乙種七類型調査隔離　──番、〆

( 絡まる指先を手遊びに擦り合わせながら徐々に重さを増す瞼を下ろし / 肩口へ顔を埋めたまま束の間口を噤んだ後普段よりも不明瞭な声で呟き )…俺が我慢できねぇからな。

…もう後戻りできねえなぁ。( はっきりとはしないながら相手の言葉を聞き届ければ心底愉快げに笑みを漏らし / ドアベルの音が鳴り食事が持ってこられたことを知れば徐ろに上体を起こして )

端からそんなつもりねぇよ。( 眉を寄せると憮然とした声色で呟き / 体を起こす相手に不満げに表情を曇らせ腰に片腕を回し )

…腹減ったんだろ、戻って来るから一旦離せ。( 相手の言葉に答えはせずとも満足気な面持ちを浮かべ / 腰に回る腕をとんとんと叩くと困ったように首を傾げて )

( この状況では空腹等二の次ではあるものの不満げな表情を隠そうともせず渋々腕を離し )

( 宥めるように頭を撫でると立ち上がり / 扉を開けると従業員の運んできたトレーを受け取って / 礼の言葉を最後に扉を締め、相手の元へ戻るとすぐ傍のサイドテーブルにトレーを置き )食えるか？

( 頭を撫でられると目を細め / 戻って来た相手からの問い掛けに端的に答えると当然のように其方へ両手を伸ばし )食える。

( 伸ばされた両手を掴むと相手の身体を起こし / クロッシュを取り去りスプーンを手に取ると食事を相手の口元に運んで口が開けられるのを待ち )

( 口元にスプーンが差し出されると僅かに思案するも大人しく口を開き一口食べ / 口の中のものを飲み込むと小さく呟き )…自分で食える。

俺が食わせたいんだよ。駄目？( 食事を飲み込む様子を見ては口元を緩め / 呟きに態とらしく首を傾げて )

…駄目じゃねぇよ。分かってンだろ。( その問いかけとわざとらしい仕草に僅かに眉を寄せると片手で相手の頬を弱く掴み )

そりゃ良かった。…ほら口開けろ。( 掴まれる頬を意にも介さず変わらずの笑みを浮かべながら再び口元に食事を運び )

…何が楽しいンだよ。( 手を離すと言われるまま口を開き / 再度一口食べては片眉を上げ )

…餌付けしてるみてえで楽しい。あとは善意だよ。( 少し考えた後クスクスと笑みを漏らして答え / しれっとした顔で付け足すと皿の中身が空になるまで世話をするつもりで手を動かし )

…餌付け、( 何とも複雑な面持ちでその言葉を繰り返し / 相手の台詞も早々鵜呑みには出来ないものの不都合がある訳でもなくそれからは無言で食事を続け )

不満か？…ほら終いだ。( 無言ながら此方に従う様子に笑みを深め / 食べさせ終えると自身もカップに入れた水を飲み )

お前のお陰で随分体たらくになっちまったと思っただけだ。( 言葉に反し然して気に留めた風も無く返し / 最後の一口を頬張ると満足げに目を細め / 胃が重くなれば体の気怠さを一層感じ瞼を半ば伏せながら相手の方へ両手を伸ばし )

もう俺の世話無しじゃ生きてけねえって？……寝てもいいが、先に綺麗にしてからな。( 伸ばされる両手を取ると片腕を越しに回して / そのままひょいと抱き上げるととんとんと相手の背を叩きながら風呂場へと足を進め )

別にお前に世話されなくたってお前が居なきゃ生きてけねぇよ。……怠い…、( 心外とばかりに眉を寄せ / 抱き上げられようとも抵抗する気力と体力が無く相手に凭れながら心底億劫そうな声を漏らし )

でも世話されんのも癖になってきただろ。…安心しろ、目ェ閉じてりゃ終わる。( 当たり前のような顔で首を傾げ / 風呂場へ着くと手早く相手の服を脱がし / 浴室に連れ込み椅子へ座らせては髪を洗い始めて )