Evils draw men together（〆）

別にあいつらは俺がいなくたって気にしねーよ。俺に興味なんてねーし…。（言ってしまえば相手が自分を解放する理由は無くなってしまう。良く考えればわかることだが今はそこまで頭が回らず創作願いが出されないことを話してしまい。体面を保つことを大事にしている両親とはいえ普段家に寄りつかない自分がいないところでご近所さんも気にしないだろうことは容易にわかり。）弁護士…？あんたが…？（相手が人を殺していたところを見た後では相手がそんな職業をしていることは想像が付かず。しかし相手以外の相手がいる。その事務員が相手の本性を知っているかどうかはわからないがその事務員に自分が監禁されていることを伝えれば逃がしてもらえるのでは、と僅かな希望を持ち。）

ほう……（捜索願いは出されない可能性が高いという旨の発言を受ければ小さく呟き、ぴくりと眉を動かす。しめた、と思った。これで自分が彼を解放する理由は無くなった。飽きるまでここで可愛がり、飽きたら飽きたで獲物の一人にしてしまえばいい。まさか彼の口からそんなことが聞けるとは思わなかった。自分の発言が自分の首を絞めていることに気付いていないのも好都合だ）信じられないという顔ですね。本当ですよ。殺人犯が弁護士なんて似合いませんよね。ふふ…でもギャップがあって面白いでしょう（普段から話し相手に飢えているので楽しそうに彼と会話する。彼が事務員に助けを求めようとしていることなど露知らず。）

な、何だよ…。（それまで饒舌だった相手があまり反応しないことを不気味に思い。監禁という現状に混乱しているのかただ鈍いだけなのか、相手に自分を解放する理由はないと告げてしまったことをまだ理解しておらず。?相手が人を躊躇もせず殺したことを知っていることで警戒を解く様子はなく。何かの拍子に相手のスイッチが入って殺される可能性もある。そう思うと迂闊な言動も出来ず。少し喉が乾いたのかチラリとココアに視線を移すも何か入っているのを疑っているのか手を付ける気配はなく。）面白い…？そのギャップがもっと可愛らしいモンなら面白いけどな…。（相手のギャップは自分も危険に晒される危険性のあるもので。問題は事務員どう接触したものかと考え。騒がないようにということは騒げば見つかるということなのか。）

んふふ……。…ココア、お嫌いですか？ それとも何か入ってないか警戒していますか。それならご安心を。毒殺の類は私の流儀に反します。自分の手で確実に絶命させるのが好きですから。ネットがあるとはいえ、毒物の入手というのも意外に難しいものです。それに食べ物を粗末にするような教育は受けていませんので（どうぞ、とココアを少し彼の方へ寄せる。自分を訝しんだり怖がったりする彼を見ていると、虐心にも似た昏い感情が湧き上がってくる。しかし暴力を加えたいという欲求ではない。もっと別の、精神的なもの。自分は彼を自分と同じ所へ堕落させたいのだろうか）蒼クンのギャップも面白いですよ。荒っぽい口調なのに目が理知的で（コーヒーを飲みながら、にこやかに彼の顔を見つめる。ツリ目のせいか、彼は計算高いように見える。実際のところは分からないが、内心で脱出計画を練っていてもおかしくはないだろう）

……じゃあ。（相手の言葉に再度悪趣味だと思いながらも人を自分の手で殺すのが好きだと言う言葉にどこか納得してしまい。納得してしまう自分とそんな自分もかなり麻痺してきているな、という気持ちが相反していて。相手の言葉が嘘でないのなら逆により危ない相手ではあるが、取り敢えず毒は入っていないようでココアを一口飲み。）それは褒めてんのか、貶してんのか？（褒め言葉なのか悪口なのかイマイチ分かりづらい相手の言葉に返しながら普通に話していることに違和感を抱き。）

もちろん、褒め言葉です。きっとキミが本気で考えたら私から逃げ果せることも容易なのでしょうねぇ…？まぁ私もあらゆる手段を使って追いかけますが（わざとらしく小首を傾げながら、それとなく忠告する。ようやく普通に会話をしてくれるレベルまで彼が自分に慣れてきたことに安堵する。彼と事を構える気はない。少なくとも今は、自分からは。ちょうどその時だった。インターホンが鳴った。出前が届いた様で「暫しお待ちを」と言い残しさっと立ち上がると、受け取りへ玄関に向かう）…お待たせしました。どうぞ召し上がって下さい。良いところの寿司屋ですから美味しいですよ（何分か経って寿司桶を持って戻ってくる。丁寧に寿司桶と割り箸を彼の前に置き。）

本気で、ね。俺はただの高校生だぞ。高校生の考えることなんてたかが知れてるだろ。（確かに脱出するために色々と考えてはいるもののまだ確実と言える案は一つもなく。事務員に助けてもらう場合はまず事務員が相手の正体を知らないことが大前提でその上、相手に知られないように接触しなくてはいけない。相手の隙を付いて逃げるには現在も拘束されている足の拘束を解かないと難しい。力づくで解けないのは確認済みな上、手で解こうとすれば相手にバレることになり。）……戴きます。（自分を拐った相手に素直に言うのは癪だが無言で食べるのも感じが悪く。先程の飲み物の件で毒殺をあんな風に否定したからにはお寿司にも毒が入っている可能性は極めて低く。）

私は身分で相手を決めつけるなんて愚かなことはしません。以前殺人未遂事件を起こした高校生の弁護を担当しましたが実に美しい見事な手口でした。証拠の隠し方もグッド。被害者が意識不明のまま死んでいれば立件は困難だったでしょう。ふふ…このように最近の高校生は侮れないほど賢いのですよ……味はどうです？美味しいですか？（最近はインターネットの発達で知らなくていいことまで知れてしまう。目の前の彼も恐らく年齢の割に不要な知識を溜め込んでいるかもしれない。彼の知識量を窺いながら、いただきますなんて丁寧に呟いてから寿司に手を付ける彼を満足そうに見つめる。ふと思った。自分に子や弟が存在していれば、こんな感じだったのだろうかと）

ならその高校生は普通じゃなかったんだろ。それに殺人鬼未遂に美しいも何もねーだろ。結局は捕まってんだから。俺は普通だ。まぁ…上手いけど…。（立証されたということはその高校生は逮捕されたのだろう。殺人未遂がどれ程の罪にあたるのかはわからないがかなり重い罪であるだろうと想像して。未成年ということは最悪の場合は少年院だろうか。突発的に殺してしまったという話もニュースではよく耳にするが、証拠を隠したということは明確な殺意を持っていたのだろう。確かに大なり小なり相手に対して不快な感情を持つことはあるし自分だって両親にも妹にも不快な気持ちは持っているが殺意が沸いたことはなく。不意に問われたお寿司の味にそこは素直に頷き。）

キミは普通ですか…。果たして普通とは何をもって普通とするのでしょうねぇ……（そう言ってコップに手を掛けようとした時だった。机の上の携帯が鳴った。顧問契約を結んでいる企業からの電話だった）今から向こうで電話をして来ますが、大人しく食事をしていて下さい。変なことしたら、お仕置きですからね（大きくため息を吐き、それだけ言い残すと携帯を持ってリビングから出て行く。正直出たくはなかったが顧問契約に支障が出ては困るので出ざるを得ない。相手方との会話の最中も、彼のことばかりが気掛かりでまともに集中出来ない。自分は蒼という少年を気に入っているのだろうが、理由すらまともに分からない。ただの目撃者と殺人鬼の関係なのに、自分はそれ以上のものを求めている感がある）

大体この世の普通って言ったら大多数と同じこと、だろ。（自分も今の普通の定義に納得している訳ではないが家庭環境を除けば自分は今の世間一般でいう普通の枠には含まれ。相手の携帯が鳴ったところでそう言えば自分の携帯はどこにあるのかと思い至り。）この状態じゃ何も出来ねーだろ…。（相手が出ていった扉を見つめてポツリと呟き。手は解放されたが足は依然拘束されたままで。取り敢えずと思い全部のポケットを探ってみるも携帯は見当たらず相手に取り上げられているのかここに来る途中で落としたのか。先程、拘束されていた場所に置いてあるのかも知れない。もしかしたら、という淡い期待を抱いていたがそんな希望も消え失せがっくりと肩を落とし。そう言えば持っていたボストンバックも見当たらず。特に見られて困るようなもの高価なものが入っている訳ではないが自分の所持品がどこにあるかわからないのは少し不安で。）

…どうやら良い子で待っていたようですね（数十分後、辟易した様子でリビングに戻ってきて。戻ってきたその手に握られていたのは彼が持っていたボストンバッグ。彼を拘束した後に現場に証拠を残さないため、回収したのだ）キミのボストンバッグ、お返しするのが遅くなりました。着替えがしたかったら言ってください。拘束を外します。ただし私の目の前で着替えてもらいます（そう言って彼の隣にボストンバッグを置く。何やら変態のように聞こえ、自分でも言ってて気まずさを覚えるが仕方ない）…ああそうそう。キミの携帯ですが破壊した上で処分させて頂きました。追跡されたら面倒ですから。賠償はまた何かの形でしますので、ご容赦下さい（申し訳ないとは微塵も思っていないが形だけ軽く頭を下げ）

あ、俺の鞄っ…！（扉が開く音に無意識に相手の方に視線を向けると目に入ってきたのはまさに今、探していた自分の所持品。家出と言ってもまだ学生の身。然程荷物は多くなく。）……は？え、何て…？（隣に置かれたボストンバックを開けて中身を確認する。あまり多くのものがない荷物の確認はすぐ済み、紛失物等もなく安堵したのも束の間、着替えるために付けられた条件に一瞬、思考が停止して。）破か…はぁ！？壊したのかよ！信じらんねー…。（頭が追い付かないなが理解したのは携帯が壊されたという事実。髪をくしゃりと乱しては力なく呟き。）

あれこれ条件をつけたり事後報告をして申し訳ありません。ただ蒼クンが良い子になってくれるまではこういう措置を取るしかないのです。ご理解下さい（困惑したり脱力したり情緒が忙しい彼の肩に手を置きながら、その背中に言葉を掛ける。あくまで従順でない彼が悪いというような言い方で。向かい風が強くて前に進めないので休みます。自分の対応はまずくなかった－－証拠隠滅の観点からだが－－と思うが彼にとっては踏んだり蹴ったりだろう）キミが良い子になってくれれば多少の要望も聞いてあげられますので、そんな顔しないで下さい（流石に不憫に思い、困ったように眉を下げる。こういう時気の利いた言葉でも紡ぐことが出来れば良いのだが、生憎自分はその手の技術を会得していない）

何で襲われた俺があんたの言うこと聞かなきゃならねーんだよ。おかしいだろ。（自分は望んで来た訳でも相手に着いて来た訳でもなく無理矢理連れてこられたのだと主張して。いい子というワードはいい子ぶって優秀な妹に贈られる賛辞でよく聞いていた言葉。そのため自分は誰かに取ってのいい子になろうなんて気は更々なく。今更、親に認めてもらうというのは諦めてるし認めてもらいたくもない。勿論、相手に対しても同じことで。）へぇ？一応聞いておくけど…そのいい子とやらになった要望にここから出たいっていうのは含まれるのか？（相手の要望というのがどこまでを差すのかはわからないがこうして何もしない内から食事を与えられている以上、いい子にしてないからと言って食事を与えられない、なんてことはないだろう。今のところ自分の今の一番の願いは現状から解放されることで。）

そうですねぇ…。キミが出たいと望むなら出してあげましょう。ただし心臓が止まっていても構わないのならですがね（ふふ、と微笑むと腕を伸ばして彼の首に手を掛ける。首に手を掛けたまま少しずつ力を込めて彼の喉を圧迫し出し）キミは良い子という言葉に抵抗があるように見受けます。あまり親に褒めて貰えなかったのでしょうか。私の言う良い子の条件とはここから出ないこと。つまりキミはここにいるだけで良い子になれるのですよ（言葉も表情も穏やかだが、首を絞める手だけは彼の抵抗も意に介することなく力を強めていき。彼の生命の灯火を自分が絞めているという事実に妙に高揚感を覚える。きっと彼は怖がっているだろうが対照的に今度は絞殺を試してみようかと呑気に考えていて。殺すつもりは無いのでこの辺りでやめておこう、と首に掛けていた力を緩め首から手を離し）

それは出れるとは言わ…がっ…！？（相手も生きて出たいという意味はわかっているだろうに呆れたように吐き捨てる最中、突然伸ばされたかと思うと首に掛かり力を込められ呻き声が出て。）ぐっ…ぁ…。げほっ！げほっ、ごほっ！（言い返したくても首を絞められ軌道を圧迫されているせいで声にならず苦しげな声を洩らすだけで。力が抜け解放されると膝から崩れ落ちるように床に手を付き急に入ってきた酸素に激しく噎せ。咳き込みながら何とか呼吸を整え。やはり相手は人を殺すことを何とも思っておらず簡単にやってのけるのだと再認識して。）

ふふ…いいですねぇ。その苦しそうな姿。私に首を絞められた瞬間のキミ、実に美しかったですよ。私も絞殺のイイ感触を知りましたぁ…思わずあのまま絞め殺したくなってしまいましたよ（激しく噎せ必死で呼吸を整える彼の姿を恍惚とした表情で見下ろす。彼にはこういう姿が似合う。怯えたり苦しがったり。自分は彼と一つ屋根の下で暮らして大丈夫だろうか。気分屋な自分など我慢出来ずに彼を殺してしまいそうな予感がしてならない。そういう意味では理性との戦いだ）怖かったですか？ 苦しかったですか？ いずれにしても今の感覚、覚えておいて下さいね。今後の役に立つでしょう（今後の役に立つとはつまり、自分が気に入らない行動を取ったら容赦なく絞め殺すぞという脅しで。直截的に言った方が脅しとして伝わるのかもしれないが、彼は遠回しに言ったとしても理解出来る子なので問題は無いだろうが）

けほっ…、後ろから襲うのが好きだったり絞め殺すのが好きだったり…本当、悪趣味だな。（呼吸が整えば絞められた後を摩りながら恨みがましいような目線を向け。本来ならこのままぶん殴ってしまいたいがその先がないのではそれは得策ではなく。確かに自分を殺さず連れ去ったのは気分だとも言っていたのを思い出し。まだ数時間を過ごしただけでは何が相手の琴線に触れるのかわからず。しかし相手の口振りから生きている限り外に出す気はなさそうで。）こんなもん忘れたくても忘れ等んねーよ…。（忘れないというのは実際は恐怖よりも苦しみのほうで。いっそ早々に気でも失ってしまえば苦しみも相手の興味も削がれたかも知れないが。しかし紐やコードならともかく手で首を秘められては気絶するとしてもなかなかな時間が掛かり。相手がどうかはわからないが殺しのプロは相手がギリギリ気絶しない力加減を知っているとも聞いたことがあり。）

悪趣味とは褒め言葉として受け取っておきましょう。良い趣味だと自分では思ってますがね。…何なら……蒼クンも体験してみますか。人を殺す楽しさを（ふっと一瞬だけ瞳からハイライトが消え。すぐに我に返る。自分は一体何を言っている。こんな子供にそんなものが理解出来るはずないのに。自分がこの子に惹かれているのか、この子が人を惹く素養があるのか、どうもさっきから自分はおかしいようだ）なぁんて冗談です。さぁ、早く着替えて今日は寝るといいですよ（いつもの微笑みを向けながらナイフで足の拘束を外す。これで彼の縛めは全て解いてしまったが問題ないはずだ。喉元過ぎれば熱さを忘れると言うが、つい今しがた自分を殺そうとした相手に手向かう程愚かな子ではないだろう。ソファに座るとコーヒーを全て飲み干し、携帯に目を落とし）