キングダム

…誰が。(図星をつかれたのか一瞬動きを止めるが、視線を逸らして普段通りに)

…本当、素直じゃないね。(王賁には聞こえない声で呟くと、再び馬に乗り)今日も頑張ろう。

無論だ。(こちらも馬に乗り、来た道を戻る途中で信とばったり会い。いつもの調子で馴れ合う二人の会話が気になるのか、すました顔で聞いていて)

(信に昨日の事を少し大袈裟に話すと、王賁の事をからかい始めた信に思わず笑い)王賁がからかわれるなんて新鮮で面白いね。

うるさい。何がおかしい。(信にまでからかわれると不機嫌になり)お前もだ、蒙恬。今夜はその馬鹿のところで寝ろ。

誰かさんが拗ねてまた寝不足になられると困るから、今夜は一人で寝るよ。(馬鹿と言われ怒っている信に声を掛けて先に行かせると、王賁に近付いて)…次は王賁が俺の天幕に来る番だからね。

断る。俺は寝不足だと言っているだろう。(前方を向いたまま淡々と返すが、何処と無く満更でもなさそうで)

はいはーい。(満更でもなさそうな王賁の顔を見ると微笑み)

(集合の号令が掛かり、一旦蒙恬と別れることになり)…くれぐれもヘマをするなよ。

王賁もね。(…戦が終盤にかかろうとした頃、隠れていた敵軍に出くわし苦戦しており)

ここは俺が引き受ける。お前はさっさと立て直せ。(苦戦中の蒙恬の援護に駆け付けると、隊の立て直しを図るようにと指示して)

ごめん、王賁。(すぐに隊を立て直し、指示をすると再び参戦して)

おい、あまり無茶をするな。(蒙恬の怪我の具合を気にかけて)

…俺は大丈夫。(動いているうちに、傷口が広がっていき馬に乗りながらも馬の背に倒れ込んでしまい)

蒙恬…！(蒙恬を狙う敵から庇い)っ…さっさと蒙恬を下がらせろ！(駆けつけた楽華の隊員に蒙恬を託すと、脱出させる為の退路を切り開き)

…(隊員が天幕まで運んでいる途中に意識が途切れてしまい、まだ目を覚まさず)

(戦が終わり、蒙恬の様子を見に天幕へ)
俺がかわる。少し休め。(ずっと蒙恬についていた副官と交替することにして)

…王賁？(目を覚まし当たりを見渡すと、隣にいる王賁に声を掛けて)

…気が付いたか。(目覚めると内心安堵し)怪我のせいで熱も出ている。暫くは大人しくしていろ。(冷たい水で濡らした布を蒙恬の額に乗せ)

…ごめん。また、寝不足になっちゃうね。(冷たい布が気持ちよく、再び目を瞑り)