斎藤 悠介 2023-09-13 21:51:55 |
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…ほんとだ。すごく美味しい。
( 彼のカップを受け取ると1口。飲んですぐ自分が普段飲んでいるものと違うと分かるくらいに、味に深みがあり香りも豊か。申し分の無い味に、どうやったらこんなふうに入れられるのだろうかと思う。そして一緒に出てきたハムサンドも口にすれば、これもまた美味しいの一言。コーヒーによく合う。)
サンドイッチも美味しい。
本当に美味しいな、此処教えてくれた人にお礼言っとこ。店の雰囲気もコーヒーも料理も良いし、場所もちょうど隠れ家っぽい所だし…通いつめそう。
( こちらもサンドイッチを口にすれば美味しさに自然と表情が綻ぶ。このカフェはどこをとっても良くて、少しも悪い部分が見当たらない。家の近くに行きつけがあるが少々客が多いのが悩みで、此処はそれも無く、半個室な為に周りも気にならないしゆっくり出来る。お気に入りになりそうだなんて考えながら食を進めればコーヒーと共に綺麗に完食し、メニューを見て少し悩み )
食後にもう1杯頼むか悩ましい…次回の楽しみにおいておくのもアリだし…。
ほんと、連れてきてくれてありがとう。
2杯目は今度の楽しみにとっておこうかな。
( 彼の言うとおりここは確かに通いつめてしまいそうだ。こんないい店を紹介してくれたことに感謝の意を伝えて。もう一杯コーヒーをと思うが、それはまた今度の機会にとっておこうと。ハムサンドを食べ終えると残りのコーヒーを飲み干し一息。学校がある日でもこんな風に放課後の時間を使えるのは彼がいるおかげだなと思いつつ。)
また一緒にこよう。
どういたしまして。
じゃあ俺もそうしよ…この後どうしよっか、つっても明日も学校だしそんな遅くまでは引っ張れないな。
( 礼を聞いて連れてきてよかったと思いながら返事をし、一緒にまた来るのは大歓迎で微笑んで頷く。さてこの後は映画か、BARか、それとも、と考えるが腕時計に目線を落としてから軽く首を傾げ )
そう、だね。
...明日も学校あるし、今日は帰ろっか。
( 相手の言葉に頷く。楽しい時間の間は忘れていられたが、花里さんとのことについてまた思い出すと、やはり今は彼に相談するわけにはいかない。車に乗ってから先程考えていた事を話そうと、今日は帰ることを選択して。席を立ち、伝票を持つ。)
ん、そうしよう。
明日美術無いんだよな、うちのとこ。学校行く気が削がれる。
( まだ居たい気持ちは凄くあるが致し方ない。放課後にこうやって一緒に食事出来ただけで幸せで。彼の選択に迷い無く同意すると伝票に手を伸ばしかけるも彼が手に取り、ここで俺が俺がと言うのも無粋だと考えれば立ち上がる。会計に向かっている間にどこへ行っていたのか、白い犬が歩いている2人の足元を尻尾を振りながらくるくると交互に回っていて、それに癒されて微笑み声を掛けて )
ほんっと、人懐っこいな。
また来るから、その時はよろしく。
俺も残念。悠介くんに授業であえるとやる気が違うんだけどな。
ほんと可愛い。また来るね。
( 伝票を持ち「俺まとめて払っとくよ」と声をかければ会計へ。そのとき足元に見えた白色にこちらも笑を零し。頭をよしよしと撫でれば、また来ると約束を。会計を済ませれば店を出て車に乗り込む。本当ならばもっと一緒にいたいし、この後も、と思考はそちらへ流れてしまいそうになるが。それを堪えて彼が乗るのを待ち。)
…唯織さんにそう思ってもらえてるなんて考えてなかった。思った以上に嬉しい。
ありがと、今回はお願いします。
( 似たような感情を彼も持っていて意識してくれているという嬉しい事実につい頬を染めそうになるがまだ人前だと耐えて、だが耐えきれずに口許を微かに緩める。会計は任せて店を出れば、まだ遅い時間ではないのに外は暗く季節の変わりを身に感じながら車に乗ってシートベルトを締め )
マンションの前でよかった?
( 彼が乗ったのを確認すると、静かに車を発進させ。車の中は基本的にラジオが流れているが耳には何も入ってこない。行き先を確認するために彼の方へ視線を移し、綺麗な横顔だなと思いつつ尋ねて。)
ん、申し訳ないけどマンション前でお願い。
最近、寒くなってきたよな。朝晩とか特に寒くて長袖にコートとかジャケット羽織らないと耐えきれない。
( ゆっくり発進し出す車、送らせるのは心苦しいが彼にとってうちは帰路ついでに寄れる場所に位置しているし、一緒に居れる時間が伸びる為に遠慮無く言いながらそちらを向くと暗い青い瞳と視線が交わり、目を細めて微かに微笑む。流れているラジオでまた今以上に寒くなってくるという話題が自分の耳には入ると口を開いて )
確かに。そんな季節になったんだな。ほんと、歳とると1年ってあっという間だよ。
( 交わった彼の瞳に胸を密かに高鳴らせれば、こちらも僅かに微笑み視線を前へ。たしかに最近は朝晩が酷く冷え込むようになった。決まってこの季節は風邪を引いてしまうので、早めに厚手のコートなどを用意しておかなければ、と考えているうちにマンション前の駐車場に着き。ひとつ深呼吸をしてから口を開いて。)
悠介くん、実は話があるんだけど。
よく言うよな、年齢重ねて行くと徐々に体感時間が短くなっていくって。
…話?どうしたの。
( 身内にも似たような発言をしている者がいて小さく笑う。特に二十歳を過ぎた後は目まぐるしく季節が変わりもうそんな時期かと感じる程に早いらしく毎年年末には誰かから一度は聞く言葉で、まだ自分はあまり思ったことはないが2年経てばそう思うようになるんだろうかと考えている内に駐車場に着くと礼を言おうとするが動きを止めて )
…暫く距離を置いて貰えないかな。
ちょっと俺の方で...色々あって、今は理由は話せないんだけど。
悠介くんのことは変わらず好きだし、…って、こんな勝手なこと言ってごめん。
( 少し間を空けてからぽつりと話はじめて。こんな勝手なお願いを彼にするのは心苦しく、しかし問題は自分にあることで彼を巻き込む訳にはいかないと真剣な目で。しかし後半にいけばいくほど、悲しそうな目を。)
なんで、……──いや、分かった。
ただ、何か悩み事があって、それが抱えきれないだとかなったら直ぐに頼って欲しい。俺も唯織さんが好きで、傍にいない人生なんて耐えられないし。
大丈夫だから、そんな顔しないで。
( 彼が話し始めるのを静かに待つが告げられたお願いに胸が締め付けられて思考が一瞬停止した後に忙しなく動き始める。先程まで接していた感じはいつも通りで気に触る事も話していない筈、無意識に呟くように口から言葉が洩れるが"今は話せない"と言われているだろうと脳内で直ぐに処理すると一度目を伏せてゆっくり息を吐き、冷静を心掛けると顔を上げる。恐らく原因は外部にあって、こちらに話せないと言う事は学校関連だろうか。辛そうな彼を見て切なさと、今はまだ分からぬ彼を苦しめている原因に憤りを感じる。自分の意見を言った後に彼の頭を軽く撫でるもゆっくりと手を離せば鞄を手に取って )
……じゃあ、また。
ほんと、ごめん。
ありがとう。
( もっと色々聞かれることは覚悟の上だったのだが、こうやって身勝手な要望を快く受け止めてもらえることに更に申し訳なさばかりが募り。頭を撫でられて吐き出してしまいそうにもなるが、それを堪え。一言感謝のを伝えると目を伏せて。)
謝らないで。ただ、距離を置くのはいいけど唯織さんから俺の事が嫌いになったって言われるまで離れるつもりは無いから、それだけは覚えといて。
大好きだよ、唯織さん。
( 根掘り葉掘り聞きたいところなのだが事前に説明は出来ないと言われている以上、今後の追求は彼を苦しめてしまうだろう。もう今の時点で傷付いているであろう彼をこれ以上苦しめる訳にはいかない。こうなっているのは何か理由が必ずある筈で、それに気付けなかった自分に問題がある。無理な話だと分かっているが彼が自分を責めないように柔らかな声色で声を掛ければ体をそちらへと起こして頬へと口付けを落とし、微かに切なげに軽く微笑んで見せると車を降りてマンションのエントランスへと足を進め、スマホを出して電話を掛け )
……唯織さんの周りについての情報集めて、今直ぐに。北条みたいにこっちの世界と関係ある人物なら何をしたか吐き出させて消せ。許可は出す。
俺も好きだよ。
( なぜこんなに優しいのか。最後に見えた切なげな微笑みに胸が苦しくなる。マンションへ入っていった背中を見送り自分も車を発進させ。早く花里さんのことを解決しよう。彼の言葉を支えに頑張ろうという気持ちを持ち、車を家まで走らせて)
──
( 家に帰っても結局眠れず、情報も無いままで翌日の朝を迎えた。何本目なのか数え切れない煙草の火種を消して山になった灰皿へと捨て置き、時計を見るともう登校の時間で、いつも通り髪を整えて緩めに制服を着ると渋々学校へ向かう。気怠げに教室の扉を開いて自分の席へと歩いていく中、友人達に「おはよ、なんか今日機嫌悪い?」だなんて話し掛けられるが適当にあしらって座り、机の上に両腕を組めばそれを枕に頭を落として目を瞑るも、どこかご機嫌な声が頭上から聞こえて不機嫌そうに顔を上げ )
「おはよう、悠介!うわ、眠たそうだねぇ…なんかあった?……そういえばー、今日担任の先生休みで天羽先生が担任代わりで一限目のロングホームルームとかするみたいだよ。そんな顔してたら嫌われちゃうんじゃない?なーんて!」
( 瞳に写ったのは花里で、呑気そうな声と甘い香りが割と今日は不快に感じるが彼が担任代わりに来ると知れば胸が高鳴るも今はぬか喜びに過ぎず、つい軽い溜息をついてしまう。今日は一限目にロングホームルームがあり、球技大会のサッカー、バレー、バスケ等のメンバー決めをする予定だったがその日に休みをとるだなんてタイミングが悪い、だなんて考えていたが花里の後半の言葉に違和感を抱けば声を掛けようとするも予鈴が鳴って機会を失い、花里も周りも自分の席へと戻って行き )
( あの後から色々考え夜はあまり眠れず。正直学校に行きたくないと思った程、体調も実はよくない。季節柄朝晩の冷え込みと、ストレスが覿面に体調にあらわれているようだ。しかも学校に行けば彼のクラスの担任が休みで、代わりに出てくれという。念の為マスクを着けクラスへ。ロングホームルームでは球技大会の競技決めを行うらしい。高校生ともあれば、球技大会の内容は自分たちで決められるだろう。クラスに入れば彼の姿が1番に目につくが、すぐに逸らして全体に話をする。それが終わればあとは座っていようと教師用の椅子に座って。)
( 教室に入って来た彼を見てぐっと胸が締め付けられるがマスクをしているのに気付き体調の心配が勝って、話に耳を傾ける。話が終わると直ぐに実行委員が席に立つと黒板へと向かい慣れた手付きで種目を書いて、各々相談するぞと言われた他生徒達は席を立って自然と教室の中央に集まり、自分も友人に腕を引かれ中心の輪に入ればあーだこーだ言っているクラスメイトを眺め )
「天羽先生、体調良くないんですか?よかったらこれどーぞ!」
( みんなが盛り上がっている中、そろりとその輪から離れると自分の鞄からのど飴の袋を取り出す。「飴?花里、俺にも頂戴!」と一人の男子に見つかってしまうがにこやかに飴を渡したタイミングでその男子が所属しているバスケの話題が出たようで、身長が周りより高い斎藤くんをターゲットにしたらしく向こうの方へ歩いて行った。ちょうどよかった、なんて思いながら座っている先生の元へ歩いて行くと微笑みながらのど飴をひとつ差し出して )
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