匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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えっ待ってください、今って何月…──やっぱり過ぎてるじゃないですか!
( 生年月日について問われれば、年齢も公開しているため隠すことなく「200X年の…」と公式通りの情報を占い師へと告げては今度は彼の番だと隣を見遣っては、そういえば誕生日を知らないと今更気付いたようにはっ…と口を開き。好き好きとアピールしておきながらそんなことも知らなかったなんて、と数瞬で察しから自戒へと表情をころころ変えていれば、彼の口から告げられた生年月日に一瞬自身の回りだけ時間が止まる。慌ててぱっと持ち上げたスマホのロック画面には当然見間違いようもなく〝8月〟と表記されていて、がーん!とショックを受け青ざめさせては、双眸を不等号に瞑りながら口を波線状にわあわあと抗議を垂れるけれど、聞かなかったから、と真っ当な理由を告げられたなら納得してすぐに大人しくなるはずで )
なんで言ってくれなかったんですか~…!
…聞かれてないし。
( 己が口にした日付にいち早く反応したのは、尋ねた占い師ではなく隣に座る連れの方で。スマホのロック画面を確認したのち、何か取り返しのつかないことでも仕出かしたかのように慌てだす少女は焦りの矛先を此方へと向けるも、他人任せな解を渡せば呆れたのか諦めたのかそれ以上は追及することなく。対面で繰り広げられるやりとりを対岸の火事と静観していた店主はそこでふふふと目元を緩ませて、笑みを湛えたまま「占うまでもないみたいですけれど」と前置きしてから、いかにもな羽根ペンで机上の紙に聞き取った生年月日を書きつけてゆく。またいくつかの数字が羅列されてゆくその長方形の中で何が行われているのかはさっぱり分からないながら、彼女の台詞には心の中で同意を示して少し。満足げな頷きと共に導き出された結果は予想に反してポジティブなもので、先の呟きの意味を180度取り違えていたことに遅れて気付かされることとなり。相性はとても良い、互いを高め合う関係、恋愛はもちろん仕事のパートナーとしても適当、一緒にいると互いに尊敬と居心地の良さを覚えるはず…と、耳触りの良い言葉が次々並べたてられ、どことなく心当たりがあるような不思議な気持ちで顧客の方を窺っていた、ところまでは良かったのだけれど。極めつけの「このまま行けば必ず成就しますよ!」の一言で今までの全てが相談者の気分を上げるための甘言かと信憑性を丸ごと瓦解させては、相手はアイドルだと自身の方が口を滑らせそうになるのを堪えつつ、すっかり興味を失った様子で形だけは話に耳を傾け )
た、たしかに…。
( 聞かなかった自分に非があるのを認めては、自分への不満からか唇を少し尖らせつつすごすごと大人しく正面を向く。占い師の前置きはどう意味か考えながらも手順を踏んでいく占い師の指先にいつしか夢中になり、ほわ…とぽかんとした表情で見つめているとやがて導き出された結果には自身もまた大いに心当たりがあり、あれもそれもと心当たりが増えていくにつれて、うんうんと小さく頷いていた真剣な表情は次第に嬉しそうな笑みを広げていき、必ず成就する、なんて言われれば「ほんとですか!」と両手を合わせながらきらきらと瞳を煌めかせては、その背後にはぶんぶんと尻尾さえ振っているようで。占いが終わり犬スタンプによる特別価格で支払いを済ませて占いの館から出れば、周りに花を咲かせたような浮かれた雰囲気を纏わせていて、隣の彼の顔を覗き込むように首を傾げると期待を込めた眼差しで問い掛け )
えへへへ…必ず成就する、ですって。どうですか傑さん、そろそろお付き合いなんて…!
…そろそろも何も、ずっと無いすよ。
( 店主の思惑通りにまんまと機嫌を良くした少女と幕の間をくぐって外に出ては、早速寄越される浮かれた問いに占いの結果を真っ向から否定する返答を。必ず成就するといっても〝このまま行けば〟だし、大まかな時期さえ明言されない、多分に逃げ道の用意された言い振りに不信感は影を濃くするばかりで、子どもに説くかのように「真に受けない」と改めてはっきり結び。しかし予言めいたそれが紛い物であることを証明してやろうと少しムキになったのは、告げられた刹那に僅かでも心の揺らいだ自覚があるからか。こうなればとことん今日の〝デート〟に受けて立とうと、割引店舗一覧の載ったフライヤーから顔を上げて館内全ての店舗の載った案内板まで相手を連れて行けば、次なる目的地の希望を尋ね )
…他に行きたいところは?
ずっと!?でも占い師さんが──…、あぅ…。
( きっぱりはっきり否定をされてしまえば、特大衝撃マークを浮かべながら双眸を不等号にしてショックを受ける。さっき占い師さんがそう言っていたのに、と言葉を続けようとするものの畳み掛けるように真に受けないよう言われては少々不満げに眉尻を垂らしながら唇を尖らせつつ「すっごく当たっていたのに…」と床に視線を落とし。もう帰りますよ、なんて言われかねない雰囲気のなか連れられた先は、思いがけず案内掲示板の前で。双眸をぱちくりと瞬かせていると、次なる行き先の希望を問われては、魂胆を知らぬ身ゆえにみるみるうちに表情を煌めかせながら彼を見上げ。本当にデートみたいだ、と浮つきつつ彼の気が変わらぬうちにと忙しなく案内図に視線を走らせては、下のフロアにあるアイスクリーム屋さんを指差しながら希望を告げて )
…!、えっとあの、一緒にアイスが食べたいです…!
…ああいうところには、これからも俺が一緒に行きます。
( でもだってと未練の残る様子で肩を落とした少女を横目に、胸を過るのは保護者的な懸念。スピリチュアルやオカルトの話になると輪をかけて人を疑わなくなり、さらに一度好きだと思ったものにはのめり込みやすい質らしいこの純真な高校生がいつか悪い大人に騙されやしないだろうかと、常々抱いていた憂惧がここにきて現実味を帯びてきては自身の同行を決定事項かのように伝え。占いを否定した後ということもあって「ね」と一音で念押しし、次の目的地に肯き隣にか後ろにか相手を伴わせてエスカレーターに乗ったあたりでいっそのこと自分が占術を身に付ければ良いのでは、と突飛な解決法に行き着くも、勿論そんな義理も暇もなく。そうして到着した希望のアイスクリーム屋の前でフレーバーメニューを眺めたなら、雑談がてら意見を参考にしようかとデジタルボードを見上げたままぼんやりと問い掛け )
…──水瀬さんは、なにが好き?
( なんだかよく分からないけれど、真に受けないよう忠告しながらもまた同行してくれると名乗り出てくれるなんて思わなくて、きょとんと双眸を瞬かせてはまたお仕事外でも会えるような約束に〝いいんですか!〟と反応しそうになるものの、それよりも先に有無を言わさぬ念押しがあれば、瞳に煌めきを灯しながらこくりと頷いて。絶妙なズレを生じさせつつ行き着いたアイス屋さんでは、デジタルボードを眺める彼の横顔を見上げながら、なんだかんだデートらしいことをしてくれる彼が好きで、大好きで──そんな気持ちを溢れさせている中ふいに質問を投げかけられれば捉え方を間違えてしまい、拳をぐっと握りながら当然!とばかりに力説するように回答をして )
えっ、それはもちろん傑さんのことが…!
──…俺はアイスじゃないです。
( 好きなアイスフレーバーの問いへメニューにない回答が寄越されると、ぼんやりとした表情のまま緩慢に振り向き、少し置いてから彼女の捉え違いに気が付いてふっと目元を緩める。と同時に発した指摘にはいつものような冷淡さも切れ味もなく、ただただ可愛らしい勘違いに顔を綻ばせただけのような響きで。それから声色はそのままに目を閉じながら正面に向き直れば、仄かに悪戯げに、けれど本心である質問の意図を明かし、相手がその内容に乗りたがるようならデジタルボードの見やすい自分のそばまで手招きして「なにが好きなの」と改めて聞き取るだろうか )
なんだ、好きなの分けてあげようと思ったのに。
へ、…あ、そっちのこと…。
( 穏やかな指摘によって遅れて捉え違いに気付かされれば、ぽぽ、と頬を薄く赤らむ頬を両手のひらで包み込む。それは間違いに対しての羞恥心よりも、彼が纏う柔らかな雰囲気と笑い方へのときめきだったり、前に並んでいる一組のお客さんの耳にこちらの会話が聞こえていたようで『後ろのカップルかわいー』との微笑ましげな呟きが耳に届いたからで。そこへ質問の意図が明かされると「!」と反応してぱっと瞳を煌めかせ、嬉しそうに尻尾を振りながら手招きされるままに傍へ寄ってはデジタルボードに載った写真を指差し。しかしひとつだけには絞り切れないのか、メニューに向けた人差し指は他のメニューへと揺らぎ始め、あれこれと好きなものをおすすめしていく中で夏らしい期間限定フレーバーも気になりつつ、傍の彼を見上げて問い掛け )
いいんですか!わたしストロベリーチーズケーキが好きです!…あとモカコーヒーとか、ぱちぱちキャンディとか…、あっ。限定フレーバーのマンゴーパインも美味しそう…。傑さんはどれにしますかっ?
…、俺まで可愛くされた…。
( 男女二人連れであの会話内容ならカップルに間違われるのは致し方ないかと受容するものの、まとめて1セットで〝可愛い〟に分類されてしまえばどことなく釈然とせず、発言した本人達に聞こえないよう小声でぽつりと抗議をこぼし。そしてその片割れが近くに来てデジタルボードに向けた指を彷徨わせだすと、選びきれず目移りする様に顔の方へ視線を戻しつつ「浮気者…」とまた小さく呟いて。とはいっても今日は彼女の努力を労う日。アイスを多少欲張るくらいは許されて然るべきだろうと、候補に挙げられたうちから比較的優先度の低そうだった2つを選び取っては、じきミニサイズのそれらがカップに仲良く入れられることとなり )
…じゃあ、モカコーヒーと、ぱちぱちキャンディ。
そ、それは──…いいんですよ!だってほんとの一途は傑さんに捧げてますからっ。
( すぐ傍にいたからか呟かれた言葉は当然耳に入り、聞き捨てならず衝撃マークを浮かべ。浮気者、というフレーズはなんだか罪のような気がして反論しようかと思うけれど口にしたのは肯定の言葉──というのも、どれも美味しいのだから一番なんて決められないし食べ物に対して〝好き〟がいっぱいあっても良いと思うから。なによりの想いを続く言葉に乗せては、えへへと八重歯を覗かせながらはにかんで。それぞれのフレーバーを注文し支払いへ進もうかという時、財布かスマホかを取り出そうとしたなら手で制してストップを掛け。改めてプレゼントを用意するつもりではあるけれど、ひとまずのお祝いとして支払いを申し出て無事お会計を済ませたなら、2種のフレーバーが盛られたカップを手に空きテーブルを探して席に着いた後は、「お誕生日おめでとうございます!」と互いのカップを乾杯のグラスに見立てるように軽く寄せてお祝いしようか )
あ、ここはわたしに出させてください!お誕生日のお祝いとしてはささやかですけど…。
…そうじゃないと困るな。
( アイスには気の多い彼女から〝ほんとの一途〟を貰い受け、それを自然に肯定した後。注文を終えて受け取り口へと移動すれば、スマホを取り出そうとした支払いの手を制されてきょとんと瞬き。占いの際に悔やんでいた誕生日のことを今の今まで覚えていたのか、ひと月も前のイベントを祝おうという相変わらずの律儀さに「…え、や、いいのにそんな」と一度は遠慮するものの、意思が固いようならレジ前で押し問答を繰り広げるのも躊躇われて申し出に甘えることにして。柔い紙のカップが音もなくぶつかり、近くのテーブルの客から「あのカップルかわいー」と再び1セットで扱われつつ、祝辞に「どうも」と淡白に応えてマスクを外しては。選ばれたフレーバーたちから目線を上げ、少しだけ気になっていたことを手をつける前に訊いて )
…一緒にアイス食べたかったのは本当?
ほんとです!一緒に犬カフェ行って、占いして、アイス食べて…あと一緒に映画も行きたいですっ、今度は怖くないやつ!
( 〝ほんとの一途じゃないと困る〟だなんて、どういう意味だろう。どきどきそわそわ気持ちが落ち着かないながらも聞くに聞けないまま祝辞を終えては、近くのテーブル席から再び似たフレーズが聞こえてくると、やっぱりそんな風に見えるのかなあと嬉しかったり恥ずかしかったりで、白い頬にほんのり桜色が乗る。ストロベリーチーズケーキにスプーンを差し込みつつ、彼が食べてからこちらも食べ始めようかと窺っていればマスクを外した端正な顔立ちと視線が合い。もちろん、と首を縦に振ってはデートと称するに相応しい(※個人的見解)だろう予定を完遂未遂問わずにうきうきと声音を弾ませながら並べ立てていくも、さすがにアイスのように欲張りかなあと手元に一度視線を落としては、おずおずと問い掛けて )
…って、欲張りすぎですよね…?
〝ほんとの一途は俺に捧げてるから他は欲張ってもいい〟…らしいすよ。一説によれば。
( 希望自体も本当だと迷いなく言い切られ、ついでに次の目的地までもが示され、けれども言葉にしてみて多いと感じたのかふいにブレーキがかけられると、此方を窺う眼差しから遠くなったデジタルボードへと視線を移し。そこで彼女の発言を引き合いに出したのには特段深い意味はないものの、今日くらいは欲張ってもいいという思いと相俟って妙にその台詞を気に入っているのは確かで。モカコーヒーのアイスを掬って口に入れ、程よい甘さに心なし表情を緩めると「次は映画館すね」と言い添えてカップを相手側に近づける。もし4種のフレーバーを味わい尽くした後に調べた映画の上映時間がまだ先だったり、次の上映の席が満席だったりしたなら、どこかで時間を潰す必要があるだろうか )
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(/ 背後より失礼します。マッサージ店の後でも映画の後でも良いのですが、カプセルトイのマシーンがたくさんあるところを見回っていくつか回すのも欲張って構わないでしょうか…!よろしければご一考ください。 )
それじゃあ、…──わあいっ!
( おずおず伺いを立てるような表情は、引き合いに出されたフレーズに〝!〟と瞳を微かに丸くすると徐々にきらきらと光を取り戻していき、次の目的が確定されればぱあっと晴れやかに綻ばせながら歓喜の声を上げて。映画のお供には必ずキャラメルポップコーンを買っていたけれど、前回二人でホラー映画を観た時は驚いてひっくり返しそうだからと頼むのを諦めていた。「今日は一緒にポップコーンも食べましょうね!」欲張っていいとのことだから今度は窺うような言い方はやめ、嬉しそうに笑い掛けながら要望を伝えて。アイスを分けっこしあって満喫したあとは早速観たい映画について二人調べるけれど、どうやら上映開始までは1時間はあるようで、店を出れば時間の潰し方を模索するように館内を歩きつつフライヤーにも目を通して )
どこか気になるお店とかありますか?
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( / 寝てしまっていて遅くなりました;
もちろん構いません◎ もしも具体的な腹案がまだないようでしたら、物欲センサーない方が回すと相手の欲しいものが当たる例の法則なんてやってみたいです…が、腹案があるようでしたら軽くご共有いただければそちら優先でもちろんやらせていただきますので…!
映画待ちの間にマッサージ店かカプセルトイショップか、はたまたその他でも。お好きな場所を選んでいだけると嬉しいです* )
( 話し合いの結果、夢追う2人のラブロマンスミュージカル映画を観ることと、一緒にポップコーンを食べることが決定すると、次の議題は上映までの一時間の閑暇を如何にして過ごすかに移り。とはいえ行きたい場所には勝手に一人で行ってしまう自身の目に留まるのはやはりコスメストアばかりで、しかし何か目当ての品があるわけでもない漫ろ歩きに相手を付き合わせるのも忍びなく。彼女の希望も先程ので出尽くしたようであるし、とふとフライヤーに視線を落とせば、目を惹かれるのはリラックスした表情で寝そべった女性の写真。いつか機会があれば体験してみたいと前々から思ってはいたものの、そのいつかをなかなか掴めずにいたマッサージ店の広告が割引店舗の一覧に載っていては、どこも疲れてはいないし少女もそうは見えないけれど、良い感触が得られるようならこの機に訪れるのも一案かと )
…マッサージとか、興味あるすか。
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(/ ぜんぜん大丈夫です!健康第一なので、ゆっくりお休みください…oO
まさか、いつもは憎い物欲センサーがここで活躍するとは…!映画館の近くってガチャガチャありがちだよな~っていうのと、これ可愛いとかなんだこれとか言いながら眺めて回ったり、ふたりしてしゃがみ込んで回したりしてる図かわいいな~としか考えていなかったので、ぜひそのご提案に乗らせてください* ※蹴り可 )
マッサージ?受けたことないんですよね…。
( 彼の言葉を反芻しつつ、フライヤーの中で泳がせていた視線をマッサージの写真に留める。なんだかくすぐったそうなイメージが先行していたり、この歳で受ける必要もないかと今まで縁がなかったりで気に留めたことがなかったけれど〝もしかして体がお疲れ…!?〟と思い込み、彼の方をぱっと見上げて数秒の間の後、「興味あります!」とはっきり断言をしてみせて。当初は犬カフェに行くことしか目的がなかったため結果いろいろ連れ回すことになった分、多少ここらでゆっくり体を休めてほしい。フライヤーに再び視線を落とし場所の確認をすると、早速お店がある方向を指差しマッサージ店へと歩き出そうか )
あっちの方にあるみたいです、行きましょう…!
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( / ありがとうございます…*
物欲センサーって本当に厄介ですよね() ガチャガチャってどんなのがあるか眺めてるだけでも盛り上がりますもんね…!提案のご快諾もありがとうございます、引き続きよろしくお願いします!
それとご連絡なのですが、9/10は終業後に予定がありまして、終日お返事が難しいかもしれません…ご承知おきいただけますと幸いです。 / 蹴り推奨です◎ )
…じゃあ、またあとで。
( やはり若さ故か関心のうかがえない応答がこぼれ落ちた数秒後、此方が取り下げるより早く彼女が手のひらを返したように力強く肯けば、促されるままマッサージ店へ。全て表出する顔ばせから気を遣われたのは明らかだったが、他に行き先の当てもなく、ここは有り難く厚意に甘えておこうかと共に新体験へ一歩踏み出したなら。上半身のみの30分コースを選んで、パーテーションで簡易的に三つに区切られたスペースへと進む間際、少女へと挨拶を残してその奥へと進む。そうしてジレだけを脱いで施術台へと身を横たえ、目を伏せると同時に指圧が始まると、日々のストレッチだけでは不十分だった箇所が的確に解され、血の巡りが良くなってゆくのを感じ。眠りかけていたところに掛かった終了の声で両眼を開き、店を後にする頃には、睡気を引きずったような弛緩した空気を纏って自身の右手のひらを見つめつつ、普段以上に覇気のない口調でサービスへの満足度を洩らすだろうか )
…マッサージにはまる気持ち、ちょっと分かったかもしれないです。
( 真似るように選んだ上半身30分コース。最初はくすぐったいイメージがあったけれど、受けてみれば存外にこの年齢でもしっかり心地良さを覚えるもので、学業にアイドルにと忙しない日々を送る体は解されていき。レッスンやライブの後に受けたらきっと気持ち良いだろうからメンバーのみんなにも味わって欲しいなあなんて思えば、指圧を受けたなんとなくの場所を覚えようと試み意識してはうとうとする間もなく。あっという間に30分が過ぎお店の外に出ると、緩い空気纏わせながら満足したように言葉を溢すものだから、日向ぼっこ後の猫のようで可愛らしくきゅんと小さく胸をときめかせ。メンバーのために、が目的ではあったけれど彼のことをそんなにもやわやわな雰囲気にできるのならば。ふむ、と自身の手のひらを眺めては、新たにひとつ決意を固めた表情でひとりごちて )
……マッサージ、覚えよう…。
…そろそろ移動しとくすか。
( それぞれ手の内に何かを得て初体験を終えては、隣でマッサージの道を志す少女の真意を知らず、そんなに良かったのかと興味深げに視線を遣り。それから手のひらに乗せていた共感をスマホへと持ち替えれば、上映まではもう一店舗回るには短く、すぐ映画館へ向かうには些か長い時間。とりあえず早く着くぶんには良いだろうと急がない足取りで最上階へと進みだすも、チケットの発券とポップコーンを買う手間を差し引いても絶妙に持て余す暇をどうしようかとぼんやり思料していた矢先、エスカレーターを上り切ったそこに見えるのはずらりと並ぶカプセルトイのマシーンで。流行りのアニメのキャラクターフィギュアから変わり種のおもしろグッズまで幅広く取り扱った販売機につい足を止め、少女を振り返って寄り道する余裕があることを確認したなら、流し見る程度にラインナップを眺めて回ろうか )
まだ時間、平気すよね。
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