匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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…声まで美人、名前まで美人、か。( 既視感のある反応にぽつり / 言われ慣れたためか取り立てて快も不快もなく / 歌でも詠むように「永瀬のひな季さま」と静かに反芻しては / 最初はおもしろく眺めていた過剰なほど丁重な扱いにも少々飽き始め、悪戯心から何もないところで躓く振りをして相手の方へとよろめき )ぅ、わっ……。
?…──姫さま、( ぽつと呟いた言葉に、何か気になるのかと微かに小首を傾げていれば / ふいに何かに躓いてしまったらしい彼女がこちらによろめいてくると、衝撃マーク浮かべ / 咄嗟に椿餅の袋を持っていた手を差し伸べては、繋いだ手で彼女を引き寄せるように抱き止め / とさ、と袋は地面に落ち / 心配そうに眉尻を垂らしながら垂れ衣の奥を覗き込み / あたふた )大丈夫ですかっ…?すみません、わたしったら何か見落としを…!
…ひな季さま。落としてる、大事な椿餅。( 両手で支えられると、同じ笠の下に入った相手の表情がよく窺え / 上流の子女らしからぬ慌てように更に擽られる悪戯心 / ふと屈んで地に落ちた椿餅の袋を拾って渡し / 偽物の憂い顔で、袋に彼女の手を沿わせる拍子にその甲をさらりと撫でてみて )この菓子みたいに、私のこともひな季さまが運んでくれたらいいのに。
え、…あ!ありがとうございます──…それはさすがに、( 落としたことに気付かされると、また衝撃マークをひとつ浮かべ / 袋を拾ってもらうも手の甲を撫でられれば仕草にも表情にも、どき / しかし溢れた彼女の願望に神妙な顔付きになれば / 気が付かなかった! / はっ…とした表情でほろり言葉溢し )名案すぎません…?すみませんがこれはそのまま持っていてもらえますか、…では失礼しますね、かぐや姫さま。( 今し方受け取ったばかりの袋を彼女に持たせては / 一言添えてから、ひょいとお姫さまだっこ / そのまま歩き出して )
…、えっ。うそ──( まさか本気にするとはつゆも思わず / 意味が飲み込めずに一拍置いて素の驚駭が表れると同時、足元に浮遊感をおぼえて / 最初こそ恐々としがみつくように腕を回していたものの、じきに慣れたのか大人しいながら幾分か肩の力の抜けた様子で / 無事に屋敷まで運ばれ、ようやく地に足をつけては、信じられないような目を相手の方へと向け )…どんなご令嬢だよ…。
舞が得意なので体力には多少自信が。持続力はありませんが…えへへ…。かぐや姫さまが軽くて助かりました!( 屋敷に着きひと働きを終えれば、ふう、と額拭う素ぶり / ふと視線に気が付けば、褒められてるわけでもないのにはにかみ笑い浮かべ / むしろ彼女の軽さに信じられないような目を向け )それにしてもほんと、羽根のような軽さで…もうちょっと食べた方がいいですよ…。そうだ、椿餅食べましょ!さあさ、中へどうぞ。( 門番に話し掛け開けてもらえば、座敷へと誘導 / 〝女子会するから〟と部屋の周りは人払いを頼み )
はあ…多少、自信が…。( 何でもないことのように語られる事柄に追及する気も失せ / かくいう自身も月の住人というファンタジー存在 / 助言には軽く両腕を広げて体付きを確かめた後、「ひな季さまだってそう変わらないのに」とこぼして / 先導に従って門をくぐれば、名家に相応しいお屋敷を瞳の動きだけで見回し / 使用人に椿餅を手渡したなら、通された座敷へすぐさま器に盛られたそれと茶が運ばれてきて / それからそっと笠を外して側へと置き )お邪魔します。…ここがひな季さまの部屋?
( 〝変わらないかな…?〟と持ち上げた袖から覗く腕を見つつ / 座敷へ辿り着き間もなく使用人から茶菓子たちが運ばれてきては、礼を告げると使用人たちは言いつけ通り部屋から離れていくと )いえ、これは客間で。急にわたしの部屋へ通されても困りませんか?( つい先刻知り合った仲なので一応、と / 一握りの常識持ちつつ畳の上に座れば / 器に盛られた椿餅を手のひらで指しながら、にぱり )さ、どうぞどうぞ。覗き見る女性も求婚する男性もいません…ごゆるりお寛ぎください、かぐや姫さま。特にこの椿餅は絶品で!( 人様へ勧めておきながらひと足先に二股の竹串で椿餅を刺せば、ぱくり / 幸せそうに緩む頬に手のひらを添えながら )えへへ、とても美味しいので…!
…?特には。( そんなこと気にしたこともなかった、とでも言うようなきょとん顔 / 脇の甘い性格 / 使用人が去って二人きりとなった空間の静けさは故郷を思い出すようで / なんとなしに外を眺めつつひとつ息を吐き出せば / 勧められるまま椿餅をぱくり / 絶賛も頷ける味に瞠目すると、口元に手を添えて小さく呟いた後、相手と目を合わせて通じ合うように頬を綻ばせ )…!たしかに、これは絶品…。
それじゃあ次に遊びに来てくれた時には、わたしの部屋で女子会しましょうね!( 次があると信じてやまないまなこ / きらきらと煌めかせ / 椿餅を口にした彼女から賞賛を得ると、満足げに八重歯を覗かせ )でしょでしょ、歯切れよくくどすぎず何個でも食べられそう、な…──。( 彼女がふいに見せた笑みに、とすっと心を射抜かれ / 一瞬時が止まったような / 彼女の手をそっと両手で包みこめば / 自然と口からまろびでて )わたしと結婚しませんか。
はいはい。( 誘いに応じるか否かは気分によるところが大きいため、確約はしないおざなりな返事 / すっかり魅せられてもう一口と竹串に伸ばした手を掬い上げられれば / 「──…は?」ここには覗き見る女も求婚する男もいないけれど、「求婚する女はいるのか…」 / 呆れ気味に呟いた後は相手を値踏みするようにじっと見据えて / やがて打算を終えると、覚悟を確かめるようにひとつ尋ね / もしそれに肯定が返ったなら、「じゃあ何か面白いことして」と大雑把な無茶振りをするだろうか )…どうしても私と結婚したい?
はいっ、頑張って幸せにするので──…え?( まさか同性相手に求婚してしまうなんて / 言った後にどうしよう…と汗をだらだら / そこへ彼女から問い掛けがあるとすぐに返答するも続く無茶振りに、きょとん / 「おもしろいこと…?」生まれてこの方受けたことがない無茶振りに神妙な顔付きで反芻し / 手を握り神妙な顔付きのまま考えるように斜め上、左右、下へと思考とともに顔を向け )おもしろい、こと……。
一生を共にするなら芸の一つくらいできる相手じゃないと。( 当惑する彼女の反応を、見逃すまいとするかのごとく注意深く眺め / つんと乙に澄まして高慢な台詞を放つも、何を見せられたところで求婚に応じる気はなく / 催促するように眼前に落とされた言葉を拾い上げて繰り返して )おもしろいこと。
芸…っ、そんな犬じゃあるいし…。( 衝撃マークを浮かべては / 人差し指同士をつんつんと合わせながら、ぽつりと小さな小さな反抗心 / ほぼ犬です / 困ったように双眸をぎゅむむと瞑ったのちに絞り出したのは )ちょっと待っていてください!( 徐に立ち上がっては、たたたっと自室へと向かい / ほんの数分後、使用人の驚く声や止める声のなかスパーン!と再びこの部屋の戸を開けては / おしろいで顔を白くさせた出立ちで部屋に戻れば )いかがでしょうかぐや姫さま!〝面〟白いです!……、どうか、どうか笑ってやってください…。( 勢いこそ良いものの、ふるふると羞恥で震え出しては / おしろいの奥を赤く染め上げていけば、ぱたっと三つ指つきながら頭を垂らし )
……、面白くない。…けど、それが面白い。( 開け放たれた戸から現れたおしろい塗れの顔に呆気に取られ / 沈黙に耐えかねた彼女が頭を垂れてから動き出せば、目の前で膝を折って容赦のない一言 / しかし直後に意見を翻し、顎に添えた人差し指で掬うように顔を上げさせた先には、仄かながらも確かな笑みがあって / 犬を褒めるように「よしよし」と顎の下を撫でやり )──また遊びに来るよ、ひな季さま。…笠、借りても?( 自分が満足したなら唐突にすっくと立ち上がり、どことなく機嫌良さそうに先程は保留にした約束を交わすと / 行きと同じく帰りも運んでもらおうかとたくらむも、〝面白い〟顔を見て考え直したようで )
( / さくさく進められそうと言っておきながらお返事が滞っていてすみません…!風邪を引いてしまい頭が回らないため、ちょっとおやすみをいただきます。回復次第すぐ来ますので今しばらくお待ちください…! )
(/ しばらくお返事が難しいとのこと、把握致しました!毎度のことながら丁寧なご連絡をありがとうございます。月でも眺めながらぼんやりとお待ちしておりますので、どうぞこちらのことはお気遣いなくご養生ください…* ※蹴り可 )
あう、辛辣…──?( 容赦ない一言に表情は伏せたまま、がーん! / 穴があったら入りたい思いで伏せたままでいればふいに細い指先に顎を掬われ、眉尻垂らしながらきょとん / 仄かな笑みと視線が合えば、訳も分からずどきどきと胸を高鳴らせながらされるがままで )…わっ、待っ、送っていきま──…きゃあ!( 送るのに、と自分の顔のことも忘れ慌てて立ち上がれば / 自身の着物の裾を踏み付け、ぺしゃっと転び / そこで漸くおしろい塗れの顔のことを思い出しては、このままでは外に出れないと墓穴を掘り / あたふた )そ、その笠っ…かぐや姫さまにあげます、いつでも遊びに来れるように!来てくれなかったらくれなかったで迎えにいきますけど!
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( / お返事お待たせ致しました…!中秋の名月・満月ともに見られたでしょうか。もう少しイベントは続きますがよろしくお願いします…* / 報告のみなので蹴り可です◎ )
…なんか、色々と危なっかしくて、あんまり長いこと目離せねぇよ。( 転ぶ姿を尻目に淡々と笠をかぶっては / 特に手助けするでもなく再び正面に屈み、今日を振り返ってしみじみと / 自身が様子を見に行くのが早いか、相手が迎えに来るのが早いか )笠のお礼に、次は私が化粧でひな季さまを地球一綺麗な顔にしようか。あとは市にも行きたいし、藤棚も、屋形船も…1日入れ替わるのも面白そうだな。( お礼と言いつつ完全に私欲 / 以降も指折りながら願望だけを一方的に連ね / 「結婚の話はそれから」と意図的に果てしなく長いお預けを食らわせて )
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( そうして交流と無茶振りを重ねるうちに、故郷からの迎えの日が近付いて / 日ごと満ちてゆく月と募る彼女への慕情に、憂いを帯びた表情で夜空を見上げたなら / 待ち合わせた屋形船の前で垂れ衣を静かに揺らして )
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(/ お加減はいかがでしょうか、体調を崩しやすい時期ですので引き続きご自愛くださいね…* そしてお月様はよく考えたらうちの部屋からは見えませんでした()かぐや姫パロ、ざっくりと最終日まで飛ばしてしまいましたが、描写したいシーン等があれば時間を巻き戻していただいても大丈夫です◎
ついでにご連絡となりますが、9/24から9/27辺りまでは仕事の都合でバタバタしてお返事が滞るかもしれません。何卒ご容赦くださいませ…!それではまた改めてよろしくお願い致します。※蹴り可 )
かぐや姫さまっ、お待たせしました!( たた、と駆け寄っては風の抵抗で笠が外れ首後ろに掛かり / はあっ…と息切らしつつ、少し乱れた髪のまま垂れ衣の奥を覗き込んでは / 愛おしげに双眸をゆるりと緩ませ )…今日もとっても綺麗ですね、お月さまみたい。さ、乗りましょうか。( 屋形船に乗るべく手のひらを差し出し )
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( / まだ風邪気味っぽくはありますが、熱感はすっかりなくなりましたので大丈夫です。背後様におかれましても、お気を付けくださいね…! あとお月様のオチに笑っちゃいました、あとで個人的にお月様昇らせておきます◯*
また事前のご連絡ありがとうございます、承知致しましたのでどうかご無理なさらずです…! / 蹴り推奨です◎ )
だったらひな季さまはお日さまだな。…心なしか匂いもそんな気がしてきた。( 垂れ衣の隙間からひょっこりと覗いた顔に自然と表情柔らかく / 少し顔を近付けてすんと鼻を鳴らせば、冗談混じりに笑んで / 差し出された手を取って舟に乗り込んでは、離さず握り合ったまま腰を落ち着け / ゆっくりゆっくりと逃避行のように流されてゆく最中、ふと思い付いていつもの無茶振りを )…ひな季さま、踊って。音楽はないから、歌いながら。
( 日を追うごとに和らいだ雰囲気になる彼女にますます惹かれて、きゅん / 乗船中〝におい…〟と気にするように反対へ顔を向けながら、くん、と袖を嗅いでいると / いつもの無茶振りにそちらを向けば二つ返事で快諾 )ふふ、お任せください。…ね、今日はかぐや姫さまも一緒に踊りませんか。( 腰を上げるも手を繋いだままで / 彼女の前で跪いては小首を傾げてお誘いを )
…舞なんて踊ったことないけど。( 完全に観客側のつもりで腰を上げる相手を追っていれば、思わぬ誘いにきょとん / 無論未経験 / しかし別れの日が近いことも相俟って握った手を離し難く / 結局自らもそっと腰を上げて )…ひな季さまが手取り足取り教えてくれるなら。
もちろんです!わあいっ…!( ぱあっと表情綻ばせると / 嬉しそうにゆるり手を引きながら、十三夜月が照らす甲板へ出て / 笠はその辺に立てかけ、背後から彼女の両手を柔く掬い取ればほんの基礎の動きを身を寄せながら教え )──…動きはこんな感じで、指先はしなやかな動きにしたら舞っぽく見えるので…、うん、このいろはだけ覚えてもらえれば。歌は即興なので、えへへ…あとは流れに身を任せて楽しみましょう!…──( 無邪気に無意識の無茶振り / 無の三拍子 / 苦情が来る前に、竪琴を奏でるように穏やかな声音で歌い始めては / 最初は後ろから彼女に寄り添い誘導するように舞うと、次第に背から離れて向き合うように舞うだろうか )
初心者に出す指示じゃねぇだろ…。( 雑な教えにぶつくさと文句は垂れつつも、ここで伝授し切れるほど簡単な芸事ではないことも承知していて / 相手に身を委ねて舞い始めると、向かい合ってからは見様見真似で / 難しそうに顰めていた表情も次第に柔らかく解れてゆき / やがて彼女の歌が終われば、ひと呼吸ぶん置いて決心を固めたかのように静かに笑み / 夜空に浮かぶ十三夜月を指して、「故郷」と三音だけ )…ひな季さま。私、もうすぐ故郷に帰らないと。
( ぎこちなく覚束なかった彼女の足取りはいつしか馴染みはじめて / 羽化を見るような舞はやはり心奪われるもので歌声もなんだか伸びやかに、舞は軽やかに / はあ、と微かに息を切らしながら終焉を迎えては )──…ええっ!そ、そうなんだ……もうすぐっていつ頃ですか?寂しくなりますね…そういえばかぐや姫さまの故郷ってどこなんですか、わたし遊びに行きますよっ!( 瞳をまんまるにして衝撃マークを浮かべながら驚いては / まさか故郷が月だなんて思わず、空へ向かって指差されてはある程度遠いところとは把握したつもりで / 気軽に遊べないとは理解すると、しょんぼり眉尻を垂らすもののすぐにぱっと明るく切り替えて拳をぐっと握り )
…だから、故郷。月。( どうやら理解していない様子の彼女に、伸ばしたままの腕を揺らして再度示し / 遊びに来て、という無茶振りはさすがに口に出せず / 代わりに「めげないな」と優しい吐息混じりにこぼせば / 輝く月の方へと顔ごと眼差しを向け、事実だけを淡々と述べてゆき )──…あそこの姫だったんだけど、うさぎに靴履かせて、流刑になって。でも明後日で満了だから、迎えが来る。
月?…あはは、そんな御伽話みたいな──…え、本当に?( 反芻しながら双眸をぱち / 冗談かと思って握っていた拳を解き、ひらひら上下に振りながら笑うものの / 月を見る彼女の横顔が冗談じゃないことを物語っていれば、神妙な顔付きに )うさぎに靴…。( 流刑理由の可愛らしさに、ほわりと一瞬表情緩むけれど / それで流刑なんて厳しい世界だと表情引き締め直しては、迫る期限に瞳を揺らし )え、え、明後日?お迎えって、どうやって。…それは、絶対、帰らなきゃいけないですか…?( 空回るような笑みを浮かべながらも、眉尻は垂らして今にも泣き出しそうで / 引き止めるように、ぎゅっと彼女の手を握り )
…帰らなくていいのなら、帰りたくない。ずっとここにいたい。…ひな季さま、ずっと私と一緒にいて。( 手を握られてそっと振り返った瞳が惑うように揺れ / ぎこちない泣き笑いの顔に触発されて、押し留めていた想いが洩れだすように本心をぽつぽつと紡げば / 月の民の非情さをよく知るからこそ、最後の願いはか細く縋るようで / 遠慮がちに温かな指先を握り返し )
──…っ、わたしでいいのなら、ずっと一緒にいさせてください。かぐや姫さま、大好き。( 握り返された手を、そうっと引き寄せては温もり確かめるように頬にあてがって / それからゆるりと繋ぐ手を両手へと増やし / 彼女の額に自身の額をこつんと合わせると、互いの両手を祈るように合わせあって )
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( ひどく綺麗な満月の晩に、無情にも迎えは来てしまい / 引き止める自身を家臣のような人物が食い止め、争っても押さえ込む力には叶わず二人を決別させて / 一人残された庭先で、はらはらと涙を溢し )──…かぐや姫、……。あの、ちょっとみんな聞いていい?どうやったら月まで行けると思う!?わたし、かぐや姫さまのとこに行かなきゃ、向かいに行かなきゃ…っ!( こうしちゃいられない / 永瀬家総出で、月への行き方について模索する日が数日続くだろうか )
…っ、か、帰る。帰るから、そのひとには──( いよいよ月へと帰る日、精一杯の抵抗を試みるも、彼女の押さえ付けられる姿を目にしては長くは続かず / その折に肩へ天の羽衣を掛けられると、全ての感情がリセットされたかのように途端に表情が抜け落ち / 最初の頃以上の無感情で別れを告げ、粛々と迎えの馬車は来た道を引き返して )さようなら、ひな季さま。
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…ひな季さま。私も──…( 元の生活に戻って数日、何の気なしに地球を眺めていれば、ふと胸の奥に温かいような切ないような想いが疼くことに気が付き / 自覚すると同時にそれはみるみる膨らんで / 一粒の涙と共に自然と言葉が溢れ、次はうさぎに何を描き足してやろうかと勢い付いて立ち上がるけれど、既に己の姿が何者かに報告されていて再びの流刑が決定し / 次の満月の夜、焦がれた地に降り立ったその足で彼女の屋敷へと駆け出して )
( がらくたばかりの部屋の中心で一人、ぽつん / 月へ行こうと、あれやこれやと羽衣に似た布を集めた痕跡だったり / 飛び道具にしようと大きな扇を作った痕跡だったり / めそめそと涙で袖を濡らし )かぐや姫さま、逢いたいです…。
( 門番に顔を晒せば屋敷の扉はすぐに開かれ / まっすぐ彼女の部屋まで駆けて行くも、中からすすり泣く声が聞こえてははたと手を止めて / 一時他の部屋へと忍び込み、とある物を無断で拝借すると / 改めて開いた戸から現れるのは、白い面を顔の前に翳した姫カットウルフ / 月が満ちるようにそっと面を退けた奥に、静かな微笑みを湛えて )…── 〝面白い〟です、ひな季さま。…どうか笑ってください。
…──ひぇ、( めそめそ啜り泣く部屋の戸が開くと、家の者が開けたのかと思って顔を上げ / 白い面にぴしっと固まっては、ひゅっと息吸い込み / しかしその面が退かされた顔に瞠目して )えっ、なん、かぎゅ…っ~~!( 驚きのあまり〝なんでここに〟なんて言葉も上手く紡げず / 彼女の名前も盛大に舌ごと噛めば、口元を押さえてぷるぷる痛みに堪え )
…、相変わらずだな…。( 思わぬタイミングでの思わぬハプニングに、今度は此方が驚く番で / 少し跳ねた眉を仕方なさそうに下げては、相手の真正面まで進んで膝を折り / 「ひな季さま」と声を掛けつつ両手で頬を包んで顔を上げさせれば、何の前触れもなくふいに唇へと口づけて )…ただいま。
( きゅう、と自爆のダメージに耐えていると / 眼前に来た彼女に顔上げさせられたと思えば、ふいに口付けを受け双眸をぱちぱちと瞬かせ / 数秒の硬直後、ぶわ、と頬赤く染めてはすぐに瞳に溢れんばかりに涙浮かべ / ふにゃりと眉尻も口角も下げ )──…っ、お、おかえりなさい…っ!( 両手を広げ、飛び出すように彼女へ抱き付いて )
( か細い体では胸に飛び込む相手を支えきれず、いとも簡単にこてんと床に押し倒され / けれども彼女のことはしっかりと腕の中に抱き留めていて / ぎゅっと抱き竦めるように力を込めてから、数秒後横向きになって緩めると / その響きに焦がれるかのごとく、眼前の唇を指で柔く突いて )…──今度は噛まずに言える?
( 本物だとこの手で確かめるように、優しくもぎゅう…と抱き締め / 畳の上で混ざり合う月と夜の闇の色の髪 / 突かれた唇を柔らかく綻ばせては、小さく頷いてから愛おしそうに彼女の名を呼んで )えへへ…かぐや姫さま。大好き。…きっと幸せにするから、わたしと結婚してくれませんか。( 唇に触れた指先に自身の指先を絡めると / 額同士をそっと合わせ、瞳を見つめながら何度目かわからない求婚を口にして )
( ようやく呼ばれた自身の名にほっと安堵するように目許を綻ばせ / 聞き飽きたはずなのに毎度新鮮に己を満たすその言葉へ、浮ついた心のまま応えようとしたところで / 静止し、視線を横にずらし、戻して「条件がある」 / いそいそと体を起こすと、彼女にもそうするよう空気で促し / 小さな咳払いの後に戻ってきた経緯をつたなく説明して )…私は、天の羽衣を着せられても、月に連れ戻されても、変わらずひな季さまのことが好きで──…大好きで。それが月の民に相応しくないってことでまた流刑にされて、ここにいる。( 慎重に丁寧に言葉を紡ぐ様子はまるで告白で / 一拍置いて「だから、」と続ければ、いつも通りに無茶振りを )…またいつ連れ戻されても帰って来られるように、ずっと私にひな季さまを、好きでいさせて。
( 「条件」と反芻しては双眸を瞬かせ / 雰囲気を察して起き上がるとその場に正座し、ごくり / 静かに紡がれていく言葉に耳を傾ければ / そんなに想ってくれていたなんて、と頬をじわりと染めるも / 再度の流刑と聞けばまた月に帰ることを察し、懐かしい無茶振りに顔を下へ向け )…ふ、ふふ。──…地球と月だなんて、未だかつて聞いたことない規模の遠距離恋愛…。( 微かに肩を揺らしながら堪えた笑い声を溢せば / 両手をお互いの間の畳に突くと、ずいっと身を乗り出して )もちろん、任せてください!ずっとずっと、好きでいてもらえるように頑張るから、傍で、そして月からも見ててくださいね。( いつものように花が綻ぶような笑み浮かべ )
…ひな季さまならそう言ってくれると思ってた。( その心の機微を僅かでも見逃すまいとするかのごとく、伏せられた顔を控えめに覗き込もうとした、次の瞬間 / 軽やかな笑い声が洩れだすと、一点の曇りもない表情が近付いて、きょとん / それからつられるようにふっと面持ちを和らげて / こつ、と柔らかく額をぶつけたなら / 長らくの保留にようやっと返事を )…うん、ひな季さまだけ見てる。──末永くよろしくお願いします。
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(/ かぐや姫パロ、ありがとうございました…!上記のお返事は任意です◎ パワー系ご令嬢のひな季さま、昔話の世界へタイムスリップしても相変わらず魅力的で、振り回したり振り回されたり、とっても楽しませていただきました。また、いつもと様子の違う逆巻を動かせたことも、誰にも憚ることなく甘やかな交流ができたことも新鮮でした!二人の幸せな行く先を願うばかりですね…* )
( / これ以上の綺麗な締め方が思い浮かばなかったので、一つ前でこちらも〆とさせていただきますね。こちらこそかぐや姫パロありがとうございました*
高嶺の花ぽいのにちょっと口の悪いかぐや姫な逆巻さん、とても刺さって良かったです…。面白いことして、の無茶振りには背後共々頭を悩ませましたが、意表をつけたようで…() ひな季に対するかぐや姫の感情の振り幅をたっぷり楽しめたのも良かったです!ずっと幸せでいてほしい二人でした…。
上記蹴り可です◎
この頃夜にしかお返事できずすみません…!臆病な少女幽霊の小話はいかが致しましょうか?本編に戻るでも大丈夫ですので、ご都合のよろしい方を選んでいただけますと幸いです。 )
(/ あまり上手く動かせた自信がありませんでしたが、そう言っていただけて安心致しました…!面白いこと、のくだりも、舞を披露するだとか精一杯の変顔をしてみるだとかを予想していたので、斜め上のアンサーに感嘆と笑いの両方がもれました…さすがすぎる…。
お返事については本当にお気になさらず…!私もこれから頻度や時間帯が安定しないことが増えるかと思いますが、何卒ご容赦ください。そして臆病な少女幽霊の小話の方、恐らくやれる時間はあるだろうとは思いつつ、様子見で一旦本編を進めるというのはいかがでしょうか?もし今このタイミングが望ましいということであれば、もちろんそれでも構いませんのでご遠慮なくお伝えください◎ )
( / 変顔も考えていたのですが、捻りがないかなあと思って考えているうちにあんなことに…。ダブルの反応があったようで嬉しいです*
早速仕事でばたばたしていてお返事遅くなってしまいました…お待たせ致しました。背後様の返信事情につきましても了解致しました、変わらず無理ないペースでやっていきましょう…!
一旦本編で大丈夫です◎ 次は文化祭イベということで、大変恐縮なのですが開始ロルの方をお願いしてもよろしいでしょうか…? )
( 季節変わりの涼風に乗って、学生達の浮ついた声が校門前まで届いてくる。この場所には以前も訪れたことがあったけれど、好奇の眼差しにさらされた先日とは異なり、今日ばかりはハイトーンの頭髪も私服も自然な風景の一部でしかなく。顧客の通う高校の文化祭など常ならば誘われたとて行かないものの、彼女がミスコンに出場することになったとかで多少メイクアップの指南を施したため、こうして教え子が優勝する瞬間を見に来た次第で。杏色を基調としたレトロ柄のシャツに黒のドレープパンツ、いつかと同じやや厚底のローファーから時折くすんだ緑の靴下を覗かせ、ゴールドのリングを左の人差し指に一つだけ。至近距離まで寄り合ってやっと分かるほど仄かに苦いベルガモットティーの香りを纏いつつ、よく通る声とクレープの甘い匂いを頼りに売り子をする少女の元へと辿り着いたなら、メニュー表をざっと目で浚った後、とりあえず一番高いものを注文して )
お疲れ様です。…えぇと、苺ショコラをひとつ。
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(/ いつも展開やら何やらたくさん考えてお返事してくださってありがとうございます* 毎回もれなくツボです…!
こちらもお待たせ致しました…、開始ロル置いております。何かご質問ご提案ご相談あれば、いつでもお呼びくださいね。それではいよいよの文化祭イベ、よろしくお願い致します!※蹴り可 )
次の方どうぞ──…あっ、お疲れ様ですっ!…じゃなくていらっしゃいですね、えへへ…苺ショコラですね!
( 現役アイドルが売り子として立っていれば人の入りは上々で思いのほか忙しく、そろそろ交代の時間ながらクレープに並ぶ列は途切れなくて。別に自身がクレープを作っているわけではなく、ミスコン前でメイクはしていないながら巻き下ろした髪に両サイドのサイドの髪を編み込みにした姿で、長袖の合服の袖を捲り男女共通の淡いピンクのふりふりエプロン姿で会計と商品の受け渡しをしているだけなのだけれど。順調な売れ行きな上にこの後抜けても同じクラスである〝ねねぽん〟がいるから余裕で完売の目処が立っていれば、打ち上げが豪華になりそうだとクラス全体はやる気に満ち。次に待つ人の注文を伺おうかとしたなら想い人の登場に、見るからにぱあっと更に煌めいた表情で迎え入れ。ついいつもの癖で挨拶を返してしまうもののあくまで販売側なことを思い出しては、はにかみながら訂正しつつ注文を受け付けたところで『ひなー、そろそろねねと交代…、あっ』と肩を叩き知らせに来たねねぽんが彼に気が付けば、数拍の間の後に彼女の目の奥がきゅぴんと光り。『こんにちは!じゃあひなのお客さんはここまでだから、ちゃんと最後まで接客してよね。ここからねねのお客さんだから!』「えっ?あ、じゃあ…あとはよろしくね」いつものわがまま風に見せかけ、以降の客を彼女が担うことになるとぐいぐいとその場から押し退かされる時にこっそり『ひなが作ってあげたら喜ぶんじゃない?』と一言添えられ。それは名案…!とばかりにこくこく頷いては「苺ショコラ少々お待ちくださいね!」とやや意気込んだ声音で彼に告げると教室奥のクレープ作り班に混じり、やがて彼の前へと持ってきた手にはクリームたっぷりチョコソースたっぷり、ハート型に切ったいちごを乗せた特別仕様のクレープで )
お待たせしました、苺ショコラです!…着替えてくるので、これ食べて待っててくださいね。
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( / うう、すみません…二夜連続寝落ちしてしまい遅れました…!開始ロルありがとうございます。今日も逆巻さんがおしゃれで好きですし、一番高いのを選んでくれて、もしや売り上げに貢献しようとしてくれてるのかなあとほっこりしてしまいました…。
文化祭イベもよろしくお願いします! / 蹴り推奨◎ )
こんにちは。さ──…ねねさんも同じクラスだったんすね。
( はにかんだ少女へ親しげに近寄る人影は揃いの制服とエプロンを身に付けた女子生徒で、見覚えがあるなと直感すると同時にピンク色担当アイドルの姿が結び付けば、あちらも自身の顔を覚えていたらしく挨拶を交わした次の句、プライベートでの呼称に迷って彼女の一人称をそのまま借りて。二人がクラスメイトだったことはおろか、メンバーと同じ高校に通っていたことすら知らなかったと小さな衝撃を覚えている間に、海辺で見せた強引さで客の分担の話が纏まったようなら、交代の売り子へ「頑張ってください」とだけ残し、「メイクさんも!」という不可解な応答を背に列から外れ。そこで待つこと少し、やがて供された苺ショコラは一目で特製と分かる盛り付けと割り増し具合で、今は主に〝ねねぽん〟に向いている周囲の注意がこれに向いては事だと、作製した張本人に苦言を呈する暇もなく隅の特設ベンチに腰掛けて早速大きめに一口。しかし意気込んで食べたのは最初だけで、教室内やら窓の外やらの非日常な空気に気を取られてついぼんやりとするうち、母親らしき人に抱きかかえられた幼子に何故かじっと観察されながら、待ち人の着替えが完了するのを待って )
…はい。早めに隠滅します。
傑さん、お待たせしました!…あれ?
( 着替えといってもエプロンを脱ぐくらいなのだけれど、脱いだエプロンを畳んでいる時、特別仕様のクレープが手渡されるのを見ていたクラスメイトの女子から『もしかして、彼氏?』とこそこそ聞かれては「お仕事で担当してくれてるメイクさんだよ、かっこいいでしょ」と自慢げに答え。否定から入らないのは、いつか堂々と〝うん〟と答えたいなあと思ってのこと。クラスメイトを躱しつつエプロンを自席へ置いては、スマホとお財布の貴重品を持って彼の元へ。きょろ、と周辺を探して見つけた姿は飼い主の元へ駆け付ける犬のようで、笑みを広げながら駆け寄ってはベンチに座る彼の顔を正面からきょとんと見つめ覗き込んで。がぶりと頬張ったのか無邪気に口の端にクリームを付けた顔があどけなく映り、可愛いと思えてしまえば、ふ、と表情を緩め徐に腕を伸ばす。口の端のクリームを人差し指の背で拭っては、自身の口元に持ってきてぺろり舐め取り、にへと緩い笑みを浮かべながら彼の隣に腰を下ろすと小首を傾げながら窺って )
ついてましたよ。いつかのお返しです、なんて…えへへ。クレープ美味しいですか?
っ……ん、美味いす。
( 大した時間も要さずに少女が自らの元へ駆けつけたこともあり、クレープはまだ上面が半分も減っていないところ。さすがにそのまま待機させるわけにもいかないだろうと膝の前に立つ相手に隣を勧めようとした時、幼子と似た不思議そうな視線が対面からも注がれては、柔らかな笑みと共に伸びてきた指が口の端からクリームを拐っていって。まるで気付いていなかったためにぎょっと目を丸くしたのは言わずもがな、じわじわと湧き上がる羞恥から彼女の問い掛けに睫毛を伏せつつ神妙に答えるのがやっとで。それからひと呼吸ぶん置いて少しずつ動揺が落ち着きだしたなら、つい先程聞こえていながら聞こえていなかった部分が不意に蘇り、数秒の思案もむなしく全くピンと来ていない様子で反復して尋ね )
…、お返し?
わあい、よかった!
( 美味しいと評価を得られると嬉しそうに表情を綻ばせ、スカートから伸びる脚の両脇のベンチの淵に両手を置きつつ少し覗き込むように体を傾げて、その愛情たっぷり(※盛り付けただけ)の特別仕様のクレープが胃に収まっていくのを見届けようかとしていれば。〝お返し〟にぴんと来ていない様子の彼ににこやかに説明しようとするものの、あの時の光景が脳裏に過ってはじんわり頬を薄く染めていき。自分でするよりもやられ受ける方が不思議なことによほど恥ずかしいようで、双眸を不等号にしながら俯きがちに前を向けば淡く染まる両頬を包んで誤魔化して )
はい、一緒に雑誌の撮影した時の──…お、覚えてないならいいです!お気になさらず…。
( 雑誌の撮影をした経験など一生に一度きり。相手の示さんとする場面がそこにあることはすぐさま割り出され、撤回の言葉もろくに聞かぬまま気儘に記憶を辿っていれば、「…あぁ」と声が洩れたのは今の彼女と当時の牧場のベンチに座った彼女の赤い頬が重なった瞬間。そこから前後の情景も徐々に鮮明になり、無邪気にソフトクリームを口の端につけた顔ももれなく思い出されては、かすかに口元を綻ばせ、再び伏せた双眸につい愛おしむような親しみを灯らせて。ぽんぽん、と近い方の腕で俯き加減の頭を撫でたなら、貴重な自由時間をクレープの消費に使わせるのも忍びないかと考えを改め、ついでに呼び方も改めて立ち上がり )
み──…ひなちゃんはもう回りたいとこ決めてんすか。
( 顔が赤くなってるかもしれない、と思って押さえた頬はぽかぽかで、合致がいったような呟きに彼の方も思い出されたのかと思えば羞恥心高まるも、軽く頭を撫で置かれてはきゅんと胸が高鳴って思わず彼の方を見る。優しげな眼差しがずるくて、好きで。その上ひなちゃん呼びまでされてしまえば、とすとすっと何本もの矢が心に突き刺さるのを感じその場で好きと伝えたくなるけれど、同級生がいたり不特定多数の来場者が周りにいたりするとなればぐっと堪え。質問に対して食い気味に且つ深く頷いて返しては、自身も立ち上がりながらにこにこ嬉しそうに表情綻ばせつつ案内するのは、他のクラスでやっている仲良し度チェックの館で )
っ…き、決めてます!あのね、二人でやるクイズっぽいのがあって楽しそうだなって思ってて。一緒にやりましょう!
( 二人でやるクイズ、と聞いて真っ先に思い浮かべたのは役割の分かれた協力型の謎解きだったけれど、件の教室前に貼り出された高スコア獲得者たちの仲睦まじげな写真を見るに、そうでないことは明白で。校内案内図を確認するでもなく、クレープを食みながら連れられたそこで行われているのはどうやらペア参加前提の出し物らしく、〝仲良し度チェック〟とキャッチーに銘打たれた立て看板の前には友達同士や恋人同士の高校生が短い列を成していて。浮いているという客観的事実から苺ショコラへと意識を向け続けていれば、手元に包み紙だけが残る頃に丁度呼び声が掛かり、ついに自分たちの番が回ってくる。中央にはとんがり帽子を被ってマントを羽織った司会者風の男子生徒が待ち構え、二つ設えられた机にはそれぞれA4サイズのホワイトボード。有名人の登場に「えっ」と一瞬切なげな声を上げた彼から、互いに回答を見せ合って本人が◯か×か判定するというかなり緩めなルール説明を受けたなら、手始めの「自信のほどは!?」の問いに消極的な回答をして。それから出題された『相手の誕生日は?』『相手の身長は?』には公式プロフィールの情報をそのまま書き、次ぐ『相手の血液型は?』にはやや悩んだ末、当てずっぽうでB型と書いて見せ )
…まぁ、クラスメイト程度には知ってるんじゃないすかね。
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(/ 背後より失礼します。仲良し度チェックは全十問、身長、誕生日、血液型、好きな動物、好きな食べ物、好きな教科、趣味、チャームポイント、将来の夢、好きな人(お互いの名前を答える想定のサービス問題)で考えております。こちらから入れさせていただきたいのは好きな食べ物くらいですので、他に「これ入れたい!」という問題がありましたらぜひ…!特になければ蹴り可です◎ )
( 一緒にやってみたかったのと、仲良し度の数値化に興味を惹かれたからなんて単純な理由で誘った〝クイズ〟の出し物。一緒に映画も観たし犬猫カフェにも行ったし、夏祭りや遊園地も行ったくらいなのだから仲良くて当然!の気持ちではいたものの、席に着き説明を受けるうちに不安が襲ってくる。というのも誕生日でさえこの前知ったくらいの知識量だから。あまりにも間違えると本当に好きなのか疑問にも思われそうで、自信のほどを窺われては「ええっと、ノーコメントで…」と少し消極的な回答をしては、なんで参加したのか不思議がる空気が司会者から放たれる中クイズが始まり。公式サイトにプロフィールを提示しているため誕生日も身長も順調に正解していく彼だけれど、こちらといえば身長で早速つまずく始末で〝170cm以上〟と書いて丸をもらおうとして。血液型は誤魔化す回答はできないため水性マジックを握り締めながら悩んだ結果〝A型〟と記し、互いにホワイトボードをオープンしあうと。そこに書かれていた血液型は間違いで本当はA型なのだけれど、教えてないのだから間違われることにショックはないものの仲良し度が下がることの方が今は嫌で、双眸を不等号にしながら事実を捻じ曲げ丸にしてみせようか )
……、わたしは今日からB型になるので、丸でっ…!
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( / 問題内容はそれで大丈夫です!◎ この仲良し度チェック、ひな季たちだけでなくある意味背後の記憶力も試されますね…!() 情報出したっけ、出されたっけと遡りつつ回答させてますが、もし既出の情報で間違っていたらすみません…! )
…ありなんすか、それ。
( 濁された意気込みとは裏腹に、少女はこの〝仲良し度チェック〟へそれなりの情熱を注いでいるらしく、第二問目からグレーな回答が記されていては「176くらいだったかな、多分」と頼りなく明かしてあとは司会に判断を委ね。彼は懊悩する素振りを見せるものの、アイドルの視線には抗えなかったのか疑惑の回答を有効とし、誕生日、身長については双方正解。次ぐ血液型では相手のホワイトボードを見て頷くけれど、自身の方へはそれがなく、悪あがきの詐称が目の前で行われると今度は誰に尋ねるまでもなくすっぱりと断じて。それから「本当は何型なんすか」と訊き、いつものように聞いておきながら「へぇ…」とさして興味なさげに反応したかと思えば、ホワイトボード上の黒をイレーザーで消しつつ何気なく「一緒すね」と呟くだろうか )
堂々と不正しないでください。
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(/ た、たしかに…!()おそらく逆巻側は趣味(映画またはメイク関連)くらいしか情報出していないかと…。あとは七夕に幼少期の夢として宇宙飛行士を挙げたのと、初期も初期に数学のお勉強を教えた程度でしょうか…?(ちなみに好きな教科は〝数学〟か〝化学〟が○に該当します…〝美術〟はミスリード枠なのですが、回答としては何を選んでいただいても!)好きな食べ物については事前にヒントを求めていただいても、回答〝特にない〟とかで「ちょっと前まではそうだったから正解」「今は?」「今言うと不正解になるかもしれないから後でね」のパターンでもご随意に。とにかく作問については95%くらいどさくさに紛れて情報収集したいだとかいちゃつかせたいだとかの私欲なので、あまり重く臨んでいただかなくて大丈夫です…!
それから直前のご連絡となって申し訳ありませんが、今日と明日、11日は夜のお返事が難しいです。何卒ご承知おきくださいませ…!※全文蹴り可 )
あぅ…今回はだめかあ…、…!
( 身長はなんとか有効としてもらえたものの、次ぐ血液型の質問にはさすがに双方からアウト判定を受けてはしょんぼりホワイトボードと双眸を伏せるけれど、血液型が同じと知れば嬉しそうに周りに花を咲かせた雰囲気纏わせ。次の好きな動物の問いには、そういえば…と動物カフェに向かう前の会話を思い出す。犬カフェと猫カフェのどちらが良いかを尋ねた際に、猫を選択していた記憶が蘇ると少々自信ありげに〝ねこ〟と肉球のイラスト付きでホワイトボードを向け。自分はというと更にもう少し前の思い出に遡り、DVD鑑賞の際にもふもふした動物が好きと伝えていたけれど、ここ最近はもっぱら猫派なことに多分彼も気付いているだろうから、彼のホワイトボードに猫だと書いてあったなら「花丸です!…加点とかってあるかな?…ない?ないかあ…」と残念そうに呟くはずで )
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( / 本編外でもお話しているのもあって情報が混じってしまいますね…思わぬ罠…() 情報提供ありがとうございます!ひな季の好きな教科はお伝えしてないはずなので、苦手な数学と対極にある現代語や体育が◯になります。好きな食べ物について、もしかして…!とうきうきしております。回答〝特にない〟で進めさせていただきますね*
ひな季の将来の夢については、メンバーみんなの夢である〝武道館にいくこと〟がありますが多分直接逆巻さんには伝えていなくて、ひな季個人の夢であり逆巻さんにしか伝えてない〝(傑さんの)お嫁さんになること〟がありますが、どちらでも…!
ご予定につきましてかしこまりました◎ こちらも会社の試験があり、ちょっと勉強しなくてはいけなくて9日の夜までお返事が滞りがちですがご了承ください…! / 全文蹴り可です◎ )
ん、…好き。
( 彼女の熱量も出し物の空気感も掴めてきた四問目。迷う余地もない出題にすらすらとマジックを走らせては、向かい合ったホワイトボードには『ねこ』で一致した回答が記されていて。大抵どの動物でも好きか嫌いかと問われれば〝好き〟に傾くため、相手のファンシーな板面には一音で肯いた後に〝大抵何でも〟を省略して正解の判定を付与する。対して此方の味気のない平仮名には花丸が与えられ、興味本位で「回答が一致してたら加点とかないすか」と少女に続く追撃を試みるも、司会が歯切れ悪く「今までそういう加点はしてこなかったので…」と答え、近くに控えるクラスメイトたちに目顔で助けを求め始めた辺りで大人しく撤退して。折り返しに差し掛かる第五問、『相手の好きな食べ物は?』には何を食べても幸せそうにする顔ばかり見てきたおかげで多少悩んでペンの尻を顎に当てて思考する時間こそあれ、浮かぶ場面に高頻度で出現するそれらに一定の確信を持って『甘いもの全般』と書き )
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(/ うっかり正解しちゃう分には描写外でそういう会話をしたのかも…!で逆に尊いポイントだったりします( こそ… ) 好きな教科は体育(もしくは音楽)かな…?と背後息子共に安直な予想をしておりましたので、そのまま体育と回答させていただきますね。好きな食べ物の回答も把握致しました◎ 将来の夢に関して、背後としてはお嫁さんと書きたい気持ちでいっぱいなのですが、逆巻はきっと無効判定していることかと思いますので、今回は〝トップアイドルになること〟とかでお茶を濁させていただきたく…。ちなみに正答率ですが、チャームポイントと好きな人では何を答えても逆巻がバツにしてしまうはずなので、血液型と合わせて70点以下は確定となります(双方正解で10点加点の形式)。点数が高すぎると感じられる場合は好きな食べ物の〝特にない〟を普通に不正解にしてもいいし、その他の問題で調整を入れていただいても!
お仕事にくわえてお勉強まで…!いつもながら大変ですね、合格をお祈りしております…* そしてお返事が大幅に遅れてたいへん申し訳ございません…!2日連続でちょっとしたお祭りのお手伝いをしていたらへとへとになって冬眠のごとく眠っておりました。これからは通常通りに戻りますので、何卒ご寛恕ください…。※蹴り可 )
( / 試験は無事終わり、ほぼ確で合格してるかと思います* 加えて普通業務がちょっと忙しかったもので、今日はこれ以上頭が回りそうにないので明日お返事させていただきますね…!
背後様におかれましてもお疲れ様でした!こちらもこんな調子なので、ごゆっくりお休みくださいませ…。 報告のみなので蹴り推奨です◎ )
大好きです!大正解で花丸ですねっ。
( 自身に向けられた言葉ではないと分かっているけれど〝好き〟との単語にはきゅんっと密かに胸が高鳴るものがあり、心が射抜かれる瞬間には、んん、ときゅっと唇を内側で食んで。彼もまた加点について要求を示してくれるあたりにも、仲良し度を上げたいと思ってくれているのかと自惚れてしまいそうになる。ふるふると一人首を振って挑む五問目。好きな食べ物に関しての内容には、以前に聞いたことがあるため自信ありげに直様ホワイトボードに水性ペンを走らせ〝特にない〟と記し。先に回答を終えた待ち時間の間、ホワイトボードから視線を上げ少々悩ましげな彼を見つめては、きっと自分のことで頭はいっぱいなのだろう今の時間が嬉しくてほこほこと周りに花を咲かせつつホワイトボードに隠れた口元を綻ばせ。ややあって晒しあった回答にはこちらからは花丸を示すも、堂々と彼へ〝好き〟を伝える機会もないせいかここぞとばかりに大好きだと主張するけれど、司会者である男子生徒には相当甘いものが好きなのだとしか伝わらないだろう。次ぐ好きな教科についての質問には頭を悩ませたのちに、クリエイティブ関連に興味を示す印象のほか綺麗なものが好きだったり可愛いを作り出す才能だったりの面から、ホワイトボードには〝美術〟と書き記して )
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( / お待たせしてしまいすみません…!ばたばたとしていたせいか、上手く言葉が出て来ずお返事に時間が掛かってしまいました…とはいえ上手く練れている自信もないのですが…!違和感だったりよく分からないところだったりございましたらご遠慮なくご指摘ください。
点数につきまして丁度よさそうですが、特にないでの返答を丸にしていただいても構いませんし気分で不正解でも構いません。どちらでもご随意に…! / 蹴り割愛ご自由に◎ )
……、少し前まではそうだったから、正解で。
( 加点はないと告げられた直後にも関わらず、先の問題同様に大袈裟に喜んで花丸をつける相手に好物を当てた安堵から表情を和らげるけれど。真っ直ぐに目を見て話す姿と耳慣れた言葉はまるでそれが自身に向けられているように錯覚させ、つい視線を早々と胸元に掲げたホワイトボードへと移す。迷いのない線で記された彼女の回答は『特にない』。以前なら率直に肯いたであろう食への関心の薄さだが、今そうしないのは皮肉にも変化の要因が自分たちが真に〝仲良し〟だったことにあるからで。一緒に地元へ花見に赴いた春の日、振る舞われた手作りのできたてハンバーグは忘れられないとまでは言わないものの、向けられた答えに違和感を覚えさせるには充分な味だったと言って差し支えなく。少しの思議の後、不利になる可能性があると理解しつつ変に正直な性格ゆえ含みのある言い方で判定を出せば、五問目はそれに則って加点と見做されるだろうか。そしてもし対面から仔細の追及があったなら、「今言うと不正解になるかもしれないから後でね」と点数に反映されない親密さを公衆の面前で披露するはずで。一方、六問目の学生らしい出題には悪意のない無情さで科目としての美術を両断し、主要教科のような勉強らしい勉強は好きではなさそうという偏見とアイドルのイメージによって体育と音楽に絞った末、前者を書きつけた筆記面をひっくり返して )
…いや、特には。
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(/ 試験とお仕事お疲れ様です…!合格確実とのことで、こちらまで嬉しくなりましたし、背後様の勤勉さに一層尊敬の念が湧き上がりました* ロルもいつも通り過不足なく読みやすい上に可愛らしくて、ほこほこしてるひな季ちゃんに私がほこほこしてます…。それでは、こちらは蹴っていただいて構いませんので、以降もよろしくお願い致します! )
えっ、いつの間に変わったんですか!?聞いてない…。ちなみにそれって何──…、
( 好きな食べ物に関して、自信満々に書き記した回答だったけれどいつの間にか情報がアップデートされていれば、衝撃マークを浮かべながら眉尻を垂らす。〝特にない〟から抜きん出てす好きな食べ物として昇格したものは一体何なのかもちろん気になるもので、そのまま聞き出そうとするものの、不正解になることを危惧して後でとされれば「約束ですよ」と、にこり笑み浮かべて首を縦に振り。六問目の回答にはそのままにこにこと再び花丸を認めるものの、こちらの回答を両断されては安定の〝特にない〟に、ちょっとくすりと小さく笑いが込み上げるものの「ぜったい美術だと思ったのに…!」やっぱり悔し気に双眸をぎゅむと瞑り。さて、終盤に差し掛かる七問目は、趣味。〝映画鑑賞・コスメ収集・メイクの研究〟と、キュキュとペンを走らせ迷いなく書いていき、複数回答がありなのか分からないものの、身長に関してあれで加点されたのだからいけるだろうと自信ありげに回答内容を前に向けようか。自身に関して彼は何と書き記したのだろう、相互フォローしているsnsには自分の写真以外に新作のスイーツだったりお菓子だったりをよく上げているため、恐らくそれのことか。あとは猫グッズ集めもはまっている。元々猫は好きだけれど、好きな人が猫っぽいと感じて以来、猫関連が気になるようになってしまったため、もはや趣味〝傑さん〟としたいほどでもあるのだけれど )
傑さんといえばこれでしょっ。
安直すね。
( 予想が外れて口惜しむ相手に、自身も安直にアイドルに関連する科目を導き出したことは棚に上げてコメントし、第七問目。彼女の口から明確にそれとして答えを聞いたことはないけれど、日頃の言動や過去の発言から趣味を推察することは難くなく、ペンを走らせ始めるまでの沈思の時間は六問目とさして変わらずに。snsか何かで猫のグッズがよく映るようになったことをファンに言及された際に〝最近はまっている〟と次の投稿で反応していたような記憶があることと、顧客である子役の話題になった際に『アイドルならわりと分かる』と主張していたことから、ホワイトボードに記したのは〝ねこ集め・アイドル研究〟。よく目にする自撮りに関しては本人曰くプロモーションの一環であるし、新作スイーツに至っては単に食欲がそうさせたのだろうと捉えて候補にすら上がることなく。開示された眼前の文字を追いきって「ぜんぶ合ってる」とひとつ頷いたなら、此方も耳にしたばかりの言い回しを借りて回答するも、順番を間違えたかもしれないと思い至ったのは言い終わった後で )
み──ひなちゃんといえば猫。…とアイドル。
やったあ!…3つ全部当たったんですけど、やっぱり加点はないのでしょうか…?
( 趣味の回答に挙げた三項目がパーフェクト正解となれば、やったあと弾んだ声を上げ喜ぶと、また司会を見上げて腰低くしながら尚も加点を求めるものの、『そういうのやってないんで…』と変わらぬ返答に残念そうに視線を前へ戻し。彼が出した回答もまた正解で、他の人なら自分を真っ先にアイドルへすぐ結び付けるところだろうがもはや彼の中ではわたし=猫となっているらしく、双眸をぱちりと瞬いた後に、ふ、と小さく笑ってから無邪気に八重歯が覗く笑顔で「大正解だにゃん」とふざけて言ってみて。猫といえば彼、ということ彼は分かっているのかは知らないけれど。残り少なく八問目、チャームポイントについてはイレーザーで消したまっさらなホワイトボードと少々悩まし気ににらめっこし。涼しげな目元もすっと伸びる鼻筋も、薄い唇も、柔らかな髪も白い肌にすらりとした魔法を生み出す指先も、装飾された耳も、自身にとっては全部チャーミングに映るのだから困りもので。苦悩の末にやがて書き記したのは〝目〟。普段マスクで隠れている顔も目元だけは見えるし、時々その目が優しく和らぐのがとっても大好き──と、気が付けばチャームポイントというよりかは彼の好きなところとして挙げていて )
これは難しい問題でした…。
…目?──…あ、いや。無いす別に、チャームポイントとかは。
( 此方の言に便乗した少女の戯れで和らいだのは教室内の空気だけに留まらず、真正面から受け取った自身もまたマスクで隠れない目元をそっと緩め。そしてその〝目〟が次の問題の回答として提出されれば、チャーミングとはかけ離れた存在のチャームポイント探しに苦悩したであろう果ての選択に意表を突かれたように瞬き、ややあって思い出したように判定を下して。よって第八問目は既に不正解へと転んだわけだけれど、司会の高校生から促されては拒否する理由もなく、出題後ノータイムで書きだした2文字を進行役と判定役の両者に見せる。頭の中にあったはずの相手の自認を答えるというゲーム趣旨は何処へやら消えていて、それを読み上げてから続けた台詞は、誰が聞いてもごく個人的な衷情でしかなく )
〝笑顔〟…が、俺はいちばん好きです。
ないの!?──…あ、いえ、すみません…。
( 回答に非常に迷ったくらいに魅力的な箇所たっぷりだというのに、さっぱりめに〝無い〟と断言されては、がたりと椅子を揺らしてしまうくらいには衝撃を受ける。ぱちくりと驚いた視線を司会から注がれては、こほんと咳払いをしながら椅子に座り直すも心の中ではこんなにも魅力があるのにと少し不服げに微かに眉尻を垂らすと。開かれた彼のホワイトボードと回答とする言葉に、黒目がちな瞳が僅かばかり見開かれればきらりと光が一周するように煌めくと、ぽぽっと頬を淡く染め。ゆるゆると緩む頬をホワイトボードで隠しながら幸せいっぱいに微笑むと「えへへへ、大正解ですね」なんて言うけれど、多分彼がなにを答えても正解としただろうし、彼に向ける笑顔はいっそう特別なものに違いなく。密かに司会者が彼の回答に同意するなか次ぐお題では〝将来の夢〟について挙げられると、既に彼は職に就いているしと少し頭を悩ませる。少しの間思案で時間を費やすと、〝今の職業か、宇宙飛行士〟と書き記し )
( 何か物言いたげだった面持ちがころりと蕩けるような笑みに変われば、目を奪われでもしたのか次の出題までに些か不自然な間が空いて、司会に水を向けたところでようやく第九の『相手の将来の夢は?』が読み上げられる。しかし一般の高校生用に考案された問題は、互いに夢を叶えたからこそ巡り会えた関係性の自分たちに別角度の難問として降り掛かり、その当惑を共有するかのように相手の方へと視線を投げ掛けて。笑みの気配はすっかり消え失せ、真剣に頭を回しているらしい表情に正解を導き出したい気持ちはふつりと湧くものの、卒業後もアイドル活動に専念すると聞いていたこともあってそれ以外のイメージ像がどうしても浮かばず。正確にはホラーロケのご褒美と称して出掛けた日の帰り際に耳打ちされた言葉が過らないこともなかったが、即座に却下し、結局なったからには頂点を目指すのではないかと己にはない上昇志向からホワイトボードには〝トップアイドルになること〟と書いておいて。手堅く事実から引っ張った少女の回答に「…よく覚えてたすね。将来の夢だった、でいいなら、どっちも正解」と微かな驚きを露わにしつつ丸を付けたなら、直前に見た自身の字面に影響されてか、最終問題の『相手の好きな人は?』には作問者の計らいも知らずほぼ脊髄反射で〝逆巻傑〟を排除して〝浅倉玲さん〟と答え )
──…最後のはさすがに間違えようないな。
( 二人のふんわりした回答内容や正解の可否に徐々に慣れてきている様子の司会は、彼の言葉を聞きそれを正解と認め、彼が出した回答に「合ってるは合ってますけど…」ともう一つ大きな〝お嫁さんになる〟という夢があることを少々不満げに唇を尖らせ含ませるものの、『じゃあ九問目、両者正解ということで…』と最終問題にいよいよ移る。明らかなサービス問題に作成者の意図に気が付いては、ここは当然自分の名前を書くのがセオリーだろうと〝永瀬ひな季〟とペンを走らせていくけれど、少し考えた後に点と最後の字を消し〝水瀬ひな〟と書き替えて。そしてお互いに回答をオープンしあっては、彼のボードに書かれた名前を見るなり衝撃マークを浮かべ双眸を不等号にしながら意図を訴えて。今までの参加者で最終問題をクリアできなかったペアはいなかったため、司会も予想しなかった展開に『えっ…』と動揺した様子を示し。この時点で加点はなしなのかもしれないけれど、もし彼がこちらの回答を正解と認めようとしなければ「前に水瀬ひなが推しって言ってくれたじゃないですか」と拗ねたように唇を尖らせるだろうか )
──…す、傑さん、これサービス問題ですよぉ…!普通自分の名前書くとこじゃないですか!まあ玲ちゃんは好きだけど、好きなんですけど多分今じゃないです…!
…、その発想はなかった。
( 共に参加したパートナーから問題の意図を聞かされては、まさしく目から鱗が落ちるといった風に眉を持ち上げて一度大きく瞬きを。とはいえたとえ事前に心付いていたとしても同じ回答をしただろうと思うのは、その真実が本人以上に固く口を閉ざすべき秘密であるからで。元トップアイドルの名が認められないのならそれまでと早くも匙を投げ、そういうことなら字面を見た瞬間にまたも脊髄反射で『いいえ』と言いかけた現役アイドルの名にも丸を付けるのが筋かと考えた矢先、ふっと脳裏を掠める疑問にその論理が崩れたのは僅か数秒のこと。どうやら前例のない事態が起こって判断に窮している主催クラスを尻目に少女へ焦点を合わせると、水瀬ひなが好きだという宣言は否定せず、しかし目の前の相手に向けたものではないという印象は担保しながら、主張を逆手に取って双方正答にするのか双方不正答にするのか眼差しで問い )
…けど、もしこれが不正解になるなら、ひなちゃんの答えも不正解じゃないすか?自分の名前書くなら、今は〝水瀬ひな〟じゃないでしょ。
だって本名だと丸にしてくれなさそう…。
( 指摘に瞳を微かに揺らすと、気まずそうに視線を横へと逸らしながらホワイトボードで口元を隠しつつごにょりと言い訳を口にするけれど、他にも、芸名で書いて否定されたなら先程の言い分が通じるしダメージも少ないだとか、なにより本名を書いて正解にされたならそれはそれで照れてしまいそうだとか、いろんな理由が入り混じった上で芸名での回答になったことは言わずに。このままでは60点で参加者の中で最低記録を叩き出すはめになるところ、『一応好きな人には間違いないってことで…』と、他の問題でパーフェクト回答もあったからか大目に見て正答とされ、結果は70点。まあまあ仲良しで賞として申し訳程度に飴をひとつずつ貰っては、本当はもっと高得点でラブラブで賞のパピコアイスを仲良く分けっこする予定だったのに…と手のひらにぽつんと置かれた飴を見つめつつ席を立ったところで、参加者全員にお願いしている仲良しのポーズを求められるはずで )
な、70点…。
さっきの理屈なら丸にしたのに。
( 単なる自己評価なのか此方の事情を汲んでくれたのかは不明だが、彼女の名前を不正解として扱うのは言わずもがな。ただし唯一特例があるとするならそれは先程告げられたような場合だろうと、自明の前提を省いた結論だけを静かに紡いで。けれども結果的には最終問題も正答として扱われ、合計すると〝仲良し度〟のスコアは70点。それなりだという所感に応じるように〝まあまあ仲良しで賞〟として飴玉が渡されるも、現時点での最低ラインらしいと聞けば多少なり残念に思う気持ちもあり、ちゃんと仲良しを自負するだけのペアが参加していることへの感心もあり。自身のパートナーも何かしら思うところがあるようで、しばらく手のひらに乗った小さな包みに目を落としていたけれど、悄然と席を立った折にまだミッションがあると知らされ、誘導されるまま二人で並び立ち。手短に説明された要求は終わり良ければ全て良しの精神に基づき、それらしいポーズを取らせることで得点に関わらず参加者を仲睦まじく帰そうというもの。その際掲示のため高得点ペア、それから希望ペアも写真を撮ってもらえるのだという提案を丁重にお断りし、再び前例のない選択に主催クラスを仄かに動揺させた後、難題の〝仲良しのポーズ〟について悩む暇もない「それじゃあせーのでいきましょうか、せーの!」のスピード感に気圧され、咄嗟に肩を組むべく少女の肩を抱き寄せて )
( 掲示できるほどの高得点は取れなかったけれど、希望者サービスで写真を撮ってもらえると聞けばぜひと申し出をしたかったものの、それよりも早く彼が断りを入れてしまえば、写真欲しかったなあ…としょんぼり控えめに肩を落とし、たったひとつのお土産だけを制服のスカートのポケットに仕舞い込むと。流れるように〝仲良しのポーズ〟を求められては双眸をぱちり瞬きつつも、ろくに考える暇も相談する暇もなければ、恐らくここは安牌にピースだろうかと若干彼側に体を寄せ外側の手をピースにしながらにこり笑みを浮かべてみせるけれど、同時に肩に手を添え抱き寄せられては目線を前方にそのまま笑みを固めて。『はい、おっけーです!お疲れ様でした~』との声に、ぎし、とぎこちなく隣の彼を見上げては頬をじわり染め )
っ…、きゅ、90点くらいないですか、これ…!
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( / たいへんお待たせしました…っ!繁忙期ピークは過ぎたのでこれからは大丈夫かと思います、かつてないほどお待たせしてしまってすみませんでした…!!引き続き何卒よろしくお願い致します。 )
…や、違くて、肩を──
( 引き寄せた華奢な体躯から此方へ腕が伸ばされることはなく、取ったポーズがただ両者の距離を縮めただけの図になればそこに誤解が生じるのは当然のこと。当惑の眼差しを向ける少女に対し、慌てて手を退け釈明を述べようとするものの、次の挑戦者が訪れては押し出される形で退出を余儀なくされ、伝わるのは僅かに上昇した体温によって存在感の強まった香水の香りばかりで。去り際渡された証明書代わりのスコアが記された紙は相手か自身の手の中。廊下に出てから再開しようとした弁解も改めて考えるとあの場面で肩を組むこと自体おかしな気がして、特に求められることがなければそのまま有耶無耶にしてしまうだろうか )
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(/ 繁忙期のお仕事おつかれさまでした…!とはいえこれからもお忙しい時期は続くでしょうし、またお時間が取れなそうな時はいつでも仰ってくださいね◎ そしてこちらも大幅に遅れてしまってすみません…!!
更に恐縮ですが、11/2、11/3がおそらく終日、11/5が夜のお返事が難しくなります。何卒ご承知おきくださいませ。※蹴り可 )
( 今日会った時や移動中は全然気が付かなかったけれど、ぐっと距離が縮まったからかふわりと香るほろ苦い柑橘系の匂いが鼻腔を掠めてはそれにも意識を取られ、手に持たされた紙に記されたスコアの低さは今は気にならなくて。廊下に出ると疎に行き交う生徒や来賓の中、スコア用紙を周りと遮るように仕切り代わりに顔辺りを隠しては、双眸を伏せ鼻先を少し彼の方へ近付けて、すん、と香りを嗅ぎ。近付くことで仄かに香る匂いは、よりその人の傍にいたくなるような、人々を魅了する所謂フェロモンのようで。犬ほどの嗅覚はさすがにない上、文化祭で周りにはいろんな香りが飛び交っていれば柑橘系とまでしかわからず、双眸を開き顔を上げては小首を傾げて )
傑さん、今日なにか付けてます…?なんか、柑橘っぽい…?
…あぁ、香水すかね。
( スコア用紙に隠れだす少女の姿に、誰か見つかりたくない相手でもいるのかと先の方へ視線を投げるも、さりげなく一歩前に出ようとした視界の端を小ぶりな鼻が掠めては顔ごとそちらを向き。無垢な好奇心に触れてようやく彼女の行動に得心がいくと、〝柑橘〟のキーワードで思い当たる一つを呟くように口にする。具体的な香料を説明したところでほとんどの高校生には馴染みがないだろうと、言葉の代わりに取り出したのはアトマイザー。落ちかけの手の甲を柔く掴んで、目隠しの役目を果たした紙切れの裏面に香水を吹き付けて次は即席の試香紙へと変えたなら、固定していた手を解放することで確認を促し )
こんな匂い?
香水、──…わ、この匂いです!
( 見に纏ったこともなく、さや姉やねねぽんが付けている時があるなあ程度の認識の香水。小ぶりな円柱状のアトマイザーからぷしゅっと一度吹き掛けられたスコア用紙は、間近に香らずともふわりと二人の空間内に香りを広げそれに瞳を煌めかせては、肯定しながら肺いっぱいに香りを取り込んで。普段香水を付けない自分は髪を解いた時に分かる程度のフローラルなシャンプーの香りだったり、付けた直後のハンドクリームの香りだったりその程度だろうけれど、長く留まる香水の香り──それも好きな人の香りとなれば自然と頬が緩み一瞬でその香りの虜に。ふにゃふにゃと柔らかく表情を綻ばせながらいい匂いだと伝えては、これをそのまま持っていれば自身にもその香りが移るだろうか、とスコア用紙を数秒見つめたのちに彼へと視線を移し問い掛け )
いい匂い…、…この、仲良し結果の紙ってわたしが貰ってもいいですか?
うん、持って帰ってもどこに仕舞っていいか分かんねぇし…。
( 船上パーティーだったりハンドクリームを紹介する時だったりに言及していたため、少なくとも香りものへの忌避感は無いと踏んで付けてきたわけだけれど、思いの外の好感触を得られれば彼女はこの香りにどんな印象を持ったのだろうかと緩んだ面差しを眺めつつ想像し。先程までのクイズと違ってその正解が語られることはないながら、数秒置いて再び交わった眼差しには欲するような色が混じり、元より相手に託すつもりだったことも相俟って打診には迷うことなく肯く。辞退理由は建前でも何でもなく、ただの顧客とも純粋な友人ともつかない絶妙な立ち位置にいる少女との思い出を、部屋の中でどう扱うべきか判断がつかないからで )
わあいっ……、つ、次こそはもっと仲良し目指しましょうね!
( 〝彼の香りを纏った紙〟を貰えることに素直に表情を綻ばせながら喜ぶものの、その実は70点という微妙な仲良し度のスコア用紙だということを思い出しては、確かに誇って飾れるスコアではないなあと一筋冷や汗を流しながら改めて用紙を眺める。四つ折りに畳んで制服の胸ポケットへとしまっては高校生生活の最後の文化祭だというのに、両手にぐっと拳をつくりながら次こそはと意気込んでみせると、数時間の間は自身がそうして身じろぐ度にふわりと胸ポケットから同じ匂いが仄かに香るだろうか )
文化祭、今年で最後なのに?
( ほくほくと綻んだ顔が秋の空気ほどまで冷えたのを横目で捉えると、切り替えるように明るく振る舞う相手へ素直な疑問の体で悪気のない口出しを。ただリベンジはともかく仲を深めようとする気概まで否定するつもりはないので、一呼吸ぶん置いて続けた言葉は励まし半分本音半分といったところ。もし彼女がそれに振り返ったとしたら、瞬きまでの間ばかり短く目を合わせるだけで、伝わったことを認めるや否や自分はさっさと前方に向き直ってしまうだろうか )
…、本当に仲良し目指すなら、そんな点数よりこっち見てた方がいいんじゃないすか。
そんな数字に惑わされないで…、…──へ。
( 現実的な指摘を受けては、今年で最後なのに仲良しを目指す必要がないと言っているのかと思って、小さく頬を膨らませながら視線を逸らし訴えていれば。続く言葉に短く一音を漏らし、顔をぱっと向けては僅かな時間だけれど彼もまたこちらを見ていて視線が交わり、どき、と胸が高鳴って瞳を揺らし。一瞬呼吸も忘れるほどにときめけば、早々に前へ向き直ってしまう彼を「─…い、一生見てます!」きらきらと瞳を煌めかせながら見つめて。それに制止を求める声を掛けられ、他に行きたい所がないか尋ねられるようなら、えぇ…と若干不満そうな声を漏らしつつも次なる目的地である着せ替え写真館へと誘おうか )
それは見すぎ。
( 勢い余った全力の応答には自分から勧めたにも関わらずあっさりと梯子を外し、足を向けるのは次なる教室。演劇部主催の〝着せ替え写真館〟はおおよその制限時間内に好きな服を好きなだけ着て写真を撮ってもらえるという出し物らしく、凝った看板の先からはきゃっきゃと弾む声が漏れ聞こえていて。受け取ったチラシによればこの高校指定の学生服からコスプレチックなものまで幅広く取り揃えているらしいが、男性用と女性用が並んで掲載されているせいかこれからの展開に嫌な予感が走り。相手が行きたいと言うからその場では黙って了承したものの、入るにあたっては事前に釘を刺しておこうか )
…俺は撮らないすからね。
え、……最後の文化祭なのに…。
( 学生服から始まり、メイド服のほかチャイナ服に赤ずきんや狼男、吸血鬼に軍服や最近話題のアニメのコスチュームなど、文化祭のために一式レンタルしたらしい衣装たちがずらりと並んでいるらしく結構賑わっており、チラシを眺めながらあれも似合いそうだしこれも似合いそう、と彼に似合いそうな衣装を想像してうきうきと瞳を煌めかせるけれど。そこへ水を差すように一言忠告を受けては、煌めいていた瞳はしゅんと落ち込んだように、双眸を半分伏せながら視線を逸らすことで哀愁漂わせつつ呟いて )
( 期待に胸を膨らませる少女が己の発言により一転、萎えた向日葵のように首を垂らしてしまえば、それ以上主張を押し通すのは難しく。貴重な青春の時間と大人げない意地の重さの差は天秤にかけるまでもないが、そう容易く決心がつくものでもなく、葛藤の最中に順番が回ってくると出迎えた女子部員に連れられて教室内へ。撮影中のもう一組も列に並ぶ客たちにも単身で挑もうという猛者は見当たらず、インスタントカメラを持った撮影担当の彼女に「衣装はどれにしますか?」と尋ねられては観念したように隣に委ねる。何が選ばれても素直に受け容れ、撮影ブース裏の更衣スペースで着替えを済ませたその後は、並んだ途端に「設定は?」と当然の如く演劇部らしい無茶振りに晒されることになるはずで )
……、どれがいいんすか?
……!えへへへ、全部似合いそうで迷っちゃいますね。えっと、それじゃあ…──
( しょんぼりとした様子を装って──とはいえ彼に参加する意思がないことが残念なのは本当だけれど、自分だけ写真に写るのもなあと思っていれば、衣装を選ぶ直前観念したように選択権を委ねられては水を得た魚のように瞳をきらきらと煌めかせる。王子様みたいなのも良いし、軍服だったり狼男も可愛いしかっこいい。たくさんの種類の衣装を目の前に、想像を膨らませながら顎先に人差し指を添えつつ悩むと、ふと自分の学校の制服に目を向けて。制服姿なんて見たことないもんなあなんて考えては、この絶好の機会を逃すわけにもいかず、彼には制服を頼み。もし彼が同級生だったり先輩だったりしたなら、毎日喜んで学校へ来るのに。そんな日をつい夢見てしまっては、彼には悪いけれど自身は着替えないまま写真撮影となれば、もし何か言いたげな視線を注がれるようなら〝まずかったかな…〟と思いつつも、逃れるように視線は合わせないまま写真撮影を頼もうと )
あ、じゃあ放課後デー……放課後の先輩後輩風でお願いしますっ!
…着たいより着せたいなんすね。
( 書生服、修道服、アンティークドール、白衣、カフェの制服、動物をデフォルメした着ぐるみ等、守備範囲も着替えの手間も種々様々だが、見れば見る程どれも似合いそうにないなという自己評価に反して少女の瞳に光が増しては、要望に応えて紺色のブレザーに袖を通し。突然の問いも然ることながら瞬時に答えられる彼女の対応力も驚くに値するもので、オーソドックスな設定が固められる横で置いてけぼりになっているうち、主催側の撮影準備が整った様子。そのままシャッターが切られるものと棒立ちでレンズから目線を若干外しているも、気が付けば担当の女子生徒は此方に迫ってきていて、「放課後の先輩後輩です。やる気ありますか?」と謎に詰められる事態となり。直後に始まった演技指導は遠慮会釈なくてきぱきと行われ、聞いてないと釈然としない気持ちはありつつもプロ意識に負けて指示に従えば、あれよあれよという間に〝人懐っこく話し掛ける後輩とちらりと振り返る先輩〟と〝先輩の指差す先へ一緒に注目する二人〟の写真が収められて。そして無事に次の衣装決めになった折、もし自身にも意見が求められたなら「全部似合いそうで迷うす」と耳にしたばかりの台詞で選択権をそのまま返そうか )
わたし、傑さんが先輩なら風邪引いてても学校に来そう…。
( 自分が通う学校の制服に身を包んだ彼はもちろん漏れなくかっこよくて、本当は自身のスマホの中にめいっぱい収めたいものだけれどそこは他の人の目もあり我慢して。写真を撮ってもらう間中、胸をときめかせひとときの夢のような時間を楽しんでは、合間にぽつりと呟きつつチークで彩られたようにふわふわと頬が色づきながらの二種類の構図で撮影をしてもらっては既に満足げに。次なる衣装決めではさすがに自分も何か着ないとと、たくさんの衣装を前にどうしようかと迷い彼へと伺ったなら同じ言葉で返されると、どれも好きというだろうかと真剣に衣装を眺め。端から端まで眺める最中、『これ、まだ着た人いなくない?』『めっちゃ可愛いけど、正直顔を選ぶもんね…』なんてひそひそとした声が部員から聞こえてくると、どんなものだろうと気に掛かりそちらへ目を向けては、確かに可愛らしいその衣装は着る人を選びそうだけれどとても目を惹くもので。「わあ…」と感嘆の声を漏らしたなら最後、ぱち、と部員と目が合ってしまえば『これ、着てみませんか…!』と輝く瞳で勧められることとなり。あれよと言う間に彼の前に袖を通してきたのはアンティークドール──ロリィタ調のワンピースで。オールドカラーの繊細なレースとフリルがあしらわれたワンピースにお揃いのヘッドドレスとおでこパンプス姿で簡易的な着替えスペースから出てくると、可愛らしすぎないかと恥じらい薄く頬を染めながら、もじもじと人差し指同時を合わせつつ瞳を逸らし問い掛け )
……ど、どうでしょうか…。
( コンコンとドアを2回ノックしたのち / 扉の奥から相手の顔が覗いたなら、赤い目の吸血鬼の姿がそこに / 中世貴族風の服装にマント / 両目にはカラコン / 昨年と同じ付け牙 )…トリックオアトリート。血(ベリージュース)、ください。
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(/ 文化祭の途中ですが、ハッピーハロウィン!本編は一度中断して、犬の日交流が終わってからお返事させていただきますね* )
ハッピーハロウィ、ん…、( 首から提げたロザリオを両手で添え持ち / ヴェールからストレートの髪を垂らした修道女姿で振り返れば / 彼の姿を視認するなり固まり、胸ずっきゅん! )──…か。かっこよすぎませんか…っ!?天才すぎます、似合いすぎますっ!あ、血ですね、いくらでもどうぞ…!( きらきらめろめろの瞳で、はわはわ / デキャンタに入れたベリージュースとグラスが背後のテーブルにありながらも / 最早この身を捧げてもいいと襟口に指先をかけ )
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( / ハッピーハロウィンです!とってもピンポイントで、吸血鬼絶対似合うな~今年やってくれないかな~って思ってたので、とてもテンションが上がりました…!文化祭一時中断了解です、よろしくお願いします* / 蹴り可◎ )
( 神聖な姿に一瞬息を呑むも、喋りだせばよく知る彼女で纏う空気も緩み / ちらりとロザリオの存在を確認すると / 室内へ静かに踏み入り、背後の扉が閉まる音を聞いて )…今年は素直に渡してくれるんすね。助かります。( 視界の隅に映るベリージュースには目もくれず / 呟くように言って、身を差し出されるまま流れるようにシスターの腕を引き )
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(/ 安定の以心伝心でこちらもテンションが上がりました…!ひな季ちゃんの修道女姿も清楚が大爆発していてとてもお似合いで、でも中身はいつもの天真爛漫なままで、現在進行形でギャップ萌えを体感しております…。昨年も好みど真ん中でしたが、今年も今年で眼福すぎて、背後様とハロウィンに感謝です…!※蹴り推奨 )
ふぇっ…?( この雰囲気、既視感がある / 微かに瞠目した瞳を揺らし、頬にじわり赤みが差しつつも抵抗はせず / 腕を引かれるまま彼のスペース内に進み )そ、そうですよ、シスターは慈悲深いものなので…っ。( きっと去年のように後ろのベリージュースを取るのだろうと思いながらも / 心臓はどきどきと早鐘を打ち / 赤い瞳と視線は合わず、やや下方を彷徨わせ )
…怪物相手でも?( 非現実な双眼で泳ぐ瞳をじっと見下ろし / 襟口に指を引っ掛け、その裏側をなぞるように滑らせては / 目印でもつけるように首筋の辺りに指を置き / それでも抵抗がないようなら「…じゃあ、いただきます」と洩らした次に / 白い肌へ〝それ〟をぐさりと突き立てて )──…あー…、ストロー挿さんないんで無理すね。( 声色も表情も変えぬまま淡々と / ストロー派の吸血鬼 )
……、え、うそ、本当に…──ぅぁ、( 答えないまま抵抗はしないでいると淡々と進みゆく展開に直前焦りを見せ / 首筋に指を置かれると、きゅ、と双眸と唇を引き結び / ちくりと首筋に立てられるストローの先に小さく声を漏らせば / 双眸を開き、ぽかん… )──…す、ストロー使う吸血鬼とか聞いたことないです!( ぶわりと耳まで赤く染め / 首に提げたロザリオ手に持ちぶんぶん振り )今ジュース入れてあげますから、そっちにストロー使ってください…。( してやられたような羞恥心に小さく頬を膨らませつつ / くる、と振り向いて用意したジュースに向き合いながら「びっくりした…」と零し )
使わない方が良かったすか?( 綺麗に引っ掛かる相手に思わずふっと破顔して / しかし赤く色付いた頬へ一瞬湧いた〝美味そう〟という怪物らしい思いまでは口に出さず / 漸く使われたロザリオにやや遅れて気が付くと、「う…──」とやられた振りで後退り )──…ひな季さん、( その位置からテーブルに向き直った背へと呼び掛け / もしそれに彼女が振り返ったなら / 改めて全身を目線で辿った後、もう戯れの気配のない面持ちで )今年のも可愛いすね。
それはそれで心臓に悪いです…。( 頬をぷくぷくと膨らませつつ抗議 / 破顔した表情ももちろん心臓に悪くて / 困ったように眉尻を垂らしながら、密かにきゅんきゅん / 〝効果あるんだ…〟ほう、と手元のロザリオ見つめ )はい、──…っ、( デキャンタに両手添え持ち上げ、ジュースをグラスに注いでいれば / 呼び掛けにまた振り向いたなら、掛けられる言葉にほわほわと頬が色付いて / ことりデキャンタ置くと / 鼓動速まるばかりの胸に手を添え、眉尻を垂らしながら / ぽつ )ほんとに心臓に悪い…、ありがとうございますっ、傑さんはかっこよすぎです!( 双眸ぎゅむ! )…そうだ、わたしからもトリックオアトリート、です!( はっ、と思い出しては / グラスに注いだジュースを両手で持ち、ずいっと彼へ差し出しつつ )
…ん、似合ってるけど、シスターには向いてないすね。( 用意されたベリージュースの方へゆったりと歩みだしつつ / 情緒豊かな修道女に好意的な微笑こぼして )マントの裏…に、懐中時計風のお菓子缶があるんすけど。取るかどうかは、慈悲深いシスターに任せます。( 差し出されるグラスを「どうも」と受け取って勧め通りにストローを挿せば / ひとくち飲んでから、隠した宝の在処でも語るようにお菓子の位置をぽつり / 正面に立ったまま動かないことで無抵抗の意思を示し )
えっ…えっ?……、騒がしいということですか…?( ぱっと花咲く雰囲気の直後、広がる思考の宇宙 / 上下するテンション / ややあって考えついたのはそれ )わあ、欲しいです!欲しい…です…、えっと…。取っても良いんですよね…?( お菓子があると聞けば瞳を煌めかせるけれど / 真正面から動こうとしない彼に微かな動揺を見せ、瞳を揺らし / 隙があるようでないような / 両手を広げ構えて、じり… / さながらコアリクイの威嚇ポーズ )
…、まぁ大体そうすね。少なくとも懺悔聞いてもらうような感じには。( 大意では当てはまる評価にあっさり頷き / 教会に居る様を想像するも、粛々と耳を傾ける姿は浮かばず )良いすけど…、できればあんまり乱暴じゃないやり方にしてもらえると。( 構えを取ってにじり寄ってくる相手に不穏な予感 / さすがにたじろいで、マントのお菓子が入っている側を空間を作るように腕で軽く持ち上げ / ベリージュースを受け取った後にまで悪戯するつもりはなく )
…ひ、ひとりくらい元気いっぱいなシスターがいたって良いと思いません?悩みも吹っ飛ぶかもしれませんよ!( 衝撃マークを小さく浮かべ / 双眸を不等号にしながら〝わたしだって!〟の気持ちで )身ぐるみ剥ぐとかじゃないので…。…いきますよ、えいっ!( 困惑の汗を一筋 / 肩の位置まで上げていた腕を胸下辺りまで下ろしては、ひと呼吸分の間のあと / 正面から、ぎゅ / 彼の背後を手のひらで探り〝お菓子どこだろう…〟 )
…まぁ、そうすね。俺はひな季さんなら、元気いっぱいなシスターも良いと思います。( 秒速手のひら返し / のように見えて当初からの衷懐を告げているだけ / あくまでも〝相手なら〟を強調して )──……、…悪戯の方に切り替えたんすか?( 突然の密着に一瞬ぴたりと硬直 / じき背中の辺りで縦横に動く手の感触があれば、戸惑いの色を隠せずに / されるがままになりつつ控えめに尋ね )
ですよね!傑さんのお悩み、いつでも聞きますからね。( わかりやすく、ぱあっと晴れやかな笑み浮かべれば / シスターらしく両手の指を絡めて組み / 解決できるとは言ってない )お、お菓子探してるんです…!ええっと──…あった!( その体勢のまま見上げては、至って真剣な表情で主張 / じきに指先に硬い物の感触が当たると、〝!〟と双眸をぴかり / 引き取るように腕を前に持ってくると / 「わあい、お菓子!ありがとうございますっ」にこにこ表情を綻ばせ )…あ、わたしからもちゃんとありますからね。( ジュースと一緒に置いていたハロウィンの飾りの中からパンプキンバスケットを手に取り / はい、と彼の前へ差し出し / 中はブラウニーの上におばけの顔を描いたマシュマロトッピングの手作りお菓子 )
悩み…は特にないんすけど、元気貰いに通ってもいいすか。( 申し出に応えたい気持ちは山々なれど、困ったことに悩みと聞いて思い当たる事柄がひとつもなく / 代わりに別の口実を見つけて会いに行こうと )……、なるほど…。( 言いたい事は色々あるところ、その全てをぐっと飲み込んで / 感情のこもらない納得 / 彼女の捜索が長引けば長引くほど落ち着かない様子が顕著になってゆき / 解放された瞬間には肩の荷が下りたかのように密かな溜め息を吐いて / けれど今日初めて目にする無邪気な笑みにより、すぐに慈しむような表情へと塗り変えられ )…かわいいな。( 手のひらにブラウニーを受け取って呟いた一言は、お菓子そのものに対しても、作ってくれた相手の健気さに対しても / 徐に左右の付け牙を取り外しては、テーブルの方へと視線を投げ / それから貴女へ )お菓子とジュースで、これからハロウィン後夜祭するすか。ふたりで。
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(/ お返事お待たせしました…!ハロウィンイベ、逆巻側からはこれにて〆とさせていただきます。今年もとびきりの反応と手作りお菓子をありがとうございました…!新たな甘い思い出もまたお菓子箱へ大事に仕舞わせていただきますね*
さて、次は犬の日交流の予定でしたが、変更なく進めてしまって大丈夫でしょうか?今回はなしにして本編に戻る方をご希望であれば、その旨お伝えください…! )
いつでも、ぜひ、いくらでも…っ!( ただ会うだけ、なんてことにも表情はぱあっと嬉しそうに輝き / 両手をぐっと握りながら、食い気味に答え )えへへへ、ありがとうございます。これはね、にこにこお化けでこっちはいたずらお化けで、ちょっとずつ表情変えてるんですよ。( 〝かわいい〟の言葉にはもちろんお菓子のことかと思って、褒められて嬉しそうに八重歯見せ破顔し / ひとつひとつ指差しマシュマロお化けの種類を答えていれば / 後夜祭のお誘いに瞳を煌めかせては、深く頷いて )するっ…!えへへ、乾杯しましょう!( もう一つのグラスにジュースを注ぎ入れたなら、彼のグラスと高々に合わせようか )
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( / いえいえ、こちらこそですので!おかえりなさい*
こちらも〆とさせていただきました。去年と絡ませながらの、でも一味違う二度目のハロウィンとっても楽しかったです…!まさかのストロー派にふふっと笑ってしまったのは言わずもがなです。ありがとうございました!以心伝心も嬉しかったです*
次は犬の日交流イベで大丈夫です◎ 11/11までは実質犬の日なので、まだ充分に間に合います…(?) 特に内容の方をお考えでなければ、こちらからお迎えしてもいいでしょうか? )
(/ 犬の日はまだ続いていた…?()でも正直普通に考えたら11/11だし、猫の日に合わせるなら1/11だし、11/1って微妙な日付ですよね…( 小声 ) 丁度内容をどうしようかと悩んでいたところだったので、お言葉に甘えてお迎えお願いしてよろしいでしょうか…?こちらは蹴り可です! )
わーんっ!傑さん傑さんっ、見てください、ついに…ついにわたしにポメ耳が!( 扉をばーん!と開いては / 双眸ぎゅむと不等号にしながら慌てた様子で頭部指差し / 黒髪の上にちょこんと生えたポメ耳、お尻にもふさふさ尻尾 )
……、生え…てるんすか?これ。( 毛布にくるまって座っていたソファの上で双眸を瞬かせ / 肩に引っ掛けたまま近づくと、つぶさに観察して / 試しに人差し指でちょん )
( くるまっている姿がかわいい… / きゅんと胸の高鳴り覚えると呼応するように尻尾ゆらり )はい、起きたらこんな状態で、引っ張っても取れなくて…ついでにこんなものが枕元に…。( ちょんと触られるとポメ耳が震えるように、ぴく / 瞼を伏せながら、すごすごと両手で差し出すのは白色の首輪で / 金色の骨型プレートに〝ポメ季〟との文字 )
…………。…なるほど。( 受け取ったそれに目を落とすと押し黙り / 長い長い逡巡 / やがて全て承知したかのごとく小さく呟いては、徐に手中の首輪を相手の首へ装着 / その状態で「ポメ季さん」と呼び掛けたのに返事があったなら、ひとまず頭を撫でてみて / それから、より喜ぶポイントを探るように顔周りを順に優しく撫でてゆき / 表情と尻尾と耳の具合で評価 )
へっ……は、…わんっ。( どうするのか、瞼を持ち上げ眉尻は垂らし気味にじっと見つめていれば / やがて装着された首輪に小さく衝撃マーク浮かべ / プレートの名前呼ばれ、〝はい〟と言おうとするけれど口から出るのは犬言葉 / 撫で受けてはすぐに、嬉しそうにぴこぴこふさふさ揺れる尻尾 / 頬から顎付近を撫でられたなら、表情ふにゃり緩め / リラックスするように耳下げ、尻尾もゆったり揺らし )うう、傑さんの手…気持ちいいです…。
…だいぶ本物に寄るんすね。( 口を衝いて出たような鳴き声に、未知と遭遇する感覚で視線の高さを合わせてじっと観察 / ふさふさの尻尾が止まることなく揺れ続けるのを視界に捉えては、此方の表情も自然と緩むけれど / 犬の可愛がり方をよく知らず、片手で顎の下を撫でつつ片手でスマホ検索 / 結果は〝食べる〟〝遊ぶ〟〝寝る〟〝抱く〟と単純で / とりあえず一つ目から実践することに )ポメ季さん、腹減ってないすか。何か食べる?
…え、食べたいです!( ふにゃりとろける中 / 何調べてるんだろう、と彼が座る隣にちょんと両手を置いて気にしたところで / スマホ画面覗き込む前に、〝食べる〟にポメ耳がぴこんと反応 / 瞳を煌めかせながら答えては、尻尾の動きがぱたぱたと増え )えへへ、おやつは~別腹~。( うきうきとした様子で鼻唄を歌い )
すっかりご機嫌だな…。ここで待ってて。( 最初の慌てようは何処へやら、順応の早さに思わず小さく笑むと / 立ち上がりざまにもはや慣れた手付きで頭のてっぺんをよしよし / 邪魔になってきた毛布はソファの上に残して / 少しして戻ってくる腕の中には骨型ビスケットや棒つきキャンディ、シリアル他、見つけただけのお菓子を全部抱え )
わん!( 撫で受け満足そうに双眸を細めてひと鳴き / 彼が食べ物を探しに向かったあと、残された毛布をじっと見つめ、そわ… / ソファに片膝乗せるように横向きに座っては、彼の香りが残る毛布に身を包み「傑さんの匂いがする…」と、ぽつ / 気分ほわり / 彼の戻る気配に、はっと顔を向け )──…わあ、お菓子いっぱいですね!?( 尻尾ぱたぱたと瞳は煌めかせ )
どれがいいか分かんなかったんで、とりあえず全部。( 戻ってくると相手のものになっていた毛布に数秒目を留め / けれどそれだけ / ポメ化による嗜好の変化への懸念を語りながら、テーブルの上にお菓子を一つずつ綺麗に並べてゆけば / その傍に座し、彼女が選ぶ間甲斐甲斐しく落ちかける毛布を何度でも掛け直して )
パーティーみたいで楽しくなりますね!どれにしようかなあ…。( 並べられるお菓子たちに、嬉しそうに破顔させ / うきうき喜ぶ尻尾のせいか、落ち掛ける毛布を何度も直されるのに気が付くと )傑さんも一緒に入りましょっ、寒いでしょ?( 寄り添いつつ毛布を広げては、お互いの肩に掛かるように羽織り / それから再びお菓子に目を向けると、骨型ビスケットを指差しては窺うように顔を覗き込み )──…これ、一緒に食べたいです。いいですか?
…さっきより暖かい気がする。( 素直に毛布の片側を肩に掛けては、隙間を埋めるように遠い二の腕をくっと引き寄せ / 湯たんぽ代わりの体温に小さく息吐いて / 彼女の問い掛けにそこから腕だけ伸ばすことで肯定の意思を示したなら / ビスケットの袋を掴み、引っ込めた内側で開封 / 摘み上げたひとつを相手の口元へと差し出して )──…ん。……はい。
!、…ほんと、ぽかぽかします…。( 隙間が埋まれば、ぽぽ、と上気する頬とぴこぴこ触れる尻尾 / あったかいのは頬も / 〝あーん〟をしてもらっては、吸い寄せられるようにビスケットをぱくり / ぱあぁ、と煌めくオーラ放ちつつ / くっついている至近距離で、彼にもしたいとおねだりを訴え )おいひいです!いつも以上に風味がよくわかるような…!──…あのっ、傑さんにも、あーんってしたいです。くち、開けてください!
──…こうしてると見なくても分かるな、尻尾の動き。( 背後の毛布が活発に揺れて、堪え切れずに時間差で柔らかく吹き出せば / 隣にそっと目配せ / そのまま食べる姿を微笑ましげに眺めるも、要請には目線を外してノーを返し / あくまでも此方が世話する側だと言わんばかりに前髪をわさわさ撫でて / ビスケットをもうひとつ取り出し、再び口元へ )…や、俺は、いま飼い主任務中なんで。
じ、自分の意志では止められなくて…!騒がしい尻尾ですみません…。( 恥じらうように淡く頬を染めながら、双眸をぎゅむ / 手を後ろへ回して自分の尻尾をむぎゅ、と掴むけれど / 手からはみ出た尻尾の先端ぴこぴこ / 任務中だと断られてはポメ耳ぺたんとしょげさせ / くーん…と寂しげな声漏らしつつ、差し出されたおやつは食べて / はっと電球マーク浮かべてはポメ耳立たせ、期待した瞳で見つめ )んむ、……じゃあ、後でならいいってことですよね!
いいえ。見えないけど、俺の尻尾も同じくらい揺れてるんで。( 掴んでも尚勢いよく動く尻尾にまたふっと息洩らし / 泰然たる態度で対応しては、本気とも冗談ともつかない調子でカミングアウト / 一方で食べさせることへの閃きには容赦なく / 即答するなりわんこそばよろしく次のビスケットを指の先に準備して )ひな季さんに戻ったら保護者任務すね。
…──っ…な、なんで、どうして?( 〝!〟と双眸を開き / 嬉しそうに瞳に煌めき差し込みながら、そわそわ顔を覗き込み / 尻尾ぱたぱたぱた / 不満を溢しながらも、指先に備えられたビスケットは条件反射の如くぱくり / もぐもぐごくん / 人差し指同士を合わせてもじもじしながら、でっちあげ任務 / ちらりと見上げ )もー、任務ばっかり!……、わ、わたしだってお嫁さん任務がですね、…。
……、好きだから。…もふもふ。( 緩んだ空気から一転、虚を衝かれたように息を詰まらせ / 問われるまま眼前に迫る瞳へついぽそりと好意を白状するも / 咄嗟に頭から生える毛並みに触れ、直前の言葉を誤魔化して / 此方もちらりと隣を窺ったせいでまともに視線がぶつかり / 無言のまま見つめ合った数秒後、正面へ逸らしてから普段通りのつれない返事を / しかし想像してしまったのか、相手のために摘んだビスケットは無意識に自分の口へ / もぐもぐごくん )…まぁそうすね。今回みたいに、朝起きたら突然夫婦になってたら。
へ、──…あ、もふもふ。もふもふ良いですよね、もふもふ…。( どき、と心臓が跳ね双眸瞬き / ポメ耳に触れられ言葉の対象に気付かされると、かあぁ、と頬を赤らめ / 〝自分のことかと思った〟と羞恥に湯気さえ出そうで / 双眸を不等号にし汗マーク散らし / 婚姻届を貰って来そうな勢いで、今からでもと拳をぐっと握っては / 自然な流れで自分で食べてる姿に、尻尾しゅん… )わたしは全然、今からでも!…あっ、自分で食べてる…。
…ん、あって良かったす、もふもふ…。( 危機一髪の状況を脱し、遅れて鼓動が速まり / 動揺ゆえに相手の発言を聞き違えて本音を呟くようにこぼすと / 意味なく親指だけでポメ耳を撫で続けながら / 前のめりすぎる婚姻へ指摘を入れようとしたところで、はたと手を止めビスケットのなくなった指先を見て / 平静を装ったつもりが〝お嫁さん〟を意識してしまったことに彼女の発言によって気付かされては / それを無かったことにするかのごとく新しいビスケットをそばの唇にかるく押し付け / 向ける顔はほんの僅かに赤らみ、どこか懇願するような眼差しで )今結婚したらポメ季さんと、……夫婦になるんで、ひとまず今日のところは大人しく甘やかされといてください。
ずっともふもふでもいいかも…。( ポメ耳を撫で続けられると徐々に表情うっとり、瞳ぽやん / マッサージのような感覚で気持ち良くて / けれどあっさりその思いはすぐ覆ることに )──…っ、わん…!( 肩がくっつく距離で見る、彼の頬の仄かな赤らみの破壊力といったら / きゅーん…と鳴るこれは胸のときめきで / 尻尾ぶんぶんぶん / 小さなハートをたくさん周りに浮かばせ返事をしながら、ビスケットをかぷっ / ふにゃりと緩みきった笑みで )…そうですよね、傑さんと結婚するのは〝ひな季さん〟ですもんねっ。ずっともふもふじゃだめでした!
…結婚するかはともかく。少なくともひな季さんに戻るまでは空けとくんで、〝お嫁さん〟の席。( 諒解したらしい様子にやや肩の力抜け / 一言前置きしてから、今度は明確に自らの意思で部分的な肯定を / と同時に貴女以外とは結婚するつもりがない、という想いを精一杯回りくどく告げれば / 最後にビスケットを1枚自分の口に入れ、早々と話題を次に進めて )…で、次は、遊ぶ?寝る?何したいすか。
その席の予約、わたし以外はNGでお願いしますね!( 〝しないの?〟と言いたげに小首を傾げるけれど / 耳ぴこ / お嫁さんの席はすかさず予約を取るべく、挙手で主張して / 問い掛けにはもちろん遊びたくて、気持ちはうずうず / しかし成犬になりきらない体のおやつ摂取後は睡魔が襲うようで、眠気に抗うように双眸ぎゅむむ )次ですか、次は遊び…たい、です。
…いいけど、予約キャンセルも受け付けてないすからね。( 相手の動きを視界に捉えては、お手を要求するように両者の中間へ自分の掌を差し出し / そこへ手が重ねられたなら、離さぬよう柔く固く握って独占欲を滲ませるだろうか / 遊びたい、とは言うものの、その瞳は明らかに睡気をまとって / 頬の横に手を差し入れると、額の当たるような距離を下からの眼差しで覗き込み )…見る限り遊べる感じじゃないすけど。
キャンセルなんてしないですよ!…だって、傑さんのお嫁さんに永久就職するんだもん。( 条件反射で差し出された彼の手のひらの上に、挙手していた手をぽむと置きながら主張しては / 優しく握るのに捕まえて離さないような彼の手のひらに視線を落として、また持ち上げると / じわりと頬を染めながらはにかんで / 頬の感触に気付き開けた双眸が至近距離の彼を捉えると、衝撃マーク浮かべ / みるみるうちに頬に熱を持ち、彼の手のひらにも伝わりそうで / どっちの瞳を見たらいいやら、瞳を彷徨わせれば )わう…っ、じゃあ寝ますっ!( 急激な昂りの結果、犬によくある突進を招き / 額同士を軽く、ごんっ / そのままソファに彼を下敷きに倒れ込むだろうか )
…完璧な人生設計すね。( 氷解するように緩む頬と手 / するりと抜け出す瞬間に束の間小指を握ると「スカウト待っててください」と静かに約束を / 揺れる瞳をじっと捉えていれば、唐突な頭突きに小さく呻き声を洩らし / 抗う暇もなくソファへと押し倒されて / 体が座面に支えられ安定してから、止めていた息をゆっくりと吐き出しては / 胸元にある髪を寝かしつけるように数回撫で、抱き留めた姿勢から大事そうにすっぽりと包み込んで抱きしめ / ※ここで〆でも、戻るところまで続けても◎ )いっ──……、…おやすみ、ポメ季さん。
……、はい。( 称賛の言葉に、ふふんと誇らしげに八重歯覗かせるも / スカウトの約束には〝してくれるの?〟と双眸瞬かせ / ふわふわとした幸せな心地に包まれ、まなじりを下げながらこくりと頷いて / じんじんと額は仄かに痛くて「ごめんなさい…」とポメ耳垂らし反省 / すっぽり包み込まれながら体を預けたなら、衣服越しに聞こえる彼の心音に耳を傾けて / あたたかくて、心地よくて、次第にとろんと双眸を下ろしていけば / すや… )
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( / こちらも〆とさせていただきますね!犬の日イベありがとうございました、超突発で思い付いたネタでしたがとっても良かったです…。お世話されっぱなしで甘やかされて、糖度高めで非常に満たされました…犬の日ありがとう…。猫の日はぜひともお世話させていただけたらと思います()
そして犬グミも見つけました~!ダックスかポメしかなかったのですがもちろんポメ購入しました、可愛くて癒されてます* 有益情報に感謝です…! )
(/ 犬の日交流ありがとうございました!わんこ感増量のひな季ちゃん、もといポメ季ちゃん、永遠に撫で回したくなる可愛さでした…こちらこそ犬の日に感謝です。初手で逆巻も耳と尻尾を生やすか迷ったのですが、犬の日について検索したところ『犬に関する知識を深めるとともに、犬をかわいがることが目的』とあったので、これは…と飼い主任務に即決しました。たくさん可愛がれて満足です、猫の日の逆転も楽しみにしております*
ポメ残っててよかった…!食べ終わってもパッケージ捨てられなくなりそうな可愛さですよね。たぶん逆巻も買ってます、これ()
本編文化祭イベのお返事は今しばらくお待ちください…!※蹴り可 )
( / わあい、背後様にも喜んでいただけたのならなによりです!背後たちの概念だったポメ季を実際動かすことができたのも満足ポイント高かったですし、更には検索したり犬グミを買ってる背後様事情も知れて可愛くて、にこにこほっこりでした…。
にこにこ柴も欲しかったのですが、なくて残念…。本当にパッケージは捨てられない可愛さですね!洗ってジェルで固めて保管できないか検討中です() わあ、メイク中に小腹が空いたひな季に、「グミならありますけど」って言って渡しててほしい…パッケージを持つひな季を見て、ポメが二匹いるってなっててほしい…。改めて犬の日感謝です…っ。
のんびりお待ちしてますので大丈夫です、よろしくお願いします* ※蹴り推奨 )
>>2550
( 困惑しつつも嫌がる素振りは無かったため、部員たちに目を付けられて連れ去られる少女の背をそのまま見送り、撮影係の〝お前は着替えないのか〟とでも言いたげな視線から逃れ続けてどのくらい経った頃か。更衣スペースのカーテンが開く音と共に、衣装を勧めた彼女達から可愛い可愛いと黄色い歓声が上がれば、靴音のするそちらを振り返り。本人は何故か自信なさげにしているが、元より黙っていれば人形のような顔立ち。癖のない緑の黒髪もよりアンティークドールの雰囲気を引き立てていて、想像通り完璧に着こなした姿は廊下からも野次馬が湧く程で。しかし外野とは異なり色めき立つこともなく、相手の傍まで歩み寄って手持ちのコームを取り出すと、精巧なドールを再現しようとするかのように髪を梳いて整え、それからメイク終わりと同じく真正面から覗き込む。この短時間で叫ばれ尽くしてしまった例の言葉は割愛することとして、答えずに勿体ぶっていた感想は、眼差しの先にだけ届くよう騒めきに紛れる声量で伝えようか )
……本物の人形だったら連れて帰ってた、すかね。
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(/ 首輪渡された時はさすがにどぎまぎしましたが、結果とても癒し交流に落ち着いて私もにこにこほっこりです…* 〝ひな季〟ちゃんはもちろんのこと、犬の日交流のおかげで〝ポメ季〟ちゃんも無事背後スマホの予測変換に登録されました◎
わ、柴も欲しかったけどなかったところまで一緒です…!でもジェルで固める発想にまでは至れなかった…() グミ渡したら「犬好きなんですか?」ってひな季ちゃんに聞かれて、「…まぁ、ポメラニアンは特別です」って答えるけど(飼ってたのかな?)程度の反応でパッケージみたいに小首傾げられる場面が浮かびました…。そして蹴り推奨には今気が付きました!( デジャヴ )※全蹴り可 )
──…っ!さ、再来世はお人形になる…。
( アイドル衣装にも可愛らしいものが多いけれど、それとはまた違う装飾感に落ち着かず気恥ずかしげに逸らした視線は、左右どちらにも黄色い声か野次馬があれば結局静かな前方へとやがて落ち着かせる。〝可愛い〟を追求する彼に髪を整えてもらっては、当然いつものようにその言葉を期待した瞳を向けてしまうけれど、掛けられた言葉は強い破壊力を持ち、頬の血色感が更に増してはぎゅっと胸前で拳を作りながら、二人の距離感で聞こえるくらいの振り絞ったような声量で伝えて。〝再来世〟としたのは、彼がそのことを覚えているかは分からないけれど来世は一緒にカフェで働くのに取っておいてあるからで。甲斐甲斐しくお人形の髪を梳く姿にインスピレーションを得た写真部員は、それが薄らがないうちにと『人形作家が初めて作った、思い入れある人形イメージで撮りましょう!!こちらへ…!』といそいそ撮影スペースに案内したなら、芸術写真を撮れそうで興奮した部員が指示出すポーズに従って写真に収められていくだろうか )
再来世まで俺と一緒にいるつもりすか。
( その言い回しに何か聞き覚えがあると思えば、以前実家に招いた際に起こったカフェで共に働く云々の話か、とすぐに思い当たる。称揚に対する喜びの表現なのだろうが、突飛な話の中でもきちんと順番を守っているのが少し可笑しくて、さらに分かりやすく嬉しがる様子が微笑ましくて、目元を緩めると険のない呆れ口調で宣言への言葉を返し。しかし両者間でそんなやりとりが行われているとは知る由もない撮影担当はお構いなしに自分の世界を展開し、思い描いた画を実際にカメラに収めるべく被写体を舞台へと急き立て、先程と同様に指示を飛ばし始めて。アンティークドールに扮した少女単体の写真になるだろうと油断していた己にもしっかりと役割が与えられ、ブレザーを脱いだシャツ姿にサスペンダーを装着するという簡易的な着替えが済んだなら、向かい合って彼女の手を取ったり、背後から両手を肩に置いて二人で鏡に向かったりと、人形作家と少女人形の一幕が切り取られてゆき。ようやく監督の気が済んだ時分にはあと1、2回の変身が精々の残り時間となっていて、相手へ密談のように呟いた疑念も、言い出すにはもう遅いもので )
…ずっと思ってたんすけど、なんか俺らのだけ方向性違うすよね。
( ふと見せる柔らかな眼差しと瞳の奥にある優しさをずっとずっと向けられていたいものだけれど、作家と人形を題材に写真を撮られているうちに、どんなに恋心を抱き愛情を溢れさせていたとしても人形では自分から触れることができないと気付かされ、再来世は動く人形になることにこっそりとシフトチェンジして。2回目の撮影を終えて次が最後になるだろう衣装決め。今更の疑念に「た、確かに…」と小さな衝撃マークを浮かべつつも、なんだかんだで楽しくて、すぐにへらりと緩く笑みを浮かべ。それから言い出したのは〆を飾る衣装で、ハンガーに掛けられたずらりと並ぶ衣装に目を通してから彼へと視線を移すと、〝最後の文化祭〟を切り札に小首を傾げながら提案し )
時間的に多分次がラストですけど、衣装、傑さんに決めてほしいなあ、なんて……。折角だし、最後の文化祭だし…。
……え。…便利すぎるな、そのカード…。
( 衣装を撫でた眼差しがそのまま此方までスライドしてくると、不意の指名に洩れるのは面食らった細い声。入場の際にも使われた魔法の言葉は今も効力を失うことなく、加えて制限時間も迫ってきているとなれば押し問答をしている余裕もないので、無駄な抵抗はやめて素直に並ぶハンガーの前に立つ。とはいえ急なことで即断即決ともいかず、真剣な顔でカラフルな衣服と睨み合っては、ひとまず選択肢を減らすべく「チャイナ服…と、ドレスも駄目だな。フルメイクしたくなる」と消去法で派手なものを省いてゆき。修道服は髪と肌が隠れて勿体無いだとか、赤ずきんは狼役になるであろう自分が耳と尻尾をつけるのは嫌だとか、次々にNGを出した果て、目についたものの中から最終的に手元に残ったのは〝メイド服〟〝軍服〟〝大正浪漫(袴)〟の3つ。件の女子部員の影響か、全ての撮影風景を無意識に思い浮かべたなら、決め手となったのは〝笑ってほしい〟という至極単純な願望で )
──…じゃあ、メイド服で。
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(/ イベ案まとめ確認させていただきました!相変わらず長くてさぞ大変だっただろうなと…、いつもありがとうございます。ぽんぽん投げすぎて自分でも忘れかけているところがあったので、本当に助かりました。と同時に先の展開へのわくわくも蘇りました*
ついでに文化祭の方ですが、撮影を終えた後は「好きな食べ物って結局何だったの?」のくだりを回収して別れ、そのままミスコンの流れで相違ないでしょうか…? )
メイドさん、…かわいい!
( わあい、と小さく歓喜の声を上げ両手の指を胸の前で組んでは、何の衣装を選択するのか気にしてじっと彼の様子を見守っていれば。さすが美容を追求する職業といったところか、追求が止まらなくなるものを敢えて消去してぶつぶつと真剣に呟く姿に、そんなところも好き、とほんわりシャボン玉の如くハートマークを浮かべる。やがて選ばれたのはメイド服で、そのものはド定番ながらなんとなく彼は選ばないイメージだったゆえに意外そうにぱちりと双眸を瞬きつつも、彼が選んだものだから当然断る理由もなくシンプルながらも可愛さに割り振られたメイド服に焦点を当てては、着ることに抵抗はなく衣装を腕に抱えて着替えスペースに入っては大人しくそれに着替えていく。膝上丈の黒地のワンピースに白エプロンを合わせ、フリルカチューシャを頭に装着した姿で着替えスペースから出てくると、また可愛い可愛いだなんて歓声を浴びてははにかんだ笑みを浮かべつつ、執事に寄せたか主人に寄せることとなったかは分からないけれど彼の姿を探すはずで )
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( / いえいえ、こちらこそご確認と、いつも素晴らしいご提案を挙げていただいて感謝の念に耐えません…!私も纏めながら、これからのわくわくときゅんきゅんに胸を踊らせていました。楽しみが本当に尽きませんね*
わ、好きな食べ物のくだりをすっかり失念しておりました…ありがとうございます。流れにつきまして相違ございませんので、引き続きよろしくお願いします…! / 蹴り可◎ )
( 鈍い反応は喫驚のせいか、衣装に視線を転じた彼女は特別難色を示すわけでもなくメイド服を受け取って、時を移さず更衣スペースへ。再び見送った背に自分も早く着替えなければと対のセットとして用意されていた執事服に手を伸ばすけれど、メイドは執事に笑いかけるものだろうかという些細な違和感と、その組み合わせではインスピレーションが刺激されないのかカメラを持った担当部員が心なしつまらなそうな顔を向けてくることから、結局一つ隣を選んでカーテンの奥へと駆け込み。しかし急げども金と赤の装飾が施された白基調の軍服に軍帽、手袋、外套までを律儀に全て身に付けて撮影スペースに戻るのは相手より一足遅れたタイミングとなり、姿を現してすぐに己を探す少女と目が合えば、まさしくたった今帰宅した主人のごとく待たせたかもしれない時間を詫びて )
…、遅くなりました。
( どうやらまだ着替えから彼は戻ってきてないようで、そわ、とどんな衣装に着替えるのだろうと気にしていると、やがて着替えスペースから姿を現したのは白い軍服に身を包んだ──そう、ご主人様で。偶然にも今しがた帰宅したような台詞と、凛とした見目麗しい姿に目が合ったまま逸らせず、ぽわんと頬を色付かせながらつい数秒見惚れてしまって。先程まで廊下から覗き込んでいた自身の野次馬は気が付けば男女入れ替わるように彼への黄色い声となり、わあっと湧く小さな歓声たちに漸くはっと現実に戻っては、きらきらと煌めかせた黒目がちな瞳を彼へと向けて。今すぐ自身のスマホに写真を収めてしまいたいくらいだけれど生憎スマホは脱いだ制服のポケットの中、せめてこの瞳に彼の姿を存分に収めておこうと真っ直ぐに見つめながら、両手の指を胸の前で組みながら賞賛の声を上げ )
──…っ、か、かっこいいです…っ!
……ん…、どうも…。
( 相手の返事より先に耳に届いたのは廊下からの声で、ちらりと見遣った彼女らの眼差しが自身を捉えていると知れば、大人が高校生の前でコスプレを披露しているという事実に薄らと頬を色付ける。そしてそれは対面の少女にしても同じことで、私服を褒められたのなら素直に受け止められるその言葉も今は居た堪れなさに拍車をかけ、素っ気ない礼を紡ぎつつ視線は遂に足元へと落ちて。しかし取り乱した様子を見せたのはその時まで、黒い靴先から順に上へ上へと衣装を辿ると、顔の位置で改めて目が合う頃にはすっかり意識は真正面のメイド姿に移り、「いいすね、可愛い。ひなちゃんが着るとより一層」と服飾とモデルの双方のポテンシャルを認め。王道は王道たらしめる安定した万人の評価と根強い人気あってのもの、仕上がりについては心配していなかったけれど、裏を返せば被りやすいとも言えるだろうか。やる気を出したらしい撮影部員の誘導で配置につく最中、ふと衣装を選んだ際の反応が蘇っては、仕事か何かで以前にも着たことがあったのだろうかと雑談程度に尋ねて )
…そういえば。もう着たことあったすか、そういうの。
えへへへ…ありがとうございます。
( 凛とした佇まいが薄く頬を色付かせて少々崩れるも〝照れてる、かわいい〟と胸のときめきを強くするばかりで、しかしそれは外野も同じなようで『ギャップ良くない?』『わかる』との声が耳に届けば、はっと危険を察知する。わたしの傑さんなのに…と湧き上がる小さなジェラシーでメイド服の裾をきゅと握るけれど、次いで彼から自身だけに向けられた称賛の言葉で、じんわり頬に多幸感滲ませて嬉しそうにまなじりを下げて笑い。撮影部員の誘導で彼の隣に並びつつ、彼の軍服姿をこの目に焼き付けようと瞳を向けるも眩くてずっとは見てられずにちらちらと見ていれば、話題を振られてどきりとしながらも答えて。メイド服ではないけれどふと思い出したのはバレンタインの時のこと、クールビューティー担当のさや姉が新衣装に変わってすぐの頃は恥ずかしくてそわそわとしていたことが蘇ると、ふふ、と表情和らげて )
メイド服自体は初めてです!あ、でも前の……バレンタイン曲のリリースの時、しばらくふわふわひらひらのパティシエっぽい衣装でした。さや姉照れてて可愛かったなあ。
あぁ、あれか…クールビューティー担当はそのへん大変すね。
( メイド服が既出でないことに仄かな安堵を覚えた後、話題に上った〝バレンタインのパティシエ衣装〟を思い浮かべれば、想起されるのは無論バレンタイン当日のこと。確かに多量のフリルがあしらわれていたなと今度は記憶の中の少女を視線で辿っては、他のメンバーの衣装は曲のジャケットを目にしただけなのでよく分からないが、普段のイメージと異なる可愛らし過ぎるテイストに青色担当の彼女が戸惑ったのも頷けて。「ひなちゃんは──」衆人環視の中にいるのも半ば忘れ、単純な興味に尚も会話を続けようとした声と、撮影担当の指示が発されたのはほぼ同時。一度そちらを振り返って給仕者が主人を出迎える場面をカメラレンズの前に作り上げると、言い掛かった以上返事が保留になっても先に伝えておくべきかと、唇だけを動かして質問を投げ掛け )
…ひなちゃんは、何担当なんすか?
──…わたしは、
( 何か言い掛けた彼の声と撮影担当の声が重なっては紡がれるはずだったその言葉の先が気になるけれど、彼が撮影担当の指示に従い動き始めたため自分もそれに倣って従っていると。改めて紡ぎ直された言葉に、ちらりと視線を上げて一瞬何か考える素振りを見せてはポーズの指示を受け、それに従いスカートの裾を軽く摘まみながら腰を少し落としたカーテシー風のお辞儀をして数秒、シャッター音が聞こえた後に顔を上げて姿勢を戻しては、無事に帰宅した主人に対する柔らかな安堵の笑みを広げ「ご主人様の担当です」と自身の役割を全うし。けれど自分で言っておいて羞恥心がじんわり込み上げてきては、胸の前で両手の拳をきゅと握りながら本来の与えられている担当を明らかにすると八重歯を覗かせはにかんでは、もちろんその間もシャッターは切られ続け )
なんて……、えへへ、愛嬌担当ってことになってます!
…奇遇すね。俺も普段はご主人様の担当なんすよ。
( アイドルとしての彼女に意識が向いていたせいで、返答の意図を悟ったのは相手が気恥ずかしそうに本当の役割を告げてから。実際にそんな担当があるのだろうかと呆けていた矢先のことに、一気に理解が追いついて「──…は、」と掠れた声を洩らすと、以降は音のない息だけで短く笑って。そうして図らずも滅多に写真に収められることのない自然な笑顔が保存されてゆく中、ヘアメイクと顧客の契約関係を主従契約に準えて同ポジションを張ったのは、自身の指定したメイド役を全うしてくれた少女への礼儀でもあり、それを戯れと受け取った結果でもあり。続けて数ポーズ取って恙なく撮影が終わった後、インスタントカメラから物体としても転送データとしても写真を受け取っては、教室を出たところで丁度ミスコンとミスターコンの出場者へ準備を始めるよう促すアナウンスが校内に流れて「いよいよか」と呟き )
じゃあ…次は、しっかり愛嬌担当やってきてください。
…傑さん、執事もすっごく似合いそう…。
( 契約上の主従関係といえば確かにそうなのだけれど、この場合の彼からの〝ご主人様〟呼びは破壊力があり、はわ、ときめきの吐息を漏らしながらふわふわと妄想の扉開き…始めたところで、撮影が終わる。着替え終えたのちに現物でもデータでも写真を受け取り、滅多に形として残ることのない彼の柔らかな表情が手元にくると、嬉しそうに見えない尻尾を振りながら煌めく瞳で写真を眺めつつ教室を出たなら、アナウンスにはっと顔を上げ。激励の言葉には「もちろんです!じゃあ行ってきますね!」無邪気な笑みを浮かべながら、ぴしっと額の横に敬礼ポーズを添えると準備に向かうべく踵を返し、たったったと廊下を駆けていくけれど2、3メートルほど行ったところで「あっ」と小さく声を漏らしては、髪靡かせながら踵を返し再び彼の方へと駆け戻ると、彼が背を向けていたなら服の裾をくいと軽く引きつつ、仲良しクイズの答えについて小首を傾げて問い掛けるだろうか )
──…そういえば、結局好きな食べ物って何だったんですか?
( せっかく訪れるなら少し見て回ろうかと早めの到着を少女と約束したものの、今日の本来の目的はこれから行われるミス・コンテスト。さすがにステージ慣れしているからか緊張した気配もない相手に、此方も特に危ぶむことなく浅い頷きを返して送り出すと、軽快に駆けだした足はほんの4歩程で進むのを止め、忘れ物でもしたかのように舞い戻ってきて。去りかけた彼女が引き返してくる状況への既視感から密かに身構えたのは一時だけ、その口から保留にしていたクイズの回答についての問い掛けが為されては、自身もすっかり忘れていたために気の抜けた「あぁ…」を零し。それから特別な意味合いを持たせまいとして逆に神妙になってしまった口調で、ひとことぽつりと答えて )
……ハンバーグ。
へえ、ハンバーグ、──…それ、って…。
( 好きなものも苦手なものも、〝特にない〟を一貫していたのにそれを揺らがせたものは一体何なのだろうと興味津々な瞳を真っ直ぐに向けていれば。ぽつり呟かれた単語に、また彼のことを一つ知れた嬉しさで笑むけれど、はた、とほんの数瞬だけ固まっては、ばちりと瞬いた瞳には一筋の流れ星のような煌めきが走る。二人でお花見した日、ひょんなトラブルをきっかけに彼の実家で出来立てを作った料理もハンバーグだった──まさかね、でも、そうだったら嬉しい。「わあ、偶然……わたしの、得意料理だ」視線を逸らし薄くはにかみながら仄かな期待と自惚れを誤魔化すように、緩く巻いた横髪を口元に持ってきて表情を微かに隠し。いつか好きな食べ物が、〝わたしが作ったハンバーグ〟だと言ってもらえるように頑張ろう。新たな決意を胸に瞳を合わせると、横顔から離した手をぐっと握りながら伝えては改めてミスコンに向けて準備しに廊下を駆けていき )
傑さんっ、ミスコンしっかり見ててくださいね。わたしもステージから傑さんのこと、見つけてみせますからっ!
……すね。
( それがきっかけ──と言うより、それ自体が〝好きな食べ物〟だと伝えるか否か迷って、結局紡いだのは控えめで曖昧な肯定。料理番組のオファーは未だ来ていないのだろうかと時折考える程には今も思い出す味だが、母親でも彼女でもない間柄の少女に頼むことでもなく、ただただあの時の胸の内を反芻するばかりで。互いに言い淀むような沈黙が流れて少し、気持ちに一区切りついたような表情で顔を上げた相手が意気込めば、もういつもの空気で「…ん、今日はひなちゃん見に来てるから」と応え、今度こそ人混みに消えるまで緩やかにカールした黒髪を目送する。さて自分は催し物が始まるまでの時間どこかで暇を潰すかと、往来で立ち止まっているわけにもいかないのでとりあえず振り返るも、予定はそこに立ち塞がっていた数人の男子生徒達により一秒足らずで崩されることとなって。〝永瀬ひな季親衛隊〟だと名乗る彼らにホワイトデーの日からずっと見ていただとかお前は一体何者だとか詰問され、遅れて登場した親衛隊長は知り合いで、隊員の一人にクラス企画の腕相撲勝負を仕掛けられて余裕の敗北を喫し、もう彼女に近付くなという警告に職務上それは不可能だという旨を懇々と説き。やがて集団が最前列を確保せねばとミスコンの会場に移動するのに続いて体育館に足を踏み入れたなら、余計な疲労を僅かでも回復しようと後方の壁に腕組みで凭れ掛かり、相馬青年から延々届く『ごめんなさい』『でも俺も隊員の手前隊長として逆巻さんを敵にしないといけなくて』という謝罪と言い訳のメッセージを放置したまま両眼をそっと閉じて )
かわいいっ…これライブでもやりたいね!
( 自身が去った後に一悶着が起きていることなど露知らず、控室代わりの更衣室でクレープ売りを終えたねねぽん協力のもとでミスコン出場に向けた準備をどんどん進めていく。事前に彼から協力を得て教わったメイクはほとんど自身で済ませ、涙袋にはきらきらとしたグリッターを、両頬のチーク上部は淡いピンクの小さなリボンをつけま接着剤で付けたりラインストーンを乗せたりして、淡く儚く可愛らしい雰囲気を仕立て上げ。それぞれのメンバーカラーのリボンにしたならより可愛いだろうと、ミスコン用のメイクにうきうきと花を咲かせて。衣装は例年に倣って周りはコスプレ風が多く、自身もまた他者からの推薦とねねぽんの見立てのもと、キューピッドをイメージしたひらりふわりとした膝上の白色チュールワンピースを着て、ワイヤーでぴよんと天使の輪を繋げたカチューシャを頭に装着し、背中には天使の羽。それからこの時期それだけでは寒いと、ねねぽんから借りたふわふわボア素材の白色ケープを身に纏いおもちゃの弓矢を手に持ったなら準備は完了。『これは優勝間違いなしだわ』と、メンバーの着飾る姿にねねぽんが鼻高々に笑っては、いよいよミス・ミスターコンの幕が上がろうか。──賑やかしく始まり会場である体育館のステージ上、上手側で出番の待機をしつつ幕の隙間からこっそりと見物客の入りを確認してみては、案外に人が、それも前方に集まっているのが窺えるけれどその人混みの中に彼の姿は見当たらない。館内はステージにスポットライトが当たっているせいで、尚更観客側のところは見えづらいのだけれど。まだ来てないのかな、なんて体育館全体に視線を巡らせていれば、後方の壁際で複数人の小さな人だかりを見つけるけれどその中心にいたのは紛れもなく彼で、いったいどういう状況なのか「えっ…!?」と小さく驚いた声を漏らしながら幕をきゅっと握り僅かに身を乗り出して )
( 視界からの情報をシャットアウトして省エネルギーを図る最中、鼓膜を叩いたのは「寝てる?」「寝てる?」と互いに囁き合う少女達の声で。緩慢に開いた眼に映った生徒らしき3人組は、此方に意識があることを認めるとぱっと笑みを広げ、「お兄さん暇なんですか?」と人懐っこく話し掛けてくる。待機は暇と言うべきか言わざるべきか、返答に困ってステージの方を見遣った時、体育館内の照明が落ち、場に漂いだすイベント開始の気配。「もうそろそろ始まるみたいだけど」何もせずにいることに退屈して対話を求めてきたのならこれで用は無くなるだろうと前方への視線誘導を促すも、彼女達はさして関心を持っていないのか「この後あたし達と一緒に回りませんか?」と歯牙にも掛けず尚も自身へ眼差しを注いで。「いや…お構いなく」「えっ、あたしめっちゃ映えるフォトスポット知ってますよ!」「はあ……」と微妙に噛み合わない会話を繰り広げつつ、なぜ女子高生とはこうも押しが強いのだろうかと天を仰げば、己にそう思わせる代表たる出場者の姿を探してスポットライトの下に焦点を合わせようか )
──…あ、はい!
( このミス・ミスターコンの時間に体育館にいる女子生徒は、出場する女友達の応援か男子生徒目当てでほとんど間違いないだろう。そこに見た目の良い年上男性がいたなら当然、積極的な女の子なら声を掛けるに決まっている。女の子に囲まれている彼の表情は窺い知れないし当然なんの話をしているのかも分からないけれど、再びジェラシーが湧き上がるのを感じるのは確かで。『よかったらインスタとか交換しましょーよ!』なんて一方的な会話を遠くから見守っていれば、いつの間にかミス候補の4人目の出番が終わろうとし、最後の5人目である自身の出番が始まろうとしていては係員から声が掛かり幕から離れ。『それではミス候補、ラストはエントリーNo.5の永瀬ひな季さんです。お願いします!』司会が自身を呼ぶ声に、ぱ、と顔を上げては〝傑さんはわたしを見に来てくれたんだもん〟と確かな事実を胸に、明るく軽やかに幕の上手から飛び出すと「こんにちはーっ!文化祭盛り上がってますかーっ?」と中央に設置されたアピール用のマイクスタンドに声を届かせながら駆け寄って。ステージ中央へ立てば「今日はみんなに幸せを運びにきたよ!受け取ってね!」と煌めく笑顔で告げては、手提げカゴに入れたひとくちバームクーヘンを羽や髪を靡かせつつステージの端から端へと移動しながら、手を伸ばす人たちに向かって愛嬌を振りまきながら満遍なくお菓子もばら撒いていく。『かわいいー!』『似合ってる!』『俺の心も射抜いてくれー!』なんて声援たちが飛ぶ中、肝心の弓矢は飛ばして目にでも当たったら大変なこともあり、前方や後方へ翳すふりだけ。やがてカゴの中のお菓子がなくなりステージ中央へ戻っては、館内後方にいる彼に視線を留め目があったなら、〝〟後ろのみんなにも〟とは言うけれど見つめるのは彼だけ。届きますように、と唇に両手の指先を添えたあとにめいっぱい両手を広げて特大な投げキスを送ってみせて。前方からの『こっちにもやってー!』なんて声に笑顔で手を振りながら、自身の出番を終えると候補者が並ぶ端へと肩を並べて )
後ろのみんなにも、あとで幸せ届きますように!永瀬ひな季でした~!
( 司会の紹介と共にステージへキューピッドが現れると、会場はたちまち現役アイドルの独壇場。浮かれた祭りの空気感も相俟ってライブさながらの盛り上がりを見せる観客席には惜しげなくお菓子と笑顔が降り注ぎ、トレードマークの弓矢を構えて見せるファンサービスも抜かりなく。堂々たる振る舞いに愛嬌担当だけあるなと感心しつつ、記録と後方観覧者への配慮のため撮られている動画がリアルタイムで映し出される大画面で助言したメイクの方も確認しては、ふとその瞳が意識的に動いたのを見て視線を本人へと戻し。目が合った、と直感した刹那、桃色に潤む唇から飛ばされるのは特大の投げキス。しきりに自身の気を引こうとしていた女子生徒達でさえ「やば!ちゅーもらっちゃった!」と沸かせてしまうプロの実力にも驚嘆するけれど、同時に「ちょっと笑ってる?」「なんか嬉しそう…」と彼女らに囁かれてしまうほど個人宛のハートマークを率直に〝可愛い〟と受け容れた己にも当惑して。それに比べればコンテストの優勝者がエントリーNo.5に決まることは意外でも何でもなく、どこか誇らしげな訳知り顔で拍手を送ったなら、この後は忙しくなることだろうしメッセージだけ残しておいて一度退散しようかとスマホを取り出す。『見てた、おめでとう』という簡素な祝辞がトーク画面に追加され、注意は再び前方。マイクを渡された少女がコメントを始めるも、合間に近くから「やっぱ可愛いよな、永瀬」という声が聞こえてくるから、ついそちらへ聞き耳を立ててしまい、マイクに乗った言葉は半分も聞けただろうかという具合で。内容から察するに同級生らしい男子生徒達は、今年で最後だから後夜祭で告白するだとか、お前は結構仲良いから行けるだとか、文化祭マジックがあるだとか、もし振られたら自分も一か八かで告白するだとか、人目も憚らない宣言を交わし、内輪のノリを大いに楽しんでいるらしく。──普段なら気にも留めない他愛のない光景。なのに、彼の告白に〝いつものあの表情〟で頬を赤らめる姿が過って胸裏に苦い思いが広がったのを自覚してしまっては、生まれた疑念を振り払うことはもう不可能で。ミスターコンに切り替わるタイミングでこちらも最後のチャンスとばかりにsnsで繋がることを提案してくる3人組に「しない」とだけ余裕なく答え、「冷た~」「塩~」という落胆の声を背に体育館を出て、縋るように追撃してきた永瀬ひな季親衛隊長からのメッセージに『大丈夫だからしっかり仕事してください。特に今日』と返す。それから暫くの逍遥を経て辿り着いたのは人気のない新聞部の部室前で、昇降口前に貼られていたものと同じ手製の号外がそこでもミスコンとミスターコンの優勝者を伝えていれば、笑みを湛える恋の神の写真にどうしたものかと深い深い溜め息を吐いて )
( 「みんなのおかげです」だとか「逆に幸せをもらっちゃって、最後の文化祭すっごく良い思い出になりました!」だとか、嬉しそうにまなじりを下げながら優勝者のコメントを残し、天使の輪付きカチューシャに代わって頭上にミニティアラを輝かせてミスコンが閉幕する。下手側へと退場しそのまま更衣室で着替えてから彼の元へ行こうと思っていたけれど、更衣室の前は早くも人だかり──そう、〝ミス・ミスターコン優勝者からその日のうちにキスをされると祝福を受ける〟という、この高校にいつしかから伝わるジンクスのせい。優勝者からキスを受けたという名誉のため、祝福にあやかり好きな人に告白するためなどなど様々な理由で男女問わず生徒が集まっていて、このままでは更衣室に入れそうになくどうしよう…と口元に手を添えながら廊下曲がり角から見つめていれば、ふいに背後から腕を引かれる。振り向けば「─…ねねぽん!」『いま更衣室に行ったらあそこから動けなくなるからダメっ』しい、と人差し指を口に当て静かにするように訴えかけるねねぽんがそこにいて、『ねね、さっき逆巻さんが体育館から出てくの見たの。ミスコン終わったし、もしかしたら帰っちゃうんじゃない…?』心配そうに眉尻を垂らす彼女に、はっと双眸を開いては「わたし、探してくる…!ねねぽんこれ預かってて、」と弓矢や空の手提げカゴを彼女に預けては、更衣室とは違う方向へと駆け出して。あまり人に捕まらないようにできるだけ人目を避けて、こっそりと、彼の姿を探していく。スマホは生憎制服のポケットの中で彼と連絡を取る術は今はなく、がむしゃらに探していると、廊下の先でばったりと出逢ったのは親衛隊を後方に引き連れた隊長である同級生の相馬くん。しっかりばっちり視線がぶつかり、ひやりと心臓が跳ねては「相馬く、─…」と声が漏れるけれど、相馬くんは微かに双眸を開くと唇を一度引き結び、キュと踵を返し『ややっ…やっぱり更衣室の方に行こう!出待ちしてる人がいるかも、僕らで永瀬さんを守るんです!』と進んできた方向とは逆の進行を勧めつつ隊長として眩しい威厳を見せつけ。こちらに背を向けた相馬くんは後ろ手で〝あっち〟と親衛隊とは別方向を指差し、回避通路を促してくれているようで。相馬くんの行動に再びこんなに感謝する日が来るなんて──「ありがとう」と優しく小さく呟き、更衣室の方へ向かいだして背を向けた親衛隊と隊長の背後を通り抜けていくと、やがて人気のない校舎に辿り着き。さすがにこんなところにはいないかも、なんて思いながらも展示室が並ぶ校舎の廊下を歩み出した時、ある部室前で立ち止まる彼の姿が瞳に映り小さく息を呑み。帰ってなくてよかった、と安堵の溜息を吐いては何を見ているんだろうと思いつつ、そ、と歩み寄り聞こえてきたのは深い溜息、彼の視線の先には自身のミスコンを飾る号外写真が貼り付けられていて、どき、と鼓動が速まりだすと一度だけ密やかに深呼吸をしてから、後ろ手を組みながらそうっとにこやかに声を掛け )
──…おっきな溜息が出ちゃうくらい可愛いですか?
……、うん。
( アイドル──それも卒業が近いとはいえ高校生を異性として意識するなど平常ではとても考えられない事態だが、自分だって伊達に歳を重ねてはいないし、恋愛経験も人並みには経ていて。ベタな恋愛漫画のように鈍感ではいられない、けれど〝それ〟を受け容れてしまうこともできず、理屈と膏薬はどこへでも付くとばかりに別の理由で説明を付けようと模索する折。悪魔の囁きのようなタイミングで現れた天使の羽に、閉じていた瞼をそうと開き、瞳だけを動かして横目にそちらを窺えば、口を衝いて出るのはこれまでの全てが無に帰するような素直な肯定。昨日の状態でも同じように返していたかどうかは今更確かめようもなく、体ごと彼女の方へと向き直っては、取っ散らかった心中を悟られぬよう努めて普段通りに「優勝、おめでとうございます。盛り上がり凄かったすね」とまずは改めての祝辞を述べて。それからようやく本当に落ち着いてくると、なぜ相手が此処に居るのか、衣装のままこの場所までやって来たのかと現状の不思議さに思い至り、直裁的な訊き方で真相を求め )
…で、なんでその優勝者がここにいるんすか?
えへへへ…傑さんが手伝ってくれたおかげです、ありがとうございます。
( 冗談混じりに尋ねた言葉がするりと肯定されてしまえば、微かに瞠目した後、えへへと双眸を伏せるように緩ませながらはにかむと、続く祝辞の言葉にはますます照れて、少し傾げた頭上の簡素な輝きを放つおもちゃのミニティアラが輝くだろうか。この場にいる理由を言及されては「それなんですけど─…ねねぽんが傑さん帰ったかもって言うから、わたし傑さんのこと探してて。あげたいものがあるのに」あたふたここにいる理由を並べ、手を胸前に持ってきながら人差し指同士をもじもじと合わせるけれど、あげたいものがあると言うのに両手には手提げカゴも弓矢も何も持っていないことは明らかで。そうして語り出したのはこの学校におけるジンクスについて。リボンやラインストーンで装飾された頬が内側からじんわりと熱を持ちながら、説明の間伏し目気味だった視線をそっと上げて彼の表情を窺い )
──…っていう、うちの学校のミス・ミスターコンにはそういうジンクスがあるんです。だから傑さんにそれを、受け取ってほしくて…。
幸せならもう──…
( 何やら切り出しづらそうに躊躇う様と手ぶらのキューピッドに、ステージでのアピールを思い返して予測を投げるも、紡がれた〝あげたいもの〟はそれとはまた別口の幸せらしく。彼女がそういったまじないの類いを好意的に捉えていることは既知の事実にしろ、こうも縁があるとついつい唇から零れゆくのは「またジンクス…」の声。しかしそこでキスももう貰っただの他を当たれだのと言わなかったのは、遠慮がちに此方を見つめる瞳が自分だけを映していることに安堵を覚えたせいか。「それって、もし断ったら他の人にするんすか」受け取る決心がつかずにぽつりと尋ねては、内奥を見据えるようなまっすぐな眼差しを正面へと向ける。果たして己がどんな返答を求めているのか、分かるような、分からないような、分かりたくないような。胸にしきりにさざ波の立つ中、やがて相手の口から次の候補の存在が仄めかされたなら、断る選択肢は消え、具体的に祝福を授かる場所を確認しつつ左人差し指のリングを外そうと )
…じゃあ、お願いします。…どこ?手?
それは……まあ、そうですね、せっかく優勝したので。
( ミスコンでのアピールタイムのこともありジンクスなんて信じない彼のことだから、もう貰いましただなんて返答が今に来てしまうのだろう。ぽつり尋ねられては考えを巡らせるように一度視線を横へずらすと、頑なに断られるようなら優勝者のキスは影の活躍者であるねねぽんか、日頃お世話になっている牧さんに捧げることに考えが着地し、視線を戻しては小さくこくりと頷いて肯定すると、思いの外、じゃあ、と願われ自分からあげたいと申し出たことなのについ喫驚で双眸を瞬かせてしまって。〝え、いいの?〟と頬が色づきだす間にリングを外そうかと手元に彼が視線を向けたなら、た、とそばへ歩み寄って〝そこじゃないよ〟と伝えるように彼の左手の上に被せるように手のひらを添えては、踵を上げて少し背伸びをしながらきゅっと双眸を閉じると彼の左頬へ唇を柔く軽く押し付けて。文字通り瞬く間のほんの一瞬のできごとだけれど、確かに授けた祝福。踵を下ろして左手から手を離しては両手の拳を胸の前にきゅっと寄せながら、かあぁと頬や耳まで含羞の色に染めつつ合わせられない視線は手元へ向けると祝福を授ける場所を漸く告げて )
──…ここ、です。…でした。
…これもジンクスの条件、で…?
( 体の前に取り出した手をそっと抑えつけるように軽く柔い重しが乗せられれば、目線を上げた瞬刻にゼロまで縮まる互いの距離。咄嗟に呑んだ息を細々と吐き出す頃には頬に触れたその正体を悟り、辿々しく種を明かす少女へ真意を探るような問いを発するも、彼女が何かしら答えたにしろ沈黙を貫いたにしろ、そんな事を聞いてどうするのかと思い直し「…いや」と自ら打ち止めて。「ありがとうございます、…ました。…誰かに見つかる前に戻った方がいいすよ」両者共通の知人である男子生徒にまさに今階段から決定的瞬間を見られていたことなど露知らず、校内外で噂が立つことを危惧して相手に退避を促し、それに従って足音が遠ざかったなら。一人きり残され立ち尽くす頭の中では、あの日聴いた鐘の音が残響のように鳴り響いているだろうか )
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(/ 逆巻側、ここで回収とさせていただきます…が、まだやりたいことや話したいことがあったのに!という場合は改変して続けていただいて大丈夫です…!感想等は完全に〆となってから語らせていただきますね。※蹴り推奨 )
……っ、いえ、こちらこそ!
( キスをする場所なんて最初はもちろんどこだって良かったのだけれど、今日女の子に囲まれていた彼の姿を見たからか独占欲がどうしても湧いてしまったようで。自身でも突飛な行動力に驚きつつ、ほろ苦い柑橘系の香りが鼻腔をくすぐったのは二度目だろうか、微かな余韻と冷めやらぬ羞恥心のなか彼の問い掛けに口篭っていれば、祝福への礼を告げられるとふるふると首を左右に振りながら、祝福を受けてくれたことやミスコンのためにメイクを教えてもらったことなど様々な意味を含む謝辞をあたふたと告げ。助言には、確かに!とはっと顔を上げては未だ赤らんだ頬のままで。自身の着替えが済む頃には文化祭の閉幕時間となるだろうし「もう帰っちゃいますよね、…あの、本当に今日は来てくれてありがとうございました。気をつけて帰ってくださいね、無事におうち着いたらLINEくださいね!」と矢継ぎ早に伝え、ぺこーっと深くお辞儀をしては、それじゃと来た道を戻るようにぱたぱた廊下を駆けていく。階段横で相馬くんが慌てて身を引っ込めて壁にぴたりとくっ付き気配を消していることなんて、今は〝ほっぺたにちゅーしちゃった〟と自身の言動にひたすらに恥じらっているせいか全く気が付かず。そのあとは親衛隊のおかげで無事更衣室内に入れて着替えられたし、友人やメンバーから優勝おめでとうとカラフルなスタンプのLINEが届いているのも確認したけれど、その中に混じる彼からのメッセージはシンプルながら一番輝いて見えては〝うれしい、だいすき〟と気持ちがきゅんと溢れてくる。しかし文化祭の閉会式や打ち上げを兼ねた後夜祭──それもミスコン優勝者ならなお慌ただしく待ち構えていては、落ち着いて彼に返信できたのは夜になってから。帰宅を知らせるLINEが届いていたなら、おかえりなさいのスタンプを送信し、それから改めてのメイクのお礼や文化祭を一緒に回れたことのお礼と、〝学生生活でいちばん楽しい文化祭でした〟とありがとうで溢れたメッセージを送信し、その1、2分後くらいに〝だいすき〟と猫がハートを持ったスタンプも送信したなら、友人から送られてきたミスコンの写真や、コスプレ衣装の自分たちの写真を眺めながら思い出たっぷりのスマホを片手に眠りにつくだろうか )
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( / こちらも回収で〆とさせていただきました!この時がついに来たな~と思いながら、文化祭イベとっても楽しませていただきました。ありがとうございました* 本当にアツい展開でした…イベント考えてくださった背後様に大感謝です…(拝み)
恒例の感想大会は後ほど提出致しますね…! )
(/ 文化祭イベ、ありがとうございました…!本当に遂にこの時が、という回で、また一歩関係を変化させた二人にまだ心臓がどきどきします、…してます。約束通り帰宅メッセージを送信してからずっと後夜祭のこと気にしてて、返信が来たらわりとすぐに『ひなちゃんもおかえり』は送ってそうだし、頻出の猫スタンプもそろそろ同じの購入してそうだなって思いました。ジンクスの相手は絶対詮索されるだろうけど何て答えたのかなとか、ねねぽん以外のメンバーも同じ学校なのかなとか、続々と興味の惹かれる点が生まれるという意味でも妄想の捗る〆ロルで、最後の最後まで楽しませていただきました*
感想は細かく書くととても1レスに収めきれる気がしないのでざっくりめになりますが、とにかくひな季ちゃんの〝大好き〟感と逆巻の〝無意識に好き〟感で甘め展開が盛り盛りでしたね…!なんでこれで付き合ってないんだと度々首を傾げながら壁に勤しんでおりました。初手から特製クレープといつかのやり返しのご褒美があり、仲良し度チェックでは得点には繋がらないものの他愛ないやりとりから仲良し感が滲み出し、着せ替え写真館では色々なシチュの二人を写真に収められ、ミスコンでは特大の投げキスを貰って…何回読み返しても尊い以外の言葉が見つかりません。主眼のジンクスのシーンで無事逆巻の恋心も芽生え、最初に「文化祭行きたい…!」だけで案を出した時にはこんな幸せ詰め合わせみたいなイベントになるとは思ってもみませんでした。また追加料金が発生しそうなエプロン姿や、ひな季ちゃんのためにあるようなアンティークドール姿、ファンの夢そのものなメイド服、今回イベにぴったり且つ神さまというか妖精さんみたいなゆめかわいいキューピッド衣装など新衣装も盛りだくさんで、加えて語尾「にゃん」だったり「ご主人様担当」だったりのファンサもいただき、ペンライトが光りっぱなしの回でもありました…。 )
( / 熱量をひしひし感じられる感想に、心がむぎゅむぎゅ嬉しくなりました…っ。約一年半の時を経て漸くここまできたかという感じですもんね。いつかも言ったかと思いますが、恋心が育まれるまでの描写は大好きながら、こんなにもじっくり楽しく味わえたことはないので本当に改めてこのご縁に感謝しております…そしてすぐひながあまりにも尊い…。
ええ、帰宅後もひなちゃん呼びなの可愛いです…ひな季もきゅんとしてるに違いないです。同じ猫スタンプを購入する勢いなのも尊みで溢れています…!ジンクスの相手詮索、ねねぽんにはバレバレなのに思い出して恥ずかしくなって内緒って言って誤魔化してそうです。ねねぽん以外のメンバー、あちとさや姉は違う学校ぽいな~というイメージをなんとなく抱いています。
〝無意識に好き〟感めちゃくちゃ良かったです…やっぱり癖…。クレープのやり返しができて楽しかったですし、反応だとかも可愛らしくて願望を叶えていただきありがとうございました…!逆巻さんが纏っている独特の緩さと繊細さとミステリアス感が本当にツボだなあと再認識しつつ、仲良し度チェックでは新たな情報を得られて、点数は微妙ながら間違いなく仲良しのやり取りができて楽しかったです。好きな食べ物にハンバーグが挙がりひな季の存在が影響を与えてることの実感とか、点数気にしてるひな季にこっちを見てた方が良いと目を合わせてくれるのとか…とてもきゅんときました…!着せ替え写真館では待望の学生服もさることながら、実は軍服姿を見たい下心もあったので、ラストにチョイスしていただいてとっても感謝でした……しかも白の軍服だなんて最強すぎる…。
ミスコンでは絡まれる逆巻さんを見れて満足でした…!ファンサの反応と塩対応のギャップを噛み締めているところに、やきもちシーンを見られて会場並みに非常に盛り上がりました…!久しぶりの相馬くん登場回でしたが相馬くん、衝撃だったろうな…()と思いつつ、鐘の音…鳴りましたか…!とによによきゅんきゅんなジンクスシーンでした。香水は例のミラーハリスのティートニック…?以前にどんな匂いなんだろうとお試しサイズを取り寄せしていたので、香りを思い出しながらなんて盛大にオタクしてました()推し活ありがとう…。
本当に供給盛りだくさんな文化祭イベでした、改めてありがとうございました…*
省略して書こうと思いつつ長くなってしまいましたが上記蹴り可です◎
この勢いのまま、次なる本編イベントの匂わせ写真事件後日談に参りますか…? )
(/ そもそもの主題がこの部分だったためにある程度引き伸ばそうと画策したとはいえ、ここまでキャラクターの心情変化に寄り添って描写できたのは本当に貴重な体験でした…。おかげで逆巻が若干倫理を超えてひな季ちゃんに惹かれているのも、個人的には何ら違和感なく。背後はとっくにひな季ちゃんを大好きになっていたので今まで逆巻を抑える方がむしろ大変だった程ですが、この進展速度にも関わらず飽きることなく続けてこれたのはお相手が背後様だったからこそだと思っております。膨大なレス数に反して、起こったことがひな季ちゃんが恋に落ち、逆巻も恋に落ちた、に要約できてしまうことが一周回って面白くなってきたところで、今後とも末永くよろしくお願い致します()
私も〝無意識に好き〟感出すのめちゃくちゃ楽しかったです~…!いちいちはわはわしてくれるひな季ちゃんが愛おしくて、でもいざって時には逆にちょっと自信なくなっちゃうのも等身大の高校生っぽくて甘酸っぱくて、それから逆巻の発言で再来世の転生先まで決定しちゃう一途さも、ジェラシーで祝福の授け先がほっぺたになっちゃった直情さも、全部全部可愛いが過ぎました…。イベントを通してず~っと愛を伝えられていたような感覚で、幸せのタイパが試運転形式の交流に引けを取らない、とんでもない回だったなと改めて実感しております。ちなみに軍服は此方も着せたいなと思っておりまして…えへ、またもや以心伝心ですね。揃いの軍服も考えましたが、逆巻セレクトだとメイド服になってしまったので、あの形に。直前まで執事服か貴族っぽい服かの予定でしたが、執事だとシチュが浮かばないし貴族っぽいのはヴァンパイアで着たし…と悩んでいたところ、第三の選択肢として不意に閃きまして。白か黒かでもまただいぶ悩みましたが、気に入っていただけて熟考した甲斐がありました…!
鐘の音は絶対に鳴らそうとジンクスシーンが爆誕した頃から目論んでいたので、細かなネタにも気が付いていただけて嬉しいです…!最後の場面は二人の緊張感がひしひしと伝わってくるのも良かったですし、手を〝そこじゃないよ〟ってされるのもなんかすごいぐっと来たし、「です。…でした」の喋り方にもきゅんとしました…。また香水の具体的な品名まで当てられたことと、試していただいていたこと、今回イベで何気に一番の驚きかもしれないです。なんで?すごい…。
ということで可能な限り割愛したつもりが全く短くなっておりませんが、上下とも全文蹴り可です◎
そうですね、大丈夫そうならこのまま第二部駆け抜けたいなと…!開始ロルはこちらからお出しするので、少々お待ちくださいませ。 )
( タイムラインを流れるアイドルの自撮り写真に思わずスクロールの指を止め、そっとタップして拡大した後、本日何度目か分からない溜め息を吐く。ユーザーネーム〝春名〟からダイレクトメッセージが届いたのは、そんな悩める午後の昼下がりで。彼女とは此方から頼んでメイクをさせてもらったあの一件以降、これまで通りにsns上での交流は続けつつも、実際に会おうという話が持ち上がったことはなく。時折目にする投稿で自分磨きに情熱を注いでいるらしいことは把握していたが、それが本人の中である程度の水準に達した時、再び顔を合わせることになるのだろうというのも確かな予感として理解していて。『大事な話があるから、できたら近いうちに会いたいです』通知を開くと、遂に届いた用件は案の定。しかし、付け足された立会人は予想外で。『水瀬ひなちゃんも一緒に』よりにもよって今最も顔を合わせづらい相手を指定されて、承諾の返事をしようと伸ばした人差し指が中空で停止する。なぜ交際の申し込みの場に第三者が必要なのかは分からないが、そんなことを訊くわけにもいかないし、誘い自体を断ってしまうのもこれまでの努力を陰ながら見守ってきた者として忍びなく。『相馬くんも一緒でいいですか』結果、己の心の安寧のため永瀬ひな季親衛隊長の彼も引っ張り出し、数日後にいつかのカフェに再集合することとなって )
( まさかこの四人で再び顔を合わせることになるとは。カフェの一席に着座した面々を眺めながら思い出すのは、数日前の彼からのLINE。お誘いが届いたかと思えばその実はお呼び出しで、デートかと思いほんの一瞬のぬか喜びを味わうこととなった後に湧いたのは疑問。なんで四人で…?と思いながらもプライベートで彼に会えるのは嬉しいので、裾のアシメフリルがお気に入りなココア色の千鳥柄シャツワンピースに白のフェザーロングカーディガンを合わせ、足元は茶色のショートエンジニアブーツに赤ソックスをくしゅくしゅとさせ、髪型はハーフアップに白色リボン。春名さんもおしゃれしてくるだろうからと負けじとおめかししてみたけれど、久しぶりに会う彼女は少し髪も伸び、以前よりずっと柔らかな印象を与え多幸感が似合う女性になっていて、しかし撫子色の頬や桃色の唇は少し緊張で引き締まっているようで。再会の挨拶もそこそこに今の彼女の姿を、はえ…とついまじまじと眺めてしまいながらぽつりと呟き )
春名さん…ほんとに変わられましたね…。
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( / お言葉に甘えて割愛してますが、例に漏れず嬉しくて何度もによによ復読して浸っておりました…。
それにしても、ひな季が恋に落ちて逆巻さんも恋に落ちたで要約できちゃうの、ほんとにそうで笑っちゃいました() 恒例の以心伝心にも嬉しくなり、逆巻さんの返しも「ます。…ました」だったのも心掴まれました。ちなみに香水に関しては、結構前にお部屋で見かけたので存じ上げておりました(こそ)
私も背後様だったからこそ、飽きずに楽しくやって来られたと思っております。改めて素敵なご縁を繋げていただいて感謝するとともに、こちらこそ末永くよろしくお願い申し上げます!第二部も駆け抜けていきましょう~!
そして席位置なのですが、すぐひなが付き合っていると勘違いしている相馬くんが気を利かせて二人を隣同士にしてくれそうな気もしつつ、心の安寧のために逆巻さんが相馬くんを隣に置くのかなとも思いまして描写しておりません。お好きな場所にそれぞれ配置していただけますと幸いです…! / 蹴り推奨◎ )
…──相馬くん。こっち。
( グレーのコーデュロイショートシャツと同色同素材のストレートパンツ、その上にアイボリーのスエードノーカラージャケット、靴は黒のUチップシューズを合わせ、時間より少し早めに例のカフェへ入ると、そこには既に自分達を呼び出したボブカットの女性の姿があって。テーブル席の椅子側を彼女が確保していたため、用件の相手であろう己は向かいの二人掛けソファへと着席する。それから数分もしないうち、護衛対象と一緒に来てくれと頼んでおいた親衛隊長とアイドルの二人が到着しては、彼らが近くに来るなり青年の腕を引いて隣に座らせ、ゆえに少女は自動的に全員の横顔が見える位置にある幅広のダイニングチェアに腰掛けることになるだろうか。「そ、そうかな。自分なりに色々頑張ったから、そう言ってもらえると嬉しい」全員が腰を落ち着けて、少し。再会早々垢抜けた姿に言及された向かい側の銀行員は雰囲気と同時に物腰まで柔らかくなったのか、はにかむように謙虚に答えつつも、その中に努力に裏打ちされた自信をほんのりと滲ませていて。「…どう、かな」不意に此方を振り返った瞳が問わんとすることは短くとも明白で、ソフトピンクのショート丈ケーブルニットやローズグレーのチュールスカート、チョコレートブラウンでまとめたリブ切り替えのショートブーツところんとしたフォルムのショルダーバッグを一通り見遣ってから「…ん、努力したの分かります。全部よく似合ってる」と正直な感想を。喜んでいるというよりはほっとして気が抜けているような、笑みにも満たない笑みの隣、もし斜め前の位置からも眼差しが注がれるようなら、「水瀬さんもいつも通り可愛いすよ」とは言うものの、視線はふよふよと避けるように頼りなくメニュー表へと着地して。ややあって出された「とりあえず何か頼もうか」の助け舟で、自分はシナモンシュガーコーヒーを頼み、提案者はハニーミルクを頼むことにしたらしく )
…、ありがとうございます…。
( 彼女はメイクの魔法だけでなく恋の魔法にも掛かっているのだろう、謙虚にはにかむ彼女の姿は以前のようなちくちくとした気配はなく、あたたかな春を感じて可愛らしい。ほっ…としたようで、けれど同時に逆巻さんが彼女に惹かれてしまうのではとの憂慮も持ち合わせていて。努力してる人のことは多分、誰だってそうだろうけれど好ましく思うはず。彼女に静かに賛辞を送る彼の様子をじ…と見ていれば、それに彼が気付きこちらのことも褒めてくれるけれど、なんだかついでのような気がしたり、いつものようにしっかり目が合わないのも気になったりして100%の喜びには至らず、もにょりとお礼を返し。そもそもなぜ呼ばれたのかも分からず、なんとも言えない空気感のなか、絶妙にサイズの合っていない丈感の深緑色のパーカーとブルーデニム、3ラインのスニーカーに身を包んだ相馬くんは、なぜか逆巻さんの隣に座らされていることに〝??〟とますます状況が分からない様子でコンタクトの瞳をおろおろと動かし。普段逆巻さんのsnsのネトストをしているだけあって美容に少し興味を持ち始めたのか、前に比べてずっと綺麗になった頬を相馬くんはぽりぽりと掻いて。そこへ助け舟にほっと3人が乗っかってはショコラティーラテを、相馬くんは少し迷った後に彼と同じ飲み物を頼み。憧れる人の隣に座らされていることで緊張しきりな相馬くんは、猫背のまま直視できないようでちらちらと彼を盗み見ながら『さ、逆巻さん…もいつもおしゃれですよね、いいな…』ぽそぽそと羨望を漏らしたなら、飲み物が到着するまで相馬くんが似合いそうな服についてちょっとだけ談義が行われるだろうか )
( アドバイザー3名による服の見立ては、やがて己が彼へ数点のアイテムを譲り渡すことに話が決まり、テーブルに湯気の立つ4つのカップが運ばれて来るまで続き。必死にスマホへメモを取る青年の隣で同じシナモンシュガーコーヒーをそれぞれの正面まで引き寄せると、熱さに怯んで印ばかり啜ってから、思いのほか興が乗ったのかファッション談義は今少しの延長。ただ対面の呼び出し人だけは他の何かに気を取られるように次第に口数が減ってゆき、反対にハニーミルクには頻繁に口をつけるようになって。いよいよ誰よりも早くその中身が無くなった時、静かに両腕を下ろした彼女はひとつ息を吐いて「…──あの、今日は、逆巻さんに伝えたいことがあって。それをひなちゃんにも聞いてほしくて」と容れ物の底を見つめながら本題を切り出す。水を打ったようにぴたりと止んだ議論の代わりに一拍置いて「はい」と答えれば、軽く居住まいを正して眼差しにも些かの緊張を帯びさせ。「実はあたし、逆巻さんのことが、好き──…でしたっ…」そうして顔を上げ、瞳も言葉も真っ直ぐに告げられたのは、覚悟していたものとは別角度の過去形での告白。元より受け入れるつもりはなかったものの、これにはどう反応すべきかと返事に窮する此方の姿に、困惑を読み取った相手は慌てて事情を語りだして。元々この日の告白のために自分磨きを始めたこと、けれど最近になって職場の男性からアプローチを受けるようになって気持ちが傾きだしたこと、今日は見込みのない過去の恋をきちんと終わらせるために呼び出したこと、そしてその勇気はあの日の体験と水瀬ひなの一言から貰ったこと。「だから、好きだったって、楽しかったって、…たぶん、幸せだったって──…伝えたかった、だけ」一人で喋り続けたことが唐突に恥ずかしくなったのか、尻すぼみにそう結んだ表情は、しかし達成感と安堵感に満ちていて。「ありがとう。…お幸せに」自身から伝えたいことは上手くまとめられそうになかったので簡素な礼と祝福に込め、そっと緩めた目許をもって送り出す。そんな冬の足音も忘れるような暖かなムードの中、「うん、逆巻さんもきっと!」と晴れやかに祝福が返されては、この時ばかりは意識から外れていた〝叶う恋〟でも〝叶わない恋〟でもない〝叶えてはならない恋〟の問題が現実として襲い掛かり、「ん……、うん……」と曖昧な声音を洩らす始末となって )
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(/ 今回もばか長くてすみません…。春名さんは半分くらい背中押してほしくて来てるはずなので、この後は緊張から解き放たれた勢いでひな季ちゃんと女子トークを繰り広げていただけると幸いです…!それが済んだら多分全員分の会計持って帰るので、その際に何か小物を忘れててひな季ちゃんが届けに追い掛けて行く→ひな季ちゃんの離席中に相馬くんの浮気ダメ発言かなという計画になってます。わりとすぐ終わっちゃいそうなので、入れたいやりとりだったり変更したい点があればご遠慮なく…!特になければ蹴り推奨です◎ )
( 談義の間に私物を譲ってもらえることになった相馬くんの『いいんですか!?』と「いいなーっ」との自身の声が被る。そもそも彼の隣に座っているのも羨ましく、気分が昂ったせいで暑くなったのか手団扇する相馬くんだけれど、羨んでじとーっと見つめるこちらの眼差しでなんだか涼しくなったらしくそっと手を下ろしていれば、話題を切り出した彼女へと今度は視線を移し。この雰囲気は告白だけれど、何もわたしも一緒じゃなくても…!とつい身構えるように膝の上に拳を乗せつつ、視線だけその二人へと彷徨わせ固唾を飲んで見守っていれば、彼女の桃色の唇が開かれるとその内容はやっぱり告白で、きゅっと心臓が縮む思いがするけれど〝でした〟との過去形にぱちりと双眸を瞬かせながら彼女を見つめて。それから慌てて事情を語り出した彼女は想いをきちんとひとつひとつ言葉にし、それにいつしか真剣に耳を傾けて、やがて柔らかく晴れやかな表情を浮かべるのを目の当たりにすると、自身もまたほっ…と小さく安堵の息を吐き。わたしならそうする、と道を示したのは自分だったけれど、いざライバルが堂々告白するとなるとこんなにヒヤヒヤするなんて。でも自分の言葉で、自分を変えたい人の背中を押すことができたのならちょっと嬉しいし、彼のメイクは自信を持たせてくれる力があってやっぱりすごいなあなんて、誇らしく嬉しい気持ちになっては自然と表情が緩んで。「春名さん、ほんとにすごく可愛くなったから、傑さん取られちゃうかと思ってどきどきしちゃいました」本当にちょっと冷や汗をかいたことを眉尻を垂らしながら笑って伝えては、「え、ちなみに気になってる人ってどんな人ですか、傑さんに似てる?」と安堵から始まるのは女子トーク。彼女の方へと少し身を乗り出しながら瞳を煌めかせては『全然似てないかな、もっと明るくてよく喋る人─…でも優しくて、一緒に居ると居心地が良いとことかは一緒かも』ふふ、と彼女は表情を和らげて。メンズたちを置いて何往復かそんなやり取りをしたなら彼女のスマホの通知が鳴り『…あ、あたしそろそろ出なきゃ。今日は本当にありがとう、…それじゃ』画面を確認した彼女が席を立つと、ここは出させてとアクリル筒から伝票を取っては、すっかりふっ切れたような明るい笑みでその場を後にし。真っ直ぐな自信を取り戻した背中に手を振って見送り、話に夢中になってすっかりぬるくなったショコラティーラテの残りを啜りながら〝ほんとにすごく可愛くなってたなあ〟なんて余韻に浸りつつ、彼女が座っていた椅子をちらり見遣ってはリップの忘れ物を見つけ。直後に退店のベル音が聞こえては、彼女を見失う前に届けなくてはと慌てて立ち上がり、リップを椅子から拾い上げると彼女の元へと届けに向かって )
帰り気を付けてくださいね!──…あれ、春名さん忘れ物してる!わたしちょっと届けてきますねっ。
あ──…お願いします。
( ここ最近トレンド急上昇の悩み事に行き当たって場も弁えず悶々とする折、目の前では対照的にきゃっきゃと女子トークに花が咲くも、自身はずっと上の空で。隣のもう一人のメンズもまた呼び出し人の告白によって初めて隠されていた好意を知った上、アイドルから飛び出した『傑さん取られちゃうかも』というさも共通認識かのような言葉のオープンさに混乱を極めて、華やかな二人の輪からは外れたまま。そんな蚊帳の外の構図が崩れたのは集まりの目的を果たした彼女が席を立った瞬間で、気前良く全員分の会計を持って出てゆく上機嫌な表情へ思い思いの挨拶を掛けては、淡いピンクの背姿を見送る。数十秒後、置き去られたリップを届けるべく今度は雛鳥のようなふわふわの白が同じ動線を辿ってゆくと、離席の報告へ託すように応えたのを最後に、テーブル席には久方振りの沈黙が訪れ。特に語ることもないため大人しく帰還を待ってから自身も店を出ようかと思案するけれど、青年の方はまるきり逆のことを考えていたらしく、他者の居ない今が好機とばかりに決意の面持ちで此方を振り返って。「…逆巻さん。浮気は、ダメですよ」何の脈絡もなく突然促された忠告に、意図はよく分からないものの内容は賛同するところではあるので「はあ…」と気の抜けた肯定を返す。ところが煮え切らない態度が逆鱗に触れたのか、隣からずいっと身を乗り出してきて「絶対ダメですからね…!」と強い口調で迫られれば、傍からは不義理を働きそうに見えるのだろうかと「や、しないし──」と明確に猜疑への否定を。その弾みで今し方の宣誓を最も聞かせたかった少女の顔がちらつき、怒った肩越しに目線が着地したのはショコラティーラテの置かれた席。ほろりと静かに零れた呟きには抱えきれなかった遣る瀬無さが滲むようで、親衛隊長は「それを聞いて安心しました」と満悦の笑みを浮かべるものの、当事者から実際の関係を知らされた暁には一気に事情通となってしまうことだろう )
…絶対大事にするのに。
ただいま~、無事届けてきました!すぐ気付けてよかったあ──…ね、この後どうしますか?
( 彼女がお店を出てから間もなくのことだったから、すぐに後ろ姿を見つけることができて「春名さん、忘れ物ー!」と声を掛けながら駆け寄って、無事に彼女の元にリップが渡り八重歯覗かせながら安堵の笑みを浮かべると、『あっ本当だ、ありがとう!助かる~…、…。』白のシャギーカーディガンも相俟ってポメラニアンを想像した彼女が、ふふ、と双眸緩め。口元を笑んだまま双眸をきょとんと瞬かせていれば『ほら、早く戻らないと。二人が心配するでしょう』ぽん、と頭を撫でながら戻るよう促されると、「はい、…またねっ、春名さん」と、はにかみながら手を振って彼女と別れ。その足でまっすぐカフェに戻ってくると、荷物を置いた席へと再び腰を掛けながら晴れやかに任務報告を伝え。空になったカップたちを視認すると、この後予定がなければと二人──主に彼の方を見ながら伺いを立てるけれど、相馬くんが急にばっと素早く立ち上がり、それに驚いて相馬くんのことをぽかん…と見上げて。『俺はこのへんで、失礼します!二人の邪魔しちゃ悪いし…。永瀬さんはまた学校で!逆巻さんも、また連絡します!』と、気を利かせた相馬くんはその場でぺこっと深々頭を下げれば、じゃ!とそのまま足早にカフェを出て行き、双眸ぱちぱちと瞬かせつつ小さく手を振りその姿を見送れば。ついには二人きりになり、カフェの出入り口から彼へ視線を戻すとテーブルに頬杖をつき、ほんのり頬を染め小首を傾げながらデートのお誘いを口にして )
う、うん…また学校で──……行っちゃった。…、えへへ、二人きりになりましたね。デートでも行きませんか?
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( / 相馬くんの外見変化を入れることができたり、ちょっとずつ垢抜けていく流れができて満足したので次で〆させていただきますね…!デートはもちろん断っていただいて大丈夫です◎ )
…悪いけど、今日は俺もこれで帰ります。寝不足なんで。
( 浮気によって深く傷付けられた経験でもあるのか、何かに駆り立てられるように倫理を説いた青年は、少女が届け物の任務を終えて戻ってくるなり入れ替わりで機敏に席を立ち。急に忙しなく去ってゆく深緑は嵐が過ぎ去るようで、呆気に取られて「何だったんだ…」と口に出せばその思いは一層強まって。しかしそれより気掛かりなのは彼女と二人取り残されてしまったこと。知らぬ間に芽生えていた恋心を自覚してからというもの、態度を決め切れずに今日を迎えてしまっていて。いつもの調子で軽やかに持ち掛けられるデートの誘いにも、応じるわけでもなければ断る声音に常の切れ味もなく、言い訳じみた理由を引っ張ってきて逃げの一手に出ては噛み殺した欠伸で瞳を潤ませ。とはいえ自分まで功労者を置いて帰るわけにはいかないので、相手のカップが空になるまで待ってから共に店を出ると、有無を言わさぬ現地解散の雰囲気で別れの挨拶を )
それじゃあ、ここで。水瀬さんも暗くなる前に帰って。
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(/ 次で〆、承知致しました!此方も回収させていただいております◎ )
えっ。それは帰って寝ないとですね…!
( 悪いけどと続く言葉にそれは大変!と瞳を丸くしては、夜遅くまで映画でも観てたのだろうか、メイクの研究だろうかと考える。普段よりも少し切れ味の悪い断りに、それとも何か悩みごとなのだろうかと様々な要因を考えつつも言及はせず、できるだけ早く帰れるように唇に付けたカップを傾けてはショコラティーラテの残りを飲み干していく。自分一人を置いていかず、律儀に待機してくれた彼にお店を出てから「飲み終わるの待っててくれてありがとうございました」と礼を告げ、そのまま現地解散を告げられると大人しく頷き受け入れて。彼から言い聞かせられたように自身もまた言い伝えては、にぱ、と無邪気に笑ってその場で解散を。──それからその足で赴いたのは雑貨屋さん。快眠の手助けになるようなものでもあれば、と棚の間を縫うように探していれば一輪の薔薇の入浴剤が目に付き。花びらを一枚一枚はなしていくタイプで楽しむことができて、サンプルの香りを嗅いでみればキツくなく、アロマ感覚でリラックスして眠れそうで。箱に入った入浴剤を手に取りラッピング袋付きで会計を済ませたなら、早く渡したいな、と口の中で呟いては言いつけ通り暗くなる前に帰宅するだろう )
はーい。傑さんも気を付けて帰って、それからしっかり寝てくださいね!それじゃあ、またお仕事で!
( ──その後日、学校で一人でいたところに相馬くんがこそこそと周りの目を気にしつつ呼び掛けてきて。彼のsnsに特に出掛けたような投稿がなかったからか、あの後どこへ出掛けたのか問われると「あ、あの日はね。傑さん寝不足だったらしくてそのままカフェで解散したんだあ」と心配と少し残念さを帯びた表情を浮かべ。それから質の良い睡眠が取れるよう入浴剤を買ったことを伝えては、それを健気に感じた相馬くんは頷きながら『こんな可愛くて優しい彼女がいたら叶わないよね、春名さんも』「彼女…ってわたしのこと?わたしたち、付き合ってないけど…」と双眸をきょとんと瞬かせながらほんのり頬を色付かせ。もちろんそうなれたら嬉しいのだけど。もじもじ視線を逸らしていれば『えっ…?』と相馬くんは一音発したきり固まってしまい、その背後には思考の宇宙が広がるだろうか )
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( / 回収ありがとうございます、〆させていただきました◎
プライベートを垣間見える描写が好きだなあと改めて思ったり、変化した心理描写になんというか感慨深さを感じたりと、今回イベは短めでしたが満足度が高かったです。浮気しないことを聞かせたかったって…逆巻さん…!と机ばんばんしたくなっておりました() そして相変わらずおしゃれ…相馬くんは譲り受けた逆巻さんのアイテムを着こなすことができるのでしょうか。というかどんどん仲良しになっていってますね。春名さんも努力したぶんちゃんと報われてきていて、すぐひなだけでなく周りの変化を感じられる回で満足するものとなりました、ありがとうございます* )
(/ 匂わせ写真事件後日談、そして第二部完走、ありがとうございました…!〆ロルも第三部への完璧な引きで、改めて伏線を散りばめるのがお上手だなと感服です…。
今回イベは部を跨がずに春名さんの件に決着をつけておこう、という回だったので短い上にあまりすぐひなメインではありませんでしたが、関係なく楽しんでいただけたようで安心致しました。私もひな季ちゃんのことで頭がいっぱいになってる逆巻を描けて満足度高めでした* そして二人の今後は勿論のこと、逆巻の秘密と服を一日にして手にした相馬くんの動向とファッションもこれから要チェックですね。…と、色々な事情が重なってメンズが何だか仲良くしてましたが、ひな季ちゃんと春名さんも女子トークを通じて相当打ち解けた様子で、すぐひなが微妙な時期な分そっちで平和を回収してました。ただ頭ぽんってしたのだけはまだ許してないです( 親衛隊 )あとめちゃくちゃ余談ですが、今回のおめかししたひな季ちゃん、いつも可愛いけど遊園地デートの時の若さ大爆発ファッションと並ぶくらい背後のタイプでした…。いつも以上に雑駁としてしまっていますが、上記全文蹴り可です◎
さて次は、本編第三部に進むか保留にしていた臆病な少女幽霊に移るか、はたまたその他か、いかが致しましょうか? )
( / いえいえそんな、伏線はもちろん描写の纏め方もファッションコーデにおいても、背後様の足元にも及びませんので…!でも褒めていただいていつも嬉しいです、ありがとうございます…* 親衛隊にご新規様が増えたところで()、お言葉に甘えて割愛させていただき次ですが、臆病な少女幽霊を挟んでおくと良い感じにクリスマスイベのリアタイができそうな気もするので、臆病な少女幽霊でもよろしいでしょうか?無理にリアタイでなくても構わないのですが、折角ならという気持ちも半分ありまして…。その他の小話でももちろん歓迎です◎ )
(/ 実は私もここで小話挟んだらクリスマスリアタイできるな…と考えておりました。ということで臆病な少女幽霊、全く異存ございません◎ 形式は試運転形式かロル形式か、どちらに致しましょうか? また逆巻は神社を護ってる稲荷狐や、どこかの神社か祠かで祀られてる白狐や、力と正体を隠した野良の九尾の狐…いずれも人の姿に化けた狐の妖を考えていますが、こんな設定だと嬉しいといった要素は何かありますか? )
( / もはや常となっている以心伝心ですね* いつも通り試運転形式がいいかなと考えておりました。そして狐の妖さん、ぴったりすぎて既にうきうきしています…!ではでは挙げていただいた中の、稲荷狐か白狐でお願いできますでしょうか?(※決めきれませんでした!)
生前のひな季が神社に初詣のお参りだとか、願掛けだとか、受験の時にもお参りしに行ったことがあるだとかで、ゆかりのある神社にいる狐さんだと嬉しいです。幽霊になって誰にも気付いてもらえず、でも周りの幽霊も意思疎通できなそうなのが多いし怖いしでめそめそしながら神社に辿り着いたひな季を、なんか見たことある子だなと認知している逆巻さんに発見されたいです…!あと油断とかびっくりした時に、もふりと尻尾だとか耳が現れる設定とかも非常に大好きなので、もしよろしければ…!
その他に背後様が入れたい設定などございましたら何なりとお伝えください◎ )
(/ やっぱり相性ってあるんだなって、背後様とお話しているとつくづく思います…* それでは進め方は試運転形式で、逆巻は稲荷狐を務めさせていただきますね。ご提案いただいた二人の関係性と霊体での初対面のきっかけもとても納得感があって…、是非乗っからせてください!追加でひな季ちゃんが元々『善悪問わず人ならざる者に好かれやすい』みたいな設定があると、お参りに来る度に狐が悪霊や悪運だけを追い払っていたとか、稲荷の神様にも贔屓にされていたとかで、たくさん居るであろう参拝客の中で特にひな季ちゃんを覚えていた理由にもなるかなと(人ではないので神秘パワーで全員漏れなく覚えていたでも全然良いのですが…!)。油断すると尻尾が出てきちゃう、びっくりするとぴょこっと耳が見えちゃう、の設定も喜んで取り入れさせていただきますね…! )
( / えへへ、そう仰っていただけて嬉しいです…!本当にこれ以上のご縁はないと思っておりますし、n回目ではありますがこれからも末永くよろしくお願い致します*
わあい、よかったです!追加の設定もめちゃくちゃ好みなので、ぜひぜひ取り入れさせてくださいませ…ツボが似通っているの本当に助かります、ありがとうございます…。耳と尻尾の設定のご快諾もありがとうございます!
こちらから開始ロルを出させていただきました。その他特に設定相談などなければ全文蹴り可です◎ ちなみに物語中に触れるかは不明ですが、ひな季の死因は無難に交通事故で頭の打ちどころが悪かったとかにしようかなと…。それでは今回の小話もよろしくお願いします* )
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うう、なんでみんな無視するの…?誰もわたしの声、聞こえないみたい…。( 透き通る足でふよ、と辿り着いたのは幼い頃から多々訪れる神社 / 次第に雨も降り出す中、お賽銭裏の階段に腰を下ろし膝を抱えながら項垂れめそめそ / いつから着いてきていたのか、どよんと黒い悪霊がこちらに手を伸ばそうと )
( 膝を抱えて悲嘆する霊の前に、つ、と降り立てば / 人の姿に扮した白い狩衣姿の男性がそこに / 目元は朱色の布面で覆っていて / 少女に近付こうとする悪霊を手に持った扇の一振りで追い払い / 声を掛けると共に事務的な説明を )──迷い子。残念ながら今ここに神様はいません。神無月の期間なので。
──…?( 一瞬吹いた風と掛かる声に俯いていた顔を上げ、きょとん / 一度背後を振り返り、誰もいないことを確認してから視線を戻しては / 自身を指差しながら問い掛け )わ、わたしに話しかけてます…?
…、そうだけど…──!( 思わぬ問いに生じる須臾の間 / 当然だとでも言うように答えるも、月明かりに照らされたその顔には見覚えがあって / 小さく息を呑むと、彼女が霊体になってしまった事実に少なからず動揺した様子でぽつり )どうして、此処に……。
よかった~っ、口聞いてくれる人いた!( ひーんっ / 助かった!と明るい安堵の声ながら今度は嬉し涙 / たた、と数段の階段を降りて彼のそばで、拳を握り縦に振りながら訴え )聞いてくださいよ、みんなわたしのこと無視するんですよ!家族も友達も、近所のおばさんも知らない人も…みんな、わたしのこと、見えてないみたい…。( 彼の動揺には気が付かぬまま、ぺらぺらと喋っていけば / やっぱり変 / 不安な気持ちが押し寄せ、眉尻を垂らし / 彼の出立ちを改めて眺めてみると、そっと問い掛け )…あなたは、神主さんかなにか…?
や、それは──……( 実際見えていないのだから仕方ないだろう、と言いかけて既の所で止め / 自分の状態に気付いていない? / 一瞬過った〝真実を知れば成仏してしまうかもしれない〟という考えは思いのほか自身を惑わせ / 今少しの猶予を得るべく、結局「大変だったすね」と控えめに続けて / そして不意に此方へと向いた関心へは二秒程の沈黙の後、限りなくふわっとした回答を )…の、見習い…みたいな感じ…。
そうなんですよ、も~…。みんな暗い顔してるし、なんかわたし怖くなっちゃって…悪い夢でも見てるのかな。( はふりと悩める吐息を溢しつつ、何気なく後頭部を触り / 声掛けたの人の中には同類がいたりいなかったり / 反芻しながら双眸をぱちり瞬くと、疑うことなくにこやかに声援を送り / 久しぶりに誰かと話せるのが嬉しくて、ぺらぺら話続け )見習い。へえ…立派な神主さんになれるといいですね!ていうかそれって前見えてるんですか?もう夜だしそんなの付けてたら危ないんじゃ…。あれ、夜?( 不思議な時間の感覚に、きょとん / そもそも今日は何日? / 靄が掛かったみたいに上手く思い出せずに )
夢ならいつか醒めるし、此処にいる限りは安全だから、安心していいよ。…まぁ、霊はちらほら来るけど。( 子どもを寝かしつけるような口調で告げると / 頭の上に手を置き、不安感が少しでもなくなるよう念じて / その時、ぼんやりとした霊の影がふっと横を通り本殿の方へ / しかし最初に少女へしたのと同じ説明をすればすうと薄くなって )…眉間、鼻先、唇。( 言いながら、相手の顔の一部分へ的確に人差し指を置いてゆき / それだけで証明は完了したとばかりに続く語はなく / 違和感の追求を妨げる気はないため、疑問には敢えて何も答えぬまま )
それもそっかあ…──え、霊?( 彼の言葉はなぜだかとても腑に落ちて、表情和らぐけれど / 続く言葉にきょとん / 横を過ぎていく霊の影にぴしっと固まり、更にはそれが薄くなり消えてしまえば表情さあぁと青ざめ / 「っ!!?」と声にならない声を上げながら、彼に縋るように狩衣をぎゅっと握ろうか / 口をはくはくと動揺を露わにし〝消えましたけど!?〟 と 指差し彼とを交互に見て訴え )あ、ちゃんと見えてるんですね。こっちからは見習いさんの顔、全然わからないのに。( 意外そうに双眸ぱちり / 朱色の布面の下はどんな顔なんだろう / 上半身を傾げては、隙間から見えたりしないかななんて )
そりゃ霊だし、そういうこともあるでしょ。( 慌てふためく彼女とは対照的に、悠揚迫らぬ態度 / 視線での訴えには面の奥の目を合わせ、装束を掴まれることも厭わないけれど、心情には寄り添わず / 自身が現れる瞬間を見られなくて良かった、と思うと同時 / 霊が霊に怯える様は少し不思議な光景で「苦手なんすか?ああいうの」 )…ひな季さんも、修行したら見えるようになるかもね。( 側面からでも丁度目の端までを覆う朱色は、自然の風程度ではちらりとも揺れることなく / 覗き込もうとする相手へ、静かに緩ませた口元から戯れを )
ほ、ほんとに幽霊っているんだ…。( どきどきと鼓動が速まったまま、まだ少し信じがたい様子でぽつり / つい掴んでしまった装束に、はっと気付いては / 周りをきょろきょろ見て他に霊がいないのを確認し / そ、と装束から手を離しつつも近くから離れず「苦手です、ああいうの」 )修行で見えるようになるものなんですか、すごい…──?…わたし、自己紹介してました?( はえ、と感心の瞳向けながら鵜呑みにして / あれ / 数秒の間のあとに小首傾げ )
いるよ。幽霊も、幽霊以外も、色々。( 自分達の存在が認識された実感に、つい横から肯定と補足を / 不安げに辺りを見回す様子を微動だにせず暫しそのまま見守っては / 縋る手は離すものの傍に留まる相手へ、じっと朱の面を向け「…、俺のことも?」 )…え。あ、よく参拝に来てくれてたし、…その、よく来てくれてたし。話したことはなかったけど、一方的に知ってる。( 指摘されて初めて口を滑らせたことに気付き / 常連一本で乗り切ろうと / 伝わらないのが常だったので対応下手 / けれど内容は全て真実で )
いろいろ…。( そう聞いて視線を宙に逸らし思い浮かべるのは、都市伝説的なものや宇宙人とかで / こちらを見つめているような布面に気が付けば、視線を目の辺りに合わせ「へ?」 / きょとん / 人間じゃないってこと?と思うけれど半信半疑 / しかし先程頭に置かれた手からは悪いものは感じなくて / ゆる、と視線を彼の手のひらに落としては「…見習いさんは、大丈夫そう」とぽつり )へえ…?すごい、よく覚えてますね!えぇ、わたし全然気付かなかったです。見習いさん特徴的だから、近くにいたらすぐ気付きそうなのに。( 双眸ぱちぱち / 家族と来たこともあったし、名前を呼ばれてるのを聞いたのかも? / 絵馬に名前を書いたこともあり / 素直に納得しては瞳煌めかせ、彼の記憶力を称賛し )
うん。神様とか、悪霊とか、妖とか…あとは、そういうのが視える人間とか、そういうのに好かれやすい人間も。( 彼女の頭の中に何が浮かんでいるかなど露知らず、自分に身近な例を挙げてゆき / 最後を口にする際にはちらりと相手の方を窺って / 「…そう」反応は簡素ながら、声色には明らかな安堵が滲み / 不安から手を握りたいのかと視線の意図を誤解しては、体の正面に差し出して )…俺は、此処から出ないから。此処で起きた事だけ覚えてればいい。( 事なきを得ると身の強張りもふっと解け / それから境内を振り返りつつ零した言葉はどこか寂寞として / だからひな季さんの身に起きたことも知らない、と続くはずだった無力感は胸の内に秘めたまま )
えっ、好かれやすい人もいるんですか!?大変そう…──、見習いさんも、さっきの幽霊見て怖くなっちゃったんですか?( 小さく衝撃マークを浮かべては、まさか自分のことだなんて思わず / 眉尻を垂らして同情すると / 互いの間に差し出された手と彼を、不思議そうに交互に見つめては問い掛け / そ、と手のひらを重ねて柔和に微笑み「一人じゃないから、きっと大丈夫ですよ」 )ふうん…?( 引きこもりってやつ…?と微かに小首を傾げていれば / はっと夜であることを思い出し )あっ、今何時だろう!?あんまり遅いとみんな心配しちゃうかも、今日はわたし帰りますね!……、また来ても、いいですか?( あたふた / たた、と鳥居の方へと駆け出した足を止め、振り返っては / そっと窺うように尋ねて )
そのはず──…だけど、そうでもなさそうだな…。( 当事者である彼女が他人事のように呟くと / 微塵も心当たりの無さそうな顔に返答を翻し / 案外影響は生じないものなのだろうかと、下唇に緩く曲げた人差し指の第二関節を添えて )……ああ…、うん。大丈夫になった。( 数拍置いてやっと両者間の齟齬を理解し / 握られた手に印ばかり力を込めた後、相手が必要なさそうならそっと離すはずで )…、──…ん。朝でも昼でも夜でも、いつでもいいよ。( 生者の元へ向かおうとする背を咄嗟に引き留めようとするけれど、薄く開いた口は静かに閉じ / 代わりに仄かな微笑みを湛えて / その姿が暗闇に消えていったなら、自身も踵を返して狐の姿に戻るだろうか )
?…──それならよかったです!( 何やら考え込む様子に小首を傾げつつ / 彼も怖かったと信じてやまない無垢な瞳をふわりと和らげ / 多少あった恐怖の余韻は不思議と抜け、繋いだ手を互いにそっと離し )ありがとうございます!またね、見習いさんっ。( 時を問わない来訪の許可を得れば、ほっと嬉しそうに表情を綻ばせ / 手をぶんぶんと振って帰路に就き )
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( 相変わらず家族に声は届かずご飯の用意もないけれど、不思議とお腹は空かなくて / 自室のベッドでぼんやり天井を仰ぐうちに眠ったというか、意識を手放すような感覚で / ─…ふと響くおりんの音で、ぱちと双眸を開ければそこはベッドの上ではなく / 線香が焚かれた遺影の前で手を合わせる家族の姿 / あ、わたしのだ / それからはあんまり覚えていなくて、朝焼けの中で辿り着いたのはあの神社 / 正面に垂れる鈴緒の前でぼんやり、ぽつり )──…あ、いま神様っていないんだっけ…。
──神様なら、あと数日もすれば帰ってくるけど。( 昨夜と同様、何処からともなく背後に現れては参道から声を掛け / 精彩に欠ける様子から、自身の預かり知らぬところで何が起こったのかは想像に難くなく / 粛々と意思を問うて )…何か願い事?…、此処で待つ?
…、見習いさん。おはようございます、すごく早起きですね!( ふと掛けられる声に顔を向け、彼の姿を見つけると / へら、と笑みを浮かべ / それから朝焼けにきらきら透ける足先を向け、なんでもないような挨拶を )うん、願いごと。さすがに神様でも難しい内容だから待ってたって仕方ないんですけど、聞いてくれたらちょっと楽かもって思ったくらいで…、あ、神様にもわたしの声、聞こえるのかな。( こく、と小さく頷き肯定し / どの範囲まで自分の声が届くのか、首を傾げた方向に視線を落とし )
おはようございます。…俺、あれなんです、ショートスリーパー。( 相手に調子を合わせて応じるも、笑みを作ることはなく / 冗談とも本気ともつかない口振りで / 聞き齧っただけの単語を引き合いに出して辻褄合わせ )…だったら、いま神様は居ないけど、言ってみたら。神様の使者くらいは聞いてるかも。( 誰かが聞き届けることで楽になるなら、と / 使者とは無論自身のことだけれど、それは明かさずに / みだりに聞かれたくはないだろうと、入口の狐像の影まで戻るべく身を翻し )
…ふふ。その見た目でその単語が出てくるの、アンバランスでおもしろいですね。( 双眸を瞬いては、ふ、と小さく息を漏らすと / くすくす笑みの溢れる口元にゆるく握った手を添え )神様の使者?…そっか、〝いろいろ〟いますもんね。なるほど、──…使者さん、いますか。わたしの声、聞こえますか。( 昨晩のやり取りを思い出し納得したように呟けば / 気を遣ってか彼が身を翻し入り口の方へ向かったのを見ると、再び足先を本堂へ向け / 鈴緒を握り揺らし音を鳴らそうとするけれど、ただの霊の体では鳴らせずに / 少し気落ちし眉尻を垂らすもの、二礼二拍手ののちに声を掛け始め / 辺りは自分の声と、小鳥の囀りと木々の擦れる音が聞こえるだけで / すう、と息を吸うと )…──お母さんの作ったオムライスが食べたーーいっ!( やけに透る大声 / どうせ誰にも聞こえやしないから / 本命のお願いごとじゃないけれど、食べたいのも叶わないのも本当で / 「あとハンバーグとかカレーとか、グラタンとか卵焼きとかも食べたいです!」と続け様に更に欲を増やし )
…実はあまりよく分からずに使いました。( 不釣り合いとの指摘は的を射ていて、覚えたての言葉を使ったことにそわりと目線は斜め下 / ほんの少し声量を抑えて正直に白状 )──…えぇ…、本当に聞くだけのやつ…。いや、回顧体験くらいはできるか…?( 腕を組み狐像に背を預けていれば、離れた甲斐のない叫びに驚いてひょっこり獣耳が顔を出し / そしてなんか思ってたのと違う願い事の内容に困惑の声を洩らして / しかし如何ともし難い望みでも一応は何とか叶えようと思案を巡らせ、面の奥の眉根をきゅっと寄せようか )
ふふふ、短時間の睡眠で大丈夫な人のことです。( 布に隠れた目線はわからないけれど、正直者に柔らかに微笑んで / それから知識を彼へ )──…ああ、ちょっとすっきりした!すみません見習いさん、急に大声出しちゃ、って…。( 言葉を締めたあとに深々一礼して、上げた顔はちょっぴり晴れやかに笑みを広げ / そういえば彼には聞こえてるんだ / ぱ、と振り返り入り口付近の像の元にいる彼へ視線を定めれば / 双眸ぱち / 驚いて開いてしまう口に、手のひらを添えながら指差し )え、み、耳…?
6時間くらい?( 知識を素直に吸収して、更なる疑問に首傾げ / 狐の平均睡眠時間9~10時間と比較して当たりをつけたらしく )…、……──あ?( 一心に考え込むせいで飛び出たままの耳には気が付かず / 振り返った彼女の言葉で、顔を上げて間の抜けた声を発し / 腕を伸ばし、頭上の毛並みにそっと触れては / もう良いかと狐の姿に変化した後、ひと駆けして姿を消した次の瞬間には相手の目の前に / そこでまた人の姿に戻ると、先程まで身を預けていた狐像を指差して )…すみません。俺ほんとは神主見習いじゃなくて──…あれ、です。
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