匿名さん 2023-03-24 20:11:47 |
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えぇ、いらないやつですか…?
( 可愛くて美味しそうと思って集めた貝殻たちだけにいらないものとして選びそれを彼にあげるのも躊躇われると、なんでそんな難しい注文を…とばかりに神妙な面持ちで、砂の上から自身の手のひらにひとまず貝殻を移していく。ふいに、ぽつ、と雨粒がひとつ顔に落ちるような呼び掛けに拾い上げていた手を止め、顔を上げた先の彼に視線を向けたなら、次いで零れ落ちた謝罪の言葉に微かに瞠目し。静かに聞き届けると、ゆるゆる視線を自身の手元へと戻し貝殻拾いを再開したかと思えば「……ふ、」と小さく吹き出したのをきっかけに、くすくすと笑みが溢れだす口元に手の甲を添えながら「ふふ、なあんだ、そんなこと気にしてたんですか。全然いいです、大丈夫です」とあっさり聴許して。言葉を続けながら手中の貝殻からより綺麗なものを選別し、一つ二つではない量の貝殻を彼の手のひらへと移していけば、お互い半量ずつ程になったところで手元から視線を上げ再び瞳を合わせると、ふわり柔和な笑みを浮かべて )
真剣な気持ちを聞いてくれて、わかってくれたんだもん…いらない言葉じゃなかったはずです。──…いらないものなんてなかったです、貝殻も。だからこれは、傑さんに持ってて欲しいからあげるやつです。…今日の思い出、大事にしてくださいね。
( 重苦しい沈黙で仮借を強要することのないよう努めてフラットに続けた内情も、あの時のことを傷付けられただけの記憶として処理していない相手には不要だったようで。鈴を転がすように笑った可憐な見目とは裏腹に、紡ぎ出される言葉は自身より遥かに達観していて、細められた二つの瞳には逞しさすら感じられ。青白い光に照らされた大人と子どもを行き来する高校三年生の面差しを不思議な心地で捉えると、ふっと睫毛を伏せ、手のひらに乗せられた貝殻達へと視線を移す。別に使い道も元々持ち帰る予定もなかったけれど、彼女の〝持ってて欲しい〟という思いから渡されたそれらは、街明かりのない場所で星が見えやすいように、何もない砂浜で姿を見つけやすいように、成長して己を縛るものが増える中でいつしか見失うようになってしまった無垢に輝く何かを掬って集めたように思われて。途端にとても特別なものを受け取った気になれば、願いに対して静かに肯くと共に手中の物を包むように握り。ケーキを飾ったお菓子達は、きっとその日のうちに瓶に詰められて部屋に飾られることとなるだろう )
──…ん。そう、します。
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(/ これにて逆巻側は〆とさせていただこうと思います。お返事は任意で◎ 仕事中ですのでひとまずお返事のみ置かせていただいて、感想はまた後ほど…!※蹴り可 )
…──星も月も、すごく綺麗な夜ですね。
( 手のひらの中へと優しく包まれていく貝殻たちを、きっと彼は大事にしてくれるだろう。にっこりと双眸を三日月の形に細め、自身もまたそっと包み込むように貝殻たちを握っては、背後から短冊を書いてきたメンバーたちと牧さんの『そろそろ帰るわよー』と呼ぶ声がする。「はあい」と膝を伸ばし立ち上がって見た景色はとても綺麗で、星と月が反射し揺らめく波間にほうっと見惚れひとりごちるように呟いては、「帰りましょ、傑さん」と穏やかな笑み浮かべながら彼に手を伸ばして。──帰りの車内では日中の疲れか、5人仲良くすやすやと寝息を立てた。そのぶん夜は少し眠れなくて、自室のテーブルの上に綺麗に洗った貝殻たちを並べた隣には以前彼から貰ったバスドロップ…を使い切った後のキャニスター。なんだか捨てられずお菓子入れにしていたそれの中へ、一つ一つ大切な思い出を入れていこうか )
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( / お仕事お疲れ様です。こちらも〆とさせていただきました、海撮影イベもありがとうございました*
背後様の綴る描写は毎度惚れ惚れして、〆ロルなのにもっと読みたくなってしまいました…素敵な〆ロルありがとうございます。以下あまりにも長い感想ですがさらっとお目通しだけで大丈夫ですので…!
素案の時点ではさらっときゃっきゃ楽しむだけの予定でしたが、気が付けばやりたいこと盛り沢山で、結局いつものように大ボリュームになってるの改めておもしろいです() メンバー情報解禁の甲斐あって、彩りも増したイベントになりました。私はグループ内ならねねぽんが二推しかもしれません、可愛いのと扱いやすいのとで…()
スイカをあーんしてもらえる思わぬご褒美だったり、水着に関するやり取りもどちらのパターンも、いいぞもっとやれ!とによによさせていただいたり、「いいよ、べつに見ても」の台詞には、来るとわかっていてもやっぱりきゅんとしちゃいました…ありがとうございます…!よそ見をして集中砲火をくらうねねぽんも可愛くてくすっとしたのですが、相合傘警察も好きでふふっと笑わせていただきました。砂のケーキ、まさかの3段という本格さにそりゃ驚いて声もれちゃうよね、さや姉…と親心も抱きつつ、5人に囲まれて黙々とケーキのデコレーションをする様子も、光がないと陰ができない構図そのものでおもしろ楽しかったです。ケーキ入刀も本当にごちそうさまでした…(拝み)
メンバーたちが着替え中、気ままに猫一匹が海と戯れる様子もご褒美タイムでした。ヤドカリと密かに遭遇しているのもかわいい…。きっと1分も満たないだろう線香花火の勝負に楽しさを感じてくれる逆巻さんも尊くて、幼い頃の夢を知れて大ボリュームなイベントだったのですが、ここで遊園地での謝罪がくるなんて…!背後は心の中で、いいんだよーってエアよしよししていました(?) 最後の最後まで素敵な展開をありがとうございました……ひな季的にはもう今年の夏に思い残すことはないでしょうが、たくさん楽しんだので心霊ロケ本番頑張ってほしいですね…() )
(/ こちらこそ素敵な〆ロルをありがとうございます。貝殻だったりバスドロップのキャニスターだったり、何でも一つ一つ思い出として大事にしてくれるひな季ちゃんが本当にひな季ちゃんしてて…!そして皆はどんなお願い事したんだろう…。最後の方はだいぶ個人的な感覚に寄ってしまったので大丈夫かな…とひやひやしておりましたが、お褒めいただいてによによになりました*
七夕のご提案をいただいたところ辺りからあれもこれもと大ボリュームになりましたね…。髪ぴょこぴょこさせながらの呼び出し(かわいい)から始まり、水着姿とタンクトップ姿に対するやりとり、相合傘、ハプニングキス待ち、ケーキ入刀、花火、短冊…とたくさん夢を叶えていただいて、あんなにふわふわだった素案がここまで充実するものかと、改めて背後様とだったら何でもできるような気持ちになった回でした。ねねぽんはメンバーの中でも特に今回活躍してくれて、私も愛着が湧くとともにMVPをあげたい気分です…!
スイカ食べてる最中にわたしが切ったんだよってにこにこ話し掛けてくるの愛おし過ぎたし、胸のサイズ気にして逆巻もきっと大きい方が…って考えてるのも密かにきゅんでした。図星で砂浜に星描きだしたのは思わず笑っちゃいましたし、じっとしてた反動で散歩前のわんこみたいにはしゃいじゃうひな季ちゃんも愛らしさの塊で…、美味しそうな貝殻探しのプロなところもさすがです◎
一方でずっと逆巻を気にかけて遊びに誘いに来てくれたり、適度に話し相手になってくれたり、お願い事は思いやりに溢れていたりとナチュラルいい子の部分もたくさん窺えて心が温かくなりました…が、そんな子を賞品で貰ってしまって良かったのでしょうか…?()
最後のシーンも突発にもかかわらず、上手く対応してくださってありがとうございました。背後様のエアよしよしもひな季ちゃんを通じてしっかり感じておりました…* 開始前の意気込み通り夏のイベントは大方楽しみ尽くしましたが、そうですね次はホラーロケ本番ですね…!今回イベが光の夏風物詩だとすると次回は闇の夏風物詩(?)なのでこちらも楽しみで堪りません。以前に詰めたところ以外でのご相談がなければ、このまま始めてしまっても大丈夫でしょうか…?気付けばまた長文ですが、適宜蹴り・割愛可です! )
( / 背後様のロルで〆た方が綺麗かも…と思いつつ、キャニスターの部分は入れたかったのでそう仰っていただけて安心しました…!みんなのお願いごと、何でしょうね…おとぎちゃんはお赤飯食べられなかったので、「お赤飯食べたい」とかかもしれないですね()
私もそのスイカのアピールや、それに対しての「よく割れてるし切れてる」の返し好きですし、星の図を描くところがお気に入りなので挙げていただいて嬉しいです*
勝負に負けたのでぜひ、いえ勝っていてもひな季は逆巻さんのものですのでどうぞご随意に…!撮影後日も暫くは、何かしら自分を使って欲しそうに期待の眼差しを向けていたら可愛いなあと思いました。「ちょっとこのダッカール持ってて」程度に使う日が続き、ロケ本番でもその場面をプロデューサーが見掛けて指示役にとなれば綺麗に繋がる気がします…!
いつもながらたくさんの愛がこもった感想をありがとうございます…!にこにこほっこりで読ませていただきました*
闇の夏風物詩始めるの賛成です。こちらから始めた方がご都合がよろしければ準備しますし、その前に展開などのまとめをご所望でしたらご遠慮なくお伝えくださいね。
こちらもお好きに蹴り可です◎ )
( 速度を落として徐行運転に切り替えたロケバスが、差し込む陽射しにオレンジの混じるなか、とある中学校の門を潜る。休日の遅い時間ということもあり周辺に生徒の姿はなく、窓の外に見えるのは出迎えの教職員数名ばかりで。ホラーの極度に苦手な高校生アイドルのためにセッティングされた今回のロケテーマは〝学校の七不思議ツアー〟。定点カメラのセッティング等のため日の落ちる前に現地入りした構内は何の変哲もない外観だが、夜になると不可解な怪奇現象が起きるとか、起きないとか。この日のために主役の少女とホラー耐性をつける特訓を重ねてきたけれど、七不思議なんて大抵は眉唾物だろうし、前回の心霊スポットロケに比べればスムーズに終わるのではないかという楽観は、カメラだけにしては多すぎる荷物が校舎へと運び込まれてゆくのに勘付いて仄かな警戒へと変じ。しかしそれについて考えている暇もなく、未だ集合時のままの演者を撮影用に仕立てることの方が優先事項で、衣装に着替えた彼女がカーテンの奥から姿を現したなら備え付けの簡易的な鏡台へと案内する。ここ最近、幼子のごとくやけに手伝いをしたがる様子に最初こそ欲しい物でもあるのかと困惑したものの、聞いてみれば律儀に線香花火で勝負した際の〝賞品〟の役割を全うしたいとのことで。そわそわと心情が表出しやすい相手に『動かないでね』と言いつけて、とりあえずの仕事として使い終えたブラシの後処理係を任せるのが近頃のルーティンとなっていたのだけれど、今日に限ってはもう一つ。『ロケの前日はしっかり食べてしっかり寝てきてください。水瀬さん俺のでしょ』とひなちゃん呼びに続いて獲得した専用キラーワードでの約束について、自ら達成状況を報告してくるこないに関わらず、成果の確認するためその顔をそっと覗き込んで )
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(/ おとぎちゃん、ひな季ちゃん以上の食いしん坊キャラで笑っちゃいました。いっばいお食べ…()
可愛らしい且つ綺麗な流れの案、すぐさま取り入れさせていただきつつ、始めさせていただきました!こちらこそいつも蹴るのが惜しい素敵なお言葉の数々とお気遣いをありがとうございます* それではまた長くならないうちに、ホラーロケ本番もよろしくお願いいたします…!※蹴り可 )
( 校章の柄入りのゴールドのダブルボタンが付いた、白地にダークネイビーの襟とスカートのセーラー服は両方襟や裾に白のラインが引かれていて可愛らしい。セーラーに身を包むのは中学以来で、懐古半分、新鮮み半分な心地でスカートと同色の紐リボンを胸元に結んでカーテンを開けると、ヘアメイク用の簡易なスペースへと案内される。これがただの撮影やロケなら良いけれど、今回は待ち望んでもいない心霊ロケ。いくら訓練を重ねたとはいえやはり実践形式、廃校ではないものの夜の学校となれば中々雰囲気たっぷりで気が引けてしまい、しっかり食べて、しっかり寝ても表情はどことなく元気を失い顔色は芳しくなく。そっと覗き込む彼の視線が憂鬱な視線と絡むと、眉尻垂らししょぼりとした表情で〝俺の水瀬さん〟へ与えられた指示はこなしたのだと、膝丈のスカートをぎゅうと握りながら訴えて。その手首には牧さんに与えられたお守りブレスレットが静かに光り、隣の座席に置かれたスクバにはトワハトくんのキーホルダーがぶら下がって )
あのね傑さん…こんなでもわたし言いつけを守って、昨日も今朝もちゃんと食べたし、ちゃんと寝たんですよ。
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( / 通学用のバッグの中もお菓子でいっぱいだと可愛いなあと思ってます、超低燃費体質ってなんか可愛くて好きです…が、おとぎちゃんはそんな子じゃない!とかあれば全然ご指摘いただいて大丈夫なので…!
「水瀬さん俺のでしょ」発言とても刺さりました…ひな季共々とろけました。これは暑さのせいだけじゃない…!初回含めありがとうございます* こちらこそホラーロケ本番もよろしくお願い致します! / 蹴り推奨◎ )
…ん、顔色は良くないけど、状態はほぼいつも通りすね。
( 点検するように目を皿にして顔全体を眺めた後、導き出した結果は彼女の主張を肯定するもので。元から食や睡眠には影響しないタイプなのか約束を守ろうとする意志がそうさせたのかはさておき、これなら中学校という舞台とセーラー服に合わせたナチュラル寄りのメイクに支障はないだろう。土台となる肌の血流を促すため、まず頭皮と首周りのマッサージを施してからブラシを手に取ると、数十分で若さを際立たせたヘルシーなメイクが完成し。もっとも暗中の撮影ではメイクの微細な変化など誰も気が付かないだろうが、そこは単なる自身のこだわり。髪もコンセプトと衣装に合わせてツインの緩い三つ編みにセットし、前髪と顔周りの毛を軽く巻いたなら、ついに主役の外見的な準備は整って。そして最後に既に二つのお守りを持参している少女へ三つ目の守護を授けるべく、予め外しておいた愛用のシルバーネックレスを机の上から拾い上げ、華奢な手のひらの上へと渡す。もし相手が着けてほしいと言うようなら「髪持ち上げてて」という指示と共にそれに応え、スタッフが改めての企画説明に来るまでの間、気を紛らわす程度に傍に並んで一緒にメイクブラシの清掃に勤しむだろうか。丁度己の背が壁となって詳しい状況は窺えないながら、ヘアメイクのアイドルに対する要望として一般的ではない内容とその従順な返事が、一部始終を聞いていたプロデューサーに目を付けられるとも知らずに )
…水瀬さん、次こっちの…チークブラシもお願いします。
チークブラシおっけーですっ。
( 浮かない顔色はマッサージやメイクのおかげで随分とマシになり、撮影開始早々に青ざめた少女の幽霊現る──なんてことにはならなさそうで、ほっと安堵すると共に彼の腕前に感心する。三つ目のお守りが手渡されたものの、自分で着けるより彼に着けてもらった方が効力だったりやる気だったりがパワーアップするような気がして、その旨を素直に伝えては指示通り三つ編みの毛先を持ち上げて早速彼に着けてもらって。夜の校舎が怖いことは変わりないけれど、三種の神器の如くお守りが揃えば幾分かやれそうな気がしてくる。ここ最近のルーティンのようにメイクブラシの清掃に掛かれば、撮影が怖くて不安、なんて弱音を漏らすよりかはこうしたやり取りの方がそわついた心は落ち着くもので、清掃を終えたチークブラシを彼へと引き渡しては。ちょうどスタッフが企画説明にやってきて、校内マップや携帯する自撮り用カメラを広げつつそれぞれ説明を行う途中で『このインカムでスタッフから指示を出すので──『あ、それ君に頼みたいんだけど。』』とすかさずプロデューサーが口を挟み、机上のインカムを手に取り〝君に〟とヘアメイク担当の彼の目の前へ差し出せば、きょとんと二人で見合わせるだろうか )
…えっ、傑さんが?
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( / お返事遅くなりすみません…!明日も仕事のため夜のみの返信になるかと思いますが、よろしくお願い致します。 / 蹴り推奨◎ )
──…え?
( 綺麗に粉の落ちたブラシを受け取って「どうも。手際良くなってきたすね」と相手の働きぶりを評価しては、折良く現れた本業のスタッフにバトンタッチするようにそれきり黙って一人の作業に戻る。撮影に何ら関わりのない己が堂々と横で聞くのも可笑しな話であるため、片付けに手を動かしつつ企画説明を盗み聞いていたのだけれど、最中に少女の口から自身の名が零れたのをきっかけにそろりと顔を上げ。その先にインカムを差し出すプロデューサーの姿を認めて漸く彼の言う〝君〟が誰のことなのかを悟ったのと、つい頓狂な声が洩れたのはほぼ同時。「ずっと聞いてたけど先生と生徒みたいだったじゃない、君達。適任だと思うんだけどなぁ」と癖なのだろう圧のある口調で推薦理由を述べられれば、迫り来る大役の気配に尻込みして「いや、あれは…」と傍の制服姿を見遣るも、まさか成り行きで貰い受けることになったなどとは言えるわけもなく。口ごもる中重ねられる「いや君、声もいいよ!」と分かりやすい神輿の担ぎ方に乗せられたりはしないものの、17歳の新人アイドルにプロデューサーに意見してくれというのも無理な相談。結局押し負けて呼び寄せられるまま離れた席に移動し、指示役の仕事内容と密かな企みを共有されたなら、多少の反発心を覚えて近くを通り過ぎざま演者の彼女に小声で呼び掛け、更衣用スペースに引き込むなり素早くカーテンを引いて )
…水瀬さん、ちょっと。
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(/ 背後様のことですし、お忙しいか何か事情があられるかだと思っておりましたのでお気になさらず◎ それから今回イベ確定ロルが多くてすみません…!看過できない場合はご遠慮なく仰ってくださいませ!※蹴り推奨 )
( そんな無茶振りを彼が快く思うわけがないけれど、もしも彼が承諾してくれたなら見知らぬスタッフに誘導されるよりかは心強い。とはいえ自身の都合で彼を巻き込むのも迷惑だろう──と思い憚るものの、立場的に申し出にくく。やがて、より上の立場からの重圧に負けた彼はなぜか別場所へ連れられて、自身は企画説明の続きを受ける。七不思議のはずだけれど六不思議で止められるあたり、全部知ってしまうと何か災いが起こるのではないかと、全面的に七不思議の信憑性が高まり不安に駆られ眉尻を垂らして。ずーん…と気は重くなりロケ本番が近付くと席を立ち、すうはあと気休めの深呼吸をするなか彼に呼び掛けられ素直に後をついていけば──これはどういう状況だろうか。カーテンを閉められた、さして広くもない更衣用スペースの中。どきどきばくばくと、緊張からときめきの鼓動へと転じた胸を押さえながら、チークとはまた違う色味を頬にじんわり浮かべつつ、淡く期待した表情で彼を見上げて )
きゅ…っ急にどうしたんですか、傑さん…!わ、わたしと二人きりになりたかったとか…!?
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( / 寝落ちしちゃったのと仕事で返す時間が取れなかっただけです、すみません…!確定ロルにつきましてはどうかお気になさらないでください。こちらの描写こそなんだか冗長的なような気がしておりまして、もし進めづらければご指摘くださいませ…!特に問題ないようでしたら蹴り推奨です◎ )
…いや、違──…うこともない、のか…?
( 何の説明もなく連れてきたせいで、閉じ切られた空間の中、少女と向かい合う頃には期待を孕んだ眼差しが此方を見つめていて。人差し指を唇の前に立てて声量を抑えるよう求めつつ、彼女の想像する甘い展開を否定しかけるも、センテンスの意味そのものを切り取ればあながち間違いとも言えずに言葉尻は徐々に頼りない疑問形へ。しかしすぐさま「…とにかく、水瀬さんだけに伝えておきたいことがあって」と切り替えて学校中に散りばめられているという〝番組特製サプライズ〟の件を共有すると、感触を確かめるようにちらりと顔色を窺い。曲がり角の先に設置された謎の仏像やら、床や天井に貼られたホラー画像やら、教室の隅に佇む等身大人形やら、七不思議ツアーには明らかに蛇足である人為的な仕掛け達は演者の恐怖心を煽るべくあのプロデューサーの指示で作られたものらしく、自身はそこに相手を誘導する役目を負っていて。一視聴者としても主役のホラー耐性をよく知る身としても悪手としか思えぬそれに、本人が前向きな姿勢を見せたならそのまま更衣用スペースを出るまでだが、そうでなければ少しでも精神的負担を減らすべく対策の話へと移ろうか )
…そういうわけなんで、仕掛け対策の合図を決めておこうかと思って。インカムで──…そうだな、最初に〝ひなちゃん〟って呼び掛けてから指示出すんで、それに従う時は注意してください。
ファンサ…っ!
( しぃ、と唇に人差し指をあてる仕草はさながらアイドルがファンにするそれ。間近で受けては当然心をぎゅっと鷲掴みにされ気持ちが昂らずにはいられないけれど、律儀に口元を覆うように両手を添えながら精一杯の小声に抑える。二人きりになりたかったことをはっきり否定しない彼にどきどきと心臓は期待に高まるものの、番組特製サプライズが待っていることを明かされてはぴかぴかとした表情は見るからに曇り青ざめていき、声量の抑制を意識せずとも「そんなぁ…」と小さく弱々しげな声になり。そこへ対策案が立てられると、水を得た魚の如く瞳に光を取り戻して。内訳としては手助けの喜び半分、〝ひなちゃん〟呼びをしてもらえる喜び半分。仕掛けと分かっていてもきっと多少なり驚いてしまうだろうから、番組への配慮には及ばないだろう。顔の下で両手の指を組み合わせ、けして大袈裟な表現ではなく言葉通り命の恩人として彼を崇めたなら、『あれ、水瀬さん?水瀬さーん。…お手洗いかなあ』収録予定の時間が迫るなか姿の見えない演者を探すスタッフの声がカーテンの向こうから聞こえるだろうか )
い、いいんですか…!すっごく助かります、命の恩人です…!
…ほんと、指示出し役が俺に変わって良かったすね。
( 興奮気味に上気した顔は、番組の仕掛けを知ってみるみる生気を失ってゆき、対抗策を得て仄かに希望を取り戻す。特訓に付き合った経験から相手の持ち上げ方が決して大袈裟ではないことを理解していれば、最初は気の進まなかった大役も思わぬ幸運だったと認識を改めて。布一枚を隔てた向こう側から聞こえた声にロケの開始時刻が迫っていることを察しては、ちらりとそちらへ視線を向けた後、予行練習とばかりに早速普段と異なる呼び方で前方に呼び掛け。そして彼女が決め事通りに周囲を警戒しつつ外に出る素振りを見せた折には、その横顔に純粋な応援の言葉をおくるだろうか。いつもなら撮影中は全く気にされない己も今日に限っては捜されるはずだが、一緒に出ては何かしらの方面で怪しまれることから、暫くこの場に留まる心算で )
それじゃあ── 〝ひなちゃん、カーテンを開けて収録に向かってください〟。…特訓の成果、期待してます。頑張って。
──…頑張りますっ!
( 呼び掛けにはっとカーテンの外に視線を遣った表情は、早速のひなちゃん呼びでつい抑えきれない嬉しいオーラを周りにふわふわと煌めかせて。緩みそうになる頬をきゅっと唇引き結んで堪えては、ぐっと両手に拳を握りながらきりりと気を引き締めた表情を浮かべると、カーテンを開けて一人先に撮影現場へと向かい。「こんばんはっ!」の挨拶をきっかけに始まる、校舎の生徒玄関入り口でのオープニング収録。セーラー服をお披露目するように、くるりとスカートの裾を翻しつつグループ名と一緒に定番の煌めく自己紹介を終えた後には、今回の企画説明を気の乗らない様子が窺える素直な言葉と共に締め括ると、撮影スタッフに目線カメラの装着をしてもらっては手持ちのライト付きカメラを手に、腰が引けながらも校舎の中へと恐る恐る侵入していく。スクバから取り出した紙に記された七不思議の噂を確かめていくわけだけれど…──
~~七不思議のうわさ~~
壱、トイレの花子さん(※)
弐、表情が変わるベートーベンの肖像画(※)
参、動く人体模型(※)
肆、異世界に繋がる踊り場の大鏡
伍、無人なのに校内放送が流れる
陸、誰もいない体育館でボールが跳ねる音
漆、■■■■■■(塗り潰されている…)
(※)…描写あり
「えっ、7番目のこれなんですか……」壱から早速恐怖しかなく、とりあえずは個人的に恐怖度と現実味の少ない踊り場の大鏡から場所を攻めるべく階段を探すだろうか。仕掛けの合図も何もなく無事辿り着くようなら、踊り場に辿り着いた後は「やっぱり何も起きない!」とひとしおの安堵感と小さな勇気を胸に次なる場所を目指し、地図のないなか廊下を彷徨いだすはずで )
七色の光を閉じ込めた煌めきのひとしずく!白色担当、水瀬ひなです。今回は7にちなんで、噂の絶えないとある学校の七不思議を調査することになってしまいました……。…──では、早速いってみたいと思います…。
( プロデューサーに呼ばれて確認用モニターの前に腰を下ろすと、その中ではアイドルの顔に切り替わった少女がオープニング映像を撮っているところで。可愛い、とまず何より先に着目したのはヘアメイク目線のカメラ映え。それから及び腰ながらも進み出した果敢な姿に、自身の担う二重の使命を再認識しつつその行き先を見守っては、最初に四番目の噂に挑むつもりらしい彼女は入り口近くの階段を上り始め。西側教室棟の入り口側、普段は立ち入り禁止になっている3階と4階を繋ぐ階段の踊り場にその大鏡はあり、他の学校なら旧校舎と呼ばれてもおかしくないほど歴史ある4階建ての校舎の一角で、誰にも使用されることなく静かに佇んでいるという。安全面を考慮してさすがに階段には〝番組特製サプライズ〟は設置されていないようだけれど、大鏡に至る少し手前、3階のコーナー部分には小型スピーカーが取り付けられていて。手動のため行きは沈黙していたそれが、無事に七不思議を一つ検証して僅かに調子付いた演者を脅かすべく活用される気配を察知すれば、小さな達成に胸を撫で下ろす暇もなくインカムに声を入れ。その指示通りに上履きを履いた爪先が下のフロアに着いたなら、すぐ傍のスピーカーからバラエティでよく聞くような大勢の笑い声の音源が流れるはずで )
…──ひなちゃん、階段を3階まで下りてください。
とりあえず一個目クリア…!さすがのわたしでも異世界なんて信じないですよ、だって鏡一枚しかなかったもん…。
( あれが合わせ鏡だったなら映画で観たように本当に異世界に繋がりそうで、怖くて鏡の前になんて立てなかっただろう。特訓の成果か少し誇らしげに無事七不思議のうち一つをクリアしては、〝肆、異世界に繋がる踊り場の大鏡〟のテロップに済マークがペタリと押印されるはずで。さてこのまま4階に進んだ方がいいのか──気が重いながらふと暗闇に続く上への階段を見上げた時、インカムに早速指示が入る。古びた夜の校舎に一人、恐怖と戦う心に訪れたほんの少しの安らぎと、一緒に戦っているかのような頼もしさについインカムへ返事しそうになり「は、──…っくしゅん!んん、ちょっと鼻むずむずしちゃった…一回下りようかなあ」くしゃみのふりで上手く誤魔化せているといいけれど。気を引き締めて階段を下りていき3階の床に爪先を着けた瞬間、見計らったかのようにワッと笑い声が夜の校舎に響き渡り「ひゃわ…っ」と小さく肩を揺らし。どきどきと多少心臓の鼓動が早まったものの、身構えていたから驚きも恐怖心も最小限に抑えられた気がする。とはいえ番組制作者がちょっと恨めしい。そこではっと思い出すのは五番目の噂のこと。機械を通したような音声だったし、ロケを早く終わらせたい気持ちが強いこともあり、五番目ということに仕立て上げる魂胆でこじつけては早くも二つをクリアしたていで次に進み始めようか )
……えっ、今のもしかして伍のやつ…?どうやら噂は本当だったみたいです…、よし、五番目も調査完了っ。
( スタッフ達は悲鳴が上がったことにしたり顔を、己はそれが最小限に留められたことにひと安心していれば、天然なのか故意なのか番組の用意した仕掛けを七不思議の一つとして処理してしまおうとする少女に、今度は此方側が驚かされてロケバス内ではどよめきが起こり。しかしさすがプロデューサーは泰然自若の態度で、訂正すべきかと指示を求められるも「まーどうせ七不思議なんて起こりっこないんだしいいんじゃない?もし起こったらそっちが本物でした~ってことで!」と平然と言ってのけ。「しかしどう聞いても校内放送じゃないけどねぇ。いやぁ、そういうのも含めてウケるでしょ」独り言にしては大きすぎる声量であっけらかんと言い放った後、わっはっはとバラエティ用音源に負けず劣らずの盛大な笑い声を上げる彼に早くも席を移動したい思いに駆られつつ、インカムをオンにしては次の指示を。教室棟での噂は残り一つであるということと、ちょうど現在地が3階であることからそのまま一番目の〝トイレの花子さん〟の検証へと向かうよう求め、ついでに埃のせいか気温のせいかくしゃみをした彼女へ独断の伝言を挟むと、道中の窓ガラスに左右大量に貼られた蛍光塗料の手形への遠回しな警告も忘れずに )
…──そのまま3階の女子トイレを探してください。それから体調が悪くなったりしたらすぐに連絡を。…あ、ひなちゃん、その廊下、絶対に目を瞑らずに進んでください。
えぇ~…──っと、とりあえずこの階を進んでみようかな…?
( 再びインカムから指示が聞こえてくると、非常に気乗りしない様子の悲嘆を小さく漏らし。昔からずうっと語り継がれているトイレの三番目にいるという花子さんの噂は、漏れなく幼い頃の自分にも植え付けられており絶対三番目を利用することはなかったし、噂を忘れて高校生になった今でも無意識に三番目は避けていたことに気付かされる。すぐにでも体調不良を訴えてリタイアしたい気持ちはあれど、ここまで来たし特訓をした日々を思えば、巻き込んでしまった彼への顔が立たない。体調を案じた言葉に何もない暗闇が広がる空間で小さくこくりと頷き返しては、了承の意が目線カメラから伝わるはずで。またもや仕掛けの合図がインカムから聞こえてくると、〝絶対目を瞑らずに〟とのことだからきっと視覚的な何かがあるのだろうと身構えつつ、この階を彷徨ってみる旨を実況し。暗闇の広がる3階の廊下を曲がり角から顔だけ薄目でそっと覗き込んでみれば──おびただしい数の蛍光塗料の手形。仕掛けと知らなければ酷く怯えただろうけれど、ホラー映画で見たよりもなんだかよっぽどチープに感じられては途端に余裕が持てて。双眸をぱちくりと瞬かせた後には、番組側のヤラセと視聴者に分からないよう配慮し、学校側の行事の一部であるように誤魔化しつつ手形に挟まれた廊下を、周りをじっくり見ないように前方へと視線を定めゆっくりと進んでいけば、やがて女子トイレの札が前方上部に見えてくるとそこにライトを向けて )
わっ…すごい、窓にいっぱい手形がついてます!なんだろう、文化祭でお化け屋敷をやる教室でもあるのかな…。あ、でもあんまり見てて窓の外になんか映ったらどうしよ、それは無理…。──…あ、ここ女子トイレ…?
( 以前の心霊スポットロケの怯えようからリタイアせずに撮影を終えられれば上々だと思っていた中、演者のアイドルは番組の仕掛けへのフォローまでこなす成長ぶりを見せ、思わず感嘆の息が洩れる。渾身のホラー演出が不発に終わって「うーん、手応えないなぁ」と座席に背を沈めながらぼやくプロデューサーを尻目に、さながらホームビデオでも見るような気持ちでモニターに向き直っては、目的地に到着したらしい声と同時にそこへライトが当てられて。七不思議の中で最も知名度があると言っても過言ではない〝トイレの花子さん〟。しかし舞台が女子トイレであることから己にはあまり身近な恐怖には感じられず、せいぜい映画やその他の題材で目にする程度のもの。それよりも男子禁制のその場所へ画面越しに足を踏み入れることの方が誰も居ないと分かっていても仄かな緊張を誘い、僅かに身構える傍ら、もし噂の少女霊が実在したとしたら訴えられはしないだろうかと無用な心配を胸に抱き )
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