殺人鬼 2023-04-15 18:52:00 |
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そう、なのか。でも学生時代の勉強なんて覚えてんのか?(自分は少数ながらも友人と呼べる人物はいて。家に呼んだことはないが煩わしい家族を一時でも忘れたくて放課後遅くまで遊んだりしていた。それなのに友達もいなく寧ろ虐められていた、と聞けば置かれている環境は多少似ているのかも、なんて思い。殺人をするようになったのもその影響なのかと考え。だが相手の家族仲は良好だったはず。自分に取って友人がそうだったように救いになる家族はいなかったのだろうか。元々そんなに頭がいい訳ではないが随分昔に習った公式なんて現役の自分でも忘れていて。それなのに社会人になった相手は未だに覚えているのか疑問で。自分は学生にはよくあるテスト期間にならないと自主的に勉強なんてしないタイプで。集中力自体はそこそこあるので集中してしまえば勉強もある程度捗るのだが持続力はそんなにない。平均点が取れるくらいの学力はあり。)
大抵は覚えています。もし忘れていても参考書を一読すれば思い出しますよ。それに…依頼人の中には学生もいましたからね。ちょっとした雑談の中で授業の話をすることもあったものですから(弁護士の仕事は依頼人が望む判決に導くこと。そのためには相手の全てを知らなければならない。相手に本当のことを話させるために、リラックスさせるためにそういう雑談をする。だから学生時代に勉強したことはあまり忘れずに済んでいる。雑談というのは相手の心を緩和させる効果がある。丁度、今のように。携帯を取り出し画面を確認するフリをして、無音カメラでさりげなく彼の顔を盗撮する。続いて調査会社の人間にメールで彼の顔を添付して家族構成や待遇などの細かい情報が欲しいと調査依頼を送る。仕事の早い人間だからすぐにでも成果を上げてくれるだろう。ここまでを3分程度で済ませると、何事も無かったかのように携帯を仕舞いトーストを口に運ぶ)
頭がいい奴は違うな…。え?学生が弁護士に依頼…?……戴きます。(確かにテレビで見る裁判などでは未成年が加害者だと聞くこともあるが大学生ならばともかく高校生は親が依頼人なのかと思っていて。それとも依頼をしたのは親でも相手が弁護をするのは学生だとそういう意味なのだろうか。相手がここまで自信満々にいうということは本当に覚えているし参考書を読むだけで理解できるのだろう。自分は集中力が上がった時に参考書とにらめっこしながら少しずつ解ける程度で。集中力のない時はいくら参考書を読んでも頭に入ってこないのは実体験としてわかっており。なんて考えている中で写真を撮られているなんて微塵も気付かず。相手が携帯を触っている間は逆に見つめられる視線も感じることなく助かるくらいで。あまり朝は食べないが出されたものを食べないのも失礼にあたるかとコーヒーをもう一口飲むと一言告げてはトーストを齧り。)
例え中学生でも高校生でも裁判は起こせるんですよ。例えば、親権喪失又は親権停止の裁判です。虐待などにより親の管理下から逃れたい場合、子供本人が申立人となって家庭裁判所に審理を求めることが出来るのです(眉間に皺を寄せながら説明をする。自分はそういう裁判が嫌いだ。仕事だからと感情を押し殺しても、受け付けない部分がある。家庭環境だけは良かったから、親の愛情は浴びるように受けて育った。だからどうしても子供を大事に出来ない親、自らのエゴを暴力を伴って子供に押し付ける愚かな親に対しては生理的に嫌悪してしまうのだ)…もっとも、そういう親子の愛憎劇は私のメンタルが削られると同時に相手方に殺意を覚えてしまいますので滅多には引き受けませんが。……やはり請け負う仕事は殺人犯の弁護が良いですね~(侮蔑の表情をしながらコーヒーを飲み干すと一転、微笑みながら嬉しそうに言う。彼ら殺人犯の手口や動機を聞いて思いを馳せながら仕事をしている時が一番仕事が上手くいくからだ)
へぇ…でも弁護士って雇うだけて金掛かるって聞くけど。(相手が珍しい顔をしたことを意外に思い。自分の親は無関心ではあるが食事を与えなかったり暴力を振るう訳ではない。ただ会話が極端に少なく用がなければ関わらないし家にいようといまいと構わない存在としてあつかわれているだけで。しかしそれは虐待に入るかどうか微妙なところで。自分の親権を持たなくていいとなったら寧ろ自分の両親は喜ぶのではないのかとすら思え。)あんたが殺人の弁護すんのも変な話だけどな…。(それとも同じ殺人を犯したもの同士、気持ちが分かるのだろうか。昨日の話を聞く限りでは相手は快楽殺人鬼だが動機がそれ以外の場合でも弁護をするのは楽しいのだろうか、とそんなことをぼんやり考え。考えたところで自分には理解出来ない感情で。)
私はその手の裁判では最低額で、それも分割払いを可としていますので金額はあまり負担にならないようにしています。弁護士費用はこちらが自由に決められますが、私はあまり金銭欲がありませんのでそこまで高くは設定しません(金銭があっても独り身で趣味も金が掛からない。事務員からはもう少し上げるよう進言されたこともあるが、その度に断ってきた。唯一、この家だけは高い金を投じて建築してもらった。それ以外で金遣いが大きくなったことは無い)殺人犯の弁護、楽しいですよ!。無論、私と似たような人間は少ないですけどね。でも殺人の手口が惚れ惚れしてしまうくらいに美しいものもありますから…私は同じ人の命を奪った者同士として、彼らの行いに最大限の敬意と賞賛を与えたい。そしてその証が無罪判決や検察の求刑を下回った減刑なのですよ(目を細めうっとりとした表情をしながら一つ息を吐く。どうもこと殺人の件となると声のトーンを落ち着かせられない。法廷ではそれが熱弁に聞こえ裁判員達に印象を与えるが、ここではまるで逆だろう。今まで多くの殺人犯を弁護してきた。彼らは手口も動機も何もかもが異なっていたが、自分はほとんどの案件を検察の求刑より下回った判決を勝ち取ってきている)
ふーん…それで儲かるの?(あまり興味なさそうに呟き次の質問を投げ掛け。別に相手のことが気になる訳ではなく弁護士という普段は関わることにない職業への疑問だがそれが相手にど写るのか等頭になく。最低限と言ってもそれなりに金額は掛かりそうだが学生でも少し余裕があれば払える額なのだろう。自分には無理そうだと思い。)人を殺した奴を弁護をする奴の気が知れねーよ…正当防衛とかの場合はともかく。(流石に自分だって相手を殺さなければ自分が殺させれるなんて状況になれば抵抗するかもしれない。目の前の相手のようにこちらが混乱している間に拘束だの首を締めるだのしてくる人を殺しなれている人物には通じないかもしれないが、とは思うだけに留め。何故相手は人を殺すという恐ろしい行為をこんなに楽しげに話せるのか、一生理解出来ないな、と昨日から何度思ったかわからず。思わず重い溜め息を零し。)
ええ、それなりに。弁護士の収入源は着手金、報酬金、手数料、実費、相談料や顧問契約の顧問料など多岐に渡りますからね。最低額にしたとしても十分です(彼は興味無さそうだが質問を投げ掛けられるとその都度にこやかに答える。自分としては朝食の席に普段はいない話し相手がいるので満足だ。コップを片手に席を立つと再びコーヒーをおかわりし戻ってくる。いつも朝食のコーヒーは一杯だけにしていたのに)…ふふ。弁護士が殺人犯を弁護するのはそれが仕事だからです。如何に悪人だろうと公正なる裁判を受ける権利があります。そこに弁護士の存在は欠かせません。私の仕事は軽蔑して構いませんが、他の弁護士の仕事は理解してあげてください(重い溜息を零した彼を一瞥するとふっと微笑む。自分が異常者だと言うのは理解している。そして思想は違えど尊敬する弁護士もいる。だからこそ彼の自分と他の弁護士を混同する発言に対してやんわりと苦言を呈する)
へぇ…難しいことは俺にはわかんねーけど…。(丁寧に説明をしようとしてくれているのは何となく伝わるが初めて聞く情報が多すぎて一向に頭に入ってこず。相手はあまり表に感情を出さないがどことなく嬉しそうな雰囲気が感じ取れトーストを齧りながらも何がそんなに楽しいのだろうかと不思議に思い。)別に弁護士がおかしいとは思ってねーよ。けど…人を殺しておいて弁護されたいって…何か…。(相手が殺人犯だろうと明らかな罪人だろうと弁護するのが弁護士の仕事。それは理解している。理解は出来ても受け入れがたいのは犯罪を犯してもあっさり認めず高いお金を掛けてでも弁護士を雇って少しでも罪を軽くしようとする人たちで。)
ふふ。ずっと私の隣にいればすぐに覚えますよ(彼は一日のほとんどを自分の隣で過ごすことになるだろう。今は分からなくてもその内理解できるようになるはずだ。無論、余計な法律知識や制度を知られて法的行動に出られては困るが)んふふ…。確かにキミの言うことも分かりますよ。しかし…罪人は悪足掻きせずさっさと刑務所に入れ、死刑台の露となって消えろ…。理屈は分かります。しかし私は個人の幸福追及の元には法を犯しても致し方ないと考えていますので、彼らを弁護します(今まで様々な犯罪者を担当してきたが、誰も彼もが一様に自分の幸福のために罪を犯していた。もちろん自分もその一人だ。そして人間は日々自分の幸福のためにあらゆることを選択している。自分にとって犯罪はその延長線上にある一つの選択肢に過ぎない。こんなことを言っても彼は不愉快そうな表情をするのだろう、とコーヒーを一口飲みながら彼の表情を予想する)
……それは俺に法律を覚える気があればの話だろ。覚える意欲がなければ意味ねーよ。(何か物事を覚えるにはそれを覚えようと興味が湧くことが必要で。逃げないように、相手の目の届くように、という目的のために傍にいることになったが本当に将来法律家を目指してる訳でもなりたい訳でもない知識を理解するつもりは毛頭なく。)いや、そこまで言ってねーけど…。その幸福のために他の誰かが不幸になってんだけどな…。それはいいのか?(刑務所にというのは言っていたとしても死刑に関してまでは言葉にしてなく。突発的な無作為な殺人は元より計画的な殺人であっても遺族や大切な人に取ってはそれは不幸な出来事で少しでも重い罪を願う人もいるだろう。それでも失った人は戻らないが大切な人を殺され軽い罪で済んでしまっては救いがないのでは、相手に限らず弁護が通ればそういうことになり。仕事だとわかっていてもどうにも納得はいかず心中がモヤモヤして。)
おや…それは…残念ですね(一瞬眉を下げる。彼が法律を覚える気がないというのはこちらとしては好都合だ。同時に自分の専門を興味が無いと言われてはどこか複雑な気持ちになる。以前まで自分はこんなに構ってちゃんだったわけではないのだが)んふふ…。誰かの幸福は誰かの不幸で成り立っています。誰かの選択が誰かを不幸にしています。合法か違法か、大なり小なりの違いはあれどです。そこに特別を感じる必要はありません。……キミも誰かの幸福の踏み台にされていると思ったから家出したのではありませんか?(微笑みを湛えたまま小さく首を傾げる。つい意地悪でねちっこい声で彼の過去に迫ろうとする。自分も不幸な目に遭ってきたが、それ以上に幸福を享受してきた。だからこの世で自分を不幸にしていいのは自分に殺された被害者遺族であるべきだと心に決めている)
あんただって俺が本気で法律を学ぶとは思ってなかっただろ。(相手が自分が法律を学びに来ているとカモフラージュするのは事務員に監禁されているのを知られないため。監禁するのに余分な部屋があるのかどうかは知らないがどうやら地下室のようなところはないようで。自宅としても使用しているようなので地下がある方が異様で。)俺は…ちょっと違う。踏み台にされているからじゃなくて踏み台にされたくねーから出たんだ。(その発言は何れ踏み台にされることを表しているのだがあくまで踏み台にされる前に動いたことを主張して。逃げだとわかっていても誰かの踏み台になるくらいなら逃げを選び。干渉されていないのだから果たして踏み台になるのか踏み台にすらならないのかは定かではないが。)
ええ…まあ。そうですね。そう思ってたはずなんですがね(しゅんとした雰囲気を誤魔化すためにコーヒーを飲む。自分は彼に法律を学ばせるつもりは無いはずだが、心のどこかでは学んで欲しいと思っていたのだろうか。なんてことを一瞬だけ考えすぐに頭から振り払う)なるほど…。踏み台にされる前に、ですか。ふふ。他人の踏み台にされるのが嫌だから逃げる。精神衛生上は賢しい判断です(彼の説明に一応理解を示したフリをしておく。どんなに逃げようと生きている限りは踏み台を回避することは出来ないからだ。事実、自分も彼を踏み台にしている。彼からすれば自分に囚われたことは不幸だろうが、自分としては幸福だ。彼はそれを分かっているのだろうか。自分としては理解した上で受け入れて欲しいのだが)
…?急にどうした?(今までに饒舌に話していた相手の歯切れが急に悪くなったことに不思議そうか表情浮かべ。先程話した内容を思い返すも今まで大きく変わったような内容を言ったつりもりはないが何か気に障ったことを言ったのか、言ったのならどうしようかと悩み。)まぁ毎回逃げる訳にもいかねーけど…。(今回は踏み台になる前に逃げたが踏み台になる可能性はこの先も何度かあるだろう。その中ではきっと逃れられない状況や事情がある場合もあって当然で。そんな相手は誰かの踏み台になったことはあるのかと考え。今まで相手に殺された相手かそれとも今まで弁護してきた人間かあるいは両方か、それとも踏み台にされてたのか。何だか相手には余計なことまで話してしまっている気がして。)
いえいえ、なんでもないですよ(流石に勘付かれたかと気まずそうに首を横に振る。気を付けていたはずだったが歯切れの悪さをうっかり表出してしまったことに自分でも戸惑う。彼も不思議がっているだろうが、自分も不思議がっている。彼を自宅に置いておくことのデメリットは、自分が変化していくことだろう。明らかに彼をここに連れて来てから、自分はどこかおかしい)ふふ…。いずれ逃げられない時が来ますよ。……さて、ずっと家にいるのも何ですから、参考書を買いに行きましょうか(皿とコップを片手に席を立つ。ふと時計を見ると8:00を過ぎていて。もちろん道中で彼が脱走や他者と接触を図ろうとする可能性は大いにあるが、家に一人にする訳にもいかない。それにそんなことをさせないように目を光らせておけばいい話だ。もしそんなことをしようものなら、キツいお仕置を与えてあげることにしよう)
まぁ話したくねーならいいけど…。(相手は殺人鬼だからこそ話したくないこともあるんだろう。どうせ理解出来ないなら、と深く聞くつもりもなく。自分だって全てを話している訳ではないのだから自分だけ話さず相手には全て話して欲しいなんて都合のいいことを考えている訳ではないしそんなことを言える立場でも間柄でもなく。ただ気になったのは濁されたから。濁したり口ごもったり言い掛けてやめたりされると気になるのは人間の性で。)…え、俺も?俺も行くのか?(てっきり外には出してもらえないものだと思っていたので意外そうな声を上げ。外に出るのに拘束具を着けて行く訳にもいかないだろうから手足は自由なのだろう。その上、外。外で自由ならばいくらでも脱走の機会がありそうで。しかし同年代なら殴ったとて学生同士の喧嘩で片付くが流石に歳の離れてる相手を街中で殴れば通報されかねず。かと言え早い段階で脱走しようとしてその後、ずっと警戒されるのも避けたく。)
ええ。蒼クンのために行くんですから当然ですよ。予め言っておきますが逃げようなんて考えない方が身のためです。キツいお仕置がありますから(言いながらさっさと軽く洗い物を済ませると冷蔵庫に取り付けてあるラックの中から車の鍵を取り出す。ここから書店まで30分以上はある。ゆっくりドライブでもしながら行くとするか、なんて呑気に考えていて)では、行きましょうか~(有無も言わせず彼の手を引きながら、カーポートへと向かう。玄関を出てアプローチ用の階段を降りると、そのすぐ右手にカーポートがある。鍵を開けると助手席に彼を押し込むように乗せ、自分も運転席へ乗り込む。少しばかり強引に乗せないと隙を見て逃げられる恐れがあるからだ。エンジンやシートベルトを掛けたりしながら、彼が走行中の車から脱走を図るなんて無茶はしないだろうかなどと様々な脱走のシチュエーションを考えていて)
…因みに、だけど。そのお仕置きの内容って聞けたり…。(はっきり言って暴力的なものなら耐えられる自信はあり。自分から手を出すことはないとは言えそこそこ腕はあるため喧嘩をすることも決して少なくはなく。きいたとろこてで教えてくれそうにはないがお仕置きの内容によっては脱走も考え。)え、ちょっと待っ…。(引き留める間もなく車に押し込められてしまえばもう引き返すことも出来ず。てっきり後部座席に押し込まれるかと思ったが押し込まれたのは意外にも助手席。エンジンを掛けられ車が走り出してしまえばもうどうすることも出来ず。こういう時、映画等では走行中の車から飛び足したりするが映画は映画。フィクションで安全面にも考慮してあるはずで。自分がやったところで上手くいく保証はないしもしも下手をすれば怪我だけでは済まない可能性もあり。)
んふふ。それは内緒です。ただ賢い蒼クンなら私にお仕置をさせる状況は作らないと思いますがね(車を走らせながら妖しく微笑む。年頃の男の子だ。いい加減暴力にも抵抗しようとするだろう。とすれば彼に与えるお仕置は暴力的なものはなるべく避けようかなんて考え)ちょっと失礼…………ふふふ…(しばらく車を走らせると突然路駐する。視線の先には昨晩自分が遊びを行った現場が。現場には規制線が貼られ、警察が出入りしていた。一頻りその様子を眺めると満足そうに笑い、車を再度走らせる。近頃はああして犯行現場に出入りする警察官の様子を見ることも楽しみの一つとなっている。彼らの焦燥や怒りに震える表情がたまらなく好きなのだ)
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