ジャック 2023-10-06 23:38:18 |
通報 |
ンなのお前が可愛いだの何だの言わなきゃ良い話だ。( 不満げな声色で返し )…、( あまりにも明け透けな上に図星な言葉に二の句が継げず / 口より先に手が出ると片手で相手の頬を無遠慮に引っ張り )…馬鹿にしてんだろ。( 相手とは相反し眉間に皺を寄せ )
……じゃあ、愛しい?( 少し考えた後強ちからかいでも無さそうなトーンでそう口にしながら首を傾げ )だッ、…!手加減しろ!( 油断していた所に突然頬に痛みが走れば思わず顔を顰めて声を荒げ )してねえよ。楽しみにしてるって言っただろ。…後はまぁ、お前のそういう顔が見たいだけ。( 後半は聞こえるか聞こえないか程の声量でこっそりと付け加えて )
…そういうのを簡単に言うな。( 思いも寄らない返答に束の間呆然とした後額に手を遣り俯いて / 深い溜息と共に零し )今のはお前が悪ィだろ!( 荒げられる声に顔を顰め / ふい、と顔を逸らし同等の熱量で言ってのけ )…何か言ったよなお前。( 聞き取れなかったものの確実に自分に都合の悪い事なのだろうと判断すれば相変わらず眉間に皺を寄せたまま見据え )
今思ったことを言って何が悪いんだよ。( 眉を寄せると相手の反応が理解できない、といったように不満げに口にして )…、そうムキになるほど図星だったんだなって思うぜ。( まるで子供の喧嘩のようだと脳裏で考えながらも不貞腐れたような声音は治らず挑発するような言葉を述べて )んだよ信用ねえなぁ。お前のことは何でも知りたいって言ったんだ。( 相手の表情から大方考えていることを察すれば眉を下げて態とらしく悲しげな顔を作り )
……勘弁してくれ、慣れてねぇんだよ。( 頬が熱を帯びるのを止められる術も無く俯いたまま威勢の無い声で告げ )な、っ、…そうだよ、うるせぇな。満足したか?( 尤もな指摘にそれ以上言葉が出て来ず / 諦めたように小さく息を吐くとぼそぼそと言葉を発し )…信用が無いんじゃねぇよ。お前の普段の行いが悪ィんだ。( 真意を問うように相手へ視線を据えていたが程無くして溜息を吐き / ソファの背凭れに頬づをつき相手の様子を眺めながら然して意味の違いも無い言葉を並べ )
…好き、可愛い、愛している、俺の最愛。慣れろ。俺は全部言いたいんだ。( 不意に頬へ手を添えると一片たりとも反応を逃すまいとじっと見据えながら一つ一つ静かに言葉を紡いで行き )おう。意外に照れ屋だってのが知れて満足だよ。( 相手の言葉を聞けば自身でも少し意地が悪かったかと考えるもののそれを告げることはせず憎まれ口を叩いて )つまりどっちも同じことだろ。……はぁ、やめだ。……。( 首を振ると背凭れにある相手の肘と肩の間に沿うよう自身の身を寄りかからせて軽く体重を掛け、腕を組むとそのまま瞳を閉じて眠る体勢を整え )
…無茶言うな。ンなの生まれてこの方言われた事ねぇンだから、( 並べられる言葉に頬には益々熱が集まるばかりで / 言葉に窮し顔を顰めると視線を合わせられないままぼそぼそと口にし )あのなァ、一人が譲歩したらお前も黙ンのが筋なんだよ。分かったか?( 眉を寄せ噛んで含めるような物言いで告げ / 相手の鼻先を弱く摘まみ )…、( 不意に此方へ凭れて来た相手に合わせ頬杖をついていた肘を伸ばすとソファの背凭れの上へ投げ出し / 突然訪れた静寂に逆らわず口を噤むと相手の様子を眺め )
良かったな、新しい経験が出来て。……好きだよ、( 笑みの一欠片も孕まない程に真剣な表情で相手の顔を見詰め / 相手の唇に重ねるだけの口付けを落とし )知らねえ。( 些か大人気に欠ける言葉を口にしながらフイと目を背け、摘まれた鼻先に僅かに眉を寄せて )…お前も寝て良い。( 瞼を下ろしたまま小さく言葉を落とすとそれを境に完全に黙り込み / やがて幾らも経たないうちに寝息を立て始めて )
……ヤバそうだな、( 何時に無く真摯な様子に見える相手からの言葉と柔い口付けに込み上げる全身がじわりと熱くなるような感覚を幸福感と受け取る事が出来ず戸惑ったような表情を浮かべ / 感情の出処は分からないながらにこの手放し難い感覚を依存性と捉えれば思わず小さく呟き )…何でお前が臍曲げてンだよ。被害に遭ったのは俺だろうが。( 相手の態度に溜息を吐き / 手を離せば呆れたような言葉を掛けながらも宥めるように頭を撫で )お気遣いどうも。( 相手の一言を聞き流しながらやがて室内に響く寝息に意識を傾け / 当然だが相手も眠るらしい事実に微かな衝撃を受け顔を傾けて寝顔を眺めながら手持無沙汰に相手の髪を撫で )
何がだよ。( 問いながらも特に答えを催促するつもりはないのかもう一度唇へと触れるだけのキスを落とし )……被害ったってムカつくってのを深堀りしただけの話だろ。( 反省の欠片も見せず言い訳がましい言葉を並べ / 言葉とは裏腹に宥め賺すような手付きに目を細めると擦り寄るように頭を傾けて )……、( 微睡みの意識に任せるも特に体勢を崩すことなく相手の手付きに無意識に口元を緩ませて深い眠りに落ちていき )
──
……、( 如何程の時間が経ったのかゆっくりと瞼を開き僅かに上体を起こして )
…起きンの?( それなりに時間が経過したもののこの穏やかな時間に身を浸す感覚はいつまでも味わっていられる程心地良い物で飽きもせずに相手の寝顔を眺めては髪を撫でたり先程手帳に連ねた文字を眺めたりと思うままに時を過ごし / 紙面を数頁消費して繰り返し先程教わった文字列を書き連ね漸く覚えた頃に相手が起き上がる気配があると其方へ視線を遣り )
……起きる。( 寝起き故に若干不明瞭な発音で端的に答えると欠伸を噛み殺し / ガシガシと頭を掻きながら立ち上がり、冷蔵庫の方へと歩み寄っては袋入りのパンを二つ分取り出して / 再びソファへと戻り腰を落ち着けると何となくノートと見比べながら一方を差し出し )腹減った。お前も食う?
あァ、……此処って何か茶淹れるモンねぇの?( 相手の行動を無言で目で追い / 差し出されたパンを受け取り何の気なしに眺めているも不意に茶器の有無を尋ね )
……そんな上等なのはねえけど、どっかでパクったのが…ああ、あった。( 相手の言葉に首を傾げて再び立ち上がり / 机の上に袋を放り、棚の抽斗から何の模様も描かれていない上に全く使った形跡のない磁器製のティーポットとカップ二つを取り出して / 雑に指に引っ掛けて運ぶと適当に机に置き )
…使ってねぇのか、勿体ねぇ。( 机に置かれたカップを手に取りまじまじ眺め呟き落とし / ティーポットの表面に掌を添わせるように翳すと陶器の内部が均一の温度に温まり / 先程一口飲んだ瓶入りの水を二つのカップに注ぎ双方の上へ手を翳せば静かに湯気を立て始め / 袋を取り出し中身を少量ティーポットに入れるとカップの湯を注ぎ / 仄かな力の発出により瞳孔が細長く形を変えた目を細めれば漂う芳香に夢心地で声を漏らし )……あァ、良いな。
マジで便利な体してんなぁ。( 仕組みは全く分からないが火を使うこともなく湯を沸かす相手の行動に感心したように頷き / 興味深げに一連の行動を見守りながらやがて室内に満ちる香りに腰を屈めて知らず目を細め )…へえ、本当に好きなんだな。
人間が使うような火を起こすやつに触る機会が無かったからな。覚えたんだ。( 何処か得意げに答え )そう言っただろ。……飲んでみな。( 僅かな時間を置いてからカップへ注ぐと片方を相手の前へ滑らせ )
…周りが近付けなかったか、単に生活水準の問題か。( 独り言に近い推測を漏らしながら首を傾げて )……驚いた。お前、その手の職人並みの腕だ。( ソファに腰掛けカップに指を掛けるとそっと口を付けて / 香りとその味に僅かに瞠目して相手を見遣り、心底驚いたと言った風に称賛の言葉を口にして )
仕事場と寝床以外に行く場所が無かったんだ。俺もそれに不満は無かったしな。( 相手の言うように周囲の思惑が絡んでいたのかは判然とせず事実を端的に伝え )誰が淹れてもそうなる。それくらい上等なんだよ。( 相手の反応に小さく笑い / 口では否定的な言葉を並べながらも満更でもないようで何処となく嬉しそうに目元を緩ませ / 一口飲めば目を伏せてうっとりと溜息を漏らし )
んじゃ大して監獄と変わんねえわけだ。( 波打つ液体にゆっくりと口を付けながら何となく過去に思いを馳せ )……こうなると茶請けも出したくなるな。ああでも、お前甘えの行けんだっけ?( 相手の様子に小さく笑みを零しながら二重底になっている机下から丸いクッキー缶らしきものを取り出して )
トピック検索 |