紫のゆかり　/　〆　

菖蒲さん〝にも〟というか。…通じるのは菖蒲さんぐらいな気もします(　回りくどく常に手探り状態な言葉選びに陥りがちである自らを振り返り　/　瞳を閉じてぽつりぽつり　)王子様なのにぎらぎらしてる……。…王子様が二人も三人もいたら大混乱ですよ (　うぐ　/　分かっているくせに、とジト目と共に暗に示して　/　大概不器用　)心の全部を開け渡さなくていい──色恋に沈めなくて良いって言いたかったんです、それじゃあきっと息が詰まるだろうから。(　両頬に手を添えて、まじないでも掛けるような口振りで滔々と　/　──語るのも束の間、笑みをひとつ浮かべて眉間の皺をそっと撫で、懊悩する表情を瞳に映し　)そう思っていたのに、今、少しだけ気持ちが揺らぎました。…困ったものですね。

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…うん。──菖蒲さんが、余りにも楽しそうに言うので、ちょっと意地悪しようと思って。(　こくり、と認めた後にあっさりと白状　/　彼の手を自らの手でそっと絡め取れば「　何だかんだで菖蒲さんだって、〝出来ない〟ですもんね？　」語尾は上がり意趣返しとばかりにふ、と笑って　)