匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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(/ そもそもの主題がこの部分だったためにある程度引き伸ばそうと画策したとはいえ、ここまでキャラクターの心情変化に寄り添って描写できたのは本当に貴重な体験でした…。おかげで逆巻が若干倫理を超えてひな季ちゃんに惹かれているのも、個人的には何ら違和感なく。背後はとっくにひな季ちゃんを大好きになっていたので今まで逆巻を抑える方がむしろ大変だった程ですが、この進展速度にも関わらず飽きることなく続けてこれたのはお相手が背後様だったからこそだと思っております。膨大なレス数に反して、起こったことがひな季ちゃんが恋に落ち、逆巻も恋に落ちた、に要約できてしまうことが一周回って面白くなってきたところで、今後とも末永くよろしくお願い致します()
私も〝無意識に好き〟感出すのめちゃくちゃ楽しかったです~…!いちいちはわはわしてくれるひな季ちゃんが愛おしくて、でもいざって時には逆にちょっと自信なくなっちゃうのも等身大の高校生っぽくて甘酸っぱくて、それから逆巻の発言で再来世の転生先まで決定しちゃう一途さも、ジェラシーで祝福の授け先がほっぺたになっちゃった直情さも、全部全部可愛いが過ぎました…。イベントを通してず~っと愛を伝えられていたような感覚で、幸せのタイパが試運転形式の交流に引けを取らない、とんでもない回だったなと改めて実感しております。ちなみに軍服は此方も着せたいなと思っておりまして…えへ、またもや以心伝心ですね。揃いの軍服も考えましたが、逆巻セレクトだとメイド服になってしまったので、あの形に。直前まで執事服か貴族っぽい服かの予定でしたが、執事だとシチュが浮かばないし貴族っぽいのはヴァンパイアで着たし…と悩んでいたところ、第三の選択肢として不意に閃きまして。白か黒かでもまただいぶ悩みましたが、気に入っていただけて熟考した甲斐がありました…!
鐘の音は絶対に鳴らそうとジンクスシーンが爆誕した頃から目論んでいたので、細かなネタにも気が付いていただけて嬉しいです…!最後の場面は二人の緊張感がひしひしと伝わってくるのも良かったですし、手を〝そこじゃないよ〟ってされるのもなんかすごいぐっと来たし、「です。…でした」の喋り方にもきゅんとしました…。また香水の具体的な品名まで当てられたことと、試していただいていたこと、今回イベで何気に一番の驚きかもしれないです。なんで?すごい…。
ということで可能な限り割愛したつもりが全く短くなっておりませんが、上下とも全文蹴り可です◎
そうですね、大丈夫そうならこのまま第二部駆け抜けたいなと…!開始ロルはこちらからお出しするので、少々お待ちくださいませ。 )
( タイムラインを流れるアイドルの自撮り写真に思わずスクロールの指を止め、そっとタップして拡大した後、本日何度目か分からない溜め息を吐く。ユーザーネーム〝春名〟からダイレクトメッセージが届いたのは、そんな悩める午後の昼下がりで。彼女とは此方から頼んでメイクをさせてもらったあの一件以降、これまで通りにsns上での交流は続けつつも、実際に会おうという話が持ち上がったことはなく。時折目にする投稿で自分磨きに情熱を注いでいるらしいことは把握していたが、それが本人の中である程度の水準に達した時、再び顔を合わせることになるのだろうというのも確かな予感として理解していて。『大事な話があるから、できたら近いうちに会いたいです』通知を開くと、遂に届いた用件は案の定。しかし、付け足された立会人は予想外で。『水瀬ひなちゃんも一緒に』よりにもよって今最も顔を合わせづらい相手を指定されて、承諾の返事をしようと伸ばした人差し指が中空で停止する。なぜ交際の申し込みの場に第三者が必要なのかは分からないが、そんなことを訊くわけにもいかないし、誘い自体を断ってしまうのもこれまでの努力を陰ながら見守ってきた者として忍びなく。『相馬くんも一緒でいいですか』結果、己の心の安寧のため永瀬ひな季親衛隊長の彼も引っ張り出し、数日後にいつかのカフェに再集合することとなって )
( まさかこの四人で再び顔を合わせることになるとは。カフェの一席に着座した面々を眺めながら思い出すのは、数日前の彼からのLINE。お誘いが届いたかと思えばその実はお呼び出しで、デートかと思いほんの一瞬のぬか喜びを味わうこととなった後に湧いたのは疑問。なんで四人で…?と思いながらもプライベートで彼に会えるのは嬉しいので、裾のアシメフリルがお気に入りなココア色の千鳥柄シャツワンピースに白のフェザーロングカーディガンを合わせ、足元は茶色のショートエンジニアブーツに赤ソックスをくしゅくしゅとさせ、髪型はハーフアップに白色リボン。春名さんもおしゃれしてくるだろうからと負けじとおめかししてみたけれど、久しぶりに会う彼女は少し髪も伸び、以前よりずっと柔らかな印象を与え多幸感が似合う女性になっていて、しかし撫子色の頬や桃色の唇は少し緊張で引き締まっているようで。再会の挨拶もそこそこに今の彼女の姿を、はえ…とついまじまじと眺めてしまいながらぽつりと呟き )
春名さん…ほんとに変わられましたね…。
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( / お言葉に甘えて割愛してますが、例に漏れず嬉しくて何度もによによ復読して浸っておりました…。
それにしても、ひな季が恋に落ちて逆巻さんも恋に落ちたで要約できちゃうの、ほんとにそうで笑っちゃいました() 恒例の以心伝心にも嬉しくなり、逆巻さんの返しも「ます。…ました」だったのも心掴まれました。ちなみに香水に関しては、結構前にお部屋で見かけたので存じ上げておりました(こそ)
私も背後様だったからこそ、飽きずに楽しくやって来られたと思っております。改めて素敵なご縁を繋げていただいて感謝するとともに、こちらこそ末永くよろしくお願い申し上げます!第二部も駆け抜けていきましょう~!
そして席位置なのですが、すぐひなが付き合っていると勘違いしている相馬くんが気を利かせて二人を隣同士にしてくれそうな気もしつつ、心の安寧のために逆巻さんが相馬くんを隣に置くのかなとも思いまして描写しておりません。お好きな場所にそれぞれ配置していただけますと幸いです…! / 蹴り推奨◎ )
…──相馬くん。こっち。
( グレーのコーデュロイショートシャツと同色同素材のストレートパンツ、その上にアイボリーのスエードノーカラージャケット、靴は黒のUチップシューズを合わせ、時間より少し早めに例のカフェへ入ると、そこには既に自分達を呼び出したボブカットの女性の姿があって。テーブル席の椅子側を彼女が確保していたため、用件の相手であろう己は向かいの二人掛けソファへと着席する。それから数分もしないうち、護衛対象と一緒に来てくれと頼んでおいた親衛隊長とアイドルの二人が到着しては、彼らが近くに来るなり青年の腕を引いて隣に座らせ、ゆえに少女は自動的に全員の横顔が見える位置にある幅広のダイニングチェアに腰掛けることになるだろうか。「そ、そうかな。自分なりに色々頑張ったから、そう言ってもらえると嬉しい」全員が腰を落ち着けて、少し。再会早々垢抜けた姿に言及された向かい側の銀行員は雰囲気と同時に物腰まで柔らかくなったのか、はにかむように謙虚に答えつつも、その中に努力に裏打ちされた自信をほんのりと滲ませていて。「…どう、かな」不意に此方を振り返った瞳が問わんとすることは短くとも明白で、ソフトピンクのショート丈ケーブルニットやローズグレーのチュールスカート、チョコレートブラウンでまとめたリブ切り替えのショートブーツところんとしたフォルムのショルダーバッグを一通り見遣ってから「…ん、努力したの分かります。全部よく似合ってる」と正直な感想を。喜んでいるというよりはほっとして気が抜けているような、笑みにも満たない笑みの隣、もし斜め前の位置からも眼差しが注がれるようなら、「水瀬さんもいつも通り可愛いすよ」とは言うものの、視線はふよふよと避けるように頼りなくメニュー表へと着地して。ややあって出された「とりあえず何か頼もうか」の助け舟で、自分はシナモンシュガーコーヒーを頼み、提案者はハニーミルクを頼むことにしたらしく )
…、ありがとうございます…。
( 彼女はメイクの魔法だけでなく恋の魔法にも掛かっているのだろう、謙虚にはにかむ彼女の姿は以前のようなちくちくとした気配はなく、あたたかな春を感じて可愛らしい。ほっ…としたようで、けれど同時に逆巻さんが彼女に惹かれてしまうのではとの憂慮も持ち合わせていて。努力してる人のことは多分、誰だってそうだろうけれど好ましく思うはず。彼女に静かに賛辞を送る彼の様子をじ…と見ていれば、それに彼が気付きこちらのことも褒めてくれるけれど、なんだかついでのような気がしたり、いつものようにしっかり目が合わないのも気になったりして100%の喜びには至らず、もにょりとお礼を返し。そもそもなぜ呼ばれたのかも分からず、なんとも言えない空気感のなか、絶妙にサイズの合っていない丈感の深緑色のパーカーとブルーデニム、3ラインのスニーカーに身を包んだ相馬くんは、なぜか逆巻さんの隣に座らされていることに〝??〟とますます状況が分からない様子でコンタクトの瞳をおろおろと動かし。普段逆巻さんのsnsのネトストをしているだけあって美容に少し興味を持ち始めたのか、前に比べてずっと綺麗になった頬を相馬くんはぽりぽりと掻いて。そこへ助け舟にほっと3人が乗っかってはショコラティーラテを、相馬くんは少し迷った後に彼と同じ飲み物を頼み。憧れる人の隣に座らされていることで緊張しきりな相馬くんは、猫背のまま直視できないようでちらちらと彼を盗み見ながら『さ、逆巻さん…もいつもおしゃれですよね、いいな…』ぽそぽそと羨望を漏らしたなら、飲み物が到着するまで相馬くんが似合いそうな服についてちょっとだけ談義が行われるだろうか )
( アドバイザー3名による服の見立ては、やがて己が彼へ数点のアイテムを譲り渡すことに話が決まり、テーブルに湯気の立つ4つのカップが運ばれて来るまで続き。必死にスマホへメモを取る青年の隣で同じシナモンシュガーコーヒーをそれぞれの正面まで引き寄せると、熱さに怯んで印ばかり啜ってから、思いのほか興が乗ったのかファッション談義は今少しの延長。ただ対面の呼び出し人だけは他の何かに気を取られるように次第に口数が減ってゆき、反対にハニーミルクには頻繁に口をつけるようになって。いよいよ誰よりも早くその中身が無くなった時、静かに両腕を下ろした彼女はひとつ息を吐いて「…──あの、今日は、逆巻さんに伝えたいことがあって。それをひなちゃんにも聞いてほしくて」と容れ物の底を見つめながら本題を切り出す。水を打ったようにぴたりと止んだ議論の代わりに一拍置いて「はい」と答えれば、軽く居住まいを正して眼差しにも些かの緊張を帯びさせ。「実はあたし、逆巻さんのことが、好き──…でしたっ…」そうして顔を上げ、瞳も言葉も真っ直ぐに告げられたのは、覚悟していたものとは別角度の過去形での告白。元より受け入れるつもりはなかったものの、これにはどう反応すべきかと返事に窮する此方の姿に、困惑を読み取った相手は慌てて事情を語りだして。元々この日の告白のために自分磨きを始めたこと、けれど最近になって職場の男性からアプローチを受けるようになって気持ちが傾きだしたこと、今日は見込みのない過去の恋をきちんと終わらせるために呼び出したこと、そしてその勇気はあの日の体験と水瀬ひなの一言から貰ったこと。「だから、好きだったって、楽しかったって、…たぶん、幸せだったって──…伝えたかった、だけ」一人で喋り続けたことが唐突に恥ずかしくなったのか、尻すぼみにそう結んだ表情は、しかし達成感と安堵感に満ちていて。「ありがとう。…お幸せに」自身から伝えたいことは上手くまとめられそうになかったので簡素な礼と祝福に込め、そっと緩めた目許をもって送り出す。そんな冬の足音も忘れるような暖かなムードの中、「うん、逆巻さんもきっと!」と晴れやかに祝福が返されては、この時ばかりは意識から外れていた〝叶う恋〟でも〝叶わない恋〟でもない〝叶えてはならない恋〟の問題が現実として襲い掛かり、「ん……、うん……」と曖昧な声音を洩らす始末となって )
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(/ 今回もばか長くてすみません…。春名さんは半分くらい背中押してほしくて来てるはずなので、この後は緊張から解き放たれた勢いでひな季ちゃんと女子トークを繰り広げていただけると幸いです…!それが済んだら多分全員分の会計持って帰るので、その際に何か小物を忘れててひな季ちゃんが届けに追い掛けて行く→ひな季ちゃんの離席中に相馬くんの浮気ダメ発言かなという計画になってます。わりとすぐ終わっちゃいそうなので、入れたいやりとりだったり変更したい点があればご遠慮なく…!特になければ蹴り推奨です◎ )
( 談義の間に私物を譲ってもらえることになった相馬くんの『いいんですか!?』と「いいなーっ」との自身の声が被る。そもそも彼の隣に座っているのも羨ましく、気分が昂ったせいで暑くなったのか手団扇する相馬くんだけれど、羨んでじとーっと見つめるこちらの眼差しでなんだか涼しくなったらしくそっと手を下ろしていれば、話題を切り出した彼女へと今度は視線を移し。この雰囲気は告白だけれど、何もわたしも一緒じゃなくても…!とつい身構えるように膝の上に拳を乗せつつ、視線だけその二人へと彷徨わせ固唾を飲んで見守っていれば、彼女の桃色の唇が開かれるとその内容はやっぱり告白で、きゅっと心臓が縮む思いがするけれど〝でした〟との過去形にぱちりと双眸を瞬かせながら彼女を見つめて。それから慌てて事情を語り出した彼女は想いをきちんとひとつひとつ言葉にし、それにいつしか真剣に耳を傾けて、やがて柔らかく晴れやかな表情を浮かべるのを目の当たりにすると、自身もまたほっ…と小さく安堵の息を吐き。わたしならそうする、と道を示したのは自分だったけれど、いざライバルが堂々告白するとなるとこんなにヒヤヒヤするなんて。でも自分の言葉で、自分を変えたい人の背中を押すことができたのならちょっと嬉しいし、彼のメイクは自信を持たせてくれる力があってやっぱりすごいなあなんて、誇らしく嬉しい気持ちになっては自然と表情が緩んで。「春名さん、ほんとにすごく可愛くなったから、傑さん取られちゃうかと思ってどきどきしちゃいました」本当にちょっと冷や汗をかいたことを眉尻を垂らしながら笑って伝えては、「え、ちなみに気になってる人ってどんな人ですか、傑さんに似てる?」と安堵から始まるのは女子トーク。彼女の方へと少し身を乗り出しながら瞳を煌めかせては『全然似てないかな、もっと明るくてよく喋る人─…でも優しくて、一緒に居ると居心地が良いとことかは一緒かも』ふふ、と彼女は表情を和らげて。メンズたちを置いて何往復かそんなやり取りをしたなら彼女のスマホの通知が鳴り『…あ、あたしそろそろ出なきゃ。今日は本当にありがとう、…それじゃ』画面を確認した彼女が席を立つと、ここは出させてとアクリル筒から伝票を取っては、すっかりふっ切れたような明るい笑みでその場を後にし。真っ直ぐな自信を取り戻した背中に手を振って見送り、話に夢中になってすっかりぬるくなったショコラティーラテの残りを啜りながら〝ほんとにすごく可愛くなってたなあ〟なんて余韻に浸りつつ、彼女が座っていた椅子をちらり見遣ってはリップの忘れ物を見つけ。直後に退店のベル音が聞こえては、彼女を見失う前に届けなくてはと慌てて立ち上がり、リップを椅子から拾い上げると彼女の元へと届けに向かって )
帰り気を付けてくださいね!──…あれ、春名さん忘れ物してる!わたしちょっと届けてきますねっ。
あ──…お願いします。
( ここ最近トレンド急上昇の悩み事に行き当たって場も弁えず悶々とする折、目の前では対照的にきゃっきゃと女子トークに花が咲くも、自身はずっと上の空で。隣のもう一人のメンズもまた呼び出し人の告白によって初めて隠されていた好意を知った上、アイドルから飛び出した『傑さん取られちゃうかも』というさも共通認識かのような言葉のオープンさに混乱を極めて、華やかな二人の輪からは外れたまま。そんな蚊帳の外の構図が崩れたのは集まりの目的を果たした彼女が席を立った瞬間で、気前良く全員分の会計を持って出てゆく上機嫌な表情へ思い思いの挨拶を掛けては、淡いピンクの背姿を見送る。数十秒後、置き去られたリップを届けるべく今度は雛鳥のようなふわふわの白が同じ動線を辿ってゆくと、離席の報告へ託すように応えたのを最後に、テーブル席には久方振りの沈黙が訪れ。特に語ることもないため大人しく帰還を待ってから自身も店を出ようかと思案するけれど、青年の方はまるきり逆のことを考えていたらしく、他者の居ない今が好機とばかりに決意の面持ちで此方を振り返って。「…逆巻さん。浮気は、ダメですよ」何の脈絡もなく突然促された忠告に、意図はよく分からないものの内容は賛同するところではあるので「はあ…」と気の抜けた肯定を返す。ところが煮え切らない態度が逆鱗に触れたのか、隣からずいっと身を乗り出してきて「絶対ダメですからね…!」と強い口調で迫られれば、傍からは不義理を働きそうに見えるのだろうかと「や、しないし──」と明確に猜疑への否定を。その弾みで今し方の宣誓を最も聞かせたかった少女の顔がちらつき、怒った肩越しに目線が着地したのはショコラティーラテの置かれた席。ほろりと静かに零れた呟きには抱えきれなかった遣る瀬無さが滲むようで、親衛隊長は「それを聞いて安心しました」と満悦の笑みを浮かべるものの、当事者から実際の関係を知らされた暁には一気に事情通となってしまうことだろう )
…絶対大事にするのに。
ただいま~、無事届けてきました!すぐ気付けてよかったあ──…ね、この後どうしますか?
( 彼女がお店を出てから間もなくのことだったから、すぐに後ろ姿を見つけることができて「春名さん、忘れ物ー!」と声を掛けながら駆け寄って、無事に彼女の元にリップが渡り八重歯覗かせながら安堵の笑みを浮かべると、『あっ本当だ、ありがとう!助かる~…、…。』白のシャギーカーディガンも相俟ってポメラニアンを想像した彼女が、ふふ、と双眸緩め。口元を笑んだまま双眸をきょとんと瞬かせていれば『ほら、早く戻らないと。二人が心配するでしょう』ぽん、と頭を撫でながら戻るよう促されると、「はい、…またねっ、春名さん」と、はにかみながら手を振って彼女と別れ。その足でまっすぐカフェに戻ってくると、荷物を置いた席へと再び腰を掛けながら晴れやかに任務報告を伝え。空になったカップたちを視認すると、この後予定がなければと二人──主に彼の方を見ながら伺いを立てるけれど、相馬くんが急にばっと素早く立ち上がり、それに驚いて相馬くんのことをぽかん…と見上げて。『俺はこのへんで、失礼します!二人の邪魔しちゃ悪いし…。永瀬さんはまた学校で!逆巻さんも、また連絡します!』と、気を利かせた相馬くんはその場でぺこっと深々頭を下げれば、じゃ!とそのまま足早にカフェを出て行き、双眸ぱちぱちと瞬かせつつ小さく手を振りその姿を見送れば。ついには二人きりになり、カフェの出入り口から彼へ視線を戻すとテーブルに頬杖をつき、ほんのり頬を染め小首を傾げながらデートのお誘いを口にして )
う、うん…また学校で──……行っちゃった。…、えへへ、二人きりになりましたね。デートでも行きませんか?
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( / 相馬くんの外見変化を入れることができたり、ちょっとずつ垢抜けていく流れができて満足したので次で〆させていただきますね…!デートはもちろん断っていただいて大丈夫です◎ )
…悪いけど、今日は俺もこれで帰ります。寝不足なんで。
( 浮気によって深く傷付けられた経験でもあるのか、何かに駆り立てられるように倫理を説いた青年は、少女が届け物の任務を終えて戻ってくるなり入れ替わりで機敏に席を立ち。急に忙しなく去ってゆく深緑は嵐が過ぎ去るようで、呆気に取られて「何だったんだ…」と口に出せばその思いは一層強まって。しかしそれより気掛かりなのは彼女と二人取り残されてしまったこと。知らぬ間に芽生えていた恋心を自覚してからというもの、態度を決め切れずに今日を迎えてしまっていて。いつもの調子で軽やかに持ち掛けられるデートの誘いにも、応じるわけでもなければ断る声音に常の切れ味もなく、言い訳じみた理由を引っ張ってきて逃げの一手に出ては噛み殺した欠伸で瞳を潤ませ。とはいえ自分まで功労者を置いて帰るわけにはいかないので、相手のカップが空になるまで待ってから共に店を出ると、有無を言わさぬ現地解散の雰囲気で別れの挨拶を )
それじゃあ、ここで。水瀬さんも暗くなる前に帰って。
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(/ 次で〆、承知致しました!此方も回収させていただいております◎ )
えっ。それは帰って寝ないとですね…!
( 悪いけどと続く言葉にそれは大変!と瞳を丸くしては、夜遅くまで映画でも観てたのだろうか、メイクの研究だろうかと考える。普段よりも少し切れ味の悪い断りに、それとも何か悩みごとなのだろうかと様々な要因を考えつつも言及はせず、できるだけ早く帰れるように唇に付けたカップを傾けてはショコラティーラテの残りを飲み干していく。自分一人を置いていかず、律儀に待機してくれた彼にお店を出てから「飲み終わるの待っててくれてありがとうございました」と礼を告げ、そのまま現地解散を告げられると大人しく頷き受け入れて。彼から言い聞かせられたように自身もまた言い伝えては、にぱ、と無邪気に笑ってその場で解散を。──それからその足で赴いたのは雑貨屋さん。快眠の手助けになるようなものでもあれば、と棚の間を縫うように探していれば一輪の薔薇の入浴剤が目に付き。花びらを一枚一枚はなしていくタイプで楽しむことができて、サンプルの香りを嗅いでみればキツくなく、アロマ感覚でリラックスして眠れそうで。箱に入った入浴剤を手に取りラッピング袋付きで会計を済ませたなら、早く渡したいな、と口の中で呟いては言いつけ通り暗くなる前に帰宅するだろう )
はーい。傑さんも気を付けて帰って、それからしっかり寝てくださいね!それじゃあ、またお仕事で!
( ──その後日、学校で一人でいたところに相馬くんがこそこそと周りの目を気にしつつ呼び掛けてきて。彼のsnsに特に出掛けたような投稿がなかったからか、あの後どこへ出掛けたのか問われると「あ、あの日はね。傑さん寝不足だったらしくてそのままカフェで解散したんだあ」と心配と少し残念さを帯びた表情を浮かべ。それから質の良い睡眠が取れるよう入浴剤を買ったことを伝えては、それを健気に感じた相馬くんは頷きながら『こんな可愛くて優しい彼女がいたら叶わないよね、春名さんも』「彼女…ってわたしのこと?わたしたち、付き合ってないけど…」と双眸をきょとんと瞬かせながらほんのり頬を色付かせ。もちろんそうなれたら嬉しいのだけど。もじもじ視線を逸らしていれば『えっ…?』と相馬くんは一音発したきり固まってしまい、その背後には思考の宇宙が広がるだろうか )
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( / 回収ありがとうございます、〆させていただきました◎
プライベートを垣間見える描写が好きだなあと改めて思ったり、変化した心理描写になんというか感慨深さを感じたりと、今回イベは短めでしたが満足度が高かったです。浮気しないことを聞かせたかったって…逆巻さん…!と机ばんばんしたくなっておりました() そして相変わらずおしゃれ…相馬くんは譲り受けた逆巻さんのアイテムを着こなすことができるのでしょうか。というかどんどん仲良しになっていってますね。春名さんも努力したぶんちゃんと報われてきていて、すぐひなだけでなく周りの変化を感じられる回で満足するものとなりました、ありがとうございます* )
(/ 匂わせ写真事件後日談、そして第二部完走、ありがとうございました…!〆ロルも第三部への完璧な引きで、改めて伏線を散りばめるのがお上手だなと感服です…。
今回イベは部を跨がずに春名さんの件に決着をつけておこう、という回だったので短い上にあまりすぐひなメインではありませんでしたが、関係なく楽しんでいただけたようで安心致しました。私もひな季ちゃんのことで頭がいっぱいになってる逆巻を描けて満足度高めでした* そして二人の今後は勿論のこと、逆巻の秘密と服を一日にして手にした相馬くんの動向とファッションもこれから要チェックですね。…と、色々な事情が重なってメンズが何だか仲良くしてましたが、ひな季ちゃんと春名さんも女子トークを通じて相当打ち解けた様子で、すぐひなが微妙な時期な分そっちで平和を回収してました。ただ頭ぽんってしたのだけはまだ許してないです( 親衛隊 )あとめちゃくちゃ余談ですが、今回のおめかししたひな季ちゃん、いつも可愛いけど遊園地デートの時の若さ大爆発ファッションと並ぶくらい背後のタイプでした…。いつも以上に雑駁としてしまっていますが、上記全文蹴り可です◎
さて次は、本編第三部に進むか保留にしていた臆病な少女幽霊に移るか、はたまたその他か、いかが致しましょうか? )
( / いえいえそんな、伏線はもちろん描写の纏め方もファッションコーデにおいても、背後様の足元にも及びませんので…!でも褒めていただいていつも嬉しいです、ありがとうございます…* 親衛隊にご新規様が増えたところで()、お言葉に甘えて割愛させていただき次ですが、臆病な少女幽霊を挟んでおくと良い感じにクリスマスイベのリアタイができそうな気もするので、臆病な少女幽霊でもよろしいでしょうか?無理にリアタイでなくても構わないのですが、折角ならという気持ちも半分ありまして…。その他の小話でももちろん歓迎です◎ )
(/ 実は私もここで小話挟んだらクリスマスリアタイできるな…と考えておりました。ということで臆病な少女幽霊、全く異存ございません◎ 形式は試運転形式かロル形式か、どちらに致しましょうか? また逆巻は神社を護ってる稲荷狐や、どこかの神社か祠かで祀られてる白狐や、力と正体を隠した野良の九尾の狐…いずれも人の姿に化けた狐の妖を考えていますが、こんな設定だと嬉しいといった要素は何かありますか? )
( / もはや常となっている以心伝心ですね* いつも通り試運転形式がいいかなと考えておりました。そして狐の妖さん、ぴったりすぎて既にうきうきしています…!ではでは挙げていただいた中の、稲荷狐か白狐でお願いできますでしょうか?(※決めきれませんでした!)
生前のひな季が神社に初詣のお参りだとか、願掛けだとか、受験の時にもお参りしに行ったことがあるだとかで、ゆかりのある神社にいる狐さんだと嬉しいです。幽霊になって誰にも気付いてもらえず、でも周りの幽霊も意思疎通できなそうなのが多いし怖いしでめそめそしながら神社に辿り着いたひな季を、なんか見たことある子だなと認知している逆巻さんに発見されたいです…!あと油断とかびっくりした時に、もふりと尻尾だとか耳が現れる設定とかも非常に大好きなので、もしよろしければ…!
その他に背後様が入れたい設定などございましたら何なりとお伝えください◎ )
(/ やっぱり相性ってあるんだなって、背後様とお話しているとつくづく思います…* それでは進め方は試運転形式で、逆巻は稲荷狐を務めさせていただきますね。ご提案いただいた二人の関係性と霊体での初対面のきっかけもとても納得感があって…、是非乗っからせてください!追加でひな季ちゃんが元々『善悪問わず人ならざる者に好かれやすい』みたいな設定があると、お参りに来る度に狐が悪霊や悪運だけを追い払っていたとか、稲荷の神様にも贔屓にされていたとかで、たくさん居るであろう参拝客の中で特にひな季ちゃんを覚えていた理由にもなるかなと(人ではないので神秘パワーで全員漏れなく覚えていたでも全然良いのですが…!)。油断すると尻尾が出てきちゃう、びっくりするとぴょこっと耳が見えちゃう、の設定も喜んで取り入れさせていただきますね…! )
( / えへへ、そう仰っていただけて嬉しいです…!本当にこれ以上のご縁はないと思っておりますし、n回目ではありますがこれからも末永くよろしくお願い致します*
わあい、よかったです!追加の設定もめちゃくちゃ好みなので、ぜひぜひ取り入れさせてくださいませ…ツボが似通っているの本当に助かります、ありがとうございます…。耳と尻尾の設定のご快諾もありがとうございます!
こちらから開始ロルを出させていただきました。その他特に設定相談などなければ全文蹴り可です◎ ちなみに物語中に触れるかは不明ですが、ひな季の死因は無難に交通事故で頭の打ちどころが悪かったとかにしようかなと…。それでは今回の小話もよろしくお願いします* )
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うう、なんでみんな無視するの…?誰もわたしの声、聞こえないみたい…。( 透き通る足でふよ、と辿り着いたのは幼い頃から多々訪れる神社 / 次第に雨も降り出す中、お賽銭裏の階段に腰を下ろし膝を抱えながら項垂れめそめそ / いつから着いてきていたのか、どよんと黒い悪霊がこちらに手を伸ばそうと )
( 膝を抱えて悲嘆する霊の前に、つ、と降り立てば / 人の姿に扮した白い狩衣姿の男性がそこに / 目元は朱色の布面で覆っていて / 少女に近付こうとする悪霊を手に持った扇の一振りで追い払い / 声を掛けると共に事務的な説明を )──迷い子。残念ながら今ここに神様はいません。神無月の期間なので。
──…?( 一瞬吹いた風と掛かる声に俯いていた顔を上げ、きょとん / 一度背後を振り返り、誰もいないことを確認してから視線を戻しては / 自身を指差しながら問い掛け )わ、わたしに話しかけてます…?
…、そうだけど…──!( 思わぬ問いに生じる須臾の間 / 当然だとでも言うように答えるも、月明かりに照らされたその顔には見覚えがあって / 小さく息を呑むと、彼女が霊体になってしまった事実に少なからず動揺した様子でぽつり )どうして、此処に……。
よかった~っ、口聞いてくれる人いた!( ひーんっ / 助かった!と明るい安堵の声ながら今度は嬉し涙 / たた、と数段の階段を降りて彼のそばで、拳を握り縦に振りながら訴え )聞いてくださいよ、みんなわたしのこと無視するんですよ!家族も友達も、近所のおばさんも知らない人も…みんな、わたしのこと、見えてないみたい…。( 彼の動揺には気が付かぬまま、ぺらぺらと喋っていけば / やっぱり変 / 不安な気持ちが押し寄せ、眉尻を垂らし / 彼の出立ちを改めて眺めてみると、そっと問い掛け )…あなたは、神主さんかなにか…?
や、それは──……( 実際見えていないのだから仕方ないだろう、と言いかけて既の所で止め / 自分の状態に気付いていない? / 一瞬過った〝真実を知れば成仏してしまうかもしれない〟という考えは思いのほか自身を惑わせ / 今少しの猶予を得るべく、結局「大変だったすね」と控えめに続けて / そして不意に此方へと向いた関心へは二秒程の沈黙の後、限りなくふわっとした回答を )…の、見習い…みたいな感じ…。
そうなんですよ、も~…。みんな暗い顔してるし、なんかわたし怖くなっちゃって…悪い夢でも見てるのかな。( はふりと悩める吐息を溢しつつ、何気なく後頭部を触り / 声掛けたの人の中には同類がいたりいなかったり / 反芻しながら双眸をぱちり瞬くと、疑うことなくにこやかに声援を送り / 久しぶりに誰かと話せるのが嬉しくて、ぺらぺら話続け )見習い。へえ…立派な神主さんになれるといいですね!ていうかそれって前見えてるんですか?もう夜だしそんなの付けてたら危ないんじゃ…。あれ、夜?( 不思議な時間の感覚に、きょとん / そもそも今日は何日? / 靄が掛かったみたいに上手く思い出せずに )
夢ならいつか醒めるし、此処にいる限りは安全だから、安心していいよ。…まぁ、霊はちらほら来るけど。( 子どもを寝かしつけるような口調で告げると / 頭の上に手を置き、不安感が少しでもなくなるよう念じて / その時、ぼんやりとした霊の影がふっと横を通り本殿の方へ / しかし最初に少女へしたのと同じ説明をすればすうと薄くなって )…眉間、鼻先、唇。( 言いながら、相手の顔の一部分へ的確に人差し指を置いてゆき / それだけで証明は完了したとばかりに続く語はなく / 違和感の追求を妨げる気はないため、疑問には敢えて何も答えぬまま )
それもそっかあ…──え、霊?( 彼の言葉はなぜだかとても腑に落ちて、表情和らぐけれど / 続く言葉にきょとん / 横を過ぎていく霊の影にぴしっと固まり、更にはそれが薄くなり消えてしまえば表情さあぁと青ざめ / 「っ!!?」と声にならない声を上げながら、彼に縋るように狩衣をぎゅっと握ろうか / 口をはくはくと動揺を露わにし〝消えましたけど!?〟 と 指差し彼とを交互に見て訴え )あ、ちゃんと見えてるんですね。こっちからは見習いさんの顔、全然わからないのに。( 意外そうに双眸ぱちり / 朱色の布面の下はどんな顔なんだろう / 上半身を傾げては、隙間から見えたりしないかななんて )
そりゃ霊だし、そういうこともあるでしょ。( 慌てふためく彼女とは対照的に、悠揚迫らぬ態度 / 視線での訴えには面の奥の目を合わせ、装束を掴まれることも厭わないけれど、心情には寄り添わず / 自身が現れる瞬間を見られなくて良かった、と思うと同時 / 霊が霊に怯える様は少し不思議な光景で「苦手なんすか?ああいうの」 )…ひな季さんも、修行したら見えるようになるかもね。( 側面からでも丁度目の端までを覆う朱色は、自然の風程度ではちらりとも揺れることなく / 覗き込もうとする相手へ、静かに緩ませた口元から戯れを )
ほ、ほんとに幽霊っているんだ…。( どきどきと鼓動が速まったまま、まだ少し信じがたい様子でぽつり / つい掴んでしまった装束に、はっと気付いては / 周りをきょろきょろ見て他に霊がいないのを確認し / そ、と装束から手を離しつつも近くから離れず「苦手です、ああいうの」 )修行で見えるようになるものなんですか、すごい…──?…わたし、自己紹介してました?( はえ、と感心の瞳向けながら鵜呑みにして / あれ / 数秒の間のあとに小首傾げ )
いるよ。幽霊も、幽霊以外も、色々。( 自分達の存在が認識された実感に、つい横から肯定と補足を / 不安げに辺りを見回す様子を微動だにせず暫しそのまま見守っては / 縋る手は離すものの傍に留まる相手へ、じっと朱の面を向け「…、俺のことも?」 )…え。あ、よく参拝に来てくれてたし、…その、よく来てくれてたし。話したことはなかったけど、一方的に知ってる。( 指摘されて初めて口を滑らせたことに気付き / 常連一本で乗り切ろうと / 伝わらないのが常だったので対応下手 / けれど内容は全て真実で )
いろいろ…。( そう聞いて視線を宙に逸らし思い浮かべるのは、都市伝説的なものや宇宙人とかで / こちらを見つめているような布面に気が付けば、視線を目の辺りに合わせ「へ?」 / きょとん / 人間じゃないってこと?と思うけれど半信半疑 / しかし先程頭に置かれた手からは悪いものは感じなくて / ゆる、と視線を彼の手のひらに落としては「…見習いさんは、大丈夫そう」とぽつり )へえ…?すごい、よく覚えてますね!えぇ、わたし全然気付かなかったです。見習いさん特徴的だから、近くにいたらすぐ気付きそうなのに。( 双眸ぱちぱち / 家族と来たこともあったし、名前を呼ばれてるのを聞いたのかも? / 絵馬に名前を書いたこともあり / 素直に納得しては瞳煌めかせ、彼の記憶力を称賛し )
うん。神様とか、悪霊とか、妖とか…あとは、そういうのが視える人間とか、そういうのに好かれやすい人間も。( 彼女の頭の中に何が浮かんでいるかなど露知らず、自分に身近な例を挙げてゆき / 最後を口にする際にはちらりと相手の方を窺って / 「…そう」反応は簡素ながら、声色には明らかな安堵が滲み / 不安から手を握りたいのかと視線の意図を誤解しては、体の正面に差し出して )…俺は、此処から出ないから。此処で起きた事だけ覚えてればいい。( 事なきを得ると身の強張りもふっと解け / それから境内を振り返りつつ零した言葉はどこか寂寞として / だからひな季さんの身に起きたことも知らない、と続くはずだった無力感は胸の内に秘めたまま )
えっ、好かれやすい人もいるんですか!?大変そう…──、見習いさんも、さっきの幽霊見て怖くなっちゃったんですか?( 小さく衝撃マークを浮かべては、まさか自分のことだなんて思わず / 眉尻を垂らして同情すると / 互いの間に差し出された手と彼を、不思議そうに交互に見つめては問い掛け / そ、と手のひらを重ねて柔和に微笑み「一人じゃないから、きっと大丈夫ですよ」 )ふうん…?( 引きこもりってやつ…?と微かに小首を傾げていれば / はっと夜であることを思い出し )あっ、今何時だろう!?あんまり遅いとみんな心配しちゃうかも、今日はわたし帰りますね!……、また来ても、いいですか?( あたふた / たた、と鳥居の方へと駆け出した足を止め、振り返っては / そっと窺うように尋ねて )
そのはず──…だけど、そうでもなさそうだな…。( 当事者である彼女が他人事のように呟くと / 微塵も心当たりの無さそうな顔に返答を翻し / 案外影響は生じないものなのだろうかと、下唇に緩く曲げた人差し指の第二関節を添えて )……ああ…、うん。大丈夫になった。( 数拍置いてやっと両者間の齟齬を理解し / 握られた手に印ばかり力を込めた後、相手が必要なさそうならそっと離すはずで )…、──…ん。朝でも昼でも夜でも、いつでもいいよ。( 生者の元へ向かおうとする背を咄嗟に引き留めようとするけれど、薄く開いた口は静かに閉じ / 代わりに仄かな微笑みを湛えて / その姿が暗闇に消えていったなら、自身も踵を返して狐の姿に戻るだろうか )
?…──それならよかったです!( 何やら考え込む様子に小首を傾げつつ / 彼も怖かったと信じてやまない無垢な瞳をふわりと和らげ / 多少あった恐怖の余韻は不思議と抜け、繋いだ手を互いにそっと離し )ありがとうございます!またね、見習いさんっ。( 時を問わない来訪の許可を得れば、ほっと嬉しそうに表情を綻ばせ / 手をぶんぶんと振って帰路に就き )
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( 相変わらず家族に声は届かずご飯の用意もないけれど、不思議とお腹は空かなくて / 自室のベッドでぼんやり天井を仰ぐうちに眠ったというか、意識を手放すような感覚で / ─…ふと響くおりんの音で、ぱちと双眸を開ければそこはベッドの上ではなく / 線香が焚かれた遺影の前で手を合わせる家族の姿 / あ、わたしのだ / それからはあんまり覚えていなくて、朝焼けの中で辿り着いたのはあの神社 / 正面に垂れる鈴緒の前でぼんやり、ぽつり )──…あ、いま神様っていないんだっけ…。
──神様なら、あと数日もすれば帰ってくるけど。( 昨夜と同様、何処からともなく背後に現れては参道から声を掛け / 精彩に欠ける様子から、自身の預かり知らぬところで何が起こったのかは想像に難くなく / 粛々と意思を問うて )…何か願い事?…、此処で待つ?
…、見習いさん。おはようございます、すごく早起きですね!( ふと掛けられる声に顔を向け、彼の姿を見つけると / へら、と笑みを浮かべ / それから朝焼けにきらきら透ける足先を向け、なんでもないような挨拶を )うん、願いごと。さすがに神様でも難しい内容だから待ってたって仕方ないんですけど、聞いてくれたらちょっと楽かもって思ったくらいで…、あ、神様にもわたしの声、聞こえるのかな。( こく、と小さく頷き肯定し / どの範囲まで自分の声が届くのか、首を傾げた方向に視線を落とし )
おはようございます。…俺、あれなんです、ショートスリーパー。( 相手に調子を合わせて応じるも、笑みを作ることはなく / 冗談とも本気ともつかない口振りで / 聞き齧っただけの単語を引き合いに出して辻褄合わせ )…だったら、いま神様は居ないけど、言ってみたら。神様の使者くらいは聞いてるかも。( 誰かが聞き届けることで楽になるなら、と / 使者とは無論自身のことだけれど、それは明かさずに / みだりに聞かれたくはないだろうと、入口の狐像の影まで戻るべく身を翻し )
…ふふ。その見た目でその単語が出てくるの、アンバランスでおもしろいですね。( 双眸を瞬いては、ふ、と小さく息を漏らすと / くすくす笑みの溢れる口元にゆるく握った手を添え )神様の使者?…そっか、〝いろいろ〟いますもんね。なるほど、──…使者さん、いますか。わたしの声、聞こえますか。( 昨晩のやり取りを思い出し納得したように呟けば / 気を遣ってか彼が身を翻し入り口の方へ向かったのを見ると、再び足先を本堂へ向け / 鈴緒を握り揺らし音を鳴らそうとするけれど、ただの霊の体では鳴らせずに / 少し気落ちし眉尻を垂らすもの、二礼二拍手ののちに声を掛け始め / 辺りは自分の声と、小鳥の囀りと木々の擦れる音が聞こえるだけで / すう、と息を吸うと )…──お母さんの作ったオムライスが食べたーーいっ!( やけに透る大声 / どうせ誰にも聞こえやしないから / 本命のお願いごとじゃないけれど、食べたいのも叶わないのも本当で / 「あとハンバーグとかカレーとか、グラタンとか卵焼きとかも食べたいです!」と続け様に更に欲を増やし )
…実はあまりよく分からずに使いました。( 不釣り合いとの指摘は的を射ていて、覚えたての言葉を使ったことにそわりと目線は斜め下 / ほんの少し声量を抑えて正直に白状 )──…えぇ…、本当に聞くだけのやつ…。いや、回顧体験くらいはできるか…?( 腕を組み狐像に背を預けていれば、離れた甲斐のない叫びに驚いてひょっこり獣耳が顔を出し / そしてなんか思ってたのと違う願い事の内容に困惑の声を洩らして / しかし如何ともし難い望みでも一応は何とか叶えようと思案を巡らせ、面の奥の眉根をきゅっと寄せようか )
ふふふ、短時間の睡眠で大丈夫な人のことです。( 布に隠れた目線はわからないけれど、正直者に柔らかに微笑んで / それから知識を彼へ )──…ああ、ちょっとすっきりした!すみません見習いさん、急に大声出しちゃ、って…。( 言葉を締めたあとに深々一礼して、上げた顔はちょっぴり晴れやかに笑みを広げ / そういえば彼には聞こえてるんだ / ぱ、と振り返り入り口付近の像の元にいる彼へ視線を定めれば / 双眸ぱち / 驚いて開いてしまう口に、手のひらを添えながら指差し )え、み、耳…?
6時間くらい?( 知識を素直に吸収して、更なる疑問に首傾げ / 狐の平均睡眠時間9~10時間と比較して当たりをつけたらしく )…、……──あ?( 一心に考え込むせいで飛び出たままの耳には気が付かず / 振り返った彼女の言葉で、顔を上げて間の抜けた声を発し / 腕を伸ばし、頭上の毛並みにそっと触れては / もう良いかと狐の姿に変化した後、ひと駆けして姿を消した次の瞬間には相手の目の前に / そこでまた人の姿に戻ると、先程まで身を預けていた狐像を指差して )…すみません。俺ほんとは神主見習いじゃなくて──…あれ、です。
6時間は…そうでもないような…?( こちらはもちろん人間の感覚で / 同じ方向に小首を傾げながら )──…わっ、…え、えーっ…!( 指摘の声を受け、彼が狐に変化したかと思えば瞬く間に消えたり目の前に現れたり / 瞳をまんまるにしてびっくり / そういえばここが稲荷神社だと気が付いて / 喫驚の瞳はすぐにきらきら )お狐さまだったんだ…!すごーいっ、人にもなれるんですね!待って、これこそ狐につままれるってやつでは…!?わたしとんでもなく貴重な体験してる気が…、ねえねえお狐さまっ、ちょっとだけ狐姿、触らせてくれませんか…!( 興奮しきりで / 本物の狐はなかなか触れるものではないから、ここぞとばかりに両手の指を組み合わせながらお願いを / ずずい )
…、そんなに寝ないのか…。( 一拍だけ衝撃を処理する空白の時間 / それからしみじみと呟いて )黙ってたのは悪いと思ってるけど…( 怒涛の勢いに気圧されて口を挟む暇もなく / ぽかん / 最後まで聞き終えてからやっと頭が回り始め、まずは正体を隠していたことへの詫びを表明するけれど / 生前も野生で暮らしていたため愛玩動物のような扱いには慣れておらず / 「使者ってそういうのじゃないから」と少し首を後ろに引いて当然のごとく拒否 )
3時間とかならショートスリーパーって感じがします!…でもそれは、人間の場合で。( 人差し指をぴっと立て主張 / あくまで人間の場合と念押し / 〝狐の睡眠時間ってどれくらいだろう〟と疑問に思う眼差しはじっと布面に注ぎ )申し訳なく思ってるなら、ぜひもふもふを…。だめですか?( ぜひこの胸に飛び込んで、と言わんばかりに両手を広げるけれど / 拒否の姿勢にしょんぼりと眉尻を垂らし / 腕を下ろしながら残念そうに本殿へ振り返り「未練が残って成仏できないなあ…」 / とぼとぼ…、また階段のとこにでも座ろうか )
じゃあ狐は4時間くらいか。( 念押しと視線を〝狐の場合は知らない〟の意と取って自力で推測 / というかそもそもショートスリーパーの狐っているのか? / 少し考えた後、「…まぁ、霊体の俺らには関係ないすね」と身も蓋もない投げ方をして )や、そんなことで──…( 成仏できなくなるわけがない、と続けようとするも、先程の願い事を思い出すとはたと言葉止め / あながちないとも言い切れない / あと神様にも文句を言われそう… / 仕方なく狐の姿に変化すれば、寄り添うように彼女の隣へとおすわりをして )
そっか、寝ないんだ…。……、普段は何して過ごしてるんですか?( 〝俺ら〟の一括りで思い出す、寝たようで寝てないような感覚 / 寝ないならずっと起きてるのかな、と視線を宙に逸らし考えては / 投げたのはまるでお見合いの質問 )──…、わあい、えへへ…ありがとうございます。お狐さまの姿、可愛いですね。( そもそもなんでわたし成仏できてないんだろう / 座った膝の上で頬杖を突きながら、ふと疑問が浮かぶけれど / 狐姿に変わり隣に来る彼に双眸をぱち、嬉しそうにまなじり下げ / そ、と手を伸ばしてなだらかな丸い頭をなでなで / でも成仏するわけでもなく )
境内の見回りとか、霊の対応とか、神様の雑用と世話とか…命じられたことを一通り。…人間は生者に関わりたがって心霊現象起こすのもたまにいるけど、大抵は成仏する方法探してるすね。ぼんやり現世に留まってると自我が崩壊して悪霊になりかねないんで。( 指折りつつ普段の行動を振り返ると「使者ってそういうのだから」 / しかし一般的な人間の霊である彼女には参考にならなかったかと思い直し、多数派の過ごし方を挙げてみて )──…、( 頭を撫でられては、おすわりの姿勢を崩さず横から見上げたままきゅうとひと鳴き / それから欠伸をするように口を広げ、両の前足と顎を相手の膝の上に乗せて / 狐の姿ではどうせ喋れないからと、気の済むまで触らせる間、寛いでいる心算で )
へえ、思いのほか忙しそうですね…。──…え。…も、もしかしてわたしも、このままだと悪霊になっちゃうんですか…?( なるほど、顎に人差し指添え彼が忙しなく働く様子を思い浮かべては / 普段お供えとかしておけば良かったなあ、なんて / ふいに聞き捨てならない単語が飛び交えば、冷や汗たらり / 恐る恐る問い掛け )~~っ…うう、かわいい、可愛すぎます…。よしよーし…。( 鳴き声も膝上にちょこんと乗る前足も、一挙一動全てにきゅんとときめき / はう / 頭部から尻尾付近に掛けて、ゆったり手のひらで撫でては頭部に戻りを繰り返し / それだけでもなんだか幸せそうにまなじり下げながら、寛ぐ彼の様子を眺めて )
…まぁ、現世に留まる明確な意志と動機がなければ、そういう可能性も…。( 言いにくい事を口にするように言葉濁しつつ真実を伝え / たのに、慰めにならない慰めでは悪霊になる前提で「その時は俺がちゃんと介錯するんで」 )……。( 撫でられることにも慣れてきたのか、耳を後ろに倒してリラックス状態 / 時折様子を窺うように顔を上げて真上を見て / また顎を膝に戻せば大人しく目を細め )
お狐さまがそうしてくれるなら、安心かな…。誰かに、あなたに、危害を加える前にひと思いにやっちゃってくださいね!( 自分がどうこうよりも、周りに悪影響や危害を与えないかが一番心配 / はらはらしていたものの、彼が介錯してくれると知れば安堵の表情を浮かべ / ほっと表情和らげては拳をぐっと握って )──…ねえ、お狐さま。( どれだけの時間そうしていたか、霊体はうっかり時間の感覚を忘れてしまうらしい / 昔からずっとそばで見守ってくれてたのは、彼だったような温かい心地 / ふと、撫でていた手を止めるとぽつりと呼んで )
うん、それは任せてもらっていいんだけど…まずは悪霊にならないところから頑張らないすか?( 彼女の頼みには特に異存なく引き受けるものの / 思いのほか力強い返答にむしろ此方がたじろいで )──……?( こういう時にどう過ごして良いやら分からず、結局いつものように境内の様子に耳を澄ましていた折 / 耳朶を打ったのは上から降る声 / 膝から身体を退けておすわりの姿勢に戻ると、首を傾げて見せて )
…だってわたし、なんで自分が成仏してないのか分からないですし…。現世に留まる明確な意志と動機?っていうのが、ぴんときてないというか…。( 人差し指同士を合わせながら、うんん、と小さく悩ましげな声を漏らし / 明確な死因なんてものも覚えていなくて / 不甲斐なし、としょんぼり )わたしのこと、ずっと見守ってくれてました…?なんか、あなたのこと知ってた気がするんです。…なんとなく、本当なんとなくだけど。( 小首を傾げながら、じ、と見つめ / そわ… )
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