匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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たくさん食べてたくさん寝たら、なるかも。( 温順な復唱に小さく頷いたなら / 13年後の姿を知りながらも無知ゆえの夢想を否定せず / 礼儀正しい挨拶を聞けば、また遊びだすかと此方もマグカップを空にするけれど / 瞳のとろんとしたような相手に気付いて「…眠い?」と問い掛け )…、立派な……。( 予想よりも遥かに殊勝な志に瞠目ののち感嘆し / 返る質問には「俺か…」と暫しぼんやり前方を見つめてから「…何になろう?」と少女に尋ねる始末 / 野心ゼロ )
そしたら、すぐるくんのこと、今度はひながだっこしてあげるね。( 大きくなれることを信じてやまない無垢な瞳で、拳をぐっと握り / 13年後でも正直だっこできそう / 夢の世界に入るには、どこか名残惜しいのか「…うんん」と肯定も否定も混じったような返答 / しかし眠気には逆らえぬ5歳児の体 / 小さくこくんと頷いて )えへへへ。…、じゃあひなんちのねこちゃんになるといいよ!( 立派と褒められては、後頭部に手のひらを当てながらはにかみ笑い / ぼんやりと定まらぬ将来の夢に、ひとつ候補を授け / にぱ )
楽しみにしてる。( 成長した少女の細腕が過るけれど、夢を膨らませる純粋な顔ばせには薄い笑みで応え / 返事から頷きまでじっと眼差しを注げば「…お昼寝しようか」と眠りに誘うような柔らかな声音で促し / 特段抵抗がないようなら、今度は向かい合うように抱きかかえてベッドまで連れて行くだろうか )…、まだ推してたんだ、それ。( 一時的なままごととして猫の役割を与えられたのかと思っていれば、存外強い推薦の意思に少々面食らい / 僅かに眉下げると返事は濁して )
まかせてっ。( どことなく誇らしげに微笑んでみせると / お昼寝を促す言葉を受け入れるように、短い腕を伸ばして彼の首元に抱き着いては / お昼寝のおともを求めて「絵本…」と小さく甘えるように溢して )うん、そしたらいっしょにいられるもん。( 感性は成長しても一貫しているのか、彼のことは5歳児の今もすっかりお気に入りで大好きな存在になりつつあれば / 表情柔らかに、ひたすらに無垢な気持ちを晒し )
…絵本。( 信頼を感じる仕草と幼子特有の甘い香りにすっかり庇護欲を刺激されては / 耳のそばで呟かれた単語を口の中で繰り返しつつ、床に置かれたままのリュックを探し / その中から片手で絵本を取り出すとまっすぐベッドへと向かって、少女を寝かせてから自分は縁に座り )…じゃあ、なりたいものが見つからなかったら、そうしようかな。( 発言の真意が語られれば意外そうにひとつ瞬き / 依然濁した返答ではありながら、その健気さに心動かされた様子が見て取れるようで )
……、すぐるくんも、いっしょがいい。( ふかふかの布団に包まれれば、そちら側へ向くように体を反転させると / 広いベッドの上にちっぽけな体がひとつはなんだか寂しくて / ぽむ、と隣の空間を手のひらで押さえては眉尻垂らしつつ告げて )えへへ、いいよーっ。( ゆらり動いた彼の心に満足げに笑みを深めては / これから見るだろう夢の中で、大人になった自分の隣で、彼が静かに揺蕩う月のように柔らく笑う姿を夢視るだろうか / 割愛可◎ )
…眠るまでいるよ。( 持ってきた絵本を枕元に置き、もう片方の手は少女の胴の辺りに乗せたところで / 小さな手が隣へと誘導するも、一度は言葉で説得を試み / しかしそれに肯きが返らないようなら、自身もベッドの上へと身を横たえるはずで )
…、ねむったらいなくなる?( 日中の時間が楽しかっただけに、彼の口振りにいなくなることへの不安を覚えてしまえば / しょも、眉尻を垂らしながら縁に座る彼を見上げて )
…、いるよ。( 問いと寂しげな眼差しに相手の憂惧を読み取れば / 少し視線を交わらせた後に、改めて制限を取り払った約束を / それを証立てるかのように毛布を捲ると、もぞもぞと同じ布団の中に潜り込んで )
( 布団の中に入ったのを見届けては〝よかった〟とほぐれた表情に変わり / もぞ、と身を寄せ距離をもう少しだけ縮めたなら、ようやく満足したようで / 眠りの準備をするように静かな声音で問い掛けて )なんのおはなし読んでくれるの?
えぇと… 〝ブレーメンのおんがくたい〟( うつ伏せの姿勢でよく見もせずに掴んできた絵本と向かい合うと、そのタイトルを読み上げ / 反応を窺うように目だけで隣をちらりと見て )…知ってる?
しってる!えっと、どうぶつさん達が、こうしてる…?( こくんと頷いては、軽く握った手のひらを交互に重ね上げるようにして / つまりは表紙のみの知識のようで / ちらりと視線を彼に向け窺って )
…そう。こうしてる。( 相手の表さんとするものにぴんと思い当たり、本を傾けて表紙を向けて見せ / 正解とでも言いたげなアイコンタクト / それから表紙を開けば、ゆっくりと文字を追いだして )むかしむかし、ある人が──…
…──( 照らし合わせるように向けられた表紙が正解を物語ったなら、満足げに双眸緩ませ / やがて穏やかに朗読する声と、時折紙を捲る音だけが空間を占めていけば / 日中燦々と煌めいていた双眸は、次第にもったりとした瞬きに変わっていくといつしか、くうくうと静かな寝息を立て始め )
──…おれたちは、ブレーメン、へ…。( 普段とさして変わらぬトーンで文字を声にしてゆく最中、隣から寝息が聞こえることに気が付いて朗読を止め / そっと本を閉じると、そのままサイドテーブルへ / 自身も枕に頭を預け、見慣れた顔よりずっと幼い寝顔をひと撫でしては / 種々の想念に考えを巡らすうちに瞼が重くなり、いつの間にか一緒に眠ってしまって )
( なんだか長い夢を見ていたような気がする、それもまるで小動物にでもなったような / 身も心もあったかくて心地良くて、目醒めたくないような / けれど、揺蕩っていた意識はさらりと顔に掛かる髪の擽ったさによって引っ張り上げられて )───…んん、……なんか、重…?( もぞ、と微かに身動ぎつつ手元のぬいぐるみ?を手繰り寄せ / 睫毛震わせつつ双眸を押し開けていけば / 抱いていたのはぬいぐるみではなく、人の腕 / 双眸ぱち、瞳だけ上に )っえ、なん、すぐ…っ!?( ぱ、と手を離し〝なんで、傑さんが〟の意 / 予想外の近さやら状況に瞠目しながら体温も鼓動も急上昇 / ベッドの端の方へと後退していき )
……、…寝て…、…ひなちゃん、( 物音と声に意識を揺り起こされては薄らと眼を開き / 眠っていたことすら自覚のない頭は状況を理解しようと鈍く回りだして / ぽつぽつと思考の欠片を口から零す折、漸く目線の先に18歳の少女を見つけると / 自分は今まで夢を見ていたのだろうかと、睡気を引きずったままのふわふわとした口調で、相手に尋ねているようにも自問しているようにも聞こえる問いを )──…夢…?
わ、すみませ…っ──( 間もなく彼が双眸をとろんと薄く開けて起き出したなら、うるさく起こしてしまったかと衝撃マーク浮かべながら焦りつつ、布団に手をつき上半身を起こし / 寝起きかわいい、かっこいい、なんだか色気さえ…なんて渦巻く混乱の中でも思えば )はひ…っ、…ゆめ…?( ふいのひなちゃん呼びに瞳揺らし、動揺の肯定 / すっかり冴えた双眸をぱちぱちと瞬いては / いろいろ気になることは多いけれど、ベッドの端から少し相手側に近寄ってはそっと問い掛けて )どんな夢、見てたんですか?
…ん…ひな季さんが5歳児の姿になって──…( 相手が身を起こすことで布団が剥がれるから、自身もゆらりとマットレスから上半身を離し / 落ちかける瞼をそのままに目を瞑った状態で見た夢を語るも、次に開けた時に視界に映るのは読み聞かせた絵本 / それに何よりこの状況が現実であったことの証左で / 質問への答えを途中で区切っては、逆に問い返し )…ひな季さん、今までの記憶って、
5歳児、……記憶?( きょとん、と双眸を丸くすると何のことかと小首を傾げては / 傾げた視線の先に映るのは、壁に貼られたぬりえ / その瞬間に、しゃぼん玉が弾けたように思い出される記憶の欠片たち / こめかみに指先を添えながら、追い付かない記憶の情報処理に瞳を揺らし )──…あ、あれ、あの絵…夢の中に出てきた…?
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