匿名さん 2023-04-29 15:14:24 |
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椿…。
( 額に濡れタオルを添えた後も、汗が流れれば拭いてやり、息苦しそうにしていれば肩をさすってやったりと手厚く看病していて。その最中、掠れた声でうわごとのように姐さん、姐さんと切実に呼びかける相手の姿に遣り手婆の話を思い出して。産みの親は感染症で仏となって、それからは姐さんと慕う1人の花魁に育てられたと言う。こちらに心を開いているとはいえ、この屋敷に来てまだ数日で慣れないこともあり、また、体調を崩す今のような状況だからこそ心細くなって、心の支えとしていた人を無意識に求めているのだろう。何かを求めるように彷徨い始めるその手を片手で励ますように優しく、しかし力強く包むように握ってはもう片方の手で次々に流れ、零れ落ちる涙を拭ってやりながら「 大丈夫、大丈夫だ。 」と元気づけるように囁いて。 )
、………だ、っこ。
( 姐女郎を探してさ迷っていた手が大きくて暖かな手に包まれては、椿はそれに釣られるようにふと涙に濡れた蘇芳の瞳を薄らと開けて。まだ熱で頭が混乱し、涙でぼやけた視界ながらも目の前にいる自分の手を包む優しい手の相手に幼い子どもが抱擁を強請るようにたどたどしい区長でぽそりと言葉を零しては、人肌が恋しいのかこんなにも大きな布団でひとりぼっちなのが不安なのかまたほろほろと蘇芳の瞳からは涙が溢れていき。目の前にいるのが誰か、そんなことを考える頭の余裕はないけれどそれでも〝自分が頼りにしている相手〟だということは本能的に感じ取っているのか出来るだけ彼の前ではいつもしゃんとした姿を見せようと背伸びをしている椿も今だけは年相応よりもずっとずっと幼いような様子で。 )
…っ。
( 誰かを求めて彷徨う椿の手を勇気づけるように、体温を分け与えるように、程よく力を込めて握ったり、撫でるように揉み込むようにと力の込め方を変えながら見守っていると、たどたどしい口調で抱擁を強請る言葉が出てくると突然のことに一瞬言葉を失って。普段から男を惑わせてくるような無邪気な言葉が相手の口から出てくることはあってもこうやって、甘えながら惑わせてくる言葉はなかったはず。まさか寝惚けているのだろうかと疑いながら、どうするべきかとうーんうーんと悩み果てて。少しの間考えた結果、これも看病だと己に言い聞かせると握り込んだ椿の手を一度離すと着ていたジャケットを脱ぎ、シャツのボタンも少しだけ緩めてから相手と同じ床に入れば椿の要求通り、全身で体温を分け与えるように抱きしめて。 )
……えへへ、
( 自身の要求通りに、まだ誰かはハッキリとは理解していないけれど信頼の足る人物に優しく抱擁されればふにゃりと花が綻ぶように笑顔を見せて。そのまま己の柔らかな肢体を押し付けるように彼にぎゅう、と抱きついたりすりすりと頬ずりをしては一通り甘えて落ち着いたのかはたまた満足をしたのか、そのまま泣き疲れた子供が眠ってしまうように静かな寝息を立て始め。先程まで見ていた悪夢はこうして彼に抱き締められていることによって今は見ていないのか、今は人形のような表情で静かに呼吸を繰り返しているだけ。ただし彼に抱きついている手だけには依然力が込められているので、彼を解放する気はさらさらないようで。 )
( 赤子をあやし寝かせるように、抱きしめるために椿の背中に回した手でとん、とん、と穏やかなリズムで優しく撫でるように叩いており、それがどうやら心地よかったのか先ほどの病に魘されて浮かべていた苦しそうな表情がいつものように花びらが綻ぶような笑顔に変わっていけばこれでよかったようだと安心して。しかし安心したのも束の間、椿は寝ぼけているのか、こちらを抱きしめる力を強めて柔らかな肢体を押し付け、その上頬擦りもしてくれば、その官能的な感触に情欲が掻き立てられて。ワンピースの上からでもその豊かな胸が押し付けられ、ひしゃげる感触がはっきりと伝わってくると辛抱たまらんと鼓動が早まるが、いくらなんでも病人にそんな欲を持つなんてダメだろうとなんとか理性を保ち。そうやって欲望に打ち勝ち、椿も落ち着いて寝入ったところでそろそろいいだろうとベッドから出ようとするが、こちらの背中に回された異様に力が込められた相手の手によって阻まれて。無理矢理剥がしてしまうことも出来るがそうすると相手の睡眠を妨げてしまうだろう。身をよじってなんとか這い出そうとするがそれも叶わず、かえって相手の柔らかな肢体に擦り付けることで全身でその感触を味わってしまうことになり、自身のある部分に血流が溜まっていき。 )
─── …直政、さま、?
( それからどれくらい経っただろうか、ふと椿がゆっくりと紅玉を露わにしては目の前にいる美丈夫の名前をぽそりと呼んで。まだ夢現のぽやぽやとした頭では事の経緯が理解出来ず、嗚呼これは夢かしらなんて上手く回らない頭で考えれば夢ならばどんなに彼に甘えても何をしようともなんにも問題がないかとするりと彼を抱きしめていた手を彼の両頬に添えて。女たちが焦がれてやまないシミ一つない肌と役者のように涼しく甘い顔立ち、自身を見つめる真っ直ぐな黒瑪瑙に引き寄せられるようにぼんやりとした瞳で彼を見つめればそのまま艶やかな唇を彼の頬に押付けて。ちゅ、と小さな音のあとに柔らかく愛おしそうに紅玉を細めては「 お慕い申しております、 」と、今この状況を夢だと認識しているからこそ自分の気持ちを素直に彼に投げ掛けて。なんて素敵な夢なのかしら、ずっとこの夢が続けばいいのに。なんて考えてまたふわりと微笑んでは、白魚のような指で彼の頬をつう、とひと撫でしたあとにまた満足したのか今度は彼を拘束することなく瞳を閉じて屹度もう朝まで起きないであろう深い眠りについて。 )
…っ、お、おい椿…!
( 椿の異様に力がこもった抱擁からなんとか抜け出そうと必死に、かといって起こさないように慎重に身を捩るが、どうやらその動きで相手を起こしてしまったらしく、小さく、見目好い瞼がほんのりと開いて蘇芳が覗けば万事休すかと動きがぴたりと止まって。しかし、椿はこの後に及んで寝ぼけているらしく、その流れるような細指でこちらの両頬を抱えたかと思いきや相手の顔に浮かんだ表情はまるでこれから接吻をするかのようなもので、その顔がどんどんと近づいてくれば上記のように取り乱しながら相手を逃れようとして。しかし、反応が遅れてしまい、そのまま相手のキスを唇に…ではなく頬に受け止めながら、心からの告白が耳に届くとあまりの事態に固まってしまい。「 ( 椿が…俺を? ) 」と突然の告白に頭の中が混乱しながら、こちらの胸の内を乱した件の相手はそのまま力尽きたように、拘束もわすれて眠りこけており、そんな相手を眺めながらこれはきっと、恋に恋する乙女の勘違いというものなのだろうと、期待しないように自分こそ勘違いしないようにと釘を刺して。それに、自身は椿を金で買った狼藉者であり、そんな自分が椿に愛される、愛する資格などないだろうと自重して。なんとか落ち着きを取り戻してベッドから出て部屋からも出ると、一度浴場に行って汗を流して部屋着に着替え、もう一度椿の部屋へと戻ればそれから相手の汗を拭いたり、額のタオルを変えたりと一晩中寝ずの看病をして。 )
( / 突然の告白ありがとうございます…!とても萌えます!これからですがいかがいたしましょう?気持ちを通じ合わせるのはもう少し引っ張りますか? )
─── ……すぅ、…。
( 夢を見た。とても幸せな夢。自分は今までの人生の中でも見た事がないような美しい生地の白無垢を着ていて、真っ赤な紅を唇に乗せてもらって、この世のものでは無いような美しい花畑を歩いている夢。その先には誰か男の人がいて、此方には背中を向けているから誰かわからないけれど屹度どこかで会ったことがあるような、とても大切な人のようなそんな感覚がする。その人に振り向いて欲しくて、手を伸ばして、でも不思議とどうしてか体が上手く動かなくて、その人の名前を ─── 「 ……直政様、…。 」ぱち。と瞳が開けば、目の前にはもうすっかり見慣れた天井。不思議といまさっきまで見ていた夢のことは思い出せずに、どことなく体がスッキリしているような気がする。椿はふる、と静かに上体を起こせば、何故か百貨店で買い物をした後からなんにも思い出せない自身の記憶を辿るように首を傾げて。 )
( / こちらこそ、椿からの抱擁に翻弄される直政様が可愛らしくて背後がにこにこしております…!ありがとうございます!
思いを通じ合わせるのを引っ張るのも良いですし、椿の気持ちを知った今自身の気持ちが混乱して( もしくは自己嫌悪? )少し距離を置いたりしてしまうのもありかなと思います…!!勿論今すぐに気持ちを通じ合わせて幸せな生活を送るのも素敵かと思いますが、背後様としては何かご希望はございますでしょうか……? )
…。
( 椿が眠りについてからも、様子が急変したりしていないか、苦しそうにしていないかと注意しながら相手を見守っていて、その甲斐あってか容体が安定して、寝息も穏やかなものに変わればひとまず峠は越したようだと安心して。しかし、安心しきってしまったのか、今まで張り詰めていた緊張が急に緩んだことで一気に疲れが押し寄せてきたようで、急に睡魔に襲われて。それは自室へ戻ることさえ許してくれず、椿が眠るベッドに突っ伏して、眠りに落ちればそのまま相手の傍で一晩過ごして。そうして迎えた朝。まだ眠りに落ちた意識がシーツの衣擦れの音と、ベッドのスプリングによる揺れを感じ、「 ん、んん…。 」とぼんやり目を覚ませば「 あぁ、おはよう椿…。 」とまだ半開きの瞼を眠そうに擦りながら声をかけ。その微睡の余韻を抱えたまま半ば無意識の行動で相手の額へと手を当てれば「 …。熱は収まったけど、まだ少し熱いな。 」と曖昧な意識でも的確な診断をすれば )
椿、気分はどうだ?
( / こちらとしては早々に気持ちを通じ合わせていちゃいちゃさせたいと思っております…!こちらの勝手な解釈ですが、どうやら夢で直政に届かない?追いつけない?ようなシーンを見たようなので、それがトラウマとなってなりふりかまわずに気持ちが溢れてしまう…という流れはいかがでしょうか…? )
わたし、……夢を見て。
すごく素敵な白無垢を着てね、とても綺麗な場所にいたんです。でも、どんなに頑張っても直政様のいる場所まで行けなくて。手が届かなくて。それがとても悲しくて、寂しくて。
( いつもは暖かくて心地の良い彼の手が、今は自分の体温が高いせいか少し冷たくて気持ちが良い。椿は此方を見つめる少し曖昧な意識の黒瑪瑙を真っ直ぐに見つめては、気分がどうかとの彼の問いにほろほろと言葉を落としていき、額に当てられた彼の手を両手でそっと取ればそのまま彼の手を自身の頬に当てて。もう意識は完全に起きているし熱のせいで意識が混濁している訳でもないのだけれど、こんなにも近くにいるはずの彼に届かない夢を見てしまった不安感からか静かな蘇芳からはぽろりと一粒涙を零して。今こうして自分の傍に彼がいて、手が届く。そんな小さなことが酷く幸せで嬉しくて。椿はそっと瞳を伏せた後にあらためて彼を見つめては「 こんなにも直政様のことをお慕いしているのに、好きな方に触れることも近づくことも出来ないとても怖い夢を見たのです。……屹度、立場も弁えずに愚かにも心の全てを主人に明け渡してしまった花街の女への罰ですね。 」と今度はハッキリと、夢見心地の中ではなくあんなに恐ろしい夢を現実にしないようにと涙に濡れた少し悲しげな瞳で応えて。 )
( / わ!素敵です……!ありがとうございます、是非そうさせて頂きますね…!!!
もし上記のような流れでちょっと違うかも?と感じましたら遠慮なく仰ってください…!!! )
…っ、椿…?
( 相手の体温を確認し終え、熱も弱まったことがわかれば胸を撫で下ろしながらその額から手を離そうとするが、不意に椿の手がそれを阻んでそのままやわっこい頬へと導けば急に何事かとぴくりと反応して。そうしてその蘇芳がこちらを真っ直ぐに捉えながら、椿の小さな口からとても悲しい、悪夢の話がほろほろと紡がれると昨晩、眠りにつく前の相手の言葉と行動が頭をよぎり、何かを思い詰めるような表情を浮かべながら黙って話を聞いて。改めて、相手からの好意の言葉を聞くことができると己の中で釘を刺したはずの感情が揺れ動いてしまい、とどめとばかりにその蘇芳を濡らして悲しげな表情を浮かべてくると胸の奥がきゅうと締め付けられるように苦しくなって。このまま、椿を受け入れてしまった方が楽になれるしお互い幸せになれるのではないか。そう考えてこのまま椿を抱き締めようとするが、ふと頭によぎったのは花街で女遊びをする下卑た男たちの姿。椿を買って屋敷に迎え入れた時点でその者どもと同類なのだが、己の中でいまだに折れない何かがあるのか、その白磁の頬から手を離せば「 …今の椿は熱があるから少し落ち着かないんだ。薬を出すからそれを飲んでゆっくり休みなさい。 」と、ゆっくりと相手から離れて部屋から出て行って。 )
( / ありがとうございます…!椿様の儚い雰囲気に本体も胸が締め付けられる思いでした!せっかく気持ちを露にしていただいたのですが、2人のすれ違う模様も見てみたいなと思ったので少しだけ引っ張らせてください…!直政自体、受け入れる方にすでに揺れ動いているので、いつも通り仕事に行ってそれから帰ってきた時にまた気持ちを聞ければコロッと堕ちると思いますので…! )
、ッ……。
( するり、と頬から離れた心地よい温もりはそのまま手の届かないところまで離れてしまい、遂には何も口を開くことが出来ないままに扉の向こうへと出ていってしまう。いくら熱が下がっていないからと言って、夢で見る程に愛おしい男への気持ちが混乱から来るなどあるはずがない。自分が花街出身の女だから信じて貰えないのかしらだとか、この気持ちが迷惑になってしまったのかもしれないだとか、もしも私が彼とお似合いのお家柄の人間だったらだとか、心に咲いた不安の花や後悔の蕾たちは1度咲いてしまえば留まることを知らずにただただ椿の心を黒く染めあげていくばかりで。─── まるで簪を突き立てられたような心の臓の痛みも、音もなくはらはらと頬を滑り降ちる涙も、屹度扉の向こうにいる彼は気付くことは無いのだろう。椿の「 …どうして、 」とぽつりと呟いた鈴のような声は、誰に届く訳でもなく布団の上に落ちて、そして消えてゆき。 )
( / もちろんです!多少の障害やすれ違いがあれば盛り上がるものですから大歓迎です……!
かしこまりました!どうにか直政様に完全に振り向いていただけるように、コロッといっていただけるように!椿も背後も頑張らせていただきます! )
( 椿の部屋を出て行った後は己のための朝食と、相手のための粥を用意しており、調理している間、頭の中では先ほどの好意の言葉が無意識に反芻されていて、その度に胸に喜びが溢れ出すがそれでもその感情を認めまいと頑固に首を横に振って。そうして出来上がった粥と薬を相手の部屋へ持っていけば、作り置きのものもあるので昼はそれを食べること、薬を時間通りに飲むこと、水分をしっかり摂ること、自分は別の場所で朝食を摂り、そのまま仕事に行くことを伝えれば椿の気持ちを知ってしまったことで気まずさなのか、ぎこちなさを滲ませては早々に部屋から出て行き。そうして別々の部屋で、別々の朝食を同じ時間に摂る様はまるでいまの2人の距離感を表しているようで、己の屋敷なのに若干の居心地の悪さからかはやる気持ちが箸の速度に表れ、いつもより早めに食べ終えてしまえば出勤の準備を整え、最後に相手の部屋の前で扉越しに「 じゃあ椿、仕事に行ってくる。ゆっくり休みなさい。 」と顔も合わせずそのまま屋敷を出て行って。 )
( / ありがとうございます…!どんな椿様が見れるかいまから楽しみです…! 次で仕事から帰らせますのでよろしくお願いします! )
─── … っ、いって、らっしゃいませ…。
( 彼が作ってくれたお粥は、とても優しい味で体調を崩した椿も食べやすいものだった。けれど何故だか椿の食べる速度はいつもよりも随分とゆったりしたもので一口食べてはスプーンを置き、を繰り返すうちにどうやら彼が仕事に行く時間になってしまったようで、顔を合わせることも無く仕事に行くことを伝える彼の言葉にギュッと心臓が締め付けられれば彼に届くか届かないかほどの声でしか答えることができず。屹度自分が身分も弁えずに気持ちを伝えたから、と今の自分たちの距離感についてを酷く後悔してはなぜか先程よりもとてもしょっぱくなってしまったように感じるお粥を食べ切り、薬を飲み、そうして体調は随分と良くなったはずなのに未だ治らない胸の痛みを抱えながら彼に申しつけられた通りにしっかり休まねばと瞳を閉じて。それから、たまにふと目を覚ましては水分を取り、昼の時間になれば昼食と薬を摂取し、また眠り、と泥のように一日を過ごせば体調こそ万全になったものの拭いきれない不安感と治らない胸の痛みは変わらずに彼が帰ってきたら不躾な事を言ってしまったことを謝罪しようと胸に決めつつまた眠り姫のように長いまつ毛に縁どられた瞳を閉じて。 )
( /かしこまりました!
こちらこそよろしくお願い致します……!!! )
( 胸の中につっかえを抱えたまま会社へと出勤し、いつも通りに今日の業務に取り掛かるが頭の中で椿に告げられた告白の言葉が頭の中を何度もよぎり、普段からは考えられないようならしくないミスを連発してしまい。そうやって慌ただしく1日の終業を迎えれば、ふと、椿がチャイナ服を欲しがっていたことを思い出し、ついでに誰かにこの悩みを聞いてもらえれば胸のつっかえも解消できるのではと思い至ればちょうどいいと、服のことならとおハナさんの店へと立ち寄って。 )
『 おや、ナオさんじゃないか…って、なんだいそのシケた顔は。 』
( 以前、椿と共に訪れたシックで豪奢な呉服店に入ればちょうど用事がある女主人が店の中で巡回をしていたようで、顔を合わせるなり自分では気づかないほど陰気な表情を浮かべていたようで指摘されてしまい。「 あぁ…うん、実は…。 」と、まずは訪れた要件である、椿がチャイナ服を欲していたこと、その本人から好意を告げられたこと、そしてそれを自分は受け入れれずにいることを相談して。こうして花に相談できるのは相手の朗らかなところや器の大きさからなのかもしれない。自分の相談を静かに聞いてから、しばらくしてから相手は『 ナオさんはナオさんの言う下衆どもとは違うよ。私が保証する。 』と力強く、かつ優しい口調で語り始め。『 私から見た2人は花街に漂う悪意は全く無い、見てるこっちが恥ずかしくなるくらいの春だったよ。それにナオさんは椿チャンを手込めにしたりしてないだろう? 』と迷う自身の背中を押すように雄弁に語れば『 もう一度、椿チャンの顔をよく見て、話を聞きな。それで椿チャンがどれだけナオさんを慕っているかわかるサ。 』と最後にはにっかりと笑って勇気づけるような言葉を投げかけて。そういえば、好意を伝えてくれたとき、相手はどんな顔をしていたのか、粥と薬を持って行った時、どんな顔をしていたのかが思い出せなくて。扉越しに声をかけた時、どんな顔をしていたのか、そうやって自問自答すれば己がひどく薄情者に思えてしまい、一刻も早く相手の顔を見たいと思い至れば「 ありがとう、おハナさん。もう一度、椿と向き合ってみるよ。 」と力のこもった言葉を紡いだ表情はどこか憑き物が取れたように晴れやかで。そうやって店を後にしようとすると『 あぁ、ちょっと待ちなナオさん。 』と引き止められ、何かと思えば『 これ、ウチの新作でさ、ちょっとだけ試してみてよ。 』とパフューム瓶から一吹き、二吹きと香水が自身に振り掛けられ。甘く、爽やかな花の香りが纏われ、その香りに思わず魅了されるようで、「 うん、素敵な香りだ。 」とこれから大事な話をしにいく己をリラックスさせてくれるようで、気持ち晴れやかに店を後にして。 )
ただいま。
( 屋敷へと帰れば、普段なら出迎えてくれるはずの椿は顔を見せてくれず、代わりにしんと静まり返った屋敷の空気が出迎えてくれて。言いつけ通り、相手は休んでいるのだろうと思い至ればそのまま相手の部屋へと赴けば「 椿?入るぞ。 」とノックし、声をかけてから扉を開けて部屋に入り。ベッドで瞳を閉じる相手はまるで物語に出てくる姫君のように可憐で儚く、今にもどこかへと飛んでいきそうなほど弱々しい雰囲気を漂わせていて、その額へ手を当てると、養生の甲斐あってか熱は完全に収まっており。ふと、目をゆっくりと開ける相手に「 具合はどうだ? 」と顔を覗き込むながら問いかけ。しかし、その直政の身体からは香水の匂いがぷんぷんと漂っており。じつは、これは以前、椿とお花の店に行った時にお花がつけていた香水の香り。それに気づかなかったのはそれほど自分が思い詰めていた証拠で、お花がその香水を振りかけたのは椿への発破であり、『 早くしないと私がとって食べちまうよ。 』という警告にも等しいお花の粋な心遣いで。 )
( / 早速帰らせました!文が長くなってしまい申し訳ありません…! )
!
ごめんなさい、私お出迎えもできず…!
( 不思議と夢は見ず、ただただ深い海の底から上がってくるように意識を浮上させればいつの間にか帰ってきていた彼の黒瑪瑙と瞳があい慌てて上体を起こして。それに釣られてはらりと天の川のような髪がはらりとひと房肩から流れては、ふと目の前の彼から香ったのは紛れもなく以前彼と共に行ったことのある呉服店の女主人の香りがして。おハナさんのところに行ったんだわ、こんなに香りが移る程に長い時間、近くに。彼のことを思えばなんにも間違っていないのだ、御曹司である彼と呉服屋の女主人であるおハナならば立場的にもお似合いだし世間の人間だって納得の2人だろう。頭ではそう理解しているはずなのに、椿の心だけはそれを強く拒んでいるのか、カッと目の奥が暑くなったと思えばまたぽろぽろと涙を零しながら「 ……ごめんなさい、私、わかっているんです。直政様にこんな気持ちを持つべきではないって。貴方に、こんな浅ましい気持ちを伝えてはならないと思っていたのに。……でも、どうしても嫌なんです。直政様の隣に居たいと思ってしまうんです。本当に貴方に見合う人間では無いのに、どうしようもなく、……想って、しまうんです。 」と、涙に濡れた蘇芳で真っ直ぐに彼を見つめながら愛の言葉というよりも謝罪や許しを乞うような辛く悲しい言葉に近いそれらが落ちる花弁のように零れていき。自分は花街出身の、彼に買われただけの遊女崩れ。身分を弁えずに咲いてしまった恋の花たちが彼に受け取られることがなくともその花の存在だけは彼に知って欲しいと、我儘なのは理解しつつも小さな手でそっと彼の大きく優しい手に触れて。 )
( /とんでもないです!ありがとうございます!
おハナさんが本当に優しくてかっこよくて背後が「幸せになって…!」とときめいてしまいました…! )
いいから、今日の椿は休むことが仕事だ。
( こちらと椿の瞳が邂逅するなり、相手は慌てて上体を起こしてくると、その様子を見て普段の体力が戻ってきたことがわかったようで安心し、取り乱す相手の肩を両の手で制止させて落ち着くよう促して。そうして一呼吸おけば、おハナさんに言われた通り、改めて椿からの言葉を聞こうと「 なぁ、つば…き…。 」と声をかけようとするが、その前に相手から話し始めれば、今朝の言葉とは違い、こちらに向けて懺悔するような切実な言葉が次から次へと紡がれていき。蘇芳の瞳からほろほろと雫がとめどなく溢れる顔を見ながら、おハナさんと約束したことを思い出し、相手のベッドに腰掛けながらたがが外れてしまったかのように紡がれる言葉を黙って聞き入り。相手の本当の気持ちを受け取り、あぁ、降参だ、と心の中で小さく呟けば「 椿、顔を上げてこっちを見て。 」と小さく囁いては己の手を取る相手の手をこちらの頬へ導き、そうしてこちらの両手は相手の両頬をしっかりと捕えると目を閉じながら顔を近づけ、そのまま己と相手の唇を重ね合い。2人の体温を感じ合うかのような優しい口付けはしばらく続き、やがて息継ぎのために「 ぷは、 」と離せば2人の唾液が混ざり合った銀の架け橋がかかり、それを拭う暇もなく「 俺も、椿のことが好きだ。楽しそうに家事をして、ご飯を美味しそうに食べて、朗らかに笑う椿が好きだ。 」と愛の言葉を紡いでいき。「 今朝はすまなかった。俺にはまだ、椿の気持ちを受け止める覚悟ができていなかった。でも、今は違う。 」と、今度は目を逸らさずに信念の灯った瞳で相手の蘇芳をしっかりと捉えながら「 椿、愛している。 」と改めて愛の告白をすれば今度は軽く触れるようなキスをちゅっ、と相手の唇に贈り。 )
( / 無理やりねじ込んだ展開ですが気に入っていただけたようでよかったです…!
そして、やっとゴールインですね…!椿様の切なく、儚い言葉でこちらはイチコロでした!背後はやきもきしていましたがこれで一安心です…!)
、直政さ、ま ─── っん、
( 嗚呼どうしようこれで捨てられてしまったら、でもこの気持ちを知られないままよりも余程いいかもしれない。そんなことをぐるぐると考えていれば、心地の良い彼の声が囁かれて自らの手は彼の頬に添えられる。玉砕覚悟で怯えた瞳をおずおずと彼の方へと向ければ、ふわりと頬に手を添えられたと思うが早いか唇に降ってきたのは柔らかく熱い感触。ぴく、と思わず瞳を閉じればまるで夢心地のような現状は本当に夢なのではないかと思ってしまうけれど、紛れもなく頬に触れている彼の手の温かさと唇の暑さがこれが現実だということを椿に伝えてくる。水揚げもまだな生娘にとって接吻というものはどこで息をすれば良いのかもわからず、馬鹿真面目に息をするのを忘れれば漸く唇が解放されて荒く呼吸を吐いて。2人を繋ぐ銀の糸がいやに艶めかしく、くらくらの逆上せるような意識の中でも彼の言葉がハッキリと頭の中に入ってきて椿の蘇芳は大きく見開かれて。心の臓に直接突き刺さるような彼の愛の言葉たちが、黒瑪瑙が、全てが現実と呼ぶにはあまりにも椿に都合が良すぎて、愛していると改めて傷が降ってくればまた椿は小さく肩を跳ねさせて。はらり、と今度は悲しみではなく紛れもない喜びの涙を零せば「 ─── …はい、私も。直政様を愛しております。 」とそのまま彼にぎゅうと今度は彼が自分の香りになるようにその身体を押し付けて。 )
( / 漸く想いが通じあって背後も一安心です……良かった……これで気兼ねなくイチャイチャさせることが出来ます……!!!!(?) )
うん…、うん…!
( 今この部屋には、というよりはこの屋敷には2人しかおらず、静かなこの空間のせいで軽いリップ音は確かに2人の耳に響いて。その接吻で、感極まったのか、椿の蘇芳から暖かな涙がほろほろと流れ、その小さな口から明け透けのない、真っ直ぐな愛の言葉が紡がれればその言葉を噛み締めるように上記のように頷きこちらからも抱き締め返して。相手の嬉し涙の表情に釣られてしまったのか、こちらの目頭がじんわりと熱くなるのを感じ、やがては堪えきれずに一粒の涙を流せば、あぁ、愛とはこんなにも素晴らしいものなのかとお互いの気持ちを繋げ合えた幸せをしかと享受してはお互いの体温を感じあって。しばらくして、体を離せばその視界には先程重ねた唇が目に入り、キスを施した時の相手の唇の暖かさとぷるりとした柔らかさを思い出せば、自身の唇を一撫ですると「 椿、もう一度だけ、してもいいか? 」と、涙と熱に浮かされて潤んだ瞳で相手の蘇芳を見つめ、その片頬を己の手で包みながら了承を得ようとして。 )
( / 早速ですが、イチャイチャを仕掛けました…!しばらくはイチャイチャさせたいと思います! )
( 姐さんは昔から〝 椿には必ず素敵な方が現れるから、それまで誰にも触らせてはいけないよ 〟と何かがある事に椿を守ってくれていた。他の新造たちが17歳ぴったりに水揚げされていく中、その分自分が稼ぐからと椿には1年だけ猶予をくれていた。そのおかげでこうして、口付けも、抱擁も、ぜんぶぜんぶ初めてを彼にあげることができるのだ。お互いの体温が完全に溶け合った頃にふと身体を離せば、いつも凛と涼やかな彼の瞳が涙に濡れ熱に浮かされたような色をしておりぞわりと腰元に粟肌が立ち。もう自分は頭のてっぺんからつま先に至るまで全部が彼のものなのにこうしてお伺いをたててくれる彼の優しさとそれから確認なんてしなくても全部奪って欲しい乙女心がぐちゃぐちゃと混ざったどろりと蕩けた蘇芳で彼をじっと見つめ返して。「 ─── …もっと。1回じゃ、嫌です。 」するりと強請るように彼の首に手を回せば、火傷しそうな程なのに心地よい彼の感触が恋しくて もっとと鈴のような声で応えて。 )
( / もちろんです…!!
椿も慣れないながら、もっともっとと際限を知らずに強請ってしまうかもしれませんがそれを受けるも流すもお任せ致しますので…!!! )
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