匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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違います!そういうのじゃ…、
( 弾かれたように顔を上げながら咄嗟に否定の言葉が口を突いて出て。同級生の男の子といることで、彼への想いがままごとみたいな恋愛のように捉えられたくなかったからだけれど、隣で小さく『えっ…』とショックを受けた声を漏らす相馬くんになんだか申し訳なさを感じる。写真の件を教えてくれたのは相馬くんなのに──後で謝ろう。しかしながら本当の事情説明なんてできるわけもなくまごついていれば、どことなく鋭い視線が全身を刺した気がして、ひい…と気持ちが萎縮し。その元を辿るように恐る恐る視線を滑らせていくと、妙に親しげに逆巻さんに寄り添う形で、わざとらしいまでの笑みを貼り付けながら挨拶を掛けてきた彼女。ありすちゃんの時よりも確かな嫉妬心がざわめき、間に割って入りたい気持ちで一瞬唇を丸めたものの、すぐににっこりと愛想の良いアイドルスマイルを浮かべ「─…こんばんは!いつも逆巻さんにはお世話になってて…あ、わたしアイドルやってるんですけど。水瀬ひなっていいます、これわたしがいるグループの曲のCD、よかったら聴いてみてください!この中でお姉さんの推しが見つかると嬉しいなっ」キーホルダーを揺らしつつごそごそとバッグから取り出した宣伝用のCD、それをどうぞと可愛らしく小首を傾げながら彼女に差し出してみて。きっとこれは彼女のsnsに写真として載ることもないのだろうけれど )
( 少女の〝仲が良い〟のハードルは存外高いのだろうか。間髪入れずに返された否定の言葉に弱々しい動転の声が続けば、二人の食い違いに気まずさを覚えて「そうなんすか…?」と当たり障りのない反応で場を濁し。思わぬ藪蛇に此方も会話に慎重になっていた矢先、それを察してか連れ人が輪に入り始めては、暫く口を挟まずに成り行きを見守ることにして。完璧な自己紹介と流れるような宣伝に己が感心する傍ら、CDを受け取った彼女は「…アイドル…」と口の中で呟きながら一瞬顔を引き攣らせ。しかしすぐに元の笑顔を貼り付けると「ありがとう!アイドルってあんまり分からないから、〝カレ〟に色々教えてもらいながら聴くね?」と、それが隣に立つ男なのかそれとも他を示しているのか、近しい男性の存在を匂わせながらも明言はしないままパッケージを一度ゆらりと揺らして鞄に仕舞い込み。「でも…、そっか。アイドルだったらあたし達みたいにしょっちゅう遊んだりできないよね。…邪魔しちゃ悪いし、そろそろ行こっか?」連れ人が相手を気遣うようにそっと眉尻を下げ、腕を組むような動作で自身の手を引いたなら、対面を気にするような素振りを見せつつも簡素な肯きと共に二人の高校生に別れの挨拶を。ジャケットの少女達が有名になった暁には、「バイバイ」と愛想良く手を振る隣の彼女のsnsに、今鞄に収めたCDがこれ見よがしに載せられるだろうか )
…あー……、…すね。…じゃあ、水瀬さん、また現場で。…相馬くんも、また。
あ、はい…また…。
( 〝カレ〟?〝あたし達みたいにしょっちゅう〟…!?気になるワードたちに、にっこりと微笑んでいた表情は崩すことはないものの、ぴしりと固まる。snsに上がっていないだけで、もっとたくさん会ってるのだろうか、予想した以上に仲が良いのだろうか、──逆巻さんは彼女のことをどう思っているのだろうか。もやもやと心にも頭にも暗い影が覆われていく自身へ、無情にも見せつけるように逆巻さんに腕を絡ませながらその場を後にする二人に笑みを浮かべて会釈するのが精一杯。その場にぽつんと残されては「…、帰ろっか相馬くん」と相馬くんに控えめな笑みで声を掛けて。どことなく元気のない笑みを感じ取ったのか『─…永瀬さん…、いえ、ちょっと会議をしましょう』くい、と無い眼鏡のブリッジを押し上げて。おろおろとしながらも移動先のファストフード店で始まった会議では〝逆巻さんのこと守った方がいいと思う〟だとか〝春名さんの動きは注意した方がいい〟だとか〝…わたしの方が肌綺麗だよね?〟だとか、そんな議論が飛び交っただろう )
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( / 春名さんの返しが秀逸で、立場のこともあり強く出られないひな季の探偵回でした…。背後様、どんな役でも上手く熟していて本当に尊敬します。いい感じに嫌な役でした…(褒め言葉)
次は解決編になるかと思いますが、直談判の場所を決めていませんでしたね…!その前に〝次の現場で「あの人は…?」「友達です」的なやりとりがあれば、『逆巻は友達だと思っているのに相手は引き立て役に使っている人』としてひな季ちゃんの心象もいい感じに悪くなるかも、という目論見〟とありましたので、ひと挟み別日を入れる算段でしょうか…?
それとも現場での上記やり取りのあと、春名さんが同日に待ち合わせか何かをしていた(または押しかけた)ところに、単独で張り込んでいた相馬くんが逆巻さんに鬼DMして呼び出しし、春名さんとひな季が一対一で~の流れでしょうか?この場合はいつものカフェが都合つきやすいのかなあと考えております。
その他なにか考えがございましたらお聞かせくださいませ* )
(/ 偏見で動かしているところが大きいですが、ちゃんと絶妙に嫌な女感が出せていたのなら良かったです…!しゅんとしつつも応戦しようとしたり、でもやっぱりちょっと負けちゃったり、内なる小型犬が出てきちゃうひな季ちゃんも可哀そ可愛い探偵回でした。
次の現場での一幕ですが、ひと挟み別日を入れる形を考えております。逆巻が春名さんを本当に友達だとしか思っていない・そこまで遊びに行っていないというフォローだったり、相馬くんと二人でいたことを弁解したいけどできないもどかしさからいつも以上に好き好き攻撃しちゃうひな季ちゃんだったり、はたまた涙目の「好きです…」で不器用に本気度を示してみたり…等々、あくまで一例ですが補足的に使えるかなぁと。とはいえ既に十分心象は悪くなったようなので、飛ばして解決編に移るでも大丈夫です◎
解決編の舞台につきましては、確定情報があった方がひな季ちゃんの覚悟も決まりやすいかと思いますので、探偵回の帰りに逆巻と春名さんが次回の約束をして、それをひな季ちゃんと相馬くんも聞いていた、という体で同ショッピングモール内のカフェ(映画やアニメの再現メニューが出てくる『再現カフェ』)に設定させていただこうかなと考えております。『ショッピングモールで永瀬さんが迷子になった!(映画館に行った直後だから携帯も繋がらない)』という旨のDMで逆巻を呼び出し、「落ち込んでいたから変な人に声を掛けられてついて行っちゃうかも…」という大嘘でモール内を探し回らせて時間を稼ぐ算段です。恐らく手分けすることになるので相馬くんとの絡みはあまり作れませんが、こちらで問題なければ次にロルのお返事を書かせていただきますね。取り急ぎ展開のご相談のみ失礼しました…! )
( / 内なる小型犬…ぷるぷると潤んだ瞳で見上げるポメラニアンが目に浮かびますね…()かわいそ可愛いと思っていただけたのならよかったです*
さくさくとした進み具合ですし、その別日の描写を入れてもいいかもしれませんね。本気度を示す描写もすごくありだなあと…逆巻さんの心にひな季の真剣な気持ちがほんの少しでも伝わればいいなあなんて。
親心か、春名さんを置いてひな季を探し回る図…背後的にとてもくるものがあります…!特に問題もありませんし大賛成な流れですので、解決編に入る時はよろしくお願いします。
別日の開始ロルですが、先んじて描写したい内容がなかったりこちらからお出しした方がやりやすければ次レスにて始めますが、いかが致しましょうか? )
(/ 展開案についてご賛同いただけて安堵致しました…!ではそのように進めさせていただきますね。再現カフェに行く約束の日は次の土曜日で、それまでの間に他の場所に行くというのも変なので匂わせ写真4は没とさせてください。そして本気度の描写もぜひ…!普段と違うアプローチ、楽しみにしております*
お気遣いもありがとうございます。お言葉に甘えて、現場での開始ロルをお願いしてもよろしいでしょうか…?※蹴り可 )
( 尾行した日の夜、春名さんのsnsに上げられたのはあのコスメショップで購入したであろう化粧品たち。去り際の彼女の言葉と嫉妬心が蘇り悔しさを抱えながら眠りについたあの日から、逆巻さんとは初めて顔を合わせる。いつものような挨拶から始まり、普段通りに振る舞っているつもりではあるものの、先日の出来事が尾を引いていれば普段より会話が弾まずにいて。今週末、また会うんだろうなあと考えると心が重たくなるし、慣れない嘘を抱えているのもしんどい。小さな体躯が抱え込んだ憂いは、小さな溜息をひとつ溢すだけでは済まず「─…あの人って、」と無意識のうちに溜息と共に言葉が漏れたなら、はっとそれに気が付いて我に返るのは彼の耳に届いた頃だろうか。けれどもう後の祭り。メイク中なかなか合わなかった視線を漸く彼へと定めて一度様子を窺っては、気まずそうに視線を下げながら言葉を続け )
あ、えっと。…この前一緒にいた女の人って…、まさか、逆巻さんの…?
( ここ最近何か気掛かりそうな素振りは見せていたけれど、今日は一層そのことに心を囚われているらしい。鏡の前に座ってメイクの仕上げを施される少女は、儚げに憂える吐息を吐き出して。そろそろ何があったのか聞くべきだろうかと思う反面、先日コスメストアで遭遇した際のよそよそしさに及び腰になっていれば、不意に零された声音に自然と耳をそばだてる。それが相手にも伝わったのだろうか、独り言然とした呟きが問い掛けへと形を変えて渡されると、心ここに在らずだった彼女の関心事が窺い知れて。そういえば連れ人の紹介はしなかったかと今になって考え至っては、まず事実そのままを話し、それから自身の女性関係を気にしているのだと察して敢えて関係性を断言し )
…そういえば紹介してなかったすね。あの人はsnsで繋がりのある人で──、…俺の、友達です。
ともだち…、本当に?
( 問い掛けてから返答が来るその數瞬、どくどくと脈打つ心臓が五体にいるような感覚のなか身構えていたけれど、自身が信じたいと思ってやまない答えが彼の口から発せられたなら、双眸を微かに見開きながら安堵の色を声音に乗せ。けれど、彼女──春名さんからはそんな雰囲気が感じられなかったことを思い出しては、彼の言葉を疑うつもりは毛頭ないもののぽつりと付け加えるように尋ね。相馬くん調べによると、ああいった匂わせ写真の投稿には比較的いいねがたくさん付けられているとのこと。それに利用されているのではないか、という引き立て役という見解が当事者の返答により色濃くなれば、もうひとつ、気掛かりだったことを視線をそろりと合わせながら膝に乗せた拳をきゅっと握りしめつつ尋ね )
でも、なんだか…、よく一緒に出掛けてるみたいだったので…てっきりそういう、いい感じの人ができたのかなあ、とか。思っちゃったんですけど…。
嘘ついてどうするんすか。
( 確証を欲しがるような再度の問いへ当然とばかりに答えると、完成したメイクの出来栄えにマスクの下で薄く微笑む。そのままヘアセットに取り掛かろうとするも、遠慮がちな視線に絡め取られるようにその場に縫い止められ、暫し黙り込んだまま相手と見つめ合って。というのも話の内容と実態が噛み合わずに混乱していたからで、やがて眉を顰めては今度は此方が彼女に尋ねる番。前回の帰りがけにカフェのリニューアルオープンのポスターを見掛けて次の約束を交わしたとはいえ、それでも件の人物と待ち合わせるのは三度目。結局少女の所属するグループについて聞かれることもなく、自身が彼女達について僅かばかり詳しくなっただけで終わっていれば、怪訝そうに首を傾げて )
…それ、俺の話すか…?出掛けたって言っても2回くらいだけど…。
──…、よかったあ…。
( 確かに彼が嘘を吐く理由も何もないのだろうけれど、好いた相手から得る言葉の保障は何よりも大きければ、双眸を軽く伏せながら改めて安堵の息を長く吐き出しつつ小さく呟いて。きっと、想像していたような親しい間柄ではないし、なんなら逆巻さんは利用されてる立場なのだ。冷え切った指先に漸く血が巡りだした感覚に、生きた心地がしなかったのだと自覚するとそれほどまでに多分きっと、ずうっと彼のことが好きなのだと同時に自覚させられて、ぎゅっと膝上に置いた拳を握り。けれど尾行していた後ろめたい言動に加えて、あの場ですぐに否定したものの、逆巻さんに散々好きだと伝えておきながら他の男子高生と仲良く遊んでたなんて思われていたなら、今まで伝えてきた気持ちも所詮ままごと恋愛みたいに思われてはいないだろうか。ふ、と視線を下げて見つめた指先は、拭いきれない不安によって温もりは完全には戻らず冷えたまま。片手で包み温めるようにしながら胸の前で両手を重ね、眉尻を垂らしながら直接また彼を見上げたなら「あの、ね、逆巻さん…。わたしもあの時相馬くんといたけどそんなのじゃなくて、」──だから、どうか勘違いしないで。祈るようにも似た姿勢で、それだけはどうか分かっていて、と懇願するように潤んだ瞳に彼を映しながら、小さくも透る声で告げて )
わたしは逆巻さんが、好き、だから。
……う、疑ってないすよ、そこは…。
( 架空の恋人の存在を仄めかして諦めさせようという魂胆も、誤魔化して繋ぎ止めようという勘定もなく、ただただ真率に答え切ると少女は漸く人心地ついた様子で。微かに震える息を吐き出す相手に、恋する乙女も大変だなと当事者でありながらやけに鳥瞰した感想を抱けば、この件は解決したものとして注意を逸らし。しかし次に戻した視線の先で、これまで堪えていた不安が噴出したのか瞳いっぱいに涙を張った顔が目に入っては、流石に面食らって息を呑む。狼狽えながらも咄嗟に宥めるような言葉が口を衝くのは彼女に傾けた情のせいか。けれども今まで縁のあった女性達同様そのうち飽きるだろうと高を括っていたことも否定できず、これ以上はどんな句を継ぐにも不誠実に思われれば、ティッシュボックスから柔らかく真っ新なそれを何枚か引き出し、そっと目の縁に当てて )
撮影もうすぐだから…、泣かないで。
( 何度目かの安堵にへなり眉を下げては、泣きそうになる一歩手前だからか喉が狭まって「うぅ、すき…」と言葉を詰まらせながらも想い溢して。いよいよ瞳いっぱいに溜まった涙が堰を切るかという寸前〝撮影〟との言葉に、大泣きしてしまえば折角逆巻さんが施してくれたメイクが崩れてしまうと危惧すると、ん、と堪えるように下唇をきゅっと噤んで。目の縁に柔く当たるティッシュの感触に一度伏せられた双眸から、ほろりとひとつ大粒の涙が溢れるけれど、呼吸を落ち着けたなら他の涙は押しとどまり、目元の縁で控えていたティッシュに吐き出した不安が染み溶けていけば、元々のメイクの腕も良ければ少し睫毛が濡れただけで化粧は崩れることなく。やがて双眸を伏し目がちに開け、睫毛をゆるやかに上向させてはゆったり双眸を和らげながら、もう平気だと。降り積もった雪が溶けて、春が芽吹いたような笑みを湛えながら気丈さを取り戻すと残るヘアセットを促して )
ん…、もう、大丈夫です…。すみません、時間大丈夫かな。仕上げ、お願いします。
──俺も後から行きます。頑張って。
( 〝撮影〟の単語にプロ意識が灯ったか、情動の波に抗うようにきゅっと唇を固くした彼女は見事に涙腺の決壊を防いでみせ。普段通りとはいかないものの、何とか気持ちを立て直したらしい様子に此方も静かに胸を撫で下ろすと、「間に合わせます」とだけ答えて取り掛かったヘアセットは時間ぴったりに完了して。最後は自らの手で毛先を微調整し、鏡の向こうへ正当な賛辞を投げ掛けたなら、メイク室を出て行く相手を努めて平静に見送る。扉が閉じられて数秒後、張り詰めていた糸が切れたかの如く深い息を吐いては、先程まで少女の座っていた椅子へと力なげに腰を沈めて。「焦った…」と呟く面差しには言葉通りの表情が浮かび、少し早まった鼓動が落ち着くまで暫しぼんやりと虚空を眺める。そうして生じた意識の隙間に否が応でも蘇るのは、つい先刻目の当たりにした今にも泣き出しそうな顔で。──芸能人じゃなければな。自身の中の何かが僅かに綻ぶと同時、一瞬ふっと湧き上がった思いに自分で驚駭すれば、気の迷いを振り払うように緩く頭を振り。それからどこまでもひたむきな少女に絆されかけた事実に苦々しく口の端を歪めると、困り果てたように独りごちて )
…あの人も大概物好きだな。
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(/ 現場でのやりとりは回収させていただきました…が、他に何か差し込みたかった展開等があれば全然改変していただいて構いませんので…!いつもと違う儚げなひな季ちゃん、想像以上の破壊力で抱きしめたくて堪りませんでした…。次の開始ロルは此方から出させていただきますね◎ )
( / 展開につきましてはひな季側は充分やりきった感がありますので、現場でのやりとり編は完で大丈夫です◎ こちらとしましても、〆で逆巻さんの気持ちが綻ぶ描写にやられてしまいました…需要しかないです、そして綺麗に収めてくださりありがとうございます…。綻びという言葉選びが本当にぴったりで何度でも読み返したくなりました、個人的ハイライトです…!
それでは恐れ入りますがお言葉に甘えまして、次の開始ロルの方よろしくお願い致します…!こちら蹴り可です◎ )
( 一歩足を踏み入れれば、コーヒーの香りと古い洋画の世界観に包まれる。土曜日、心惹かれるコンセプトと『逆巻さんのコスメ知識もまだ聴き足りない』という誘い文句につられて訪れた〝再現カフェ〟はそこそこの盛況で、昼間の光を取り込んだ店内では映像作品好きの客もそうでない客も思い思いに話に花を咲かせていて。同じ映画好きの連れ人はといえば内装を見渡すなり興奮気味に「…ね、これって内装も〝シーズ〟でミランダとレベッカが言い争ってたカフェの再現じゃない?結構マニアックだね」と耳打ちし、期待に胸を膨らませながら意気揚々と席に着く。説明は不要だろうとでも言いたげに文字のみで綴られた強気なメニュー表を開いたなら、メジャー作品からマイナー作品まで意外にも幅広く取り揃えられたそれに隅々まで目を通し、早速フィクションの世界へと身を浸らせて )
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(/ 重要なお考えを阻害していた、なんてことがなくて良かったです…!また描写につきましてもこれ以上ないお褒めのお言葉をありがとうございます。今回は自分でも上手く逆巻の心情を反映できたかなと感じていたので、心情の表現の師匠たる背後様に褒めていただけて、嬉しさでぽかぽかしております…。これからも背後様とひな季ちゃんに喜んでいただけるよう、精進して参ります。以降もよろしくお願い致します…!※蹴り可 )
うぅ…羨ましい──…よね?あの、なんかご飯美味しそうだし…!
( 同時刻。同ショッピングモール内で開催されている、コラボカフェの店内雰囲気が見える二階にて。前回の尾行時に偶然耳にした約束を元に、先回りして張り込んで覗っていれば店内に入っていく二人の姿を発見し。予定では相馬くんが逆巻さんのことを鬼DMで呼び出すところだけれど、映画好きの彼には堪らないだろうコラボカフェとなれば、連れ人が気掛かりではあるもののカフェを楽しんでほしい思いがあり。黒のバケットハットを目深に被ってガラスフェンスに腕掛け凭れながら食事を楽しむ様子を眺めていれば、無意識に溢れる羨望の呟き。逆巻さんに向けた恋心を知らない相馬くんが隣にいるのをはっと思い出しては、すぐに誤魔化すように無邪気な笑みを添えながら食へと切り替える。笑みに当てられたのか『だ、だよね。…よかったら、あっ後で俺と、行…─』と仄かに頬染め言いかけた相馬くんの隣で、食事を終えたらしい二人の様子にぴこんと犬耳を立てたなら「ね、相馬くん今!今だよ、逆巻さんのこと呼び出して!内容はなんでもいいから出てきてくれるようなこと!」と相馬くんの肩をぱしぱしと叩き呼び掛けては、あたふたスマホを持つ手を滑らせながらも急いで〝逆巻さんたすけて〟〝ショッピングモールで永瀬さんが迷子かも〟〝映画館に行った直後だから携帯も繋がらない〟〝落ち込んでいたから変な人に声を掛けられてついて行っちゃうかも…〟と送り出す。横から覗いていて気に掛かる文面を見つけては「なんでもいいって言ったけど、わたしついて行くような子じゃない…」と片頬をぷくっと膨らませながら双眸を据えて抗議しては〝っていうか可愛いし攫われちゃうかも〟と追加で相馬くんがDMを逆巻さんに送り。さて逆巻さんは動いてくれるだろうか。カフェの方へ視線を戻しながら動向を見守り、もしも出てきてくれたなら彼が向かった方向とは別の方から彼女の元へと向かうだろう )
…出てくる、かな。
( 注文を終えてテーブルに並ぶのは、スパイ映画で暗号に使われたオープンサンドと、王室をテーマにした映画で女王が口にしていたランチセット。予想以上の再現度に二人して感嘆しながら目でも舌でも味わうと、自然と食事中の会話も弾み。そうしてひと足先に皿を空にした折、見計らったように震えたスマホを拾って裏返せば、表示されるのは今し方胃に収めた暗号より遥かに平易なメッセージ。勢い任せの連投にはすっかり慣れたもので、高校生が迷子くらいで何を、と次々届く文面を冷静に眺めるけれど、普段と様子の違っていた先日の少女の姿が頭を過っては『そんなに心配しなくても』と打ちかけた文字を消してゆき。代わりに『今どこ』『この前会ったショッピングモール?』と返信したなら、今日は珍しく最初に料理の写真を撮ったきりスマホを触らない連れ人に不審げな顔をされつつ、再び通知が届くまで無意味に周囲を見回す。何も〝変な人について行く〟だとか〝攫われる〟という彼の危惧を本気にしたわけではないものの、彼女がもしも自身の与り知らぬところで一人泣いていたらと想像すると、どうにも落ち着かない心地で )
嘘ついてごめんなさい…!
( 念のためガラスから少し離れつつ、上階からこっそりと眺めていれば『返信来た!』と罠に掛かったことに嬉しそうな相馬くんの声が隣から耳に届く。直後、周囲を気にかけた様子の逆巻さんが上階から見えれば、申し訳なさで胸が痛んで双眸をぎゅむと不等号にしながら届かぬ謝罪を呟いて。それから見せてもらったスマホの画面には、敬語がないのは焦りが滲んでいるのか、はたまた案外仲良くしているのか。連投された相馬くんのメッセージで他の会話は窺い知れず少し気になるものの、相馬くんに返信を促したなら〝そうで〟〝す〟と慌てている風のメッセージを彼に送った様子で、再び出方を窺って。──その一方で。スマホに触れ出してから、周囲を気にして落ち着かない様子の逆巻さんに痺れを切らしたように、濃い色に縁取られた唇を開いて『なにー?そんなにきょろきょろしちゃって。また知り合いでもいた?』肘付き組み絡めた指先に顎を乗せながら首を傾げ )
いや…。
( 対面からの問い掛けにどこか上の空で曖昧に返答すれば、また黒い画面へと目を落とす。そこへこれまたタイミング良く現在地に関する肯定の返事が浮かび上がっては、揺れ動いていた天秤が少女の側へと傾いて。「…すみません、春名さん。少し席外してもいいすか」組んだ指に顎を乗せてつまらなそうに此方を見ていた連れ人へそう尋ねると、彼女は目を丸くし、事情を語りつつ席を立つ自身を「待って、迷子って……え?もう高校生でしょ…?」と戸惑いながら引き留め。己も先日のことがなければきっとそれに同意しただろうが、病魔に倒れた日に垣間見せた心細げな表情や、感情を上手く処理できずに涙を零した姿を思えば「まだ高校生すよ」と静かに反駁して。「じゃああたしも一緒に──」置いて行かれることが癪に障ったのか、気色ばんだ相手は腰を浮かせかけるけれど、テーブルの上にはランチセットが半分以上残ったまま。本人もそれに気が付いたのか、ぐ、と動きを止めた後にゆっくりと元の位置へ腰を下ろしたなら、もう一度謝ってから店を出て、報告者に探し人の今日の服装やらはぐれた場所やらを聞き取りだし。他方、残された女性は徐にスマホを取り出すと無表情にテーブルの上を写真に収め、現実逃避するかの如くsns上で幸せを演出して )
…食べ終わる頃までには戻ってきます。すみません。
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