匿名さん 2023-03-21 19:31:37 |
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何言ってんの。…ほら、信号青になってる。
( 自分に好意を伝え此方に笑み向ける彼を呆れたように溜息混じりにいつもの様に軽くあしらい、目の前の信号に視線向けた後再びパソコンを操作し始め。ひと段落ついた所でパソコンを閉じると、車窓から見える景色をぼんやりと眺め )
わかってます、大丈夫です。
( あしらわれるのはいつものことで、そのため特にショックを受けるでもなく怒るでもなく世間話のようにさらりと流し。青になると再び視線を前に向けて運転に集中して。やがて辿り着いた目的地。これから商談本番、やや緊張した面持ちで )
じゃあ、行きますか。
絶対決めるからね。
( 目的地に到着するとゆっくり深呼吸をしてシートベルトを外しひと言告げると車の外へ。身嗜みを軽く整えると、一際目立つ高層ビルに臆することなくS社のエントランスを通り抜け。受付にアポを取っている旨を伝えると応接室へと案内され )
少しだけ緊張します。やはり、慣れません。
( 応接室で、商談相手が来るのを待つ。資料も会食の場も用意して、でき得る限りのことはし尽くした。それでも不安、というよりも単なる緊張でそわそわと落ち着きない様子で。相手が現れるなり冷静を装い、恭しく一礼し。これから勝負のときであり、気合いを入れると彼女へと目配せをして )
…此方が今回ご用意させて頂いた資料になります。御社にとっても決して悪くない条件かと思われますが。
( 隣に座る彼と目が合えば、それに応えるように小さく頷き相手側に用意した資料を机上に差し出し。提示した資料を手に取り時折眉間に眉を寄せ、隅々までチェックする様子の商談相手に対し、なんとか勝ち取る為ここぞとばかりに強い口調で堂々と伝え )
その点に関しましては──
( 資料の一部に対し、挙げられた疑問点。想定内のその質問に対し、淀みなく説明をして。相手はどう受け取るだろう、ちゃんと伝わっているのだろうか。自身の発言で問題ないだろうか。補足があれば彼女がしてくれるはずだと甘えつつ、相手の様子を窺って )
ご理解頂けたようで何よりです。先程も間宮が説明した通り──本当ですか…!有難う御座います!今後ともよろしくお願い致します。
( 秘書である彼の対応は此方が補足するまでも無く完璧なもので。商談相手も完璧なまでの説明に、驚きの表情浮かべながらも何とか納得してくれたようで商談は成立し。その場で立ち上がると深々とお辞儀をしほっとした表情浮かべ、会食の場を設けている旨を伝え秘書の彼に目配せし )
──間宮、お車までご案内して。
はい。お荷物、お持ちします。
( なんとか上手くいった。安心感と達成感に満足して笑み浮かべ。彼女に倣ってお辞儀をしては、視線を受けてこくりと頷いて。相手へと歩み寄ると鞄を受け取り、駐車場まで案内し。一息つくと、彼女へと声を掛け )
上手くいったのは社長のおかげです。
今回は間宮のおかげよ。ありがとう。
( 相手が車に乗り込むのを見届けていれば、隣に立つ彼に気付きにこりと笑顔向け。その後商談相手に声を掛けられると後に続くようにその隣に座り、今後の方針や雑談等たまに笑顔を交えながら話し始め )
いえ、此方こそ。
( 車に乗り込むと、予約した店へと向かって走らせ。電話のときとは違って和やかに交わされる会話を聞きながら、あくまでも運転に集中して自ら参加はせず。目的地へと辿り着くと、先に降りて後部座席の扉を開け、相手の荷物を預かり )
此処の店の煮魚は美味しいと評判なんです。きっと気に入って頂けるかと。
ここ予約取るの大変だったんじゃない?
( 以前テレビやSNSでも話題になっていたお店だと気付けば、秘書の彼にこそっと耳打ちしながら訊ね。相手は煮魚が食せると聞きご満悦の様子で、出迎えに来た店員に促されると店内に入っていき。店内は全室個室でゆっくりと食事ができるようになっており、部屋に通されると女将らしき女性が挨拶をしに来て相手にお酌をし始め )
実は、親が料理長と仲良くて。だから、贔屓にして貰っているんです……これ、内緒ですよ。
( 有名になる以前から見知った店であり、行きつけの場所。他よりも優遇されている自覚はあるため、こそこそと静かに答え。相手と女将が談笑しているのを横目に、メニューを開くとその中のひとつを指差し。よくテレビでおすすめされている煮魚ではないものの、隠れた人気メニューで )
この季節の刺身盛り合わせ、時期によって変わるんでおすすめです。
へえ…、そうだったの?分かったわ、心の中に閉まっておくから。
( 意外な繋がりに目を丸くし驚いた表情浮かべながらも、内緒と言われれば柔らかな口調で伝え。メニューからおすすめの料理を教えてもらうと興味津々な様子で頷き )
…じゃあ、このお刺身の盛り合わせ頼んでみようかな。他におすすめな物はある?
はい。まあ、藤城社長の望みならまた予約しますけど。
( 口外禁止と言いつつも、彼女は特別だとへらりと緩い笑み浮かべて。答えるようにメニューを捲ると、再び指を指してみせ。自身の中でいつも頼むものは決まっているが、おすすめを絞ることは難しいようでゆるりと首傾げ )
あとはこの天麩羅ですかね。中でもかき揚げが絶品なんです。今は単品で挙げましたけど、色々セットになってるんで御膳は外れないです。
それならまた会食で必要な時に声かけるから。
( 当然のように特別扱いしてくる秘書に対し、特に気にすること無くいつも通りに接し。指差したメニューに目を通せば、写真からでも伝わってくる程に美味しそうな天麩羅に興味を示し )
じゃあ…このお刺身の盛り合わせと御膳にしようかな。間宮も食べるでしょ?好きな物頼んだら?
はい、いつでも声掛けてくださいね。
( 本気でデートしようなどと考えていたわけでもないようで、特に気にすることなく平然と頷いて。未だ女将と楽しそうに呑んでいる相手へと視線向け、大丈夫だろうと判断しては先に注文を済ませ。やがて相手は相手で煮魚定食を頼んだらしく、それぞれの元に料理が届き )
俺はとろろ御膳で。
有難う。このお刺身の盛り合わせ美味しそう…。頂きます。
( にこりと柔らかな笑み浮かべ小さく頷き。目の前に運ばれてきた料理に、僅かながら嬉しげに口許緩ませぽつり呟くと両手合わせ。商談相手も気に入ったようで和やかな雰囲気になれば、安心したように料理を食べ進めていき )
ね、美味しいでしょう。ここにして正解でした。
( 皆が皆、楽しげに料理を食べる時間は平和以外の何物でもなく。名残惜しく思うのもいつものことで、食べ終わると会計を済ませて再び車へと向かい。早くまた二人になりたい、なんて邪な考えは一切口に出していないが、少しばかりそわついた様子で彼女へこそこそと話し掛け )
今日はもう、彼らを送ったら解散でも構わないと思うんですが……どこか行きます?
どこかって言われても…。今日は間宮も疲れてる筈だし、帰ってゆっくりしたらどう?
( 商談相手と握手を交わし暫し談笑し。その後車に乗り込むのを見届けていれば、心做しかそわそわしている様子の秘書に問い掛けられると冷静に対応し )
あ、そうだ。最近社員達と飲む機会なかったから近々お店予約しておいて?たまには交流会もやらないと。
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