名無しさん 2023-06-18 14:24:24 |
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( 指定した時間より僅かに早く着いた。もう相手は来ているだろうか。そんなことを思いどこか浮ついた気持ちのまま辺りを探していれば、周囲が騒がしいことに気が付き。その渦中にいる人物を見れば、白髪の女性に迫られる彼の姿。彼の表情を見て、何も考えずに体が動くと、相手と女性との間に入り。)
─失礼。手を離してもらえますか。
彼は、俺との先約があるので。…それに、こんな目立つ場所で騒ぎになれば…、ほら。どちらが不利な状況か分かりますよね。
( 驚く程冷静に、尚且つ冷たい声と、視線を女性に向ける。この感情を表すならば苛立ち。だろうか。相手を自分の後ろに隠すようにして女性をただただ見下ろしていると、騒ぎを聞きつけたのか駅の警備員が数人こちらに向かってきており。)
( 気持ちが悪くて、一刻も早く逃げ出したくて、思わず女を突き飛ばそうかと1歩踏み込んだ時、聞き覚えのある声がしたのと同時に目の前を遮られる。驚いて見上げると、そこに居たのは約束していた彼で、相手は女と自分を引き離してくれたようだ。
思わず相手の背中に身を寄せれば、ズズッと鼻を啜ってスーツの裾を握った。
女は邪魔されたことに苛立った様子で舌打ちをし相手を睨みつける。しかし、遠くから警備員が来るのを見てやっと諦めが着いたのか、そのまま急ぎ足で駅の中へと消えていった。
相手の背からちらりと覗いて、女が去っていったのを確認すると「 ありがとう 」と俯きながら小さな声を絞り出す。)
ごめん、変なところ見せて。
助かった…。
…大丈夫か?
とりあえず、一旦ここから離れよう。
( 女が逃げていくのを最後まで見ていると、背後にいる相手から感謝の言葉が。助けるのは当然だと、気にしないでくれと伝えると相手の頭をそっと撫でる。駆けつけてきた警備員には、適当に話をして事を大きくせずに済ませた。ひとまずここから離れた方がいいと判断し、彼の手を取り。)
( 優しく頭を撫でられると、今度は安心感で涙が溢れそうになる。たが、それをかろうじで我慢しつつ、相手からの言葉には静かに頷いて。手も取られるがままにやっとのこと歩き出す。
もし、彼が間に入ってくれなかったら、きっと自分は手を出していたことだろう。そう考えると、自分自身も怖くなって惨めな気持ちになる。)
……母親なんだよ、あれ。
最近連絡がしつこいとは思ってたけど、こっそり付いてきてたとは思わなかった。
金に困った時だけ、あぁやって俺に固執するんだ。
多分、彼氏に騙されたか捨てられたかどっちかだろうな。
………情けねぇ。
( 相手には話しておいた方が良いだろうかと、ぽつりぽつりと口を開く。最後に見た時はもっと派手な格好をして遊びまくっていたようだったが、先程みた様子だと生活が上手くいっていないのが見て取れる。
最後に呟いた言葉は、母親に向けてはもちろんのこと、そんな親と完全に関係を断ち切れていない自分にも向けられたものだった。)
……母親。
そうか。涼くんは自分を責めることはないよ。
( 手を取り歩いているとぽつりぽつりと話す彼の言葉に耳を傾け。先程の女性は彼の母であると知り、言葉を飲み込む。何故か彼自身が負い目を感じているのには、彼のせいではないとそう声をかけるしかない。
暫く歩くと、高層マンションにたどり着き。エントランスに入ればカードキーでエレベーターへ。52階のボタンを押し辿り着いた先にある部屋を開ければ中に入り。玄関を通り抜けると広いリビングとキッチン。リビングにはテーブルとイス。そして大型テレビの前にはソファがあるが、それ以外はあまり何も置いていないシンプルな部屋で。)
どうぞ。なんにも無い部屋だけど。
とりあえず、何か飲む?コーヒーか紅茶か…。
( うん、と一言、相手からの気遣いに頷けば、少しは気持ちも落ち着いたようで顔を上げる。
暫く歩いてたどり着いたのは立派な高層マンションで、その大きさに圧倒されつつ相手について行く。エレベーターで52階のボタンを押す様子を見れば、自分の生活とは全然違うなぁ、なんて心の中で考えて。
部屋の中へ促されると、部屋の広さにも圧巻されるが、物が少ないところを見ると少し自分と似ているところもあってなんだか安心した。)
……あ、ありがとう。紅茶にしようかな。
( 部屋を見渡していた時、相手からの問いが聞こえて慌てて返答を。本来ならば一緒にご飯にいって楽しくやっていたはずなのに、自分のせいで気を遣わせているだろうな、と再度申し訳ない気持ちになりつつ、ソファーへとゆっくり腰を下ろす。
恐る恐る携帯の画面を見れば、もう母親からの連絡は来ていないようで、一先ず胸を撫で下ろした。)
はい。
ミルクと、砂糖もあるから使いたかったらどうぞ。
( 紅茶ときくと、お湯を入れて茶葉を蒸らし。ティーカップに注ぐと、それと一緒にミルクと砂糖を出してから自分の分も入れて。携帯の画面を気にしている所から、まだ連絡が来たり、母親が彼の家に押しかけて来る可能性があるかもしれない。そう思うと、心配になる。しかし自分が口を出していいものだろうか。なにか助けられることは、と考えつつ彼の隣に腰を下ろして。)
( 相手から紅茶の入ったカップを受け取ると、礼を述べて一口飲む。温かい紅茶の香りに力を抜くように息を吐けば、隣に腰掛ける相手の方は見ず、カップの中に浮かんだ自分の顔を眺めて呆れたように笑った。)
虐待の話でよく聞くだろ、産むつもりなんて無かったーってので育児放棄する奴。典型的なダメ親なんだよ、アイツはさ。
…どうにか環境を変えたくて引っ越したのに、結局、家に1人でいると色々考えちまうし、家もバレたし、どうしたらいいんだか。
( 自分と母親の関係を更に上記のように述べ、紅茶をもう1口飲むと、砂糖を受け取ってカップの中に注ぎ、それが沈んでいく様をぼんやり見つめる。
あんな親元を離れて一人暮らしを始め清々するはずだったのに、静かな家にいるとどうしても思い出してしまう。)
…じゃあ、ここに住む?
( 彼の話を聞けばよくある親の育児放棄、虐待のそれと全く当てはまっており、また眉間に皺を寄せれば。家も特定され、身を危険に晒す可能性もあると知ると、なにか思いついたように彼を見つめて。暫くして口を開けば。)
( 彼の言葉に思わず動きが止まり、彼の顔を見つめたまま瞬きを数回。数秒の間を挟めばやっとのこと「…ぇ」とだけ小さな声を出した。しかし、その表情はいくらか嬉しそうで。)
……正直、とってもありがたいけど。
でも、松風さんに迷惑かける訳にはいかねぇし…。
( 考えてみるととても魅力的な誘いである事には変わりないし、自分の心身的な安全のためにも最善策かもしれない。
だが、仲良くなったと言ってもまだ数回しか会ったことはないし、相手の方こそこんな他人を家に引き入れて大丈夫なのだろうか、と少し懸念はあるようで。)
迷惑なんて思わないよ。部屋も余ってるし、シェアハウスみたいで俺はなんかわくわくするんだけど。涼くんが嫌じゃなければ。
( 迷惑、そんなことは少しも思わなかった。むしろ、彼となら一緒に暮らしてみたいとさえ思ったのだ。他人にこんな感情を抱いたのは初めて。まぁ、勿論彼が嫌じゃなければの話だし、勝手にこちらが盛り上がってしまっているかんは否めない。部屋数にあまりもあるし、折角なら使って欲しい。)
い、嫌じゃない!全然嫌じゃない。
( 相手からの言葉に、誤解されないように慌てて首を横に振りながら上記を伝える。
自分だって相手となら一緒に住んでも楽しそうだし、わくわくしてしまう気持ちも分かる。こんな立派な家に住むなんて場違いというか、少し緊張する気持ちは確かにあるが、それでも彼の言葉に甘えてもいいのなら、とちらりと相手の瞳を見つめて、おずおずと、なんだか照れくさそうに言葉を続けた。)
えっと、じゃあ、よろしくお願いします?
( / 連絡もできないまま更新をお待たせしてしまい申し訳ありません!まだいらっしゃいましたら、またお相手いただけると嬉しいです…!)
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