匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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…え、食べたいです!( ふにゃりとろける中 / 何調べてるんだろう、と彼が座る隣にちょんと両手を置いて気にしたところで / スマホ画面覗き込む前に、〝食べる〟にポメ耳がぴこんと反応 / 瞳を煌めかせながら答えては、尻尾の動きがぱたぱたと増え )えへへ、おやつは~別腹~。( うきうきとした様子で鼻唄を歌い )
すっかりご機嫌だな…。ここで待ってて。( 最初の慌てようは何処へやら、順応の早さに思わず小さく笑むと / 立ち上がりざまにもはや慣れた手付きで頭のてっぺんをよしよし / 邪魔になってきた毛布はソファの上に残して / 少しして戻ってくる腕の中には骨型ビスケットや棒つきキャンディ、シリアル他、見つけただけのお菓子を全部抱え )
わん!( 撫で受け満足そうに双眸を細めてひと鳴き / 彼が食べ物を探しに向かったあと、残された毛布をじっと見つめ、そわ… / ソファに片膝乗せるように横向きに座っては、彼の香りが残る毛布に身を包み「傑さんの匂いがする…」と、ぽつ / 気分ほわり / 彼の戻る気配に、はっと顔を向け )──…わあ、お菓子いっぱいですね!?( 尻尾ぱたぱたと瞳は煌めかせ )
どれがいいか分かんなかったんで、とりあえず全部。( 戻ってくると相手のものになっていた毛布に数秒目を留め / けれどそれだけ / ポメ化による嗜好の変化への懸念を語りながら、テーブルの上にお菓子を一つずつ綺麗に並べてゆけば / その傍に座し、彼女が選ぶ間甲斐甲斐しく落ちかける毛布を何度でも掛け直して )
パーティーみたいで楽しくなりますね!どれにしようかなあ…。( 並べられるお菓子たちに、嬉しそうに破顔させ / うきうき喜ぶ尻尾のせいか、落ち掛ける毛布を何度も直されるのに気が付くと )傑さんも一緒に入りましょっ、寒いでしょ?( 寄り添いつつ毛布を広げては、お互いの肩に掛かるように羽織り / それから再びお菓子に目を向けると、骨型ビスケットを指差しては窺うように顔を覗き込み )──…これ、一緒に食べたいです。いいですか?
…さっきより暖かい気がする。( 素直に毛布の片側を肩に掛けては、隙間を埋めるように遠い二の腕をくっと引き寄せ / 湯たんぽ代わりの体温に小さく息吐いて / 彼女の問い掛けにそこから腕だけ伸ばすことで肯定の意思を示したなら / ビスケットの袋を掴み、引っ込めた内側で開封 / 摘み上げたひとつを相手の口元へと差し出して )──…ん。……はい。
!、…ほんと、ぽかぽかします…。( 隙間が埋まれば、ぽぽ、と上気する頬とぴこぴこ触れる尻尾 / あったかいのは頬も / 〝あーん〟をしてもらっては、吸い寄せられるようにビスケットをぱくり / ぱあぁ、と煌めくオーラ放ちつつ / くっついている至近距離で、彼にもしたいとおねだりを訴え )おいひいです!いつも以上に風味がよくわかるような…!──…あのっ、傑さんにも、あーんってしたいです。くち、開けてください!
──…こうしてると見なくても分かるな、尻尾の動き。( 背後の毛布が活発に揺れて、堪え切れずに時間差で柔らかく吹き出せば / 隣にそっと目配せ / そのまま食べる姿を微笑ましげに眺めるも、要請には目線を外してノーを返し / あくまでも此方が世話する側だと言わんばかりに前髪をわさわさ撫でて / ビスケットをもうひとつ取り出し、再び口元へ )…や、俺は、いま飼い主任務中なんで。
じ、自分の意志では止められなくて…!騒がしい尻尾ですみません…。( 恥じらうように淡く頬を染めながら、双眸をぎゅむ / 手を後ろへ回して自分の尻尾をむぎゅ、と掴むけれど / 手からはみ出た尻尾の先端ぴこぴこ / 任務中だと断られてはポメ耳ぺたんとしょげさせ / くーん…と寂しげな声漏らしつつ、差し出されたおやつは食べて / はっと電球マーク浮かべてはポメ耳立たせ、期待した瞳で見つめ )んむ、……じゃあ、後でならいいってことですよね!
いいえ。見えないけど、俺の尻尾も同じくらい揺れてるんで。( 掴んでも尚勢いよく動く尻尾にまたふっと息洩らし / 泰然たる態度で対応しては、本気とも冗談ともつかない調子でカミングアウト / 一方で食べさせることへの閃きには容赦なく / 即答するなりわんこそばよろしく次のビスケットを指の先に準備して )ひな季さんに戻ったら保護者任務すね。
…──っ…な、なんで、どうして?( 〝!〟と双眸を開き / 嬉しそうに瞳に煌めき差し込みながら、そわそわ顔を覗き込み / 尻尾ぱたぱたぱた / 不満を溢しながらも、指先に備えられたビスケットは条件反射の如くぱくり / もぐもぐごくん / 人差し指同士を合わせてもじもじしながら、でっちあげ任務 / ちらりと見上げ )もー、任務ばっかり!……、わ、わたしだってお嫁さん任務がですね、…。
……、好きだから。…もふもふ。( 緩んだ空気から一転、虚を衝かれたように息を詰まらせ / 問われるまま眼前に迫る瞳へついぽそりと好意を白状するも / 咄嗟に頭から生える毛並みに触れ、直前の言葉を誤魔化して / 此方もちらりと隣を窺ったせいでまともに視線がぶつかり / 無言のまま見つめ合った数秒後、正面へ逸らしてから普段通りのつれない返事を / しかし想像してしまったのか、相手のために摘んだビスケットは無意識に自分の口へ / もぐもぐごくん )…まぁそうすね。今回みたいに、朝起きたら突然夫婦になってたら。
へ、──…あ、もふもふ。もふもふ良いですよね、もふもふ…。( どき、と心臓が跳ね双眸瞬き / ポメ耳に触れられ言葉の対象に気付かされると、かあぁ、と頬を赤らめ / 〝自分のことかと思った〟と羞恥に湯気さえ出そうで / 双眸を不等号にし汗マーク散らし / 婚姻届を貰って来そうな勢いで、今からでもと拳をぐっと握っては / 自然な流れで自分で食べてる姿に、尻尾しゅん… )わたしは全然、今からでも!…あっ、自分で食べてる…。
…ん、あって良かったす、もふもふ…。( 危機一髪の状況を脱し、遅れて鼓動が速まり / 動揺ゆえに相手の発言を聞き違えて本音を呟くようにこぼすと / 意味なく親指だけでポメ耳を撫で続けながら / 前のめりすぎる婚姻へ指摘を入れようとしたところで、はたと手を止めビスケットのなくなった指先を見て / 平静を装ったつもりが〝お嫁さん〟を意識してしまったことに彼女の発言によって気付かされては / それを無かったことにするかのごとく新しいビスケットをそばの唇にかるく押し付け / 向ける顔はほんの僅かに赤らみ、どこか懇願するような眼差しで )今結婚したらポメ季さんと、……夫婦になるんで、ひとまず今日のところは大人しく甘やかされといてください。
ずっともふもふでもいいかも…。( ポメ耳を撫で続けられると徐々に表情うっとり、瞳ぽやん / マッサージのような感覚で気持ち良くて / けれどあっさりその思いはすぐ覆ることに )──…っ、わん…!( 肩がくっつく距離で見る、彼の頬の仄かな赤らみの破壊力といったら / きゅーん…と鳴るこれは胸のときめきで / 尻尾ぶんぶんぶん / 小さなハートをたくさん周りに浮かばせ返事をしながら、ビスケットをかぷっ / ふにゃりと緩みきった笑みで )…そうですよね、傑さんと結婚するのは〝ひな季さん〟ですもんねっ。ずっともふもふじゃだめでした!
…結婚するかはともかく。少なくともひな季さんに戻るまでは空けとくんで、〝お嫁さん〟の席。( 諒解したらしい様子にやや肩の力抜け / 一言前置きしてから、今度は明確に自らの意思で部分的な肯定を / と同時に貴女以外とは結婚するつもりがない、という想いを精一杯回りくどく告げれば / 最後にビスケットを1枚自分の口に入れ、早々と話題を次に進めて )…で、次は、遊ぶ?寝る?何したいすか。
その席の予約、わたし以外はNGでお願いしますね!( 〝しないの?〟と言いたげに小首を傾げるけれど / 耳ぴこ / お嫁さんの席はすかさず予約を取るべく、挙手で主張して / 問い掛けにはもちろん遊びたくて、気持ちはうずうず / しかし成犬になりきらない体のおやつ摂取後は睡魔が襲うようで、眠気に抗うように双眸ぎゅむむ )次ですか、次は遊び…たい、です。
…いいけど、予約キャンセルも受け付けてないすからね。( 相手の動きを視界に捉えては、お手を要求するように両者の中間へ自分の掌を差し出し / そこへ手が重ねられたなら、離さぬよう柔く固く握って独占欲を滲ませるだろうか / 遊びたい、とは言うものの、その瞳は明らかに睡気をまとって / 頬の横に手を差し入れると、額の当たるような距離を下からの眼差しで覗き込み )…見る限り遊べる感じじゃないすけど。
キャンセルなんてしないですよ!…だって、傑さんのお嫁さんに永久就職するんだもん。( 条件反射で差し出された彼の手のひらの上に、挙手していた手をぽむと置きながら主張しては / 優しく握るのに捕まえて離さないような彼の手のひらに視線を落として、また持ち上げると / じわりと頬を染めながらはにかんで / 頬の感触に気付き開けた双眸が至近距離の彼を捉えると、衝撃マーク浮かべ / みるみるうちに頬に熱を持ち、彼の手のひらにも伝わりそうで / どっちの瞳を見たらいいやら、瞳を彷徨わせれば )わう…っ、じゃあ寝ますっ!( 急激な昂りの結果、犬によくある突進を招き / 額同士を軽く、ごんっ / そのままソファに彼を下敷きに倒れ込むだろうか )
…完璧な人生設計すね。( 氷解するように緩む頬と手 / するりと抜け出す瞬間に束の間小指を握ると「スカウト待っててください」と静かに約束を / 揺れる瞳をじっと捉えていれば、唐突な頭突きに小さく呻き声を洩らし / 抗う暇もなくソファへと押し倒されて / 体が座面に支えられ安定してから、止めていた息をゆっくりと吐き出しては / 胸元にある髪を寝かしつけるように数回撫で、抱き留めた姿勢から大事そうにすっぽりと包み込んで抱きしめ / ※ここで〆でも、戻るところまで続けても◎ )いっ──……、…おやすみ、ポメ季さん。
……、はい。( 称賛の言葉に、ふふんと誇らしげに八重歯覗かせるも / スカウトの約束には〝してくれるの?〟と双眸瞬かせ / ふわふわとした幸せな心地に包まれ、まなじりを下げながらこくりと頷いて / じんじんと額は仄かに痛くて「ごめんなさい…」とポメ耳垂らし反省 / すっぽり包み込まれながら体を預けたなら、衣服越しに聞こえる彼の心音に耳を傾けて / あたたかくて、心地よくて、次第にとろんと双眸を下ろしていけば / すや… )
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( / こちらも〆とさせていただきますね!犬の日イベありがとうございました、超突発で思い付いたネタでしたがとっても良かったです…。お世話されっぱなしで甘やかされて、糖度高めで非常に満たされました…犬の日ありがとう…。猫の日はぜひともお世話させていただけたらと思います()
そして犬グミも見つけました~!ダックスかポメしかなかったのですがもちろんポメ購入しました、可愛くて癒されてます* 有益情報に感謝です…! )
(/ 犬の日交流ありがとうございました!わんこ感増量のひな季ちゃん、もといポメ季ちゃん、永遠に撫で回したくなる可愛さでした…こちらこそ犬の日に感謝です。初手で逆巻も耳と尻尾を生やすか迷ったのですが、犬の日について検索したところ『犬に関する知識を深めるとともに、犬をかわいがることが目的』とあったので、これは…と飼い主任務に即決しました。たくさん可愛がれて満足です、猫の日の逆転も楽しみにしております*
ポメ残っててよかった…!食べ終わってもパッケージ捨てられなくなりそうな可愛さですよね。たぶん逆巻も買ってます、これ()
本編文化祭イベのお返事は今しばらくお待ちください…!※蹴り可 )
( / わあい、背後様にも喜んでいただけたのならなによりです!背後たちの概念だったポメ季を実際動かすことができたのも満足ポイント高かったですし、更には検索したり犬グミを買ってる背後様事情も知れて可愛くて、にこにこほっこりでした…。
にこにこ柴も欲しかったのですが、なくて残念…。本当にパッケージは捨てられない可愛さですね!洗ってジェルで固めて保管できないか検討中です() わあ、メイク中に小腹が空いたひな季に、「グミならありますけど」って言って渡しててほしい…パッケージを持つひな季を見て、ポメが二匹いるってなっててほしい…。改めて犬の日感謝です…っ。
のんびりお待ちしてますので大丈夫です、よろしくお願いします* ※蹴り推奨 )
>>2550
( 困惑しつつも嫌がる素振りは無かったため、部員たちに目を付けられて連れ去られる少女の背をそのまま見送り、撮影係の〝お前は着替えないのか〟とでも言いたげな視線から逃れ続けてどのくらい経った頃か。更衣スペースのカーテンが開く音と共に、衣装を勧めた彼女達から可愛い可愛いと黄色い歓声が上がれば、靴音のするそちらを振り返り。本人は何故か自信なさげにしているが、元より黙っていれば人形のような顔立ち。癖のない緑の黒髪もよりアンティークドールの雰囲気を引き立てていて、想像通り完璧に着こなした姿は廊下からも野次馬が湧く程で。しかし外野とは異なり色めき立つこともなく、相手の傍まで歩み寄って手持ちのコームを取り出すと、精巧なドールを再現しようとするかのように髪を梳いて整え、それからメイク終わりと同じく真正面から覗き込む。この短時間で叫ばれ尽くしてしまった例の言葉は割愛することとして、答えずに勿体ぶっていた感想は、眼差しの先にだけ届くよう騒めきに紛れる声量で伝えようか )
……本物の人形だったら連れて帰ってた、すかね。
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(/ 首輪渡された時はさすがにどぎまぎしましたが、結果とても癒し交流に落ち着いて私もにこにこほっこりです…* 〝ひな季〟ちゃんはもちろんのこと、犬の日交流のおかげで〝ポメ季〟ちゃんも無事背後スマホの予測変換に登録されました◎
わ、柴も欲しかったけどなかったところまで一緒です…!でもジェルで固める発想にまでは至れなかった…() グミ渡したら「犬好きなんですか?」ってひな季ちゃんに聞かれて、「…まぁ、ポメラニアンは特別です」って答えるけど(飼ってたのかな?)程度の反応でパッケージみたいに小首傾げられる場面が浮かびました…。そして蹴り推奨には今気が付きました!( デジャヴ )※全蹴り可 )
──…っ!さ、再来世はお人形になる…。
( アイドル衣装にも可愛らしいものが多いけれど、それとはまた違う装飾感に落ち着かず気恥ずかしげに逸らした視線は、左右どちらにも黄色い声か野次馬があれば結局静かな前方へとやがて落ち着かせる。〝可愛い〟を追求する彼に髪を整えてもらっては、当然いつものようにその言葉を期待した瞳を向けてしまうけれど、掛けられた言葉は強い破壊力を持ち、頬の血色感が更に増してはぎゅっと胸前で拳を作りながら、二人の距離感で聞こえるくらいの振り絞ったような声量で伝えて。〝再来世〟としたのは、彼がそのことを覚えているかは分からないけれど来世は一緒にカフェで働くのに取っておいてあるからで。甲斐甲斐しくお人形の髪を梳く姿にインスピレーションを得た写真部員は、それが薄らがないうちにと『人形作家が初めて作った、思い入れある人形イメージで撮りましょう!!こちらへ…!』といそいそ撮影スペースに案内したなら、芸術写真を撮れそうで興奮した部員が指示出すポーズに従って写真に収められていくだろうか )
再来世まで俺と一緒にいるつもりすか。
( その言い回しに何か聞き覚えがあると思えば、以前実家に招いた際に起こったカフェで共に働く云々の話か、とすぐに思い当たる。称揚に対する喜びの表現なのだろうが、突飛な話の中でもきちんと順番を守っているのが少し可笑しくて、さらに分かりやすく嬉しがる様子が微笑ましくて、目元を緩めると険のない呆れ口調で宣言への言葉を返し。しかし両者間でそんなやりとりが行われているとは知る由もない撮影担当はお構いなしに自分の世界を展開し、思い描いた画を実際にカメラに収めるべく被写体を舞台へと急き立て、先程と同様に指示を飛ばし始めて。アンティークドールに扮した少女単体の写真になるだろうと油断していた己にもしっかりと役割が与えられ、ブレザーを脱いだシャツ姿にサスペンダーを装着するという簡易的な着替えが済んだなら、向かい合って彼女の手を取ったり、背後から両手を肩に置いて二人で鏡に向かったりと、人形作家と少女人形の一幕が切り取られてゆき。ようやく監督の気が済んだ時分にはあと1、2回の変身が精々の残り時間となっていて、相手へ密談のように呟いた疑念も、言い出すにはもう遅いもので )
…ずっと思ってたんすけど、なんか俺らのだけ方向性違うすよね。
( ふと見せる柔らかな眼差しと瞳の奥にある優しさをずっとずっと向けられていたいものだけれど、作家と人形を題材に写真を撮られているうちに、どんなに恋心を抱き愛情を溢れさせていたとしても人形では自分から触れることができないと気付かされ、再来世は動く人形になることにこっそりとシフトチェンジして。2回目の撮影を終えて次が最後になるだろう衣装決め。今更の疑念に「た、確かに…」と小さな衝撃マークを浮かべつつも、なんだかんだで楽しくて、すぐにへらりと緩く笑みを浮かべ。それから言い出したのは〆を飾る衣装で、ハンガーに掛けられたずらりと並ぶ衣装に目を通してから彼へと視線を移すと、〝最後の文化祭〟を切り札に小首を傾げながら提案し )
時間的に多分次がラストですけど、衣装、傑さんに決めてほしいなあ、なんて……。折角だし、最後の文化祭だし…。
……え。…便利すぎるな、そのカード…。
( 衣装を撫でた眼差しがそのまま此方までスライドしてくると、不意の指名に洩れるのは面食らった細い声。入場の際にも使われた魔法の言葉は今も効力を失うことなく、加えて制限時間も迫ってきているとなれば押し問答をしている余裕もないので、無駄な抵抗はやめて素直に並ぶハンガーの前に立つ。とはいえ急なことで即断即決ともいかず、真剣な顔でカラフルな衣服と睨み合っては、ひとまず選択肢を減らすべく「チャイナ服…と、ドレスも駄目だな。フルメイクしたくなる」と消去法で派手なものを省いてゆき。修道服は髪と肌が隠れて勿体無いだとか、赤ずきんは狼役になるであろう自分が耳と尻尾をつけるのは嫌だとか、次々にNGを出した果て、目についたものの中から最終的に手元に残ったのは〝メイド服〟〝軍服〟〝大正浪漫(袴)〟の3つ。件の女子部員の影響か、全ての撮影風景を無意識に思い浮かべたなら、決め手となったのは〝笑ってほしい〟という至極単純な願望で )
──…じゃあ、メイド服で。
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(/ イベ案まとめ確認させていただきました!相変わらず長くてさぞ大変だっただろうなと…、いつもありがとうございます。ぽんぽん投げすぎて自分でも忘れかけているところがあったので、本当に助かりました。と同時に先の展開へのわくわくも蘇りました*
ついでに文化祭の方ですが、撮影を終えた後は「好きな食べ物って結局何だったの?」のくだりを回収して別れ、そのままミスコンの流れで相違ないでしょうか…? )
メイドさん、…かわいい!
( わあい、と小さく歓喜の声を上げ両手の指を胸の前で組んでは、何の衣装を選択するのか気にしてじっと彼の様子を見守っていれば。さすが美容を追求する職業といったところか、追求が止まらなくなるものを敢えて消去してぶつぶつと真剣に呟く姿に、そんなところも好き、とほんわりシャボン玉の如くハートマークを浮かべる。やがて選ばれたのはメイド服で、そのものはド定番ながらなんとなく彼は選ばないイメージだったゆえに意外そうにぱちりと双眸を瞬きつつも、彼が選んだものだから当然断る理由もなくシンプルながらも可愛さに割り振られたメイド服に焦点を当てては、着ることに抵抗はなく衣装を腕に抱えて着替えスペースに入っては大人しくそれに着替えていく。膝上丈の黒地のワンピースに白エプロンを合わせ、フリルカチューシャを頭に装着した姿で着替えスペースから出てくると、また可愛い可愛いだなんて歓声を浴びてははにかんだ笑みを浮かべつつ、執事に寄せたか主人に寄せることとなったかは分からないけれど彼の姿を探すはずで )
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( / いえいえ、こちらこそご確認と、いつも素晴らしいご提案を挙げていただいて感謝の念に耐えません…!私も纏めながら、これからのわくわくときゅんきゅんに胸を踊らせていました。楽しみが本当に尽きませんね*
わ、好きな食べ物のくだりをすっかり失念しておりました…ありがとうございます。流れにつきまして相違ございませんので、引き続きよろしくお願いします…! / 蹴り可◎ )
( 鈍い反応は喫驚のせいか、衣装に視線を転じた彼女は特別難色を示すわけでもなくメイド服を受け取って、時を移さず更衣スペースへ。再び見送った背に自分も早く着替えなければと対のセットとして用意されていた執事服に手を伸ばすけれど、メイドは執事に笑いかけるものだろうかという些細な違和感と、その組み合わせではインスピレーションが刺激されないのかカメラを持った担当部員が心なしつまらなそうな顔を向けてくることから、結局一つ隣を選んでカーテンの奥へと駆け込み。しかし急げども金と赤の装飾が施された白基調の軍服に軍帽、手袋、外套までを律儀に全て身に付けて撮影スペースに戻るのは相手より一足遅れたタイミングとなり、姿を現してすぐに己を探す少女と目が合えば、まさしくたった今帰宅した主人のごとく待たせたかもしれない時間を詫びて )
…、遅くなりました。
( どうやらまだ着替えから彼は戻ってきてないようで、そわ、とどんな衣装に着替えるのだろうと気にしていると、やがて着替えスペースから姿を現したのは白い軍服に身を包んだ──そう、ご主人様で。偶然にも今しがた帰宅したような台詞と、凛とした見目麗しい姿に目が合ったまま逸らせず、ぽわんと頬を色付かせながらつい数秒見惚れてしまって。先程まで廊下から覗き込んでいた自身の野次馬は気が付けば男女入れ替わるように彼への黄色い声となり、わあっと湧く小さな歓声たちに漸くはっと現実に戻っては、きらきらと煌めかせた黒目がちな瞳を彼へと向けて。今すぐ自身のスマホに写真を収めてしまいたいくらいだけれど生憎スマホは脱いだ制服のポケットの中、せめてこの瞳に彼の姿を存分に収めておこうと真っ直ぐに見つめながら、両手の指を胸の前で組みながら賞賛の声を上げ )
──…っ、か、かっこいいです…っ!
……ん…、どうも…。
( 相手の返事より先に耳に届いたのは廊下からの声で、ちらりと見遣った彼女らの眼差しが自身を捉えていると知れば、大人が高校生の前でコスプレを披露しているという事実に薄らと頬を色付ける。そしてそれは対面の少女にしても同じことで、私服を褒められたのなら素直に受け止められるその言葉も今は居た堪れなさに拍車をかけ、素っ気ない礼を紡ぎつつ視線は遂に足元へと落ちて。しかし取り乱した様子を見せたのはその時まで、黒い靴先から順に上へ上へと衣装を辿ると、顔の位置で改めて目が合う頃にはすっかり意識は真正面のメイド姿に移り、「いいすね、可愛い。ひなちゃんが着るとより一層」と服飾とモデルの双方のポテンシャルを認め。王道は王道たらしめる安定した万人の評価と根強い人気あってのもの、仕上がりについては心配していなかったけれど、裏を返せば被りやすいとも言えるだろうか。やる気を出したらしい撮影部員の誘導で配置につく最中、ふと衣装を選んだ際の反応が蘇っては、仕事か何かで以前にも着たことがあったのだろうかと雑談程度に尋ねて )
…そういえば。もう着たことあったすか、そういうの。
えへへへ…ありがとうございます。
( 凛とした佇まいが薄く頬を色付かせて少々崩れるも〝照れてる、かわいい〟と胸のときめきを強くするばかりで、しかしそれは外野も同じなようで『ギャップ良くない?』『わかる』との声が耳に届けば、はっと危険を察知する。わたしの傑さんなのに…と湧き上がる小さなジェラシーでメイド服の裾をきゅと握るけれど、次いで彼から自身だけに向けられた称賛の言葉で、じんわり頬に多幸感滲ませて嬉しそうにまなじりを下げて笑い。撮影部員の誘導で彼の隣に並びつつ、彼の軍服姿をこの目に焼き付けようと瞳を向けるも眩くてずっとは見てられずにちらちらと見ていれば、話題を振られてどきりとしながらも答えて。メイド服ではないけれどふと思い出したのはバレンタインの時のこと、クールビューティー担当のさや姉が新衣装に変わってすぐの頃は恥ずかしくてそわそわとしていたことが蘇ると、ふふ、と表情和らげて )
メイド服自体は初めてです!あ、でも前の……バレンタイン曲のリリースの時、しばらくふわふわひらひらのパティシエっぽい衣装でした。さや姉照れてて可愛かったなあ。
あぁ、あれか…クールビューティー担当はそのへん大変すね。
( メイド服が既出でないことに仄かな安堵を覚えた後、話題に上った〝バレンタインのパティシエ衣装〟を思い浮かべれば、想起されるのは無論バレンタイン当日のこと。確かに多量のフリルがあしらわれていたなと今度は記憶の中の少女を視線で辿っては、他のメンバーの衣装は曲のジャケットを目にしただけなのでよく分からないが、普段のイメージと異なる可愛らし過ぎるテイストに青色担当の彼女が戸惑ったのも頷けて。「ひなちゃんは──」衆人環視の中にいるのも半ば忘れ、単純な興味に尚も会話を続けようとした声と、撮影担当の指示が発されたのはほぼ同時。一度そちらを振り返って給仕者が主人を出迎える場面をカメラレンズの前に作り上げると、言い掛かった以上返事が保留になっても先に伝えておくべきかと、唇だけを動かして質問を投げ掛け )
…ひなちゃんは、何担当なんすか?
──…わたしは、
( 何か言い掛けた彼の声と撮影担当の声が重なっては紡がれるはずだったその言葉の先が気になるけれど、彼が撮影担当の指示に従い動き始めたため自分もそれに倣って従っていると。改めて紡ぎ直された言葉に、ちらりと視線を上げて一瞬何か考える素振りを見せてはポーズの指示を受け、それに従いスカートの裾を軽く摘まみながら腰を少し落としたカーテシー風のお辞儀をして数秒、シャッター音が聞こえた後に顔を上げて姿勢を戻しては、無事に帰宅した主人に対する柔らかな安堵の笑みを広げ「ご主人様の担当です」と自身の役割を全うし。けれど自分で言っておいて羞恥心がじんわり込み上げてきては、胸の前で両手の拳をきゅと握りながら本来の与えられている担当を明らかにすると八重歯を覗かせはにかんでは、もちろんその間もシャッターは切られ続け )
なんて……、えへへ、愛嬌担当ってことになってます!
…奇遇すね。俺も普段はご主人様の担当なんすよ。
( アイドルとしての彼女に意識が向いていたせいで、返答の意図を悟ったのは相手が気恥ずかしそうに本当の役割を告げてから。実際にそんな担当があるのだろうかと呆けていた矢先のことに、一気に理解が追いついて「──…は、」と掠れた声を洩らすと、以降は音のない息だけで短く笑って。そうして図らずも滅多に写真に収められることのない自然な笑顔が保存されてゆく中、ヘアメイクと顧客の契約関係を主従契約に準えて同ポジションを張ったのは、自身の指定したメイド役を全うしてくれた少女への礼儀でもあり、それを戯れと受け取った結果でもあり。続けて数ポーズ取って恙なく撮影が終わった後、インスタントカメラから物体としても転送データとしても写真を受け取っては、教室を出たところで丁度ミスコンとミスターコンの出場者へ準備を始めるよう促すアナウンスが校内に流れて「いよいよか」と呟き )
じゃあ…次は、しっかり愛嬌担当やってきてください。
…傑さん、執事もすっごく似合いそう…。
( 契約上の主従関係といえば確かにそうなのだけれど、この場合の彼からの〝ご主人様〟呼びは破壊力があり、はわ、ときめきの吐息を漏らしながらふわふわと妄想の扉開き…始めたところで、撮影が終わる。着替え終えたのちに現物でもデータでも写真を受け取り、滅多に形として残ることのない彼の柔らかな表情が手元にくると、嬉しそうに見えない尻尾を振りながら煌めく瞳で写真を眺めつつ教室を出たなら、アナウンスにはっと顔を上げ。激励の言葉には「もちろんです!じゃあ行ってきますね!」無邪気な笑みを浮かべながら、ぴしっと額の横に敬礼ポーズを添えると準備に向かうべく踵を返し、たったったと廊下を駆けていくけれど2、3メートルほど行ったところで「あっ」と小さく声を漏らしては、髪靡かせながら踵を返し再び彼の方へと駆け戻ると、彼が背を向けていたなら服の裾をくいと軽く引きつつ、仲良しクイズの答えについて小首を傾げて問い掛けるだろうか )
──…そういえば、結局好きな食べ物って何だったんですか?
( せっかく訪れるなら少し見て回ろうかと早めの到着を少女と約束したものの、今日の本来の目的はこれから行われるミス・コンテスト。さすがにステージ慣れしているからか緊張した気配もない相手に、此方も特に危ぶむことなく浅い頷きを返して送り出すと、軽快に駆けだした足はほんの4歩程で進むのを止め、忘れ物でもしたかのように舞い戻ってきて。去りかけた彼女が引き返してくる状況への既視感から密かに身構えたのは一時だけ、その口から保留にしていたクイズの回答についての問い掛けが為されては、自身もすっかり忘れていたために気の抜けた「あぁ…」を零し。それから特別な意味合いを持たせまいとして逆に神妙になってしまった口調で、ひとことぽつりと答えて )
……ハンバーグ。
へえ、ハンバーグ、──…それ、って…。
( 好きなものも苦手なものも、〝特にない〟を一貫していたのにそれを揺らがせたものは一体何なのだろうと興味津々な瞳を真っ直ぐに向けていれば。ぽつり呟かれた単語に、また彼のことを一つ知れた嬉しさで笑むけれど、はた、とほんの数瞬だけ固まっては、ばちりと瞬いた瞳には一筋の流れ星のような煌めきが走る。二人でお花見した日、ひょんなトラブルをきっかけに彼の実家で出来立てを作った料理もハンバーグだった──まさかね、でも、そうだったら嬉しい。「わあ、偶然……わたしの、得意料理だ」視線を逸らし薄くはにかみながら仄かな期待と自惚れを誤魔化すように、緩く巻いた横髪を口元に持ってきて表情を微かに隠し。いつか好きな食べ物が、〝わたしが作ったハンバーグ〟だと言ってもらえるように頑張ろう。新たな決意を胸に瞳を合わせると、横顔から離した手をぐっと握りながら伝えては改めてミスコンに向けて準備しに廊下を駆けていき )
傑さんっ、ミスコンしっかり見ててくださいね。わたしもステージから傑さんのこと、見つけてみせますからっ!
……すね。
( それがきっかけ──と言うより、それ自体が〝好きな食べ物〟だと伝えるか否か迷って、結局紡いだのは控えめで曖昧な肯定。料理番組のオファーは未だ来ていないのだろうかと時折考える程には今も思い出す味だが、母親でも彼女でもない間柄の少女に頼むことでもなく、ただただあの時の胸の内を反芻するばかりで。互いに言い淀むような沈黙が流れて少し、気持ちに一区切りついたような表情で顔を上げた相手が意気込めば、もういつもの空気で「…ん、今日はひなちゃん見に来てるから」と応え、今度こそ人混みに消えるまで緩やかにカールした黒髪を目送する。さて自分は催し物が始まるまでの時間どこかで暇を潰すかと、往来で立ち止まっているわけにもいかないのでとりあえず振り返るも、予定はそこに立ち塞がっていた数人の男子生徒達により一秒足らずで崩されることとなって。〝永瀬ひな季親衛隊〟だと名乗る彼らにホワイトデーの日からずっと見ていただとかお前は一体何者だとか詰問され、遅れて登場した親衛隊長は知り合いで、隊員の一人にクラス企画の腕相撲勝負を仕掛けられて余裕の敗北を喫し、もう彼女に近付くなという警告に職務上それは不可能だという旨を懇々と説き。やがて集団が最前列を確保せねばとミスコンの会場に移動するのに続いて体育館に足を踏み入れたなら、余計な疲労を僅かでも回復しようと後方の壁に腕組みで凭れ掛かり、相馬青年から延々届く『ごめんなさい』『でも俺も隊員の手前隊長として逆巻さんを敵にしないといけなくて』という謝罪と言い訳のメッセージを放置したまま両眼をそっと閉じて )
かわいいっ…これライブでもやりたいね!
( 自身が去った後に一悶着が起きていることなど露知らず、控室代わりの更衣室でクレープ売りを終えたねねぽん協力のもとでミスコン出場に向けた準備をどんどん進めていく。事前に彼から協力を得て教わったメイクはほとんど自身で済ませ、涙袋にはきらきらとしたグリッターを、両頬のチーク上部は淡いピンクの小さなリボンをつけま接着剤で付けたりラインストーンを乗せたりして、淡く儚く可愛らしい雰囲気を仕立て上げ。それぞれのメンバーカラーのリボンにしたならより可愛いだろうと、ミスコン用のメイクにうきうきと花を咲かせて。衣装は例年に倣って周りはコスプレ風が多く、自身もまた他者からの推薦とねねぽんの見立てのもと、キューピッドをイメージしたひらりふわりとした膝上の白色チュールワンピースを着て、ワイヤーでぴよんと天使の輪を繋げたカチューシャを頭に装着し、背中には天使の羽。それからこの時期それだけでは寒いと、ねねぽんから借りたふわふわボア素材の白色ケープを身に纏いおもちゃの弓矢を手に持ったなら準備は完了。『これは優勝間違いなしだわ』と、メンバーの着飾る姿にねねぽんが鼻高々に笑っては、いよいよミス・ミスターコンの幕が上がろうか。──賑やかしく始まり会場である体育館のステージ上、上手側で出番の待機をしつつ幕の隙間からこっそりと見物客の入りを確認してみては、案外に人が、それも前方に集まっているのが窺えるけれどその人混みの中に彼の姿は見当たらない。館内はステージにスポットライトが当たっているせいで、尚更観客側のところは見えづらいのだけれど。まだ来てないのかな、なんて体育館全体に視線を巡らせていれば、後方の壁際で複数人の小さな人だかりを見つけるけれどその中心にいたのは紛れもなく彼で、いったいどういう状況なのか「えっ…!?」と小さく驚いた声を漏らしながら幕をきゅっと握り僅かに身を乗り出して )
( 視界からの情報をシャットアウトして省エネルギーを図る最中、鼓膜を叩いたのは「寝てる?」「寝てる?」と互いに囁き合う少女達の声で。緩慢に開いた眼に映った生徒らしき3人組は、此方に意識があることを認めるとぱっと笑みを広げ、「お兄さん暇なんですか?」と人懐っこく話し掛けてくる。待機は暇と言うべきか言わざるべきか、返答に困ってステージの方を見遣った時、体育館内の照明が落ち、場に漂いだすイベント開始の気配。「もうそろそろ始まるみたいだけど」何もせずにいることに退屈して対話を求めてきたのならこれで用は無くなるだろうと前方への視線誘導を促すも、彼女達はさして関心を持っていないのか「この後あたし達と一緒に回りませんか?」と歯牙にも掛けず尚も自身へ眼差しを注いで。「いや…お構いなく」「えっ、あたしめっちゃ映えるフォトスポット知ってますよ!」「はあ……」と微妙に噛み合わない会話を繰り広げつつ、なぜ女子高生とはこうも押しが強いのだろうかと天を仰げば、己にそう思わせる代表たる出場者の姿を探してスポットライトの下に焦点を合わせようか )
──…あ、はい!
( このミス・ミスターコンの時間に体育館にいる女子生徒は、出場する女友達の応援か男子生徒目当てでほとんど間違いないだろう。そこに見た目の良い年上男性がいたなら当然、積極的な女の子なら声を掛けるに決まっている。女の子に囲まれている彼の表情は窺い知れないし当然なんの話をしているのかも分からないけれど、再びジェラシーが湧き上がるのを感じるのは確かで。『よかったらインスタとか交換しましょーよ!』なんて一方的な会話を遠くから見守っていれば、いつの間にかミス候補の4人目の出番が終わろうとし、最後の5人目である自身の出番が始まろうとしていては係員から声が掛かり幕から離れ。『それではミス候補、ラストはエントリーNo.5の永瀬ひな季さんです。お願いします!』司会が自身を呼ぶ声に、ぱ、と顔を上げては〝傑さんはわたしを見に来てくれたんだもん〟と確かな事実を胸に、明るく軽やかに幕の上手から飛び出すと「こんにちはーっ!文化祭盛り上がってますかーっ?」と中央に設置されたアピール用のマイクスタンドに声を届かせながら駆け寄って。ステージ中央へ立てば「今日はみんなに幸せを運びにきたよ!受け取ってね!」と煌めく笑顔で告げては、手提げカゴに入れたひとくちバームクーヘンを羽や髪を靡かせつつステージの端から端へと移動しながら、手を伸ばす人たちに向かって愛嬌を振りまきながら満遍なくお菓子もばら撒いていく。『かわいいー!』『似合ってる!』『俺の心も射抜いてくれー!』なんて声援たちが飛ぶ中、肝心の弓矢は飛ばして目にでも当たったら大変なこともあり、前方や後方へ翳すふりだけ。やがてカゴの中のお菓子がなくなりステージ中央へ戻っては、館内後方にいる彼に視線を留め目があったなら、〝〟後ろのみんなにも〟とは言うけれど見つめるのは彼だけ。届きますように、と唇に両手の指先を添えたあとにめいっぱい両手を広げて特大な投げキスを送ってみせて。前方からの『こっちにもやってー!』なんて声に笑顔で手を振りながら、自身の出番を終えると候補者が並ぶ端へと肩を並べて )
後ろのみんなにも、あとで幸せ届きますように!永瀬ひな季でした~!
( 司会の紹介と共にステージへキューピッドが現れると、会場はたちまち現役アイドルの独壇場。浮かれた祭りの空気感も相俟ってライブさながらの盛り上がりを見せる観客席には惜しげなくお菓子と笑顔が降り注ぎ、トレードマークの弓矢を構えて見せるファンサービスも抜かりなく。堂々たる振る舞いに愛嬌担当だけあるなと感心しつつ、記録と後方観覧者への配慮のため撮られている動画がリアルタイムで映し出される大画面で助言したメイクの方も確認しては、ふとその瞳が意識的に動いたのを見て視線を本人へと戻し。目が合った、と直感した刹那、桃色に潤む唇から飛ばされるのは特大の投げキス。しきりに自身の気を引こうとしていた女子生徒達でさえ「やば!ちゅーもらっちゃった!」と沸かせてしまうプロの実力にも驚嘆するけれど、同時に「ちょっと笑ってる?」「なんか嬉しそう…」と彼女らに囁かれてしまうほど個人宛のハートマークを率直に〝可愛い〟と受け容れた己にも当惑して。それに比べればコンテストの優勝者がエントリーNo.5に決まることは意外でも何でもなく、どこか誇らしげな訳知り顔で拍手を送ったなら、この後は忙しくなることだろうしメッセージだけ残しておいて一度退散しようかとスマホを取り出す。『見てた、おめでとう』という簡素な祝辞がトーク画面に追加され、注意は再び前方。マイクを渡された少女がコメントを始めるも、合間に近くから「やっぱ可愛いよな、永瀬」という声が聞こえてくるから、ついそちらへ聞き耳を立ててしまい、マイクに乗った言葉は半分も聞けただろうかという具合で。内容から察するに同級生らしい男子生徒達は、今年で最後だから後夜祭で告白するだとか、お前は結構仲良いから行けるだとか、文化祭マジックがあるだとか、もし振られたら自分も一か八かで告白するだとか、人目も憚らない宣言を交わし、内輪のノリを大いに楽しんでいるらしく。──普段なら気にも留めない他愛のない光景。なのに、彼の告白に〝いつものあの表情〟で頬を赤らめる姿が過って胸裏に苦い思いが広がったのを自覚してしまっては、生まれた疑念を振り払うことはもう不可能で。ミスターコンに切り替わるタイミングでこちらも最後のチャンスとばかりにsnsで繋がることを提案してくる3人組に「しない」とだけ余裕なく答え、「冷た~」「塩~」という落胆の声を背に体育館を出て、縋るように追撃してきた永瀬ひな季親衛隊長からのメッセージに『大丈夫だからしっかり仕事してください。特に今日』と返す。それから暫くの逍遥を経て辿り着いたのは人気のない新聞部の部室前で、昇降口前に貼られていたものと同じ手製の号外がそこでもミスコンとミスターコンの優勝者を伝えていれば、笑みを湛える恋の神の写真にどうしたものかと深い深い溜め息を吐いて )
( 「みんなのおかげです」だとか「逆に幸せをもらっちゃって、最後の文化祭すっごく良い思い出になりました!」だとか、嬉しそうにまなじりを下げながら優勝者のコメントを残し、天使の輪付きカチューシャに代わって頭上にミニティアラを輝かせてミスコンが閉幕する。下手側へと退場しそのまま更衣室で着替えてから彼の元へ行こうと思っていたけれど、更衣室の前は早くも人だかり──そう、〝ミス・ミスターコン優勝者からその日のうちにキスをされると祝福を受ける〟という、この高校にいつしかから伝わるジンクスのせい。優勝者からキスを受けたという名誉のため、祝福にあやかり好きな人に告白するためなどなど様々な理由で男女問わず生徒が集まっていて、このままでは更衣室に入れそうになくどうしよう…と口元に手を添えながら廊下曲がり角から見つめていれば、ふいに背後から腕を引かれる。振り向けば「─…ねねぽん!」『いま更衣室に行ったらあそこから動けなくなるからダメっ』しい、と人差し指を口に当て静かにするように訴えかけるねねぽんがそこにいて、『ねね、さっき逆巻さんが体育館から出てくの見たの。ミスコン終わったし、もしかしたら帰っちゃうんじゃない…?』心配そうに眉尻を垂らす彼女に、はっと双眸を開いては「わたし、探してくる…!ねねぽんこれ預かってて、」と弓矢や空の手提げカゴを彼女に預けては、更衣室とは違う方向へと駆け出して。あまり人に捕まらないようにできるだけ人目を避けて、こっそりと、彼の姿を探していく。スマホは生憎制服のポケットの中で彼と連絡を取る術は今はなく、がむしゃらに探していると、廊下の先でばったりと出逢ったのは親衛隊を後方に引き連れた隊長である同級生の相馬くん。しっかりばっちり視線がぶつかり、ひやりと心臓が跳ねては「相馬く、─…」と声が漏れるけれど、相馬くんは微かに双眸を開くと唇を一度引き結び、キュと踵を返し『ややっ…やっぱり更衣室の方に行こう!出待ちしてる人がいるかも、僕らで永瀬さんを守るんです!』と進んできた方向とは逆の進行を勧めつつ隊長として眩しい威厳を見せつけ。こちらに背を向けた相馬くんは後ろ手で〝あっち〟と親衛隊とは別方向を指差し、回避通路を促してくれているようで。相馬くんの行動に再びこんなに感謝する日が来るなんて──「ありがとう」と優しく小さく呟き、更衣室の方へ向かいだして背を向けた親衛隊と隊長の背後を通り抜けていくと、やがて人気のない校舎に辿り着き。さすがにこんなところにはいないかも、なんて思いながらも展示室が並ぶ校舎の廊下を歩み出した時、ある部室前で立ち止まる彼の姿が瞳に映り小さく息を呑み。帰ってなくてよかった、と安堵の溜息を吐いては何を見ているんだろうと思いつつ、そ、と歩み寄り聞こえてきたのは深い溜息、彼の視線の先には自身のミスコンを飾る号外写真が貼り付けられていて、どき、と鼓動が速まりだすと一度だけ密やかに深呼吸をしてから、後ろ手を組みながらそうっとにこやかに声を掛け )
──…おっきな溜息が出ちゃうくらい可愛いですか?
……、うん。
( アイドル──それも卒業が近いとはいえ高校生を異性として意識するなど平常ではとても考えられない事態だが、自分だって伊達に歳を重ねてはいないし、恋愛経験も人並みには経ていて。ベタな恋愛漫画のように鈍感ではいられない、けれど〝それ〟を受け容れてしまうこともできず、理屈と膏薬はどこへでも付くとばかりに別の理由で説明を付けようと模索する折。悪魔の囁きのようなタイミングで現れた天使の羽に、閉じていた瞼をそうと開き、瞳だけを動かして横目にそちらを窺えば、口を衝いて出るのはこれまでの全てが無に帰するような素直な肯定。昨日の状態でも同じように返していたかどうかは今更確かめようもなく、体ごと彼女の方へと向き直っては、取っ散らかった心中を悟られぬよう努めて普段通りに「優勝、おめでとうございます。盛り上がり凄かったすね」とまずは改めての祝辞を述べて。それからようやく本当に落ち着いてくると、なぜ相手が此処に居るのか、衣装のままこの場所までやって来たのかと現状の不思議さに思い至り、直裁的な訊き方で真相を求め )
…で、なんでその優勝者がここにいるんすか?
えへへへ…傑さんが手伝ってくれたおかげです、ありがとうございます。
( 冗談混じりに尋ねた言葉がするりと肯定されてしまえば、微かに瞠目した後、えへへと双眸を伏せるように緩ませながらはにかむと、続く祝辞の言葉にはますます照れて、少し傾げた頭上の簡素な輝きを放つおもちゃのミニティアラが輝くだろうか。この場にいる理由を言及されては「それなんですけど─…ねねぽんが傑さん帰ったかもって言うから、わたし傑さんのこと探してて。あげたいものがあるのに」あたふたここにいる理由を並べ、手を胸前に持ってきながら人差し指同士をもじもじと合わせるけれど、あげたいものがあると言うのに両手には手提げカゴも弓矢も何も持っていないことは明らかで。そうして語り出したのはこの学校におけるジンクスについて。リボンやラインストーンで装飾された頬が内側からじんわりと熱を持ちながら、説明の間伏し目気味だった視線をそっと上げて彼の表情を窺い )
──…っていう、うちの学校のミス・ミスターコンにはそういうジンクスがあるんです。だから傑さんにそれを、受け取ってほしくて…。
幸せならもう──…
( 何やら切り出しづらそうに躊躇う様と手ぶらのキューピッドに、ステージでのアピールを思い返して予測を投げるも、紡がれた〝あげたいもの〟はそれとはまた別口の幸せらしく。彼女がそういったまじないの類いを好意的に捉えていることは既知の事実にしろ、こうも縁があるとついつい唇から零れゆくのは「またジンクス…」の声。しかしそこでキスももう貰っただの他を当たれだのと言わなかったのは、遠慮がちに此方を見つめる瞳が自分だけを映していることに安堵を覚えたせいか。「それって、もし断ったら他の人にするんすか」受け取る決心がつかずにぽつりと尋ねては、内奥を見据えるようなまっすぐな眼差しを正面へと向ける。果たして己がどんな返答を求めているのか、分かるような、分からないような、分かりたくないような。胸にしきりにさざ波の立つ中、やがて相手の口から次の候補の存在が仄めかされたなら、断る選択肢は消え、具体的に祝福を授かる場所を確認しつつ左人差し指のリングを外そうと )
…じゃあ、お願いします。…どこ?手?
それは……まあ、そうですね、せっかく優勝したので。
( ミスコンでのアピールタイムのこともありジンクスなんて信じない彼のことだから、もう貰いましただなんて返答が今に来てしまうのだろう。ぽつり尋ねられては考えを巡らせるように一度視線を横へずらすと、頑なに断られるようなら優勝者のキスは影の活躍者であるねねぽんか、日頃お世話になっている牧さんに捧げることに考えが着地し、視線を戻しては小さくこくりと頷いて肯定すると、思いの外、じゃあ、と願われ自分からあげたいと申し出たことなのについ喫驚で双眸を瞬かせてしまって。〝え、いいの?〟と頬が色づきだす間にリングを外そうかと手元に彼が視線を向けたなら、た、とそばへ歩み寄って〝そこじゃないよ〟と伝えるように彼の左手の上に被せるように手のひらを添えては、踵を上げて少し背伸びをしながらきゅっと双眸を閉じると彼の左頬へ唇を柔く軽く押し付けて。文字通り瞬く間のほんの一瞬のできごとだけれど、確かに授けた祝福。踵を下ろして左手から手を離しては両手の拳を胸の前にきゅっと寄せながら、かあぁと頬や耳まで含羞の色に染めつつ合わせられない視線は手元へ向けると祝福を授ける場所を漸く告げて )
──…ここ、です。…でした。
…これもジンクスの条件、で…?
( 体の前に取り出した手をそっと抑えつけるように軽く柔い重しが乗せられれば、目線を上げた瞬刻にゼロまで縮まる互いの距離。咄嗟に呑んだ息を細々と吐き出す頃には頬に触れたその正体を悟り、辿々しく種を明かす少女へ真意を探るような問いを発するも、彼女が何かしら答えたにしろ沈黙を貫いたにしろ、そんな事を聞いてどうするのかと思い直し「…いや」と自ら打ち止めて。「ありがとうございます、…ました。…誰かに見つかる前に戻った方がいいすよ」両者共通の知人である男子生徒にまさに今階段から決定的瞬間を見られていたことなど露知らず、校内外で噂が立つことを危惧して相手に退避を促し、それに従って足音が遠ざかったなら。一人きり残され立ち尽くす頭の中では、あの日聴いた鐘の音が残響のように鳴り響いているだろうか )
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(/ 逆巻側、ここで回収とさせていただきます…が、まだやりたいことや話したいことがあったのに!という場合は改変して続けていただいて大丈夫です…!感想等は完全に〆となってから語らせていただきますね。※蹴り推奨 )
……っ、いえ、こちらこそ!
( キスをする場所なんて最初はもちろんどこだって良かったのだけれど、今日女の子に囲まれていた彼の姿を見たからか独占欲がどうしても湧いてしまったようで。自身でも突飛な行動力に驚きつつ、ほろ苦い柑橘系の香りが鼻腔をくすぐったのは二度目だろうか、微かな余韻と冷めやらぬ羞恥心のなか彼の問い掛けに口篭っていれば、祝福への礼を告げられるとふるふると首を左右に振りながら、祝福を受けてくれたことやミスコンのためにメイクを教えてもらったことなど様々な意味を含む謝辞をあたふたと告げ。助言には、確かに!とはっと顔を上げては未だ赤らんだ頬のままで。自身の着替えが済む頃には文化祭の閉幕時間となるだろうし「もう帰っちゃいますよね、…あの、本当に今日は来てくれてありがとうございました。気をつけて帰ってくださいね、無事におうち着いたらLINEくださいね!」と矢継ぎ早に伝え、ぺこーっと深くお辞儀をしては、それじゃと来た道を戻るようにぱたぱた廊下を駆けていく。階段横で相馬くんが慌てて身を引っ込めて壁にぴたりとくっ付き気配を消していることなんて、今は〝ほっぺたにちゅーしちゃった〟と自身の言動にひたすらに恥じらっているせいか全く気が付かず。そのあとは親衛隊のおかげで無事更衣室内に入れて着替えられたし、友人やメンバーから優勝おめでとうとカラフルなスタンプのLINEが届いているのも確認したけれど、その中に混じる彼からのメッセージはシンプルながら一番輝いて見えては〝うれしい、だいすき〟と気持ちがきゅんと溢れてくる。しかし文化祭の閉会式や打ち上げを兼ねた後夜祭──それもミスコン優勝者ならなお慌ただしく待ち構えていては、落ち着いて彼に返信できたのは夜になってから。帰宅を知らせるLINEが届いていたなら、おかえりなさいのスタンプを送信し、それから改めてのメイクのお礼や文化祭を一緒に回れたことのお礼と、〝学生生活でいちばん楽しい文化祭でした〟とありがとうで溢れたメッセージを送信し、その1、2分後くらいに〝だいすき〟と猫がハートを持ったスタンプも送信したなら、友人から送られてきたミスコンの写真や、コスプレ衣装の自分たちの写真を眺めながら思い出たっぷりのスマホを片手に眠りにつくだろうか )
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( / こちらも回収で〆とさせていただきました!この時がついに来たな~と思いながら、文化祭イベとっても楽しませていただきました。ありがとうございました* 本当にアツい展開でした…イベント考えてくださった背後様に大感謝です…(拝み)
恒例の感想大会は後ほど提出致しますね…! )
(/ 文化祭イベ、ありがとうございました…!本当に遂にこの時が、という回で、また一歩関係を変化させた二人にまだ心臓がどきどきします、…してます。約束通り帰宅メッセージを送信してからずっと後夜祭のこと気にしてて、返信が来たらわりとすぐに『ひなちゃんもおかえり』は送ってそうだし、頻出の猫スタンプもそろそろ同じの購入してそうだなって思いました。ジンクスの相手は絶対詮索されるだろうけど何て答えたのかなとか、ねねぽん以外のメンバーも同じ学校なのかなとか、続々と興味の惹かれる点が生まれるという意味でも妄想の捗る〆ロルで、最後の最後まで楽しませていただきました*
感想は細かく書くととても1レスに収めきれる気がしないのでざっくりめになりますが、とにかくひな季ちゃんの〝大好き〟感と逆巻の〝無意識に好き〟感で甘め展開が盛り盛りでしたね…!なんでこれで付き合ってないんだと度々首を傾げながら壁に勤しんでおりました。初手から特製クレープといつかのやり返しのご褒美があり、仲良し度チェックでは得点には繋がらないものの他愛ないやりとりから仲良し感が滲み出し、着せ替え写真館では色々なシチュの二人を写真に収められ、ミスコンでは特大の投げキスを貰って…何回読み返しても尊い以外の言葉が見つかりません。主眼のジンクスのシーンで無事逆巻の恋心も芽生え、最初に「文化祭行きたい…!」だけで案を出した時にはこんな幸せ詰め合わせみたいなイベントになるとは思ってもみませんでした。また追加料金が発生しそうなエプロン姿や、ひな季ちゃんのためにあるようなアンティークドール姿、ファンの夢そのものなメイド服、今回イベにぴったり且つ神さまというか妖精さんみたいなゆめかわいいキューピッド衣装など新衣装も盛りだくさんで、加えて語尾「にゃん」だったり「ご主人様担当」だったりのファンサもいただき、ペンライトが光りっぱなしの回でもありました…。 )
( / 熱量をひしひし感じられる感想に、心がむぎゅむぎゅ嬉しくなりました…っ。約一年半の時を経て漸くここまできたかという感じですもんね。いつかも言ったかと思いますが、恋心が育まれるまでの描写は大好きながら、こんなにもじっくり楽しく味わえたことはないので本当に改めてこのご縁に感謝しております…そしてすぐひながあまりにも尊い…。
ええ、帰宅後もひなちゃん呼びなの可愛いです…ひな季もきゅんとしてるに違いないです。同じ猫スタンプを購入する勢いなのも尊みで溢れています…!ジンクスの相手詮索、ねねぽんにはバレバレなのに思い出して恥ずかしくなって内緒って言って誤魔化してそうです。ねねぽん以外のメンバー、あちとさや姉は違う学校ぽいな~というイメージをなんとなく抱いています。
〝無意識に好き〟感めちゃくちゃ良かったです…やっぱり癖…。クレープのやり返しができて楽しかったですし、反応だとかも可愛らしくて願望を叶えていただきありがとうございました…!逆巻さんが纏っている独特の緩さと繊細さとミステリアス感が本当にツボだなあと再認識しつつ、仲良し度チェックでは新たな情報を得られて、点数は微妙ながら間違いなく仲良しのやり取りができて楽しかったです。好きな食べ物にハンバーグが挙がりひな季の存在が影響を与えてることの実感とか、点数気にしてるひな季にこっちを見てた方が良いと目を合わせてくれるのとか…とてもきゅんときました…!着せ替え写真館では待望の学生服もさることながら、実は軍服姿を見たい下心もあったので、ラストにチョイスしていただいてとっても感謝でした……しかも白の軍服だなんて最強すぎる…。
ミスコンでは絡まれる逆巻さんを見れて満足でした…!ファンサの反応と塩対応のギャップを噛み締めているところに、やきもちシーンを見られて会場並みに非常に盛り上がりました…!久しぶりの相馬くん登場回でしたが相馬くん、衝撃だったろうな…()と思いつつ、鐘の音…鳴りましたか…!とによによきゅんきゅんなジンクスシーンでした。香水は例のミラーハリスのティートニック…?以前にどんな匂いなんだろうとお試しサイズを取り寄せしていたので、香りを思い出しながらなんて盛大にオタクしてました()推し活ありがとう…。
本当に供給盛りだくさんな文化祭イベでした、改めてありがとうございました…*
省略して書こうと思いつつ長くなってしまいましたが上記蹴り可です◎
この勢いのまま、次なる本編イベントの匂わせ写真事件後日談に参りますか…? )
(/ そもそもの主題がこの部分だったためにある程度引き伸ばそうと画策したとはいえ、ここまでキャラクターの心情変化に寄り添って描写できたのは本当に貴重な体験でした…。おかげで逆巻が若干倫理を超えてひな季ちゃんに惹かれているのも、個人的には何ら違和感なく。背後はとっくにひな季ちゃんを大好きになっていたので今まで逆巻を抑える方がむしろ大変だった程ですが、この進展速度にも関わらず飽きることなく続けてこれたのはお相手が背後様だったからこそだと思っております。膨大なレス数に反して、起こったことがひな季ちゃんが恋に落ち、逆巻も恋に落ちた、に要約できてしまうことが一周回って面白くなってきたところで、今後とも末永くよろしくお願い致します()
私も〝無意識に好き〟感出すのめちゃくちゃ楽しかったです~…!いちいちはわはわしてくれるひな季ちゃんが愛おしくて、でもいざって時には逆にちょっと自信なくなっちゃうのも等身大の高校生っぽくて甘酸っぱくて、それから逆巻の発言で再来世の転生先まで決定しちゃう一途さも、ジェラシーで祝福の授け先がほっぺたになっちゃった直情さも、全部全部可愛いが過ぎました…。イベントを通してず~っと愛を伝えられていたような感覚で、幸せのタイパが試運転形式の交流に引けを取らない、とんでもない回だったなと改めて実感しております。ちなみに軍服は此方も着せたいなと思っておりまして…えへ、またもや以心伝心ですね。揃いの軍服も考えましたが、逆巻セレクトだとメイド服になってしまったので、あの形に。直前まで執事服か貴族っぽい服かの予定でしたが、執事だとシチュが浮かばないし貴族っぽいのはヴァンパイアで着たし…と悩んでいたところ、第三の選択肢として不意に閃きまして。白か黒かでもまただいぶ悩みましたが、気に入っていただけて熟考した甲斐がありました…!
鐘の音は絶対に鳴らそうとジンクスシーンが爆誕した頃から目論んでいたので、細かなネタにも気が付いていただけて嬉しいです…!最後の場面は二人の緊張感がひしひしと伝わってくるのも良かったですし、手を〝そこじゃないよ〟ってされるのもなんかすごいぐっと来たし、「です。…でした」の喋り方にもきゅんとしました…。また香水の具体的な品名まで当てられたことと、試していただいていたこと、今回イベで何気に一番の驚きかもしれないです。なんで?すごい…。
ということで可能な限り割愛したつもりが全く短くなっておりませんが、上下とも全文蹴り可です◎
そうですね、大丈夫そうならこのまま第二部駆け抜けたいなと…!開始ロルはこちらからお出しするので、少々お待ちくださいませ。 )
( タイムラインを流れるアイドルの自撮り写真に思わずスクロールの指を止め、そっとタップして拡大した後、本日何度目か分からない溜め息を吐く。ユーザーネーム〝春名〟からダイレクトメッセージが届いたのは、そんな悩める午後の昼下がりで。彼女とは此方から頼んでメイクをさせてもらったあの一件以降、これまで通りにsns上での交流は続けつつも、実際に会おうという話が持ち上がったことはなく。時折目にする投稿で自分磨きに情熱を注いでいるらしいことは把握していたが、それが本人の中である程度の水準に達した時、再び顔を合わせることになるのだろうというのも確かな予感として理解していて。『大事な話があるから、できたら近いうちに会いたいです』通知を開くと、遂に届いた用件は案の定。しかし、付け足された立会人は予想外で。『水瀬ひなちゃんも一緒に』よりにもよって今最も顔を合わせづらい相手を指定されて、承諾の返事をしようと伸ばした人差し指が中空で停止する。なぜ交際の申し込みの場に第三者が必要なのかは分からないが、そんなことを訊くわけにもいかないし、誘い自体を断ってしまうのもこれまでの努力を陰ながら見守ってきた者として忍びなく。『相馬くんも一緒でいいですか』結果、己の心の安寧のため永瀬ひな季親衛隊長の彼も引っ張り出し、数日後にいつかのカフェに再集合することとなって )
( まさかこの四人で再び顔を合わせることになるとは。カフェの一席に着座した面々を眺めながら思い出すのは、数日前の彼からのLINE。お誘いが届いたかと思えばその実はお呼び出しで、デートかと思いほんの一瞬のぬか喜びを味わうこととなった後に湧いたのは疑問。なんで四人で…?と思いながらもプライベートで彼に会えるのは嬉しいので、裾のアシメフリルがお気に入りなココア色の千鳥柄シャツワンピースに白のフェザーロングカーディガンを合わせ、足元は茶色のショートエンジニアブーツに赤ソックスをくしゅくしゅとさせ、髪型はハーフアップに白色リボン。春名さんもおしゃれしてくるだろうからと負けじとおめかししてみたけれど、久しぶりに会う彼女は少し髪も伸び、以前よりずっと柔らかな印象を与え多幸感が似合う女性になっていて、しかし撫子色の頬や桃色の唇は少し緊張で引き締まっているようで。再会の挨拶もそこそこに今の彼女の姿を、はえ…とついまじまじと眺めてしまいながらぽつりと呟き )
春名さん…ほんとに変わられましたね…。
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( / お言葉に甘えて割愛してますが、例に漏れず嬉しくて何度もによによ復読して浸っておりました…。
それにしても、ひな季が恋に落ちて逆巻さんも恋に落ちたで要約できちゃうの、ほんとにそうで笑っちゃいました() 恒例の以心伝心にも嬉しくなり、逆巻さんの返しも「ます。…ました」だったのも心掴まれました。ちなみに香水に関しては、結構前にお部屋で見かけたので存じ上げておりました(こそ)
私も背後様だったからこそ、飽きずに楽しくやって来られたと思っております。改めて素敵なご縁を繋げていただいて感謝するとともに、こちらこそ末永くよろしくお願い申し上げます!第二部も駆け抜けていきましょう~!
そして席位置なのですが、すぐひなが付き合っていると勘違いしている相馬くんが気を利かせて二人を隣同士にしてくれそうな気もしつつ、心の安寧のために逆巻さんが相馬くんを隣に置くのかなとも思いまして描写しておりません。お好きな場所にそれぞれ配置していただけますと幸いです…! / 蹴り推奨◎ )
…──相馬くん。こっち。
( グレーのコーデュロイショートシャツと同色同素材のストレートパンツ、その上にアイボリーのスエードノーカラージャケット、靴は黒のUチップシューズを合わせ、時間より少し早めに例のカフェへ入ると、そこには既に自分達を呼び出したボブカットの女性の姿があって。テーブル席の椅子側を彼女が確保していたため、用件の相手であろう己は向かいの二人掛けソファへと着席する。それから数分もしないうち、護衛対象と一緒に来てくれと頼んでおいた親衛隊長とアイドルの二人が到着しては、彼らが近くに来るなり青年の腕を引いて隣に座らせ、ゆえに少女は自動的に全員の横顔が見える位置にある幅広のダイニングチェアに腰掛けることになるだろうか。「そ、そうかな。自分なりに色々頑張ったから、そう言ってもらえると嬉しい」全員が腰を落ち着けて、少し。再会早々垢抜けた姿に言及された向かい側の銀行員は雰囲気と同時に物腰まで柔らかくなったのか、はにかむように謙虚に答えつつも、その中に努力に裏打ちされた自信をほんのりと滲ませていて。「…どう、かな」不意に此方を振り返った瞳が問わんとすることは短くとも明白で、ソフトピンクのショート丈ケーブルニットやローズグレーのチュールスカート、チョコレートブラウンでまとめたリブ切り替えのショートブーツところんとしたフォルムのショルダーバッグを一通り見遣ってから「…ん、努力したの分かります。全部よく似合ってる」と正直な感想を。喜んでいるというよりはほっとして気が抜けているような、笑みにも満たない笑みの隣、もし斜め前の位置からも眼差しが注がれるようなら、「水瀬さんもいつも通り可愛いすよ」とは言うものの、視線はふよふよと避けるように頼りなくメニュー表へと着地して。ややあって出された「とりあえず何か頼もうか」の助け舟で、自分はシナモンシュガーコーヒーを頼み、提案者はハニーミルクを頼むことにしたらしく )
…、ありがとうございます…。
( 彼女はメイクの魔法だけでなく恋の魔法にも掛かっているのだろう、謙虚にはにかむ彼女の姿は以前のようなちくちくとした気配はなく、あたたかな春を感じて可愛らしい。ほっ…としたようで、けれど同時に逆巻さんが彼女に惹かれてしまうのではとの憂慮も持ち合わせていて。努力してる人のことは多分、誰だってそうだろうけれど好ましく思うはず。彼女に静かに賛辞を送る彼の様子をじ…と見ていれば、それに彼が気付きこちらのことも褒めてくれるけれど、なんだかついでのような気がしたり、いつものようにしっかり目が合わないのも気になったりして100%の喜びには至らず、もにょりとお礼を返し。そもそもなぜ呼ばれたのかも分からず、なんとも言えない空気感のなか、絶妙にサイズの合っていない丈感の深緑色のパーカーとブルーデニム、3ラインのスニーカーに身を包んだ相馬くんは、なぜか逆巻さんの隣に座らされていることに〝??〟とますます状況が分からない様子でコンタクトの瞳をおろおろと動かし。普段逆巻さんのsnsのネトストをしているだけあって美容に少し興味を持ち始めたのか、前に比べてずっと綺麗になった頬を相馬くんはぽりぽりと掻いて。そこへ助け舟にほっと3人が乗っかってはショコラティーラテを、相馬くんは少し迷った後に彼と同じ飲み物を頼み。憧れる人の隣に座らされていることで緊張しきりな相馬くんは、猫背のまま直視できないようでちらちらと彼を盗み見ながら『さ、逆巻さん…もいつもおしゃれですよね、いいな…』ぽそぽそと羨望を漏らしたなら、飲み物が到着するまで相馬くんが似合いそうな服についてちょっとだけ談義が行われるだろうか )
( アドバイザー3名による服の見立ては、やがて己が彼へ数点のアイテムを譲り渡すことに話が決まり、テーブルに湯気の立つ4つのカップが運ばれて来るまで続き。必死にスマホへメモを取る青年の隣で同じシナモンシュガーコーヒーをそれぞれの正面まで引き寄せると、熱さに怯んで印ばかり啜ってから、思いのほか興が乗ったのかファッション談義は今少しの延長。ただ対面の呼び出し人だけは他の何かに気を取られるように次第に口数が減ってゆき、反対にハニーミルクには頻繁に口をつけるようになって。いよいよ誰よりも早くその中身が無くなった時、静かに両腕を下ろした彼女はひとつ息を吐いて「…──あの、今日は、逆巻さんに伝えたいことがあって。それをひなちゃんにも聞いてほしくて」と容れ物の底を見つめながら本題を切り出す。水を打ったようにぴたりと止んだ議論の代わりに一拍置いて「はい」と答えれば、軽く居住まいを正して眼差しにも些かの緊張を帯びさせ。「実はあたし、逆巻さんのことが、好き──…でしたっ…」そうして顔を上げ、瞳も言葉も真っ直ぐに告げられたのは、覚悟していたものとは別角度の過去形での告白。元より受け入れるつもりはなかったものの、これにはどう反応すべきかと返事に窮する此方の姿に、困惑を読み取った相手は慌てて事情を語りだして。元々この日の告白のために自分磨きを始めたこと、けれど最近になって職場の男性からアプローチを受けるようになって気持ちが傾きだしたこと、今日は見込みのない過去の恋をきちんと終わらせるために呼び出したこと、そしてその勇気はあの日の体験と水瀬ひなの一言から貰ったこと。「だから、好きだったって、楽しかったって、…たぶん、幸せだったって──…伝えたかった、だけ」一人で喋り続けたことが唐突に恥ずかしくなったのか、尻すぼみにそう結んだ表情は、しかし達成感と安堵感に満ちていて。「ありがとう。…お幸せに」自身から伝えたいことは上手くまとめられそうになかったので簡素な礼と祝福に込め、そっと緩めた目許をもって送り出す。そんな冬の足音も忘れるような暖かなムードの中、「うん、逆巻さんもきっと!」と晴れやかに祝福が返されては、この時ばかりは意識から外れていた〝叶う恋〟でも〝叶わない恋〟でもない〝叶えてはならない恋〟の問題が現実として襲い掛かり、「ん……、うん……」と曖昧な声音を洩らす始末となって )
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(/ 今回もばか長くてすみません…。春名さんは半分くらい背中押してほしくて来てるはずなので、この後は緊張から解き放たれた勢いでひな季ちゃんと女子トークを繰り広げていただけると幸いです…!それが済んだら多分全員分の会計持って帰るので、その際に何か小物を忘れててひな季ちゃんが届けに追い掛けて行く→ひな季ちゃんの離席中に相馬くんの浮気ダメ発言かなという計画になってます。わりとすぐ終わっちゃいそうなので、入れたいやりとりだったり変更したい点があればご遠慮なく…!特になければ蹴り推奨です◎ )
( 談義の間に私物を譲ってもらえることになった相馬くんの『いいんですか!?』と「いいなーっ」との自身の声が被る。そもそも彼の隣に座っているのも羨ましく、気分が昂ったせいで暑くなったのか手団扇する相馬くんだけれど、羨んでじとーっと見つめるこちらの眼差しでなんだか涼しくなったらしくそっと手を下ろしていれば、話題を切り出した彼女へと今度は視線を移し。この雰囲気は告白だけれど、何もわたしも一緒じゃなくても…!とつい身構えるように膝の上に拳を乗せつつ、視線だけその二人へと彷徨わせ固唾を飲んで見守っていれば、彼女の桃色の唇が開かれるとその内容はやっぱり告白で、きゅっと心臓が縮む思いがするけれど〝でした〟との過去形にぱちりと双眸を瞬かせながら彼女を見つめて。それから慌てて事情を語り出した彼女は想いをきちんとひとつひとつ言葉にし、それにいつしか真剣に耳を傾けて、やがて柔らかく晴れやかな表情を浮かべるのを目の当たりにすると、自身もまたほっ…と小さく安堵の息を吐き。わたしならそうする、と道を示したのは自分だったけれど、いざライバルが堂々告白するとなるとこんなにヒヤヒヤするなんて。でも自分の言葉で、自分を変えたい人の背中を押すことができたのならちょっと嬉しいし、彼のメイクは自信を持たせてくれる力があってやっぱりすごいなあなんて、誇らしく嬉しい気持ちになっては自然と表情が緩んで。「春名さん、ほんとにすごく可愛くなったから、傑さん取られちゃうかと思ってどきどきしちゃいました」本当にちょっと冷や汗をかいたことを眉尻を垂らしながら笑って伝えては、「え、ちなみに気になってる人ってどんな人ですか、傑さんに似てる?」と安堵から始まるのは女子トーク。彼女の方へと少し身を乗り出しながら瞳を煌めかせては『全然似てないかな、もっと明るくてよく喋る人─…でも優しくて、一緒に居ると居心地が良いとことかは一緒かも』ふふ、と彼女は表情を和らげて。メンズたちを置いて何往復かそんなやり取りをしたなら彼女のスマホの通知が鳴り『…あ、あたしそろそろ出なきゃ。今日は本当にありがとう、…それじゃ』画面を確認した彼女が席を立つと、ここは出させてとアクリル筒から伝票を取っては、すっかりふっ切れたような明るい笑みでその場を後にし。真っ直ぐな自信を取り戻した背中に手を振って見送り、話に夢中になってすっかりぬるくなったショコラティーラテの残りを啜りながら〝ほんとにすごく可愛くなってたなあ〟なんて余韻に浸りつつ、彼女が座っていた椅子をちらり見遣ってはリップの忘れ物を見つけ。直後に退店のベル音が聞こえては、彼女を見失う前に届けなくてはと慌てて立ち上がり、リップを椅子から拾い上げると彼女の元へと届けに向かって )
帰り気を付けてくださいね!──…あれ、春名さん忘れ物してる!わたしちょっと届けてきますねっ。
あ──…お願いします。
( ここ最近トレンド急上昇の悩み事に行き当たって場も弁えず悶々とする折、目の前では対照的にきゃっきゃと女子トークに花が咲くも、自身はずっと上の空で。隣のもう一人のメンズもまた呼び出し人の告白によって初めて隠されていた好意を知った上、アイドルから飛び出した『傑さん取られちゃうかも』というさも共通認識かのような言葉のオープンさに混乱を極めて、華やかな二人の輪からは外れたまま。そんな蚊帳の外の構図が崩れたのは集まりの目的を果たした彼女が席を立った瞬間で、気前良く全員分の会計を持って出てゆく上機嫌な表情へ思い思いの挨拶を掛けては、淡いピンクの背姿を見送る。数十秒後、置き去られたリップを届けるべく今度は雛鳥のようなふわふわの白が同じ動線を辿ってゆくと、離席の報告へ託すように応えたのを最後に、テーブル席には久方振りの沈黙が訪れ。特に語ることもないため大人しく帰還を待ってから自身も店を出ようかと思案するけれど、青年の方はまるきり逆のことを考えていたらしく、他者の居ない今が好機とばかりに決意の面持ちで此方を振り返って。「…逆巻さん。浮気は、ダメですよ」何の脈絡もなく突然促された忠告に、意図はよく分からないものの内容は賛同するところではあるので「はあ…」と気の抜けた肯定を返す。ところが煮え切らない態度が逆鱗に触れたのか、隣からずいっと身を乗り出してきて「絶対ダメですからね…!」と強い口調で迫られれば、傍からは不義理を働きそうに見えるのだろうかと「や、しないし──」と明確に猜疑への否定を。その弾みで今し方の宣誓を最も聞かせたかった少女の顔がちらつき、怒った肩越しに目線が着地したのはショコラティーラテの置かれた席。ほろりと静かに零れた呟きには抱えきれなかった遣る瀬無さが滲むようで、親衛隊長は「それを聞いて安心しました」と満悦の笑みを浮かべるものの、当事者から実際の関係を知らされた暁には一気に事情通となってしまうことだろう )
…絶対大事にするのに。
ただいま~、無事届けてきました!すぐ気付けてよかったあ──…ね、この後どうしますか?
( 彼女がお店を出てから間もなくのことだったから、すぐに後ろ姿を見つけることができて「春名さん、忘れ物ー!」と声を掛けながら駆け寄って、無事に彼女の元にリップが渡り八重歯覗かせながら安堵の笑みを浮かべると、『あっ本当だ、ありがとう!助かる~…、…。』白のシャギーカーディガンも相俟ってポメラニアンを想像した彼女が、ふふ、と双眸緩め。口元を笑んだまま双眸をきょとんと瞬かせていれば『ほら、早く戻らないと。二人が心配するでしょう』ぽん、と頭を撫でながら戻るよう促されると、「はい、…またねっ、春名さん」と、はにかみながら手を振って彼女と別れ。その足でまっすぐカフェに戻ってくると、荷物を置いた席へと再び腰を掛けながら晴れやかに任務報告を伝え。空になったカップたちを視認すると、この後予定がなければと二人──主に彼の方を見ながら伺いを立てるけれど、相馬くんが急にばっと素早く立ち上がり、それに驚いて相馬くんのことをぽかん…と見上げて。『俺はこのへんで、失礼します!二人の邪魔しちゃ悪いし…。永瀬さんはまた学校で!逆巻さんも、また連絡します!』と、気を利かせた相馬くんはその場でぺこっと深々頭を下げれば、じゃ!とそのまま足早にカフェを出て行き、双眸ぱちぱちと瞬かせつつ小さく手を振りその姿を見送れば。ついには二人きりになり、カフェの出入り口から彼へ視線を戻すとテーブルに頬杖をつき、ほんのり頬を染め小首を傾げながらデートのお誘いを口にして )
う、うん…また学校で──……行っちゃった。…、えへへ、二人きりになりましたね。デートでも行きませんか?
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( / 相馬くんの外見変化を入れることができたり、ちょっとずつ垢抜けていく流れができて満足したので次で〆させていただきますね…!デートはもちろん断っていただいて大丈夫です◎ )
…悪いけど、今日は俺もこれで帰ります。寝不足なんで。
( 浮気によって深く傷付けられた経験でもあるのか、何かに駆り立てられるように倫理を説いた青年は、少女が届け物の任務を終えて戻ってくるなり入れ替わりで機敏に席を立ち。急に忙しなく去ってゆく深緑は嵐が過ぎ去るようで、呆気に取られて「何だったんだ…」と口に出せばその思いは一層強まって。しかしそれより気掛かりなのは彼女と二人取り残されてしまったこと。知らぬ間に芽生えていた恋心を自覚してからというもの、態度を決め切れずに今日を迎えてしまっていて。いつもの調子で軽やかに持ち掛けられるデートの誘いにも、応じるわけでもなければ断る声音に常の切れ味もなく、言い訳じみた理由を引っ張ってきて逃げの一手に出ては噛み殺した欠伸で瞳を潤ませ。とはいえ自分まで功労者を置いて帰るわけにはいかないので、相手のカップが空になるまで待ってから共に店を出ると、有無を言わさぬ現地解散の雰囲気で別れの挨拶を )
それじゃあ、ここで。水瀬さんも暗くなる前に帰って。
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(/ 次で〆、承知致しました!此方も回収させていただいております◎ )
えっ。それは帰って寝ないとですね…!
( 悪いけどと続く言葉にそれは大変!と瞳を丸くしては、夜遅くまで映画でも観てたのだろうか、メイクの研究だろうかと考える。普段よりも少し切れ味の悪い断りに、それとも何か悩みごとなのだろうかと様々な要因を考えつつも言及はせず、できるだけ早く帰れるように唇に付けたカップを傾けてはショコラティーラテの残りを飲み干していく。自分一人を置いていかず、律儀に待機してくれた彼にお店を出てから「飲み終わるの待っててくれてありがとうございました」と礼を告げ、そのまま現地解散を告げられると大人しく頷き受け入れて。彼から言い聞かせられたように自身もまた言い伝えては、にぱ、と無邪気に笑ってその場で解散を。──それからその足で赴いたのは雑貨屋さん。快眠の手助けになるようなものでもあれば、と棚の間を縫うように探していれば一輪の薔薇の入浴剤が目に付き。花びらを一枚一枚はなしていくタイプで楽しむことができて、サンプルの香りを嗅いでみればキツくなく、アロマ感覚でリラックスして眠れそうで。箱に入った入浴剤を手に取りラッピング袋付きで会計を済ませたなら、早く渡したいな、と口の中で呟いては言いつけ通り暗くなる前に帰宅するだろう )
はーい。傑さんも気を付けて帰って、それからしっかり寝てくださいね!それじゃあ、またお仕事で!
( ──その後日、学校で一人でいたところに相馬くんがこそこそと周りの目を気にしつつ呼び掛けてきて。彼のsnsに特に出掛けたような投稿がなかったからか、あの後どこへ出掛けたのか問われると「あ、あの日はね。傑さん寝不足だったらしくてそのままカフェで解散したんだあ」と心配と少し残念さを帯びた表情を浮かべ。それから質の良い睡眠が取れるよう入浴剤を買ったことを伝えては、それを健気に感じた相馬くんは頷きながら『こんな可愛くて優しい彼女がいたら叶わないよね、春名さんも』「彼女…ってわたしのこと?わたしたち、付き合ってないけど…」と双眸をきょとんと瞬かせながらほんのり頬を色付かせ。もちろんそうなれたら嬉しいのだけど。もじもじ視線を逸らしていれば『えっ…?』と相馬くんは一音発したきり固まってしまい、その背後には思考の宇宙が広がるだろうか )
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( / 回収ありがとうございます、〆させていただきました◎
プライベートを垣間見える描写が好きだなあと改めて思ったり、変化した心理描写になんというか感慨深さを感じたりと、今回イベは短めでしたが満足度が高かったです。浮気しないことを聞かせたかったって…逆巻さん…!と机ばんばんしたくなっておりました() そして相変わらずおしゃれ…相馬くんは譲り受けた逆巻さんのアイテムを着こなすことができるのでしょうか。というかどんどん仲良しになっていってますね。春名さんも努力したぶんちゃんと報われてきていて、すぐひなだけでなく周りの変化を感じられる回で満足するものとなりました、ありがとうございます* )
(/ 匂わせ写真事件後日談、そして第二部完走、ありがとうございました…!〆ロルも第三部への完璧な引きで、改めて伏線を散りばめるのがお上手だなと感服です…。
今回イベは部を跨がずに春名さんの件に決着をつけておこう、という回だったので短い上にあまりすぐひなメインではありませんでしたが、関係なく楽しんでいただけたようで安心致しました。私もひな季ちゃんのことで頭がいっぱいになってる逆巻を描けて満足度高めでした* そして二人の今後は勿論のこと、逆巻の秘密と服を一日にして手にした相馬くんの動向とファッションもこれから要チェックですね。…と、色々な事情が重なってメンズが何だか仲良くしてましたが、ひな季ちゃんと春名さんも女子トークを通じて相当打ち解けた様子で、すぐひなが微妙な時期な分そっちで平和を回収してました。ただ頭ぽんってしたのだけはまだ許してないです( 親衛隊 )あとめちゃくちゃ余談ですが、今回のおめかししたひな季ちゃん、いつも可愛いけど遊園地デートの時の若さ大爆発ファッションと並ぶくらい背後のタイプでした…。いつも以上に雑駁としてしまっていますが、上記全文蹴り可です◎
さて次は、本編第三部に進むか保留にしていた臆病な少女幽霊に移るか、はたまたその他か、いかが致しましょうか? )
( / いえいえそんな、伏線はもちろん描写の纏め方もファッションコーデにおいても、背後様の足元にも及びませんので…!でも褒めていただいていつも嬉しいです、ありがとうございます…* 親衛隊にご新規様が増えたところで()、お言葉に甘えて割愛させていただき次ですが、臆病な少女幽霊を挟んでおくと良い感じにクリスマスイベのリアタイができそうな気もするので、臆病な少女幽霊でもよろしいでしょうか?無理にリアタイでなくても構わないのですが、折角ならという気持ちも半分ありまして…。その他の小話でももちろん歓迎です◎ )
(/ 実は私もここで小話挟んだらクリスマスリアタイできるな…と考えておりました。ということで臆病な少女幽霊、全く異存ございません◎ 形式は試運転形式かロル形式か、どちらに致しましょうか? また逆巻は神社を護ってる稲荷狐や、どこかの神社か祠かで祀られてる白狐や、力と正体を隠した野良の九尾の狐…いずれも人の姿に化けた狐の妖を考えていますが、こんな設定だと嬉しいといった要素は何かありますか? )
( / もはや常となっている以心伝心ですね* いつも通り試運転形式がいいかなと考えておりました。そして狐の妖さん、ぴったりすぎて既にうきうきしています…!ではでは挙げていただいた中の、稲荷狐か白狐でお願いできますでしょうか?(※決めきれませんでした!)
生前のひな季が神社に初詣のお参りだとか、願掛けだとか、受験の時にもお参りしに行ったことがあるだとかで、ゆかりのある神社にいる狐さんだと嬉しいです。幽霊になって誰にも気付いてもらえず、でも周りの幽霊も意思疎通できなそうなのが多いし怖いしでめそめそしながら神社に辿り着いたひな季を、なんか見たことある子だなと認知している逆巻さんに発見されたいです…!あと油断とかびっくりした時に、もふりと尻尾だとか耳が現れる設定とかも非常に大好きなので、もしよろしければ…!
その他に背後様が入れたい設定などございましたら何なりとお伝えください◎ )
(/ やっぱり相性ってあるんだなって、背後様とお話しているとつくづく思います…* それでは進め方は試運転形式で、逆巻は稲荷狐を務めさせていただきますね。ご提案いただいた二人の関係性と霊体での初対面のきっかけもとても納得感があって…、是非乗っからせてください!追加でひな季ちゃんが元々『善悪問わず人ならざる者に好かれやすい』みたいな設定があると、お参りに来る度に狐が悪霊や悪運だけを追い払っていたとか、稲荷の神様にも贔屓にされていたとかで、たくさん居るであろう参拝客の中で特にひな季ちゃんを覚えていた理由にもなるかなと(人ではないので神秘パワーで全員漏れなく覚えていたでも全然良いのですが…!)。油断すると尻尾が出てきちゃう、びっくりするとぴょこっと耳が見えちゃう、の設定も喜んで取り入れさせていただきますね…! )
( / えへへ、そう仰っていただけて嬉しいです…!本当にこれ以上のご縁はないと思っておりますし、n回目ではありますがこれからも末永くよろしくお願い致します*
わあい、よかったです!追加の設定もめちゃくちゃ好みなので、ぜひぜひ取り入れさせてくださいませ…ツボが似通っているの本当に助かります、ありがとうございます…。耳と尻尾の設定のご快諾もありがとうございます!
こちらから開始ロルを出させていただきました。その他特に設定相談などなければ全文蹴り可です◎ ちなみに物語中に触れるかは不明ですが、ひな季の死因は無難に交通事故で頭の打ちどころが悪かったとかにしようかなと…。それでは今回の小話もよろしくお願いします* )
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うう、なんでみんな無視するの…?誰もわたしの声、聞こえないみたい…。( 透き通る足でふよ、と辿り着いたのは幼い頃から多々訪れる神社 / 次第に雨も降り出す中、お賽銭裏の階段に腰を下ろし膝を抱えながら項垂れめそめそ / いつから着いてきていたのか、どよんと黒い悪霊がこちらに手を伸ばそうと )
( 膝を抱えて悲嘆する霊の前に、つ、と降り立てば / 人の姿に扮した白い狩衣姿の男性がそこに / 目元は朱色の布面で覆っていて / 少女に近付こうとする悪霊を手に持った扇の一振りで追い払い / 声を掛けると共に事務的な説明を )──迷い子。残念ながら今ここに神様はいません。神無月の期間なので。
──…?( 一瞬吹いた風と掛かる声に俯いていた顔を上げ、きょとん / 一度背後を振り返り、誰もいないことを確認してから視線を戻しては / 自身を指差しながら問い掛け )わ、わたしに話しかけてます…?
…、そうだけど…──!( 思わぬ問いに生じる須臾の間 / 当然だとでも言うように答えるも、月明かりに照らされたその顔には見覚えがあって / 小さく息を呑むと、彼女が霊体になってしまった事実に少なからず動揺した様子でぽつり )どうして、此処に……。
よかった~っ、口聞いてくれる人いた!( ひーんっ / 助かった!と明るい安堵の声ながら今度は嬉し涙 / たた、と数段の階段を降りて彼のそばで、拳を握り縦に振りながら訴え )聞いてくださいよ、みんなわたしのこと無視するんですよ!家族も友達も、近所のおばさんも知らない人も…みんな、わたしのこと、見えてないみたい…。( 彼の動揺には気が付かぬまま、ぺらぺらと喋っていけば / やっぱり変 / 不安な気持ちが押し寄せ、眉尻を垂らし / 彼の出立ちを改めて眺めてみると、そっと問い掛け )…あなたは、神主さんかなにか…?
や、それは──……( 実際見えていないのだから仕方ないだろう、と言いかけて既の所で止め / 自分の状態に気付いていない? / 一瞬過った〝真実を知れば成仏してしまうかもしれない〟という考えは思いのほか自身を惑わせ / 今少しの猶予を得るべく、結局「大変だったすね」と控えめに続けて / そして不意に此方へと向いた関心へは二秒程の沈黙の後、限りなくふわっとした回答を )…の、見習い…みたいな感じ…。
そうなんですよ、も~…。みんな暗い顔してるし、なんかわたし怖くなっちゃって…悪い夢でも見てるのかな。( はふりと悩める吐息を溢しつつ、何気なく後頭部を触り / 声掛けたの人の中には同類がいたりいなかったり / 反芻しながら双眸をぱちり瞬くと、疑うことなくにこやかに声援を送り / 久しぶりに誰かと話せるのが嬉しくて、ぺらぺら話続け )見習い。へえ…立派な神主さんになれるといいですね!ていうかそれって前見えてるんですか?もう夜だしそんなの付けてたら危ないんじゃ…。あれ、夜?( 不思議な時間の感覚に、きょとん / そもそも今日は何日? / 靄が掛かったみたいに上手く思い出せずに )
夢ならいつか醒めるし、此処にいる限りは安全だから、安心していいよ。…まぁ、霊はちらほら来るけど。( 子どもを寝かしつけるような口調で告げると / 頭の上に手を置き、不安感が少しでもなくなるよう念じて / その時、ぼんやりとした霊の影がふっと横を通り本殿の方へ / しかし最初に少女へしたのと同じ説明をすればすうと薄くなって )…眉間、鼻先、唇。( 言いながら、相手の顔の一部分へ的確に人差し指を置いてゆき / それだけで証明は完了したとばかりに続く語はなく / 違和感の追求を妨げる気はないため、疑問には敢えて何も答えぬまま )
それもそっかあ…──え、霊?( 彼の言葉はなぜだかとても腑に落ちて、表情和らぐけれど / 続く言葉にきょとん / 横を過ぎていく霊の影にぴしっと固まり、更にはそれが薄くなり消えてしまえば表情さあぁと青ざめ / 「っ!!?」と声にならない声を上げながら、彼に縋るように狩衣をぎゅっと握ろうか / 口をはくはくと動揺を露わにし〝消えましたけど!?〟 と 指差し彼とを交互に見て訴え )あ、ちゃんと見えてるんですね。こっちからは見習いさんの顔、全然わからないのに。( 意外そうに双眸ぱちり / 朱色の布面の下はどんな顔なんだろう / 上半身を傾げては、隙間から見えたりしないかななんて )
そりゃ霊だし、そういうこともあるでしょ。( 慌てふためく彼女とは対照的に、悠揚迫らぬ態度 / 視線での訴えには面の奥の目を合わせ、装束を掴まれることも厭わないけれど、心情には寄り添わず / 自身が現れる瞬間を見られなくて良かった、と思うと同時 / 霊が霊に怯える様は少し不思議な光景で「苦手なんすか?ああいうの」 )…ひな季さんも、修行したら見えるようになるかもね。( 側面からでも丁度目の端までを覆う朱色は、自然の風程度ではちらりとも揺れることなく / 覗き込もうとする相手へ、静かに緩ませた口元から戯れを )
ほ、ほんとに幽霊っているんだ…。( どきどきと鼓動が速まったまま、まだ少し信じがたい様子でぽつり / つい掴んでしまった装束に、はっと気付いては / 周りをきょろきょろ見て他に霊がいないのを確認し / そ、と装束から手を離しつつも近くから離れず「苦手です、ああいうの」 )修行で見えるようになるものなんですか、すごい…──?…わたし、自己紹介してました?( はえ、と感心の瞳向けながら鵜呑みにして / あれ / 数秒の間のあとに小首傾げ )
いるよ。幽霊も、幽霊以外も、色々。( 自分達の存在が認識された実感に、つい横から肯定と補足を / 不安げに辺りを見回す様子を微動だにせず暫しそのまま見守っては / 縋る手は離すものの傍に留まる相手へ、じっと朱の面を向け「…、俺のことも?」 )…え。あ、よく参拝に来てくれてたし、…その、よく来てくれてたし。話したことはなかったけど、一方的に知ってる。( 指摘されて初めて口を滑らせたことに気付き / 常連一本で乗り切ろうと / 伝わらないのが常だったので対応下手 / けれど内容は全て真実で )
いろいろ…。( そう聞いて視線を宙に逸らし思い浮かべるのは、都市伝説的なものや宇宙人とかで / こちらを見つめているような布面に気が付けば、視線を目の辺りに合わせ「へ?」 / きょとん / 人間じゃないってこと?と思うけれど半信半疑 / しかし先程頭に置かれた手からは悪いものは感じなくて / ゆる、と視線を彼の手のひらに落としては「…見習いさんは、大丈夫そう」とぽつり )へえ…?すごい、よく覚えてますね!えぇ、わたし全然気付かなかったです。見習いさん特徴的だから、近くにいたらすぐ気付きそうなのに。( 双眸ぱちぱち / 家族と来たこともあったし、名前を呼ばれてるのを聞いたのかも? / 絵馬に名前を書いたこともあり / 素直に納得しては瞳煌めかせ、彼の記憶力を称賛し )
うん。神様とか、悪霊とか、妖とか…あとは、そういうのが視える人間とか、そういうのに好かれやすい人間も。( 彼女の頭の中に何が浮かんでいるかなど露知らず、自分に身近な例を挙げてゆき / 最後を口にする際にはちらりと相手の方を窺って / 「…そう」反応は簡素ながら、声色には明らかな安堵が滲み / 不安から手を握りたいのかと視線の意図を誤解しては、体の正面に差し出して )…俺は、此処から出ないから。此処で起きた事だけ覚えてればいい。( 事なきを得ると身の強張りもふっと解け / それから境内を振り返りつつ零した言葉はどこか寂寞として / だからひな季さんの身に起きたことも知らない、と続くはずだった無力感は胸の内に秘めたまま )
えっ、好かれやすい人もいるんですか!?大変そう…──、見習いさんも、さっきの幽霊見て怖くなっちゃったんですか?( 小さく衝撃マークを浮かべては、まさか自分のことだなんて思わず / 眉尻を垂らして同情すると / 互いの間に差し出された手と彼を、不思議そうに交互に見つめては問い掛け / そ、と手のひらを重ねて柔和に微笑み「一人じゃないから、きっと大丈夫ですよ」 )ふうん…?( 引きこもりってやつ…?と微かに小首を傾げていれば / はっと夜であることを思い出し )あっ、今何時だろう!?あんまり遅いとみんな心配しちゃうかも、今日はわたし帰りますね!……、また来ても、いいですか?( あたふた / たた、と鳥居の方へと駆け出した足を止め、振り返っては / そっと窺うように尋ねて )
そのはず──…だけど、そうでもなさそうだな…。( 当事者である彼女が他人事のように呟くと / 微塵も心当たりの無さそうな顔に返答を翻し / 案外影響は生じないものなのだろうかと、下唇に緩く曲げた人差し指の第二関節を添えて )……ああ…、うん。大丈夫になった。( 数拍置いてやっと両者間の齟齬を理解し / 握られた手に印ばかり力を込めた後、相手が必要なさそうならそっと離すはずで )…、──…ん。朝でも昼でも夜でも、いつでもいいよ。( 生者の元へ向かおうとする背を咄嗟に引き留めようとするけれど、薄く開いた口は静かに閉じ / 代わりに仄かな微笑みを湛えて / その姿が暗闇に消えていったなら、自身も踵を返して狐の姿に戻るだろうか )
?…──それならよかったです!( 何やら考え込む様子に小首を傾げつつ / 彼も怖かったと信じてやまない無垢な瞳をふわりと和らげ / 多少あった恐怖の余韻は不思議と抜け、繋いだ手を互いにそっと離し )ありがとうございます!またね、見習いさんっ。( 時を問わない来訪の許可を得れば、ほっと嬉しそうに表情を綻ばせ / 手をぶんぶんと振って帰路に就き )
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( 相変わらず家族に声は届かずご飯の用意もないけれど、不思議とお腹は空かなくて / 自室のベッドでぼんやり天井を仰ぐうちに眠ったというか、意識を手放すような感覚で / ─…ふと響くおりんの音で、ぱちと双眸を開ければそこはベッドの上ではなく / 線香が焚かれた遺影の前で手を合わせる家族の姿 / あ、わたしのだ / それからはあんまり覚えていなくて、朝焼けの中で辿り着いたのはあの神社 / 正面に垂れる鈴緒の前でぼんやり、ぽつり )──…あ、いま神様っていないんだっけ…。
──神様なら、あと数日もすれば帰ってくるけど。( 昨夜と同様、何処からともなく背後に現れては参道から声を掛け / 精彩に欠ける様子から、自身の預かり知らぬところで何が起こったのかは想像に難くなく / 粛々と意思を問うて )…何か願い事?…、此処で待つ?
…、見習いさん。おはようございます、すごく早起きですね!( ふと掛けられる声に顔を向け、彼の姿を見つけると / へら、と笑みを浮かべ / それから朝焼けにきらきら透ける足先を向け、なんでもないような挨拶を )うん、願いごと。さすがに神様でも難しい内容だから待ってたって仕方ないんですけど、聞いてくれたらちょっと楽かもって思ったくらいで…、あ、神様にもわたしの声、聞こえるのかな。( こく、と小さく頷き肯定し / どの範囲まで自分の声が届くのか、首を傾げた方向に視線を落とし )
おはようございます。…俺、あれなんです、ショートスリーパー。( 相手に調子を合わせて応じるも、笑みを作ることはなく / 冗談とも本気ともつかない口振りで / 聞き齧っただけの単語を引き合いに出して辻褄合わせ )…だったら、いま神様は居ないけど、言ってみたら。神様の使者くらいは聞いてるかも。( 誰かが聞き届けることで楽になるなら、と / 使者とは無論自身のことだけれど、それは明かさずに / みだりに聞かれたくはないだろうと、入口の狐像の影まで戻るべく身を翻し )
…ふふ。その見た目でその単語が出てくるの、アンバランスでおもしろいですね。( 双眸を瞬いては、ふ、と小さく息を漏らすと / くすくす笑みの溢れる口元にゆるく握った手を添え )神様の使者?…そっか、〝いろいろ〟いますもんね。なるほど、──…使者さん、いますか。わたしの声、聞こえますか。( 昨晩のやり取りを思い出し納得したように呟けば / 気を遣ってか彼が身を翻し入り口の方へ向かったのを見ると、再び足先を本堂へ向け / 鈴緒を握り揺らし音を鳴らそうとするけれど、ただの霊の体では鳴らせずに / 少し気落ちし眉尻を垂らすもの、二礼二拍手ののちに声を掛け始め / 辺りは自分の声と、小鳥の囀りと木々の擦れる音が聞こえるだけで / すう、と息を吸うと )…──お母さんの作ったオムライスが食べたーーいっ!( やけに透る大声 / どうせ誰にも聞こえやしないから / 本命のお願いごとじゃないけれど、食べたいのも叶わないのも本当で / 「あとハンバーグとかカレーとか、グラタンとか卵焼きとかも食べたいです!」と続け様に更に欲を増やし )
…実はあまりよく分からずに使いました。( 不釣り合いとの指摘は的を射ていて、覚えたての言葉を使ったことにそわりと目線は斜め下 / ほんの少し声量を抑えて正直に白状 )──…えぇ…、本当に聞くだけのやつ…。いや、回顧体験くらいはできるか…?( 腕を組み狐像に背を預けていれば、離れた甲斐のない叫びに驚いてひょっこり獣耳が顔を出し / そしてなんか思ってたのと違う願い事の内容に困惑の声を洩らして / しかし如何ともし難い望みでも一応は何とか叶えようと思案を巡らせ、面の奥の眉根をきゅっと寄せようか )
ふふふ、短時間の睡眠で大丈夫な人のことです。( 布に隠れた目線はわからないけれど、正直者に柔らかに微笑んで / それから知識を彼へ )──…ああ、ちょっとすっきりした!すみません見習いさん、急に大声出しちゃ、って…。( 言葉を締めたあとに深々一礼して、上げた顔はちょっぴり晴れやかに笑みを広げ / そういえば彼には聞こえてるんだ / ぱ、と振り返り入り口付近の像の元にいる彼へ視線を定めれば / 双眸ぱち / 驚いて開いてしまう口に、手のひらを添えながら指差し )え、み、耳…?
6時間くらい?( 知識を素直に吸収して、更なる疑問に首傾げ / 狐の平均睡眠時間9~10時間と比較して当たりをつけたらしく )…、……──あ?( 一心に考え込むせいで飛び出たままの耳には気が付かず / 振り返った彼女の言葉で、顔を上げて間の抜けた声を発し / 腕を伸ばし、頭上の毛並みにそっと触れては / もう良いかと狐の姿に変化した後、ひと駆けして姿を消した次の瞬間には相手の目の前に / そこでまた人の姿に戻ると、先程まで身を預けていた狐像を指差して )…すみません。俺ほんとは神主見習いじゃなくて──…あれ、です。
6時間は…そうでもないような…?( こちらはもちろん人間の感覚で / 同じ方向に小首を傾げながら )──…わっ、…え、えーっ…!( 指摘の声を受け、彼が狐に変化したかと思えば瞬く間に消えたり目の前に現れたり / 瞳をまんまるにしてびっくり / そういえばここが稲荷神社だと気が付いて / 喫驚の瞳はすぐにきらきら )お狐さまだったんだ…!すごーいっ、人にもなれるんですね!待って、これこそ狐につままれるってやつでは…!?わたしとんでもなく貴重な体験してる気が…、ねえねえお狐さまっ、ちょっとだけ狐姿、触らせてくれませんか…!( 興奮しきりで / 本物の狐はなかなか触れるものではないから、ここぞとばかりに両手の指を組み合わせながらお願いを / ずずい )
…、そんなに寝ないのか…。( 一拍だけ衝撃を処理する空白の時間 / それからしみじみと呟いて )黙ってたのは悪いと思ってるけど…( 怒涛の勢いに気圧されて口を挟む暇もなく / ぽかん / 最後まで聞き終えてからやっと頭が回り始め、まずは正体を隠していたことへの詫びを表明するけれど / 生前も野生で暮らしていたため愛玩動物のような扱いには慣れておらず / 「使者ってそういうのじゃないから」と少し首を後ろに引いて当然のごとく拒否 )
3時間とかならショートスリーパーって感じがします!…でもそれは、人間の場合で。( 人差し指をぴっと立て主張 / あくまで人間の場合と念押し / 〝狐の睡眠時間ってどれくらいだろう〟と疑問に思う眼差しはじっと布面に注ぎ )申し訳なく思ってるなら、ぜひもふもふを…。だめですか?( ぜひこの胸に飛び込んで、と言わんばかりに両手を広げるけれど / 拒否の姿勢にしょんぼりと眉尻を垂らし / 腕を下ろしながら残念そうに本殿へ振り返り「未練が残って成仏できないなあ…」 / とぼとぼ…、また階段のとこにでも座ろうか )
じゃあ狐は4時間くらいか。( 念押しと視線を〝狐の場合は知らない〟の意と取って自力で推測 / というかそもそもショートスリーパーの狐っているのか? / 少し考えた後、「…まぁ、霊体の俺らには関係ないすね」と身も蓋もない投げ方をして )や、そんなことで──…( 成仏できなくなるわけがない、と続けようとするも、先程の願い事を思い出すとはたと言葉止め / あながちないとも言い切れない / あと神様にも文句を言われそう… / 仕方なく狐の姿に変化すれば、寄り添うように彼女の隣へとおすわりをして )
そっか、寝ないんだ…。……、普段は何して過ごしてるんですか?( 〝俺ら〟の一括りで思い出す、寝たようで寝てないような感覚 / 寝ないならずっと起きてるのかな、と視線を宙に逸らし考えては / 投げたのはまるでお見合いの質問 )──…、わあい、えへへ…ありがとうございます。お狐さまの姿、可愛いですね。( そもそもなんでわたし成仏できてないんだろう / 座った膝の上で頬杖を突きながら、ふと疑問が浮かぶけれど / 狐姿に変わり隣に来る彼に双眸をぱち、嬉しそうにまなじり下げ / そ、と手を伸ばしてなだらかな丸い頭をなでなで / でも成仏するわけでもなく )
境内の見回りとか、霊の対応とか、神様の雑用と世話とか…命じられたことを一通り。…人間は生者に関わりたがって心霊現象起こすのもたまにいるけど、大抵は成仏する方法探してるすね。ぼんやり現世に留まってると自我が崩壊して悪霊になりかねないんで。( 指折りつつ普段の行動を振り返ると「使者ってそういうのだから」 / しかし一般的な人間の霊である彼女には参考にならなかったかと思い直し、多数派の過ごし方を挙げてみて )──…、( 頭を撫でられては、おすわりの姿勢を崩さず横から見上げたままきゅうとひと鳴き / それから欠伸をするように口を広げ、両の前足と顎を相手の膝の上に乗せて / 狐の姿ではどうせ喋れないからと、気の済むまで触らせる間、寛いでいる心算で )
へえ、思いのほか忙しそうですね…。──…え。…も、もしかしてわたしも、このままだと悪霊になっちゃうんですか…?( なるほど、顎に人差し指添え彼が忙しなく働く様子を思い浮かべては / 普段お供えとかしておけば良かったなあ、なんて / ふいに聞き捨てならない単語が飛び交えば、冷や汗たらり / 恐る恐る問い掛け )~~っ…うう、かわいい、可愛すぎます…。よしよーし…。( 鳴き声も膝上にちょこんと乗る前足も、一挙一動全てにきゅんとときめき / はう / 頭部から尻尾付近に掛けて、ゆったり手のひらで撫でては頭部に戻りを繰り返し / それだけでもなんだか幸せそうにまなじり下げながら、寛ぐ彼の様子を眺めて )
…まぁ、現世に留まる明確な意志と動機がなければ、そういう可能性も…。( 言いにくい事を口にするように言葉濁しつつ真実を伝え / たのに、慰めにならない慰めでは悪霊になる前提で「その時は俺がちゃんと介錯するんで」 )……。( 撫でられることにも慣れてきたのか、耳を後ろに倒してリラックス状態 / 時折様子を窺うように顔を上げて真上を見て / また顎を膝に戻せば大人しく目を細め )
お狐さまがそうしてくれるなら、安心かな…。誰かに、あなたに、危害を加える前にひと思いにやっちゃってくださいね!( 自分がどうこうよりも、周りに悪影響や危害を与えないかが一番心配 / はらはらしていたものの、彼が介錯してくれると知れば安堵の表情を浮かべ / ほっと表情和らげては拳をぐっと握って )──…ねえ、お狐さま。( どれだけの時間そうしていたか、霊体はうっかり時間の感覚を忘れてしまうらしい / 昔からずっとそばで見守ってくれてたのは、彼だったような温かい心地 / ふと、撫でていた手を止めるとぽつりと呼んで )
うん、それは任せてもらっていいんだけど…まずは悪霊にならないところから頑張らないすか?( 彼女の頼みには特に異存なく引き受けるものの / 思いのほか力強い返答にむしろ此方がたじろいで )──……?( こういう時にどう過ごして良いやら分からず、結局いつものように境内の様子に耳を澄ましていた折 / 耳朶を打ったのは上から降る声 / 膝から身体を退けておすわりの姿勢に戻ると、首を傾げて見せて )
…だってわたし、なんで自分が成仏してないのか分からないですし…。現世に留まる明確な意志と動機?っていうのが、ぴんときてないというか…。( 人差し指同士を合わせながら、うんん、と小さく悩ましげな声を漏らし / 明確な死因なんてものも覚えていなくて / 不甲斐なし、としょんぼり )わたしのこと、ずっと見守ってくれてました…?なんか、あなたのこと知ってた気がするんです。…なんとなく、本当なんとなくだけど。( 小首を傾げながら、じ、と見つめ / そわ… )
何の未練もなければ、普通は自分が死んだことに気付いた時に成仏するはずなんすけどね…。( 一緒に思議しつつ、困ったようにぼやき / やはり母親の手作り料理なのか、と纏う空気は徐々に重たく )──…見守ってたって程の事じゃないけど、参拝に来る度に悪霊とか悪運は俺が追い払ってた。ひな季さんは、小さい頃から〝こっち側〟の存在に好かれやすかったから。( ほんの少し躊躇うような間の後、狐から人間の姿へ / どうしてもまだ認識されることに慣れなくて、彼女と同じように座って見せるのはやや俯き加減の横顔 / これまでの関わりをぽつぽつと喋って )
うーん…、あっ。お狐さまはわたしみたいな人の成仏のお手伝いとかもするんですか?( 例外は自分だけじゃないはず / ぴこん!と電球マークを浮かべ / 小首を傾げ )わあ、めちゃくちゃお世話になってる…ていうか昨日言ってたあれ、わたしのことだったんですね!?( 横からはやっぱり目元は見えなくて / そのまま視線を注ぎ、耳を傾けていれば / 亡くなってから知る事実にひとつ、ふたつと衝撃マークを続け様に浮かべ )…でも、だからかあ。ここに来たらすっきり晴れた気持ちになれてたの。お狐さまのおかげだったんですね…ありがとうございますっ。( 通りで、と今までの感覚と合致がいけば / 納得!と手をぽむと叩き / 八重歯覗かせながら無邪気な笑みを浮かべ )
そりゃできることがあればするけど…、霊力で未練を言い当てるとかはできないすよ。( 何か閃いた様子の彼女に歯切れの悪い返答 / 過度な期待を抱かせぬよう先手を打って / 手伝いといっても、対話の中で本人に何かしらヒントを得てもらおうとする古典的な手法であり )ん……、でも結局死なせてるし。( ゆっくりと相手へ顔を向けるも、浮かべるのはかろうじてそれと分かる程の曖昧な笑み / 人間ほど死を悲観的に捉えてはいないとはいえ、諸手を挙げて感謝を受け取れる心持ちでもなく / 力不足の感覚が否めずに )
成仏あるあるみたいなのを挙げてもらったら、ぴんと来るものがあるかなあと思いまして…。( えへへと頬を掻き / 要はしらみ潰し / 「何がありますか」と続けて小首を傾げて質問し )それは…、まあ人間っていつか死んじゃうものだし、好かれやすい体質っていうのなら遅かれ早かれそうなってたのかも…とわたしは思うんです。ま、今回は自分の行動のせいなんですけど…。だからお狐さまのせいだなんて思わないでください、…ね。( ゆる、と視線を膝の上に置いた指先へと落とせば / 狐姿の彼を撫でてるうちに大分落ち着いたり、ぼんやりとした記憶に輪郭が付き始めたりしたようで言葉を紡ぎ / 道路に飛び出した猫を追い掛けたがゆえの事故 / 視線を上げて彼へ向けると、そ、と手を伸ばして頭をぽふり撫で / にこ )
単純に未練として多いのは、大切な相手に伝えられなかったことがあるとか、残してきた家族やペットが心配とか…。でもひな季さんみたいに心当たりないって言ってた人間の未練だと、こんなに早く命を落とすなら将来のために我慢してたやりたい事をやっておけば良かったとか、自分の死にどこか違和感があるとか、連載されてた漫画の結末が気になるとか、幽霊ライフをまだ満喫してないとか…かなり人によるんで、何とも。( 相手の主張にも一理あるかと納得しては、これまで出会ってきた霊とのやりとりを想起し / 記憶している範囲で例を挙げてみるも、つまるところ人それぞれ / しかし方向性は悪くないはずだと「これから近辺の霊に聞きに行くすか」と未練インタビューを提案してみて )…──俺もうもふもふじゃないけど。( 彼女の言葉と円い笑みで微かに緊張していた口角の強張りが解け / ただ頭上に乗せられた手のひらには純粋な疑問の調子で / それから話に出た死の原因を最後まで口にしないまま尋ね )その……ひな季さんは、どうして。
なるほど──…ぅえっ!?やですよ、幽霊怖いし…!えっとえっと、確かに、もっとお腹いっぱいお母さんのご飯食べてからが良かったかもだし、期間限定で発売される予定のお菓子も食べてみたかったかも…。幽霊ライフを満喫っていうのも気になるし、……でもやっぱり、一番は…。( ふむふむ、と小さく頷く相槌を打ちながら耳を傾けていれば / 突撃インタビューの提案に表情青ざめさせ、ひえっ… / 自分も慌てて指折り数えるのは食べ物の欲ばかり / けれど一際心揺れ動くのは家族のワード / 全部の指を畳んで、きゅ、と握った拳に視線を落とし )もふもふじゃなくても撫でたくなるものなんです、人間は。( 強張り解けた彼の笑みに双眸緩め / 暈された問い掛けに瞳をふよ、と少し彷徨わせると / 撫でていた手を膝上へ下ろしては、少し気まずそうに口を開き )え?えー…、…通学路にいつも見かける野良猫がいるんですね。素っ気ないけどたまに撫でさせてくれる猫ちゃんで、これがまた可愛くて!…それでその日、見かけた場所…横が道路だったから危ないなって思ってたら、その猫が道路に飛び出しちゃって。ちょうど車が来て、危ない!って思ってたらつい体が動いちゃったみたいで、それで…。( 猫の紹介はちょっぴり熱弁 / 拳をぐっ / 尻すぼみ気味に声音を弱めつつ語り終えては / 眉尻を垂らしつつ、えへ )
自分も霊体になったのに、まだ怖いんだ…。( 幽霊の仲間入りを果たしても拭えないらしい恐怖心へ、独り言のように零し / しかし様子が変化したことに勘付くと、声音をほんの僅かに固くして / 「何か分かったすか」と横から窺い )ふぅん…。( 人間は撫でるのが好きなんだ、と雑なインプット / それから人間の形を取っているからにはそれらしくしようと、話を聞き終えるなり自らも相手の頭上に手のひらを乗せてみて / 話してくれたことへの感謝も共に示そうか )──…後悔してるわけでもなさそうだし、想像してたより救いのない最期でもなくて、せめて良かった。……あ、でもその猫は結局、無事だったんすか?( ふ、と頭を過る疑問 / 命を懸けて守った猫の安否を亡くなってしまった彼女は確認できたのだろうか、とそれが唯一気掛かりで )
それとこれとは別だもん…。──…ん、( 独り言に似た呟きが耳に届けば、片頬ぷくと膨らませ / 視線ふい / 横から覗き込む布面を、ちらと一度視線を向けたあと小さく頷き / 「家族が心配みたい…。わたしが急にいなくなっちゃったせいで、みんなを悲しませて、…みんなには笑っててほしいのに」唇をきゅっと噛み締めながら涙の溜まる双眸を伏せ / 睫毛からほろりと涙が転がり )へ、え…っ?( ふいに頭に撫で置かれる手に、瞳ぱち / ほんのり仄かに頬を染め / 布面で隠れた表情から彼の意図は読み取れず、おろおろ )猫ちゃんは、無事だった気がします。( 事故直後の薄れゆく意識の中、力の入らない手のひらをざりと舐める舌の感覚が残っている気がして / そこに反対の手を添えては、へにゃと緩く笑って )
──…あげる。…って言っても元々ひな季さんに付いてたものだけど。〝幸運〟…の、種。家に置いてきたらそのうち発芽するから、家族も少しずつ笑うようになるんじゃないすか。( 零れ落ちた涙を見て初めて、これまでの態度には幾許かの強がりがあったのかもしれないと思い至り / 無言のまま年端のいかない少女の胸中を察するも、狐に人間の心の機微は難しく / またも言葉通りに受け取っては、髪に付着したゴミでも取るようにするりと指通し / 差し出したのは植物の種に似た淡く光る粒 )…なんで困るんすか。( 相手から戸惑いを読み取って、此方が困惑 / 何も間違っていないはず… / 最期の行動が報われたらしいと聞けば「良かった」ともう一度繰り返して )
種…?──…お狐さま、ありがとうございます!( ほろほろと溢れる涙が手元を濡らす中、差し出された〝種〟に双眸をゆっくりと瞬き / 両手でそれを受け取れば、じっ…とそれを見つめた後に柔く包むように握って / 朝露に濡れた花のように表情綻ばせ / 「置くだけでいいの?埋めなくていい?」とそわそわ尋ね )お狐さまも撫でたくなるものなんだ、的な…?( ほんのり頬染めたまま、視線ふよ / 幸運の種よりも先に芽が出るなにか / 「ね、ほんとによかったです」命が無駄にならなかったことはもちろん、猫の無事への安堵が大きく / 足元だけだった透明感が指先にも微かに広がりだし )
…ん。できるだけ家族全員が揃うところに置いておいで。( 彼女が笑えば朝の陽射しも一層眩くなったような / 神の使いらしい喋り口で種の活用を促し、必要な説明は全て済んだとばかりに顔を前方へ / もし相手がそのまま自宅へと向かったなら、入れ替わりで本殿には華美な和装に身を包んだ女神が降り立つだろうか / 暗めの茶髪に整った顔立ちは、人間界で言うアイドルを彷彿とさせ )いや、これは人間として──…( 誤解を解こうと口を開くも、視線を逸らされては言葉を止め / とにかく失敗したらしいと悟り、「なら、もうやめます」とすごすごと手を引っ込めて )
──…はい。わたし、いってきます!( 頭から離れて引っ込んでいく手のひらが不思議と少し名残惜しい / 種の説明を聞けば大事に大事に手のひらで包み込みながら、こく / 晴れやかな笑みを広げながら宣言すると、階段から腰を上げ / きらきら透ける足で家へと駆けて行き / ──やっぱりここかな、と選んだのはリビング / 〝わたしなら大丈夫、今までありがとう、ちゃんと起きて、ご飯たべて、長生きしてね〟と気持ちを込めて / 種を優しく置いたなら、すう、と光の粒が溶け込んでいき / ほんの少し温かくなったような / ほっ… / そのまま自分まで溶け込んでいきそうな感覚に、ふと手元を見ては指先の透けに気が付き / !? / 再び神社へ走って戻ってきた頃には、膝あたりまで薄く透けてきているだろうか )お狐さまっ──…はわっ、ゆうれ、い…じゃ、ない?どちらさま…?( 彼に声掛けようかとしたなら、ぴゃっと飛び上がり / また幽霊かと思った / よく見れば神聖な雰囲気を纏う美人で、ほわり見惚れ / 透け感強まる手のひらを口元に添えながら尋ね )
…あ、戻ってきた。( 境内に入った気配を感知して獣耳ぴくり / そのまま引っ込めて参道の方を振り返ると )ひな季さん、神様がひな季さんが来てるって聞いて早めに帰ってきたらし──…( つい先程本人から語られた経緯を伝えようとするも、着実に消え掛かっている魂の形にその声は途切れ / 代わりに背後に佇む女神が「あれっ、ひな季ちゃんもう成仏しちゃうの!?」と頓狂な声を上げて )
ええぇっ、神様!?ここの神社の神様ってすっごく美人で可愛かったんだ…!わたしてっきり、おじいちゃんとかそんな感じなのかと…。( 衝撃マークを浮かべながら瞳まんまるに / 正直な想像を吐露しつつ、まじまじと見つめては / こく )あ、はい。一番の未練を達成したみたいで、成仏できそうです!( えへへ / 後頭部に手のひら添えながらはにかみ / その間も節々から、体が蒸発していくように光の粒子がきらきらと宙へ )ここには昔から、思っていた以上にお世話になってたみたいで…本当にありがとうございました。( 柔和に微笑み / ぺこ )
( 「ふふふ、わたし神様界ではちょっとした有名人なんだから!」なんて気取って見せる二人のやりとりも今は耳に入らず、ただ傍観して / 粒子が宙に消えゆくたび、彼女が天に還ることの実感がゆっくりと湧くようで / そこかしこで人ならざる者達が騒めきだし、少女を見送ろうと / いよいよ全身が透けて、魂が空の方へと浮かびだしたなら、辺りには神秘の風が渦を巻くように吹き渡り / 相手の姿を追って顔を上向け、別れの言葉を告げる瞬間には、それに布面が煽られて奥の面差しが露わになるだろうか )──…生まれ変わってもきっと元気で。
お狐さまたちも、お元気、で──…( 人ならざる者たちの騒めく声に、びく / 見送ってくれてるのかな…?と、おっかなびっくり周りを見回し / ほんの少しだけ嬉しいかも、と最後の最後で微かに警戒心解いては / 神秘の風で体ふわり浮かび / いよいよお別れだな、と思っては瞳うる… / 両手を振り自らも別れの挨拶を送るけれど / 捲れた布面の下から彼の素顔が露わになれば「え゙っ!?」と特大衝撃マーク / 顔が良っ… / 涙は引っ込み、消えかけてた輪郭が元に戻り始め / 数秒その場で滞空する体、空気を読む神秘の風 / 徐々に地上に降ろされ、やがて地に足裏が付き )…あ、あれ?( きょとん / 霊体ほやほや時のままくらいの透明感に戻り / 片足上げ足元きょろきょろしたり、手のひらを表裏返してみたりして )
…──ん?( 彼女が無事に成仏できることに安堵する気持ちと、遠いところへ行ってしまうことへの寂寥で悲喜交々 / その姿が完全に見えなくなるまでじっと見守ろうとするも、一向に消えないどころか輪郭を取り戻し始めた魂に不審の声が洩れ / 周りの有象無象も異変に気が付いて、ざわ… / やがて少女が元の位置に足をつけると、神秘の風が収まるのに合わせて当然布面もはためかなくなり / ぽかんと薄く開いた口から零れるのは当惑の一言で )…成仏、やめたんすか?
や、やめたわけではっ!あれぇ…?( 光の粒子もとうに収まってしまった手のひらをぶんぶん振って否定 / おかしいな、とこちらも困惑気味 / 両手を空に掲げながら、ぴょんぴょんとその場で飛んでみるけれど / しーん… / 「あらあら、これは…」と神様も揃えた指先を口元に添えて、きょとん / そ、と両手のひらで顔を覆えば )……なんか、未練…残っちゃったみたいです…。( 涙の別れの後の居た堪れなさに、羞恥でぷしゅうと湯気立ち / ぽそ )
こんな土壇場で…、振り出しに戻るか…。( 細々とした告白に率直な心情を吐露するも、存外落胆はなく / 双方の事情を悟った様子の神様がくすくすと笑みを溢し、「よかったね、スグル」と軽く自身の頭を撫で遣ると / せめて彼女が成仏するまでの間、悪しき者から守り抜く決意を胸に / 少女の方へと向き直って歓迎の意を示し )おかえりなさい、ひな季さん。…これからもう少し、よろしく。
ご、ごめんなさい…、…?( 申し訳なさげな声音で謝罪するも / 神様の笑い声におずおず指先を少し下げては、二人のやりとりにきょとんとはてなマーク / 歓迎の言葉に次第に嬉しそうに和らぐ表情を、手のひらを下ろしきり晒すと )…えへへ、よろしくお願いします!( 頬染めはにかみながら二人のそばへ駆け寄って / いつしか神社では時折、朗らかに笑う少女の声が聞こえると噂されるだろうか )
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( / 臆病な少女幽霊イベ、ありがとうございました!こちら〆とさせていただきました*
シリアス入ってちょっと重いかも…とどきどきひやひやしてましたが、幸せそうな方向に持っていけてよかったです…ありがとうございます*
けもみみ要素以外にも狐姿そのもの要素も楽しめて、今回もまた満足度高めでした◎ このやり取り中に狐の動画がおすすめで流れてきた時があり、タイムリーすぎてにこにこ眺めてました。狐かわいい…。
こちらは臆病要素を上手く取り入れられなかったのですが、背後様のナイスアシストのおかげでなんとかイベタイトルを保てた気がします…!ありがとうございます。ちなみに神様って、玲ちゃんだったりしますか…?(小声) )
(/ 綺麗に締めてくださりありがとうございます…!新鮮なファンタジー小話、楽しませていただきました*
こちらこそシリアスなのかコメディなのかどっちつかずで戸惑わせてしまったかと思いますが、なんやかんやで丁度良い感じに落ち着いてほっとしております…。ちなみにひな季ちゃんが本当に神様に聞いてもらおうとしてたことは何だったのか、差し支えなければお聞きしても…?
私もやり取りの間、狐の動画はちょくちょく見てました。犬と猫のハイブリッド感あって可愛いですよね、狐…。そして神様が玲ちゃんは大正解です!稲荷の神様は女神らしいということと、神無月の期間は神様たちが男女の縁結びの決定をしているという噂と、本人の超然としたオーラが神様っぽい、という理由で友情出演していただきました◎ 気付いてくださる背後様さすがです…。
ということで次ですが、本編に戻りましょうか?それとも一旦第二部完結のお祝いを挟みましょうか…?※適宜蹴り可 )
( / ひな季の本命のお願いは生き返りたいという切実なものでしたが、叶いっこないのはわかっていたので、せめてもの我儘にあんなことを叫んでいました。お狐さまを撫でてるうちに気持ちが落ち着き、家族の未来を願うものとなったようです…。
背後様も狐の動画見てらしたんですね!犬と猫のハイブリッド感、まさにそれです…かわいい…!私が見てたのは、貰った柿が美味しくて全身で(心配になるレベルで)喜んでるキタキツネでした*
神無月の期間について初めて知りました、なるほど上手く出来ている…そして推測が当たってほっとしました!良かったです*
上記蹴り可です◎
第二部完結のお祝い、オリジナルかるたのやつで合ってますでしょうか?それでしたら年末もじきなので、差し支えなければお正月にできると嬉しいなあと考えております…!
また、この頃レス頻度にムラがありすみません。14日と15日付近は特に仕事が忙しくなりそうで、著しくレス頻度が下がるかと思いますが何卒ご容赦くださいませ…! )
(/ ひとまず区切りとして試運転形式でお話など、と思いましたが、よく考えたら第一部でもやってないですね…。ということで、以下で早速次のミニライブイベに移らせていただいております。別のシチュエーションの方がやりやすいようでしたら、変更しますのでご遠慮なく…!またオリジナルかるた製作はお正月にとのこと、承知致しました◎
レス頻度に関してはどうぞお気になさらず…!いよいよ年の瀬が迫り、公私とも何かと忙しい時期かと存じますので、ご無理なくお付き合いいただけますと幸いです* お仕事のご都合も把握致しました。いつも細やかなご連絡助かります…!※全蹴り可 )
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( 自身があの文化祭の日に囚われる間に世間にはクリスマスムードが漂い始め、街中はイルミネーションの光で幻想的に着飾られる。そして心なしか恋人と歩く男女がより目につくようになった感覚に、例の彼と交際を始めたと報告のあった相互フォローの彼女もあの風景の何処かに居るのだろうかと想像するけれど、その顔は知らず知らずのうちにこれからメイク室を訪れるであろう少女のものにすり替わってしまっていて。軽く息を吐いてから完璧に準備の整った作業スペースを見渡し、化粧台の長テーブルに投げ出したスマホの電源ボタンを押して、表示されていたトーク画面をスリープ状態へと切り替える。恋愛対象として意識するまでどんな風に話していただろうかと遡ってみたやりとりも想いが募るばかりで接し方のヒントは得られず、懊悩するあまり次第に自分がどんな人間かも覚束なくなってしまえば、座席正面の鏡に映る像を抜け殻のようなぼんやりとした眼差しで眺めて )
お疲れ様です、水瀬ひなです。──…傑さん?
( 持ち手の根元に手作りキーホルダーと、とわハトくんのマスコットキーホルダーをぶら下げたトートバッグの中には、四人で会った帰りに購入した薔薇の花の入浴剤が入っている。あれからちゃんと休めてるかな、とトートバッグの口の隙間から見える柔らかな風合いのグレーのラッピング袋をちらりと見遣りつつ、メイク室の扉の前で足を止めれば。近くにある自販機のところで電話中の人がいるけれど何やら電話相手と揉めている様子で、なんだか気まずいなあと思い気配をできるだけ消すようにして肩を竦めると、控えめな数回のノックの後にこれまた控えめな声量で声を掛けたなら、早く入ってしまいたい居た堪れない心地のなか返答を待たずしてそっと扉を押し開けて。入室して早々、彼の後ろ姿と鏡に映るぼんやりと覇気のない様子の彼を瞳に捉えると、なんだか様子がおかしいなあと、きゅっと鞄の持ち手を握りながら、おず…と上半身を傾げながら再度声を掛けて )
…──あ。…もうそんな時間か。
( 扉の方で鳴った声に鏡面からゆるりと首を回らせば、そこに立つ顧客の姿に鈍く反応して気の抜けた声を洩らし。吐息のような呟きと共に腰を上げたならスマホは雑にポケットへと突っ込んで、座席を引くことで着席を促す。今日は何やら控えめに入室してきた相手の様子の変化にも気が付かず、ろくに会話もないどころか積極的に目を合わせようともしないよそよそしさは、さながら今までの関係値が全てリセットされたかのようで )
お疲れ様です。準備できてるんで、どうぞ。
今日もよろしくお願い、します…、……。
( こちらに気付いてくれた彼に、ぱっと表情を明るくしていつもの挨拶を続けるけれど、ろくに視線も合わせずによそよそしい態度を取る彼に少し尻込みしては、文末はどこか躊躇いがちに弱まり。引かれた座席にすとんと腰を下ろし、トートバッグは膝上で抱くように乗せて、ペットボトルに入ったお水だけテーブルの前に置き目の前の鏡越しに彼の様子をそっと盗み見ては、本当に視線が合わないこと。また寝不足なのか悩みでもあるのか、はたまた自分が何か悪いことでもしてしまったかと眉尻をしゅんと垂らしては、鏡越しの彼を見つめながら「傑さん」とつい声を掛けるけれど、元気のなさそうな彼にあれこれ問い掛けていいものかと思い浮かべてはっとしては、ぐるぐると咄嗟に思考を巡らせたのちに、なんでもないような普段通りの表情で問い掛け )
傑さん、……あ、えっとその、…この間はおうち帰ってからちゃんと眠れました?
…おかげさまで。睡眠時間の方は、もう十分。
( 悩みの種である本人を目の前にして気も漫ろに思い耽る最中、自身を呼ぶ声音はやけに寂しげに耳朶に触れ。振り向いた先の鏡面には気遣わしげな眼差しと伝える言葉を探す唇が反射していて、そこでようやっと心付いたかのように少女への関心を示さない態度を自省する。すぐさま意識を外側へと向け変えたなら、思い出したかのごとく紡がれる問い掛けに唯一相手から窺える目元に不慣れな愛想すら浮かべてみせるも、それはそれで平生とは異なり違和感として捉えられるだろうか。継ぐ二の句も喋り出したはいいものの完全なる見切り発車で、思うように話題が見つからずに同じワードを繰り返して彼女にとってはほぼ無意味な注意喚起をした挙句、気まずく視線を逸らして )
水瀬さんも……睡眠時間は、しっかり取るように…。
そっか、よかったです。よかった、けど…。
( 睡眠に関して心配は無用とのことでそれに関してはほっと安堵はするけれど、なんだか今ひとつ、薄く壁の感じられるような笑みは当然違和感を覚える。口元に弧を描かせて〝よかった〟となんて伝えるものの普段のように会話は乗らないし視線もやっぱり合わなくて。やっぱりなんか、変。膝上に乗せたままのトートバッグを今一度ぎゅっと抱き締めながら、ふ、と一度視線を下げそう思っては、くるりと首を回し鏡越しではなく本人へと顔を向けて、心配そうに眉尻を垂らした表情で小首を傾げながら彼の状態を気に掛け )
なんか、元気なさそうに見えます…。覇気がないというか…ほんとに、大丈夫ですか?なにかあったんですか…?体調悪かったりとかは…。
…、大丈夫です。…仕事はちゃんとやるんで。
( よかった、と口にしつつも相手の表情は完全には晴れなくて、意を決したように正面から曇らせた眉宇を向けられると、図星の指摘に小さく息を詰まらせる。しかし彼女に伝えられないから気持ちのやり場に難儀しているのであって、まさかそれを本人に打ち明けるわけにもいかず誤魔化すためにわざと冷淡に線を引いては、更なる追及を避けるべくさっさと話を流し。そうして膝に抱えられたままの鞄を目で示す意味でちらりと見遣り、そこに付けられたマスコットとキーホルダーからまたさりげなく視線を外した後、溜め息にも似た調子で吐き出した確認はどこか憂いを帯びていて )
…もう始めていいすか?
──…ぅ、はい…。すみません、お願いします。
( 仕事の出来不出来がどうとかよりも心配の矛先は彼のことなのだけれど、そこに一線を引かれてしまえばきゅっと口を噤み。ただその口振りはやっぱり何か抱えているのだろうと思うには充分だったけれど、線引きの直後にずかずかと踏み込むのは躊躇われ、このタイミングで贈り物を出すには勇気が足りず彼の仕事の遂行の確認にこくりと小さく頷くと、トートバッグは一旦膝上から退かしいつものようにテーブルの脇へ寄せることにして。化粧汚れを防ぐためのケープを着けられたなら、いつもの手順に合わせて双眸を伏せたり笑みを浮かばせたり、メイクの馴染み具合の確認に応じていく。メイク中どことなく重たい空気のままではどんどんそちらへ傾いていきそうな気がして、できるだけ自分は努めて普段通りに「そういえば」と切り出しては「相馬くんが傑さんから貰った私物を自慢してくる」だとか「もうすぐ冬休みで嬉しい」だとか、無理に彼から言葉を引き出すことなく相槌程度で良さそうな話題を一方的に話すだろうか )
…──ん、可愛い。
( どうにも口を開けば開くだけ空回りしてしまうようで、何も悪くない彼女が小さく謝ったのを皮切りに、元より重たい口は更に重たくなり。作業中も共通の知人の話や世間一般的な時節の話題といった表層的な会話に終始し、反応さえ集中の免罪符のもとに最低限に留まって。けれど味気のないやりとりを経るうち、相手の巧みな会話術と慣れ親しんだルーチンワークのおかげか幾らか気分も解れ、メイクの完成形が見えだす頃にはぎこちなかったキャッチボールも普段のテンポ。宣誓通り妥協なく仕上げた己の仕事へ満足げに顔を綻ばせたなら、最終調整として髪の先を繊細な指遣いで動かしてから、「これで頑張ってきて」と純粋な応援の中に甘い響きを潜ませて )
ありがとうございます…!
( 完成に近付くにつれて普段通りのテンポの会話となれば安堵が芽生え、仕事に私情を挟まずいつも通りの練達の出来栄えを前に、さすがプロだと柔和にはにかんで。すごいな、かっこいいななんて思うけれど心配が払拭されてはおらず、掛けられた応援の声に、ぱ、と顔を向け見上げては数拍の間の後「…頑張ります!」きりりと意気込んだ表情で両手の拳をぐっと握り。その意気込みの中には、自分のことで頭を悩ませているだなんて知らず、少しでも彼を元気付けられるようにとの意味も無邪気に込められていて。テーブルの上のトートバッグに手を伸ばし膝の上に戻すと、そこからラッピング袋を取り出しては両手に乗せ彼へ差し出し、にへと緩く笑いながら言葉を続け。ふいにコンコンと数回のノックが響いたなら、扉を半分ほど開けて牧さんが顔を出し「お疲れ様です、もうメイク終わってる?ちょっと巻きみたいで…!」と早めの呼び出しがあると、応じながら席を立っては慌ただしく鞄を手に、牧さんとともに部屋を後にして )
これ、傑さんに。もういらないかもしれないですけど…また眠れない日があったら使ってくださいね。……あっ、はあい!それじゃあまた後で、ありがとうございましたっ!
( 声援に応えて表情を引き締めて見せたアイドルは、次にいそいそと鞄から綺麗に包装された袋を取り出し。徐に差し出されるそれに何かプレゼントを貰う理由があっただろうかと考えるも、体は無意識にそれを受け取り、不思議そうな眼差しは己の掌へ。その時メイク室の扉が開いて彼女のマネージャーが顔を出せば、秘密を覗かれたかのようについ渡された贈り物を隠しかけるけれど、余計に怪しい上にそもそも隠す必要もなく手を止めて。開始時間が早まったとのことで中身を聞くことも礼を伝えることも出来ぬまま少女が連れられて行き、仕方なく一人残った部屋でそっとラッピングのリボンを解く。現れた薔薇の花を模した入浴剤を目にして湧き上がったのは、自分のことを気に掛けて用意してくれたのだと思うとただの日用品も途端に勿体ないような、果たして相手のことを頭から追い出してリラックスできるのか心配になるような心地で、屈折した言葉を吐きながら、しかし今晩には早速使われることとなるだろうか )
…、使いづら……。
( 鉄は熱いうちに打てとのことわざがあるように、あの日の晩には早速お風呂上がりのメンバーたちを自身の部屋に召集し、彼の元気がないこと、原因はわからないながらどうにか元気付けたい!との相談を持ち掛け。リラックスグッズをあげるとの既済のアイデアも当然出つつ、マッサージをする、お菓子をあげる、時間がどうにかしてくれるかもよなんて様々な案が出る中で、どうしようかと頭を悩ませていれば。一番恋愛話には興味なさげにポッキーを齧っていた人物、おとぎちゃんの『…わたしらアイドルなんだし、ライブで元気付けるとか』と、ぽつりと静かに提案された一言で、「それだあっ!」『天才!』『天才だ!』と場は盛り上がり、すごいすごいと褒め称え撫で回された功労者はご褒美のお菓子を持って満足げに自室に戻っていった。──そうして作戦予定日の今日。クリスマスに向けた特典チェキの撮影があり、今流行りのバレエコアとしてリボンをスカートに散らし、裾に白いふわふわのついたケープに身を包んだサンタ衣装姿でメイク室に訪れては、部屋に入るなりにこにこはしゃいだ様子でその場でくるりとスカート翻しながら一回りして )
お疲れ様です!ねえねえ傑さん、見て見てっ、サンタ衣装です!可愛くないですかっ?
( 花弁を溶かした湯船に身を沈めて思い知ったのは、自身がこの件に関してどれだけ考え疲れていたのかということ。彼女との関係を進めたがる感情とそれを留める理性との雌雄は未だ決せず、発展しない自問自答は現在進行形で頭を疲弊させるばかりで。「…もう、やめようかな」リラックス効果で気持ちが緩むと同時にぽろりと転び出た弱音が、薔薇の香りと温かな湯に包まれるうちにどんどんと納得感を増してゆけば、最後には何故今までそうしなかったのかが不思議なほど唯一絶対の答えであるような気になって。そうだ、手の届いてしまいそうな感覚が判断を鈍らせていたが、可能性のない相手に入れ上げるなんて大人の恋愛の仕方ではない。早々に見切りをつけなくては。──と、決心を固めはしたものの、即刻想いが消えるわけでもなく、メイク室で顧客の到着を待つ間には微かな緊張と喜びが体内を巡り、脳内では我知らず話題の選別が行われ。ついに開かれた扉を振り返ったなら、呼び水に思わず正直な第一声で肯くけれど、問い掛けられた衣装は無論として、それを無邪気に見せに来る姿へ向けた意味も多分に込められていることは、双方気付くべくもないだろうか )
……可愛い。
えへへっ…ありがとうございます。
( ケープから垂れる白のぽんぽんを揺らしながら衣装の披露をしたなら、肯定が返ってくると白い編み上げブーツの底をきゅ、と鳴らして立ち止まる。メイク前のすっぴん姿で、髪だってセット前で寮でアイロンを通してきたくらいなのだから、恐らく褒めてくれたのは衣装についてのみだろうけれど、それでも嬉しくてファンデなどで色味を補正していないまっさらな頬はみるみるうちに含羞の色に染まり、ふにゃりと嬉しそうに綻ばせながら照れを隠すように横髪をくしゅと握って。ご機嫌なまま「この可愛い衣装にぴったりのヘアメイク、よろしくお願いします!」と鏡の前の椅子へと向かえば、早速いつものようにメイクが進められるだろうか。彼の今日の元気具合を様子からそれとなく探りつつ、やがてヘアセットが終盤に差し掛かったなら業務後の空き予定をそろりと問い掛けて )
──…あの、今日の撮影のお仕事が終わったあと…、えっと、10分くらいお時間ありますか?
…承りました。どうぞ。
( 自分から聞いておきながら頬に赤を灯らせるいじらしさにそわりと心の擽られる感じがして、目線を彼女の斜め前の床まで逃した矢先。弾んだままの声で懐っこく改めての依頼を受ければ、ふっと表情を緩めたのち顧客のために椅子を引くも、薄く笑みの浮かぶその顔には諦念のような翳りが付き纏って。そしてそれはメイク中も同様で、少女をより完璧なアイドルへと仕立ててゆく毎に以前ぼやいた〝芸能人じゃなければ〟との思いが過っては、時たま集中を欠いているのが鏡越しにも見受けられるだろうか。とはいえ普段のペースとは行かずとも雑念を振り切り、残すはヘアスタイリングのみとなった定刻前。芳しくない作業の手際に気を遣ってかおずおずと切り出された予定の確認へ、一瞬手を止めるだけで特に用件を尋ねるわけでもなく、率直に以後の空き時間を明かして )
はぁ…まぁ、10分くらいなら。
よかったあ、ありがとうございます!じゃあお仕事後、少しだけお付き合いお願いしますね。
( 普段の彼は滞りなく流れるように、且つ細やかな動作で彩りを与え〝可愛い〟をつくり上げていくけれど、その動作を間近で見てきた自身にとって彼の集中力の欠如を感じるのは難しくなく。早く帰ってゆっくり休みたいかもしれないけれど、とそわつく心地のなか10分の猶予を得られると、ほっと安堵した笑みを溢し謝辞を告げ改めて鏡に向き直っては、全てのヘアメイクが終わるまで大人しく待つはずで。完成後いつもの賛辞の言葉が送られたなら、彼の手に掛けられた自分は世界一可愛い気がしてとても自信が付くし、きらきらして見え、それがつくづく魔法のように感じられて。そんな凄い腕を持つ彼のことを尊敬するし大好きで、可愛くなった自分をもっと見て欲しくなる。めいっぱいの自信を胸にカメラの前に立つと、世界一可愛い女の子としてレンズに向かって笑顔を振り撒こうか )
…あ、入浴剤のお礼言いそびれた。
( 結局事前に厳選した話題は一つも使われることなく、目一杯時間を使ってヘアメイクを終えれば完成とほぼ同時に少女はスタジオへ。追い掛ける前に簡単に化粧台の片付けをしつつ、ぼんやりと頭に浮かぶのはこの後の約束のことで、最初は何か相談や手伝いだろうかと予想するも、最近あった出来事と照らしてもしかして告白か、他に気持ちが移ったと過去形になるのか、と考えは徐々に悪い方向へと流れ。そんなことに囚われていたせいか、今日の第一優先のトピックを伝え忘れていたと思い至ったのは、メイク室を出ようとドアノブに手を掛けた瞬間。つくづく上手くいかないなと溜め息を吐いた後、静かに撮影現場に入ってゆくけれど、生き生きとカメラの前に立つアイドルを見学する顔ばせは訪れる10分間に気を取られてどこか上の空で、顔見知りのスタッフが雑談程度にクリスマスの予定を尋ねてくる声にも曖昧な生返事を返して )
撮影ありがとうございます、お疲れ様でしたっ!
( 毎度のことながら彼のメイクの腕前では化粧直しなんてほとんど必要とせず、撮影途中手を加えるとしたなら髪型を少し整える程度で彼との接触は数えるほどしかなく。他のスタッフと何やら話している様子を横目で認識しては、何の話をしているのだろうと少し気になるけれど盛り上がるほどの様子もなければ暫しこちらも撮影に集中し。やがて個撮とメンバー全体の撮影を終えたなら、メンバー全員とにこやかな挨拶でその場を締めくくると、スタッフらは撮影機材の撤収を始め、事情を知るメンバーらは速やかにスタジオから撤退するはずで。牧さんのことは、ねねぽんやさや姉たちが上手く図らってその場から撤収させ、がらんとしたスタジオに残るのは自身と彼のみ。去り際にしれっと設置された折り畳みの事務椅子が真っ白な背景の前にぽつんと置かれた状態で、はにかみつつそこへ彼に着席を促す手のひらの反対側には、マイクがぎゅっと握られていて )
──…、えへへ、二人きりですね。そこに、座ってもらってもいいですか?
( 撮影が終われば現場においてヘアメイクはお役御免。撤収作業の邪魔にならないようにと自身もスタジオから引き上げようとするも、先程までカメラ前に立っていた赤色担当と緑色担当のアイドルに「ひながここで待っててって!」と引き留められ、人の疎らになった頃を見計らってセット前へと誘導されて。彼女たちもそのまま扉を出て行ってしまうと、広い空間の中にはマイクを持ったサンタ衣装のアイドルが一人と、向かい合うように置かれた椅子が一脚。意図を感じるスムーズな連携につい周辺を見回すけれど、テレビ番組のドッキリのように隠しカメラが作動している気配もなく、促しに応じて準備された席へと腰を下ろす。まるで展開の読めない事態に困惑の気配を滲ませながら、眼前の少女へ遠慮がちに尋ね )
…一体何が始まるんすか。
七色の光を閉じ込めた煌めきのひとしずく!白色担当、水瀬ひなの単独ミニライブにようこそー!
( マイクが握られているといっても写真撮影後の現場では機材の用意まではないためマイクの接続はなく、スマホに入っている音源を簡易スピーカーに繋げてある程度のミニライブ会場。何が始まるのか知らされていない困惑気味の彼に尋ねられれば、にぱ、と無邪気な笑みを浮かべたのちに、口元にマイクを添えミニライブであることを通常のライブさながらのテンションで明かし。「まあマイクは雰囲気用なので、今日は入ってないんですけどね」とマイクの上部をぽんぽんと手のひらで軽く叩きマイクは入ってないことを示すと、互いの中間地点に置いたスマホに駆け寄り、みんなが撤退したためセルフでスマホを操作してはすぐ傍に置かれたスピーカーから音源が流れ出す。たた、と元の場所に駆け戻りマイクをきゅっと握り直したなら、まっすぐ彼に手のひらを伸ばして表情を綻ばせながら宣言をすると、たった一人の観客に元気いっぱいのエールソングと、にこにこできらきらな、たっぷりのファンサービスを捧げようか )
それじゃあ聴いてください、大好きな人に贈る応援ソングっ!
( 撮影終わりのスタジオに突貫工事で設えられた簡易セット。しかしアイドルがひとたびその中央に立てば、照明も音響も満足に整わないその場所でさえ立派なライブ会場へと一変して。溌剌とした自己紹介の口上が戸惑いがちに彷徨っていた自身の視線を正面へと惹きつけ、非公式らしい種明かしをした彼女が非公式らしく自らの手でスマホを操作すると、傍のスピーカーから持ち歌の音源が聞こえだす。眼差しも手のひらも声も真っ直ぐに語られる想いでようやく約束の意図を悟ったなら、雪のように降り積もった憂悶も鬱屈とした思いも、全て解けて消えるような心地がして。己が自分のことで苦悩している間、彼女はこうして己のことを考えてくれていたのかと思うと同時、向けられる笑みが、振りの一つからも伝わる懸命さが、叶う叶わないに関わらず誰かを想う気持ちはそれだけで尊いものなのだと思い出させ。曲が終わる頃には腹は決まり、ステージと客席の中間地点まで進み出て、胸の内をそのまま声に出す。一層惹かれてしまってはもう諦めるなんてとても出来そうになくて、けれど相手のことを思えば告げるべきでもなくて。報われることのないであろう恋心を密かに抱え続ける覚悟を固めた、憑き物の落ちたような顔で「ありがとう」とだけ静かに告げようか )
…俺、やっぱり好きです。アイドルやってる水瀬さんが。
( 一挙手一投足に、想いのたけを全部詰め込んだ初めての単独ミニライブ。大好きも、尊敬も応援も励ましも、〝あなたの力でこんなに輝けている〟もたくさん詰め込んだ。たった一曲だけれど歌い踊り終えた頃には小さく息を切らし、微かに肩で呼吸をしながら、少しでも彼の心を揺さぶることができただろうかと様子を見守るように見つめて。先に動き出したのは彼の方で、中間地点まで歩み寄る彼に一歩こちらからも近付いた時のこと。徐に〝好き〟なんて単語が彼の薄い唇からまろび出れば、「ふぇっ…!?」手のひらを口元にあてて小さな驚嘆が彩られた唇から漏れ出て。ぶわ、と真っ赤な薔薇が咲き乱れるように頬も色付きとり乱すけれど、続く彼の言葉に再び小さく「えっ」と驚嘆の声を漏らしては、つい早とちりしてしまったことを数秒の間の後に悟るも一度色付いた頬はすぐには戻らず、なんなら羞恥心で頬は染められたままで。どきどきばくばくと早まった鼓動を感じながら、困惑気味に双眸をぎゅむっと不等号にし、両手の拳をぐっと握りつつ眉尻を垂らし訴えるけれど、マスク越しながらどことなく晴れやかになった彼からお礼を受け取ると、元気を与えることができたような気がしてこちらも嬉しくなり。嬉しそうに八重歯を覗かせながら笑みを咲かせると、小首を傾げながら冗談半分本気半分でアンコールを伺って )
とっ……倒置法やめてください~っ!…えへへ、どういたしまして!アンコールはいかがですか?
…すみません。なんか……より伝えたい方が先に出ちゃって。
( 少女の頬が上気したのは精一杯の一曲を届けたせいだけではないようで、ゆらりと揺れた瞳が勢いよく瞑られては、指摘にはっとしてマスクの上へ更に手のひらを重ね。これからはこういった何気ない言い回しにも留意しなくてはと自省する傍ら、とはいえ想い人が意識してくれている様に喜びを感じずにはいられずに、弁明を口にする際にはつい愛おしげに目許が綻んでしまって。そんな相手からの申し出とあれば、ライブ継続を望むか否かの問いに対する答えはひとつ。形ばかり辺りを見回して「雰囲気用のペンライトはないんすか」と訊き、何か渡されるようならそれを、特に用意がないようなら手持ちの品から出来るだけ大きなメイクブラシを取り出して手に携えてから、席に戻るのではなく己の立つ中間地点まで椅子を引き寄せることで意思表示を。そうして改めてそこへ腰掛け、音源を再生しようとする彼女へ最前の位置からひっそりとアイドルの観客らしい応援を送ったなら、音楽や煽りに合わせて貴女のためのペンライトが控えめに振られるはずで )
…ひなちゃん頑張って。
そういうことならもっと、いっぱい言ってくださっても…!
( ここ最近ぼんやり覇気のなかった目元だったけれど、解れて綻んだ涼しげな目元はなんだかいつも以上に柔らかいように感じられてはきゅんと胸が高鳴って。〝好き〟をより先に伝えたかったなんて聞けば尚更胸の高鳴りを感じられずにはいられなくて、いつでもウェルカムなことをアピールするけれど、実際言われたなら供給過多でぷしゅぷしゅ湯気が出てしまうだろう。ペンライトの用意まではなかったことを伝えたなら、彼ならではの即席ペンライトの登場に双眸をぱちりと瞬かせた後、くすくす嬉しそうに頬を緩ませ。より近くへと持って来られた椅子のそばのスマホへ駆け寄って、次も応援ソングかななんてアンコールの曲選びに膝折りしゃがみ込みながら指先で画面を操作していれば、観客からのひっそりとした応援の声──それもひなちゃん呼びで与えられたなら、椅子に座る彼を見上げてふにゃふにゃと表情を綻ばせて「えへへ、頑張る!」と宣言。いつかきっと本物のライブで、本物の白のペンライトを振ってもらえますように。たたっと駆け足で立ち位置に戻っては、彼を真似た文法で大好きな想いを弾ける表情で伝えると、ふんだんにピュアな想いが詰まった恋愛ソングを、たった一人の観客である彼へと届けようか )
わたしも大好きです、傑さんのこと!…アンコールはそんな想いにぴったりの曲、いくよーっ!
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( / あなたのためのミニライブイベ、こちらはこれで〆とさせていただこうかなと思っています。冬の忙しさもありクリスマスイベぎりぎりになってしまい、入浴剤のお礼の隙を与える暇もなくすみませんでした…() もしこの後入れ込むつもりでしたら続けていただいて構いませんので◎ )
(/ いえいえ、時間の余裕があろうとなかろうと逆巻がお礼を言いそびれるのは変わらなかったはずですので…きっと後でメッセージが飛ばされるんじゃないかと思います。ということで、最高潮の盛り上がりに何を足しても蛇足になる気がするため、お返事は控えさせていただきました。あなたのためのミニライブイベ、ありがとうございました…!
進行上仕方ないとはいえ、ここ最近すぐひなの絡みが少なくて逆巻と一緒に萎れていたので、最後の場面で帰ってきた尊さに5割増しでにこにこしました…( でも反応の薄い逆巻にしゅんとしてつい呼びかけちゃうひな季ちゃんもまた可愛かったです… )本当に逆巻のためだけのライブ、といった特別感たっぷりの演出で、たった一人の観客のために全力で踊ってくれるひな季ちゃんは真のアイドルだなと…!そして提案してくれたおとぎちゃんもありがとう。ずっと気にかけて何とか元気づけようとしてくれる様子が健気で、こんな可愛くて優しい彼女がいたらかなわないよねって相馬くんと同じ気持ちになったイベントでした。どうぞ逆巻を末永くよろしくお願いします() またバレエコアのサンタ衣装にも、それを見せにきてくれる姿にも心を掴まれて、リアルクリスマスに近くなったのが逆に良かったです◎ )
( / 入浴剤のお礼メッセージに、使ってくれてた!と嬉しそうに足をぱたぱたさせてる様子が目に浮かびます…。そしておとぎちゃんには栄誉賞として再びお菓子が捧げられたことかと思います。こちらこそ今回イベもありがとうございました* 逆巻さんと一緒に萎れてたと聞いて、やだかわいい…とによによしてしまいました、かわいいです。
好きだと自覚した逆巻さんの複雑で繊細な心情変化に心がきゅっと締め付けられ、表情や声色に少し甘さが増してきゅんとして、背後様の表現力に改めて惚れ惚れとした回で、〝芸能人じゃなければ〟の伏線回収もお見事でした…。入浴剤を使いづらいとぼやきつつも、その日のうちにしっかり使ってくれているのも尊かったです。約束について考えるうち悪い方向へと流れていた逆巻さんに背後は「大丈夫だよ…!」と励ましつつ、双方が無事に恋心を抱えることとなってほっとしております…。こちらこそひな季を末永くよろしくお願い致します!
なんやかんや相変わらず、リアルタイムの四季に合わせて進めることができていて嬉しいです。臨場感があると世界に入り込めて助かる…(仕事からの現実逃避)
上記は全文蹴り可です◎ このままクリスマスイベに突入でよかったでしょうか…! )
(/ すぐひなは必須栄養素なので…えへへ。ミニライブを経て入浴剤は〝複雑な気持ちになるし勿体ないからちょっと使いづらい〟物から〝特別な日用〟に昇格したことと思います。あと頭の中ではなんやかんや言いつつも、行動や細かな情緒は素直な逆巻の感じを読み取っていただけていて嬉しいです…。
はい、それではこのままクリスマスイベ始めさせていただきますね◎ 丁度クリスマスと重なって、調整の甲斐があったな…!と此方も嬉しくなっております。やっぱりリアルタイムで進められるとより楽しい…。こちらは全蹴り可です、そしてメリークリスマスイブ!です…! )
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( クリスマスイブだというのに外と違ってツリーもリースもない殺風景な廊下に、仕事の撮影を終えた子役の少女と迎えに来た母親、そして担当のヘアメイク。膝を折った目線の先で大きな瞳がきらきらと煌めけば、手作りのヘアアクセサリーをプレゼントした自身も、傍で見守る彼女の母親も微笑ましげに表情を和らげて。「すぐるくん、だぁいすき!3ばんめに!」嬉しさあまってか甘い歓声とともに首に抱きつくけれど、離れる瞬間には順番を示すことを忘れない姿勢につい破顔し、「パパにも見せなきゃ、これすぐるくんにもらったのよって」と既に2番目の相手へ思いを馳せている面差しに小さく頷いて見せる。もし次の顧客が角を曲がってその場面に遭遇したなら、笑みの気配を残したまま挨拶する己と、お行儀よく「こんにちは!」お辞儀する女児が視界に映るだろうか )
…あ、水瀬さん。お疲れ様です。
…あ!やっぱりありすちゃんだあ~、こんにちは!
( ひらひらふわふわとスカートの裾やぽんぽんを揺らしながらサンタ衣装で歩くのは殺風景な廊下だけれど、頭の中はジングルベルが流れ一人だけ雰囲気は浮かれた様子で。きゃっきゃとはしゃぐ少女の声が聞こえてくる角の向こうに、もしかして!とぴんと閃きそのまま進んでは、ふわふわとお花が浮かびそうな平和な光景が広がっており、子ども相手に緩んだ表情も好き…!と胸をときめかせつつ、自然と表情を綻ばせながら手を振り声を掛け。「お疲れ様ですっ」と続け彼と保護者にも会釈をして挨拶を交わせば、『おねえちゃんサンタさんなの?かわいい!ありすのつぎに!』サンタ衣装に瞳を煌めかせた無垢な少女から賛辞を受けては、少女の正面へ膝を折りしゃがむと「えへへ、そうでしょ~!わたしも傑さんに、ありすちゃんみたいに可愛くしてもらってくるね」とにこにこ微笑ましげに小首を傾げ。すると少女の手に持たれたアクセサリーを瞳に捉え「それかわいいね」と指差し伝えては、『すぐるくんからもらったの、いいでしょ!おねえちゃんはもらえないの?』と大事そうにそれを胸元に引き寄せながら返されては、双眸をぱち、と瞬かせ。ゆっくり彼へと瞳と顔を向けては、深刻そうに表情を固めながら問い掛けて )
も、貰えないんですか…?
水瀬さんにもちゃんとあるから…。
( 我が子の不用意な発言に母親が慌てた表情を覗かせたのも束の間、恐々とした問い掛けに宥めるような調子で返せば、年長者の顔も安堵へと塗り変わり。「よかったねえ」と既にプレゼントを貰った者の余裕からにこにこ年上ぶった態度でそう紡ぐ子役は、程なくして『ばいばい』と『メリークリスマス』を交わした後、手を引かれて帰途に就いて。ふたり残されてようやく立ち上がり、「じゃあ、もっと可愛くしに行くすか」と彼女の言葉を借りて先程より目線の遠くなったサンタ姿に促すと、言い終わるなりメイク室への移動を始める。少し前までのぎこちなさが嘘のように至って自然に廊下を先導する最中、扉の前に到着するのとほぼ同時にちらりと後方を振り返って尋ね )
水瀬さんは、今日この後なんか用事あるんすか。
ほんとですか…!えへへ、やったあ。
( 自身にもプレゼントがあると知れば、途端にぱあっと晴れやかな表情に変わると嬉しそうに八重歯を覗かせて笑みを広げ。年上ぶる少女にふわふわと浮かれた様子で「うん、うれしー」と素直な心情を告げては、「メリークリスマスっ!」と定番の挨拶を交わしながらひらひらと手のひらを振って二人を見送ると。促される彼の声に、元気にこくんと首を縦に振って頷いては自身も立ち上がり、スカートの裾を揺らしながら〝プレゼントってなんだろう〟と、うきうきご機嫌に彼の後を追い。いつもの扉の前に着くと同時に振り返った彼からふいに質問を受けては、足を止め双眸を瞬かせ。首を左右に振り仕事以外に予定がないことを伝える途中、はっ…と何か察したように口元に広げた手のひらを添えては、はわわと頬を色付けせながら自身にとって一番都合良く嬉しい想像を期待しながら問い掛けて )
今日は特に、明日ならみんなでクリパする予定ですけど──…え。も、もしかしてクリスマスデートのお誘いですか…!?
だったらもっと前もって誘って──…いや。…気になって聞いただけです。
( 扉を開くことにも多少なり意識を割いていたせいか、期待を孕んだ声へ流れるように己を売り込むようなことを口走ってしまっては、動揺から開けた扉をわざわざ一度閉じ、しっかりと相手を振り返ってから取り消しを。好意を隠すという不慣れな振る舞いに苦戦しつつ、仕切り直すように再びドアノブに手を掛けたなら、今度こそ回答と共にメイク室内へと足を踏み入れて。しかし質問に下心が無かったのは事実なれど、聞き出した予定を受けて一緒に帰れるかとたった今欲心が湧いたのもまた事実で、手持ち無沙汰の空き時間には付近で行われているイベント等を調べる姿が見られるだろうか。2件目の顧客用に整えられた作業スペースの中、まず向かうのはワゴンの傍のいつもの立ち位置──ではなく、プレゼントの入った荷物の置き場所。鞄から各メンバーカラーに色分けされた5つのラッピング袋を取り出して少女の元へ戻ると、抑揚のないながらもお決まりの挨拶を口にして、石鹸大のそれらを差し出し )
はい、メリークリスマス。水瀬さんと、メンバーの皆さんに。
わたしは当日のお誘いでも喜んで行きますからねっ!…傑さんのお誘いなら、ですけど。
( 恋愛経験がまともにないせいか彼の不慣れな好意隠しには疑問を抱かず、しっかり前から予定を練るタイプなんだだとか、彼だったらどんなデートプランにするのだろうだとか。そんな考えを浮かばせつつ、きらきらとした純粋な瞳を向けながら拳をぐっと握り伝えると、はっ…としてから解いた拳を口元に添えつつ、それはあくまで彼限定なのだとそっと伝える表情はどこか悪戯げで。彼の中で勘案が巡っていることなんて露知らず、そのまま漸く二人メイク室へと入ったなら「よろしくお願いしまぁす」とまずはいつものトートバッグを椅子の前のカウンターに乗せた時。彼の呼び掛けに振り向いたなら、お決まりの挨拶と共に差し出されたクリスマスプレゼントたちに、ぱあっと表情が華やぎ喜色を浮かばせながら5つの袋を受け取って。「わあ~っ、みんなの分も!?絶対喜びます…!ありがとうございます、傑さんっ!」花の綻ぶような笑みで謝辞を告げては腕の中のラッピング袋がメンバーカラーに因んでいることに気が付き。中身もそれぞれ違うのかなあなんて思いつつ一旦カウンターへとプレゼントを下ろすと、その中の己の色である白色のラッピング袋を両手で掬い上げては、待ちきれないといった様子できらきら煌めく瞳で尋ね )
…あ、これ、もしかしなくてもメンカラになってる…!?白色の、開けてもいいですか?
この前のライブ、全員で計画してくれたって聞いて…お礼代わりに。
( アイドル達が収録終わりに少しだけスタジオを貸してほしいと頼みに来た、と現場のスタッフから裏話を聞いたのはミニライブの翌日のこと。そのために仕事も多少巻きで終わらせてくれたらしく、一件にかかわる謝意が5つのラッピング袋の中には収められていて。中身は色とりどりのドライフラワーを閉じ込めたオーバル型のアロマワックスサシェで、包装のみならずワックスにも淡いメンバーカラーの着色と、ネロリ、ラベンダー、ローズマリー、ラズベリー、ピーチの香り付けが施されている。ここまで徹底していれば間違いようなどないだろうが、今ここで開封しようとする少女の問い掛けに頷くと、念には念をとばかりに取り違えの注意を促し。というのも、唯一着色されていない白のワックスの裏面には、セリフ体でひっそりと『I am your fan.』の文字が刻まれているからで )
…ただ、水瀬さんのだけ他とちょっと違うんで、間違えないよう頼みます。
わたしのだけ?…──!
( ミニライブの裏側を知られて少し気恥ずかしさを感じながらも、開封の許可を得ては他のメンバーの分を置いた隣のスペースに置き、早速開封を進めようとした時。注意深く言葉を続けられては、彼の方を見つめきょとんと双眸を瞬かせる。わたしのだけ、なにか特別なのだろうかと思わざるを得ない言葉に、期待と緊張の色を滲ませた瞳をラッピング袋へと戻し、改めて開封の手を進めていけば──開けた瞬間、そこに閉じ込められていた優しく甘酸っぱい香りがふわりと花咲くように広がり鼻腔をくすぐって。微かに瞠目した瞳は中身を知ることで更に開きを強め、きらきらと瞳いっぱいに煌めかせるはずで。そっと両手で袋の中から掬い上げ、可愛らしい姿が露わになった白色のサシェを眼前の高さまで掲げながら華やいだ歓喜の声を上げ。そんな中でやっぱり気になるのは他との違い。比較対象がないながらも気になっては、お花の数が多いとか…?なんて考えつつ四方から眺めくるりと裏返した時、文字が彫られていることに気が付いて時が止まり。手作りとは知らないで、ほんの一瞬お店の名前か何かかと思ったそれは、瞳を動かし〝I am your fan.〟をなぞるとまた瞠目して。〝アイドルなら水瀬ひな推しなんで〟と言われた時のことが頭を過ぎっては、はわはわと高ぶりで頬を染めながらサシェの裏の文字をふるふる微かに震える人差し指で差して彼に尋ね )
可愛いっ…!ていうかいい匂いがします!すごい、かわい──…、……す、傑さん、こ、これって…!
( 贈り物のリボンが解かれ、中身を知った彼女から煌めく瞳も上がる歓喜の声も7歳の子役に負けず劣らずの純真な反応が返れば、見守る此方もまた目許を和らげて。しかし光を湛える双眸が他との違いを探すようにサシェの外観を撫で始めるとほんの僅かに表情を固め、落ち着かなげに息さえ潜め。以前に〝水瀬ひな推し〟だと伝えた時のような、〝アイドルの中で最も好感と親しみを覚える相手〟として選び出したのとはわけが違い、今回のメッセージは〝水瀬ひなというアイドルに惚れ込んでいる〟という自発的な告白。込もる熱量にも当然のごとく差があって、ついに刻まれた文字を見つけた少女が淡く上気した頬で振り返っては、面映ゆさからどういう態度を取るべきか迷った末に、はにかむような色を顔に広げながらも思いを伝えるべく目を合わせて真摯に肯いて )
…ん、それが、他のと違うところ。
わあ…。
( 自分のサシェだけに刻まれた文字だということが彼の返答により確立されては、文字へと視線を戻すと抑えきれない喜びの声を小さく漏らしながら刻まれた文字に指を滑らせる。改めてこうして形にしてもらうとなお喜びが増すもので、自身が想像する以上の想いが込められているなんてまだ知らないまま、緩みきった口元にサシェを寄せ「ふへへ、嬉しい」なんてこれまた緩んだ声を漏らしつつ幸せそうにまなじりを下げプレゼントのお礼を先に、続けてふわふわと微笑みながら甘やかな声色で想いを伝え。「わたしもね、クリスマスプレゼントがあるんですよ。サンタさんだから!…今年一年いいこにしてましたか?」無邪気な笑みを浮かべながら、片手の拳をマイクへと模した〝ひなマイク〟を彼の顔近くへと寄せ小首を傾げてみせ )
ありがとうございます、…えへ、だいすき。
…さすが、サンタさんは子どもに大人気…。
( 本日二度目となる〝だいすき〟は、綿菓子のように甘くて淡くて。片想いの身には余るような心地がしては、彼女の真意を知りつつも敢えて口に出すことでその向け先をプレゼントを渡す役割の方へとスライドし、ついでに相手が17歳の子どもであることも意識に刷り込んでおいて。自身がそんなささやかな抵抗を独り言程度の声量で終えた頃、一方のモダンなサンタは見えないマイクを此方へと向け、どうやったってアイドルの抜け切らない明るい口調で贈り物を待つ姿勢を振り返らせ。唐突に十何年振りという問いにさらされて「え、…や、そんなん来るような歳じゃ…」と当惑を露わにするけれど、それでも〝ひなマイク〟が退けられないようなら、ついに最低ラインのいいこアピールを吐き出すだろうか )
…、とりあえず、法は犯さずに過ごしました。
!…ふふふ、いいこにはサンタさんからプレゼントをあげなくちゃですね!
( ひなマイクを向けられた彼は唐突な問いにどこかたじたじと戸惑いを見せるけれど、そのままずいっと差し出され続けたひなマイクに観念したのか、最低ラインのいいこアピールをしてみせたなら双眸を緩ませながらくすくすと微笑み。漸く引っ込めたひなマイクは、普段よりも幾分か膨らみを持たせたトートバッグへと伸ばすと共に、サシェは包装の上に一旦置いておき。トートバッグから取り出したのは、端先がくるくると巻かれたシルバーと緑のリボンを結んだ赤いラッピング袋。その中には、学生のお財布に優しいながら昔から広く愛される定番ブランドの大人っぽい渋い色味で使いやすそうな印象のブルーグレータータンのマフラーが入っていて。気に入ってくれるかどうか、どきどきそわそわと緊張した面持ちでそれを互いの間に両手で差し出しては、そっと覗き込むように小首を傾げ反応を窺って )
いちおう、使いやすそうなのを選んでみたんですけど…。
ありがとうございます、…たくさん使います。
( 当然の社会規範を満たすだけでもサンタさんの審査は通るらしく、依然貰う此方より楽しげな声色でクリスマスカラーのラッピング袋が差し出されれば、注意深い眼差しの注がれる中それを受け取り。この場での開封を期待するような空気に応えてリボンを解くと、赤色から姿を現すのは落ち着いた色味のタータンチェックマフラー。まずデザインを目で確かめると共にブランドロゴを視認し、肌触りをぽんぽんと手のひらで確かめ、最後に畳んだまま首元にあてがって、ようやくその柔らかさに安堵したかのごとく表情を和らげて礼を紡ぐ。こと好きなものに関しては世辞を厭う口で『使う』と言ったからには本当にこれからの時期活躍するはずで、丁寧にプレゼントの体裁へと戻しては、もう一度全体を眺めてから視線を相手の顔へ。そうして投げ掛けた問いはもし彼女から同様のものを返されたなら「水瀬さんは子どもだから駄目」と容赦なく言い切ってしまうことだろうが、まもなく始めた仕事では心なし筆の運びも軽やかになって )
…けど、やっぱサンタさんの来る歳じゃないんで、これは水瀬さんからのプレゼントだと思っててもいいすか。
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(/ 仕事まで飛ばしてしまっておりますが、まだやりたいことや言いたいことがあったのに…!な場合は続けていただいて構いませんので◎ ※蹴り推奨 )
どういたしまして!
( 気に入ってくれるかどうかとリボンが紐解かれていくと共に緊張が増していけば、気付けば祈るように両手の指を組み。マフラーのデザインや触り心地を確かめ終えた彼の表情が和らいだのを視認しては、緊張が解かれ嬉しそうにふにゃふにゃと表情を緩め。以前プレゼントしたイヤーカフのように、実際身に付けている姿を見られる日はそう遠くないだろうか。自分からの贈り物で少しずつ飾り付けられていく彼の姿を想像しては、ツリーみたいだなあなんて思ってしまったりして一人ふふふと小さく笑っていると。サシェはサンタさんからの贈り物で、これは彼自身からの贈り物ではないことになるような問い掛けには慌てて「それならわたしも、これは傑さんからのプレゼントってことでも…!」と主張するものの、すぐに子ども扱いをされては双眸をぎゅむっと不等号にしながら「もうすぐ卒業するもん!」とちょっぴり不満げに訴えるけれど、きっとこういうところ。やがてクリスマス用のヘアメイクが完成したなら、プレゼントを貰ってご機嫌なサンタクロースが配信ライブでみんなににこにこきらきらな笑顔を届けるだろうか。メンバーのみんなにも彼から預かったプレゼントを配り終え、開封したそれぞれが顔に喜色浮かばせ喜んだことを彼に伝えようかと。メンバー全員が赤と白で統一されたサンタ衣装から一転、白のショート丈のファージャケット、薄グレーのモックネックニットの胸元には小粒なジルコニアのネックレスをぶら下げ、チャコールグレーのミニ丈ボックスプリーツの足元には黒のロングブーツで締めた、モノトーン色の私服姿で彼を探しにメイク室の扉をノックし、中から返答があれば扉を開けるなりにこにこ嬉しそうに報告して )
お疲れ様です!あのね、みんなに傑サンタからお礼のプレゼントだよーって渡したら、すっごく喜んでました!
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( / 一緒に帰れるフラグがあったのでこちらもお仕事後まで飛ばしましたが、もし何か腹案をお持ちでしたらお好きに入れ込んでくださいね…! / 蹴り推奨◎ )
…──あ、水瀬さん。…よかった。
( スタジオでの撮影が終わり、メイク室の清掃も済ませ、あとは身支度を整えるのみという折。ノックの音に「はい」と振り向きもせず事務的な硬さで返事をすれば、扉の方から聞こえてきたのはまさに今からロビーで待とうとしていた少女の声で。荷物を纏めていた手を止め、振り返る姿は白のタートルネックカットソーに灰色の毛編みベストを合わせ、黒のスリムパンツとワークブーツで足元を飾ったメイク時と変わらぬ装いだけれど、傍にはこれから身に付ける予定のボルドーのダッフルコートと贈り物のマフラーが広げて置かれ。喜色の滲む報告を受けてこぼれた一言は勿論会話に沿った意味が大きいものの、相手がまだ帰ってしまっていなくて良かったという私的な意味も裏にひっそりと佇む。しかし現場が一緒だったということは帰る場所も同じ彼女達と帰路を共にするのだろうかと思い至っては、その時はそちらを優先してもらうつもりで端的に尋ね )
…、一人すか?
みんな、帰ったら早速飾るって言ってました。
( プレゼントを開封したメンバーの口からはおしゃれだとかセンス良いだとか称賛が飛び交って、わかる!と大いに頷きつつ、なんだか誇らしげに感じた今日の仕事終わりを思い返しながら朗らかに伝えていると。荷物のそばに置かれたボルドーに気が付きクリスマスっぽいなあなんて特別感を感じていれば、贈ったばかりのマフラーを早速身に付けて帰ろうとしてくれているのか広げてあるのを視認しては、贈った本人としては嬉しいことこの上なく、ほわほわ頬を色付かせて。ふいに一人か尋ねられ、彼にぱっと視線を戻しつつ反射的に「はいっ」と返事をすると、みんながいないことの語弊がないように慌てて付け加え。しかし最終的には置いてかれたため一人になったことを伝えては、なにも置いてかなくても…と視線を少し落とした先の胸元で人差し指同士を合わせるけれど、それは他のメンバーたちによる配慮によるものとは気が付かず。帰り支度がほとんど済んだ様子の彼へと視線を戻しては、これはもしかしてチャンスでは!と頭上に電球マークをぴこんと浮かべたなら、人差し指をしまい緩く握った拳を添えながら、淡い期待が滲む瞳を向けて小首を傾げ )
はいっ。あ…えっと、さや姉とかねねぽんは他のお仕事があるので、みんな揃った時に改めてお礼伝えさせてくださいって。でもわたし、喜んでたこと早く伝えたくって…他の二人はお腹空いたから先に帰るねーって、……。あの、えへへ、よかったら途中まで一緒に帰りませんか?
…あ、別に責めてるわけでは──…
( 問い掛けの言葉の足りないせいか、メンバーの名誉を守るかのようにそれぞれの用事が明かされ、相手だけがこの場に居る理由も浮き彫りになる。自身も彼女達の図らいには勘付くことなく、話を聞いて思うのは意外とさっぱりとした付き合いなのだなということと、相当腹が減っていたのかということくらいのもので。全員揃ってお礼に来ないことを咎めるなんて気は一切ないとこれまた寡言に弁解し、「陰ながら応援してますとお伝えください」と報告への返事代わりにサシェには刻まれなかったメッセージを同居人に託せば、次はその報告者本人へと声を届けようと。しかしそれよりも先に少女が誘いを口にしては、瞬き程の間があってから「…ん、帰ろうか」と僅かに柔らかくなった木漏れ日のような眼差しで応えて。コートを羽織り、マフラーはまだ腕に抱えて、扉まで進んだ後に隣を窺う横顔には、全てのピアスホールに着けられたストーンピアスと、軟骨部に輝くシルバーのイヤーカフが覗くだろうか )
水瀬さんも腹減ってる?クリスマスマーケットとか、興味あるすか。
わかりました、必ず!
( 伝書鳩のごとく今度は彼からメンバーたちへの言伝を授かれば、ぴしっと敬礼してみせた後のこと。一緒に帰ろうとの誘いに柔らかな承諾が返ってきては、「いいんですか!わあいっ」と嬉しそうに表情を綻ばせながら両手をぱちんと合わせつつ、見えない尻尾がぶんぶんと元気に振られているだろうか。今年のクリスマスは特別にいい日になるなあ、なんてつい緩む両頬に手を添えながら彼の後に続いて部屋を後にしようとしては、問い掛けに〝!〟と瞳をぴかり煌めかせては、もしかして一緒に行けるのかと期待を膨らませ、こくこくと元気に首を縦に振り肯定するとそわそわ小首を傾げ )
お腹空いてます、興味ありますっ!わたし行ったことないんですけど、この辺でやってるんですか?
そう。広場の方だから少し遠回りになるけど、それでも良ければ。
( 声より先に顔が返事を教えては、寒さに負けない子犬のように無邪気についてくる少女へ、待機時間にスマホから入手した開催地の情報を告げ。続けて「ホットチョコレート、ソーセージ、シュトーレン」と一歩踏み出すごとに食べ物に絞った売り物の種類までぽつぽつと零したのは、興味を引いて相手に頷いてほしいからか、はたまた更に腹を空かせようという単なる悪戯か。建物の出入り口まで到着し、外に出る直前で贈り物のマフラーを首に巻き付けて振り返ったなら、吹き込む冷気にさらされても温かさを失わないその表情に、先の列挙はやっぱり分かりづらく浮かれていただけかもしれなくて )
装飾もさすがに豪華だし、水瀬さん好きだよ、きっと。
問題ないです…!!うう、急にお腹空いてきちゃいました…。
( 少しの遠回りも好きな人と一緒なら苦痛ではないし、なによりクリスマスという特別な日に、プライベートでも一緒にいられるのだからもちろん全くの無問題。続いて列挙される食べ物単語たちには空腹感を刺激され、舌はすっかりその味を求めてくるくると小さくお腹が鳴り出したことは彼に気付かれているだろうか。その羞恥心で薄く頬を染めつつそわりと彼の横顔を横目で窺っていれば、外に出る直前に彼の首に巻かれた贈り物の姿に嬉しそうにまなじりを下げながら「はい!」と元気な返答を。外に出れば冷えた冬の空気が頬や晒された脚を掠めていくけれど、若さもある上にぽかぽか温かい気持ちだからひとつも寒くなく、心なしかうきうき弾んだ足取りで広場へと足を進め。道中、自身からの贈り物の装飾品で飾られていく彼の姿を、隣で口元を緩ませながらしきりに眺めるはずで )
マフラー、早速使ってくれて嬉しいです。えへへ、世界で一番似合ってます…!
水瀬さんの世界俺しか居ないでしょ。
( 相変わらずの大袈裟な褒め言葉へ仕方なさそうに眉を下げるも、謙遜する声は満更でもなさそうに。吐いた息の柔らかさは空気に溶ける淡い白色が可視化して、隣を歩く彼女へと伝えるだろうか。そんな和やかな雰囲気のまま寒々とした風景の中を歩けば、じきに見えてくるのは寄り集まった木の屋台と色とりどりのイルミネーション、そしてごった返す人の波。さすがに今日は普段以上の大盛況らしく、思わず足を止めると「やっぱ当日はすげぇすね」と半ば感心するように呟く。数秒別世界かのごとき賑わいを眺めた後、ふいに振り返って「…褒めてもらったばっかだけど、すみません」と断りを入れてから手を伸ばすのは首元のマフラー。するりと外してしまったそれの行き先はすぐ横の少女の元で、鼻の頭が隠れる高さまでぐるぐると巻き付けたなら、見て回る間くらいは少なからず素性を隠してくれるはずで。その他の変装は相手の裁量に委ねるとして、対策を講じた手を気兼ねなく繋いでは、限定デザインのマグカップ付きホットドリンクやクリスマスグルメ、クリスマス雑貨が立ち並ぶ暖色の灯りの方へと共に飛び込んでゆき )
…──よし。それじゃ、どれから行くすか。
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(/ 背後より失礼します。ちゃんと描写すると来年に割り込んでしまいかねないので、とりあえずお揃いマグカップだけゲットしてこのままぼちぼち〆に入ろうかと思っておりますが、いかがでしょうか?もし何か腹案やご要望があればご遠慮なくお伝えください◎ )
ほんと、人でいっぱい──…、
( きらきらと楽しげに光るイルミネーションとたくさんの屋台、予想以上の賑わいを見せる広場を前に、さながら遊園地に来た子どものように瞳を煌めかせていれば。振り向いた彼が謝罪と共にマフラーを外したことにきょとんと双眸を瞬かせたなら、そのマフラーは自分に。ぽかんと小さく戸惑いに開いた口元をマフラーが埋めていく途中で漸く変装のためかと気付いては、彼が寒くないか気になるし、喉の乾燥予防のためにも冬の間持ち歩くマスクを取り出そうかとは思ったけれど、そのまま自然に繋がれた手にどきっと心音を跳ねさせ。一気に頬や手のひらが温まっていくのを感じ、手元と彼とを交互に見遣り「てっ…」と何か言いたげに漏らすもマフラーでくぐもって。多分、人が多いから、迷子にならないように。子ども扱いしてくる彼のことだから多分そうだと言い聞かせながらも、心臓は素直にどきどきと鼓動を速め。鼻先まで覆われたマフラーが少し暑く感じるくらいには頬をほわほわと上気させつつ、きゅ、と手を握り返しては「て、手始めにソーセージっ…ぐるぐるのやつ食べたいです!」と、テーブル席で美味しそうにそれを食べる家族が目に付いたので早速屋台へと足を運ぶだろうか。事前に列挙されたシュトーレンにホットチョコレートはもちろん、チュロスだったりカヌレだったり甘いものをメインに限定グルメを堪能し。周りの人もグルメやクリスマスの煌めきに夢中になっているせいか、お揃いの限定マグカップが入った袋を持つふたりは大勢の来場者のうちの一組のカップルくらいにしか認識されていないはずで。雑貨が所狭しと並べられた屋台は見ているだけでも気分を高められ、スノードームやタペストリーなどあれこれ欲しくなってしまう中で、クリスマスの煌めきを閉じ込めたように、中に線の細いゴールドの雪の結晶が入ったオーナメントモチーフのイヤリングと出逢えばその煌めきを瞳に映し。荷物や限定マグの袋以外にも既にメンバーへのお土産のお菓子も購入した袋が提げられていて、総額少し…やや予算オーバーではあるけれど、数分ほどそのイヤリングをじっと眺め買うか買うまいか悩んだのちに購入の意志を固めては、イヤリングを手に店主へと呼び掛けて )
やっぱりこれだけは買っちゃおうっ…!すみません、これお願いします!
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( / わ、ついのんびりとした描写をしてしまっていました!クリスマスから年末まであっという間すぎて、もう30日だなんて信じられません…。ご提案ありがとうございます。30、31日と仕事のため夜のみのお返事になる恐れがあるので、そう進めさせていただければと思います!去年のクリスマスも楽しませていただきましたが、今回は本編内でということでまた違った濃密な楽しさと尊さで良いクリスマスになりました…!一足先に感謝を* / 蹴り可◎ )
夕飯入らなくなるといけないから半分ずつね。
( 隣から何かを訴えかけるような瞳が向けられるけれど、マフラーの壁の奥で声が不発に終わると視線には気が付かない振りをして、手を繋いだ理由は話さないまま。人混みで逸れないように、という純然たる動機は別段伝えたって問題にはならないものの、今の自分では言い訳じみて響くようで、その折に何かほんの僅かでも余計なものが混じってしまいそうで。ややあって握り返されたのを契機に賑やかな方へと歩み出せば、大いに楽しむ心意気の相手へまるで母親のような注意を促してから、ソーセージの屋台前へと進んでゆく。どうやら彼女はクリスマスマーケットをいたく気に入った様子で、興味津々の眼差しで店々を眺めて回り、甘い匂いに釣られに釣られ、最初は此方が手を引く姿勢だったのがいつしか手を引かれるようになり。それに伴って順調に土産の荷物も増えてゆく中、さすがに自制心が働くのか雑貨の購入には慎重になって、長考の末選び取ったのは雪の結晶モチーフのイヤリング。耳飾りをする印象がなかったために少し意外で、店主が会計処理とラッピングをする間につい「それは…自分用?」と横から訊くも、ふと視界の端に白いものが映って空を見上げて。タイミングよくちらちらと降り出した細雪は一瞬で広場全体の注目を集め、急に寒さを思い出しては温もりを求めるように無意識に手のひらを握り直す。訪れた時はまだ明るかった会場も薄暮れの時分となり、あたたかな灯りによって今は誰でもないただの影となった二人が、一枚の絵画のようにぼんやりとそこに浮かび上がるだろうか )
あ、…──雪。
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(/ 生き生き動くひな季ちゃんは可愛いし、ロルを拝読するのは楽しいしで詳しい描写嬉しいです* しかしこの時期はクリスマスから年末年始までの切り替わり早すぎますよね、毎年思います…。お仕事も大晦日まで出勤とのことで、本当にお疲れ様です。眠る時間は確保できていますか…?大変なようでしたら来年に割り込むのも何ら問題ありませんので…!そして、こちらこそ去年も今年も素敵なクリスマス回にしていただきありがとうございます。また幸せいっぱいの年越しができそうです!それではあと少し、最後までお付き合いのほどよろしくお願い致します…* ※蹴り推奨 )
はいっ、自分用です。…──わあ…。ホワイトクリスマスになりましたね!
( ピアス穴のない自分はお仕事でイヤリングを着けることがあるくらいで、一目惚れ以外にも多分アクセサリーの似合う人に──即ち大人な女性になりたいなんて潜在的な思いで、より惹きつけられたのだろう。こくんと首を縦に振り、選んだ商品が丁寧にラッピングされていくのを眺めていれば、彼の呟きにつられて上空へと顔を向け。賑やかな広場にちらりちらりと静かに舞い降りる雪に目を見張り、感嘆の声を漏らしていれば繋ぎ直された手にきゅんと胸を高鳴らせ、白い頬に燈るような暖かな赤に、じゅわ、と雪の結晶が溶け込んで。なんて素敵なホワイトクリスマスなのだろうと、ふわふわ嬉しそうな笑みを向け。『ありがとうございました、メリークリスマス!』と声掛けでラッピングされた商品を受け取っては、「メリークリスマス!」ほかほか温かな気持ちでにこやかに会釈し提げた袋へと入れる。薄暮れにより一層煌めきが映えるイルミネーションの中まだ帰りたくない気持ちはあれど、顔隠しに彼からマフラーを借り、自身ははしゃいだりきゅんきゅんと鼓動が速まったりで当然あたたかいけれど、雪がちらつくほど冷え込む寒空の下。マフラーを借りるのも、手を繋げるのも「いっぱい堪能したし、そろそろ帰りましょうか」と自身に言い聞かせるようにもしながら提案し、彼がそれに了承したなら広場出口までは手を繋いで向かおうか。会場の外で、きゅう、と最後に少しだけ手の繋ぎを強めてから手を離しては、自らマフラーを解くと今度は自分が彼の首へと背伸びしながら、自身の温もりと仄かなシャンプーの香りが移ったそれを巻き付けていく。マフラーを少しぽふぽふと整えてから踵を下ろすと、また〝デート〟の枠へと入れ込みつつ表情を綻ばせながらお礼を告げるも、寒かっただろうと声を掛ける眉は少しへにょと垂れて )
クリスマスデート楽しかったです!ありがとうございましたっ。それとマフラーも。寒かったでしょ。
隣にでかいカイロがあったんでそこまでは。…今の方が少し寒いくらい。
( クリスマスイブの宵闇に雪が降ったのはほんの短い間のことで、会場の外に出る頃には既に止みかけの状態。それでも高校生を遅い時間まで連れ回すわけにいかないので、彼女から離すまで此方も離さずにいた手が解けるのも、変装の用に預けたマフラーが直接首元へと返還されるのも流れのままに受け容れて。やや項垂れるような姿勢は少し腕を伸ばせばその中に華奢な体躯を閉じ込めてしまえそうに感じられ、じっと見下ろしていた額の辺りから更に視線を下ろした先、覆いから解放されたジルコニアの輝きと完成されたコーディネートへと注意を移す。「さっきの…今つけてみて」相手が踵を地につけるのと同時にふわりと退けるように耳まわりの髪へ触れ、暗に示すのは先程購入していた雪の結晶のイヤリング。特別何か意図があるわけでもなく、ただ今日の雰囲気に映えそうだと思ってのことだけれど、求めに従ってラッピングから透き通るアクセサリーが取り出されたなら普段の癖か自らの手で耳朶を飾り、「──…うん。…可愛い」と職業人の顔で掛け値のない称賛を。しかし鏡のない此処では本人が確認できないかと「写真撮っとく?」と尋ねたのが記念のツーショットと捉えられたとしたら、渋々ながらも今日の思い出が詰まった一枚を収めることになるだろうか。「俺も一緒に来られて良かったです、寄り道」と〝クリスマスデート〟は即座に〝寄り道〟へと上書きし、自身よりよほど寒そうな格好の少女から掛けられる気遣いには平然と手繋ぎで返してもらっていた旨を告げ。それから呟くように続けた一言が思ったより名残惜しげに響いてしまったため、さっさと歩き出すことで本心を掻き消し、送り届けた寮の前で「明日のパーティー楽しんで」と言い置いて別れた後は、やさしいフローラルの残り香が呼び起こす余韻に包まれながら己も帰途に就くはずで )
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(/ かなり詰め込んでしまいましたが、逆巻側はこれで〆とさせていただきます。お返事は任意ですのでどうぞご随意に…!感想等は後程、もしくは新年のご挨拶の後にお伝えさせていただきますね* )
( 今つけてみて、との言葉に素直に従いラッピングを解いたイヤリングを彼が攫っていけば、ほんのり淡く染まる耳朶に慣れた手つきでそれを飾り付けられると。いつも掛けてくれる言葉だけれど、まっすぐ正面から伝えられる称賛の言葉にほわほわと頬を赤く染めながらはにかんで。イヤリングを着けた姿を自分では確認できないものの彼が可愛いと言ってくれるのだから、きっと似合ってて可愛いのだろうと信じている。ふいに彼から珍しく写真の誘いがあれば、当然記念のツーショットを撮ろうとしてくれるのだと思って、瞳を煌めかせながら「撮る…っ!」と食い気味に返答しては、肩をぴとりとくっつけて無邪気にピースする姿が写真に収められ、いつも通りLINEで共有されたはずで。〝でかいカイロ〟扱いにもどこか嬉しそうにふわふわ笑いながら「いつでもあっためてあげますからね!」と手のひらを開いてアピールした後は、顔を晒したままでは寮へ送り届けてもらう道中は手を繋ぐことはなかったけれど、いつかまたカイロとして活躍する日が来るだろうか。寮の前に着きお礼を告げては、ひとこと言い置き去り行く背中にぶんぶんと手を振る度にイヤリングが揺れながら、綻んだ表情で彼を見送って )
はいっ!…傑さん、メリークリスマス!
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( / 素敵がいっぱい詰まった〆に高まりながらお仕事納めしてきました…!こちらも〆とさせていただきました。ラストは駆け足ながらもしっかりめいっぱい中身が詰まっていたので大満足です…クリスマスイベありがとうございました*
そして初っ端から寝落ちという失態の中、クリスマスイベの感想もお伝えしたいところではありますがひとまず新年のご挨拶を!
あけましておめでとうございます…!!大好きな逆巻さんと大好きな背後様とともに2024年を駆け抜けられて、楽しくて幸せであっという間でした…!気付けば3000レスも目前だなあと思いながらも、最初の頃は200レスでお祝いしていたのが懐かしいです。残り250レスで目前と感じるくらい、やり取りさせていただけていることに感謝です。2025年も何卒よろしくお願い致します* )
(/ こちらこそ最後まで幸福感たっぷりの新年に相応しい〆をありがとうございます…!終始ふわふわ嬉しそうなひな季ちゃんに癒され、心の温かさで背後もすっかり寒さを忘れました。プレゼントを渡せてファン宣言もできて、クリスマスマーケットにも寄り道できて、当初やりたかったことは全部叶えられたのですが、それの何倍も濃い内容にしていただいて、やはり背後様とやりとりしていると良い方へ良い方へ導かれるなあと。アイドルサンタなひな季ちゃんにも大人っぽコーデの私服ひな季ちゃんにも心掴まれましたし、ひなマイク芸(?)は相変わらず大好きだしで、逆巻も次は「いい子にしてました」って言えるように今年一年お利口にしていることかと思います。プレゼントのチョイスもさすがとしか言いようのないバランス感覚で膝を打った上、マフラーのおかげで手繋ぎも入れ込めて大大大満足でした…。またお仕事も無事に納められたようで何よりです、一年ほんとうにお疲れ様でした!
そして私からも新年のご挨拶を。あけましておめでとうございます。3000近いレス数ではありますが、去年のお正月のことも、これまでのやりとりの全部も、過去ログを見返さずとも思い出せるほど鮮明に記憶に残っております。ひとつひとつが大切な宝物で、こうしてまたひな季ちゃんと背後様と新年を迎えられて嬉しくて堪りません。今年も大好きです…!!2025年も何卒よろしくお願い致します* )
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( 最初に映るのは腕を伸ばした姿勢 / 不慣れに画角調整を / それから戻って炬燵へ足を入れ直し / リラックス感のあるアイボリーの部屋着セーター姿 / テーブルの上、画角の両端にはミニ門松が置かれ / その間に富士、鷹、茄子、松竹梅と縁起物の絵柄積み木を次々並べていって )…あけましておめでとうございます。この一年が、あなたにとって幸せの多い一年になりますように。…もし神籤運が悪かったら俺が上の方に結びに行くんで、呼んでください。( 言い終えると僅かに視線を彷徨わせて、そわ / 手持ち無沙汰に控えめに手を振ってみて )今年もよろしくお願いします。
( / 新年の開始に嬉しいお言葉の数々に早速ほっこりさせていただきました…*
背後様が褒めてくださるので私服コーデを考えるのが楽しいですし、背後様が考える逆巻さんのおしゃれコーデも毎度引けを取らずかっこいいので、いつも楽しみにしております。コーデだけでなく見所盛りだくさんで、ありすちゃんに向けていた穏やかな表情の余韻や好意を隠し慣れず動揺してしまう姿に、はにかんだ姿に母親姿()まで、たくさんの面を拝めて最高でした…!プレゼントはサシェだと予め聞いていましたが、メンカラ別のサシェ可愛い~!とメンバーの分にこにこしておりました() 似たようなものを見かけたらすぐひなファングッズと称して買っちゃいそうです。待機時間に密やかにイベント情報を調べているいじらしさや、早速マフラーを使ってくれるところ…更にはそのマフラーでぐるぐる巻きひな季にして手繋ぎデートへ昇華してくださったのは、天才でした…。より良い方向へ導いてくださっているのは紛れもなく背後様です…!「水瀬さんの世界俺しか居ないでしょ」とか「でかいカイロ」とかも好きフレーズでした。イヤリングを着けてくれたり写真サービスまで本当に隅々まで幸せに溢れたクリスマスイベ、改めてありがとうございました*
また労いのお言葉までありがとうございます…!背後様も一年お疲れ様でした*
こちらもひとつひとつ大切な宝物にさせていただいてます。背後様からの大好きも宝物です+゜.本当にいつもありがとうございます…!
割愛させていただきましたが、いつもの如くそれでも長い上記は全文蹴り可です◎ )
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あけましておめでとうございます!( ぱっと写るのは五つの顔で、スマホを持つ自身の手が画面外へ伸びているはずで / 周りの賑やかしい音が入り込み、石畳や鳥居がちらり映り込むだろうか / 自身の朗らかな新年の挨拶に続き、手を振りながら『あけましておめでとうございまーす!』 )今年もよろしくお願いします!( メンバー5人揃えて定番の挨拶で締め / かと思いきや / 着ていた白いもこもこダウンで数秒画面が埋め尽くされ、がさがさ音 / ぱっとスマホを上げたなら、少し静かな周りの音 / 人混みから離れた場所で、口元に手のひらを寄せながら八重歯を覗かせはにかんだ表情でこっそり )今年もいっぱい大好きですっ…!──…そうだ、お神籤。( ごそ、とダウンのポケットからお神籤を取り出しては / 大吉と書かれたお神籤を見せつつ無邪気に笑い宣言したなら、そこで動画は切られるだろうか )今から運気のお裾分けしに行きますね!
(/ クリスマスイベの感想にご挨拶へのお返しにと、嬉しいお言葉の連続で顔がお餅よりふにゃふにゃの背後です…。感情に言葉が追いつきませんが、こちらこそいつも本当にありがとうございます、の気持ちでいっぱいです…!これからもっともっと交流を重ねて、そのうち(勝手に)すぐひなファングッズで世界を征服しましょうね() そして個人的好きフレーズを背後様も気に入ってくださっていたりだとか、密かに期待していたマフラー巻きサービスを叶えてくださったりだとか、今回イベの以心伝心ポイントもばっちりでした◎
さらにビデオレター風新年のご挨拶まで同形式で返していただいて…!ファンサの塊すぎました…、何かの特典とかになるやつですこれ。メンバー全員揃った豪華演出だし、ふたりきり目線もあるし、運気というかもう幸せそのものをお裾分けしてもらった気分です。ありがとうございます…。
※上記全蹴り可です※
さてさて、まだクリスマスイベとお正月の余韻の残るところではありますが、次はいかが致しましょうか?
新年の節目にちなんだ振り返り系(かるた製作、難しそうなら◯◯大賞的なノリで選び出したり、単に振り返り雑談するだけでも)か、何かしらの小話系、久々にゆっくりノープラン雑談、はたまた本編を進めるでも。勿論これ以外でも構いませんので、何か今の気分に沿うものがあればお聞かせくださいませ…! )
( / お餅よりふにゃふにゃなの可愛いですし、もはや飲めそうな柔らかさで笑っちゃいました() こちらが紡ぐ言葉で幸せになっていただけて、私も幸せいっぱいです…とだけお伝えさせてください*
折角の新年なので振り返り系のかるた製作をしたい気持ちがあるのですが、2周年と3000レスがもう少しなのでいっそそこまで取っておくべきなのか悩んでおります…!背後様的にはいかがでしょうか?
それから、1/12ですが一日予定がありましてお返事が難しいかもしれません。ご承知おきくださいませ…! )
(/ その発想はなかった、確かに温存しておいてもいいかも…という気持ちもありつつ、周年にはそれこそ大きめのパロしたりフリートークしたり、3000レスには通例通りのパーティー仕様だったりとそれぞれのお祝いをするかも…という気持ちもありつつ、といった具合です。今はそんな元気がないということでなければかるた製作を推させていただきたいのですが、差し支えございませんでしょうか…?
12日のご予定も把握致しました◎ 浮かれて完全に忘れておりましたが、私も1/11~1/13の間はお返事が難しく…1/16も夜のみのお返事となってしまうかもしれません。ご迷惑をお掛けしますが、何卒ご容赦くださいませ…! )
( / やっぱりひとつひとつお祝いしたいですよね!傾向を見ているともしかして特大イベの時期が被っちゃうかなと思ってのことでしたので、先程のは聞き流しておいてください…!元気ならあります、かるた製作やりましょう…!
そちらのご予定につきましても了解致しました◎
この頃忙しく、いつも開始ロルをお任せしてしまって申し訳ないと思いつつとても助かっておりました…!僭越ながら今回はこちらからお出ししておりますので、よろしくお願いします* / 蹴り推奨◎ )
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……、えへへ、かっこかわいい。もう一回見よう…。( 炬燵のテーブル上にはカゴに入ったみかんの他に、画用紙やカラーペン / 前回の年越し半纏を着て炬燵に入りながら、はさみでちょきちょきとかるたサイズに画用紙をカット中 / 彼が来るまでは新年の例の動画を眺めては / 最後の手を振る箇所でいつもつい手を振り返し、頬ゆるる / もう一度再生マークを押そうと )
……、何か声が聞こえると思ったら…。( 彼女のものではない声が微かに漏れ聞こえる扉を開けば / その正体を知って安堵と喜びと羞恥と、その他数多の感情の綯い交ぜになった微妙な顔 / 斜め上から手を伸ばして「交代」と呟きつつ勝手に動画停止したのち / 対面側に移動して年越し半纏姿で炬燵に足を入れ、緩りと手のひらを差し出して )作業、まだ残ってたら貸して。
あっ…、ふふふ、やっぱり本物が一番かっこいい。( 動画再生が止められたなら、ぱっと顔上げ / じ…と見つめた後に、ふにゃりと破顔しながら独り言のように呟き )あとちょっと、これ切るだけです。( ほんの数枚の画用紙とはさみを差し出された手のひらに乗せ )
じゃあ好きなだけ見てて。( 手のひらに乗せられた画用紙の軽さに「早いすね」と洩らしては / 相手には休んでいてもらおうと聞こえていた呟きへの返答を / 職業柄手先を使う作業は落ち着くのか、集中して無言でちょきちょきちょき… / 終わり頃になって思い出したように口を開くと、伏せていた顔を上げ )…そういえば、選び出す対象は本編だけに限らず全部で大丈夫すか──
!( 嬉しそうに瞳を煌めかせては / 素直に言葉通り受け取り、テーブルに頬杖を突きながらふわふわハートを浮かばせ / ゆるく上がる口角 / ふいに視線が戻ってくると、質問ににこやかに答え )全部で大丈夫です!予定通り〝かわいいのまほう〟にちなんで選び出すのでよかったですか?( 頬杖を突いたまま小首をこてん )
( 正面の甘い瞳と視線がぶつかれば僅かに目見開き / 本当に見てたのか… / と声には出さないものの表情が物語って )…ああ、それなんすけど。頭文字から考えるのと、入れたい言葉から考えるの、どっちがいいかなと思って。〝かわいいのまほう〟で行くなら前者なんすけど、特に制限なくとにかく好きだったフレーズとか場面とか挙げてった方が俺らの話は盛り上がるすよね、たぶん。…代わりに未完成になる可能性も高いけど。( 同じサイズにカットした画用紙を手の中でまとめ、テーブルを使ってとんとんと揃えつつ / そのまま一旦端に置いて意見を伺おうと問うような眼差しを向け )
好きだったフレーズも場面も、いっぱいありすぎて未完成確定です…!だって用意した紙じゃきっと足りないもん。( 困ったように双眸をぎゅむ、手で両頬を包み込んで / 端に重ね置かれた紙をちらりと見遣り / えへへ )でも絶対楽しい!それにしましょう!( 無邪気な笑み浮かべながら、カラーペンが入った箱を開き )じゃあまずはわたしから、記憶にも新しいこれですね…!わたしの世界、傑さんでいっぱいなんだから仕方ないですよね。( 紙を1枚目の前に置いて、黒色ペンを手に取り / 丸の中に〝み〟 / 〝水瀬さんの世界俺しか居ないでしょ〟と続けて書き込み、周りを黄色のペンできらきら )
読み札無限のめちゃくちゃ難しいかるたになりそうすね。( 一拍置いて「そっちか」と得心と共に笑み溢し / 乗り気な相手につられるように自身もカラーペンに手を伸ばして )言った…、絶対そんなエフェクトのつくテンションじゃなかったけど。( 直近のことでさすがに覚えがあるらしく / 美化される一幕へとりあえず程度に苦言を )じゃあ俺も一旦近いところから──、あと趣向が少しずれるけど、このトピックを語る上で重要なワードも。( 伏せていたカードを順に捲って開き / 〝とっ……倒置法やめてください~っ!〟〝たった一人の観客へ向けた単独ミニライブ〟〝ここ、です。…でした〟 / 更に手札を配るように3枚追加 / 〝七色の光を閉じ込めた煌めきのひとしずく!白色担当、水瀬ひなです〟〝にこにこきらきら〟〝ポメ季〟 / ※文字の色分け情報はご要望があれば後程…! )
絶対難しい…はずなのに、背後なら不思議とさくさくできちゃいそうで怖いです。( ふふ / 苦言には「好きフレーズだから輝かせておきました」と誇らしげにしていれば )…わ、わ。いっぱい出てきた!えへへへ、なんか照れますね、これ。…わたしも、この時の傑さんの返しも好きですよ。( たくさんの自分に関するカードを目の前にはにかみ / 文化祭の時のフレーズを指でなぞっては / 〝ありがとうございます、…ました。〟をお返しに書き / 〝I am your fan.〟〝…俺、やっぱり好きです。アイドルやってる水瀬さんが。〟〝ペンライト代わりのメイクブラシ〟を続けて新しい紙に書き記し )…ふふ、ほんとポメ季お気に入りですよね。メタ季から始まったんでしたっけ、汎用性が高い名前~って。( ちら、とカードを見遣り / くすくす笑みを溢しつつ懐古に浸ると / 初期の頃を思い返しつつ、〝あんぱんのヒーローみてぇな倍率〟〝逆巻猫〟〝猫発見bot〟と次々開かれるカード / 猫関連には肉球マーク / ※色分けはこだわりたいポイントがある時くらいで大丈夫です…! )
…確かに。こっちの背後も現状ピンと来てないのないっぽいし、怖いすね。( 言葉とは裏腹に口元は緩い弧を描き / 手加減なしに難しくする心算で )…うん。俺もさっき気付いたんすけど、この企画って過去の発言を掘り返されて形にされるわけで──…( 照れくさそうな相手に共感を示すと / 皆まで言わずとも分かるだろうとばかりにそこで切って / 決まりの悪そうな表情を浮かべた後、気恥ずかしさを堪えるようにそっと目を閉じ )こうして見ると一続きのセットになってるフレーズも結構あるすね。…あ、俺あれも好き。( 並べたかるたをざっと見渡し、気付きをぽつり / それに触発されて紙を2枚準備しては〝スイカ、あちが割って、わたしが切り分けたんですよ。おいしいでしょ〟〝よく割れてるしよく切れてるすね〟を追加し )汎用性の高い名前の中でも『ポメ季』はもう概念だけの存在じゃないすからね。ポメラニアンの話題が出だした初期の頃はまさかあんなことになるとは。( 犬の日交流のことを思い返して感慨に浸るように / ならばと〝ポメ季〟の札にも肉球マーク / ついでに〝にこにこきらきら〟の札には仕返しのきらきらエフェクトを )
ふふふ、わたしたちの背後は無敵そうでなによりです!( 嬉しそうに双眸を三日月に細め )羞恥心に耐える大会でもありますね…!でも、楽しいです。──…あ、わかります!わたしもそれ好き!( むん、と唇を引き結びながら含羞に染まる頬 / 結局は楽しいという着地点に落ち着き、にへ / かるたを取って遊ぶように、海での撮影イベの一幕かるたに手のひらぺちっ )ポメ季はお互いの背後の個人的流行語大賞になったくらいですもんね!傑さんの背後さん、やっぱり言葉遊びと選びの才能ありすぎて大好きだなあ…。あ、これもトピックを語る上で外せないワードですよ!( ペンを人差し指代わりに、ぴっ / 増えゆく肉球マークが可愛くてにこにこ頬緩め / きゅきゅ、とペンを走らせ書き込んだ〝可愛いの魔法〟カード / メイクブラシにリップにハートマークにきらきら、カラフルに彩って )
遊ぶ側だと無敵なんすけどね。作る側となると「どうしても足跡と被る…」って難しい顔してたす、さっき。( 現在進行形で両肩に手を置いて揺さぶってくる影を徹底的に無視して / どうしたらいいすかこれ、と目顔で正面に尋ね )…そっか。じゃあ大丈夫そうすね。( 恥ずかしさのダメージがあまり深刻ではなさそうな様子を見て取り、ほっと肩の荷が下りるように / すす、と伏せたまま相手の前へ差し出すのは〝──…っい、いくらでも食べてください、わたしのこと…!〟の発言と〝傑さんはわたしのことお持ち帰りしていいですよ、…なんて〟〝…食べ物じゃないひとは食べません〟のやりとりが書かれた札 )海撮影イベの時は特に色々あったし色々話したから、まじで紙足んなくなる…。( 手に持った複数枚の札を眺め、悩んだ末に交流の足跡と被らない〝…なっ、なんでもないです!あの、目にごみが入ったのかも!〟〝…ああ、結構染みるすもんね、潮風〟〝よそ見してるとは余裕だな~!?〟の3枚を提出 / 完成への配慮なのか自身の台詞は〝け〟の字が丸で囲まれていて )…そんなとこまで見つけて褒めてくれんの、ひな季さんと背後さんくらいすよ。意識したところも自分で気付いてないところも全部気付いてくれる2人が大好きだって、その人からの伝言です。…その後にも何か言ってたけど、長いんで割愛しました。( ばっさりと自己判断 / これでもかと装飾された札に「そうだ、一番忘れちゃいけないやつ」と深く頷くと / 思い出したように「…あ、〝ひなマイク〟も欲しい」といつもは見えないそのマイクを文字を書いた紙の隅に描いて )
あはは、被ってもいいですよー。いっぱい好きなんだなあとか、印象に残ってるんだなあって思って嬉しくなります!( 双眸をぱち、と瞬かせたあと破顔し / 口元両サイドに手のひらを添えながら影に呼び掛けるように / にっこり )?──…あ。えっと。こ、こんなこともありましたね…っ。( 伏せた状態で差し出されたカードを捲り内容視認しては、じわり頬を染め / やっぱり恥ずかしくて、双眸きゅ / 染まる頬をカードで隠していればふと思い出蘇り / 〝赤鼻のトナカイ〟〝あ、血ですね、いくらでもどうぞ…!〟〝あー…、ストロー挿さんないんで無理すね。〟のカードを提出 / 〝ち/す〟にそれぞれ丸を付けて )これ、わたしも好き!ねねぽんがそっくりそのまま返されてたの、もうおもしろくって。海撮影イベは好きフレーズが豊作ですよね!( 同調するようにまたぺちぺち / ころころと思い出し笑いしながらペンを走らせ / 〝図星〟〝うそ。いいよ、べつに見ても(←見せてくれなかった!)〟〝正直者のしるしを流れ星に〟〝相合傘警察〟 / 図星にはもちろん星マーク、それからコメントつけてみたりして )っ…!えへへへ、わたしも二人ともいっぱい大好きだもん。こっちの背後も、二人とも大好きーって!なんかいっぱい言ってます。( きゅーん!と2倍のときめきに胸がいっぱいで / 幸せそうにまなじりを下げ、ゆるゆるな両頬を手で包み / 「ひなマイクもお気に入りだからうれしいです」とにこにこ )
( ばっと両手を上げて大きく3回頷いたのち影は消滅 / それを確認すると、また目顔で彼女へ感謝を伝えて )本編外になると背後たちが普段より好き勝手するから──…。…ちなみにあの赤鼻まだ置いてあるんで、使いたい時はいつでもどうぞ。( 同情するようにフォローを入れたかと思えば / 補足情報でやはり好き勝手させようとする流れに / それから双方から思い起こされる前年のハロウィンの分も追加〝お、美味しくないですよ、わたし〟〝…それは食ってみないと〟〝魔女壺には〝ホレ薬〟と悪戯描きのペイント〟 / クリスマスの件も含め「いつも食べる食べないの話してるな…」と俯瞰してぽつり )この辺の密度すげぇすね、レス数で言ったら6レスくらいの間の話でしょ。…俺ほんとひな季さんの図星好きで。( 並べられたカードからその時の情景がありありと浮かび / ふっと優しい息遣いで控えめな思い出し笑いを / 紛れ込ませるようにそっと中へ移動させるのは本編では両者とも知る由のない〝ケーキ入刀じゃん…〟 / 砂のケーキと木の枝を文字の真下に )…ふ、あんまり喜ばせてるとかるたになるすよ。( 真っ直ぐな好意につい素直に表情綻ばせるけれど / 女子ノリには混ざれず / 返す言葉は謎の脅し文句 )
ここで使うって言うと思うツボになりますね…!?って考えつつも使ってみたいので、次のクリスマスにつーかおっ。( はっ…としながらも案外ノリ気で、語尾に音符マーク弾ませ / いつもわたし食べられたがってるみたい… / カードと呟きでふと感じれば「今度はわたしが食べますね!」と謎の意気込み / 拳ぐっ )確かにすごい密度…、お返事来るのも書くのもすごく楽しかったのも納得で…──ふふ、ツボが似通ってるからやっぱり被っちゃいますね!( レス数を聞けばびっくり口元に手のひらを添え / 優しく控えめな笑い方も好きで、ふわふわ雰囲気にお花咲かせ / 以心伝心に嬉しそうに表情綻ばせつつ / 〝…俺もやるんすか〟〝やるんす!〟〝初めて水に入る猫のような水遊び〟〝ヤドカリハプニング〟などと書き連ね / 「ケーキ入刀も以心伝心でしたね」とくすくす )!……ふふふ、先にかるたにされるのは傑さんでした。( 双眸をぱち / 脅し文句がツボに入ったのか柔らかな笑い声漏らしては / 〝あんまり喜ばせてるとかるたになるすよ〟を書き記したカードをぴらり )
意外と乗り気でびびる…、アイドル的に有りでいいんすか、あれは。( 思わぬ前向きな姿勢に提案した此方が戸惑い / パブリックイメージを守るべきか迷って / 対してマンネリ防止策には「いらない、そのチャレンジ精神」と即答 / 手首から握って丸まった紙でも伸ばすように拳を開かせ、遅れて「っていうか食べてないし」と誰にともなく弁明を )30%くらい海撮影イベかるたすね、今のとこ。…でも大体全部ひな季さんが挙げなかったら俺が挙げてた。( 増え続けるフレーズに全体を見遣れば、一つのイベントの支配率にまた小さく吹き出し / しかし挙げられたものには一切の異存なく / そろそろ次に移ろうかと提出するのはその前回イベント分 / 〝また一緒に行ったら買えるね!〟〝一緒じゃなくても買えるよ〟〝だってそういうテイストですもん〟〝……わたしはいつでも歓迎ですけど。ねっ〟の4枚 / 取り札がその場面の写真になるであろう完成形を考慮し、イラストは省略しておいて )…、迂闊なこと言えねぇな…。( 突きつけられた札に目ぱち / してやられた、とばかりに視線を横方向へ )
え?わたしは全然。( 戸惑っている様子に、笑みを浮かべたまま不思議そうに小首傾げ / 即答には思わず「わたしには食べられたくないですか…!?」と小さな衝撃マーク浮かべるも / 拳を開かれつつ「たしかに…」 )あ、船上パーティーも懐かしい…!ツボが似通ってるからこそ、わたしは他のイベントから引っ張ってきた方がいいかなあって思いはするんですけど、このイベントも好きフレーズが多くて多くて…!( 同調するように首を縦に振り / うんうん! / 並べられる札を見るなり、またテンションは高まって表情を綻ばせると / 〝なんか、大丈夫そうって思うじゃないですか〟〝…雛鳥…。…じゃあ、俺以外には油断しないでください。〟〝うう、やっぱり…。でもでもわたしは、そのうち「彼女です」ってはっきり言ってみせます…!〟〝だから広まったらどう──…ん?今のは違うか…〟と止まらぬペン先 )えへへ、最新ほやほやの好きフレーズができちゃいました。でも傑さんへの〝好き〟は、いつも更新されてますよ!( 頬杖を突いてふわふわ緩む頬を支え )
全然なんだ…。( あっけらかんとした返答にぽかん / しかし彼女が使えば順当に可愛らしくなるのかもしれないと思い直し、少しの逡巡の後「…じゃあ、楽しみにしてます」 / 咄嗟に上がる失意の声には「そういう話じゃなくて──」とまともに応じるも、話題自体が云々と説明すればよりややこしくなるのは明白で / 結果、開かせた手のひらを次はくるりと上向きに返させ、そこに蜜柑を置いて「…俺まだ甘くないから」と濁し )ひな季さん多分全部のイベントでそう言うでしょ。( 確信めいた口振りで言うのはきっと自分もそうだから / 走るペン先を追っていると中には意外なものもあったようで「思ったより刺さってたんすね」と独り言のように呟いて / 印象深いダンスシーンを〝月夜のダンス〟としてかるたに残し、ついでに本編外で踊ったダンスも〝見よう見真似のダンス〟として提出 )…………、( 迂闊なことが言えないので無言のまま / 紙に書き付けるのは今し方の〝でも傑さんへの〝好き〟は、いつも更新されてますよ!〟 / 最新ほやほやの〝好き〟を記録するべく、その横に括弧書きで現在時刻を秒数まで / 最後に時刻へ『×2』を添えてぴらり )
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