みならい 2023-09-29 20:29:20 |
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へぇ…じゃあ、お前たちもよろしくな!
(友達だという彼の言葉に、鉢植えの前まで行けばそっと屈んで植物たちに声をかけ。同室になったからにはこの子達にも挨拶せねばと「この子たち、俺とも友達になってくれるかなー?」と楽しそうに笑いつつ廊下に出て。教室に入り、席につけば隣に座ってくれた相手に「迷惑どころか隣じゃなかったらどうしようかと…」とへにゃりと眉を下げて)
………それ、なら……いいん、ですが……
(相手の困ったような笑顔と言葉に若干怯むような様子を浮かべつつ、軽く会釈を返す。落ち着きの無い様子で周囲を不安げに見回し、相変わらず教科書を盾代わりにしながら「………ぼ、僕と一緒にいる、なんて……迷惑じゃ、ないかな………って」と口の中でまたぼそぼそと呟き)
なんで?アランといて迷惑なんて…苦手なもの教えて貰えるし友達だし、そんなことないのに、
(どこか狼狽えるような彼の態度に不思議そうに首を傾げつつパラ、とノートを広げれば昨日取った薬草のスケッチが。絵は壊滅的なのでなんとも言えない出来だが咄嗟にそれを隠しつつ「俺はお前が同室で嬉しいし隣にいてくれて安心するぞ?」と茶化すかのようにその頭をぽんぽんと撫でて見せて。教師が入ってくるのが見えれば羽根ペンをポケットから出して机に並べ)
…………あ…それ、常闇、草……ですか……?
(相手のノートに描かれたスケッチにふと目を遣り、数秒見つめた後にそう呟いた。「………この子、は……夜、……それも……月の、ない……夜にしか、顔を見せて、くれない……んですよ」頭を撫でられると、擽ったそうと言うべきか怯えていると言うべきか微妙な表情を浮かべ、相変わらずの縮こまった姿勢のまま教卓の方に目線を向けて)
そう!よく分かったな、先生にはほら…バツ貰ったけど……
(相手が自分のスケッチを見ているのに気づけば見やすいようにノートをそちらへ少し寄せて。下に書いた常闇草の説明としては「夜に咲く!」のみ。月のない夜にしか見られないという相手の言葉に納得したように頷きつつ羽根ペンの先をノートにとん、と押し付けて赤色に変え、バツ印がつけられたレポートの下に付け加えるようにそれを書いて。「いつか見てみたいな…実物は綺麗なんだろうな、」ワクワクしたような顔で呟けば相手の丁寧に取られたノートをちらりと見て。スケッチにしてもレポートにしてもとても丁寧で綺麗にまとめられており感心したように「ほんとに好きなんだな、植物。」と小さく声をかけて)
…………は、はい………
(教師の視線から逃げるように身体を縮こまらせ、相手から掛けられた声に蚊の鳴くような小さな声でそう答えて頷く。植物のスケッチを一度だけ撫で、「………と、友達……なので……」と若干口元と目元が引き攣った、あまり上手いとは言えない硬い笑顔を浮かべてみせた。一限目の授業は問題なく終わり、二限目の飛行術の用意を始めるが、明らかに気乗りしない様子でのろのろと運動しやすい服に着替えつつ、箒の準備をしており)
また友達…凄いなアラン!
(植物相手とはいえどれだけ顔が広いんだと目を瞬かせつつ滅多に見られないという常闇草とまで心を通わせる彼は一体何者なのかと授業中は彼の横顔をまじまじと見るだけで終わってしまった。チャイムの音と共にカバンから運動着を引っ張り出し、ふと相手に目を向ければ「どうした?体調悪いか?」どうも来乗りのしなそうな、どこか不安げにすら思える表情に着替える手を止めて心配そうに問いかけ。そういえば、と飛行中の授業で補習の欄に彼の名前があったことがあることを思い出し、「箒苦手?…確かに身一つで飛ぶの怖いもんな。」自分も最初はよく落ちて怪我をしたものだと苦笑しつつ、)
…………た、高いところ…が、怖くて……
(相手からの言葉に小さくそう答えているうちに運動着に着替え終わったらしく、着ていたシャツやズボンを丁寧に畳んで机の端に置く。空中から呼び出した箒は柄の部分に蔦が絡みついたデザインで、妙に古びて使い込まれたような印象を受けるものであった。両手で柄の部分をきつく握り締め、「……あ、あの………い、移動…しない、と……」と相手に声を掛けて)
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