殺人鬼 2023-04-15 18:52:00 |
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逃げるってもここが何階でどこが出口かもわからないけどな。(拘束されているから仕方ないとは言え最初に拘束されていた場所、キッチン付きのダイニング、現在の寝室と移動する際には相手に担がれていたし動けないのだから動き回ることも出来ずまだどこが何の部屋なのか全くわからない状態で。逃亡したい気持ちがあるというのは相手もわかっているだろうと隠すことなく。)いっそ殺すなら一思いに殺して欲しいもんだが…死ぬ間際まで苦しめられんのか…。(最後の言葉は無意識に出た言葉で。死ぬ間際までというのが家庭環境のせいなのか他にも原因があるのか今も自分なりに苦しんでいるということを表しており。)
出口の場所はいずれ分かってしまうでしょう。だからご安心……いえ、全くご安心じゃあないですね。私としては。(今は拘束されているが雑用に従事するようになれば、必ず彼は出口を探ろうとする筈だ。そうすれば自ずと出口の場所やこの家の間取りを覚えてしまうだろう。たとえ自分がいくら気を付けていても。それ自体は良い。仕方の無いことだと割り切っている。少なくともこの家から出さなければ、だが)…キミはここに来る前誰かに苦しめられていたのですか。例えば…ご家族とかに(彼の無意識から出た言葉にぴくりと眉を小さく上げ、彼の顔を見つめる。質問しても彼のことだ。関係ないと言ってそっぽを向いてしまうかもしれないが、好奇心でつい尋ねてしまう。自分としては苦しめているつもりは毛頭ない。他人の死を遊戯のように扱うようになってから自分の死に対しても恐怖心が無くなったからだ。ただ彼はまだそうでは無い。他者から甚振りを受けることに嫌悪を感じている。だとしたら、あまり意地悪するのも可哀想だと首から手を離す)
それまでに生きていられるか、だな。(自分は今は相手の気紛れで生かされていていつ気紛れで殺されるともわからない状況にあるも思っていて。相手が殺人鬼だとわかってる以上、相手が自分を殺すつもりがないことなど知る由もなく。確かに相手の傍にいることを前提とすれど拘束さえ解ければ出口を探すことは可能で。問題は出口を探し自分が脱出するまでに相手に殺さずにいられるかどうかで。)別に…小さかれ大きかれ悩みなんて人それぞれあるもんだろ。(相手に見つめられては若干、居心地の悪さを感じ顔を俯かせ。相手の読みは強ち間違ってもいないが素直に受け入れると自分が家族から感心を持たれていないことを再確認するようなもので。そんなことは百も承知だが敢えて自分から口に出して傷を抉るのは好ましくない。相手に言って理解されるとは思っていないし同情されるのも嫌で。自分は絶対にない。だがもし自分が家族に愛されていて家族が必死に探してくれるような、そう、まるで妹のような存在だったならば相手は逃がしてくれたのだろうか、なんて考えてしまう。)
ふふ…如何に私が気分屋だとしても今すぐキミを殺す訳ではありません。大体、私は気に入った人は大切にしたい主義でしてね…(彼の言葉に苦笑しながら答える。自分にとって彼は既に気に入った人間リストに入っており、大切にしたい人間の一人である。そんな彼を即座に殺すわけが無い、なんて拉致されてきた彼には伝わるわけないだろうが)そうですねぇ…私も日々色々なことで悩んでいますねぇ。どう弁護するか、何を食べるか、どうやって人を殺すか…悩むことが多すぎです。ただ私は円満な家庭で育ったので家庭の悩みは分かりません(彼は同情もされたくないだろうから、素直に涼し気な顔で分からないと答えておく。自分は歪んでいると自身でも思っているが、唯一愛情というものは真っ当に受けた。一方で彼は至って一般的な人間である筈なのに、愛情というものを受けていない。そう認識した時、無意識のうちに手を彼の頭へと伸ばし、数回撫でてしまい)
その言い方だと俺はあんたに気に入られたように聞こえんだけど…。(相手の言う通り気に入られているのならば大切にされるのかも知れない。しかし監禁されている状態で。気に入られたということは更に逃げ出せる可能性が低いことを示していて。)前半二つはともかく最後は可笑しいだろ…。それが普通なんだよ。ただ何で普通に育ったあんたがそんな風になったかは知らねーけど。…え?何…。(別に理解されるとは思っていないし自分のような家庭環境が異常なのは理解していて。そう、相手のような家庭が普通。そんな普通の家庭で育った相手が殺人鬼だというのはさておき。家庭環境としては相手のほうが恵まれているはずなのにどうしてこうなったのか。伸ばされた手にまた何をされるのかと身構えるも頭を撫でられると訝しげな不思議そうな表情を浮かべ。)
……あっ、失礼。あはは…ご迷惑でしたね(はっと我に返ると素早く手を離し。自分は何をやっているんだという羞恥に囚われる。力なく笑うと気まずそうに咳払いを一つ。)…私はキミを気に入っています。その上で一つだけ申し上げます。家庭とは子供を養育する一組織に過ぎません。キミの居場所はその組織の中には無かっただけの事。他の場所で…いえ。ここを居場所とすれば良いのではありませんか。ではおやすみなさい(いつもよりやや早口で言いたいことだけ言うと、彼の手の拘束を解いて逃げるように寝室から出て行く。階段を下っている最中、余計なことを言ってしまったと後悔する。まだ気持ちの整理が付いていない彼に--彼の場合は整理が付いても考えは変わらなさそうだが--あんなことを言っても仕方ないでは無いか。羞恥心と後悔の念に脳内を支配されながら、リビングのソファに倒れ込む。大きく溜息を吐くと目を瞑り、意識を夢中へと滑らせる。現実逃避をするとは、こういうことなのだろうか)
いや、迷惑と言うか…。(突然撫でられた意味も理由もわからず迷惑というよりは困惑のほうが強く。ただそれは撫でられたことが久しくなかったからなのもあり。最後に撫でられたのも思い出せないくらいで。)………何がしたかったんだ?(早口に言いたいことだけを告げ出ていった相手に一人首を傾げ。一組織と言われて理解は出来たとしてもそう割りきれるのならば悩んではいないし苦労もせず。手の拘束を解かれたのは眠れないと言ったことへの配慮なのだろうか。しかし足の拘束を解かれないところを見るとやはり逃がすにはないのかと再認識し。相手と寝るのも落ち着かないがこの大きなベッドに一人で寝るというのもなかなか落ち着かず。手が自由になったところで携帯も無いし寝室であるこの部屋には暇を潰せるものがある訳でもない。そもそも監禁されているのだ。娯楽になるもの等あるはずもなく。)
(彼が眠れない頃、夢を見ていた。学生の頃の夢。まだ自分が自らの異常性に気付き始めた頃のこと。自分をいじめていたクラスメイトの一人を屋上に呼び出して突き落とした。いじめが苦だった訳では無い。特別クラスメイトに憎悪があった訳でもない。ただ自分の前では嘲笑と侮蔑の表情しか見せない彼は理不尽に殺された時どんな表情を見せるのか。それが知りたかった。振り返った彼を突き落とした時、下に降りて彼の遺体の表情を見た時。自分は快感を覚えていた。何て愛おしいんだろう。もっとじっくりと観察したかったが人の気配がして、すぐにその場から退散した。家路に着いている時、胸の高鳴りは止まず息も荒かった。あの感覚が忘れられない。あの表情が忘れられない。もう我慢できなかった。それから自分は人目を盗んで殺人を繰り返し、その度に快楽を享受するようになった。)……ん(目が覚めると一瞬、いつもの寝室の景色じゃないことに戸惑う。ああ、そうか。寝室は彼一人にしていたのだ。足の拘束は解いていないので脱走はしていないだろう。ゆるゆると身体を起こしながら窓を見ると、外は少し明るくなっていた。現時刻を確認するために携帯を手に取る)
(相手が出ていった後。少し頭を整理する。やるべきことは拘束を解くこと、事務員と接触すること、出入り口の確認及び道順の把握、脱出の手順、脱出した後の行方と問題は多くどれから手をつけていいの頭の中でぐるぐると考えが巡り。どのことに対してもやりようはあるが問題はそれが成功する感心がないことと失敗した際のリスクが大きいこと。この中で一番出来そうなのは事務員との接触ではあるが果たして相手の目に着かない場所で2人きりで話す機会が出来るかどうかで。ベッドの上に座っても寝転んでもいい案等、そうそう思い浮かんでくるはずもなく。それと考えるのは相手の不可解な言動の数々。気は休まらないが衣食住を与えられ監視されながら生きるのか、気は楽だし衣食住も与えられているが感心すら持たれず妹との差を見せつけられ苦痛を感じながら生きるのか、それともいっそ何も感じない安息の死か。どれを選んでも後悔しそうで幸せな結末は思い付かず。)…ん、あ、俺、寝てた…?(色々と考えている内に少し眠ってしまったらしく。携帯は壊され手元にないし部屋を見渡して見ても時計らしきものはなく今が何時かわからず。今が朝なのか夜なのかもわからない上、相手がいつこの寝室に来るのかもわからず。取り敢えずまた相手の傍で着替えるのかと考えると憂鬱な気分になり。)
…6:30か。…準備しないと(のそのそとソファから起き上がると浴室へ向かいバスローブを脱ぎ捨てシャワーを浴びる。バスタオルで身体を拭きながら自室--自室は寝室へ向かう階段を上がり、左にある--へ向かい、クローゼットから適当に服を選び着用する。髪をセットし、リビングへ向かうとトーストとコーヒーを用意する。いくら料理の腕が壊滅的とはいえ、トースト程度は作れる。彼はコーヒーを飲むのだろうか。一瞬考えるも彼を起こしてから直接聞こうと、寝室へ向かう)…おはようございます。おや、起きてたのですか(ドアを開けると彼の目は開かれていて。何やら浮かない顔をしているが、それには特に触れず。断りもなく彼を抱き上げるとリビングへ連れていく。昨夜の自分の奇行もあり、そこはかとなく気まずさを感じるも表情には出さないようにして。自分は大人だ。自分の感情くらい制御出来なくてどうする)朝はコーヒーにしますか。それとも別のものを飲みますか?
はぁ…。(思わず溜め息が漏れる。こんな状況ではそれも仕方なく。少しうたた寝をした程度でろくに眠れず寝不足でクラクラする頭を何とか回転させ。自分は動けず相手も寝ていると不気味な程、無音で。そんな中でベッドに転んでいれば微かな足音が聞こえ。相手が来たのかと上半身を起こすもどうやら足音は部屋の前を通りすぎていき。それから暫くしてまた足音が聞こえたかと思うと今度こそ寝室の扉が開かれて相手の姿が。事務所も兼ねているとは言えこの家に済んでいるのは相手だけなのだから相手以外のはずはなく。)…はよ。まぁ…。(短く素っ気なくも一応、挨拶は返し。起きていたのかとの言葉にもこれまた短く素っ気なく更に曖昧に返し。こうして抱えられるのももう何回目か。昨日は1日、抵抗してみたものの何もならなかったことで抵抗しても無駄だと悟り余計な体力は使うまいと抵抗せずキッチン付きのダイニングまで運ばれ。ダイニングに付けば何やら鼻腔を擽る匂いがして。相手の問い掛けにそれがコーヒーの匂いだとわかり。あまり朝食は取らないため胃に良くないと普段は飲まないが飲めなかったり嫌いな訳ではなく短く告げ。)コーヒー…ミルク付きで。
ミルク付きですね。分かりました。(どうやらコーヒーで良かったようだ。自分は些か彼を子供扱いし過ぎだろうか。コーヒーを煎れながらそんなことを考える。思春期の男子というのは子供扱いされることを特に嫌がる時期だろう。となれば大人と同じ扱いをしてあげた方が良いのだろうか。そんなことを考えながらコーヒーにミルクを少量入れる。あまり入れすぎると子供扱いしているようで彼に怒らせそうだと余計なことを考えたからだ)お待たせしました。さぁ朝食にしましょう…と、その前に。いつまでも足を縛っていては可哀想ですね(コーヒーを置くとハサミで足の結束バンドを解き。長時間拘束していては身体的な負担があるだろう。彼の場合、一晩中拘束していたのだから尚更。無論、脱走されないように目を光らせておく必要はあるだろうが)
あ、砂糖はいらないから。(ミルクを入れるのは胃を考えてのことで。コーヒーを飲むのならばあまり甘いのは好きではなく。何も言わなければそのまま砂糖を入れてしまうかもしれないので事前に伝えて。ミルクも入れすぎるとカフェオレになってしまう。それなら最初からカフェオレを頼む。料理は出来ないと言っていたが自分からコーヒーを淹れてくれるということはコーヒーも淹れれない程、家事音痴という訳ではないのだろう。コーヒーの香ばしい香りにこの非日常の中に日常を感じ。)どーも。…え?(不意に外された足の拘束。久し振りに解放された足を何度か伸ばしたり曲げたりして。正直、拘束を解かれるのはまだまだ先だと思っていため昨日散々考えていたことも何も出来ず。取り敢えず今は解放された足を解すくらいしか出来ず。複雑な思いでコーヒーをすすり。)
ん…どうしました? まさかこんなに早く解かれるとは思っていなかったとか?(彼の反応を認めるとトーストを頬張りながらくすくすと笑う。彼の反応は国選弁護の担当より素直で助かる。犯罪者と高校生を同一にするのもおかしな話ではあるが、普段から色々とやりづらい人間と仕事をしているので尚更彼の反応が分かりやすいのが助かる)んふふ、もっと表情が明るく輝くものだと思っていましたが…あまり嬉しくなさそうですね? もっと縛られていたかったですか?(トーストをコーヒーで飲み下すと複雑そうな表情をしている彼を揶揄うように小さく首を傾げる。普段は一人の朝食に誰かがいるということが新鮮で、つい話しかけてしまう。これが俗に言うウザ絡みというやつだろうか。)
え、あ、まぁ…正直…。(上手い言い訳も思い浮かばずここで意地を張っても意味がないと小さく頷き。とはいえ予想外に早すぎてまだ屋敷の中を全然わかっていないため走って逃げることも出来ず。家の出入り口さえわかっていれば手足の拘束が解かれ自由になった今こそ逃げるチャンス。しかしここには昨日来たばかりでまだ何もわからないのが悔やまれ。)いや、それはねーけど…。(複雑な感情を抱えてはいたがそんなに顔に出ていただろうかと眉を寄せ。自由になりたいと思っていたのがやっと叶った。嬉しくないはずはないがあまりにも早い展開だったため拍子抜けして。とは言っても警戒してる相手の様子から逃がしてくれる気はないようで。)
一つ質問をします。キミは一刻も早くここから出ていきたそうですが…ここを出てどこに行くつもりですか?(戸惑う彼に単純な疑問をぶつける。高校生故に所持金だってさして持っていないはずだ。この辺りの地理もよく知らないだろう。そんな状態でどこに行こうと言うのか。どこかに彼の家以外の行く宛てがあるのか。それとも特に決めては無いが、とりあえず殺人鬼の家から出て心の安定が欲しいのか。もし後者なら、丁重にもてなして我が家のように思わせてあげるのに。自分には彼を殺害するつもりなどこれっぽちも無いというのに。やはり自分が気分屋だということが、何が引き金になって殺されるか分からないから怖いのだろうか。だとしたら自分の性格について言及するのはやめておけばよかったと後悔する)
どこ…って。寮の改装工事が終われば…寮に戻るし…。(そう。今、実家にいるのは普段使っている学生寮が改装中なため。折角家族と離れるために寮のある場所を選んだのにタイミングが悪く。とはいえ老朽化も進んでいたためかなり大掛かりな工事で今のところはっきりとした復旧はいつになるかわからない状態で。初めのうちは実家での扱いも気にしないようにしていたが何日もすると溜まりたまった鬱憤が爆発して最悪の場合は満喫や野宿でもと家を飛び出した先で出会ったのが今、目の前にいる相手で。しかし今、聞かれているのは現状帰る場所があるのかどうか。その答えはあの地獄とも言える実家しかなく。監禁されていたということも殺されかけたということも相手が気分屋だということも全て原因の一端ではあり。相手に抱いている感情は恐怖なのか他の何かなのか今の状況では自分でもよくわからず。)
そうですかぁ…寮が改装中ですか。なるほど、だから居たくもない実家に居続け、それが耐えられないから家出したと。それは災難でしたねぇ(寮が改装中でなければ自分に遭遇することもなかっただろう。しかし居たくない程の実家とはどういうものだろう。仮に聞いたとしても答えてはくれないだろうが些か気になる。そういえば、とこの前仕事で知り合った調査会社の人間を思い浮かべる。あの人間に彼のことを調べさせてみよう)ああ、そうそう。高校生でしょうから勉強は必要ですね。参考書を買いましょうか。勉強で分からない所があればお教えしますよ(彼の身分を忘れていたがまだ現役の学生だった。であればやはり勉強を見てあげた方が良いだろう。勉強は人生の選択肢を広げる--自分自身が気まぐれで弁護士になろうとした時に分かったことだ)
別に…いつものことだ。(捜索願が出されないという家族との不仲のかことはつい口に出しはしたが家族内で何があったかは話してないのに居たくないという相手。そうか、相手には家出しているとそう見えるのか、なんて客観的に捉え。家に居たくないというのは間違いではないのだが実家に居続けた訳ではなく親戚を頼ったりしてなるべく家にはいないようにしたりはしていて。)あんたが?(そんな勉強の心配をするのなら解放してくれたらいいのに、なんて思ったが決して口には出さず。弁護士をやっているのだから頭はいいのだろうが相手に勉強を教えるなんて出来るのかと訝しみ)
おや、怪しんでますね?ご安心ください。学生時分はこれといった趣味も、打ち込む部活も、気の置ける友達もおらず、いつもクラスメイトに虐められてばかりでしたから、勉強しかすることがありませんでした。一日のほとんどを勉強に費やす…みたいな調子でしたから。ですから知識の面では問題ないと思いますよ(彼が訝しんでいるのは自分の知識面なのか、人格的な面なのかは分からなかったが、とりあえず知識面では無問題なことを伝えておく。本当に学生時代は何もすることが無かった。自分が他者とは違う感覚を持っていることが自覚出来ていたので、尚更友達を作る気にはなれなかった。あの頃の自分は楽しめるものを何一つ持っていなかったので、人生に希望を見い出せなかった。だがクラスメイトを転落死させてから、自分の楽しみを見つけた。理不尽に命を奪い、その表情を愛でるのが自分にピッタリな遊びだと気付いた。そして人生に希望を見い出せるようになった。そう考えると学生生活も悪いものではなかった、とコーヒーを飲みながら微笑み)
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