乙種七類型調査隔離　──番、〆

起きろ、サーカス見に行くんだろ。( 相手の耳元に腰を屈め / クスクスと笑みを零しながら掴まれた手を振って )

……行く、( 耳元で聞こえる言葉を遅れて理解すれば掠れた声で短く答え / 漸く目を開くと欠伸を零しつつゆっくりと体を起こし )

大分マシになってきたんじゃねえの、お前の寝起き。（ 乱れた相手の髪を撫でながら冗談交じりに呟き / 繋いだままの手を引くようにして立ち上がることを促し ）

大分マシになってきたんじゃねえの、お前の寝起き。（ 乱れた相手の髪を撫でながら冗談交じりに呟き / 繋いだままの手を引くようにして立ち上がることを促し ）

…世話の焼き甲斐が無くなっちまって悪いな。( 髪を撫でる手に眠気を誘われ欠伸を零し / 手を引かれると大人しく立ち上がるも相手の肩口に頭をのせ / 未だ眠たげながら笑みの混じる声で呟き )

安心しろよ、まだまだ世話の焼ける男だ。( 肩に触れる感触に笑みを零し / その姿勢のまま相手の腰に手を回しひょいと持ち上げると洗面所の方へと歩を進め )

…お前何処にそんな腕力付いてンだよ。( 不意に体が宙に浮く感覚がすれば小さく驚いたような声を上げ / 半ばしがみ付くように腕を回しながら常々感じていた疑問を口にし )

それなりに場数こなしてりゃ嫌でも身に付く。腕力ってより力の受け流し方だ。( 淡々と答えながら相手を洗面台の前に下ろし / からかうような調子で相手の頬に手の甲を当てて覗き込み )…顔洗うのは自分でできるか？

( 説明を受けても理解には至らずそういう物かと曖昧に納得し / 足が地に付けば頬に触れる感触に目を細め / ほぼ条件反射のように軽く唇を重ねて答え )…できる。

…ふ、( 重なる唇に笑みを漏らすと何度か啄むような口付けを重ね / 了承の意を込めて肩を竦めては準備のためにその場から退出してソファの方へと赴き / 既に八割方終えている準備を確認すると今回の目的地であるサーカスのフライヤーと付随する優待チケットを手に取り )

( 繰り返し重なる唇に目を伏せ / 離れて行けば笑みを浮かべてその背を見送り手短に身支度を整え / 顔を洗った後部屋へ戻り相手の手元にあるチケットへ視線を落とせば服を着替えながら頬を緩ませ )楽しみだな。

( 頬を緩ませる様子に可愛さを感じては無言で片手を伸ばして乱れない程度に頭を撫で / 相手の掌に一方のチケットを握らせ / 立ち上がると鞄を手に取り近くの壁に凭れ )着替えたら行くか。…公演まで時間あるから途中なんか食おう。

( 髪を撫でる手に目を細め / 着替えを済ませると受け取ったチケットを鞄に入れ / 掛けられる言葉へ小さく頷き )あァ、腹減った。行こうぜ。

──

( 既に大半の店は開いている頃合いで夜とはまた違う活気を呈する通りに足を踏み入れ / 興行のテントや小さな劇場等が立ち並ぶ通りの直ぐ傍、一通りの軽食の屋台が並んでいるスペースへと歩いていき / 基本的な軽食とスナック類は一通り揃っているようで辺りを見回しながら相手に向かって問い掛け )…何食いたい？

( 先日まで居た場所とは異なった様相を見せる街の雰囲気に何処か浮かれたような調子で視線を走らせており / 問い掛けに視線を巡らせれば薄い皮にチキンや野菜等の具材が詰め込まれた軽食を売り出す屋台を指差し )…あれ食いてぇ。俺が買ってくる。

なら任せる。俺のも適当に買って来てくれ。( 相手の指差す方をつられるように見ては納得したように頷いて / 大体これくらいあれば足りるだろうと言う代金を相手の掌に握らせて )

( 代金を手に屋台へ向かえば文字ばかりのメニューを前に例の如くそれなりの時間を掛けて店主との遣り取りを終え / 紙に包まれた商品を二つ受け取り相手の元へ戻れば一つを差し出し )ん、お前の分。

ありがとな、お前もちょっとは慣れたんじゃねえの。( 片手で受け取るともう片手で相手の頭を撫で / 傍らの休憩スペースのような場所へ座ろうと視線で促しては自身もそちらに向かって歩き出し / 道中ついでとばかりにカップに淹れられた水を店の者から貰うと小さなテーブルの前に置かれたベンチに座り / ちゃっかり相手の分も追加で貰うとカップを差し出して )お前のな。

…でもやっぱ字読めねぇと不便だな。( 頭を撫でる手に目を細めながらも監獄を出てからというもの文字が読めずに手間取る機会が増えたように感じ独り言のような声色で呟き / 促されるまま相手に続きベンチに腰を下ろし / カップを受け取ると早々に包みを開き大きく口を開け頬張り )ありがと。

だから言ったろ、教えてやるって。( クスクスと笑みを漏らしながら手を引き / 礼の言葉に肩を竦める事で応え / 自身も渡された包みを開くと食べ始め )