乙種七類型調査隔離　──番、〆

お前の方がデケェだろうが。…最近は色々見てたからな。( 眉を寄せると何処と無く不満そうに答え / 問い掛けへ肯定の代わりに短期間で様々な物を見聞きした分退屈に感じてしまいそうだと虚空へ視線を遣りながら呟き / 絡む指先に目を細め手の甲を撫で )

俺よりデカくなりたいのか？ブーツでも見繕ってやろうか。……なら賭けでもしようぜ。( 拗ねたような言葉に笑みを漏らして / 手の甲に触れる感触に目を細めながら一度するりと解き、鞄の中から何やら探り / 磨かれた六面ダイスを取り出すと片手でそれをピンと弾き )

…そういう事じゃねぇって分かってンだろ。…好きだよなァ。何を賭けンだ。( 横目で相手を睨み / 監獄でよく目にしていたダイスと相手の言葉に思わず笑みを零し / 相手の手元へ視線を遣りつつ問い )

俺が縮めって話？…まぁ演出が手軽だしな。( 此方を睨みつける眼差しに口角を上げ尚も誂うような言葉を掛けて / 脳裏で考えを巡らせながら首を傾げてダイスを弄り / やがて思い付いたのか相手に目を向けてつらつらと説明を並べ / 同時に手元でクルクルと弄り回しているダイスが仄かな光を発し )そうだな、質問をする権利にでもしようか。問いかけられたもんには嘘偽り無く答えなきゃなんねえ制限付き。

…あァ、できンなら是非とも頼みたいね。( 惚けてみせる相手に不満を訴える無駄と早々に気付けば不貞腐れたような面持ちで告げ / 相手からの提案に疑わしげに片眉上げ )お前は確実に嘘偽り無く答えンのか？

身長を気にするなんて可愛い所もあんな。( 当然そのような芸当は持ち合わせておらず問いには答えないままで / 疑心の眼差しを受ければ如何にも心外だとばかりの表情を浮かべ / ダイスを光に透かしては相手に向かって差し出して見せ / 滔々と説明を並べ立て )お前に嘘なんかつかねえよ。…まあそれは置いといてそのためのダイスだ。特注品だぜ、元は尋問用だからな。予め設定された生体情報にしたがって真偽を判断すんだよ。嘘つくとめちゃくちゃ光る。

身長だけじゃねぇよ。もっと体格も良くなるつもりだったンだ。( 自分の見立てよりは遥かに貧相な二の腕を掴み不満を零し / 以前まで嘘を吐いていた口に潔白を主張されようとも説得力が無く目を眇め / 差し出されたダイスをまじまじ眺めては俄かには信じがたい言葉に瞠目し / 説明されようとも理解できない仕組みに的外れな事を告げながら首を傾げ )…何だそれ。魔法か？

良いじゃねえか、俺はお前のそれも好きだぜ。( 相手の仕草に目を遣り人差し指で二の腕を掴む手の指を突付き / 尚も此方に向けられる疑念に思わず笑みを零し / 自身でも完全には理解していないものの以前読んだ説明書の文面を思い返しながら説明を続けて )これは魔法じゃねえな、どっちかって言うと医療器具に近い。バイタル値をスキャンして側坐核の動きを擬似的に投影する…だかなんだか。……で、やんのか結局。

…まあお前が良いなら良いか。( よくよく考えれば相手に見初められる体型で居るに越した事は無いとも思え一人納得したような口振りで独り言ち / 説明を聞くほどにわけが分からず理解していないのであろう事が透けて見えるような惚けた表情を浮かべ / その仕組みを理解しようとするのは諦め問い掛けに小さく頷き )……やる。

…可愛いなぁ。( 独り言のような調子で呟きながら片手で相手の髪を撫で / 相手の同意と表情に微笑を浮かべて頷き返し / 束の間どんなゲーム内容が良いか考えながらもやがて定まったようで )……そうだな。このダイスを二回振れ。その回数分だけ俺に質問して良い。それで俺の考えてることを当ててみろ。ルールは把握できたか？

お前は俺が何してても可愛く見えンだろ。( 髪を撫でる手に目を細めつつ揶揄い混じりに問い / 至って簡潔な説明に再度頷き )…あァ、分かった。

多分人殺してても可愛く見える。…終わったら攻守交代な。( 冗談のように物騒な言葉を返して / 相手の手にダイスを握らせ / 紙とペンを取り出すと何かを書き付け、それを隠すように掌に握り込み / 視線でダイスを振るように促して )さぁ、お前の番だ。

何なら手伝ってくれそうだもんな。…了解。( 笑み混じりに返し / とは言え相手が考えている事等検討もつかずぼんやりと何かを書く相手の手元を眺め / ダイスを一度、二度と振りながら本末転倒に他ならない事を呟き )…何考えてンだ、って聞くのは無しだろ。

手伝うどころか先回りしてやるよ。( 相手の様子を横目に眺めて / 指摘に一度瞬きをしては臆面もなくルールを付け足し )…ああ、ルールに穴があったな。俺が二択で答えられるようにしろ。

俺の番は可愛い上に頼もしいな。( 愉快げな声色で告げ / 余計な事を言ったばかりにルールを増やされたような気分になると苦々しく表情を歪めながら出た目を口にし )当てれる気がしねぇよ。…二と四だから六回って事か？

お前の審美眼は確かってことだな。( 釣られたようにクスクスと笑みを漏らして / 相手の出目を覗き込みながら率直に過ぎる感想を零し / あまりルールを固める気もないのか緩く付け足し )お前あんまり運ねえな。……まぁ別にはいかいいえ以外でも答えてやるよ。そうなるように配慮しろって事だ。

当たり前だ。傍に置くモンは一等良いヤツを選ぶからな。( 口元に笑みを浮かべ人差し指の背で相手の鼻筋を撫で / 基本的に運が良くないのは大方理解しており開き直ったように肩を竦め / 眉間に皺を寄せ暫く黙考した後問い掛け )欠点があって可愛らしいだろ。……じゃあ、俺にとって良い事と悪い事どっちに近い？

奇遇だな、俺も同じポリシーだ。( 鼻筋の感触に擽ったげな笑い声を零して / 相手の返答を静かに待ち / やがて口にされた問いかけに緩く首を傾けて答え )まず可愛くない時がねえよ。…お前にとってか。良い事なんじゃねえのか？少なくとも俺にとっては良いもんを思い浮かべてるしな。

ふ、…良い拾いモンをしただろ。( 同様な言葉を返されれば吐息のような笑みを漏らし口角上げて尋ね / 至極平然と口にされる言葉へ瞬き一つ落としては控えめな笑みを零すに留め / 問いへの回答に浮かぶのは食べ物に関する事くらいでほぼ確信に近い調子で問い )飯か？

そうだな、俺の人生で一番良い拾い物だ。( 相手の髪を乱すようにして撫で / 二番目の質問には端的に否定して釘を差し / 愉快げな笑みを浮かべて指折り数え )ちげえよ。…あと四回だ。