匿名 2023-10-02 16:21:34 |
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…そうか。
(相手の言葉への返答はごく簡素なもので、それ以上何を聞くでもなく、手に持っていたそれをポケットに押し込むと視線を目前の景色の方へと向けた。そうしてまた暫く沈黙していたが、ふと目線は景色から外さないまま口を開く。視線の先には父親と娘らしき二人連れが手を繋ぎ、仲睦まじそうに歩いている光景があった。「…家族、か」誰に言うでもなく、小さくそう呟いて)
(/所用により返信が遅れてしまい申し訳ありません……。
…………んだよ。家族に憧れてんのか、お前
(手元の物からぼーっと景色を眺めるのに変わったのは視界の端にうつっていたのだが何を見ていたのかは分からなかった。そのため呟かれた言葉に己も頭を上げる。そこには所謂家族団らんといえるような光景が目に入り。己も、そういったものには幼い頃には憧れたが姉が居れば良かったためいつからか気にしなくなってきていた。だが目の前で見せられてしまうとどうしてもその憧れが顔を出してしまうというもので。微笑ましそうに頬を緩めつつも問いかける声色は変わらず不器用なもので)
(こちらこそ、気付くのが遅れて申し訳ございません)
…分からない。
(眼の前を通り過ぎていく父娘を何も言わず見送った後にゆっくりと首を捻り、相手の言葉にそう返した。暫くして視線を相手の方に戻すが、自身の言葉よりも何故か相手の表情が心無しか緩んでいるように見えることに疑問を抱く方が先立ったようで、「…剛。何故、笑っている」と抑揚の無い普段の声でそう問いかけて)
(/構いませんよ、背後はこれで失礼します。)
そりゃ、ああいうのは微笑ましいだろ。
(首を傾げつつ告げる彼に相変わらずだとため息をこぼす。そこからすぐ己の話題に持ち込まれるとそれがいきなりでえ、と驚いたような声が出てくるが質問に答えてやる方が先決だと思い。その答えはさぞ当たり前だろうという声色で告げるが言葉を口にしていく度に憧れも高まっていくようで、それを振り払うように緩く首を振った)
…そういうもの、なのか。
(その答えの意図するものが上手く理解できないらしく、眉間に僅かではあるが皺を寄せた怪訝そうな表情で首を更に大きく捻った。「…俺にはその感情が、よく分からない」と一言、一本調子ながらも困惑したような色を持つ声で呟くように溢した後、相手の言葉や表情から何かを読み取ろうとしているのか、じっと相手の動きや表情を観察しているようで)
………っだよ、何ジロジロ見てんだ
(首を更に傾げる様がどこか幼児や雛というような幼いものに見えてしまって、そんな風に思ってしまう己にため息をつく。彼とは少々の距離が開いているためその言葉があまり聞き取れず己も首を傾げてしまえば冷たいもののじぃ、と注がれた視線に気づくとどこか困惑しても聞こえるような声色で告げて)
…
(相手の言葉に何を言うでもなく沈黙したまま、暫くの間じっと相手の顔を見つめていた。やがて視線を微かに持ち上げたかと思えば「…何でも無い」と呟き、すっくとベンチから腰を持ち上げる。そのまま相手の隣を歩いていき、また何処かへと向かって歩き出していった。向かった先にはライドチェイサーが停められており)
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