常連さん 2023-09-17 16:51:56 |
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( イケメンは心臓に悪い。男に告白されていると分かっているはずなのに、うるさいくらいに心臓の音が聞こえる。とはいえ、その告白を了承することはなく。一度深呼吸をしてから、相手を見て。)
いや……、悪いけど答えはごめんなさいやで。
俺お前のことよう知らんし、それに男同士やんか。ちょっと、急にそんなこと言われても困る。
( 告白されて断るだなんて経験はこれまでにそれほどないため、どう言えばいいのか途切れ途切れに言葉をつむぎながら、相手に握られた手を離そうと、もう片方の手で相手の手に触れ。)
( 相当戸惑っているだろうに、此方の事を気遣いながら言葉を選んで発言する相手を見て「…、優しいな」と目を細めて小さく微笑む。
手を離そうと此方に触れたもう片方の其れも、此方から優しく掴まえて握りしめると、少しばかり照れくさくなったのか、視線を左右に泳がせながら言葉を続けた。)
俺だって、今すぐ付き合って欲しいとは言わないし、名取を困らせたいわけじゃない。
……その、つまり、仲良くしたい。まずは、友達から。
( それも、だめだろうか と相手の目を見つめて付け加えると、綺麗な金髪に手を伸ばして、彼の顔にかかった前髪をそっと退いた。)
( 相手の話し方や表情から分かるのは悪いやつじゃないと言うこと。こちらも恥ずかしそうに視線を逸らすと、呟くように告げて。)
……友達なら、ええよ。
ほ、ほら。別に逃げるわけやないんやし、手離してや。
( 未だに掴まれている手を見て、また恥ずかしそうにすれば離して欲しいと頼み。)
…あぁ、ごめん。痛かったか?
( 手を離してと言われると、やっと無意識に握っていたことに気付いて慌てて両手を解放する。
正直なところ、自分は恋愛なんてした事がないし、誰かを好きだと感じたこともない為、何が正解なのかは分からない。そもそも、特定の人と仲良くしたいと思うことも初めてで。
それ故か、彼が友達なら良いと言ってくれただけでも嬉しさが内側から込み上げてきてしまい、せっかく両手を解放したというのに今度は勢い余って抱きついてしまう。
首元に顔を埋めながら、ため息をこぼすように言葉を述べる。)
…ありがとう、名取。大好き。
ちょっ…佐倉!
( 手が解放されたことにほっとして。別に痛くもなんともなかったし、いやだという感情も浮かばなかった。そう思っていたら次は抱き着かれ目を丸くして。顔を真っ赤にしながら押し返そうとすると、首元から聞こえてきた声にまた心臓が早鐘を打ち。)
お前……っ、急すぎんねん!いろいろ!
( なんとか離れようと相手の胸元を押し返して。)
( 胸元を押し返されると「つい」と小さく零しつつ、大人しく身体を離しながら、悪びれる様子もなく肩を竦める。ちらりと相手の表情を伺えば、真っ赤に染められた頬をみて更に触れたくなるものの、これ以上したらまた怒られるだろうか、とフッと優しく笑みを浮かべるだけにして。
とは言いつつ、余裕そうな表情とは裏腹に此方も胸は高鳴るばかりで、少し落ち着こう、と他愛もない話題を切り出して。)
……そういえば、その訛り、名取は関西の出身なのか?
……ったく。
え?あぁ、そう。関西出身やねん。
佐倉は?どこから来てるん?
( 素直に解放されると、赤くなった頬を冷ますように手のひらでぱたぱたと扇ぎ。ふと聞かれた質問には頷いて。自分のように訛りがあれば分かりやすいが、相手の言葉からはそれらは感じないため、逆に質問をして。)
俺は関東の田舎出身だ。
引っ越してきたのも入学日ギリギリで…、まだ、都会には慣れないな。
大学の近くのアパートを借りて正解だった。
( 頷いて返答をくれる相手の顔を、テーブルに頬杖を付きながら眺める。実際に関西出身の人とこうして話すのは初めてだが、その特徴的な訛りも魅力的に感じる。
一方自分はと言えば、特に特徴もない田舎町の出身で、大学内や大学周辺の人の多さや賑わいにも未だ馴染めずにいる。
満員電車なども苦手なため、徒歩圏内のアパートに部屋を借りたらしい。)
へぇ、そんな感じ全然せんけどなぁ?
俺も大学の近くにアパート借りてんねん。もしかしたら近くかも。
( 田舎出身と言われると、そんな風には全然見えないと少し驚き。周囲に溶け込めていない雰囲気などはそう言われるとそうなのかもしれないが、大学にはそんなやつたくさんいる。関西の結構中心部出身とはいえ、自分もこの都会の人混みには驚いた。自分もそれを避けて大学近くにアパートを借りているので、もしかしたら相手の近くに住んでいるかもしれないと少しわくわくして。)
…え、そうなのか?
もしそうなら、いつか、遊びに行きたいな。
( 住んでいる所が近いかもしれない、と聞くと、パッと顔を上げて柔らかく微笑んで反応する。本当はすぐにでも行きたいが、それはさすがにもっと仲良くならないと失礼だろう、と少し遠慮気味にはなるが、行きたいという気持ちは包み隠さず伝えておく。
そうしていると、ふと連絡先をまだ知らないことに気付き、カバンから携帯電話を取り出しては、画面を操作してQRコードを表示した其れを相手へ差し出した。)
連絡先、交換していいか?
その…遊びにとか、誘いたいし。
…おう!
友だちやろ?俺ら。
( こうやって他愛もない会話をしていると、なんとなくだが彼となら良い友達になれるかもしれないと思い。自分の携帯電話を取り出すと、そのQRコードを読み取り、連絡先を登録する。メッセージで相手宛にスタンプをひとつ送信し。 )
…ありがとう。
( 友達、という言葉には瞬きを数回繰り返したのちやっとの事自覚したのか、嬉しそうに頷いて見せる。今日は自分でも分かるほど笑顔になってばかりだなぁと思うが、きっとこれも彼のおかげだろう。
携帯の振動を受け、画面に表示されたスタンプを見ると、上記のように礼を述べ、小さく指を動かした。相手に“好き”の2文字を送り返せば、満足したように携帯を仕舞い込んだ。
それから暫くは他愛もない会話が続き、いつの間にか次の講義が始まる時間が近づいていた。)
( 返ってきた2文字にはまたなんとも言えない表情を返し。その後には時間いっぱい会話を楽しんだところで、携帯の振動ではっと我に返る。)
あーもうこんな時間やな。
たぶん、次の講義違うやつやんな?昼飯前にまた連絡するわ。
( 話からすると次の講義はお互い違う場所らしい。椅子から立ち上がると、そういえば昼食を誘われていたと思い出してそう相手に伝えて。)
( 会話をしていると、ふと相手の言葉に自身も時刻を確認する。相手の言うように次は別々の講義である為、別れなくてはいけないのか、と表情にこそ出ないが、何となく大きなしっぽが垂れ下がったような悲壮感が漂う。
しかし、昼休みに連絡をくれると聞くと、そのしっぽも再び大きく左右に振られ、単純な本質が垣間見えることだろう。その言葉に頷くと、荷物を持って立ち上がり「あとで」とだけ返すと、手を小さく振って講義へと向かった。
──その後の講義は、しっかりと内容を聞いているものの、何処か落ち着きようのないソワソワした心地がして、何度も時計を見て時刻を確認してしまう。
そんなこんなで、少しばかり終了時間か過ぎた頃にやっと講義が終わると、携帯を取り出して、上の方に登録しておいた相手の連絡先をタップする。)
“ ごめん、今終わった。どこにいる? ”
( 講義が思ったよりも長引いてしまった。携帯の振動に気がつくと相手からのメッセージが届いており、こちらから連絡すると言いつつ遅くなってしまったことを詫びて。)
" おそくなってしもうた。すまん。こっちも今終わったところ。食堂前集合にしよか? "
( 荷物をまとめて鞄を持つと、いつもなんとなく一緒にいるメンバーから昼食を誘われるが先約があるとそれとなく断り食堂への道を早歩きで進み。 )
“ 大丈夫だ。先に行って待ってる。”
( どうやら向こうも講義が長引いたらしく、謝罪のメッセージを受け取ると上記を返信してそのまま食堂の方へと歩みを進める。
やはり食堂は人気なもので、講義終わりの学生が次々とやってくる。約束の場所に着いたはいいが、席だけでも取っておこうか、なんて悩んでしまう。だが、すぐさま遠くに相手の姿を見つけると、「名取」と其方の方へと駆け寄っていき、その勢いのまま抱きついてしまう。やはり、周りに人がいようが此方としてはお構い無しらしい。
流石にすぐさま身体は離したものの、バグったような距離感は変わらずで、平然と話しかける。)
授業お疲れ、お互い遅くなっちゃったな。
わりぃ、待たせ…た……!!
( 結構急ぎ足で向かったものの、講義室から食堂まではそれなりに距離があり時間がかかってしまった。当たり前だが食堂はすごく混んでいることが遠目からでも分かる。相手の姿を見つけ手を振ってアピールをするとらなぜか相手の方が近付いてきてなんの躊躇いもなく抱き締めてくるものだから、また顔を真っ赤にして。文句でも言ってやろうと思ったがすぐ離れて、何事も無かったかのように話をする彼の様子に何だか悔しくなりその文句は飲み込んで。)
……佐倉、…なんでもない。
おう、そっちもお疲れ。食堂空いとるか?別に食堂やなくても購買でなんか買って食べるのでもええけど。
…とりあえず、席、空いてるか確認しようか。
空いてなかったら、中庭で食べるのものんびり出来ていいよ。
( 何やら言いかけた様子には首を傾げるが、その後は特に気にする様子もなく相手の話に耳を傾け返答を。
自分は普段購買で買って食べることが多いが、食堂に人が流れている分、そこは静かで落ち着くらしい。それ故に、食堂がいっぱいならそれもありかと提案してみる。
そうして並んで歩いていきながら、ふと、暫く経っても彼の友人達の姿がない事に気がついて。)
名取、そういえば…今朝一緒にいた人達はよかったのか?
いつも一緒にいたんじゃ…。
ん?
いや、佐倉に他のやつ一緒にいてもいいか聞くの忘れたし、もしかしたら人数多いの苦手かと思って。
( 他の友だちについて触れられると、いつも一緒に食べているわけでもないし、約束をとりつけているわけでもない。それに相手がもしかしたら複数人でいることが苦手だったらと考えると今日は1人の方がいいかと。)
…気を遣わせたな、ありがとう。
俺は、名取の友達なら構わないけど…、あぁ、それはそれで気を遣わせてしまうか……。
( どうやら此方の事を気遣ってくれたらしく、それにより友人との時間を奪ってしまったことには罪悪感はあるものの、ここは素直に礼を述べておく。自分としては彼らのグループに入るのは苦ではないのだが、それによって彼等の方が難儀な思いをするかもしれない。そう思うと、たまにしかこうやって会うことはできないだろうか、と心の中で考える。
食堂の中へと着けば、予想通り随分と賑わっており、大勢の学生が出入り口を行き来する。そんな中、人にぶつからないようにと無意識に相手の肩を抱き此方へ引き寄せる。)
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