斎藤 悠介 2023-09-13 21:51:55 |
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( 遅くもあるが徐々に涼しくなってきた夏休み明けの秋口。2年の社会を担当していた教員が育休に入り暫くの間担当が自分に移り、初めての授業。思ったより教室は静かで3年の授業をするよりスムーズだ。冗談も通じてやりやすいことこの上ない。軽い談笑を含めて授業を進めていたそんな中、少々気を惹く生徒がいた。日光に当たってきらきらと輝く白金の髪、眼鏡の奥に見える瞳は深海のように綺麗で引き込まれるようだった。授業終わり、珍しいからか生徒に囲まれ教材を片付けていたが一人では運び切れそうにない教材を見て一瞬黒板に目を移した後にふと声を掛け )
あー...日直の天羽くーん、良かったらなんだけど運ぶの手伝ってくんない?
(/最初なので少々長めになってしまいました...すみません!よろしくお願いします!)
( 育休に入った代わりに2年生の社会を教えてくれることとなった斎藤先生。前々から女子生徒の間でも人気があり、さらにはそのフレンドリーさから男子生徒からも支持が高い。今日の1時間の授業でその理由が何となくわかった気がする。話が面白いだけでなく授業はとても分かりやすかった。休み時間に入ると日直であった自分は黒板を消し、生徒に囲まれている先生を少しだけ横目に見ながら元に戻ろうとしたとき。まさかの声かけに目を丸くして。周りの女子生徒からずるい、と言った視線を向けられているのには少しばかり困ったが、断る理由はないため返事をすると相手の元へ)
え?…はい、わかりました。
これ持っていけばいいですか?
(/初回ありがとうございます!!わー悠介くんが先生してる!!と興奮してしまいました笑 こちらも少し長めになりましたが、よろしくお願いします!)
そう。ありがと、筋力はあるタイプなんだけど流石にこの量は面倒いなって思ってたから有難い。
みんな、次の授業あるからごめんね。また話そ
( 自分へと寄って来てくれた彼、流れるプラチナブロンドの髪が本当に美しい。表情を綻ばせ礼を言うと教材の半分以上は手に取り、周りをへらりと笑ってあしらってから教室を後にする。廊下を少し歩いた所で振り返り )
本当にありがとう。すれ違ったことはあるけどちゃんと話すのは初めてかな。確か、美術部だよね?去年の文化祭の絵がすごく綺麗だったからちょっと天羽くんの事気になってたんだよね。
(/こちらこそ!生徒の唯織さんがもうすでに愛おしいです笑 色々イベント発生させたりする予定なので、その時はご相談させてもらいますね!!(蹴可)
え?俺の描いた絵見てくれたんですか?
…なんかそうやって感想言ってくれる人って中々いないからちよっと恥ずかしいです。
( 教材を手に持てば教室を後にして。そのまま歩いていれば振り返りこちらを見た相手に視線を移し、まさかの言葉にメガネの奥の目を僅かに見開いて。勝手な想像だが相手は絵には興味はないだろうと思っていたため、びっくりしたのだ。その後は褒められなれていないのか少し困ったような、しかしながら恥ずかしそうな何とも言えない表情を浮かべて。)
うん。俺、あんまり美術に触れて来なくて詳しい事は分からないんだけど「あー、凄いな」って思った。
あの時は美術部の顧問の先生に"すごい生徒がいる"ってゴリ押しされて見に行ったんだけど行って正解だった。
天羽くんの絵を見てからちょっと絵画とかに興味湧いたし...ふは、恥ずかしがらせてごめんね。でも本当に綺麗だったよ、今年のも楽しみにしてる。
( 眼鏡越しに視線が合ってそのまま立ち止まる。正直な気持ちを話すと相手の少々恥ずかしそうな表情と言葉に胸が微かに温かくなりゆるやかに目を細めて笑うと、教材から片手を離してポンと軽く頭を撫で )
…はい、頑張って描きます。
( 自分より少しばかり大きな手が頭に触れて撫でられると妙に落ち着く感じにほっとして。相手の言葉は実は涙が出そうになるくらい嬉しいもので、少し俯くとこくんと頷き。今年も文化祭までに絵を描くのだが未だ手をつけていない状態、というよりもテーマが決まらず描けないでいることは言えず。教材を持つ手に自然と力が入ってしまって)
…どした?なんか不安な事でもある?
他の先生よりちょっと見た目派手で頼りないかもしれないけど、何か悩みあるんだったら聞くよ。
ほら、顔上げて。無理強いはしないけど、言えるなら言ってごらん?
( 相手を見ていて少し感じた違和感、勘違いなら申し訳ないが生徒、それに気になる子が何かを抱えているなら支えになりたい。冗談を交えつつ先程よりは優しく、ゆっくりと慎重に言葉を発すると柔らかな笑顔で微かに小首を傾げて )
…、実はテーマが決まらなくて。未だに描き始められてないんです。文化祭に展示するためにはもう描いてないと間に合わなくなるし、それで悩んでて。
( 相手からのまさかの声掛けに少しだけ顔を上げれば、眼鏡の奥で瞳を揺らしながら困ったようにそう言い。担任でもない、ましてや顧問でもない先生にこんなことを相談しても、といつもなら思うのかもしれないが、何故だか目の前の先生には話してみようという気になったようで。)
なるほど、テーマか...。
んー......そうだ。今度の土曜に俺、ツーリングに行くんだけど天羽くんも付き合ってくれない?
アイデアが浮かばない時は外に出たらいいってどこかで聞いたんだよね。そうじゃなくても気分転換になればって思うんだけど、どう?
( 話を聞いて悩みの種が分かり、ほっとするも解決策がパッとは浮かばず少し悩んで間が開くが思いついたように声を上げるとにこやかにひとつの提案を。いきなりの誘いで驚かせてしまうだろうか、なんて考えたが少し気になる子の悩みを解決できればと)
ツーリング?
…え、でも俺なんかついて行ってもいいんですか。
( 次の瞬間相手からの誘いの言葉には不思議そうな表情を浮かべ。ツーリングという言葉にピンとこなかったが、そういえば授業で先生はバイクに乗るのが趣味だと言っていたなと思い出して。しかしながら、突然ついていっては迷惑ではないだろうかと眉を八の字に下げて不安げに聞き、内心としてはせっかくのお誘いなのでもちろん行ってみたい気持ちが大きくて。)
俺なんかって...全然いいよ、てか来て欲しい。
一人より二人の方が楽しいし、天羽くんと行きたい。
それに、今回行きたい所カップル多そうなんだよな...中に泉がある洞窟なんだけど、差し込む光がその泉に反射してハート型みたいに見えるんだって。近くにコスモスとかススキとかめちゃくちゃ綺麗に見える草原があるらしくて、見に行きたくてそこに決めてたんだけど...天羽くんが一緒じゃないと先生、心細くて行けないかも。
( 拒否される事も想定していたが思ったより好感触で胸が微かに踊る。不安そうな顔を見て可愛い、だなんて思うが口には出さずにくつくつ喉を鳴らして笑い、無遠慮に頭をわしゃわしゃ撫でるとその後にわざとらしく悩ましげな表情を浮かべてつらつらと言葉を並べつつ肩を竦めて )
……行きたいです。お願いします。
( 不安げな表情は相手の話を聞く度に少しずつ期待に満ちた表情になり。頭の中でまだ見ぬその景色を想像するだけでワクワクとし、なんだかそこなら自分の探し求めているものが見つかるきがして。ぺこりと頭を下げると言葉に甘えてお願いを。しかしながら先生ならば相手なんて探せばたくさんいそうだがと思いつつもそれは言わずに)
...ほんと、可愛いね。
ちょっと待って、デート...ってかお出かけの打ち合わせの為に俺の連絡先書くから。
( 好ましい返事に表情を緩めれば小さな声で本音を呟くも、何事も無かったかのように片手でシャツの胸ポケットからメモ帳を出すともう片方で持っている教材の上でさらさらペンを走らせて連絡先を流し書く。それを差し出すと一応、と自身の唇に人差し指を立てて )
連絡交換したのは友達にも内緒ね、こうやって交換するの、天羽くんが初めてだから。
あ、はい。
…そうなんですか。分かりました、秘密は守ります。
( 可愛いとか、デートとか聞き馴染みのない単語には不思議そうにするも、特に気に留めないことにして。連絡先の書かれた紙を貰えば、嘘か本当かは分からないが生徒と交換するのは初めてという相手の言葉に意外そうな顔を示しつつ、ポケットにしまい。最近では教師と生徒との連絡先交換などはよろしくないということは知っているため一度頷くと絶対人には言わないと約束をして)
いい子。じゃあ教材運んじゃおうか、次の授業までの時間もあるし。
( 本当に初めての出来事で、一方通行だった場合は少々ひやひやもするが上や周りに知られた所で元サヤに戻るだけ、と思い切り、相手の初心な様子に内心キュンとしつつも顔を上げて教材を両手に抱え、廊下先の職員室へと視線を移す。腕時計を見た後声を掛けて止めていた歩みを進め )
はい!
( 不思議と相手に「いい子」だなんて言われても嫌には思わず。少しくすぐったいような感覚になると、また自分も相手の後を追うように教材を運び、目的地である職員室まで教材を運び終えると、ぺこっと相手に頭を下げて挨拶をした後に「失礼しました」と職員室を出て、教室へといつもより軽い足取りで戻っていき)
ありがとう、天羽くん。またね
( そのまま職員室に着くと自分の席に教材を置き、挨拶されれば礼を述べて背中を見送る。その後は授業をしたりと特に変わったことは無かったが一瞬だけふと頭の中に彼の顔が浮かぶ事が増えた。教師として少々良くない気もするがそれを無視していつも通りの日常を過ごし )
────
( 勤務が終わり、時刻は20時を回った所か。家に帰るとスーツのジャケットを脱いでハンガーに掛ける。適当にテレビを点けてソファに深く座り煙草に火をつけた所で胸ポケットに入っていたスマホを眺め、ポツリと呟き )
天羽くんからの連絡はまだ、か。
まあ焦ってもしょうがないしな
( 部活が終わりいつもより帰りが遅くなってしまい、帰宅する頃には20時を回っていて。愛猫の海が帰ると出迎えてくれ、ご飯をあげるためにリビングへ一緒に歩きながら、ふとポケットにしまっていた相手の連絡先の書かれた紙を取り出し。さすがに遅い時間ではあるので、電話番号からショートメールを送る文面を考えては、とりあえず送ってみることにして。)
「こんばんは。天羽唯織です。連絡が遅くなってしまいすみません。」と、…これでいいかな。
……─あ、
( しまおうとした瞬間に震えたスマホ、見慣れない番号のメッセージを開けば待ち望んでいた相手からのメールで思わずソファに預けていた背を起こす。表情を緩めると1度深呼吸して親指を動かし、こちらからも"こんばんは。連絡ありがとう、全然大丈夫だよ。今度の土曜は学校近くの駅で10時待ち合わせでいい?"とメッセージを送り )
( 直ぐに帰ってきた返信の内容を見れば、思わず小さく笑を零して嬉しそうにまた返信を。" はい。よろしくお願いします。楽しみにしています。" それだけ打つのになんだか緊張してしまうのは相手が先生だからだろうか。送信すれば、ふと足元に擦り寄る海の姿を見ては、ご飯をあげる途中だったと思い出し、スマホを置いてお皿にご飯とお水を用意してあげて。そうしながらも、土曜のことを考えてはワクワクとした気持ちは収まらず、あっという間に日はすぎていったのだった。)
───
……待ち合わせ時間より早く着きすぎたな。
( 当日、思っていたよりも早く学校近くの最寄り駅に着けば前にあるベンチに腰をかけ相手を待つことに。いつものように髪は後ろでひとつに結い、涼しい風が吹いているので、Tシャツの上に薄手のパーカーを羽織っているといったいでだちで。さすがに30分も前だから早すぎるだろうとため息混じりに)
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