乙種七類型調査隔離　──番、〆

俺は嫌だ。諦めろ。( 眉を寄せると強固な意思を持って押し通すような口振りで言い切り / 部屋に戻るなりソファに深く腰を下ろすと先程目にした光景を思い浮かべて満足げに口角を上げ )…面白かったな、サーカス。

…まあとは言え俺は立ってるだけで耳目を集めるからな。( 緩く首を傾げると高過ぎる自己評価と自負をそのまま口にして / 隣に腰掛けると相手の言葉に頷き / 悪戯げな笑みを浮かべて相手の頬を両手で挟み )そうだな、お前の顔は大分楽しめた。

だから余計に目立つ事をするなって言ってンだよ。( 相手が何かと視線を集めやすいのは傍に居れば嫌でも理解できその事実にまた不愉快そうに顔を顰め / 頬に触れる手に抗わず相手の方へ顔を向けると片眉上げ )顔？

( 特に反論をするつもりはないのか僅かに笑みを漏らして / 此方に向けられた顔に鼻先を触れ合わせ )おう、ずっとお前を見てたからな。

( 鼻先が触れ合えば擽ったげに目を細め / その仕草と言葉に笑みを漏らすと互いの唇を触れ合わせながら尋ね )…お前そんなに俺の顔好きだっけ？

( 口角を上げると此方からも唇を食み / 相手の顔を指の背でなぞると目を合わせて )顔ってより表情だな。好きなヤツのことは見たくなるもんだろ。

( 唇が触れ合う柔い感触に笑みを浮かべて目を伏せ / 視線を絡めるとわざとらしく首を傾げ )俺の顔は？好きじゃねぇの。

( 幾度か繰り返すと唇を離し / クスクスと笑みを漏らしながら問いには答えないまま焦らし )好きって言われてえの？

( 唇が触れ合う度僅かに体温が上がっていくような感覚に身を委ね恍惚と目を伏せているも唇が離れれば同時に瞼を開き / 問いに問いで返されては眉を寄せ / 徐に顔を寄せると甘えるように額を擦り合わせ )…言われたい。

…お前キス好きだよな。( 相手の様子に愛し気に目を細めては半ば独り言のように呟き / 合わさる額に擽ったげな笑みを漏らして / 耳元に唇を寄せ潜めた声でゆっくりと囁き )好きだよ。全部。

…お前は好きじゃねぇのか。( 特別好きな自覚も無く目を瞬くと声色に若干の不満の色を浮かべて問い / 耳元で伝えられる甘ったるい言葉に充足感で満たされると満足げな笑みを浮かべて言葉を返し / 肩口へ唇を付け )…俺も。

お前とするのは好きだよ。( 相手の唇を親指の腹で撫で / 肩口への感触に目元を弛ませ / そのまま瞼を閉じると相手の頭に片手を回し此方に凭れさせて / 再び独り言のような言葉を零し )…かわいいってより、可愛くなったが正解か。

俺以外とはそうでもねぇって？( 相手の言い回しにゆるりと首を傾げると唇に触れる指へ軽く歯を立て / 促されるまま相手の肩へ頭をのせて体重を預け / 聞こえた声へ笑みを零し )…俺がお前の好みを把握して来たとも言うな。

そりゃそうだろ、下準備としか考えたことねえよ。( 当たり前のように言い放つと肩を竦めて / 相手の言葉に瞬くと口元を弛め / 上機嫌で相手の髪を撫でながら窓から射し込む夕日に目を留め / その薄暗さに明日の予定に意識を向けるも、途中でふと顔を上げると相手に視線を向け )……明日の予定お前が決めろ。

…とんだ冷血漢だな。( 身も蓋も無い言い様に過去に相手と関係を持った者へ憐みすら感じればまじまじと相手の顔を眺めながら呟き / 相手の手が髪に触れる程に全身の力が抜けていくような心地がし目を伏せ / 告げられた言葉へ浮かぶ候補は幾つかあるものの口元に笑みを湛えて目を開くと相手を見遣り )……別に俺は一日中こうしてても良いけどな。

それで双方気持ち良いんだから良いだろ。ちゃんと最後まで騙してやってるよ。( 自身の行いは棚に上げ心外だと言わんばかりに片眉を上げて / 相手の言葉を首を傾げながら咀嚼すると自然と笑みが浮かび / 相手の首筋に唇を寄せて肌に口を付けながら答え )そりゃ無理だ、途中でベッドに行きたくなる。

最後まで騙してやって、気持ち良くなっても次の日には別の奴を抱いてンだろ。俺が同じ立場なら何が何でも殺しちまうな。( 相手の表情に笑みを浮かべて強ち冗談とも言い切れない憶測を口にし / 仄かな擽ったさに吐息のような笑みを漏らすと片手で相手の髪に触れながら短く呟き )…甲斐性無し。

それでも良いって言うんだから合意の上だ。お前だって前はそうだったんじゃねえの。( 相手の言葉を否定はせずとも飄々と受け流し / 聞こえてきた言葉にさも心外そうに片眉を上げて )番に触れてたら抱きたくなるもんだろ。

俺はお前程優しくしてやんねぇよ。変な期待されても困るしな。( わざとらしく肩を竦め / 歪む表情に笑みを浮かべて宥めるように相手の目元を指の背で撫でながら言葉を返し )俺のために我慢しようって気概はねぇのかよ。

…されるときはされるだろ。( 相手の過去を想像したのかやや不満げに続けて / 触れる指にわずかに表情を緩め / 相手の顎に指を掛け此方に少し持ち上げて )…お前が欲しくなるまで続けてやる気概はあるよ。