キングダム

ふーん、泊まるだけなんだ。残念、手出そうと思ったのに。(王賁の顔をチラッと盗み見すると、ほんのり染まった頬に可愛いと思い自分の口角が少し上がり)

馬鹿者。(口ではそう言うがやはり満更でもない様子で)…お前は周囲の目は気にならぬのか。(夜の町はそれなりに賑わっており、いつもなら女性の肩でも抱いて歩いているだろう蒙恬に問いかけ)

気にならないよ。(王賁は自分に気を使っているだけで王賁の性格上、人前でこういう事をするのは気にするのかと思うとパッと手を離して)…宿に着くまで我慢するよ。

…(急に離れてしまう体温を名残惜しく思いつつ、嫌なのだと誤解されてしまっただろうかと内心気にするも、素直ではない性格ゆえにどう声をかけていいかわからず。そのうち宿に到着し、部屋へと案内され。悪くはない部屋だなと思いながら見回し)

(部屋に入ると窓際に行き、外の景色を眺めながら)…いい眺めだね。

……(窓際で景色を眺める後ろ姿を見ていると、様々な感情が溢れて。近付くと背後からそっと腕を回して抱き締め)…お前が愛閃と消えた時、酷く動揺した。

(背後から回された王賁の腕に自分の手を重ねながら)…それで、町まで来ちゃったの？

……そうだ。(蒙恬は何でもないと言っているにも関わらず、己はどれだけ嫉妬深いのかと羞恥心覚え少し口ごもるも、素直に肯定して)

(素直な王賁に嬉しくなり、こんなにも自分の事を想ってくれていると思うと愛おしくなり正面を向くと抱き締めて)…なーに、その可愛いギャップ。ずるくない？誰にも見せたくない。

可愛いのも狡いのもお前の方だ。(この胸の高鳴りも愛おしさも蒙恬が初めてのもので、こちらからも抱き返し)…お前の意見も聞かずに連れて来てしまったが、許せ。

(王賁の胸に顔を埋めながら)…強引に連れてきたんだから、楽しませてね。

どうすればお前が楽しんでくれるかわからぬ。こうしてお前が傍に居ると、まともな思考が出来なくなってしまう。(抱く腕に力を込め心境を語り。蒙恬を独占できる喜びからか、普段より速めの鼓動を刻んでいて)

…(恋愛になると初心な王賁が愛しく、王賁を見つめると口付けして)…王賁が俺の傍にいるだけで楽しいよ。

…こんな俺でもか。(口付けや蒙恬の言葉の嬉しさを噛み締めるように呟き)楽しませるといえば…この宿は露天風呂があるようだ。あとで入るぞ。(此方からも口付け)

王賁だから、だよ。(王賁の髪を優しく撫でながら)…露天風呂！それは楽しめそうだね。(口付けされると嬉しくなり微笑み)

(向けられた嬉しそうな笑顔に胸が高鳴り幸福感に満たされ)…不思議なものだな。お前が笑うと嬉しくなる。(愛しそうに頬を撫で、先程よりも長めに唇を重ねて)

…王賁、(こちらも王賁に合わせるように深く口付けして)

…(抱く腕に力を込めると、角度を変えながら口付けを交わして。合間に自然と名が溢れ)…蒙恬、

…ッ待って、(止まらない口付けに段々息も荒くなってきて、これ以上は我慢できないと思い)…露天風呂、入ろう？

……これからだというのに。(更に口付けを深める気だったのか不満そうに見つめて。それでも蒙恬との風呂は嬉しいようで腕を解き)まあいい。時間はまだある。