掲示板ファンさん 2023-09-16 14:07:27 |
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( 翻る白衣のポケットに両手を突っ込み、まだ朝の残る陽が当たる機関の廊下をカツカツと革靴を鳴らして歩く。その音には不機嫌のリズムが含まれて、それを察知した他者達は己に進路を譲るように端に避けて目を逸らし。だがそんな事を意に介する気は欠片も無く、真っ直ぐに向かった先は、来客も機関内の人間も利用可能となっている、待合室を兼ねた一階ロビー。其処の壁際に設置された自販機にて、カップタイプの熱い珈琲を注文すれば、数分足らずで出来上がったそれを左手に傍のテーブル席にドカリと腰を下ろし。そのまま脚を組んで右手で頬杖を突き、何も入れず苦いだけのカップの中身に口を付けた後に、液体が波打つ乱暴さでそれをテーブルに置く。「……あの身勝手な、お上どもめが…っ」直後に元より刻まれた眉間の皺を更に深めて吐き出したのは、午後出動だった筈の己がこの場にいる、今は離れた原因に対しての苛立ち孕みの文句。その先にも幾つかの恨み言を歯軋りの隙間に流しながら、少しの憂さ晴らしのつもりで口に運ぶカップの縁に歯を立てて )
(/という訳で、先レス失礼させて頂きます!絡みの初回という事もあって少々短めになってしまいましたが、どうかこれからにご期待下さい…!あ、あと、私のロルで合わない部分等ありましたら、全力で修正させて頂きますので、バシバシお申し付け下さい!それでは、改めまして、これから宜しくお願いします…!)
(歩を進める度、機関の廊下にピンヒールの高い音が響く。背筋を伸ばし、楽しげに鼻歌を歌いながら歩くその奇抜な姿に他の職員達は一瞬ぎょっとしたような表情を浮かべた後、右側を歩く自身を避けるように左へと歩く道を変更する。それを気に留めるでもなく、相変わらず鼻歌交じりにロビーにやって来てみればテーブル席に腰を下ろす、目に見えて苛立っている様子の、近寄り難い雰囲気を放つ相棒が座っているのが目に入った。取り敢えず自身も自販機でアイスココアを注文し、備え付けのシュガーとミルクを混ぜたカップ片手にそのテーブルへ向かい、隣に腰を下ろす。「やっほ~、相棒!今日何か機嫌悪いじゃ~ん、どしたの?」
いつもの軽い笑みと声色を湛え、甘ったるくなったカップの中身を一口啜ってはうえっ、と人工的な甘味にわざとらしく舌を出しつつ眉を顰め)
(いえいえ、こちらこそです!!頑張ってロルの練習をさせていただきますので、どうか生温かい目で見守ってください…!)
( 元が出動予定であった以上、帰る事も出来なければ私用での外出にも制限がかかる。その状況にも腹が立ち始めれば、最早あらゆる事に苛立ちを覚え、珈琲を支える己の手すら睨み付け。その為、自分の視界の端に揺らめく人影の正体に気付いたのは、それが隣に座った時。「……ああ。貴様か、イヴ。」顔を少し上げて視線を合わせ、普段通り見目も言葉も賑やかしい彼の名を呼べば、ほんの僅か眉が和らぐ。「なに、今日の半休を使って、郊外の本屋に行く予定だったのだが…ご覧の通り、『話がある』などと宣ったお上の方々から、それはそれは“有り難いお説教”を聞かされる為だけに、朝一から呼び出しを食らって此処に来たのでな。」それから隣から漂う甘味に過ぎる匂いに無意識とカップを持つ指先で鼻を擦りつつ、現状とその原因を皮肉たらたらに彼へ説明する。――しかし、それでも文句があるからと、用があるからと、そう機関の幹部らを言葉や行動で切ってしまわないのは、とある一つの権利ゆえ。「全く、あんなもの…機関内蔵書の閲覧権が無ければ応じなどしないものを…」そう、前線を担当する己が交渉を粘り、不利な条件を飲んでまで手に入れた、その特権を盾に出されたが故。世間知らずの若い時分に交渉した悔いと、治まりきらぬ機嫌に深々溜め息を吐き出した後、頬杖を外して椅子の背凭れに寄りかかり、「……貴様こそ、何時だろうと上機嫌に見えるが、何か不満は無いのか?」飲まずとも解るその甘いカップを口にした彼のリアクションに、フッと噴き出すように鼻を鳴らした次に、会話前よりは幾分マシになった低音で問い返し )
(/んふふ、いいえ!それじゃあ、お互い楽しみましょう!!(蹴可))
(何気なく問いかけてみると、隣の相棒からは想定以上の皮肉混じりな愚痴が返ってきた。言葉尻どころか言葉の端々からも苛立ちが滲み出ているようで、ああ、今でこの怒りっぷりならその時はよっぽどご立腹だったんだろうなあ、なんて考えながら、手元にある明らかに甘くしすぎたココアをどうしてくれようか、と苦々しく見つめる。
「わ~、朝一とか頭おかしいんじゃないの?アイツらマジ老害だよね~」
果たしてそう思っているのかいないのか、相変わらず嫌そうな表情のまま─明らかに先程より飲むペースは早まっていたが─甘ったるいココアを啜りつつ、言葉だけはしみじみと実感を伴いながら相棒の愚痴に言葉を返す。その後は疲れ切った様子で続けられる言葉にうんうん、と適当に相槌を打ちながら聞いていたが、ふと自身に投げ掛けられた問いかけに一瞬相槌が止まり、考え込むような様子を見せた。「無~い無い!オレ、楽しいことしか受け付けないからさ~。ヤなことは一瞬で忘れちゃうんだよね!人生楽しまなきゃ損だし!」これ幸いと半分程まで減らしたココアを一旦テーブルに置いて大きく手を広げ、相棒に向けて普段よりも一際軽く見える笑顔を浮かべてみせる。その拍子に、腰のチェーンに大量にぶら下がっているストラップがガチャガチャと擦れ合う音を立てた。最後に思い出したかのように「逆に聞くけどさ~、アーネストは楽しいこととか無いの~?いっっつも眉間にシワ寄ってるじゃん。オレみたいに生きろとは言わないけどさ~、もうちょっと気楽でも良いと思うんだけど!」と相棒の顔を覗き込んでみて)
( 愚痴に返ってきた彼の言葉は、語彙は違えど概ね自身が思っていたものと同じであり、それに満足げに口の端を微かに上げる。その後、此方からの質問に詰まるような素振りを見せた彼に、あるのか、と更に問おうと唇を動かしかけ、けれどもそれが形になるより先に飛んできた声と広がった両手に、避ける真似はせずとも目は見開き。「っ……それはまた、随分おめでたく出来ているんだな、貴様の頭は。」すぐに落ち着きを取り戻してから、彼が動く度に鳴る音と仕草の派手さに、けたたましく鳴く南国の鳥を誰知れず想起しつつ、向かう笑顔に低音の毒で包めた滑らかな褒め言葉を返す。だが、此方を覗く目には、顰めた表情は変えずとも頭を僅かに引いて、返事を数秒詰まらせて。「…したくもない仕事をしているのに、機嫌良く、気楽に出来る訳がなかろう……が、そうだな、楽しい事か…」視線を右へ泳がせて、そもそもの根底から生き方の違いを歯噛みしながら伝えたその後、それでも思う所を感じて少々思案を巡らせる。「ルイス博士の新書を入手した時、夜通し本を読み耽る時、新種の毒性を発見した時……あとは…」ダラリと体の横に垂らしていた右手を胸元まで上げ、親指、人差し指、中指と順に折って細やかな楽しみを数え、「……餓鬼が下らん事でも仕出かして、阿呆な姿を見ているのも、まあ悪い気分ではないな。」その最後、己の珈琲が入ったカップの底で、テーブル上の彼の甘ったるいそれを小突き、薬指の数えに入れた“楽しい事”の意味を示して、改めて視線を重ねニヤリと悪どく目を細めて。――しかし、それも束の間。はたと思い至った記憶にまた眉を寄せる。「ん……時にイヴ。貴様、こんな早出だったか?」共に同じ休みを貰っていたような、けれども目の前に確かに居る相棒へ、今度は訝しむ色を言葉に乗せて尋ね )
(相棒が概ね想定通りの反応を返してくれたことに内心胸を撫で下ろす。広げていた手を引っ込め、相棒は相変わらずインドア派だなあ、たまには外に出ればいいのに、なんて思いながらまだ中身の残るココアのカップに渋々手を伸ばしかけたところでようやく、先程の言葉に包まれた毒に気付いたらしい。
「あ~!最後のやつ絶対バカにしたでしょ?オレ、ガキじゃないし~!」
わざとらしく、子供のように頬を膨らませるとガタン、と音を立てながら椅子を立ち、ココアのカップを中身が溢れるのも気にせず乱暴に掴んで、一気に飲み干した。ダン、とテーブルに空のカップを叩きつけるのと同時に…まっず、と実感の籠もりすぎた苦々しい声が漏れる。再び椅子に腰を下ろすと、ココアのついでに購入していたらしいスティック状のスナック菓子をボリボリと齧り始め、新たに投げ掛けられた疑問へ時々咀嚼音混じりに答えを返した。「ん~…実はさ、なんかオレも呼び出されたんだよね~。久々に有給取れたから遊びに行くつもりだったのにさ~…なんでだろ?」最後の言葉を口にした後、怪訝そうな表情で首を傾げる。仕事とか?絶対嫌なんだけど~、と付け加えた言葉を言い終わるか否か、「仕事」の開始を知らせるサイレンが鳴り響いた。「うえ、ホントに仕事じゃ~ん。サイアク!」そう言いつつも自身は椅子から立ち上がり、空になったカップをゴミ箱にシュートする。軽い音を立て、ホールインワンしたのを見届けると小さくガッツポーズをし、「お仕事ヤダ~」と駄々をこねてみて)
さて、そう聞こえたか?( 飲みかけのココアに指が掛かる前、遅れて此方に向いた反論に飄々と言葉を返す。その後、彼が思い切った勢いで甘いカップを仰ぎ――搾る苦い声の顛末に、クッ…と堪えきれずに顔を背けて笑いを逃がし。「ふむ……まあ、考えたくはないが十中八九…」一通りのやり取りを終えて、疑問に答えた相棒の不満そうな音に重ねて予想を告げるその途中、鳴り響く忌々しいサイレンに眉根を指先を押さえ俯く。「……仕事、だろうな。」それから彼の文句と同時に気落ちの色で吐き出した予想の続きの後、舌まで一つ打ってから、珈琲の残りを一息に呷って立ち上がり。彼のカップが飛ぶ先を見届け、自身は丁寧にゴミ箱に近寄って手放し、さてまずは管理室に、と通路に目をやった所で相棒の声が耳に届く。「貴様…よくその口で『ガキじゃない』などと抜かせたな。」呆れ半分肩を落として、悩むように唸った後、「嫌だ、でしたくない事を避けられるのは五歳児までだ。貴様にその権利は無い。」ガリガリと頭を掻き乱し、己自身も仕事嫌悪の苦々しさを顔にはっきりと描きながらも、その駄々を弾き返す。「行かねば置いていくぞ。」突き放す言葉通り、上着のポケットに両手を突っ込みながら数歩は彼から遠ざかって、しかしすぐに足を止めて顔だけ相棒に向き直り、共に来い、と言葉にはせずともジトッと細めた催促の視線を彼に送ってその行動を待ち )
(─案の定毒舌が返ってきた…ま、平常運転だし仕方ないか。自身に言い聞かせるようにして椅子を元の位置に戻し、まだ少し残っているスナック菓子をハイペースで口の中に詰め込んでいく。空になったスナック菓子の容器をもう一回シュートしてみるが、今度は縁に当たって弾かれた。仕方なく立ち上がり、ゴミ箱の傍まで行って手を離した後、こちらに来い、と言わんばかりに自身を見つめている─一見すると睨んでるようにしか見えないが─相棒の方へ目線を投げ、体をそちらへ向けた。
「は~い、分かってるって。言ってみただけじゃ~ん!やるやる、ちゃんとお仕事やりますよ~」駄々をこねてはみたものの勿論本気ではなく、突っぱねられることなど想定内でした、と言わんばかりに大げさに肩を竦め、最後の方は半ば投げやり気味に言葉を返した。大きく伸びをした後に、自身もまた当然のように相棒の方へと小走りに走り寄っていく。念の為に持ってきていたらしい、派手なカバンからは機関から支給されている思念誘導式ハンドガンを取り出してホルスターに押し込み、これまたカバンから良く目立つ、絢爛豪華で派手なデザインの鞘に収納された日本刀型近接武器を掴んで相棒の後ろを歩きながら、「それにしてもさ~、特殊個体のヤツらも暇だね~。わざわざこんな朝っぱらから事件なんて起こさなくていいのにさ~。アーネストもそう思わない~?」半分愚痴にも似た呟きを溢し)
( ゴミ箱への用を済ませた相棒と視線が合って、彼が猫の如く伸びをするまでの一連の仕草を黙って待ち、此方に寄ってくるのを視認出来れば、「……それで良い。」満足げに一度フンと軽く鼻を鳴らし、当たり前に速さを合わせて歩みを再開する。「全く同感だ。騒ぐしか能が無い上、事を起こせば痛い目を見るという事も学べない獣以下どもめ。」通路を歩く間、メンテナンスに武器を預けていた己とは違い着々と、彼を象徴するような煌やかな鞄から、これまた目の眩むような装飾が施された武器を準備していく物音をBGMに、毒づく言葉で相棒の愚痴に肯定を返す。そのまま気乗りのしない足取りで総合管理室に顔を出し、武器を返せ、と挨拶も抜いて一言無愛想に近場の職員に告げ、自身の武器――自身と同じく飾り気も無く真っ黒な姿で、銃器形態の変化を可能としたもの――が手に渡るまでの間に、騒がしい室内のモニターを見上げ、機関から程近い区間で被害を起こしたらしい特殊個体の様子を眺め、「……見ない個体だな。新顔か?」言葉程の興味は窺えない棒読みで呟けば、それが聞こえたのか、それとも義務なのか、また別の職員が状況の説明を始める。しかしそれには相槌すら返さないまま名を呼ばれた先に視線を移し、開いた保存ケースごと持って来られた拳銃形態の武器と、残量が見えるよう内側が透明になった中身入りのマガジンを複数、礼も無く受け取って、「…………行くか。」ただ一言、チロリと己が目を向けた相棒に対してのみ声を掛ければ、渋々ながら現場に向かうべく管理室から足を引き )
(管理室に到着するなり開口一番武器を寄越せ、と言った相棒の武器が運ばれてくるまでの間、ぼんやりと特殊個体の映る大型モニターを見つめながらまだ10代前半、良くて後半だろうか、と思われる子供っぽい特殊個体を哀れむように小さく嘲笑が漏れた。そうこうしているうちに相棒の武器が到着したらしく、相変わらず礼の一つどころか言葉も無しに職員の手から武器をもぎ取っていくのが目に留まった。「はいは~い」もうすっかり見慣れた光景ではあるが、手がケースを持った形のまま固定され、どことなく困っているような表情を浮かべる─多分新人であろう─職員にひょい、と軽く手を振ってど~も~、と口だけを動かして笑いつつ、相棒を追って管理室を後にする。機関の前には自身の愛車である特殊装甲の大型バイクが停めてあり、慣れた手付きでフルフェイスヘルメットを取り出すと黒いシートをさらりと撫でた。乗り込むついでに相棒の方を振り返りつつ「ヘルメットもう一個あるし、乗ってく~?もしオレの運転が心配なら車出すけど~」グリップに片手を載せ、半笑いで声を掛ける。ふかしたエンジンの低く心地良い振動がシート越しに伝わり、どちらか知れない相棒の返答を待つようにもう片方の手で呑気に携帯を触っており)
( 機関の外へ出て直ぐ、立ったのは相棒の愛車の前。立ち止まったのを丁度良しとして、自身の武器に二種のマガジンを装填し、白衣の内側、その腰元のホルスターに一時収納する。それから誘いの声に顔をまた上げ、「解りきっている事を訊くな。貴様の運転に一々文句など言わん。」まずは眉を一方跳ね上げ怪訝な顔で、次に曲がりくねった言葉で、それに続けては、まだ少しの距離がある相棒の元まで歩み寄る足で同乗への肯定を。「あー…“バイクに私を乗せたまま特殊個体に向かって突進する”という愚を犯さなければ、だがな。」しかし数秒呻いて目を横に流し、また戻したその口で相棒にハンドルを任せる上での危惧の内、最も避けたい事柄に先に釘を刺しておく。「とっとと行って、さっさと終わらせるぞ。」――モニターで見た“それ”は、何事かを喚きながら、人の何倍もあろう樹木の根や蔓を振り回していた。さながら、思惑通りにいかぬ幼子が床を暴れ這うように。「…あんな餓鬼の癇癪なぞ、まともに付き合うだけ時間の無駄だ。」あの映像の姿に無性に苛つく手で乱雑に掻き上げた前髪をポンパドールに近い形で纏め、ポケットから取り出したピン数本で固定した後、外した眼鏡をピンの代わりに仕舞い込み、簡素ながら仕事思考へ切り替えを行う。「……くれぐれも、安全運転でな。」それでも仕事への嫌悪自体は滲み出た苦い顔付きで、空の手を一つ彼に向かって開き、相乗りの為に必要なそれを言外に要求し )
(「ね~、アーネスト。オレそんなやばいことするヤツに見えてるわけ~?」馬鹿らしさに思わず僅かに眉を顰め、戯けるように笑いながら両手を広げて肩を竦めてみせた。安全運転で、という旨の言葉には「はいは~い、分かってるって!オレが安全運転じゃなかったことあった~?」最早慣れの域に入りつつある、どこか呆れたような、茶化すような口調で返し、手慣れた調子でもう一つの鮮やかな赤色をしたフルフェイスヘルメットを取り出して差し出された相棒の掌にひょいと乗せる。相棒がヘルメットを装着するのを横目で見届けつつ、先程まで触っていた携帯をポケットに仕舞い、両手をグリップに引っ掛けて思い切りエンジンをふかした。獣の唸り声にも似たエンジン音が何度か低く響き、ふと思い出したように装着してあるサイドカーに自身の鞄と武器をぽい、と放り込む。相変わらず違和感のある、白衣にヘルメットを被った相棒の姿に喉の奥で笑いを押し殺しつつシートの後部に乗せ、「そんじゃ、行くよ~」と背中越しに呑気な声を一つ掛けると愛車を発進させた。大きくもシャープな流線型をした、濃いワインレッドのバイクが風を切り、まだ交通量の少ない道路を駆け抜けていく。そうして現場に向かいつつ、赤信号で停車したタイミングを見計らって「う~、寒…最近寒くなったと思わな~い?」と雑談を投げかけ)
いや。……だが機関の中には、そういった無思慮で命知らずな、『そんなヤバい事する奴』も居たからな。念の為だ。( 彼が肩を竦めた問いには極軽く否定を投げ返す。だが、その後で彼の使った名称を借りて溜め息混じりに落とす音には呆れと嘲笑、泳ぐ目元には物憂いが絡んで、“それ”が実体験である事を如実に告げる。しかし、それも次の言葉が始まるまで。無かったな、と受け取ったヘルメットを被る合間に運転技能については素っ気無い信を返事とし、乗り込んだバイクが走り出す速度に振られないよう、声かけを合図に重心をやや前方に置く。目立つ格好に目立つバイク。時間が時間であれば注目を集めていただろう――が、生憎と今は人目も少ない。それは現場に近付く程更に減って、赤信号で止まる頃には他のエンジンも聞こえなくなった。そんな所で目の前の相棒から誘われた雑談に、「それは貴様が軟弱なんだろう、」まず一番に辛い一言を放ったものの、それは直ぐ様撤回される。「と、言いたい所だが…ここ一週間ほどの間に気温が低下しているのは事実だな。気候も不安定だ。」その先に数値として見た現実をすらすらと繋げ、それから空を仰ぎ見る。――真上は快晴。眩しい陽が当たっている。が、少し視線を下げてずらせば、遠い向こうに黒く淀んだ雲。「……流石にこの気温で、ハリケーンやスコールに晒されての仕事をさせる程、お上が愚鈍ではないと祈ろう。」予想出来得る先の天気に一瞬口を噤んだものの、信号が変わる前に棘の生えた物言いで話を括る。そこからまた暫くは道を進んで、ふと遠目にコンクリートの粉塵が飛び散る様を窺い、それと同時に二輪の振動とは違う揺れを感じ、「……先程よりも厄介さが増しているな。」まだ姿そのものは見えない標的に対してあからさまな煩わしさを声色で示して )
(天気こそ快晴、暖かな日光の下ではあるが、強い風は自身の身を切るように冷たく吹き付けてくる。多少は生地の分厚い革ジャンを貫通して吹き付けてくる冷風にぶるり、と体が震えた。「…だね~」ふと、相棒の目線の先、今走っている道路より少し遠くの場所で飛び散るコンクリートの破片を同じく目に留めてしみじみと呟く。そちら側から吹き飛んできた破片のいくつかがヘルメットのシールド部分に当たり、パラパラと地面に落ちた。信号が変わり、隣のワンボックスカーが発車したのを見るとグリップを握る手に力を込め、現場まで愛車を走らせる。現場近くの駐車場に愛車を停め、脱いだヘルメットをシートの上にぽんと投げ出した。その後にサイドカーから武器を回収し、先程とは逆、相棒を待つでもなくすいすいと楽しげに歩き出すと、先に現場に到着し、周囲の避難誘導をしている職員を見つけて職員手帳を提示しつつ、「ど~も~!イヴで~す」と軽い挨拶を投げる。職員に通された先の、モニター越しでなく直接目にした特殊個体は、モニターよりもずっと子供っぽく─言うなれば10代前半の、まだあどけない中学生か高校生くらいの少年─に見えた。植物を操る異能力なのか、頑丈そうな蔓や太い木の根を振り回して暴れている。「うえ~…面倒臭そ~なヤツだね~」眉を顰め、如何にも嫌そうな表情を浮かべつつも自身の鞄に手を触れた。途端に鞄はバラバラと紙片化し、その紙片を弾丸状に形成し直して、ハンドガンに装填を)
( 現場に、正確には現場傍の駐車場に到着。先を歩く彼を気にも止めず、マイペースにヘルメットを外してバイクを降りる。「……ブラッドフォード。」彼に遅れて大凡十歩程度、通過の直前に素っ気の無い身分証明だけを関係者に掲げ、通された現場の内の、まだ比較的荒らされていない辺りに足を揃える。それから相棒の顰め声に合わせて、四方八方破壊を尽くす木根や蔓の大本、この凶暴性には似つかわしくない程に年若い少年の顔を窺い、それを殆ど同じ音で肯定する。「ああ。話も通じなさそうだ。」何処を見ているのかも曖昧で、発している叫びに意味有る言語の形も無く、此方の言葉が届く余地も隙も見当たらない。その上、真っ向から少年に近付けば、間違いなくあのコンクリートを片っ端から粉々にする力の餌食になる。「――だが、いつも通りで充分だろう。」しかし、だからといって焦る事も、取り乱す事も無い。ただ普段通り淡々とした中に面倒さを滲ませながら、ホルスターから武器を引き抜く。その瞬間、焦点がブレていた筈の少年の目が自分達二人に確かに合い、次には数多の蔓の一本が向けられて、「この程度の相手に怪我など恥だぞ、相棒。」だが、顔色も変えず身体一つ分右に跳んでそれを避け、そのまま追撃を逃れに離れる寸前に視線を相棒へ、不遜に捻くれた言い事と共に確かに届けてから地を蹴る。同時に向かってくる木の根へ銃口を差し、装填したマガジンの内の一方――腐蝕の薬性血液を、弾丸として固めて二発撃ち出し )
(弾丸を装填し終わり、撃鉄を上げた所でふと自身に向けられた、底の知れない闇を秘めたように見える少年の目線にぞくり、と背筋が一気に冷えたような気がした。─こういう特殊個体の相手は、いつまで経っても慣れない。特に子供の相手は。服の下を冷汗が伝うのを感じつつも、相棒の言葉にはりょ~かい、と敢えて軽い調子で返事をした。自身に向かってきた植物が相棒の武器で瞬く間に腐食したのを良いことに、木の根を掴んで振り回す二の腕に取り敢えず一発、弾丸は少年の腕に命中した瞬間元の紙片に戻る。貫通こそしなかったが痛みに怯んだところで、軌道を変えて自身に飛んでくる木の根を猫のように身体を捻って躱しつつ、無理な姿勢から右目にもう一発の弾丸を叩き込んだ。かなり無理のある位置だったが、そこは流石の思念誘導式の補正と言うべきか、物理的には有り得ない弾道で見事少年の目に命中する。あくまでも周囲を取り囲む木の根や蔓は解除しないままだったが、腕と目に合計二発も─元が紙であるとはいえ─弾丸を貰った少年は呻き声と共に片目を押さえながら痛みに蹲った。弾丸を装填したままのハンドガンを一旦ホルスターに格納し、鞘から日本刀を抜くとそのまま少年の方に向かって駆け出し、刃の高熱レーザー部分で自身に敵意を向ける植物を次々に焼き切っていく。「キリないな~、コレ」面倒そうに呟きながらも手際良く弾丸を一発だけ麻酔弾に交換し、少年の元へ辿り着こうと刀を振り回しており)
( 当たった瞬間、融けるように腐り崩れた木の根に効果の程度を確認し、そのまままずは此方を打たんとする蔓を相手取りつつ、少年が壊し地に落としたビル壁の陰へ。尚も向かってくるものは容赦無く撃ち腐らせながら、全体の把握に目を走らせ、隙を見ては相棒の死角に迫る敵意も退ける。少年は彼の攻撃に怯み、動きは鈍っているが、元々の数が数である為か、一向に攻め手が減らず。しかしながら解り易く目立つ相棒側を厄介と見て力の多くを割いているのか、此方を気に取るものは少しずつ減り、それを都合良しと特殊個体本体を窺う。「……埒が明かないな。」攻撃が激しくなる一方で、自らを守るべく蹲る少年自身の周りを囲む植物が、より強固に編まれていく。手数も減らせど減らせど湧いて、相棒の進みは思わしくない。「…ふむ。」一言。思い至った様子で声を溢し、手にある拳銃に意識を向ける。刹那、武器の形が一度曖昧に解け、また組み上がる。それから出来上がった形――ライフル銃のマガジンを一度外し、白衣のポケットからまた別のものを装填する。そうして陰から定める目標は、相棒と少年の間に道を拓く為の二箇所。相棒を狙い続ける植物の根本と、少年が作り上げた防御壁で最も薄い天井部。撃ち出す血液弾の効果は、「――ルートは作ってやる。だから、」着弾の瞬間に炸裂する爆薬。「さっさとその癇癪小僧を眠らせろ。」届かせる気も無い言葉と同時、開拓に使われるニトロ宜しく大仰な音を立てて爆ぜるそれを、此度は薄めもせずに原液のまま、己が定めた根元に二発、天井部に一発、計三発分のトリガーをほぼ連続で引き )
(自身のものではない、トリガーを引く音とほぼ同時に鳴り響く強烈な炸裂音。背後から自身に迫ってきていた蔓が弾け飛ぶのを横目に振り返り、「さ~すがアーネスト、分かってる~!」植物で見えない相棒に向けてヒュウ、と楽しげな口笛を一つ、爆薬で作られた植物防壁の僅かな隙間をするりと潜り抜けると、相変わらずしゃがみ込んだままの少年の近くまで歩み寄る。まだ呻いている彼の右腕を掴み上げ、「は~い、チクッとしますよ~」と冗談めかしながら急所を外し、彼の二の腕に躊躇なく麻酔弾を撃ち込む。今度はいくら急所を外してやったとはいえ実弾、少年は驚愕と恐怖の混ざったような瞳で一瞬自身を見つめた後、ふらふらとその場に倒れ込むようにして瞳を閉じた。特殊個体確保~、とどこか間の抜けたような声を上げながら少年を雑に担ぎ上げ、主を失ったことで急速に枯れていく植物の間を通り抜け、途中で少年は別の職員に引き渡し、紙片化したままの鞄を復元した後、相棒の待つ場所まで歩いていく。軽く手を上げながら「サポートサンキュ~、アーネスト!」と笑ってみせて)
( 狙い通りに命中し、此方はスコープ越しに相棒の足取りを見届けて尚、構えた銃口は特殊個体へ、今度は麻痺毒を装填して照準を合わせる。暫し経って、辺りを縦横無尽に巡っていた植物達が色褪せ、朽ちていく風景にようやっと警戒を解いて立ち上がり、拳銃形態に戻した己が武器を収め直す。「いや。貴様らが随分のんびりと遊んでいるようだったからな。少し発破を掛けただけだ。」壁陰から出て直ぐ、彼の上げる手に此方も控え目ながら同じ仕草で応えた後、また悪たれ口を嘲弄混じりの無遠慮さで叩き、それから一息吐き出し顔を仰向く。空はまだ青天、禍々しい音や叫びが聞こえなくなった事に仕事を確かに終えた実感が湧く、少しの清々しさの中、「後は、報告……」自ら呟いた次の業務に、数秒動作が停止する。――その間に思い出したのは、今朝の幹部からの呼び出し。そして小言。折角吐き出した疲れを又吸い込んだように、思い切り顰めた顔を目元まで左手で覆って俯き、喉の奥から唸りが漏れる。「……貴様だけ報告に行ってこい。私はこのまま帰る。」十中八九叶わぬと解っていようと、露骨な不機嫌に低く落ちるそれを言うが早いか、前髪も眼鏡も、正していた姿勢さえ普段の陰気に戻し、回れ右と大きく踵を返して )
(/ どうも一週間ぶりです!アーネスト背後の私に御座います!ぼちぼちと始まりのバトルも終わりの空気を纏ってきましたので、お次のご相談がしたくて顔を出させて頂きました!主様、この後の展開に何か案など御座いますか?私としましては、二人の私生活が見える日常編、どちらかが負傷するピンチ(軽度)編、初対面時の印象を垣間見る初邂逅編など、色々考えておりましたが、是非とも主様のご意見をば…! )
(相変わらずのつれない対応にも慣れた様子で「え~、オレそんな手間取ってた?ま、何にしろ助かったよ~、あんがと!」と対応し、軽そうな笑顔は崩さないまま再び謝意を述べた。さて次は報告、と言いかけた所で眼の前の相棒があからさまに嫌そうな態度になっていくのが分かる。案の定理不尽なことを言って帰ろうとするのを、「は~い、お兄さんストップストップ。こっちに回れ右!」普段の近寄り難そうな、というよりキノコでも生えていそうな雰囲気を纏って帰る、と言って踵を返す相棒の肩を素早く捕まえ、呑気に声を掛けて自身の方へくるりと振り向かせる。「帰る、って何で帰るつもりなの~?オレのバイクで来たのに?…オレだって報告なんてヤだけどさ、頑張ってるんだよ~?ほら、行くよ~」声だけは優しく、だが有無を言わせぬ様子で相棒の肩を捕まえたまま、駐車場に停めてある愛車の方へとぐいぐい押していく。そのままバイクの前に立たせるとシートに乗せていた赤いヘルメットを取り、些か乱暴に被せながら無理矢理シートに座らせた。自身も同じく赤いヘルメットを被るとグリップを握り、行きと同じように思い切りエンジンをふかす。ふと思い出したかのようにオレたちの分の駐車料金もついでに払っといて~、と後ろを着いてきていた職員に声を掛けた。困惑する職員の返事を待たないまま、腕力だけで前輪を大きく振り上げると一時停止のバーを軽々飛び越えて駐車場を後にし、機関への帰路を辿って)
(お話とは関係ありませんが、個人的な性癖を叫ばせてください!!アンドロイド系男子って良くないですか…?普段は感情の起伏が少ない子が何かの拍子に笑ったりすると非常に萌えます!!強面なのにビビリ、可愛いのに強い…などギャップのある子だとか、褐色肌も色白肌も好きですし、中華系とか方言とかピアスとかetc…!!!…ふう、発作が…失礼しました。日常ほのぼのからの負傷シリアスの温度差で風邪を引きたい人ですので、まずは日常ほのぼのから展開させようかな~と思っております)
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