アイドル様 2023-09-16 18:48:49 |
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……そうか、それなら良かった
(彼の悪い所でありいい所である、人を疑わないというその性格。忘れてるのなら良かった、なんてひとりでに安心して。一応形式上の出禁にはなったが、嫌な予感しかしない。出禁になったファンなどはいくらでも見てきたからこそ、そういった奴が素直にききいれるわけが無い。おそらく、どんな形であれまた接近してくると踏んでいる。前の握手会の後の舞台では少しだけ彼女の様子が違った、ほんの少しだがパフォーマンスが下がっていたように感じたが、それを彼女に伝えると嫌だろうと思い口には出してなかった。「次の握手会では俺がすぐ側につくことになった」ともう決まっていることを告げて。いつもは握手会とは別の所で仕事をしているのだが、上に頼み込んで隣にいることを許して貰えた。「だから次、何かあったら俺がお前を守るよ」と、天然だからこそ言える小っ恥ずかしいセリフを口にして)
、─── 。
( マネージャーがすぐ側に着きながらの握手会というのは実に異例だ。さくらはぱち!と長いまつ毛に囲われた桃色を大きく見開いてそんなことある、と口を開こうとした途端、その言葉は彼の真っ直ぐな言葉にかき消されて。まるで少女漫画のヒーローのような言葉にさくらの頬がぶわ、と薄紅色に染まれば其れを隠すようにぬいぐるみに顔を埋めて。「 あたりまえでしょ、……雪城さんは、私のマネージャーなんだから。 」とぬいぐるみでくぐもった小さな小さな照れ隠しを返しながらなかなか下がらない頬の熱とどきどきと煩い心臓を納めようと必死で。演技なら、お芝居なら、どんなにカッコイイ俳優に口説かれても平気なのに。心からの純粋なこういった言葉にすこぶる弱いのか、それとも相手が彼だからか。さくらは照れからうるんだ瞳とキュ、と下がった眉で彼の方を見つめれば〝そうでしょ、〟と言いたげに。 )
ああ、俺はずっと…これからも、お前のマネージャーだ
(彼女には言ってないことがある、実はいろんな事務所からヘッドハンティングをされることがあったりもする。でも彼女の成長を近くで見守りたいから、どんないい条件であっても断ってきた。そんなことを繰り返してきたから、きっと言い目では見られてないとは思うのは分かっている。彼女が許す限り、自分はマネージャーでありたいと思っている。ぬいぐるみで顔を隠すように抱いている彼女に、もう一度約束するように言うと同時に、タイミングよくお風呂が湧いたと給湯器から音楽が流れて。お風呂場へと顔を向けて「冷めないうちに入ってくるか?」と提案して
入ってくる、!
( なんていいタイミング。彼に提案されたのとほぼ同時にぱっとソファから立ち上がってはその勢いのまま─── ではなく、大切なぬいぐるみだけはそうっとソファに座らせてからぱたぱたと逃げるように浴室に駆け込んで。 先程から体からなかなか逃げてくれない熱を冷ますように少しだけ冷たいシャワーを彼女にしては珍しく頭からざっと被れば、だんだんと火照った体も冷めていくようで。湯船はもちろん熱くもなく冷たすぎない自分が好きな温度感で、「 ……甘やかされすぎている…… 」と浴槽に小さく響いた言葉は、自戒するような言葉とは裏腹に甘ったるく蕩けた少女の響きで溶けていき。 )
…そういや、パジャマ持っていったか…?
(ソファに行儀よく座らさせたぬいぐるみにふ、と小さく笑って部屋の掃除をしようと立ち上がるが、ぱたぱたと浴室へ行った彼女の姿を思い出しながら、着替えを持っていたかを不安になって。まだ水音がする浴室の前で、何か不味いことをしている気になって少し咳払いをする顔は、ほんのりと頬が染っていて。小さくノックしてみて「…すまん、着替えは持って入ってるか」と本当に申し訳なさそうに話しかけて)
─── きもちい。
( ちゃぷん。ぽとん。楽器のように可愛らしい水音を奏でる浴槽内で上機嫌で足を伸ばしたり浮腫を解してみたりしている最中。先程までの握手会への不安やら嫌悪はいつの間にか胸の奥からなくなり、なんなら少しだけ睡魔すら襲ってきたような感覚さえする。が、ふと聞こえたノックの後に告げられた質問にサーッ、と顔色を青くしたかと思えばそのままぽわわ、と頬を真っ赤に染めて「 ……何、も、持ってきてない。 」と申し訳なさそうな彼の声の響きとは裏腹に実に気まずそうな、どうしようという迷いすらも感じられる声色で言葉を返して。 )
……だよな、さっき急いで行っちまったしな
持ってきてもいいけど、その…大丈夫か?
(浴室から響く声に苦笑いをして、髪を指でかいてみて。おそらくリラックスしてる時に悪いな、と思いながらも。服とかの場所は一応は把握しているし、持ってくるのは難ではない。…だが、一つだけ問題がある、そう下着だ。このご時世でなくても、女性しかも未成年の下着を手にして持ってきたら、警察案件なのは間違いなく。でも持ってこない限り、彼女は浴室から出られない。こうなったら腹を括るしかないかと大きく息を吐いて「今から持ってくる、……下着の場所、教えて貰っていいか」と聞く声はかなり震えていて。こんなことバレたら大変な目にあうな、とぼんやり考えながら)
……クローゼット、の、中の。ピンク色の、引き出し。
( 下着。その単語が出るとさくらの顔の赤みはさらに深くなり、自分がこうして答えるのも彼にこんなことを聞かせるのも気恥ずかしくて声は小さく震えてしまう。しかも自分の下着収納の仕方的にどう足掻いても彼に下着を見られてしまうのは確実で。自分のクローゼットに可愛くない下着、見られて困る下着なんてないけれど恥ずかしいことは変わりない。さくらは「 ……ありがと、 」と小さな声でお礼を述べたあとにちゃぷ、と水音を鳴らして口元まで湯に浸かって。 )
…分かった、すぐに持ってくるから5分は上がるなよ
(小さな声で言うお礼を聞いたあと、そう残して足早に去っていく。クローゼットの中からいつも着ているであろうパジャマを手に取ったあと、覚悟するように息を吐いてピンクの引き出しを引いて。女の子の下着なんて見る機会なんてないから、正直どれがワンセットなのかも分からず。あまりまじまじと見ないようにして手前にあったセットを指でつまんで、慌てて浴室へと帰って。少し息切れした声で「これ、置いとくからな」と、パジャマの下に下着を置いて出ていって)
あ、ありがと、……。
( 湯船に浸かったまま動かず、一体いつまでそうしていただろうか。実際に経った時間は数分程度なのだろうけれど、さくらにとってはその時間が1時間にも2時間にも感じられて。ぱたぱたという足音のあとに聞こえた彼の声にびく!と肩を跳ねさせては緊張の隠しきれない声で先ずはお礼を。どの下着を持ってきたんだろう、選んだのかな、というか下着触らせちゃった、だなんて色んな考えがぐるぐると渦巻いてはそのまま脳内で散らかっていく感覚を振り払うようにふるふると首を横に振っては彼が出ていったのを確認してからバスルームから出て水の滴る髪やら火照った体やらを吹き始めて。 )
………はぁーー、なんか疲れた
(置いた後に逃げるように脱衣所から立ち去って、リビングに入った途端、扉の前で座り込んで長いため息を吐いて。だんだん落ち着いて来た頃にじわじわと、下着なんて選んでいる暇なかったから、アレでよかったのか?と思ってきてしまい。視界にちらっと写ったのは白のヤツだった、気がする。彼女が帰ってくる前にこんな姿を見せるわけには行かず、冷静をなるべく装って。ほとんど汚れていない部屋を片付け始めて)
(/レス遅れてすみません!)
─── ……しろ。
( さて問題の彼が持ってきた下着。白くてレースとリボンの着いた、いかにも清楚系ですといったような其れを前にさくらはバスタオルを体に巻いたままぽそりと呟いて。こういうのが好きなのか…なんてダンスの振り落としをしている時のように真剣な瞳でそんなくだらない事を考え込んだ後に少し気まずそうにそれらを身につけては、しっかりとパジャマを着て、髪を乾かして、長く艶のある髪を三つ編みのお下げにしてからリビングにこっそりと戻ってきて。「 …上がった、よ。 」ぽそぽそと小さな声でそう告げたのは、恐らく今自分がどんな下着をつけているかが彼には知られてしまっているという羞恥心からなのだろうか、桃色の瞳は照れくさそうに宙を泳いで。 )
( /とんでもないです!お気になさらず……!!! )
あ、上がったか。
もう夜も遅いし寝るか?
(さっきの事があったからか、少し気まずそうに彼女を見て目を逸らして。姉と妹がいたから女性用の服や、その下着なんかも見たことはあるのに、その時とは全てが違っていて。変に意識してしまっている。お風呂上がりは水分補給が大切だと誰かが言っていたのを思い出しながら、冷蔵庫から出したミネラルウォーターをグラスに注いで、机へと置いて。時計を見ると、もう人が寝るにはいい時間になっていているのに気付いて。長居するのも迷惑だろうしと帰る準備をしながら)
─── ありがと。
( ちょうど水分を摂ろうと冷蔵庫を見た矢先、グラスに注がれたミネラルウォーターにぱち!と大きなまつ毛に彩られた瞳を開けば素直に彼の行為に甘えようとそのミネラルウォーターを一口飲んで。冷たく喉を潤すミネラルウォーターと共に先程まで煩かった心臓もだんだんといつものゆったりとしたテンポに戻っていくように気持ちも落ち着いていき、小さな息をふ、と吐いて。「 、…ん、 」確かにもう寝るにはいい時間だし、明日のスケジュールを考えるのであれば寝た方がいいのは確かなのだが。それでもどうしても握手会のことをふと考えてしまえば不安な気持ちがふつふつと湧いてきてしまう。それが1人であれば、尚更。だがそこで上手に甘えられるような女の子ではないのが、自分がいちばんよく分かっている。さくらは「 寝るわ。雪城さんもお疲れ様。 」とグラスの中のミネラルウォーターと心の中のもやもやを全て飲み干せばこん!とテーブルに空になったグラスを置いて。 )
( / このあと場面展開の際に握手会まで飛ばしてしまってもよろしいでしょうか…?? )
ああ、お疲れ様
ゆっくり休めよ
(ミネラルウォーターを飲む彼女を横目に、自分もスケジュール帳を開いて確認して。今はやっぱり握手会のことが頭にいっぱい埋まっていて、気が抜けない状態だ。まずは彼女の安全と、心の平静が大事なの分かっている。でも強がる所があるのは分かっているから、きっと俺なんかには心のうちは言ってくれない。…さすがにここに俺が泊まるなんて事は許されないだろう、いまさっき罪悪感の残る事をしたと言うのに、更にスキャンダルのような事をする訳にはいかない。でも、心配になってしまって。まるで捨てられた犬のような目線で彼女をちらりと見て。)
(/大丈夫です!
ぜひ、場面展開よろしくお願いします!)
……。
疲れて、たら。泊まってっていいから。
( 部屋から出る直前。ぽそり、と呟くように零したのは遠回しに〝泊まっていって〟と強請るような言葉。だがあくまで強制はしたくないので、彼がもし疲れていて、もし帰るのが手間なら、という言い訳を並べた上でなのだが。こういう不安な日は一人でいたら大概眠れないのがセオリーなのだ。言葉こそ素っ気ないものの〝泊まっていって〟とお強請りの透けて見えるような不安に揺れる桃色の瞳を彼に向けては「 布団、クローゼットにあるから、……もし泊まるなら、だけど! 」 と付け足してぱたぱたと自室へと入ってしまい。 )
( /ではお言葉に甘えて次あたりで転換させていただきますね…! )
………それなら、お言葉に甘えるか
(部屋を出る直前で彼女の言葉に足を止めて。素直に不安だと言えないことは分かっているから、見えないように小さく笑いながら、春原らしいななんて思いながらにっと笑った顔を彼女に見せて。この部屋のことは自分の部屋の次くらいに知っているくらいに詳しいと言ってもいい。クローゼットからあまり使われてない布団を取りだして、リビングへと敷き始めて。「何かあったら言えよ」なんて言ったはいいが、こんなセキュリティが完璧な家の中で何もあるわけないが、と苦笑いしながら)
─── …。
( 握手会当日。楽屋にまで会場のざわつきや賑やかさが届く様子は、さくらの緊張を更に高めさせる。白いレースやリボンがふんだんにあしらわれたプリンセスラインのミニワンピースは歩く度にふわふわと揺れるフィッシュテール。清楚さと可愛さを共存させるその衣装と編み込みツインテールは女の子の可愛いを全て詰め込んでおり、さくらもお気に入りの衣装のひとつとなった。メイクスタッフや他のスタッフが全て楽屋から出払った今、いつものきらきらスマイルもなく緊張した面持ちで目の前の女優鏡を見ればそこに移るのは不安げに眉の下がった女の姿。「 ……情けない。 」とぽつり、と呟けば誰もいない楽屋に深いため息を落として。 )
昨日は何もしてませんって、その…
彼女?居ませんって、こんな俺と付き合ってくれる人なんて居ませんよ
(彼女の楽屋の前で先輩に話しかけられて。昨日電話繋がらなかったけど、何かあった?なんて聞かれて口ごもってしまう。姉と長時間話していたなんて言っても、女か?なんて言われるだろうし、と考えて苦笑いしてみると、やっぱり彼女か?なんて聞かれる。大学の時は彼女とかは一応居たが、社会人になってからは全く女の気がなく。謙遜というか事実を述べると「もったいねぇな、お前」なんて背中を叩かれる。そんな先輩に軽く「もし俺でもいいって方がいたら紹介してください」と冗談混じりに返して彼女の楽屋の扉をノックして「雪城だ、入っていいか?」と確認するように声をかけて)
ッ、どうぞ。
( いつまでそうしていただろうか。ふと楽屋に響いたノックの音とよく聞きなれた彼のテノールにびく!と薄い肩を跳ねさせては少し慌てた様子で入室の許可を。呼吸と気持ちを整えるためにぺちん、と軽く両頬を叩いては深呼吸をして「 もう会場入り? 」と部屋に入ってきた彼の方を振り向けば、ファンがよく彼女を表すのに使う天使という表現が良く似合うような美貌の中に気心知れたものがよく見なければ分からないほどの不安を滲ませながら首を傾げて。 )
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