主 2023-03-12 23:09:40 |
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(相手の攻撃と共に敵の核が破壊される。瞬時身体が軽くなる感覚を感じ地面を蹴り上げては刀の刃先を真下に柄を両手で持ちそのまま相手の核へと一直線に突き刺す。)
『-まずはお前さんに一つの技を授けよう。お前さんの斬撃には“癖”がある。一撃で仕留めるよりも何度も斬撃を叩き込み、斬り殺すより破壊に近い攻撃の取り方をする。女子ともあろう者の技からは掛け離れているが故に名前くらいは優美な物にしてやりたいと思ってな。___ほら叫べ、』
『「菊華繚乱-キクカリョウラン-!!!!!!!!!!」』
(けたたましい悲鳴と少しでも力を抜けば弾き飛ばされてしまいそうなまでの抵抗力に息苦しささえ感じる。核が段階的に砕け、破片が花弁の様に舞う。ぴたりと悲鳴が止まり、仕留めたかとほんの一瞬力を抜いた其の刹那。)
『自惚れるなよ。神の力如きが何だ。…意思も愛も経験も努力も………貴様らの様な勇敢で信念を持ったその勇気さえ、…この世の全ては怨念には敵わない!!!!!』
(敵の背後から溢れ出る漆黒の闇がどろどろと自分を包み込む。相手が焦った様な表情でこちらに手を伸ばす。指先がほんの僅かに触れ相手の手を掴もうと必死に伸ばすも、______寸の所で自身の身体は闇に吸い込まれ行き場を無くした相手の手は虚しく空を掴んだ。)
(時空が歪む歪な音と共に、気付けばただただ深い闇の中に居た。刀を握り僅かに上擦った声で我が御神体の名を呼ぶも反応が無い。それもその筈。敵が作り出したこの空間に入れたのは“自分自身”のみだったから。)
『貴女も本当は気付いている筈ですよ。怨念に意志を委ねる事の心地良さを。』
(頭の中に直接響き渡る敵の声に辺りを見渡すもその姿は見えない。刀を構え意識を集中させる。)
『気付かない振りをするのは大変でしょう。』
「さっきから何を言ってんの、」
『おや、また分かり切った事を。………私が作り出したこの空間に貴女は引き寄せられた。ご主人は弾かれた。意味がお分かりでしょう?』
「………無駄口叩いてんじゃねぇよ。」
『“私の所為じゃない。”“私が悪いんじゃない。”“何で私だけこんな目に。”“本当は私だって。”“皆の所為で。”………これらは全て貴女の感情ですよ。』
(敵の言葉に目を見開く。闇に意識を集中して目を凝らせば、それはまるでインクが滲んでいるかの様な禍々しい大量の文字の羅列だった。)
『“私は沢山練習しているのに出来ない。”“日影は感覚で出来るのに私にはそれが出来ない。”“どうして。”“置いていかないで。”』
「なん、で、」
『お辛かったでしょうね。奥様の職場に禍憑鬼が現れた際、御子息の力の元ご主人が属性印結の術を使い一時的に奥様に属性を貸す事が出来た。属性印結を使える様になったのはここ数ヶ月の間の筈。…ならご主人様の職場に禍憑鬼が現れた際、何故貴女は印結の術を使わずわざわざ出向いたのか。』
「やめて、」
『印結の術は言わば相手の方角へ属性を飛ばす様な感覚。コントロール力と体幹が求められる。貴女本当はこの術、使えないのでしょう?』
(闇が一層深まる。頬を伝う水滴に触れるもその涙は真っ黒だった。何も言い返せない。震える手で刀を振るうも闇は晴れる事なく深みばかりが増していく。)
「-日影、どうしたら私も出来るかな。-」
「-…日影はどんどん技を習得していくね。ほんと、見事だよ。-」
『ああ、安心してください。私の肉体は貴女によって破壊されました。いやはや見事な技でした。でもね、同じ“種族”として、私からも貴女に一つ贈り物を、ここを出るのに、そして貴女がこれから“壊れないまま生きていく為に”必要な技です。さあ、』
『「危懼化繚乱-キクカリョウラン-」』
(再び時空が歪む音。辺りを見回せばどうやらここは狐緋人本社の最奥地だった。壁や床が破壊されている様は丸で廃墟の様だった。否、破壊されているのではない。自分が破壊したのだ。頬に残る真っ黒な涙はそのままゆらりと立ち上がっては外に出ようとして。)
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