グラサンオールバックの悪魔(♀) 2023-07-02 08:48:30 |
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ッハ、そりゃあ─御愁傷サマだなァ。
(自身の反撃にまんまと引っ掛かり、顔を赤くして子供のように怒ってはソファに八つ当たりするアリシアを横目に見て、ジャスティスは一層楽しげに笑い、紫煙を天井から吊り下がっている、眩しい光を放つシャンデリアに向けて大きく吐き出した。ほんの一瞬光が弱くなるものの、煙は部屋の空気に霧散してすぐに元の、煌々とした光が戻ってくる。ジャスティスは笑ったまま、眩しそうに目を細めながら「お生憎様、オレは他人の前で焦ったりしねェんだよ」そう冗談めかして一言、整った彫刻のような横顔を晒して瞼を半分程伏せる。それに伴ってピジョン・ブラッドは、案外濃密であった彼女の、金色をした睫毛に覆い隠され、普段の彼女には見られない、どことなく憂いを帯びた鈍い光を放った。ジャスティスは買ってきたばかりの煙草を空にする勢いで煙草を消費し、3本目に火を点けたところでアリシアの方へ向き直り、「火、点けるかァ?」と火の点いたままの煙草を向け)
……なんだか負けた気分。
( いつものにこやかな天使様の笑顔はどこへやら、不満げに唇を尖らせながら彼女の方をちらりと見れば彼女は美しい金色のまつ毛を伏せながら楽しげに口角を上げているだけで。絵画や彫刻のように美しい其れは、彼女の月のような金髪と白い肌、それに反する闇の色の服たちのコントラストも相まって酷く芸術的だった。─── 天界で美しいものを嫌という程見ているアリシアが、思わず見蕩れてしまうくらいに。いつもの不敵な彼女もアリシアは好きだけれど、やっぱりこうしてアンニュイな鈍い光を放つ哀しげなピジョン・ブラッドの方が、アリシアは好きだった。彼女が三本目のタバコに火をつけたあたりで、先程まで自分の拘束の中にあった赤の宝石が2つ嵌った美しい顔がこちらに向けばアリシアはそれに答える代わりに自分も煙草を咥えれば、怠慢な動きでタバコを指で挟みつつ彼女のタバコの火を貰うように近づいて。もうすっかり慣れたシガーキスも、先程のキスの前では子供のおままごとのようだ。パチチ…ジ、と小さな音を立てて彼女の火が自分の煙草に移ったのを確認しては、1度だけ先程のキスでは見る余裕がなかった彼女の瞳を自分のエメラルドに閉じ込めたあと「 …貴方って意外とまつ毛が長いのね、 」と紫煙を緩く吐き出しながらするりと足を組んでもう一度彼女のまつ毛を確認するようにぐい、と顔を近づけて。 )
…アー?そうか?
(アリシアに言われて初めて気付いたらしく、ジャスティスは自身の瞼に指先で触れる。言われてみれば常人よりふわりとした感触が伝わり、彼女は「…自分じゃ気付かねェモンだな」と呟いた。ジャスティスはエメラルドグリーンに見つめられても動じることなく、気怠そうに笑うと「何だよ、構ってほしいのか?」と猫でも扱うように手を伸ばす。絹糸のようなブロンドに青白い指先をくるりと絡め、楽しそうにアリシアの頬をなぞりながらも、相変わらずグラスに注いだワインを少しずつ飲んでは煙草の煙を吐き出していた。─こんな風に酒を飲んで、煙草を吸って、寛いだのはいつぶりだろうか。…コキュートスに勤務していた時ぶりか?改めて思うと自分はろくに気が抜けていなかったらしい─自虐的に笑いながらもアリシアを弄ぶ手を止める様子はなく)
ん、ふふ。擽ったい。
( どうやらリラックスしてくれている彼女になぜだかアリシアの方が嬉しくなってしまえば、冷たい黒手袋の硬い感触ではない彼女のしなやかな手が自身の頬を優しく撫でる感触にふにゃふにゃと笑ってしまう。煙草を吸い、それからワインを飲み、それからキティを扱うようにアリシアを弄ぶ彼女はどことなく楽しそう見え、アリシアはまだ少ししか吸ってない煙草をテーブル上の灰皿に適当に置けばにこー、と機嫌のよさそうな笑顔を浮かべて小さな両手を「 ん。 」と広げて。─── 言わずもがな、先程火を貰ったばかりの煙草を置いたのはこれをするためで ───もっと構っていいのよ、そんな意味合いのふくまれたエメラルドを彼女に向けるアリシアはあくまで〝構わせてあげる〟のスタンスらしく、その美しく微笑んだ顔には特に照れや緊張は感じられない。普段のワンピースとは違うタイトな黒色のドレスから覗く女性らしい柔らかな谷間や首筋は多少なりともアルコールが回ったのかほんのりと薄紅色に染まってはいるが、それでもたった数杯のワインだけで酔うほど見た目通りの女では無いのでその瞳はしっかりと彼女を見つめていて。 )
…ハッ。
(ジャスティスは小さく鼻で笑い、赤いピジョン・ブラッドを更にきゅう、と細めた。彼女はひどく気怠げにソファから身体を起こし、蜂蜜に砂糖菓子を漬け込んだような、粘着質な甘ったるさの漂う笑みを浮かべると、薄く赤みを帯びたアリシアの首筋を見つめる。そして、まるで仕方がないとでも言いたそうな態度で広げられた手の内へ体を背中から預けてやり、まだ充分に長い煙草の紫煙を深く吸い込み、「なァんだよ、アリシア」あくまで完全に気を抜く様子はないが、それでも普段よりは気の抜けた柔らかな声色で問うた。─こんな気の抜けきった姿。普段の、気が強く、粗雑な口調で、精神的ブレーキの壊れかかった拷問官である彼女を知っている同僚達からすれば卒倒モノだろう。普段なら指先が触れただけでもこの世の終わりかと思うほど殺気立った眼差しをその相手に向けるというのに─ジャスティスはアリシアに体重を預けながら、またぼんやりと紫煙を口から吐き出し)
、……ふふ。
いーえ。べつに。
( すとん、と静かに自分の胸元へ背中を預けた彼女にアリシアは思わずきょとんと瞳を丸くした後に、まるでぬいぐるみを抱きしめるかのように静かにその腕に彼女を拘束し。いつもより距離の近くなった彼女からはふわりと煙草と整髪料の匂いがして、スタイルの良い細腰に回した天使の手はどうやら悪魔を離す気は無いらしく細い指同士を絡めて天使はにこりと笑い。アリシア、と自分の名前を呼ぶ彼女の声は柔らかく初めて会った時のようだが、それとはまた別の…紳士のお面を被っている訳では無い、彼女の気の抜けたその声色にアリシアは満足げで言うなれば〝人嫌いの猫が初めて自分から頭を撫でさせてくれた〟ような気分だ。「 働き詰めの悪魔様を甘やかしてあげてるの。 」だなんて綿菓子のような軽さで、自分の柔らかな金の絹糸とは違う彼女の シトラスの香りのするしっかりと整えられた髪を毛流れに沿って小さな手で撫でては彼女の肩に顎を載せてふふん、とお姉さん気取りで笑ってみせて。 )
…ハハ、そうかよ。
(随分と偉そうなアリシアの物言いに、ジャスティスは少しばかり呆れたように笑いつつ、自身の肩に載せられたアリシアの絹糸のような髪を、仕返しと言わんばかりに雑に乱しながらわしわしと撫でた。そう言えば尻ポケットで先程から何度も振動している携帯電話─仕事を回すな、と言ったにも関わらず彼女に掛かってくるということは、恐らくよっぽどの緊急事態なのだろうが─のことは完全に無視し、短くなった煙草を、眼の前のガラス製の灰皿に押し付けて揉み消す。ジャスティスは透明なガラスの灰皿に白っぽい灰が溜まるのを無言でぼんやりと眺めた後、「…アー…疲れてンのかもなァ」と誰に言うでもなく呟き)
……ねぇジャスティス、寝てしまえば?
( 疲れてるのかもしれない、と誰に告げる訳でもなく彼女の唇から零れ落ちた言葉を聞けば、アリシアはふむ…と考え込むように唇を尖らせた後にパチン、と指を鳴らして自身の天使の羽根を露出させては、そのまま人工的なシャンデリアの灯りから遮るようにして彼女と自分を包んで。─── 夜の空気が落ち着く、と言っていたし、それなら暗い方がまぁ落ち着くだろうとアリシアなりに気を使った結果だ。もう一度撫でたら嫌がるかしら、それはそれで彼女の嫌がる顔が見れるので良いけれど。と相も変わらずマイペースに考えながらも上記をさらりと問いかけながらもう一度彼女の髪を撫でれば「 それともクソ天使サマの枕じゃ不満かしら。オトコのコには人気なのだけど。 」とにっこり微笑みながら首を傾げるように彼女の肩に頬を置いて。 )
…アー…だな。
(ジャスティスはアリシアに髪を撫でられると若干眉を顰めるものの、視界を遮る心地良い暗さに目を細めた。──嗅ぎ慣れた、夜の匂いがする。そう意識した途端に襲ってくる、心地良い全身の倦怠感に身を任せ、ジャスティスは瞳を伏せた。─遠くから自身を呼ぶ同僚の声と、罪人の阿鼻叫喚が聞こえてくる。上等な黒いスーツ、今と違ってまとめることもなく伸ばしっぱなしの乱れた金髪。どうやら、コキュートスに勤務していた時代の夢を見ているらしい。自身の手には細かな字の書かれた本が載っており、椅子に腰掛け、断末魔を上げる罪人たちを見下していた。横で同じように本を持つ同僚と時折会話を交わしながら、本に何かを記入している自分がいる。部下らしい高等悪魔が自分の方へ駆け寄ってきては見るも無惨な姿の罪人を差し出しながら『コイツは廃棄か、それとも返還か』と問いかけてくる。廃棄だの返還だのと判断を告げ、また本に何かを書き記す自分。─夢現の中でジャスティスは悪態を吐いた。「…見たくも、思い出したくもねェ」シャープな形の唇から吐き出される悪態は、どこにも届くことなく消えて)
……。
( ほんとに寝てしまった、とアリシアは何度か宝石のようなエメラルドを瞬きさせた後にそれ程までに地獄は大変なのだな…とまるで彫刻のように動かない悪魔をただひたすらに優しい手で撫で続け。此処で自分に心を開いてくれた!と思わないあたりが実に天使らしくない。そうして、彼女の頭を優しく撫で続けてどれくらい経っただろうか。ぽつりと彼女の薄い唇から零れた言葉にアリシアの手はぴたりと止まる。いつも三日月のように意地悪く歪んでいる唇が存外柔らかいことを知ったのはついさっきだ。……悪夢でも見ているのだろうか。アリシアは彼女の瞳を覆うかのように暖かく優しい手をそっと被せれば、「 ─── ……、どうか幸せな夢を。 」と鈴のような声で呟けば柔らかな唇を彼女のこめかみに何度か落とし。加護は載せていない。悪魔に其れが効くのかなんて分からないし、きっと彼女は其れを酷く嫌っているから。それでも高等天使からの祈りに似た呪いのような其れが効くように、アリシアはちゅ、とまたひとつキスを落として。 )
……ハハ、いい夜だったぜ…アリシア。
(暫くはキスにすら気付かない程深く眠っていたが、矢張り自室でないとどうにも落ち着かないのか、ジャスティスはふと目を覚ました。自分にだけ降り注ぐ夜の隙間から覗く、柔らかなエメラルドグリーンに、いつものように不敵に笑いながらそう軽口を叩いて、彼女はするりとその夜から抜け出す。尻ポケットに手を遣ると今日買ったばかりの煙草は既に空箱になっており、忌々しそうに舌打ちをしながら、渋々眼の前のワイングラスに残る僅かなアルコールに口を付けた。「…アー、煙草また買い直さねェとな」そう呟いてからジャスティスは何かを思い出したか思いついたらしく、尻ポケットから携帯電話を取り出して何やら触った後にソファから立ち上がり、「アリシア、この後どっか行かねェか?」と問いかけ)
(返信が遅れて申し訳ありません…)
─── ふふ、それなら良かった。
( 柔らかな夜を抜け出した彼女の言葉にふわりと微笑めば、彼女を包んでいた夜をふわりと一度だけ大きく羽ばたかせた後にそのまま手品のようにそれをパッと消して。タバコが切れた様子の彼女にくすくすと笑いながら「 買い直すまでどうぞ。 」と自身の細いタバコを1本だけ抜いて自分の唇に咥え、まだ数本ほど中身のある煙草の箱をひょい、と投げては煙草に火をつけて紫煙を天井へふわふわ吐き出し。何やら思い出したかのように携帯の操作をする彼女を煙草を燻らせながら見ていたが、投げかけられた彼女の問いにぱっと花が咲くように笑えば「 もちろん。エスコートしてくださる? 」といつもの様に甘ったるい声で応え。 )
( / いえいえ!お忙しい日もあると思いますので無理せず御相手してただけたら嬉しいです…!! /蹴可 )
─── ふふ、それなら良かった。
( 柔らかな夜を抜け出した彼女の言葉にふわりと微笑めば、彼女を包んでいた夜をふわりと一度だけ大きく羽ばたかせた後にそのまま手品のようにそれをパッと消して。タバコが切れた様子の彼女にくすくすと笑いながら「 買い直すまでどうぞ。 」と自身の細いタバコを1本だけ抜いて自分の唇に咥え、まだ数本ほど中身のある煙草の箱をひょい、と投げては煙草に火をつけて紫煙を天井へふわふわ吐き出し。何やら思い出したかのように携帯の操作をする彼女を煙草を燻らせながら見ていたが、投げかけられた彼女の問いにぱっと花が咲くように笑えば「 もちろん。エスコートしてくださる? 」といつもの様に甘ったるい声で応え。 )
( / いえいえ!お忙しい日もあると思いますので無理せず御相手してただけたら嬉しいです…!! /蹴可 )
…ハッ、いいぜ。
(ジャスティスは唇を引き歪め、受け取った細身の煙草を箱から一本抜き出し、早速火を点けて唇に銜える。普段彼女が吸うものとは違う、甘ったるいメンソールの香りが鼻を衝いた。若干薄く見える紫煙を吐き出しながら、ジャスティスは手袋を嵌め直し、アリシアの手を取って部屋を出ると、そのまま店を後にする。路地裏を抜け、静まり返った夜の街路に、彼女の履いているブーツのヒールが地面を蹴る音だけが甲高く響いていた。暫く歩いたところで、彼女はぴたりと足を止める。二人の目の前にあるのは、中世ヨーロッパを彷彿とさせるレンガ造りの邸宅で、ジャスティスはアリシアの手を一旦離すと、迷いもせずポケットから鍵を取り出して解錠し、「…オレのお帰りだぜ。開けな」と扉に手を触れた。その声に呼応するかのように両開きの扉はひとりでにゆっくりと開いていき、アリシアの方を振り返ったジャスティスは「…さ、どうぞ?アリシア」と笑いながら手招きして)
…… ここ、は。
( 一体どこに行くのだろう、と特には口にせずただただ彼女のヒールの音と自分の足音が夜の闇に消えていくのを聞きながら、パチンと1度指を鳴らして自分の服装もいつもの風に揺れる真白のワンピースに変えて歩くこと暫く。ふと立ち止まった目線の先にあるのは、暗いカーテンを下ろしたような静かな夜の街に鎮座する、レンガ作りの暖かだが中世ヨーロッパのような荘厳さもある邸宅。どこからどう見てもお店には見えないし、現に目の前の扉は彼女の…主人の呼び掛けに応じるようにその固く閉ざした口を開いた。つまり、ここは。と結論をつける前にこちらを振り返った彼女の声にふわりと思考の波から意識を上げては「 えぇ。─── … お邪魔します、 」と何度も口にはしているはずなのに今日はいやに口に馴染まない言葉を零しながら、目の前のピジョン・ブラッドに吸い込まれるようにひらりと柔らかいワンピースの裾を揺らしながら彼女の元へ歩み寄り。 )
…ン。
(ジャスティスは慣れた調子で邸宅の中へ歩を進め、近場にあったクリスタルガラス製の灰皿に煙草を押し付けた。主人の帰りを喜ぶように、ジャスティスが何気なく壁に手を触れると、薄暗い光を放つシャンデリアが次々と灯り、邸宅内を照らしていく。彼女はアリシアを先導するように、果てなく長く見える廊下を歩き、自室らしい部屋の前で足を止めると、玄関と同じように声を掛けて扉を開いた。内装は全体的に黒で纏めてあり、一見すると地味にも見えるが、モノは良いらしくシックな雰囲気を放っている。ジャスティスは我が物顔でソファに腰を下ろし、虚空に向かって、下僕を呼ぶように手を叩く。─一瞬の内に、彼女の服装が普段の無愛想な黒いスーツから、引き締まったしなやかな、どこか男性的な体格を強調するような黒のイブニングドレスへと変化していた。普段オールバックに整えてあるパサついた金髪はゆるやかなハーフアップに纏められ、眼の前の黒いテーブルクロスの上には軽食と年代物の白ワインが並べられており)
……わあ、……。
( まるで上品な夜の香りをそのまま纏っているような内装と、それから彼女が奏でる魔法のような空間にきらきらとエメラルドを輝かせながらぽそりと零してはきょろきょろと物珍しそうに室内を見回して。と、そうこうして少し目を離した間に普段のすらりとしたスーツスタイルから一変、彼女の女性らしいしなやかさと男性らしいスタイルが共存し際立つ漆黒のイブニングドレスと見た目よりも存外柔らかい金色の髪は緩いハーフアップにまとめられたのを見てはアリシアの瞳はまた驚いたように丸められて。自分も指先ひとつで大きな天使の翼を出したりドレスを変えたりと好き勝手しているが、目の前で第三者がやっているとなにだか不思議と新鮮に驚いてしまう。「 とっても素敵。お部屋も、─── …それから、貴方も。ワインのチョイスもね。 」と、天国にある自分の部屋はこの部屋とは対照的に消えてしまいそうな純白で、それが物珍しいのかふわふわと白いワンピースの裾を揺らしながら楽しそうに笑って。 )
…ハッ、だろ?
(ジャスティスはどこか満足げに笑って、ワインの栓を抜くと、二つ並べられたグラスに白ワインを注ぐ。自身の方のワインを飲み干した後、アリシアの方に向き直ると「…ン」と自身の隣をポンポンと叩き、座れと言わんばかりにピジョン・ブラッドを細めた。─そういえば、他人をこの家に招くのなんていつぶりだろうか。このワインも、随分と熟成されていたはずだ。街中で出会った『クソ天使サマ』にここまで許すなんて、自分もコキュートス時代から、随分と甘くなったものだ─ジャスティスは半分自虐的に鼻で笑うと、アリシアが隣に座るのをぼんやりと待っているようで)
……ふふ。
( ぽん、と彼女の細くしなやかな手がソファを叩く。どうやら近付いても良いようで、此方をじっと見つめる2つのピジョン・ブラッドにアリシアは思わずくすくすと笑ってしまいながらぽすん、と彼女の横に腰を下ろして。何だか本当に野良猫が少しだけ自分の内側に入れてくれたような気がして思わず頬が緩んでしまう。アリシアはもうひとつのグラスにそっと手を伸ばしては天使らしい優雅で品のある仕草で香りを楽しんだ後に1口含めば、ばち!と大きな瞳を見開いて「 年代物ね?おいしい。 」と普段あまり白ワインを嗜まない自分ですら分かる深い香りと味に感心しながら上等なものを良いのかしら、という目で思わず彼女の方を向いて。 )
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