猫と白金の流線 〆

いいね、初めてでも飲みやすい銘柄買っとく。

…唯織さん。俺が高校卒業したらさ、一緒に住まない？

（ 自分の好きな物に恋人が挑戦してくれるなんて嬉しくない筈が無く、どの銘柄がいいか悩むのが今から楽しみになってしまう。彼と一緒に居れない時間に彼の事を考えると寂しさが紛れて良い。海の頭を撫でながら紡がれた相手の言葉にグラスを一旦置くと学校で言いかけていた話を出して ）

...え？俺は嬉しいけど。
悠介くんて、高校後の進路ってどうするの？

( そうなったらいいな、という自分の願望がまさか実現しようとは。少し驚くが、自分としては嬉しい限りで。そうえば彼は高校後の進路はどうするのだろうかと疑問に思い尋ねる。交際して間もないこともそうだが、担任でもないため彼の進路に関して何も知らない。)

……良かった、ちょっと早すぎるとか思われなくて。
一応進学、大学行って取りたい資格もあるし。元々そこまで離れてない所行く予定で、唯織さんと出会う前までは普通に今の家から通うつもりだったから、どうかなって。

（ 少し緊張していたが拒絶的な反応では無くほっとするとグラスを持って残っていた酒を喉に流し、進路について聞かれるとそういえばそっちの話は何もしていなかったなと説明を。内申点は散々だが一般で試験を受ける為何の問題も無く、模試ではA判をもらっているので油断しない限りは別の大学に行く事はないだろう。もしそうなって片道2時間だなんて事になってしまっても彼と一緒になりたい気持ちは変わらない。日本酒を空になったグラスに注ぐとまた一口飲んで ）

早いかもだけど、俺、悠介くんといると落ち着くんだよね。だから一緒に暮らしたいとは思ってた。

そうなんだ。
実はちょっと気になってたから聞けてよかった。きちんと将来のこと考えてるんだね。
( 個人的には早いという考えはなく、寧ろ彼といられることが心地よいのでぜひとも一緒に暮らしたいと微笑み。当たり前だが相手は受験生だと知ると、これから忙しい時期になるだろうと思いつつ、資格など将来のことをしっかりと考えている相手にしっかりしていると頷けば。そうなると、住む場所はどこがいいんだろう、なんて最早先のことまで考え始めてしまう。)

俺も同じ気持ち、唯織さんの傍が一番落ち着く。

中々話す機会無かったしな…ちゃんと考えてるよ、唯織さんと一緒になってからは特に。…美術に関係する大学とかだったら学校で堂々と進路相談とか出来んのに…もう少し早く美術に興味持ててたら、って言っても芸術センス0だから多分無理だ。…………天羽先生、高３も後半に差し掛かって受験シーズンに入るんだけど、その中、授業でデッサンとかの実技ってあったりしない…よな？

（ 自分と同様に考えてくれていたんだと分かるとこちらも嬉しそうに微笑む。彼を気になりだしてから人生なるようになるだろうなんて考えていた思考が変わり、将来の道を描くようになったのは確かで。そんな話をしていると美術の道に進んでいたのなら学校でもっと彼と積極的に話をする機会が、とは思ったが自他が認める程に描く方の才能が一切無い自分には流石に夢物語過ぎて笑いながら言うも動きをぴたりと止めればゆっくりそちらを見る。幸いか、1年2年の時の美術は別の先生が担当していて3年になってからは実技がある時はエスケープを決めていた為に彼は自分が描いた絵を見た事が無い。ここで問題なのは今から卒業までの期間だ、サボるのは絶対に論外、もうしないのは確実なのだが実技は避けたい。無い事を祈りつつ恐る恐る尋ねて ）

俺も進路担当だったら関われたかもしれないのに。
...デッサンはもうないかな。卒業制作で彫刻はあるけど。
悠介くんの描く絵、見たかったな。

( もうここまでくれば酔いがまわってきており、小さく一度欠伸をして。幸せそうに微笑みながらじっと彼の方を見つめ。彼の言うように何かしら自分が進路の方と関わりがあればもう少し相談にものれたかもしれないと少し悔やみつつも、こうやって話してくれるだけで十分だと思う。後半の質問に関しては質問の意図がわからず、キョトンとした顔をするも。そういえば彼の絵を自分は見たことがないと思い出し、頬杖をついてくすっと笑いながら絵が見たいと冗談ぽく言って。)

……彫刻、ならまだ…。

いや、ほんと酷いから…唯織さんにはお見せできない…。名前忘れたけどもう1人の美術の先生居んじゃん。あの人に「これは一周まわって逆にアート」だなんて迷言作らせちゃって一時期学校でちょっと流行った時にはどうしようかと。

（ まだ余裕は全然残っているがこちらを見る彼の視線に酔いが回りそうになる。デッサンは無いと聞いて安心するも頬杖をついている相手の姿が綺麗だなんて思ってしまうと落ち着いていた胸が高鳴るがそれとこれは別問題で、冗談に対してゆるりと目線をそちらから逸らし過去の出来事と当時の先生を思い出しながら悩ましげな顔をして語るも最後は笑い ）

え、なにそれ。
ねぇ、お願い何でも聞いてあげるからさ、絵描いてよ。
俺も悠介くんの絵みたい。
( 1周まわってアート。そんなの見たいに決まってる。顔の前で手を合わせると所謂『おねがい』ポーズをして。自分だけが彼の描いた絵を見ていないのは何だか納得がいかず。そうしなくても彼のお願いならば何でも聞いてあげるのだが、いい交換条件が思いつかなくて。)

えぇ……え、何でも？
…じゃあ今度、紅葉狩りに行った時描く。最近、結構美術系の雑誌とか見たりしてるから上手くなってるかも…ないか。

（ 可愛いおねがいポーズにぐっと胸を掴まれると何でも叶えてあげたくなって、悩んでいると追撃のワードが飛んできて完全に落ちる。流石に今すぐ描くのは心の準備が出来ておらず、期間を設けるがちゃんと約束をし、微かな希望が一瞬見えて呟くがそんなので上手くなったら皆苦労していないだろうと一息ついてグラスを傾け ）

やった。本当に楽しみなんだけど。
なんなら俺が教えてあげるよ。一緒に描こう？
紅葉狩りならきっといい絵が描けると思う。
( 相当嬉しいのかにこにこと笑顔になる。どうやら完全に酔っているらしく饒舌になれば、次々と捲し立てるように話し。美術系の雑誌を読んでくれていることにも嬉しさを感じ、グラスに残ったお酒を飲み干せば一息ついて。喜びのあまり興奮したこともありどうやら酔いが完全に回ってきたようだ。)

んー、ごめん。そろそろ酔ってきたかも。

…ふ、はは。酔ってる唯織さんめちゃくちゃ可愛いんだけど。
教えてもらえんの楽しみにしてる。先生に「もうこれでいこう、斎藤くんの個性だ。」って認められたのか匙を投げられたのか、風景画にA+評価もらった去年から描いてないし相当苦労かけると思う。恨むなら俺を放置したもう一人の美術の先生恨んでな？

大丈夫？結構飲んだもんな、水持ってくるよ。

（ 饒舌な彼を見て愛おしげに目を細め、つい笑ってしまうと本音を口から零す。教わりながらならどうにかなりそうだと考えるも一応注意と責任転換をさらりとすれば、手を伸ばしてほんのり染まった相手の頬に触れて優しく撫でる。先程冷蔵庫を見た時にペットボトルの水があった事を思い出せば手を離して立ち上がり ）

かわいくはないでしょ、こんなへろへろになった男。

俺に任せて。
今から楽しみになってきた。はやく紅葉が綺麗な季節にならないかな。
( 可愛いだなんて、こんな酔い潰れた大人に言うセリフでは無いと苦笑して。もう一人の美術の先生は知らないが自分なら教えられるという自信があるのか、はたまたただ一緒に描きたいだけかは酔った今判断はつかないが、彼が水を取りに行っている間に机に腕と頭を乗せては、しまいにうとうととしはじめて。)

可愛いよ、世界で一番綺麗で可愛い。……ああ、海も勿論可愛いよ。

あはは、頼りにしてます天羽先生。
見頃になったらすぐ行こう、俺も楽しみ。

（ 愛おしい彼以外見えてないからそう感じるのは至極当然の事で嘘偽り無く言えば海と目があった気がして微笑むと彼女にも声を掛け、何とも頼りになる言葉を耳にすれば笑いながら台所に向かって冷蔵庫から水を取り出して戻る。するとそこには机に伏せている相手が。緩やかに口角を上げれば席に戻らず歩いて傍まで行くと耳元に唇を寄せて少しばかり低い声で囁き ）

…唯織さん、こんな所で寝たら風邪引くよ。それか、悪い狼に食べられちゃうかも。

( そんな褒め言葉をもらってこんなに胸が高鳴るのは間違いなく彼だけ。それを言うなら世界で1番綺麗でカッコいいのは彼のことだなと心の中で思うもうとうとしているせいか言葉にはならず。まだ意識はある中、耳元で囁かれた言葉に薄ら目を開けて微笑み。)

悠介くんになら食べられてもいいけど？

その言葉、後悔しても知らないよ。

（ 耳を掠める返ってきた言葉に背筋にぞわりと甘い刺激が上がってくる感覚がして、自分の口から出ている声が微かに余裕無く掠れているのが分かった。身体の自由を奪うかのように机の上にあった彼の両腕の手首を片手で掴んで抑え、髪が下りて今は無防備にさらけ出されている項に唇を寄せれば白い肌に舌を這わせた後に強く歯を突き立てて ）

...っ、あ...！
( 項に息がかかり、舌の感触に背筋から体全体にぞわぞわとした感覚が走る。しかし一転して鋭い痛みを感じると、思わず声が漏れる。暫くしてからそれが歯を立てられたということに気がつけば、自由の効かない体で僅かに身動ぎ。その項から彼の体からも熱を感じてくらくらしてしまう。)

...、本当に食べられちゃう？

なーに、今の声めっちゃ好き…逃がさない、もっと聞かせて。……ふ、可哀想に。ごめんね、血出ちゃった。

本当に食べるよ、骨の髄まで。もう泣き叫んでも止めらんないから、覚悟して。

（ 漏れた声を聞いて更に歯を突き立てればじわりと鉄の味が舌に滲む。軽く吸いながら唇を離せば目を細めて白い肌にくっきり滲む痕を満足そうに眺め、身動ぐ体を自分の体重で押さえ付けて愉しそうに笑うと耳を甘噛みしながら吐息混じりに告げ、するりと服の中に手を忍ばせる。言った通りやめてくれと言われても止められず数え切れない程の噛み跡とキスマークを残し、めちゃくちゃに抱いてしまうだろう。大切にしたい、が、本当に止まれそうにないだなんて思いつつ目を伏せて ）

...、ん。
大丈夫、悠介くんになら何されてもいいと思ってるから。
覚悟はとっくに出来てる。

( 普段の優しい表情や声色とは一変した様子を見せる彼に、怖いと思うのが普通なのかもしれないが、全くそんなものはなく。寧ろそんな彼の一面を見れたことを嬉しく思うのは変だろうか、といまいち回らない頭で考える。わかっているのはどんな彼でも自分は愛する自信がある、ということで。微笑むとそんなふうに告げて )


(／いつもありがとうございます！この後暗転した方が良ければ、こちらの方で場面をとばしますが、いかがいたしましょうか？？)

……──良い子。

（ 彼の言葉と微笑みにまた口角が上がる。綺麗なこの顔が歪む瞬間が見たい。服に忍ばせて素肌に触れていた手を一度抜くと彼の頭を愛おしげに撫でて酷く優しい声色で静かに言えば、撫でていた手を離してするりと自分のネクタイを解いて床に落とす。その瞬間、外から車の通るエンジンの音がして一瞬そちらに意識が向くも本当に意味も成さない刹那的なもので、密着している彼の香りを感じつつ深海よりも深く感じるだろう夜の帳を下ろし ）


（ ／ こちらこそありがとうございます！とても助かります…場面飛ばしよろしくお願いします！ ）

───

( 外から聞こえる鳥の囀りに身動ぎ、僅かに目を開ける。爽やかな目覚めとは少しばかりかけ離れて感じるのは体が鉛のように重く感じるからか。横に寝ている彼の存在を確かめると再び目を閉じようと思っていたが、インターホンが鳴る音に目が覚め。そういえば今日自分の画材道具が届くことを思い出し、身体を起こす。昨夜の記憶は正直酒に酔っていたこともあり曖昧で靄がかかったような感じだが、以前の行為より激しく酔っていたとはいえあんなことを言ってしまった自分に少し後悔を。無意識に寒かったからかどうだったかまるで記憶はないが服は着て寝ていたようだ。下におりようとしたとき玄関先のドライバーが去っていく音が聞こえ、後でもう一度問い合わせをすればいいかと諦める。朝食でも作ろうかとなんとなく座って考えをめぐらせ。)