ジャック 2023-10-06 23:38:18 |
通報 |
お前の過去。( あらゆる言葉を端折って短く告げ / 先に耳にした相手の過去が今も関わっていると考えると不愉快で仕方なくアクセルを踏み込んで急加速し )
( 嫌な予感も大方的中していそうだと思えば物言いたげに口を開くも不意に車が加速すれば僅かに表情を引き攣らせ / この状況では宥める事もできなければ現時点で何を口にしようと無駄に思え小さく息を吐き )
( アクセルをベタ踏みしたまま道を進んで / どれほど車を走らせたのか街道に一つ建っていた宿屋らしき建物の傍へと車を止め / 車から降りると荷物を片手に持ち早々に中へと入り / 内部は至極簡素な様相で受付には年を召した老婆が新聞を読んでおり )
( 窓外の景色があまりにも速く流れ行くのを眺め少なからず危機感を抱きながらも途中から考えるのを止め只管何事も起きないよう祈る思いで居り / 周囲の様相を確認するのを止めて暫く経った頃車が停車すると傍らの建物に目を向け / 若干の気疲れを感じながら荷物を手に相手から少し遅れて宿に足を踏み入れ )
( 必要最低限の言葉で手続きを済ませるとルームキーを受け取り / さして高くもない建物の二階へと歩を進めると早々に部屋に入り / 荷物を投げ出すと一直線にソファに向かって地図を広げ出し )
( 終始無言のままただ相手の後に続いて歩を進め部屋へ向かい / 荷物を傍らに置き相手の座るソファの背凭れに手をつくと背後から地図を覗き込みつつ声を掛け )…怒ってンの?
……あぁ、のこのこ着いてった上に過去の男の話なんて引き出させた俺にな。( 背後の相手にちらと目を向けると明け透けに口にして / 以前相手から聞いた地点に丸を付けると其処からまた目を細めて場所を探り )
…悪かった、考え無しな事言っちまって。( 相手が気分を害している原因の一端は自身の配慮不足にあると理解して眉を下げて告げ / 背凭れを跨ぎ隣に腰を下ろすと相手の方眺めながら問い )どうしたら機嫌直してくれンの。
…別に謝るような事じゃねえだろ。( 下げられた眉に気付けば相手の眉間に親指を軽く添えて顔を覗き込み / 相手からの問に目を瞬くと少し考えた後小さく零して )…茶飲みたい。
…あァ、さっき買ったやつ飲むか。( 眉間に親指が触れると目を細めて相手を見遣り / 相手の返答に同様に目を瞬かせると思い出したように呟き / 立ち上がり鞄とテーブルの上に置かれていた茶器を手に取ると再度相手の隣に腰を下ろして先程購入したばかりの茶葉を取り出し / 掌に茶葉を乗せ低温の熱を加えると微かな花の香りが広がり / 茶葉をポットに入れカップで温めた湯を注ぎ / 少しの間を置いてカップへ深い赤紫に色付いた紅茶を注ぎ / 茶葉を一摘み手に取り軽く熱を通すと花に仄かな塩味の混じる香りを立ち上らせる紅茶の上にふりかけてから相手の方へ差し出し )…ほら。
( 一連の動作を何となく見守っており/ 差し出されたカップの持ち手に指を添えると口内に液を流し込んで / 相手が淹れた故か上等であるが故か口内に広がる香りに目を細めて )…美味いな。
そうだろ。この淹れ方が一番美味い。( 得意げに頷き / カップを手に取り一口飲むと頬を緩め / 再度カップを口元に運びつつ半ば茶化すような声色で尋ね )どうだ?機嫌の方は。
( 相手の言葉に僅かに笑みを漏らし / カップの中の液をぐいと飲み干して / 返事の代わりに少し身を乗り出すと片手にカップを持ったまま相手の唇に己のものを重ね )
( 言葉の後にカップに口を付け一口飲んだ後一度テーブルに置き / カップの中身を飲み干す様子を眺めているも、不意に唇が重なると目を細め / 仄かに感じる紅茶の香りに頬を緩めて唇を食み )
( 暫く重ねるだけのキスを繰り返しては満足したのか相手から離れ / 先の出来事を思い返しながらカップを見つめて呟き )向かうしかねえよなぁ。
( 甘やかな触れ合いにうっとりと目を細めていたが唇が離れれば同様に身を離し / 相手の言葉に地図上に描かれた丸へ視線を遣りながら釘を刺し )…そこには行かねぇからな。
…元々近寄らねぇって言ってあっただろ。( あからさまな声や視線に気付きながらも当然ながら束の間返答に窮し / 結局明確な返答ができないまま視線をカップへ逃がし言葉を返しながら一口飲み )
…まあ、どっちにしろスタジオには行くからな。( 大して諦めたようにも無いがそう呟くと相手の手からカップを攫おうとし / 成功するならそのままぐいと飲み干して )
トピック検索 |