ジャック 2023-10-06 23:38:18 |
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…お前程口が立つ人間他に居ねぇよ。( 立て板に水を流すように並べられる台詞に肩を竦め / 記憶を辿っているのか問いかけが耳に入っても暫くは無言で居り / やがてふと瞬きを落とすと追憶の最中にあるのか心此処に在らずといった様子で呟き )……あァ、餓鬼ン時に聞いたやつだ。
このくらいなら誰でもやれる。大体はモラルってやつが邪魔してんだよ。( クスクスと笑みを漏らしながら嘯き / 音楽に対して興味はなくとも相手の幼少期と聞けば興味を唆られ / 暫く無言でその音楽を聞いており )
へぇ、て事はそんな口八丁少しも浮かばねぇ俺には多少のモラルがあるって事か。( 至極都合の良い解釈を口にするも如何に馬鹿げた事を口走っているかは自分自身でも理解しており思わず笑みを零し / 聞き進める程に妙な気分になってくると無言で曲を変えそのままラジオから手を離し )
そうだな、お前はモラルの塊だよ。聖母サマも泣いて爪先にキスしてくれるさ。( 口元に笑みを浮かべたまま惚けた言葉を返して / 唐突に曲が変われば思わず片眉を上げ / ハンドルから片手を離すと相手の腕を捕まえて )何で変えんだ。
お前の横に並んでるから尚更涙が出てくンじゃねぇの。( 愉快げな笑みを漏らして軽口を返し / 不意に腕を掴まれると相手の方へ顔を向け )聞きたかったのか?別に面白くもねぇだろ。
違いねえな。濡れて滴る良い女になるだろうよ。( 下卑た意図を含ませ声を上げて笑い / 不満気な声で相手の声に答えると漸く腕を離して )聞きてえ。もっかい戻せ。
…生まれた国が違うと聖母の解釈も変わるのか?( 相手の言葉の意図を理解するなり嘆くように眉を下げ / その返答に片眉を上げるも致し方無く再度民謡を流し / 何とも言えない表情を浮かべて呟き )何が言いンだよ。
さぁ?まぁ民を救うなんて大法螺フカすんだ、清濁併せ呑んでもらわねえとな。( 肩を竦めるとリップ音を鳴らして / 此方からすればわかりきったことだったのか少し間を起きながらも端的に意図を答えて )お前の子供の頃に聞いてたもんなんだろ。気になる。
随分手厳しいこった。本気で救えると思ってる気の毒な女かもしれねぇだろ。( 喉奥で笑みを漏らすと哀れみさえ浮かべた声色で返し / その返答に何となく心情を理解すればそれ以上は何も言わないものの妙な耳障りの曲調の中に確かに聞こえる母国語の響きに一言漏らし )…変な曲だな。
俺ほど生温い奴もいねえだろ。厳しかったらとっくに腹が赤くなってるよ。( クスクスと笑みを漏らして信じてもいない者を冒涜し / 平坦な道のりを進んでいきながら呆れを含んだような声音で零して )…お前の故郷のもんなんじゃねえのかよ。
物は言い様だな。( 呆れの混じる笑みを零し / 隣から聞こえる声にゆるりと首を傾げ )故郷ったって聞いてたのは何十年も前だ。曲の良し悪しなんか考えた事もなかったしな。
物なんて大体言い方なんだよ。( 言葉遊びのように言い換えると口元を歪め / 相手の言い分に納得するも小さく頷いたきりで / 独り言のように零して )…俺は気に入ったけどな。なんせお前の気が引ける。
まあ俺を言い包められるのなんかお前くらいだしなァ。( 窓の外へ視線を遣りながら口元に笑みを湛え / 相手の言葉へ片眉を上げると安直な物言いで告げ )…この曲とお前を並べられたら俺はお前の方に気ィ引かれるけどな。
そうか?お前が可愛く強請ったら俺は一個も勝てねえぞ。( 離している内に随分な距離を進んで来たようで目的地への方向を示す看板が見えてきて / 相手の言葉に愛おしさがこみ上げると眉を下げて此方もまた安直に零し )…可愛いなぁ。
…俺がどんだけ可愛く言ったって言う事聞かねぇ時あるじゃねぇか。( 何事か記憶を掘り返したのか顔を顰めて告げ / 前方の看板に視線を留めるも解読ができるわけでもなくぼんやりと眺め / いつの間にやら「可愛い」と言われる事に抵抗が無くなってしまった事へ複雑な心境を抱きつつ当然のように尋ね )お前だって俺以上に気ィ引かれるモンなんかねぇだろ。
…どんな時だ?( 緩く首を傾げるとハンドルを右に切って / 少し考え込んだ後きっぱりとした口調で断言し / 横目で糖分の高い目線を寄越して )ねえな。お前が世界で一番だ。
分かンねぇなら良い。( わざわざ説明するつもりも無く窓の外へ視線を遣り / 明確な言葉と向けられる視線に思わず目元を緩めると其方へ身を乗り出し耳元へ唇を触れさせ )あァ、俺もだよ。
可愛いから我慢効かなくなるって時はあるがな。( 答えが与えられなかったことに片眉を上げアクセルを踏み / 耳元への微かな感触に擽ったげな声を零すとゆるく首を傾げて )…抱き締められねえ時にすんなよ、
随分堪え性がねぇこった。( 此方の意図を見透かしたような言葉に眉を寄せると不満げに零し / 何処と無く満足気な笑みを浮かべて身を離すと口元に笑みを浮かべて返し )またいつでもしてやるよ。
( 加速しながら時折対向車の通る一本道を進んでいき / 相手の言葉に肩を竦める事で応えるとやがて見えてきた目的地の到着を示すゲートが目に入り / 先の場所とは違い花や宝石で装飾されたアーチ型の門が聳え立っており / 周囲も花壇等で整えられ何処か牧歌的な雰囲気が漂う其処に着くと適当な場所に駐車して / 車を降りながら相手に声を掛け )着いたぞ。
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