百色眼鏡 2023-09-20 19:08:22 |
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「 都 市 部 」
都市としか呼ばれない。名前が忘れ去られてしまったことを誰も気にしないのは、「デルタの鏡」の制御下に置かれているため。奇特な者は自分で名前を付けるのだろうか。
「 デルタ・コピー 」
暴走するデルタ・コピーがちらほら見られるようになったことから、大衆の印象は悪に傾きつつある。疑心暗鬼が漂う街は少しだけギスギスしているかもしれない。
「 シャノン・ベルとデルタの鏡 」
シャノン・ベルは失敗作のデルタ・コピー。元々はデルタの鏡の警備員として生み出されたものの、記憶の埋込が上手く行かず自身がデルタ・コピーという自覚がある。体格が良いのはそのせいであり、いくら不摂生な生活をしようとも完成された肉体が揺らぐことはない。
生まれた当初からデルタ・コピーであることを自覚していたため混乱が見られ、デルタの鏡のメインシステムから密かに処分命令が下っていた。何の皮肉か己に課せられた身体能力のお陰で逃げ果せたものの、未だ処分対象であることは確かである。
失敗作と判断され命を狙われるようになって以降は自身が生き残るためにデルタの鏡についての情報を集めていた。その結果、偶然にも「デルタの鏡」の情報処理システムが何かに侵されていることを知る。エンジニアの手を介さないそれはある種のウィルスが関係しているものであり、少しずつ侵食するそれはデルタ・コピーを通し徐々に世界に侵食している。デルタ・コピーの暴走はこのためであり、シャノン・ベルがデルタの鏡を破壊しなくてもいずれは起こる現象であった。
デルタの鏡を破壊したのは物語開始より少し前。デルタの鏡に侵入したウィルスの力を逆に利用し、自身の生体反応を誤魔化すことに成功したためである。破壊後は辛うじて制御を侵されていなかったデルタの鏡の一部を持ち出したものの、準備が足りず地下トンネルの奥深くに隠すことしかできなかった。
「 デルタの鏡を侵すウィルス 」
正確に言うならウィルスではなくごく微小な生命体、この世界には存在し得ない筈のもの。栄養源としているのは情報をやり取りする際の微弱な電気信号であり、少しずつ質量を蓄えている。この生命体が養分とする電気信号は無機物のものに限らず、生物の脳が神経を使用する際の電気信号まで幅広い。また感情や意志はなくひたすら繁殖を目的としている。当該生命体が現れた理由ははっきりとしていないが、デルタの鏡が人知を越えようとしていることとなにか関係があるのではないかと考えられる。
「 亜竜の涎:腐食の積雨 」
そのまま亜竜の涎である。秘境と言っても良い程の峻峰にしか存在しない上に、雲中しか飛ばないため厄災じみた天候であると思われていたが、とある生物学者のデルタ・コピーにより真実が解明された。この涎は王水のような性質を持ち、ほとんどの物体を溶かしてしまう。同時にうまく使えばデルタの鏡を侵すウィルスを滅菌する作用がある。
尚生物学者は既に故人である。
「厄災と呼ばれるデルタ・コピー」
厄災の末路を辿ったデルタ・コピーはちらほら現れている。四肢が腐り落ち周囲を汚染する廃棄物となったデルタ・コピー、広範囲を巻き込んで大爆発を起こしたデルタ・コピー、見境のない殺人鬼として最期を飾ったデルタ・コピーなど様々。
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