キングダム

何故そうなる。(理解できぬとばかりに答えるが、よくよく考えると常に蒙恬の傍にいる愛閃の存在が気にならないわけがなく)…いや、気にならないと言えば嘘になる。

…え、本当に？ああいうのがタイプなのか。(聞こえない程の声で言うと、王賁の言葉に胸がチクリと痛むような気がして、誤魔化すように話題を変えて)…そうだ、無事に秦に帰れた事だし、祝杯しないとね。

お前は暫く酒は禁止だ。(蒙恬に誤解されてしまったとはつゆ知らず、体調を気にしたような台詞を)

えー、禁止なの？じゃあ信とこっそり飲もうかな。(先程の事が気になり、素直に笑えず)

駄目だ、許さん。(二人きりで過ごすのかと思うと思わず即答してしまい)

えー許してくれないの？(即答すると思わなかったので、思わず笑ってしまい)

…お前は怪我人だろう。あの馬鹿と二人では羽目を外しろくでもない事になるのが目に見えている。どうしてもと言うのなら俺も同席する。(つい私情が入ってしまった事にはっとし、後からそれらしい言い訳を付け加え)

王賁も来てほしいなぁ。(素直じゃない王賁にクスッと笑い、王賁は愛閃の事が気になっていると思っているので、愛閃も誘うか聞いて)… 愛閃も呼んじゃおっか。

(愛閃の名を聞くとピクリとし、蒙恬をじっと見つめて)…呼びたいのか？

…だって、気になるんでしょ。(言葉にすると少し嫌で、王賁に見つめられると下を向いて)

気にはなると言ったが…もしやお前、妙な誤解をしてはいないだろうな。そういう意味ではない。(蒙恬の様子を不思議に思い、まさかと眉をひそめ)

…なんだ。てっきり、愛閃に一目惚れでもしたのかと思った。(王賁の言葉を聞くと安心して顔を上げて)

馬鹿を言え。最近よくお前にひっついているから気になっただけだ。(誤解を解くべく、つい馬鹿正直に答えてしまい)

…それってさ、つまり俺に気があるって事？(愛閃にではなく、自分に気があるんだと分かると嬉しくなり)

…っ(しまった、というような顔するがもはやどうにもならず。暫しの沈黙の間、視線を逸らして何処か悔しそうにぼそりと)……そういう事だ。

…嘘だ。(自分から聞いたものの信じられないが、王賁が冗談を言うような人でもないと思うと急に恥ずかしくなり)…からかってない？

嘘ではない、断じて。(からかっていると思われたくないのか、逸していた瞳を真っ直ぐに蒙恬に向けると真剣に伝え)…だが、お前も困るだろう。俺自身戸惑っている、お前にこんな感情を抱くなど。だから忘れろ。(この先迷惑にしかならないだろうという思いからそう伝えると、視線を外して)

(真剣な王賁の表情に対して、自分も真剣に目を向けて)…忘れろって言われる方が困るんだけど？

だったらどうしろと。(いずれにせよ蒙恬を困らせるだけの想いなら、いっそ言わなければ良かったと後悔し。不快にさせた事については素直に謝罪しようと視線を伏せ)…すまん。

だったらどうしろと。(いずれにせよ蒙恬を困らせるだけの想いなら、いっそ言わなければ良かったと後悔し。不快にさせた事については素直に謝罪しようと視線を伏せ)…すまん。