匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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……、よし。
( また俄に周囲が騒がしくなり、高校生達が新たな遊びに興じ始めては、それを作業BGMに黙々と手を動かしてゆく。貝殻を配置するだけの飾り付けは土台作りの時のように手を汚すこともなく、程なくして完成形の3段ケーキが眼前に出来上がれば、湧き上がる達成感にやっと表情を晴らして。唯一ポケットのある衣服を着用する自身はそこからスマホを取り出し、記念に写真を一枚。すると見計らったように誰かの腕が此方へと伸び、少女達のゲームの舞台へと連れ出され、ルールもよく把握しないまま参加者に入れられたようで。歓迎する者、慌てる者、気掛かりそうにする者、間延び声で応援する者、異様に前のめりな者。五者五様の反応を前に己は「…俺もやるんすか」「やるんす!」の1ラリーで素直に瞼を下ろし、聞こえてくるはしゃいだ指示を頼りにふらふらと砂浜を彷徨い。やがてストップの声が掛かり、従順に開眼の許しを待ってから瞼を持ち上げると、先程少し遠くの波打ち際で見た顔が予想外に近い位置にあって、微かに睫毛の先を震わせる。しかし心に波紋が生じたのはほんの一瞬で、言われた通りに手刀の形で腕を構えたなら、自重のみで相手の頭上へとそれを落とし。一拍置いて飛び交う可愛くなるだ何だという言葉には、そのために担当ヘアメイクである自分が呼ばれたのかと、決意表明として肯いておいて )
…──俺がいくらでも。
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