王と陸の隠者の一触即発の雰囲気が凄く出てる。狐は姉さんだと思うけどさ、鷹のモデルってもしかして俺?"とだけ姉にメッセージを送ると既読も返事も待たずに携帯をスリープモードにした。姉の事だから、また次の作品作りにでも熱中しているだろうと思うので─返信は期待していない。─他の彫刻も勿論素晴らしいとは思うが、姉弟の贔屓目を抜きにしても姉の作品は段違いだ。普段の姉、吹き抜ける風のように自由な性格からは想像がつかない。自身で提案した行き先だが、ギャラリーを観覧すると言うよりはほぼ姉の作品の前で固まったまま、彼が他の作品と会話するのを思考の隅で聞き流していた。周囲に配置されている兎や鼠といった小動物の彫刻すらも、姉の作品を引き立てているように感じてしまう。暫くしてから漸く彼─同行者の存在を思い出したらしく、彼の方へ顔を向けて「……ああ…すみません」と謝意を述べて)
(/ このままだと弟さんが沼底に!!お姉様!!でも次の新作は何ですかお姉様!!()薄葉感想言ってほしいって!!じゃあ張り切ってどうぞ!!()何ならしっかりはっきり“茜姫”さんを認識するほど作品見させて頂きましたよ!!() )
( 質問に答えは返ってこない。その事に首が傾いだが、彼の視線の先に疑問は解ける。「ん~ん、良いよぉ。ちーちゃん、この子に会いたかったんだねぇ。」問いから数秒、漸く此方を認識したらしい青年にゆるりと一度頭を横に振りながら、微笑ましく長閑な声を浮かべて、自身も彼のお気に入りらしい作品に向き合う。「…すごいねぇ、この子。」時間にすれば一分程度だろうか、しんと閉ざしていた口から一言落ちる。「とぉっても堂々としてる。“私は完璧だ”って、“素晴らしいだろう”って、眩しいくらい自信に満ち溢れてて、此処じゃ一番、目を奪われちゃう。…まるでこの場の支配者だねぇ。」続けては、全体から感じる彫刻の空気について、感心の意を。まるで作品自身が発したかのように、その雰囲気に言葉の形を持たせていく。「それとぉ、少ぉし奔放なようだけど…荒々しい訳でも豪快な訳でもなくて、むしろ…」その次、視線は彫刻の肌へ滑る。くまなく、満遍なく。「……うん、表情は繊細で、細かい所までこの子――“鷹狐”の意志が、丁寧に彫り出してもらえてる。」鷹の狐を見下ろす理知に満ちた眼差しも、それを正面から見据え上げる狐の真っ直ぐなのに油断ならない危うさも。あと一歩、互いのどちらかが踏み込めば、只事では済まないだろうその緊張感まで。余す所無く、全てを見詰めている。――昨日、青年の瞳を観ていた熱と、同じものを籠めた瞳で。「だからこの子は、この子としての揺らぎない芯を持って、皆に自分を主張してる。“私には恥じる部分も、臆するものも何も無い!”って…それが、周りを飲み込むくらいの存在感に繋がってるのかなぁ。」また一つ、作品の“声”を拾って、ふふ、と笑みを溢す。「良いねぇこの子。とっても清々しくて、思わずたじろいじゃうくらい格好良くて、それで、」溢れたものを拾うように、伸びた五指の中指を自らの下唇に添えて、明朗に賛美の言葉を綴った最後、ふっと表情が変わる。「……――美しい。」微笑む瞳は“鷹狐”にうっとりと釘付け、仄かな恍惚
の吐息と絡まる静かな声を終わりに、一旦唇は閉ざされ、また青年の方に意識は戻る。「えっへへ…ちーちゃんが好きな子ならってぇ、この子とたくさん“お喋り”してみたけどぉ……でも、メッセージ性とか、作者さんが伝えたい事とかは、さっぱりだったなぁ。う~ん…この子が凄い子なのは解るんだけどぉ……」ごめんねぇ、と然して悪くも思ってなさそうな、軽薄なお詫びで首を下げるその顔は、今まで一番青年に多く向けている気の抜けた緩いそれ。その後でもう一度、今度は作品下のプレートを見遣り、其処にある作者名を声に出さずに数度繰り返す。その行為で何か飲み込むような極小さな声の次、「…茜姫さんって、どんな人だろうねぇ。」確かに覚えたその名にやっと音を付けたかと思えば、視線はひょいとそちらへ上げて、他愛無い軽さで青年に話し掛け )
(これはお姉さん新作作りに熱中してて気付いてないやつですね…()感想貰えてよかったねお姉さん&千秋くん!!千秋くんお姉さんの作品を正しく理解して貰えて内心ウッキウキですよ!!一見普段の無表情なので全然分からないでしょうけども!!!())
(何かに気付いて自身の隣へやって来た彼は、自身と同じように姉の彫刻を見つめて感想を溢す。─変わった人ではあるが、やはりアーティストだけあって審美眼は確からしい。芸術に関しては素人の自身には無い視点の感想を聞くのは新鮮だ─彼の口から紡がれる感想にそんなことを思いつつ、まだぶつぶつと何事かを呟く彼を普段通りの鋭利な眼差しで横目に見つめていた。漸く姉の彫刻以外にも目を向ける余裕が出来たようで、周囲を彩っていた小動物の彫刻にも目を遣る。まずは鷹の視線の先に居る兎へ、その次は狐の尻尾の先に居る鼠へ。それぞれに普段より多少冷たい眼差しの一瞥をくれた後、彼の最後の、メッセージ性やら伝えたいことは分からない、という言葉に反応したかのように、姉の彫刻へと眼差しを戻す。─それはそうだろう。姉は動物や無機物を思うがままに彫るのが好きなだけで、他者に何かを伝える気などさらさらない。が、芸術評論雑誌を読んでみれば評論家がこの彫刻はコレを暗示している、などと勝手に読み取った"伝えたいこと"が載せられている。…他者に姉の彫刻を正しく理解して貰えるのは、久しぶりだ─彼の軽い謝罪を、首を左右に振って制した。名前を覚えたらしい彼から"茜姫"の人となりについて投げ掛けられると、自身の知る姉─自身を"ちー"と呼んでこき使い、目覚ましは2度スヌーズ機能を掛けないと起きられない、と挙げ始めたらキリがない─を口に出すのは流石に躊躇ったのか携帯を取り出し、"茜姫"で検索を掛ける。そうしてトップページに躍り出て来たサイトの文章を読み上げた。「…"春風のように陽気で自由奔放、そしてその本質は風に吹かれて揺らめく霞か霧のように捉え難く、それでいて─人を惹き付ける、どこか近寄り難いような不思議な魅力を秘めた女性アーティスト。製作する彫刻は動物をモチーフにしたものが多く、彼女の手で細部まで精巧に彫り込まれた動物たちは今にも動き出しそうな迫力がある"…と紹介されていますね」─物は言いようだな、と半ば感心しながらそのサイトの文字をぼんやりと目で追っていたが、やがて飽きたのか携帯をまたスリープモードにし、ポケットに押し込み)
(/ あっこれはいけませんね…仕方ありません、弟さん諦めてくださいませ()うへへ!こういう時こそ本領発揮しなければ只の変な人ですからね薄葉!!()無表情でも良いんです!千秋さんがウキウキな事実が尊いので!!良かったね薄葉!千秋さん達嬉しいってさ!! )
( 問い掛けに、ほんの僅かだが妙な間があった。それに瞬きを返したが、態々調べてくれたらしい言葉の羅列にまた表情が輝く。「へぇ、春風に霞かぁ~…良いねぇ、良いねぇ。面白そぉ。茜姫さん、いつか会ってみたいなぁ。あ、ファンレター送ろっかなぁ。」燥ぐ調子は一度ピョコンと跳ねる踵に顕れる。その後でパトロンさんに頼もっとぉ、などと“茜姫”への接触の無邪気な目論見を、隠す事無く口からだだ漏らしつつ、他の作品の元にも近寄る。「あ~面白かったぁ。」触れる事が出来るものには全て触れ、見るだけならば隅々までじっくり観て、どの作品とも隔てなく“お喋り”をし、その時折に返事の有無に関わらず青年に話し掛ける。多少口が忙しないが充実した時間の後、外に出てみれば既に夕暮れの少し前頃。「結構長居しちゃったねぇ。ちーちゃん、楽しかったぁ?」グッと両腕を天に突き上げ思い切り伸び、肺一杯に空気を吸い込んでから両手を垂らす。その一連の柔軟の間に彼へ感想を尋ねてすぐ、一瞬目が逸れて思案の沈黙が巡る。「あ、そうだぁ。ずっと室内だったし、ちょっと外歩こっかぁ。」尋ねた答えを聞くより前に、青年の手首に片手の指を巻き、そのまま先導を始める。「此処から少ぉし行った高台から見える景色ねぇ、すっごいキレイで気持ち良くてさぁ、オレのお気に入りなんだよねぇ。」カフェの時とは違って無論服を隔てての接触、言葉は子供がオモチャでも見せびらかすような自慢と幼い愉楽に満ちている。「ふふ、人を連れてくのは初めてだなぁ。ちーちゃんも気に入ってくれたら、オレ嬉しいなぁ。」あまりに浮薄過ぎて本気か知れない願望と、期待らしい弾みに徐々に早まる足。その二つで青年を引っ張り、街を見下ろせる其処を目指して )
(あー!!ちーくんが!!ちーくんが!!お姉さーん!!!()千秋くん、薄葉様もやっぱりアーティストなんだなとか感心してますよ!!ウッキウキだから大抵のこと許しちゃうねえ!!)
(「…会えると、いいですね」姉─否、"茜姫"に会いたいと無邪気にはしゃぐ彼の姿にそう言葉を溢した。─変な人だが、面白い人だ。自身とは全く正反対だと思っていたが…姉の作品を正しく理解してくれるのなら、案外仲良く出来るのかもしれない─そう思うと、自身の唇の端に、普段とは全く異なるさざ波のように柔らかな微笑が僅かにふわりと浮かんで、すぐに消える。名残惜しいが姉の彫刻から離れてギャラリーを回る道中、作品に触れたりしつつ、一人で何やらぶつぶつと呟いては絶え間なく投げ掛けられる彼の問い掛けには適当な相槌を打っておき、自身も難解な題名の付いた幾何学的な彫刻やら、逆に丸や曲線だけで構成された単純極まりない彫刻などをぼんやりと眺め、暫くしてからギャラリーを彼と共に出た時には、既に空は茜色に染まり始めていた。楽しかったか、と問われたので返事の代わりに首を縦に振り、手を引かれるまま歩き出す。─ふと、夕暮れ時のそよ風が自身の頬を撫でる。適度に冷えた風が頬を撫でる心地良さに少しばかり目を細めつつも、彼の連れて行く場所へと黙ったまま連れられて歩いて行き)
(/ このまま“変な人”の薄葉が弟さん頂きますねお姉様!それじゃ新作頑張って下さい!!()見直されたねぇ薄葉!!えっ大抵の事…?それは何処までなら許されます…?あっいや変な意味では無く!ただの確認ですよ、確認!!() )
( 高台に向け坂を登る道中、己が引く手に抵抗が無い。その事実が余程嬉しいらしく、何は無くとも小さく鼻歌が漏れていた。「高台ねぇ、眺め良いのに人が来ない所でねぇ。」そしてそのまま黙っている筈も無く、これから行く先についてまた口が回り出す。「…なんだっけぇ、怖ぁい噂があるから、らしいよぉ。確かぁ、“血まみれの女のお化けが出る”とか、“笑う人喰い人形が襲ってくる”とかぁ、そういうの。」空いている指の先で下唇をつついて天を仰ぎつつ眉を寄せ、何とか記憶から絞り出したのは、人伝に聞いた信憑性もへったくれも無い怪談や都市伝説の類。ほんの少し脅かすようなおどろおどろしさを巫山戯けた声に乗せてはみたが、「まぁでも、只の噂だよねぇ。だってオレ、しょっちゅう此処来るけどぉ、女のお化けさんにも人喰い人形さんにも会った事無いしぃ。」直ぐ様それは消え、コロコロと可笑しさを漏らして一度彼の方を向いた後、着いた其処で足が止まる。「それに、」あまり手入れのされていない高台。蔦の絡まった転落防止の手摺の先。「――そんな噂どうでもよくなるくらい、キレイなんだよねぇ、此処。」目の前に広がる、煌やかな灯りの点き始めたミニチュアの街並み。ずっと向こうに見える薄雲。青色をまだ残した空は、茜、紫、紺と色彩を重ねて、沈みゆく夕陽を包んでいる。高所の所為か風は少し強いが、それすら爽やかで心地好くなる己にとって一番の景色。「あ~…いつ見ても最高ぉ。」案内の完了した青年の手を離し、慣れた様子で手摺近くのオブジェらしき細い台に駆け寄り、その上にひょいと乗る。其処から片手で日除けを作りつつ、街の一望に秘密基地でも見る子供のようなワクワクとした気色で感嘆を。それから台の上で両手を広げ、くるり半回転。羽織の裾を翻して青年の方を振り返り、「ねぇ、良いでしょぉ?」満面の期待に満ちた笑顔で首を傾げて )
(あー!!お姉さん!!お姉さん!!ちーくんが!!頑張って!!気付いて!!()ううん…千秋くんウキウキですからねえ…どさくさに紛れて手とか繋がれても流しちゃうかも…(ボソッ))
(彼に連れられて到着した高台は、かなり長い期間放置されているようで、確かに道中に─まあ自身の答えを求めず、ほぼ一方的に話していただけだが─彼が話していた、下らない怪談の舞台になりそうな不気味な雰囲気を放っていた。指先が触れただけでも不安定に撓む手摺に絡みつく、青々と茂った蔦に手を触れ、その近くにあった軋むベンチに腰を下ろす。自身が尻を乗せると、強度が心配になるような程に軋む音が耳に届いた。彼の言葉につられて顔を上げると、自身の目に飛び込んできたのは言い現し様も無く美しい景色─昼の、目が痛くなるような澄んだ青から夕暮れ時の柔らかな茜色、そして無性に惹き付けられる夕闇に沈みかける空と、煌々と明かりを輝かせる街の建物。姉と比べられる普段ならば、一片たりとも思うことはない。だが今だけは、自身に芸術的才能が無いことが悔やまれた─代わりに鞄から携帯を取り出し、その風景をカメラに収めるとメッセージアプリを開き、案の定まだ既読も付いていない先程のメッセージに重ね、今撮った写真を姉に送信する。携帯を鞄に戻してから秘密基地で遊ぶ子供のような仕草をする彼をちらりと見やり、彼の言葉には「…ええ」と言葉少なに頷いておいた。と、今しがた鞄に入れた携帯が新着メッセージを知らせる。何気なく取り出してみればそれは姉からの返信らしく、"ちー?ごめん、気付かなかった~。そうそう、あの鷹はちーだよ!すぐ分かるねえ、流石ちー!後写真めちゃくちゃ綺麗!ありがと、次の作品の参考にしようかな~"送られてきたメッセージにふ、と小さく笑みを漏らしながら夕暮れの冷えた風が頬を撫でる感覚が好きなのか、心地良さそうに目を細めて高台からの風景を眺めていて)
(/ お姉様どうか弟さんはお気になさらず!!あっ此方差し入れです!!お好きなのどうぞ!!()ではおてて繋いじゃいます?よーしどさくさ紛れ…どさくさ…出来ますかねぇ、薄葉…無理かなぁ…() )
( たった一言の短い返事。それでも共感が貰えた事そのものに頬がかつてなく弛んで、歯がすっかり見える程に口元が咲く。「えっへへぇ、嬉しいなぁ。」示す通りの感情一杯で、顔と言葉だけでは足りない分は、フラフラ忙しく揺らぐ身体そのものに顕れた。そのまままた景色を眺める青年に合わせて己も手摺の向こうにまた振り返り、ゆっくり落ちていく夕陽と、落ちた分だけ輝きが際立つ灯りを一望。その合間、しゃぼん玉飛んだ、屋根まで飛んだ、とご機嫌に弾む歌声でハッキリ言葉を象り口遊む。その一番が終わる頃、リズムに合わせて歩み辿っていたオブジェの上から飛び降り、丁度隣のベンチに座る青年を覗き込む。「ねぇちーちゃん、」表情は変わらず、すっかり燥いだ子供の笑顔。そのまま青年の手を片方、今度は直に触れて、パッと手早く指を絡める。しかし、そこに下心や切なさは無い。只々、ひたすらに楽しげで、「もっと近くで見ようよぉ、ほら。」単純に“友達”を誘うつもりで引っ張り、一歩後退した、刹那。足元に生えていた草に足を取られる。「あ、っ――」バランスを崩した身体は背後の手摺側に崩れる。転ぶ、と理解に声を上げた――その、他に何も出来ない一瞬、青年の手だけは。それまで何度も握り捕らえ、今も繋ぐように掴んでいた彼の手だけは、巻き添えで己の重さが掛かるより先に、呆気も未練も無くあっさり離し )
(ああっ!お姉さん買収されてるぅ!!!()後このお話とは関係ないんですが、年の差ものっていいですよね…年下だと思って油断してたら何かのきっかけに思いっ切り分からせられたり…他にも人外とか…ショタの頃に出逢った"お兄さん"が、自分が大人になってからも同じ姿なのって不気味ですけど好きなんです…!!!片方がクソデカ感情こじらせてて、もう片方は綺麗サッパリ忘れちゃってるのも好きなんですよね…)
(ぼんやり景色を眺めていると、何やら随分楽しそうな雰囲気でオブジェから降りてきた彼の指が自身の指に絡み付き、身体をぐいぐいと前方に引っ張られる─と思った刹那、眼の前で彼の身体がフェンスに凭れ掛かるようにしてバランスを崩す。先程触った感触だと、かなり老朽化していたであろうフェンスが悲鳴を上げ、固定してある根元ごと地面から引き抜けて落ちる瞬間は、まるで─やけに引き延ばされたスローモーション動画かのように、自身の目に映った。─その行動は、本当に自身でも驚く程の反応速度だった。手に持っていた携帯電話と鞄を、何も考えず咄嗟に自身の後ろに放り投げる。放物線状の軌道を描いた携帯と鞄がそれぞれ軽い音を立てながら地面に落下するのとほぼ同時に、彼の方へ駆け寄って彼の片手を両手で捕まえていた。かなり下の方で、落下したらしいフェンスが破損する音が小さく聞こえる。─だが、いくら彼が華奢であるとは言え、成人男性一人分の体重を支えるのは些か荷が重い。普段からあまり運動らしい運動などしない自身の腕は既に悲鳴を上げ始めているものの、彼の重みに引っ張られそうになる膝を叱咤しながら全力を込め、彼の身体を何とか高台の上へと引っ張り上げた。人を引っ張り上げるなど初めての経験であった為か、肩で息をしながら「…大丈夫ですか」と声だけは普段のまま、そう声を掛ける。その後、漸く自身が携帯を投げたことを思い出したようで、携帯の方へと歩いて行って拾い上げた。幸い、傷は無い様で内心胸を撫で下ろし)
(/ お姉様何がお好みですか!?必要ならもっとどうぞ!!()ああ~好きなやつ…!!“弟”や“子供”扱いしてたら急にその子が“大人”で“想い人”である事を年上さんが解らせられるやつ…大好き…!!人外良いですよね!!久しぶりに帰った街で、小さい頃出会ったお兄さんが、今も同じ姿で「久しぶり」なんて笑いかけてくる不気味さ…本能がぞわぞわして、“人じゃない”って解るのに目が離せなくなる妖しさ…大変大好物です!!クソデカ感情も良いですよね!大事な思い出語ったら、片方に「え、そんな事あったっけ?」みたいなリアクションされて情緒ヤバくなるクソデカ感情君にしか無い栄養素とかあると思います!!!())
( 背中に当たった手摺が己と共に崩れる音を聞き、踏ん張る暇も無い――否。そも、踏ん張る気が無い足が地を離れる。浮遊感に支配される一秒足らずの間、目は瞬きもせず青年を見詰め、その表情は驚きでも恐怖でも無く、ただ物惜しそうで、申し訳なさそうな笑みを浮かべて、身体が完全に宙に投げ出されて落ちる――前に。離した筈の彼の手が、その両手が、己を掴んでいた。ガシャン、と遠くに手摺と、勢い余って外れた眼鏡が落ちる音が響く。「………え。」そのまま引っ張られる感覚に、表情が変わる。“助けられるとは思ってもみなかった”。そうありありと描かれた、今度こそは驚愕の顔に。また高台の上に立って、彼の無事を問う声には答えず、離れていく事にも無反応。ただ、何か底から湧き上がる感情に恍と吐息を漏らし、引かれた手の平を何度も握り開いては残る感触を反芻しながら、それをぼんやり俯き気味に眺めていた。時間にしては三分程度、やがては指の動きも止んだ後、不意に眩しい光に照らされる。ひ、と息を飲む声が耳に届いた気がして、酷くぎこちない、油切れの絡繰りのような動作で光の方に首を向ける。其処に居たのは、恐らくは肝試しか逢い引きだろう、一組の男女。――目を合わせた自分が、どんな表情だったかは解らない。しかし、『人喰い人形だ!』と悲鳴を上げて散っていく二人の反応から、きっと他人に、もっと言えば青年に、決して見せてはいけないものだったのだろう。「………あ。」そこまで思い至って、やっと我に返り、自らの顔を両手で包んで捏ね回す。「いやぁ、びっくりしたねぇ。まさか足が滑ると思わなくてさぁ。」十秒後、パッと十指を離せば元通り。少々の苦さを加えた軽薄な顔付きで青年に近寄り声を掛ける。「それにしても、ちーちゃんってば力持ちだねぇ。今日のオレ、たくさん食べちゃったから、多分いつもより重かったのにぃ。」それからヘラヘラと彼を讃えた後、あ~…と何か淀む声と共に表情は凪ぎ、一転してしおらしく視線を伏せる。「……君の事、危ない目に遭わせちゃってごめんね。」震え声。弱々しい声。肩まで落として身を縮こまらせ、ただ“自分”ではなく“彼”を危険に晒した事を詫びて )
(お姉さーん!!買収されないでぇ!!!()あーっ!!あーっ!!貰ったお菓子を食べないでください!!めっ!!()そう、それなんですよ…!好きって言われても「ハイハイ、オレも好きだよ」くらいにあしらってたのが何かの拍子に年下くんに「…本気だし、僕だって男なんですよ」って壁ドンとかされる年上さん良いですよね!!!!年上×年下だと昔見ていた特撮作品にはなるんですが、獣電戦隊の黒と緑がジャストの組み合わせなんですよ…!!人外ものだと小さい時に遊んでくれた"お兄さん"が「随分と大きくなったね」なんて自分は一切変わらない姿のままで微笑んでくれたりしたら死にますね(私が)それで「何で覚えてないの!?」って取り乱したりして忘れてる子に「…ごめん、何の話?」みたいに言われて更にどうしようもなくなるのとか見たいですよね!!!(圧))
(地面に投げた携帯のスリープモードを解除し、データが無事かどうかもしっかりと確認してから鞄のポケットに仕舞った後、自身の背中越しに彼からの謝罪が聞こえてくる。初めて聞いた、ひどく震えた弱々しい彼の声色にに思わず何か答えようとして、それでも言葉が出ず口を噤んだ。─自身でも、未だ彼を助けた理由が分からない。彼は昨日と今日出逢っただけの赤の他人で、眼の前で落ちようになっていようが助ける義理など一つもなかった筈なのに。何故なのだろうか─少しの間沈黙した後、「……いえ、お気になさらないでください」と何とか当たり障りのないことを口にすることが出来た。先程彼の腕を掴んだ両手に、まだ生々しい感覚が残っている。沈黙と心の底で騒めく感情を誤魔化すように、ふと見上げた空は既に半分以上が茜色に沈んでおり、最初に見上げた時の、絵の具を混ぜたキャンバスのような空とはまた違った趣が感じられた。─そういえば、今日のメッセージの返信は早かった。もしかすると、姉が帰って来てガレージに籠もっているのかもしれない。思考を逃がすためにそんなことを思いつつ、漸く彼の方へ向き直って「…座りましょうか」と声を掛けながら再びベンチに腰を下ろし)
(/ うへへたんまりお菓子用意した隙に弟さん貰っちゃいます!()ついに子供みたいに“めっ!”されられていらっしゃる…え、可愛いですねお姉様…()ヴァッ(心停止)壁ドンされて間近で見た年下君の顔があんまりにも“雄”で、いつもみたいなあしらいとか言えなくなっちゃう年上さん…好きぃ……!!ほほう、今度見よ…そして萌え散らかそ…!!()良い~好き~!!私的には遊んでた子供の頃に“お兄さん”と結婚の約束しちゃってて、「やっと一緒になれるね」って昔と同じ優しい笑顔で迎えに来られてほしいですね…!!()良いです…最高に良いですね…!!取り繕えないくらい動揺したクソデカ感情君が泣いてんだか笑ってんだか解らないヤバい顔しながらお相手の子に掴みかかりそうになって、それでもその子が大事で「……ごめん。覚えてないならいい。」って踏み留まったその内心、感情が更に拗れて一回取り返しつかない所までいくのを見たいです…!! )
( 彼の返事を待つ間、縮こまらせた身はぐっと強張っていて、それは貰えた言葉に漸く解け、「……ん、そうだねぇ。」促しに緩やかな頷きを返してその隣へ。茜ばかりになった空の下、黙っている二人の間を風が抜けていく。「…あ、ほらあそこぉ。」天を眺める視線が街並みに移り、そこに見えた物に、ゆるりと片手を上げる。「あのオレ達の大学から左側…ちょっと低い白と緑のシマシマ屋根見えるぅ?」まず遠目からでも目立つ、かつて通った大学。次に其処からアパートらしき建物を挟んだ先にある特徴的な平屋の屋根を指差し、「あれねぇ、オレのアトリエ。シャワーもベッドも、何でも一通りあるから、居心地良いんだよぉ。」それが己の仕事場であると、自らのプライバシーもプライベートも意に介す事無くさらりと彼に教える。「それからぁ、あそこのレストランにうちの子がいてぇ、あっちのホテルにもこの前…」その大事な筈の一個人の情報の後、今度は赤い外壁のレストラン、更にビジネスホテルと指して、自身の“子”が居る場所を次から次とまた浮わつき始めた声で教えていく。…楽しげに言葉が響く高台。それが続く程徐々に夜闇は落ち、灯りも無い中では互いの姿が少しずつ暗がりに溶け始めている。――ふと、指先が青年の手に触れた。それは形を、彼の存在を確かめるようにその輪郭をなぞって、そのまま重なって、遠慮がちに捕まえる。「それでねぇ、」話す声は燥いでいた。表情も変わってはいない。目も、景色を捉えている。ただその手だけが、“彼が其処に居る”事を希うように青年を包んでいる。「……あ。すっかり暗くなっちゃったねぇ。」一通り言葉を連ね終える頃には、とっぷり暮れた夜空がお目見え。それを仰いで、やっと過ごした時間を自覚する。「そろそろちーちゃんの事、帰さないといけないかなぁ…」如何にも惜しそうに眉を下げて、むむ、と首を傾げ悩む合間、意識的か無意識か、握る手に力が僅かに籠る。「……何処までになるかは解んないけどぉ、帰り道も一緒に歩こっかぁ。」そうして出した結論、“居れるだけ共に居る”という考えの下、自身にとっての妙案を視線を遣った彼にヘラヘラ伝えたその後で、今更捕まえた手に視線が向いて、あ、ごめんねぇ、と風船よりも軽い詫びと共に指を引き上げ始め )
(そうです、可愛いんですよちーくんのお姉さん!!子供っぽくて!!()それで何も言えずに黙ってたら「…ねえ、いつものお喋りはどうしたんですか?」って顎クイされながら悪戯っ子スマイルで聞かれるんですね…ヴッ(絶命)多分萌え散らかすと思いますよ…女好き年上×クール系高校生の組み合わせだけでもこっちは瀕死なのに、後半に行くに連れて信頼できる相棒にまでなってるのでもう死亡ですよね()ちょっと古臭い喋り方の人外さんも好きなんですよ…「─やあ、少年。随分と大きくなったね。…おれは、ずっとこの場所で一人ぼっちだ。少年、またあの時のように遊んでくれるかい」みたいな…!!!見たい…見たいです!!トラウマ引きずり倒して殺し愛にまで発展しちゃったりするのもスキ…スキ…)
(彼の言葉を黙って聞いて時折相槌を打ち、そうして時々彼の指し示す場所へと目線を投げる。─話を聞いている限りでは、随分沢山の場所に作品を提供しているようだ。自身が知らないだけで、彼は有名なアーティストなのかもしれない─夜闇に沈み始めて、ラメを散らしたような星がうっすらと空に輝き始めるのをぼんやりと眺めていると、指先に彼の手が触れる感触を感じた。一瞬だけ何か言おうかと思ったが、目前で闇に沈む空のあまりの美しさに気を取られて手を掴まれたことは流してしまう。その後は住宅街の中でも一際目を引く彼のアトリエの方、正確にはその上の空の方へと目線を向けており、彼の燥いだ言葉が途切れた頃には、普段乗る電車の時間は疾うの昔に過ぎ去っていた。帰らなければ、と思ったところで彼から聞こえた言葉─まあ、別に一緒に帰るくらいは構わないだろう、と思ってそれに首を縦に振り、手を掴まれていることについても「…いえ、駅まででよろしければ」と小さく気にしていない旨を伝えておく。鞄を肩に掛けてから住宅街辺りへと近付く階段を降り、児童公園などが立ち並ぶ、比較的自然の多いエリアへと足を踏み入れた。木々の騒めく音が何とも心地良くて、先程景色を眺めていた時のように目を細めると、彼の手を引くようにして歩き出し)
(/ うふふ堪りませんね!ちゃんとお姉さんしてるのに子供っぽいの!!もっとお菓子食べて!!()良゛い゛…!!それで年上さんがモゴモゴしてる間に、「伝わってなかったみたいなので、これからはもっと本気で口説きますね。」ってニッコリ容赦の無い宣言年下君にされて、年上さんの心臓保てなくなっちゃうの……大好き…!!おっとそれは私にも致命傷レベルで効く組み合わせ…!これは期待が高まりますね!!()それも堪りませんね!見た目の歳は青年になったショタ君と殆ど変わりないのに、言葉遣いは古めかしくて、所作もお着物でも着てるような振る舞いの人外さん…!めちゃくちゃストライクです…!!良い~!!お相手の子の上に馬乗りになって、後はもう刺すだけみたいな段階まできたのに、お相手の子の顔見てたらその最後の行動に踏み切れなくて、刃物突き付けたまま「お前なんか、お前さえいなけりゃ…!」って言いながらもボロボロに泣いてるクソデカ感情君がほしい…!!())
(「ふふ、やったぁ。」さっきの今、とても命の危機に晒されたとは思えない緩さ。そこに混ざる了承に華やぐ声。それは立ち上がって高台を下りていく間も同じに、言葉を繋ぎだす。「今日、楽しかったねぇ。こんなに長く誰かと一緒に居るなんて、いつぶりかなぁ。」歩調は聞こえる彼の足音に合わせて、でも少し跳ねて、笑う顔は彼の方を向いている。「あ、そうだぁ。今日の事、うちの子にしちゃおっかなぁ。…えへへ、きっと大きな子になるだろうなぁ。出来たらちーちゃんにも見せてあげるねぇ。」灯った思案の電球に、隣の彼とは反対側の指が立ち、それはそのまま宙に何か描くようにふわふわユラユラと手首ごと踊る。「あ~でもぉ…その前に取材かぁ。明日明後日はパントルの記者さんが来るんだったっけぇ…」不意に止まった指先に、尖る口先。どうも明日以降の予定である芸術雑誌の取材を思い出したらしい。一気に意気消沈して腕を投げ出し、何回来るつもりだの早く描きたいのにだのと拗ねた文句を連ね――ふと、気付く。それまで此方ばかり幾度も触れていた手が、彼に引いてもらえている事に。その瞬間の静寂を、木々の葉音が風と共に埋めた。それは、言葉にしても行動にしても指摘すれば離れてしまう気がして、ただじっとそこに視線を落として噛み締めながら、「……今日が終わるの、勿体無いねぇ。」惜しむ声だけが落ちる。嬉しそうに色付いて、しかし、今までの燥ぐ明るさは鳴りを潜めた静かな声。彼に話すようでいて、心の内が溢れた呟きのようでもあるその言葉を最後に、その先は只唇と目元に何か迷いを含んだ微笑みをひっそり滲ませ暫し沈黙して )
(ちーくんのお姉さんはイメージ的に子供の頃の"おねえちゃん"が大きくなったような感じなので!!()ア"ッ!!!(断末魔)ヒェ…シュキ…そしてその後から宣言通りに「○○さん、今日も可愛いですね」とか「何時になったら恋人にしてくれるんですか?」とか歯の浮くような台詞吐かれまくってタジタジになっちゃうんですねわかります()ええ!!きっと!!是非致命傷を負ってください!!()唇がセクシーな黒の女好き年上さん、OPでこっちに投げキッスしてくるの完全に絶命させに来てますよね()緑の高校生くんはキリッとした表情でネクタイ締め直してるんですよ…他にもリーダーの赤いキングさんともピンチを救ってもらうくらいには仲良し()で…完全に関係性オタクの息の根を止めようとしてますねこれは!!沼は深し獣電戦隊!!!()着物の人外さん好きです~!!!!!蛇っぽいと尚大好き!!!!ホシイ…ホシイ…でもお相手の子に笑いながら「…君がやりたいなら、いいよ」とか言って目を閉じられちゃって出来ないやつですね!!後彫刻か?ってくらいの美形さんも大好きなんですよね…薔薇の咲き誇る庭園のベンチで静かに本を読んでるのとかを庭に生えてる雑草になって見てたい…)
(彼の、何処と無く姉を思わせるような緩い笑顔が自身を捉える。─自身の心の底で、自身にも分からない部分が僅かにざわめいた気がした。何とも言い難いこの感覚は、何なのだろうか─20年生きてきて、一度も味わったことの無い感覚に小さく眉を顰めた。楽しげに笑っては絵でも描くように空中を滑る彼の指先に一瞬目線を投げ、「……楽しみにしています」と言葉を返した少し後。何やら嫌なことでも思い出したのか、彼の笑顔が一瞬で拗ねたような表情に変わる様に─近しい友人や姉以外には分からないだろうが─口角を微かに持ち上げ、普段の自身からは想像もつかない、柔らかく穏やかな雰囲気を纏った笑みを刹那溢した。彼の別れを惜しむような声を聞き流しながら手を引いて歩く内、ぼんやりと夜闇を照らす駅が見えてくる。道路から見えるホームの向こう側から、闇を切り裂くような明かりを纏った電車がやって来るのが少しだけ見て取れた。彼の手を離し、「…では、俺はこれで」と頭を下げながら改札を抜け、駅のホーム内へと歩を進めていく。ホームへ上がった所で丁度電車が停車し、ドアが開いた。時間も時間だからであろうか、乗っている乗客の数は疎らで、中には眠り込んでいる乗客も居る。優先席近くの席の端に座り、他の乗客に倣うかのように、自身も長い睫毛に縁取られた鋭い瞳を静かに閉ざして)
(/ なるほど~!おねえちゃん…良いですね…カワイイ…カワイイ…弟さん共々お菓子お食べ…仲良く分けっこしてね…()マ゛!!(吐血)イイ…それまで「はいはい」って流してた年上さんが、年下君の本気且つ近距離での甘ったるい口説きで赤面して「いや…その…」って顔背けるしか出来なくなっちゃうの…もう完全に意識しちゃってるけど言えない年上さんvs向こうに“好き”って言わせるまで口説き続ける年下君…堪らないですねぇ…()関係性…シュキィ…うへへこいつは楽しみで仕方ないや!!()一度ハマった沼は抜け出せないし抜け出す気も起きませんよね!!()ああ~私も着物と蛇っぽいの大好きです!!つり目とかツルッとした顔とか捕らえ所の無い妖しさとか…着物と蛇の親和性抜群ですよね…まあ私そもそも蛇自体“癖”なのですが!!()そういうヤツです!!()最終的に「出来るわけ…ないだろ…っ」ってお相手の子に縋りついて泣いてほしい…()私も大好き!!!()もう其処に居るだけで絵になる超絶美形…それなら私は庭園の石畳になって見上げてますね…() )
( 「…うん、ばいばぁい。」目的地がある以上、この繋がりには終わりがある。頭を下げる青年へ向けて、萎れてしまった声と共に片手をヒラリと揺らす。そのまま姿が見えなくなるまで見送ってからやっと駅を後にして、己のアトリエへの道を歩き始める。「楽しみに…」一人きりの帰り道、塞ぐ気持ちを上向けたのは、彼とのやり取りの何気無い一言。それが只の相槌であれ、社交辞令であれ、その青年の言葉を思い出した頬は色付いた。「……よぉし。」足取りはまた軽くなる。走り出しそうな勢いそのまま、残りの道程を一気に埋めていった。――それから。翌日には“茜姫”へ“小町”から、丸こく大きな文字で『“鷹狐”かっこ良かったよ!』と一言だけのファンレターを送り、記者の取材にはパトロンを中継して応じた。……その余談として。取材を受けた雑誌には、適当に髪を纏めてキャンバスに向かう“陽炎小町”の後ろ姿だけが載せられて、紹介文には“子兎のように跳ね回る無邪気さと、朧月の如き不可思議な蠱惑や神秘を内包した画家。魂を削り出すようにして描かれる彼の作品には、人の目を奪い惹き付ける熱情が窺える。”などと綴られていたらしい。――さて、青年と別れてからパタリと姿は途絶え、音沙汰も、カフェに顔を出す気配も無くなった、その十日ほど後。夕暮れ時、とある一つの用事から、フラフラと覚束無い足で薄葉が街を歩いていく。その格好は以前着飾っていたそれとは違い、髪は一つ結びにしただけで、指もシャツも絵の具であちこち汚れている。上から羽織った上着はずり落ちないよう横合いに縫われたリボンを胴に巻いているが、それが逆に腹の中身があるのかさえ疑わしくなった身の細さを強調している。顔も若干窶れて血の気が引き、目の下に隈も出来ているが、当の本人はそれに構う気配ゼロ。ただキョロキョロと何かを探す挙動と共に、青年の働くカフェ、“Flan”への道を辿って )
(お姉さーん!!!お煎餅好きなのは分かるけど、ちーくんにもお菓子分けてあげてね!!!()ヴ゛ン゛ッ゛!!(心臓を掴まれる音)そこで「いや、そのだな○○…」なんて言おうものなら「はい、何ですか?」って弟スマイルでにっこり笑われながら言い出すまで待たれて「や、やっぱり何でもない!…見るな!」って年上の余裕なんて消え失せちゃうんですね…()ええ…獣電戦隊、関係性オタクは死にますよ…底なし沼ですよあれは…軽い気持ちで足を踏み入れたら一瞬で引きずり込まれちゃいました()蛇!!大好きです!!一人称が「小生」とかちょっと古臭い系も好きです!!!アァ…それは「…うん、知ってる」とか言われながら抱き締められるヤツですね!?彫刻っぽい子に「…誰か、いるの?」ってあまりの目線に気づいて欲しい欲もあるんですが、そんな美貌に認識されるなんておこがましい…!!)
(少し眠っている内に、降りる駅に着いていたらしい。普段同じ駅で降りる、スーツ姿の草臥れたような会社員が降りていく後ろ姿を見て、自身も電車を降りた。駅から暫く歩き、3階建ての少々レトロな煉瓦造りの建物─実家の扉に手を掛ける。キィ、と微かに木が軋む音を立てて扉が開いた先には、豊かな茶髪に石の削り滓がこびりついた、狐のような雰囲気を纏う女性─姉が立っていた。自身が声を掛けるより先に姉の腕が背中に回ってきては、彫刻家特有の、女性にしては逞しい腕で力強く抱き締められながら「お帰り~、ちー!も~、お姉ちゃん寂しかったんだから!たまには帰ってきてよね!最低3週間は帰さないから覚悟すること~!」と慈しむような、あるいは悪戯っ子のような声を掛けられる。普段と変わらない姉の姿に、思わず─友人にも見せたことのないような─柔らかな笑みが漏れ、自身も姉の背中に手を回しながら「…うん、ただいま…姉さん。バイト、忙しくてさ」と素直に謝罪した。暫くそうした後、漸くお互い玄関先であると気付いたらしく、家の中に入ると温厚そうな父、そして優しそうな笑みを浮かべる母親─テーブルに盛られていた大量の料理は見なかったことにして─両親にも抱擁される。そうして暫く実家で寛いだ後、いつの間にか眠っていたらしい。久し振りに実家から送り出され、バイト先のカフェに向かった。カフェに着く頃には実家で見せた表情は鳴りを潜め、普段の通りの無愛想で無表情な顔をしている。淡々と注文を取って働いていると、同僚の店員から「なんかカフェの前に変な人いる」といった旨の報告をされた。若干眉を顰めつつ、そちらの方へ目を遣れば、それは先日出会った彼で)
(/ お姉様お煎餅お好きでしたか!!じゃあお取り寄せしちゃいましょ!()弟さんは何が宜しいかな!?()はあ~良い~…!!それで「言わなきゃ解りませんよ?」ってからかわれて、余計しどろもどろになってすっかり立場逆転してる年上さん…萌え散らかしますわ…()沼ってハマる瞬間凄まじいですもんね…ちなみに私、歳がバレそうですがライダーのWやらオーズが丁度ツボでして、リアルタイムで見ながら滅茶苦茶に妄想繰り広げてましたね!!()良いですよね、蛇…!あ゛っ私も好きです!!「小生」もですが、「吾輩」やら「我」、後は「儂」とかもストライクゾーンに御座います!!それです!!(爆音)お相手の子も何だかんだクソデカ感情君に絆されてて、その海より広い懐で受け入れてほしいんですよ!!ヒョエ…認識されたが最後あらゆる感情に揉まれて蒸発してしまいます…どうかそのままごゆるりと本をお読みになってて頂きたく存じます…() )
( 二度訪ねただけの道を、足は確り覚えていてくれたよう。ふっと自分でも解らぬ内に立ち止まって、その事に傾げた首を上げた先に、あの可愛らしい外観及び内装のカフェが視界に映る。その窓際、先ず青年とは別の店員と目が合って、それにニッコリ笑って愛想を撒く。だが、その次。此方を見遣った店員が“羽賀千秋”であると認識するや否や、「…ちーちゃん!」友達を見付けた子供のように、表情が一気に華開く。そのまま絵の具――恐らくは水彩の画材に先の染まった五指を振り、忙しない手招きまでしたが、吹いた風に上着が煽られただけで枯れ枝に等しい身体のバランスを崩しかけ、その拍子に足を縺れさせた事で一旦動きを止める。それから十秒程度、顎に指を当て顰めた顔で悩む。――今は既に夕暮れ。初対面の際、彼が仕事を上がった頃合いに近しい時刻。上体ごと首を捻り倒したその後。先程よりは少し萎れ落ち着いた表情で、自らの口元に注意を向けさせんと、トントンと人差し指の先でそこを軽やかに叩き示す。その際指の赤い画材が擦れて顔に移りはしたが、そんな事は気にも留めず――“待ってるよ”。初めての時と同じ言葉を、はっきりゆっくり唇の動きだけで青年に告げてみせる。その締めに悪戯に瞳を細め、また片手をヒラリと動かす仕草までを終えた後、先日と同じく斜向かいのコンビニの壁に背を預け、宣言通りに青年を待って )
(お姉さんは硬めのお煎餅が大好きですよ…(ボソッ)えーっと、ちーくんはモンブランとかだっけ?(すっとぼけ)ヴッ!!!萌えます…最高に萌えます…からかわれちゃって「…っ、年下のくせに、生意気なんだよ…!」って顔真っ赤にしながら年下くんに悪態を吐く年上さんが見たいなあ…()おっ、それだと同年代くらいですかね?私はキバ、ディケイド辺りが確か一番熱かった年代ですね…キバはスーツのデザインが大好きで…ディケイドは完全に私のような腐っている人種を殺しに来てましたね()主人公と2号くんの関係性がモロなんですよ…()後半辺りから毎週死にかけてましたね!!!ああ…好きぃ…古臭い口調で着物着てる蛇っぽい人外さんは最強です!!!最早お相手の子が聖母なやつですね…ええ!!何も!!誰も!!貴方のことは見てないです!!どうか本をお読みに!!認識しないで!!())
(─同僚に言われるがままに思わずそちらの方向を見てしまったが、うっかり彼と目を合わせたのは間違いだったのかもしれない─ガラス越しに見える口の動きだけではあったが、待っている、などと宣われてしまえば、彼をそのまま放置して帰るわけにもいかない。一体どうしたものか、と眉間に皺を寄せて小さく溜息を漏らすと、その姿を目にした女性客達がまた、溜息ついてる羽賀くんもイケメン、だの憂いを帯びた顔も最高、だのと店内中に響き渡るような黄色い声を上げてはしゃぎ始めた。先程よりも更に不機嫌そうな表情でトレイに5段パンケーキとカプチーノを乗せ、今も尚はしゃいでいる女性客のテーブルへと運ぶ。非情なことに時間は過ぎ、気付けば自身のシフトが終わる時間となっていた。「…お疲れ様です」エプロンを畳み、帰る用意をしている間中同僚たちからの哀れむような視線を背中に受けつつ、軽く会釈をしてカフェを出、コンビニで待つ彼の所へと歩み寄っていく。「…お久しぶりです」─見たところ、彼は最初に出会った時より随分と草臥れた様子だ。目が痛くなるような色彩だった服は単色に、しかも所々に絵の具の擦れた跡のようなものがついている。顔の血色も悪く、下手をすると歩いている最中にでも倒れてしまいそうな様子に見える─が、異様な雰囲気もここまで来ると本人も分かっていそうなものであり、それを自身が態々言及するのも面倒で、それに関しては何も言わないでおいた。「…何かご用ですか」今日はシフトの時間こそいつも通りだが、姉にみんなでご飯を食べるから早く帰ってこい、と釘を刺されている。先日と違って、あまり長く彼と話す時間はない。「…今日は、予定がありますので…あまり、お喋りは出来ないかと」と何か言われる前に通告しておき、彼を鋭い目で見つめながら返答を待っており)
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