乙種七類型調査隔離　──番、〆

知ってるよ。お前が俺を見てる間は俺もお前を見てるだろ。( 相手の言葉の意図が読めず片眉を上げ / 不意に此方へ伸びて来た手が頬に触れれば擦り寄るように首を傾けつつ答え )人間よりはな。大抵150年くらいか、長けりゃ200年近く生きるらしいぜ。

お前が見てねえ間も見てんだぜ。特に朝はな。( 故意に意図をずらしては含みを持たせた笑みを浮かべ / 可愛らしい仕草に思わず目元を弛め / 相手の言葉と人間に過ぎない自身の寿命とを照らし合わせながら視線を上に遣り )…てことは大体同じ位に死ぬな。

…ンなの見た所で何も分かンねぇだろ。( 朝に関しては此方からは何の反論もできず顔を歪めるとぼそぼそと口にし / 相手の様子を眺めては目を瞬かせ )へぇ、なかなか長生きすンだな。お前は幾つなんだよ。

分かるぞ。…そうだな、お前の寝顔がすげえ可愛いの知らねえだろ。( クスクスと笑みを漏らしながら相手の目尻に親指を添え / 相手の言葉に改めて年齢差について思い直すと再度独り言のような呟きを重ねて )二十九。…いや、すげえ長生きしたとして百せいぜいだろうから、まぁ俺のほうが先ではあるのか。

…それはお前も同じだけどな。( 目尻に触れられれば目を細め / 寝顔に関しては相手が眠りに落ちた後の姿も幾度か目にしており片眉を上げ / 相手の見た目自体が何とも年齢の判別がし難い為に妥当と感じられる物なのかが分からずゆるりと首を傾げ / 口元に笑みを浮かべて付け足し )へぇ、お前俺の半分そこそこしか生きてねぇのか。…まあどっちにしても同じ事だ。お前の寿命は俺の寿命でもあるからな。

俺だって様にならねえってことはないだろ。( 自身の身目の良さには自負があるらしく強ち冗談とも取れない調子で返し / 半分と聞けば何とも言い難い心地に片眉を上げ / 直後告げられる言葉に瞬きを落とし、直ぐに満足そうに笑むと機嫌良く零して )なんだ、意外か？…ふ、死ぬならお前の手に掛かって死にてえな。

そうだな。初めて見た時は罠かと思ったぜ。( 相手の自己評価の高さを一笑に付す事もできず肩竦め / 問い掛けにはゆるりと首を傾げ曖昧に返し / 相手の言葉に眉を上げると笑みを深めて問い )どうだろうな。お前見た目じゃ何歳なんだかよく分かんねぇし。…希望だけ聞いといてやるよ。どんな死に方が良い？

ご明察、お前以外の前なら罠だよ。( 以前にも使ったことがある手なのか思い返しながら疎らに拍手を落とし / 曖昧な言葉に浮かんだ問いを再度そのまま零し / 予想外の問い掛けには僅かに目を見開き / 束の間考えた後愉快げに笑み )これまでは幾つだと思ってたんだ。……お前と一緒なら何でも良いけど、あの良くわかんねえ煙で死ぬのは面白そうだ。

蜜に寄って来た虫を喰うのか？お前らしい仕掛けだな。( 口角上げて首を傾げ / 問い掛けへ瞬きを落とすと肩を竦め / 現時点では無理難題とも言える希望に苦笑を漏らし )幾つだとも思ってねぇよ。人間が何年生きてるか何て興味ねぇからな。この先もお前をあと何年俺の傍に置いておけるかしか考えねぇし。…また無茶な事を。今ンとこお前に効くモンすら分かってねぇのになァ。

獲物を狙ってるヤツ程狩りやすいもんはねえだろ。( 汎ゆる悪事に使用してきた考えをそのまま口にして / からかうような調子で瞳を覗き込み / 神経を逆撫でするような言葉選びで笑みを零し )そうなのか。俺はお前がどんくらい生きて何をしたかって所に興味あるけどな。…今の所全滅だもんな、お前のクスリ。加減でもしてたのか？

…それで、お前の獲物は最終的どうなるんだ？( 興味本位で首を傾げ / 視線を合わせると目を細め / 意図的な言葉選びと分かっていながらまんまと不満げな表情を浮かべると無言のまま相手の頬を引っ張り )割と根掘り葉掘り聞かれたもんなァ。あれ以上話す事はねぇよ。

最終？死ぬ程気持ち良くなれるよ。もしくは俗世のしがらみを捨てられて清々する。( 廃人同然の性依存症や全くの一文無しになることを都合良く置き換え / 相手の言葉に頷くも矢張りそれでは足りないのか視線をやや上に向けて零し / 頬の痛みに眉を寄せると自身が引き出したものにもかかわらず窘めるように相手の頭を軽く叩き )後は実際に見るだけか。…ってえよ、こら。

へぇ、それでお前の信者ができるわけだ。何が楽しくてンな事やってンだよ。その辺の人間を抱くのはそんなにイイもんか？( 耳触りの良さがいっそ不気味な物言いに愉快そうな笑みを零し / とは言え人間と肌を重ねる事に処理以上の物を感じた事が然程無く首を傾げ / 聞こえた言葉に目を瞬くと片眉上げ / 頭を叩かれれば大人しく手は離すものの当然のように反論し )見るって？…お前が悪ィんだろ。

お前を知った後じゃもう楽しくねえな。まあでもそん時はそれなりに楽しかったよ。…お前で言うなら、クスリで善がってんのを見る時の感覚に近いんじゃねえか？( 相手の耳朶に親指を添え手持ち無沙汰にその肌を柔く弄び / 以前相手に告げられた言葉を思い返しながら勝手な憶測を口にして / 既に自身の中で相手の故郷に赴く事は決定事項らしく問い掛けにはなんの迷いもなく断言し / 尤もな相手の反論には肩を竦め )見る。……実際お前のクスリ効かねえもんな。

……俺とお前の体の相性はそんなに良いか？( 耳朶への柔い刺激に仄かな擽ったさを覚えて目を細め / 相手の喩えにある程度の納得ができれば一人小さく頷くも不意に黙り込んだかと思えば唐突に問いかけ / 文脈から考えればこれまで過ごした土地に赴く旨の話なのだろうと察し顔を顰めて告げ / つい先程の一連の流れをまるで無視したような声に一層表情を曇らせると無言で相手の足元を蹴り )…俺はあんまり気が進まねぇンだけど。

特別相性が良いって訳じゃねえな。でも俺の手でお前を乱してる、って思うと無性に興奮するんだよ。……惚れた奴が俺の下で気持ちよくなってんの、最高に可愛いだろ。( 一切の遠慮がない言葉を返しながらも愛しげに目を細め / 耳元に唇を寄せると内緒話をするように声を潜めて低く囁き / 何となく相手の言い分にも察せられる部分はあるものの矢張り相手の根幹を為した部分を見るのは諦め難く問いを重ね / 蹴られる足元に視線を落とすと素知らぬ顔でそのまま足を絡めて )理由は？

…そういう話をしてンじゃねぇよ、( 言葉と向けられる視線の差に混乱に近い心境で相手を見据え / 耳元で囁く声に今思い出すにはあまりにもリスクを伴う記憶が脳裏に流れ込もうとしたのを振り払いながら身を引いて僅かに距離を開け / 何とも冷静な問いに言葉に窮して束の間黙るもやがて普段よりも幾分か不明瞭な声で答え / 互いの足が絡まれば眉を寄せて相手を睨み )…俺が産まれた場所が何処にあンだかもう覚えてねぇし、親の顔も忘れた。今更戻る理由もねぇだろ。

そういう話だっただろ。何で避けんだ。( 距離を離されたことに不満そうな表情を浮かべると相手の腰に腕を回して此方に引き寄せ / 零される言葉に静かに耳を傾け / やがて口を開くと往生際悪く駄々に近い理屈を捏ね / 睨み付ける目付きに思わず笑みを零してしまうも直ぐに澄ました顔を取り繕い )……育った場所も故郷じゃねえのか。俺はお前が居た場所を知りたいんだよ。

…今はそういう話じゃない。( 引き寄せられれば抵抗はしないものの問いには答えず屁理屈に近い言葉を返し / 相手の希望を極力かなえてやりたいのは言うまでも無く悩まし気に口を噤むと不意に問いかけ / 相手の顔を暫く無言で睨みつけていたがやがて諦めたように視線を逸らすと短く呟き )…何でそんな知りてぇわけ。……ムカつく、

どういう話だったんだよ。それともお前、抱かれながら相性良くねえなって思ってたのか？( 相手の答えに益々疑問が深まると片眉を上げ / 意地の悪い言い回しで囁きながら相手の服の裾から掌を潜り込ませて / 最中唐突な問い掛けが投げかけられれば瞬きを落とし / 束の間黙り込んで出した結論は何とも要領を得ないもので / 若干の幼ささえ感じる短い呟きに再度滲むような笑みを浮かべ )……嫉妬だな。…ふ、