掲示板ファンさん 2023-08-25 23:22:35 |
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【柏葉 立夏】
けたたましいサイレンが辺りに鳴り響く。
周囲の野次馬たちと同様に事故現場を呆然と見ていたが、ふと背後を振り返るとそのまま駆けだした。つい先ほどまで一緒にいたのに、彼が忽然と姿を消していたのだ。
嫌な胸騒ぎがする。早くあいつを見つけなければ。
薄暗い夜道を必死に走りながら、鞄の中へ片手を突っ込む。スマホを取り出して、履歴から彼の電話番号にかけたものの、「おかけになった電話は……」というアナウンスが流れるだけだった。時間とバッテリーを無駄にしたくないから、スマホを鞄にしまう。
徐々にスピードを落としつつ、呼吸を整える。体だけでなく、頭も動かすべきだ。
交通事故の現場からはだいぶ離れたと思うが、あの極度の運動音痴で足の遅い彼がそこまで遠くに行くとは考えられない。第一、何も言わずに傍を離れるような人間ではないはずだ。
――あいつがまだ人間でいればの話だが。
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