可愛いの魔法　（〆）

あっちです！
（ 相手が折れて渋々と始まることになった相合傘は、同性の友達同士でするものよりも傘の天井が高くて不思議な感じ。異性とはこれが初めての相合傘だなあ、とふと気が付けば擽ったいような気持ちになるけれど、コンビニまでの道案内は２回だけ角を曲がったなら本当にそう遠くない距離で、あっという間に着いて終わった。コンビニの軒下まで辿り着けば、〝それじゃ〟なんて言ってすぐに帰りそうな相手をその場に留める言葉を伝えれば、さっさと用を済ませるために店内に入ってしまって　）
…傘、ありがとうございました。すぐ終わるのでちょっとだけ待っててください！

（　少女の本当に近いとの言葉に偽りはなく、短距離の移動は誰ともすれ違わずに恙なく終了。相手が傘の中からコンビニの軒先へと移れば肩の荷が降りたような心地で、意識は寛ぎを求めて早くも自宅へと向き。しかしそんな此方の内心を見透かしたような言い置きが残されると、大人しくその場に留まって。手持ち無沙汰にスマホを取り出しては今のうちに少女の担当マネージャーに映画の視聴場所について確認しておこうかとも考えるけれど、すぐ終わるとの言葉もきっと偽りないのだろうと予想すれば、またポケットに仕舞って未だ雨足の弱まる気配のない空を見上げて　）

（　早速カゴを手に取るとまずは頼まれていた期間限定スイーツをカゴに入れ、それから相手のお礼をと次にお菓子コーナーに向かえば、映画のお供といえばこれだろうと目当てのポップコーン菓子を手にする。しお味とキャラメル味で迷ったけれど、お礼だし両方買っちゃえとカゴに入れたなら追加で自分用にも一つキャラメル味を入れる。一緒に渡す飲み物は映画セットだしコーラがいいかな。ここまではスムーズに済み、最後に傘をと思い売り場に向かったものの、いつもはたくさん販売されている傘が一本もない。がらんとした売り場に呆然としていれば、店員さんに発注忘れだと告げられて。ないものは仕方がないととりあえずお会計を済ませコンビニから出てくると、ちゃんと待ってくれている相手に安心するものの、気まずそうに眉を下げながら声を掛け　）
お待たせしました～…、すみません、傘…売ってなかったです…。

（　程なくして自動扉から姿を現した少女の手には報告の通り傘は無く、代わりに大きめのレジ袋が握られていて。そういえばコンビニでおつかいをすると言っていたかとビデオショップ前での会話を思い返すと、売っていなかった目当ての品については仕方がないと顔色一つ変えずに流し、もう一方の目的は達せたのかと確認して　）
傘以外は全部買えました？

買えました。それで、あの、これ…
（　ややしょんぼりとしながらも目的の達成を頷きながら報告すると、二つに分けてもらったうち大きい方のビニール袋を相手に差し出す。中身はもちろん相手へのお礼を詰めた個人的イメージによる映画セット。申し訳なさそうに、それでいて窺うように小首を傾げながら寮までの相合傘を頼み　）
傘に入れてくれたお礼なんですが…すみません、このまま寮までまたお願いできますか…？

…や、このくらいお礼してもらう程のことじゃ…。
（　おずおずと差し出されたビニール袋が彼女の謝意だと分かれば、高校生の女の子に気を遣わせてしまったことに薄らと罪悪感が芽生え。要求を断らせないために先手を打つようなタイプでもないだろうし、先程渋る素振りを見せたせいだろうかと自省しては、遠慮しかけたお礼の品を「ありがとうございます」と受け取る代わりに相手の頼みも快く引き受けることにし。彼女の手に残った方のビニール袋をさして重くはなさそうかと瞥見すると、そちらはそのままに傘を差して軒先を出て　）
さすがにこの状況で置いて帰ったりしないすよ。送ります。

ありがとうございます…！お願いします。
（　お礼の品を受け取ってもらったこと、寮まで送ってくれることにほっと胸を撫でおろしては、表情を和らげながら感謝の言葉を口にして。再び相手の隣、傘の下に入り軒下を出ると先程のコンビニまでの距離よりは少し遠くはなるけれど、道案内をしながら並んで歩く。ザアァと雨音は絶えないけれどずっと沈黙というのもあれだし、と世間話でも切り出して　）
──…次のところ右です。…そういえば、他にDVDは何を借りたんですか？

（　引き受けたからには最後まできっちりやりたがる性分故か、時折隣の少女から伝えられる道案内に耳を澄ますことと、すれ違う通行人からさりげなく傘と自分の体とで彼女を隠すことに没頭しつつ歩を進め。その最中、次の指示を得て頭の中で反芻しているところへ不意に言葉が投げ掛けられれば、雨音のせいもあって上手く聞き取れず、歩調を緩めて声の主の方へと顔を寄せて　）
…ん、何すか？

…、えっと、…なんだっけ。忘れちゃいました。
（　ふいに、顔との距離が近くなって、雨の匂いに混じりふわりと鼻腔を擽った香りは柔軟剤の匂いだろうか。唐突に詰まった距離に、どき、と心臓が高鳴る音がしてはなんだか頬が熱い。荷物を持たない手のひらを頬に手を当て火照りを隠そうとするけれど、マスクで見えないか、と気付けば荷物を持たない手のひらで誤魔化すように無意味に髪の毛を整えて耳に掛けると、何を聞こうとしたかも忘れてはえへへと小さく笑って　）

…？　思い出したら教えてくださいね。
（　本当に言ったそばから忘れてしまったのか、それとも何か言いづらいことだったのか、落ち着きのない手の動きと誤魔化し笑いが全く気にならないと言えば嘘になるが、追及するのも躊躇われ。曖昧な笑みを薄く広げて聞く準備があることを示すのみに留めては、頭を元の位置まで引き戻し、反芻していたおかげで未だ記憶に残っていた最新の案内を確認のため口に出して　）
ここ、右すよね。

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（／　普段より少し早いですが、本日はこの辺りでお暇させていただきます。朝からずっとお相手くださりありがとうございました、沢山やりとりが出来て嬉しかったです！また明日からも引き続きよろしくお願い致します。おやすみなさい…！／蹴り可　）

はい…。そう、右です。
（　相手の顔が元の位置に引いていくけれど、心臓の音は普段よりうるさいまま。歩きながらこっそりと相手の横顔を盗み見しては、気にしていないようで少し安心するとそっと視線を前に戻し、雨音が響くなか時折の道案内を続けて。すっかり話の内容は飛んでしまって結局思い出せないまま寮であるマンションの前まで着くと、相手に向き直るも真っ直ぐに目は見られなくて、変に視線を彷徨わせてもおかしいからぶつからないよう浅めにお辞儀をして　）
──…着きました、ここです。今日は助かりました…ありがとうございます。

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（　／　蹴り可とありましたがどうしても反応したくなってしまって…！私もたくさんやり取りを交わせて嬉しかったです、ありがとうございました*　明日からまた頑張れます…！
そろそろ頃合いかなあと回収の方向で進めておりますが、相合傘イベ残りもよろしくお願い致します！おやすみなさいませ*　）

（　結局その後も隣から道案内以外の何かが発せられることはなく、此方から話題を振るでもなく、雨粒が傘と地面に当たって跳ね返る音だけを聞きながら黙々と寮への道程を辿り。マンション前で少女が傘から出ると緊張感と責任感から解放されると同時に、彼女にしては珍しいよそよそしい態度が気に掛かって。状況を鑑みても早く中に入らせた方が良いと思う反面、やはり言い出しづらい事柄があったのだろうかと推察すれば捨て置くことは出来ず、かと言って無理に聞き出すわけにもいかないので、コンビニのレジ袋を軽く掲げつつ、不慣れな雑談で少しの間その場に居残ることを試み　）
こちらこそ、これ、ありがとうございます。…、映画、見終わったら今度感想教えてください。…それから、少し冷えるんで、体調崩さないように気をつけて。

いえっ…、
（　待っててとこちらから引き止める目的もなく、お礼に対してのお礼を受け取っては今度こそ用が済んですぐに踵を返すだろうと思っていたけれど、下げた視線の先の地面に彼の足は留まっている。雨音に紛れてぽつぽつと溢れる雑談は、狂ってしまった心臓に波紋のようにじわりと溶け込むよう落ち着かせてくれて〝はい〟とか〝わかりました〟とか、返答の言葉は簡単なものだけれど確かに表情は和らぎ次第に視線を合わせて。きゅ、と手荷物を握る手に力を込めつつ一度口を開いたなら、言葉を話せることを思い出したかのようにぽろぽろと言葉を溢れさせ　）
…あのっ、わたしにも感想教えてくださいね、どんなの観たか…ホラーの内容でもちゃんと聞きます。あと、逆巻さんも体調には気を付けてください、ね。

…はい。じゃあ、また今度。
（　相手の瞼がゆっくりと持ち上がり、やがて視線が交わる。だというのに早々に話題が尽き、口を開けずにいると、次に声を発したのは彼女の方で。意気込んだかのような喋り出しにささやかな努力が功を奏したかと期待するも、その先に続いたのは今し方自身が伝えたことと同じ、返礼のような内容。しかし何だかそれで十分な気になれば、目元の和らいだ相手に此方も目元を和らげ、どこか秘密めいた約束と共に片足を後ろに出す。そこでもう一つの約束が脳裏を過っては、半身のまま首の動きだけで振り返って　）
…そういえば、寮にお邪魔する件、牧さんに確認したらそのまま牧さんから水瀬さんに伝えてもらう形でいいすか？

（　相手の目元が和らいでいくのを見ればまた心臓の鼓動が少し早くなった気がして、秘密めいた約束を交わしては一瞬だけ二人の空間ができたように、雨音が遠くに聞こえる感覚に陥って。今日は不思議な感覚にばかり囚われる。彼が去ろうとしたことで現実に引き戻されるようにまた雨音が近くに聞こえだすと、はっとしたようにこくこくと頷きながらその件を了承して。空いている手を胸元辺りまで上げると、手を左右にゆらり、控えめに振りながら柔らかな笑みを添えて　）
…あ、はいもちろんです！よろしくお願いします。それじゃあ、また…。

（　相手からの了解を得ると、頷きのような会釈のような浅い礼だけを残して今度こそ来た道を引き返し始める。迷わないよう行きのことを思い浮かべつつ進み、レンタルビデオショップの前まで辿り着いたところでお礼の袋の中身を覗いてみれば、微かに弛んだ唇は小声で〝なるほどな〟と紡ぎ。同時に自分の声がやけにはっきりと聞こえることに気が付くと、いつの間にか雨は上がっていて。傘を下ろし、晴れ間を覗かせ始める空を暫し呆然と眺めると、言葉にならぬ感情の詰まった溜め息を一つ。閉じた傘を片手に、忘れないうちにとスマホを取り出して少女のマネージャーに電話したなら、審議の結果、ホラー映画の視聴は彼女の事務所の一室で実施されることと相成って　）

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（／　相合傘イベもありがとうございました！数多可愛らしいシーンがありましたが、逆巻の傘に飛び入るひな季ちゃんと、最後のシーン全てのひな季ちゃんが個人的ハイライトでした…。思いのほか長く、そしていつも以上に行き当たりばったりになってしまいましたが、背後様のおかげで今回も堪能させていただきました…！　）

（　／　こちらこそありがとうございました*　確かに思いのほか長くなりましたね…でも長すぎるなんてことはなく本当に〝堪能した〟がしっくりきます、楽しかったです！視聴場所の承諾もしっかり収めてくださりありがとうございます。
ハイライトの報告嬉しくてにっこりです…！私も逆巻さんの負け惜しみ、趣味に触れて饒舌になるところや「見れる場所ねぇな…」と崩れた口調になるところ、コンビニを出た後はもう全部ハイライトでございます…！（過多）天才的にストライクでした。ありがとうございます！！
今回のイベントでたくさんの水と養分が与えられ、ひな季のピカピカの恋心の芽は急速に成長している気がします…。　）

（／　背後様にも楽しんでいただけたのなら、そして今回の逆巻がお気に召していただけたのなら幸甚の至りです。それにしても前々から思っておりましたが、背後様とは本当にツボが似通っているというか…、細かいところまで気が付いてくださってとても動かし甲斐があります…！ひな季ちゃんのピカピカの恋心の芽を開花させられるよう、これからも精進して参りますね！
さて、次ですが、ホラー映画視聴回にするか可愛いの魔法イベに移るかで考えております。その他気になるものがあればそちらでも構いませんが、シチュエーションについて背後様から何かご希望はございますか？　）

（　／　わー、本当ですか！ひな季が恐怖演出をピンポイントで拾ってしまうのと一緒ですね（）ぜひぜひ思うがままにこれからも動かしていただければ幸いです…！
悩みましたが…そのままホラー映画視聴回がいいかなあと思います。初回でも数回目のものでも可です◎　事務所の一室なので途中からでも最初からでも、牧さんの監視があってもおもしろいかなと思っております。事務仕事がてら様子を見ている牧さんも、映画の内容が気になり一緒に視聴し始めるとか。片側に牧さん、片側に逆巻さんで両手に華状態なんて…。一応うっかり抱き付かないように例のベッドのぬいぐるみを持ってきていてもありかなあと、妄想を膨らませておりましたが…ソファがあればクッションくらいありそうですね…。
背後様の方でも何か考えていたシチュエーションなどありましたらご教示お願い致します…！　）

（／　たしかに…さすがひな季ちゃんの背後様ですね、回収能力が高すぎる（）お陰様でいつも伸び伸びと交流させていただいております…！背後様におかれましても、ひな季ちゃんのキャラクター優先でお相手いただけますと幸いです＊
ホラー映画視聴回ですね、承知致しました！レンタルビデオでの映画視聴は後の映画館やお化け屋敷への布石程度の位置付けですので、今回はやりやすさ重視で初回の難易度易しめの☆１をお願い致します。つきましては前提を①事務所内には常に誰か居るし、ひな季ちゃんが事務所の人間なので部屋を二人だけで利用しても問題はない、②牧さんがホラー得意だと逆巻の存在意義が消失するため、ひな季ちゃん程ではないにしろ牧さんもホラーは不得意、③その上で、ひな季ちゃんが頑張っているからと都合が付く時は出来るだけ牧さんも参加するようにしている、のように定めさせていただきたく思っておりますが、問題ないでしょうか…？　前述の通り布石の位置付けで、ひな季ちゃんもそれどころではないでしょうから、恋愛色はほぼ皆無の日常回になるかと見込まれます。多少入れ込むなら、暗中で三人並んでソファに座ったため牧さんと勘違いして逆巻の腕に抱きついてしまった、もしくは初回は牧さんの腕に抱きついて映画を観たけれど、牧さんが居ない回では癖で逆巻の腕に抱きついてしまった（恐らく描写の機会はないので、そういうことがあったという設定が追加されるのみ）、といったところでしょうか。ひな季ちゃんと牧さんの二人でクッションをぎゅっとして怖がっている様は非常に可愛らしいので、ソファには是非クッションがあってほしいです…、上記のように身を寄せ合って見てたらもっと可愛い…。でもやっぱり持って来たぬいぐるみの方が落ち着く、みたいな心理がひな季ちゃんにあっても此方はにっこり致しますので、その辺りはどうぞ背後様のご随意に…！やたらと冗長になってしまいましたが、諸々ご検討の程、よろしくお願い致します。　）