主 2023-03-12 23:09:40 |
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名前:稲荷 燈(イナリ アカリ)/ 旧姓:安部 燈(アベノ アカリ)
性別:女
年齢:25歳
職業:飲食店パート(※普段時)/狐緋人
属性:水
御神体:蛇
武器:日本刀(妖刀)
容姿:黒のウルフカットに青のインナーカラー
戦闘時は制服である巫女装束を改造して着ている
黒のハーネス付きのフードを深く被り巫女服の袖はベルト
で固定している(戦闘時袖が邪魔になる為)
太腿に札を収納するポーチが固定されている
厚底の編み上げ黒ブーツ
狐の面を着けている
狐緋人状態だと属性に応じた文様が額に浮かび上がる
敵の生体反応に呼応する鈴を首に着けている
性格:頭の回転が早く常に論理的に物事を考えるタイプ(悪く
言えば理屈っぽい)
何事にも意外とビビりだが何故か敵相手にはビビらな
いで常に冷静
狐緋人状態時は好戦的
名前:稲荷 日影(イナリ ヒカゲ)
性別:男
年齢:23歳
職業:工場作業員(※普段時)/狐緋人
属性:土
御神体:龍
武器:ガントレット
容姿:少し茶色がかった天パに魔改造して袖を切ったチャックフード付きの上着、下は狐緋人専用陰
陽ノ装をゴツいベルトで締めている。
肩には技の反動を軽減するショルダーアーマーを着けている。
狐緋人状態だと属性に応じた文様が額に浮かび上がる。
禍憑鬼の生体反応に呼応する鈴を携帯している。
性格: 非常に頭が悪い。物忘れが多く常に嫁に叱られている。
狐緋人状態では非常に好戦的でバトルジャンキー。
(パートを終え保育園に通う息子のお迎えに行こうと車に乗った所、車内に置きっ放なしにしていたインカムのライトが点滅している事に気が付き慌てて装着する。今回の指令は夫である相手の勤務先の工場に出現した禍憑鬼の退治との事。相手は今日出勤している為自分は出動しなくても大丈夫そうかな、なんて軽く考えては相手に電話をかける。)
「お疲れ様。そっちに出たんだって?どう?何とかなりそう?」
(軽い口調で話してこそいるものの、わざわざ工場まで出向きたく無いと言うのが本音。インカムを装着したのは指令伝達の途中から。今回工場に出現した禍憑鬼の属性が火の属性だという事は聞き逃していて。)
「やばいなぁ」
(なんて思いつつもワクワクが止まらない自分がいる。仕事の作業中に指令来たから禍憑鬼なのは分かっていた。)
「なんでよりによって、、」
(苦笑いをした。自分の土属性とは相性の悪い火の禍憑鬼だ。こういう時あのアニメキャラはなんて言ってたっけ?なんて考えてるとまたインカムがなったから応答した。相手は『何とかなりそう?』だって(笑)来たくないんだなこれ。)
(そういえばあのアニメ相手も好きだったからこういう時あのキャラなんて言ったっけって聞いてみようと口を開いて。
(電話越しに聞こえる騒音とヘラヘラ笑っている相手の口調。釣られてふざけた口調で「覚悟は良いか?」なんて言ってやればお決まりの返事。相手の実力を知ってこそか、多少の余裕を持ちながら保育園の門を潜り。息子と手を繋ぎながら車内に戻ってくれば再びインカムの点滅が目に入る。)
『-燈、早急に工場に向かいなさい。禍憑鬼を退治するのに時間を要してはいけません。市民の安心安全が第一で、』
(インカムの向こうの声が話し終わる前に強制的に接続を切る。
きっと後でお怒りの連絡が来るだろう。)
「太陽、お父さんのお仕事先の近くのシェルターで5分だけ待てそう?」
『だいじょうぶ!ともだちいるから、あそんでまってる!』
(両親の仕事を知ってか知らずか呑気な返事。禍憑鬼の出現によって一般市民はシェルターに避難している為町には自分達を除いて一台の車も存在しない。相手の勤務先の地区のシェルターへ息子を預けては早急に工場施設内に入ると、工場付属の地下シェルター内のモニターを発見する。)
『-稲荷がまだ避難してないぞ!-』
(工場職員の焦っている様子の声。心の中で「問題ないって。」なんて思っては相手のいる第3工場へ向かおうとインカムの電源を入れ「案内お願いします。」と。眼前にサイバーグラスが出現し工場内の地図が映し出されては足早に相手の元へと向かい。)
(相手と通信中そんなことを考えてるのもおかしいなと思っていたが、やはりというような答えがきて)
「ははっ」
(少し落ち着いてきたみたいだ。相手との通信が切れてすぐに本部からの通信がきたみたいだ)
「なんの用?今まさに絶望的な状況なんだけど。自分だとバレた瞬間崖の淵に立ってる刑事ドラマの犯人みたいにね。」
(実際、ピンチなのは以前変わりない。すると『そんな冗談をほざけるなら大丈夫ですね。目標の依り代は有名なネット配信者。男性。少々過激な配信をしており、、」長い。説明が。俺はインカムを切った。)
「つまり有名になる度に過激度が増していきそれについてこれなくなった視聴者から炎上でもしたんだろ。焦り、怒り、恨み。なるほど、だから、火ね。」
(するとまたインカムが点滅したが静かに接続を解除した。どうせ上からのお怒りの通信だろ。事件は会議室で起きてるんじゃ、、まいいや。)
『リ゛ス、ナー、、リ゛ズ、、ナ、ンデ オ、デハマママチガッデナ゛イイイイイイイ゛』
(敵さんはご立腹のようで全身から噴き出している炎の火力が増している。)
「はぁ、相性は最悪。助けも来ない。状況的にはかなりヤバい。」
「だけど敢えて言わせてもらうよ《覚悟はいいか?俺はできてる》」
(よし。人生で一度は言いたいセリフを言えたぞ!俺は感激に浸りながら戦闘態勢をとった。サイバーグラスに映るこちらに向かってきている影には気付かず。)
(長い通路を走り抜けた所で目的である第3工場の入り口に辿り着き、呼吸を整えては重たい扉を開けるも内部は既に所々燃え広がっている様子。相手は何をやっているんだとインカムの接続を相手に繋げ「5分だよ。太陽と約束したから。早く終わらせて帰るよ。」と冷静に伝える。標的は相手の攻撃を読んでいるかの如く相手の攻撃に逆らう様に炎の柱を突き立ており、呆れた様なため息を一つ溢しては眼前に手を差し出しそのまますー、と横に伸ばす。手から伸びるように浮き出て来た刀を取り、沢山の札が貼られた鞘を拭いては投げ捨てるようにその辺に放り捨て。)
「最悪。本当に面倒臭い。」
(ぽつりと独り言を漏らしサイバーグラスで相手の位置を辿っては相手の周辺に水の柱を立て、相手が床に打ちつけた拳の衝撃に直接斬り付ける。轟音を立てて割れる地面は真っ直ぐ標的に向かっており、割れた地面の間から吹き出す水と濡れた瓦礫が標的に一直線に襲い掛かる。)
「もう一撃。」
(独り言とも思える自分の小さな声に、インカム越しに応答するかの如く相手が再び地面に拳を落とし、先程同様自分の攻撃を付け足しては辺りは漸く鎮火する。相手がガントレットに札を仕込み標的に発射するのを見届けてはインカムを司令室に繋ぎ「終わりました!」と一言。)
(標的の呪いが解け、元の人の姿に戻り狐憑人の本部救護班が工場にたどり着く頃、自分は地区のシェルターへと戻り息子を引き取る。)
「ごめんね。お待たせ。」
『だいじょうぶだよ。てれびみようとおもったらきょうはつかなかったの。』
(息子が言うテレビとはシェルター内に完備されているモニターの事。いつもはこれで自分達が戦っている様子が人々に中継されるのだが今日は自分も相手も制服に着替える事すら忘れていた為、素性が明るみになれる事を考慮した上で本部は中継しなかったのかと理解すれば、制服着用のルールを破ってしまった事を後で叱られるのだろうなと。)
『おとうさんもいっしょにかえる?』
「あー…そうだね。どうせ暫くお休みになるんだろうしお迎えに行こっか。」
『いく!』
(車に乗り込みエンジンを掛けては再び相手の工場へと向かう。入り口は工場で勤務する家族を迎えに来た人達で溢れ返っていた所。いくら頑丈シェルターが所々にあると言えど家族の職場に恐ろしい魔物が現れたら心配なのだろう。「いつもお世話になっております。稲荷の妻です。」と警備員に挨拶をしては相手が上司であろう人物と共に出て来たのが見え軽く手を上げ合図する。)
「お世話になっております。」
『こちらこそ。すみませんね、出てくるのが遅くなって。実は今日の避難の際に稲荷が逸れてしまいまして…。無事だったから良かったんですけどね。』
「…それは、…ご迷惑をおかけしてしまって、」
『いえいえ。本人曰くロッカールームに隠れてたそうです。』
(深々と頭を下げ、相手と共に車に乗れば息子が呑気な笑顔で『おかえり!』と一言。家路を辿り自宅へと戻ればいつもと変わらない日常を過ごし、時刻は子供も寝付いた23時。パソコンのモニターに映る白の狐面の本部の人とモニター越しに反省会を開いていた所。本部の人間の声は加工されており、性別すら分からない無機質で機械的な声がダイニングに響く。)
『-燈、日影。制服無着用と無線の遮断。良い加減にしなさい。』
「すみません。市民の安全の為に急いでしまって、」
『言い訳は無用です。戦っている外の様子を伝え市民の信頼を得るのは安心と安全に繋がる事です。』
(ぐうの音も出ない。しおらしく謝罪の言葉を言えばいつもより早めに説教が終わる。どうやら相手は一週間の休みの後、整備が整うまでは別工場での勤務になるとの事。内容をサイバーグラスにデータとして送って貰えば漸く反省会も終わる。)
「疲れた。」
(学生の頃運動部に入らなかった事を心底後悔する。長距離を走ったりするのは苦手なのだ。テレビを付ければ狐憑人の政府からの放送で埋め尽くされており、今日の出来事が語られていた。)
(______人々の負の感情を利用し、姿形感情を支配し化物と化した存在禍憑鬼-マガツキ-。禍憑鬼が現れるようになったのはほんの数年前の事だった。ごく普通の一般人だった自分と相手がこの力を手にしたのは些細な出来事。まだシェルターや避難方法が完全でなかったが故に逃げ遅れてしまい、禍憑鬼に標的にされそうになった息子を庇おうとした時の事だった。額に浮き上がった紋様と共に禍憑鬼の攻撃を跳ね返したのだ。それからの狐面を着けた狐憑人の本部の人間に誘われ狐憑-キビト-の一員として迎えられる事となった。…正直な理由を言えば給料に惹かれたのが一番の所。自分と相手は未だに本部の人間の事はまともに関わった事も無い上に、禍憑鬼を作り出し続けている元凶の詳細にも辿り着けていない。)
(少し火の禍憑鬼との戦いに遡る。)
「まじでヤバいな。」
(ダメだ。全然攻撃が通じない。攻撃しようにも火力が高すぎて近づけない。)
「どうすっかなぁ」
(つい心の声が漏れてしまう。だが。なかなか楽しいもんだな。なんて考えている。)
(せめて一瞬火が消えれば、、。そんなことを考えていると自分のサイバーグラスのマップ表示に猛スピードでこちらに向かってくる人物がいることに気付く。只ならぬ殺気を放って。)
「うわぁ来ちゃってるよ。最強が。」
(こりゃ悪態付かれるぞぉ。なんてのも束の間『ほんと面倒くさい』ほら。)
「面倒といえば、小学生の頃理科の実験中にその内消えるだろうとアルコールランプの火を蓋で消すのを面倒くさがって理科室燃やしちゃってさあ」
『モ゛エ゛ロオオオオオ』
「なぁ窒息法って知ってるか?炎ってのは可燃要素を一つでも無くしてやれば消えるんだよ」
「《土印》障壁!」
「燃え盛るお前の周りの酸素を一瞬遮断したよ。そう一瞬でいいんだ。」
(敵は火力が弱まり何が起きたのか理解しきれてないようだ。だけどそれでいい。一瞬気を反らしてくれれば。)
(殺気満々で突き立った水の柱に敵が捕まる。あと、、あー斬撃が飛んでくる。)
「合わせろってことだよね」
(俺は拳を地面に突き立て一瞬力んだ後「発頸!」すると地面が一直線に敵に向かって裂けていく)
(『もう一撃』って聞こえた。うん。インカムから。)
「よっしゃ任せろっ」
(俺は小さく返事をした。ガントレットに札を装着し敵に向かい飛ばす)
「印結び《捕縛印》」
(相手の動きが止まったとほぼ同時に相手が切り込んだ。核を斬った為依り代になった身体が露出した)
「やっと終わったぁ」
(本部には相手が報告しているようだ。これから息子を迎えにシェルターに向かってもらうとして工場にはなんて言い訳しようか考えていた)
(あの火災ではもうみんな避難してるか。そんなことを思いながら歩いていると『おい!稲荷!お前大丈夫か!?』と工場職員が駆け寄ってきた。タフガイだなぁ)
「お疲れ様です。はい。逃げ遅れてしまってロッカーに隠れてました。」
『そうか。まぁ無事ならよかった。これから奥さんが迎えに来るそうだ。とりあえず着替えてきなさい』
(有難い。もう歩きたくなかったし子供の顔も見れるしな)
(そんなこんなで帰宅後は狐緋人制服の未着用だの無線の無断遮断だのでこっぴどく怒られた。『まぁ給料いいからいいか』なんて相手のため息まじりの一言に苦笑いをした。)
「そだねーははっ」
「そういえば、禍憑鬼ってどうやって生まれるんだ?負の感情があったってそれをかなり増幅させなきゃあんなバケモン人間に憑いたりしなくね?てかなんでいつも俺か相手のとこに出現するんだ?」
(『、、確かにね。』なんて相槌がくる。単純な疑問だがそんなことどうでもいいくらい今日は疲れた。インカムが通信中で繋がっているのが本部なのも忘れて。)
「太陽も寝たし、俺たちももう寝ようか。」
(寝る準備をして、静かに寝室の扉を開けて。)
(翌日、本部の上部の人間達は自分と相手のデータを確認し小さな声で『それで良い。もっと人々の期待と信頼を集めろ。』と囁く。上部の人間達が装着している狐面は何とも禍々しい真っ黒な物で会議室と思われる其の場所はやけに薄暗く怪しい雰囲気を醸し出している。)
(さて、稲荷家の朝。相手は休みの為息子も保育園をお休みさせ休みを満喫する予定の様だった。自分はというと慌てて化粧をしながら仕事に向かう準備を進めていた所。相手が休みの際は大体職場まで送ってくれる為ゆっくり眠ろうと思っていた昨夜、案の定寝過ぎてしまい時刻は遅刻寸前。息子と相手と車に乗り込めば、どうやら自分を職場まで送り届けた後二人は公園にいく予定らしい。)
「今日は平和に過ごしたいね。…って言ってるのは毎日か。しかも私達がこれ言っちゃうと大体現れてくれるんだよね。」
(不満気に呟けば運転しながら呆れたように笑う相手の姿。町はいつもと何ら変わりない様子。禍憑鬼の存在は最早自然災害の様な感覚にまで定着してきている。)
(職場に到着し「ありがとう。終わったら連絡するね。」と言いエプロンをつけタイムカードを差し職場の皆に挨拶をする。)
『おはよ!昨日稲荷さんの旦那さん大丈夫だった?テレビ見てびっくりしたよ…。』
「あー全然大丈夫!最近大人しかったのにね。久し振りの出現だからびっくりしたよー。」
(何気無い日常会話をしながらオープン準備を済ませば少し時間に余裕があり、コーヒーを飲みながら楽しく会話をしていた所、窓の外を見ればやたら霧掛かっている。)
「今日、雨降るのかな。」
『うわ外すごいね。しかも湿気っぽい。髪うねっちゃうよー…。』
『でも今日晴れの予報だったよ?天気予報も当てになんないね。』
(雨が降る前は必ず片頭痛に襲われるのに頭の痛みは感じない。薬を飲んでいるからかな?なんて呑気に思っては携帯を取り相手に「-霧凄いね。雨降るのかな。公園は辞めた方が良いかもね。-」と連絡する。そうこうしている間にオープンの時間になり、closeの看板をopenにひっくり返しては持ち場であるキッチンへと戻る。霧が立ち込めているのは自分の職場の周りだけで相手と息子が今到着した公園は実に青天で。)
(今日は久しぶりの休みだ。相手は仕事。休みの日は大体相手を職場まで送っていく。)
(今日は太陽を連れて公園にでも行こうかなんて思っていた。めっちゃ晴れてるし。)
「じゃあ出発するか」
(運転中に見る周りの景色はいつもと何も変わらない。これが平和というのだろうか。すると『今日は平和に過ごしたいね』なんて言葉になんというかどうしようもない笑いが出る。そんなこんなで)
「到着ー」
(『終わったら連絡するね』と言って相手は職場の扉を開け中へと入っていった。)
(若干相手の職場の周りに霧が掛かっていて湿っぽく感じたが周囲が木に囲まれている為だろうと思い気のせいかなどと車を公園まで走らせた。)
「公園着いたぞー」
『すべりだいするー』
(無邪気な声ともに子供が駆け出す。純粋な心はいいね。喜怒哀楽全てが純粋なんだろう。)
(まぁ大丈夫だろうけど一応)
「形代式神 結印 結界 急急如律命」
(公園全体に結界を張った。念のため。うん。決してフラグ回収とかではない。そう思いたい。)
『おとうさん!ぶらんこするからおしてー』
「はいよー、、」
(返事をしたところで相手からのメッセージが届く音がして)
「はいはいなんですか」
(メッセージを見てみると、霧がすごいから公園は危ないよみたいな内容だった。)
(霧?めちゃくちゃ晴れてるぞ?と雲一つない空を見上げる。)
「なぁ太陽ー」
『なにーおとうさんどうしたのー』
「今って晴れてるよなー」
『うん!おそらあおいしあったかーい』
(楽しそうだな。だよな、晴れてる。んー?)
(わけわからんと子供から少し離れてたばこに火を付ける)
「いい天気だなー」
(たばこを灰皿に押し付けると子供のところまで戻る。後ろの建物から出る煙が不可解な動きでこちらに近づいているのには気付かずに。)
(雨は降らないまま深い霧に包まれていった午後一時過ぎ。霧の深さの所為か店内は真っ暗。お客さん達も外の様子を不安な様子で見ていた。店内のキッチン側の窓には外側に網戸が固定されてる。網戸越しに外を見ていたその時、網戸に音も立てないまま真っ直ぐな切り込みが入る。従業員の皆の目を見計らい、瞬時インカムを付けては丁度のタイミングで通信が入る。)
『-禍憑鬼の襲来です。どうやら天候に化けて出るタイプの様で発見が遅れた様です。対応できますね?-』
(相手からの連絡を確認するも外は晴天な様子を物語る写真と共にメッセージが送られて来ていた。)
「範囲は?」
焦る気持ちを隠しながら小声でインカムに応答する。
『-原点は燈の職場周囲10mまでですが、どんどん広がって来ています。-』
「じゃあ核はここって事ね。早く避難勧告出してください。」
『-いいえ。“燈の職場を中心に集まっている”のです。市民を外に出すのは危険なので燈一人外に出てください。その後職場を囲う様に外壁を出現させます。-』
(一応今は勤務中だぞ、と大きな溜息を溢しては態とらしく「皆!これ見て、避難勧告出てる。」と。一人の従業員がお客様方に外壁が作動するまでその場を動かない様に指示する中、「本社に用事があるから…」なんて薄っぺらい理由を付けては従業員の静止を押し切り外へと出る。)
(店の屋根へと上がれば辺りは夜かと思うほどに真っ暗だった。)
『-敵の人数は一人や二人じゃありません。燈の職場ではリラックス効果を促進させるアクセサリーを販売してますよね。-』
「あの趣味の悪いやつですね。社長がゴリ押しして店頭に並べるようになった、」
『-禍憑鬼はそれに反応して集まって来ています。-』
(最近スピリチュアルにハマっている社長、なんて物を店に並べてくれたんだと怒りさえ覚える。)
「それで、正体は、」
『-パワハラ、モラハラ、社会に対し異常なまでに疲れを感じていて、癒しの一つさえ得られなかった者の成れの果てです。日常的に感情を殺し、存在を薄くして漂う。その結果が“霧”かと。-』
(自分の種族は水。霧って確か空気中の水蒸気じゃなかった?なんて出来の悪い頭を働かせては散り合えず霧の濃い部分に斬撃を与えるも、自分の水攻撃を吸収してか敵の範囲が広がっていく。今更ながらサイバーグラスを出現させ、自身の服を狐緋人の制服に変化させては相手へと通信を送る。)
「-日影の属性の地の力は水分の吸収もできるんだっけ。-」
(返信を急かすかの様に相手にインカムの通信を繋げては、「今屋根の上にいるの!!!!!私高所恐怖症だからしんどい!!!しかも登ったは良いけど降りれるか不安!!!!!」と早口で叫んで。)
(結界も張ってあるしこっちは大丈夫だろうと思っていたのが完全に油断だった。何かが結界を〈すり抜けた〉)
「これは、、霧か!」
(背後から近づいていた霧は結界をすり抜け結界内でヒト型に実態化したように見えたがすぐに透過した。)
「見えない。」
(考えた。太陽がいる。逃げるか?逃げたとしたら結界が解けて周囲に被害がいく。バカな頭をフル回転させているとインカムから通信音が鳴る『アカリの職場に禍憑鬼が出現現在応戦中です』)
「分かってる!こっちにも来てる!」
(少しキレ気味で応答すると本部からの返答がない。『おかしいです。敵は現在アカリの職場に置いてあるスピリチュアルアイテムに集中しているはず。』)
「はぁ!?どんな敵だよ?!」
『霧の禍憑鬼です。』
「だから!それだよ!」
(理解が追い付かず語彙力が無くなっていく。すると本部との通信中に相手の通信が割り込んでくる)
『今屋根の上にいるの!!!!!私高所恐怖症だからしんどい!!!しかも登ったは良いけど降りれるか不安!!!!!』
(まじか。)
(考えろ。考えろ。霧、、分散、核、、、、。)
「露だ!」
「何か物に空気中の液体が付着すればそれは露になる!つまり、、、!」
「見える!」
『見える!』
「今から俺の属性の印を結ぶから!後に続いてくれ!」
(『分かった!』と相手の返答を待たず俺は印を唱えた。)
「太陽!大丈夫だから少し後ろに下がっててな!」
『わかった!』
(この子は強い。この状況でも物怖じしないなんて)
「寸土有りて土塊の如くその姿を現せ《沃地転変》=ヨクチテンペン= 急急如律令」
『寸土有りて土塊の如くその姿を現せ《沃地転変》=ヨクチテンペン= 急急如律令』
【スンドアリテ ツチクレノゴトク ソノスガタヲ アラワセ】
(それぞれの目の前に砂嵐が顕現し空気中の水分が飲み込まれていく。)
「見えれば、、こっちのもんだな」
「そのまま斬りな!後で屋根から降ろしてやるからッ!(笑)」
(てか、こういうときはなんてセリフがお似合いだ?また相手に問いかける。最初から聞いていたであろう本部のクソ共の『戦況はどうなっていますか!?』という声は無視して)
(高所での戦いの為珍しく余裕も無く、相手に「わあああああうるさい余裕あると思ってんの!?」と八つ当たりしては思い切り斬撃を叩き込む。目に見える様になった核を砕いていけば人型となった霧状の存在はそれぞれ人型を取り戻す。誰も彼もスーツや職場の物と思われしき制服の姿だった。ちょうど辿り着いた相手の車が見え屋根の上でしゃがんだ状態で手を振れば車から降りてきた相手が店の裏に周り、屋根の上から降りる手助けをして貰う。霧が晴れ、空模様が晴天になった事を確認し、店内の様子も段々と戻って来た頃、狐緋人本部の人間がいかにも高級そうな車でやって来るなり自分の職場の店内に入り現場の無事を伝え始めるとともに自分の早退の願いを申し出て来てくれる。)
『稲荷さん。本社に避難道具の連絡とか避難通路の開錠とか伝えに行っててくれたんだね。危険だったのに…ありがとう。何だかごめんね何も出来なくて。』
『旦那さんも迎えに来てくれたんだね。良かった。』
(本部の人が上手く言ってくれたのであろう内容に合わせて「大丈夫だよ!これといった危険もなかったし!」と笑顔で答える。)
(帰宅途中の車の中。運転中の相手の隣の助手席でサイバーグラス越しに本部と連絡を取る。)
『-燈。今日はお疲れ様でした。-』
「いえ。………あの、今日わざわざ来てくれたのは、」
『-いえ。一つ確認事がありまして。そうですね、燈と日陰に関係がある事なので話しておきましょう。-』
「…確認事、」
『-御子息の事です。-』
「うちの息子が何か。」
『-燈と日陰が自然と使えるようになった属性印結のデータを解析しました。元々燈と日陰は属性印結、元い自分達の属性を一時的に移したり連結させたりする事など出来ませんでしたよね。-』
「ええ。最近出来るようになったというか、まぁ。お陰で楽になりましたが。」
『-属性印結の術を完成させたのは、御子息の存在である事が分かったのです。詳しい話をしたかったのですが仕事が入ってしましましたので、ではまた後ほど。-』
「え!!!!!そんな重要な所で切ります!!!???」
(自分の声は届く事無く、虚しくも通信遮断の音が聞こえる。相手と顔を見合わせた後、息子の顔を見詰める。息子はと言う物、何も考えてないような無垢な笑顔をこちらに向けて来ては『まま、かえりにあいすかおう。』と。)
(霧の禍憑鬼との一戦が終わりアカリを迎えに行き屋根から相手を降ろすと本部の連中がアカリの職場に入って行くのが見えた。アカリも入っていき同僚たちに適当なアリバイを説明していることだろう。)
「なんかどっと疲れたなぁ」
(太陽が端末で何やら楽し気に動画を見ているので車に乗せ俺はタバコに火を着けた。)
「全部終わった後に現場に出向くとは大層なこって」
(タバコの煙と共に嫌味も吐き出した。もはや休日出勤だよ。これ。)
(アカリが職場から早退という形で出てきたのでタバコを灰皿に押し付け車に乗り込む。走行中助手席ではアカリが本部に連絡を取っていた。するとなにやら不穏な空気になり、自分のサイバーグラスとインカムに通信を共有する。)
『-属性印結の術を完成させたのは、御子息の存在である事が分かった、、』
(確かに最近アカリとの属性の共有ができるようになっていたけど無意識の内にやっていたからなんの違和感も感じなかった。言われてみれば、おかしい。属性は本来、陰陽五行からなる異なる流派のはず。全ての属性を結べるのなんて安倍晴明くらいしか。まさか、、)
(そんなことを考えていると『あいすかおう』と呑気な声が聞こえたので一旦考えるのをやめた。)
(その日の夜いつもどうり太陽を寝かせた後、本部との情報共有という名の日常監視が始まった。いるか?この時間。まじで。)
『、、、以上が今回の情報になります。後ほどデータをお送りします。』
『ところで件の御子息の事ですが、、』
「分かってる。分家の人間は知ってるけど、本家の出のアカリは知らないから説明してやってくれ。」
『やはりヒカゲは知っていましたか、、。』
(アカリの『え?なに。こわッ』というありきたりなリアクションを一旦はさみ本部の人間は説明を始めた。)
『結論から申し上げるに御子息は【寄子(よりこ)】です。』
(アカリはなにそれーと言いながらいつになく真剣な表情をしていた。)
『寄子とは数百年に稀に生まれてくる神の魂の断片が胎児に寄り付き神格化した状態で生まれてきた赤子です。その赤子は成長していくごとに神の魂が顕現しその神力により七心門が開いていきその神の魂の持つ力を使えるようになる、と文献には記されていました。そしておそらく御子息に寄り付いた神の名は、、)
「天照大御神、、だな。」
『その通りです。司っているのは、、』
(となりでアカリが小さく『太陽』と呟く。)
『はい。太陽を司る神。御子息が無意識に使っているのは陽術つまりアマテラスの光の力です。』
(本部の人間は続けて言う。)
『過去にただ一人天照大御神の寄子となりその力によって五属性を得た人物がいました。それが狐緋人の始祖である、、』
「安倍晴明。まぁ。アカリと太陽の先祖だな。」
『はい。‘彼;は陰陽五行を完成させ、それを分家に流派として受け継がせていくよう命じたそうです。』
「で、その晴明様が使っていた陽術は?」
(最早わかってて聞いている。)
『《付与》です。』
「それで属性を分家に付与して流派にしたわけか。」
『つまり最近わたしとヒカゲで属性を共有していたんじゃなくて太陽がそれぞれわたしらに属性を付与していたってこと?』
「そういうことだね」
『でもなんで本家の人間は知らないの?』
「もっともだな分家の人間だけが知っているのはおかしい」
(本部の人間が重々しく口を開く)
『それは晴明と同じ時期に生まれた寄子が成長と共に悪の道に進んだのです。属性とは心門を開くことによって開花するものです。五属性の他に光と闇の属性。これが七心門です。つまり悪の道に進んでしまったその寄子は第六の心門である闇属性を使いある呪術を完成させます。それが人の負の感情を増幅させ禍憑鬼を生み出す《負与》という呪術。』
『そしてその寄子は、、、』
「現代まで生き延びている。何千年も」
『はい。そしてなんらかの手段で同じく第六の心門を持つ過去の寄子たちを集め組織を作りなんらかの目的により現代に禍憑鬼を作り出している。』
(なんらかってなんだよ。本部のくせに不確かだな。もはや晴明とそいつの因縁みたいなもんだよな。と思うが、大事な一人息子が関わっているとなると話は別だ。俺はこれからするべきことは決まった。一方アカリは。)
(本部との通信が終わった後、就寝の準備を済ませ寝室の扉を開けるなりベッドへと傾れ込む。
続いて寝室へと入って来た相手をじっと見詰めれば身体を起こし難しい表情のまま相手と向き直り。)
「私達はさ、思い返せば本部の人達の顔すら知らないよね。…声も。………なんか違和感あるんだよね。伝わってるかな、これ。さっきのリモートのミーティング。」
(額に手をやり頭を悩ませては漸く整理が付き、ゆっくりと話を始める。)
「まず。今日のミーティングの本部の人。いつもの人じゃなかったよね。面と合成ソフトで声はいつもの機械音だったけどさ。話し方、癖、いつもと違かった。」
(相手の表情をちらりと見やれば言いたい事は伝わっている様子。いつも自分や相手に通信や指示を送ってくるのは恐らく本部の一番下の役職。
根拠として以前一度ミーティングをした際に本部の人は言った。
『-私達は指示、報告、起こった出来事の処理。任せられているのはそれだけなのです。詳しい事や細かい詳細は私達ですら知らない。上部の人達しか。そんな怪しい場所で仕事をしているなんて、と思われるでしょう。…しかし、良いのです、市民が守られれば。安全であれば。………母さんの様な、救われない人間が一人でも減って、皆で安心して暮らせるのなら、_失礼。話が逸れましたね。-』)
「一番下の役職の人がこんなにも優秀なんだよ。上は何を考えているんだろうね。どうせ戦うのなんてさ、私達なのに。…やっぱり違和感が拭えないや今日のミーティング。まるで太陽に期待を向けてる様な気がした。いつもの人達は、絶対に太陽を巻き込まない様にって考えてくれてる感じがするのに。」
(ぽつりぽつりと呟いた後、スマホで時間を確認すれば既に日付を跨いでいた。)
「日陰、本部行こうよ。そんなに遠くないしさ。顔くらい見せてくれたって良いじゃんか。」
(何処と無く拗ねた様に言った所で制服を思い出す。元はちゃんとした巫女服、巫服だったが戦闘時に非常に不向きでかなり改造してしまっている。内心大丈夫かなと不安を感じるも実際戦っているのは自分達だしな、と。
相手はいつも夜にコンビニへ行く為、上着を着ては何か欲しい物はあるかと自分に聞いて来て。)
「アイスと煙草。」
(短い返事で答えては再びスマホに映る禍憑鬼のニュースを見ていて。)
(コンビニに着いた相手は外の灰皿の隣にしゃがみ込み煙草を吸っていた所。)
『失礼、ライターをお借りしたいんですが、』
(相手に話しかけて来たのは疲れ切った様子と表情の中年の男性。スーツの着こなし的にきっと良い所で働いているんだなと言うのが容易に伺えて。)
(妙に違和感が残る本部との通信が終わり燈が寝室に入っていった。違和感に頭を悩ませながらも続けて寝室の扉を開いた。すると相手が横たわっていた身体を起き上がらせてこちらに『私達はさ…』と話始めた。
やはり相手も今回の件について憤りを感じていたらしい。)
『本部行こうよ。』
(相手のその一言に馬鹿な頭が追いついた。そうだ。確かに直接乗り込めばいいじゃん。)
「そうしよっか。」
(その返事を他所に相手は改造制服はどうするか悩んでいる。燈らしいっちゃ燈らしい)
(いざとなれば啖呵の1つや2つ切って盛大に喧嘩してやろうぜ!と心の内で手を打った。)
(しかし本部の場所や人数などが分からない。本部はいつも遠隔で繋がっている。乗り込むにしてもどうしたものか。あと多分だけど燈と俺で収集つかなくなった場合は禍憑鬼より先に地球滅ぼしかねない。)
「っと。日付跨いじゃったな。コンビニ行くけどなにかいる?」
(夜はタバコを買いに近くのコンビニに行く。毎回じゃないが頻度は多めだ。)
『アイスと煙草』
(勿論2人とも喫煙者なので2人分を買いに行く。)
(「はいよー」と言いながら玄関を出て歩いて向かう)
「考えることが増えたな...」
(歩きながら深くため息をつく。)
「とりあえず煙草吸うか」
(コンビニで買い物を済ませ喫煙所で煙草に火を点ける。すると。)
『失礼、ライターをお借りしたいんですが』
(やや低い声で話しかけてきたのは少しやつれた中年のおっさんだ。着用しているスーツはとても高級なものでネクタイにすらブランドの刺繍が入っている。)
「あぁ。..どぞ」
(こんな時間に?残業にしては遅いなと怪しんだがこれといって断る理由もないので持っていたジッポライターを手渡した。受け取った中年は右手に黒い手袋を着けていたが特に気にならなかった。)
『どうも。”怨”に”斬る”よ』
(その中年は今度は受け取った方とは逆の手でライターを渡してきた。ちらっと見えたその左手には無数の剣だこがあった。武を極めたものとしては聞かざるを得なかった。)
「あんたその手のたこはよ....。」
『あぁ。これですか。少し若いころに剣を習っていましてね。』
「そんなもの見れば分かるし、少しなんてものじゃないだろ。」
『はは。お恥ずかしい。本当に少しなのですよ。』
(中年は口を噤んだ。だが懐かしむように話を続けた。)
『昔私は師の元で兄弟子と共に剣を振るっていましてね。ですがある時気付いてしまったんです。私には才能が無かったのです。兄弟子はどんどん剣の才を伸ばしていきましたが私は途中で剣を握るのをやめたんです。どうしても兄弟子に勝ちたかった私は勉学に勤しみましてね…』
(中年は苦笑いをしながら話した。だがその笑いがとても笑っているようには見えなかった。嫉妬や憎悪のようなもっと悍ましいなにかだ。)
(この手の話は長くなるなと自分で吹っ掛けておきながら思った。さっさと帰ろう。)
(今思えばこいつの話を最後まで聞いてやればよかったと心底後悔しただろう。)
「ごめんなおっさん。俺もう帰るよ」
『おっと。申し訳ない。年を取るとつい自分の話がしたくなって長引いてしまう。』
「いいよ。じゃあな」
(俺は半分は残っている煙草を灰皿に押し付け歩き出す)
『ところで...。』
(後ろで中年が何かを言い出したので思わず「あん?」と振り返えろうとする)
『”御子息”はご就寝ですかな?』
(俺はすぐに振り返り臨戦態勢を取った。聞き覚えのあるその呼び方を思い出したからだ。)
(しかし後ろには誰もいない。あるのは吸いかけの煙草と禍々しい残り香だけだった。)
「ッふぅー...。女の勘はいつの時代も当たりやがる。」
「《瞬動の印》急急如律令ッ!」
(俺は結界内を瞬時に移動できる陰陽基礎の印結で家に着くと慌てて玄関を開け『おかえり、どうした?』とキョトンとしている相手に数分前の出来事を話し始めた。)
(俄かに信じ難い相手の話を聞きながらアイスを受け取ろうと手を差し出すも相手は何も買って来ていない様子。煙草を吸う為だけにコンビニに行ったのかと呆れるも、息子の事を指す会話内容に耳を傾ける。中年男性とやらの特徴を相手に問いただすもこれと言った特徴の無い“どこにでも居そうなサラリーマンの中年の男”。これでは特定も難しい。何でこのタイミングで、と舌打ちをするも自分達の運の悪さは今に始まった事では無い。食べたいと思ったスイーツはいつも売り切れだしトイレに行きたくなった時は清掃中。予定を立てて出掛けようと思えば毎回雨。今回も運が悪かったのだ。)
「取り敢えず、結界を張っておこう。暫くは日陰が休みだから良いけど…保育園にも結界を張ってそれから本部に連絡し、」
(思えば、相手の説明に引っ掛かりを感じる。“御子息”だなんてつい先程聞いたばかりの丁寧な単語。不気味な違和感を感じ「…本部には連絡しない。」と言い切る。疑心暗鬼に陥っているだけだと信じたい気持ちで、残り一本だった煙草に火を着けて。)
(翌日、相手も自分も休みだった為本部に出向こうと息子を保育園に預けては二人がかりで大規模な結界を張る。どちらにせよ事は早めに終わらせたい。車に乗り、相手と自分の服を制服に変化させては本部へとインカムを繋ぐ。)
「ちょっとお話ししたい事があるので今から向かいます。」
『-奥様。急には困ります。-』
「ならいつが良いですか。」
『-ご夫妻との直接的な接触は控えるようにと上層部から命じられています。-』
「なら上層部の人達に会わせて下さい。」
『-困ります。-』
(相手はもう気付いているだろう。“いつもの人じゃない”。私達の事を“ご夫妻”と言ったり“奥様”と呼んだり。昨夜、息子の事を話し合った際の時からだ。“いつもの人”はどうしたのだろう。___今更だが、名前も知らない。ただ、今の接続先が別の人である事だけは分かっている。)
『燈、日影、親しみを持って名前で呼ばせて頂きますね。よろしくお願い致します。』
(大分前に初めてインカムを繋いで本部とやり取りした際の一言。「もう向かってます。誰でも良いので話がしたい。ほら、私達って信頼関係を大切にしないと何ですもんね。私今、すこぶる疑ってるんです。安心させて下さい。」と煽るような口調で言えばインカムは繋がれている筈なのに何の返答も返ってこない。代わりに、まだ午前中にも限らず辺りが暗闇に包まれる。)
「何、これ。」
(結界でも張られた様に人気が無い。___進行方向に見える禍々しい雰囲気に表情を歪めては相手に速度を緩めるように支持する。)
「禍憑鬼…?敵の襲撃ですか?」
『-急な来社は困ります。-』
「ねぇ、聞いてますか!?禍憑鬼の情報は、」
『-急な来社は、-』
(話にならない。頭に来てインカムを放り投げれば空に浮かぶ僅かな“隙間”に目が行く。)
「違う。日影、ここは結界の中だ!私達、閉じ込められてる!」
(相手が急ブレーキを踏み車から飛び降りる。結界を使える人間なんて考えずとも分かる。一般人で無い事くらい。)
「そんなに本部に来られちゃ不味い理由は何。ここまでして邪魔したいの?…それに、何より、禍憑鬼を自由に操れるって、」
(沢山の疑問が頭の中を駆け巡る中、進行方向の先に見える存在を目視しては僅かに身震いする。顔に怪しげな札を付けられた恐ろしい形相の女。_否、亡霊や怨霊と言った方が良いだろうか。まるでホラー映画でも見ているかの様だ。刀を出現させ鞘を抜きいつもの如くその辺に放っては構える。)
『クル、ナ。コロ、ス。』
(敵の声に眉を寄せる。女の悪霊って確か達悪いんじゃなかっただろうか。)
「日影。早く片付けてあの隙間から結界を壊そう。」
(小さな声で言っては刀を構えて一呼吸置く。冷静にならなきゃ。冷静に。まるで術でも唱えるかの様な雰囲気を出しながら深呼吸したその刹那、)
「ブチ殺すぞクソがァ!!!!!!!!!!」
(とても冷静にはなれなかった。怒りに身を任せて叫んでは斬撃を繰り出し、取り敢えず近くの3体を撃破して。)
(『-ご夫妻との直接的な接触は控えるようにと上層部から命じられています。-』)
(今、俺たちは本部に向かっている。だが相手のインカムから聞こえる違和感の残る機械音声に若干の苛立ちを覚えながらナノテクノロジーで量子変換されていく戦闘制服になると気合が入る。)
(昨日の中年から感じた恐ろしいまでの負の感情を思い出し武者震いをする。燈と俺の考えが正しければ大本はあいつで間違いないだろう。何が目的かは知らないがご丁寧に自分の話なんかしてくれちゃってよ。と思いつつも家族を巻き込んだことは許せない。)
(相手のインカムからなんの応答も無くなった瞬間、辺りが暗闇に包まれた。)
『ここは結界の中だ!私達、閉じ込められてる!』
「はッ!?」
(俺は急ブレーキをかけ車から飛び降りるとそのまま同じくナノテクノロジーでガントレットを装着し戦闘態勢に入った。)
(よく見ると結界には亀裂が入っている。不完全な結界だ。術者の力が衰えている証拠かもしれない)
(考える間もなく暗闇の中から何かがこちらにゆっくりと歩いてくる。)
(隣では燈が既に刀を抜いて斬撃を放っている。『ブチ殺すぞクソがァ!!!!!!!!!!』という怒号と共に。)
「うわぁ。もうキレてる」
(すると無数の禍憑鬼の中に一体だけ明らかに負の感情の格が違う禍憑鬼がいる。顔に札のようなものが貼られているがまるで鬼の形相なのが分かる。しかも女の禍憑鬼だ。)
(あの感じは恐怖、支配、怯えみたいなものだろう。まさか)
『クル、ナ。コロ、ス。』
(敵の声がする)
「負与されてるな。」
(ここら一体の無数の禍憑鬼には核がないところを見ると奴が本体でこいつらを生み出してるってわけか)
「まるで母親と子供みたいだな」
(ここは目には目を母親には母親を,,,だ!)
「燈!本体の核を破壊してくれ!道は作る!」
(俺の咄嗟の叫びに『分かった!』と意図を読んだのか返してくる。お前が嫁で良かったよ!と心底思いつつ)
「大地改メ彼者二道ヲ示サン《灼土一転》急急如律令!」
(燈の周りから赤い土が浮かび上がって無数の雑魚を巻き込みながら道に変わる)
「ここは任せた!俺は雑魚を倒しながら結界を破壊できないか確認してくる!」
(俺は女の禍憑鬼を燈に任せ結界の亀裂の真下まで走った。すると瓦礫の近くに青年が怯えてしゃがんでいるのが見える。)
「おい!大丈夫か!」
(そう声をかけると『日影!母を..母を助けてくださいッ!!』何度も聞いたその優しい声に俺は無言で燈にインカムを繋げて。)
(怒りに身を任せて無数の禍憑鬼へと斬撃を放っていた所、相手からの指示に返事をしては相手の術に寄って作られた道を駆け上がる。_その時、先程下げ捨てたインカムが点滅しているのが目に入る。今更拾いに行っている余裕も無い。相手は大方先程の会話の出来ない相手だろうと自己判断しては核に攻撃を喰らわす事に意識を集中させる。)
『燈ッ!!!!!』
(視界の端に見えるは白い狐面を横に着けた青年の姿。インカムを投げ渡され、それを受け取り装着して応答すれば接続先はどうやら相手。青年が勝手に飛び出し自分にインカムを投げ渡してくれたと言う危険な行動を咎めていた途中の様で。禍憑鬼の攻撃を刀で受け止め跳ね返しながらインカムに応答する。)
『-燈!核は…核は僕の母親です!!!どうか…どうか破壊だけは!!!-』
(いつもは合成ソフトで隠されていた“いつもの人”の声だ。自分の名前を呼ぶ時のイントネーションや口調で分かった。まさか男性だったとは。しかし先程青年が出て来た際、核の攻撃は一旦弱まった。…と言うよりも禍憑鬼を出現させ続けている手が止まったのだ。相手の作った道はまっすぐ核へと向かっている。斬撃を繰り返し防壁を立てながら核の元へと辿り着いては真っ黒な札を引き剥がす。)
「お前が核ね。悪いけど、」
『-駄目だ!!!燈!!!やめて下さい!!!-』
「うるさい男だな。黙ってろ!!!!!」
(今自分は最高に機嫌が悪い。青年に声を荒げては浄化の術を唱え核に札を貼り付ける。物凄い抵抗心を感じる。自分の周りが黒いどろどろとした闇に包まれる。自分の名前を叫ぶ相手と青年の声。)
(暗闇の中で見たのは、一人の女性が赤子を抱っこし歌を歌っている所だった。)
『この子はどんな子になるのかしら。』
(急に場面が変わる、次に見えたのは本部の服に身を纏い嬉しそうに報告をしている青年の姿、青年の腕に抱えられている花束は母親へと差し出された。)
『母さん。父さんを殺した禍憑鬼を討伐する会社、狐緋人の本部に入社できたんだ。まだまだ下っ端だけどね。でもこれで生活も安心できるよ。』
『でも、…危険な仕事なんでしょう?』
『先陣切って戦うのは僕達じゃ無いんだ。あくまでも上から出された指示を戦闘班…と言ってもたった二人なんだけどね。二人が安全な様に指示を出す仕事だよ。』
(母親は不安な顔を漏らしつつも青年の嬉しそうな顔に笑顔を向けていた。そしてまた場面が変わる。)
『今日、本社のから連絡があったの。お父さんの形見の指輪を持って本社へ来いって。』
『!?なんで???』
『分からないけど。息子が世話になってる訳だし、母さんいってくるよ。大丈夫。そんな心配そうにしないで。』
(優しく微笑む母親の姿。また場面が変わる。形見には故人の思いが込められやすい。亡くなった青年の父親を禍憑鬼の完全体にする為には形見の物が必要である事。禍憑鬼の存在事が幻想郷への近道になるという事。本部の人間と思わしき人間がつらつらと語っている。顔こそ見えないが高価なスーツに身を包んだ男の姿。)
『でも、そんな事をしたら夫は亡霊になってしまします!!!』
『禍憑鬼に殺されたご主人。やり残した事も悔いも沢山あったでしょう。生きた人間からなる禍憑鬼よりも死んだ人間からなる禍憑鬼の方が強いのですよ。もう負の感情に縛られるのは辞めましょう。敢えて解放して、楽になるのです。』
『いいえ!!!禍憑鬼は居てはならない存在です。』
『お母様。息子さんは今懸命に働いてるんですよ。息子さんがずっと苦しんで戦いを見て戦闘に指示している。息子さんはお父さんへの思いを胸にここに入社したのでしょうね。もう楽になりましょう。新卒でここに入るよりも、大学に入って楽しい毎日を送ったりバイトをしたり、“当たり前”の生活に戻りましょうよ。それが息子さんの為ですよ。』
(心に直接話しかけてくるような感覚。___母親は、父親の形見を渡した。そしてそれは母親の唯一の宝物だった。)
(自分と核の存在を包み込む真っ暗な空間は鬱蒼としていて心が壊れそうになる。奇声をあげる核、_元い青年の母親の手を掴んでは顔を合わせる。)
「息子さんは私達が守るから大丈夫。旦那さんを禍憑鬼になんてしちゃ駄目だ。あれは負の感情の成れの果て。何にもなりきれない亡霊だよ。大丈夫。息子さんは大丈夫。貴女を助けるためにこんなとこに乗り込んできたんだよ?強いよ!大した物だ。」
(暗闇の中、自分の精神力が削られていくのを感じる。満面の笑顔で告げれば母親の表情は優しい物へと変わる。と、途端に崩れ落ちた。しかしこの禍々しい暗闇から出る術はないしインカムも接続県外になっている。母親を背負ったままどうしようものかと右往左往していた所、小さな子供の声が聞こえた。)
『まま、こっち、おはしもつほうのてのほう。』
「え?」
『こっちだよ。こっち。』
(聞き間違える事のない息子の声。誘導されるがままに歩けば周りを取り囲んでいた黒くどろどろとした様な空気は晴れて行き。)
『母さん!!!!!!!!!!』
(飛びついて来たのは青年。目に涙を溜めながら母親を解放している。)
「ああ、死んでないよ。安心して。多分少し休んだら目を覚ますよ。お母さんが恐れている事は私達が全力で止めるし、敵はぶっ飛ばすから。」
『燈、…日影!!!ありがとう!ありがとう!!!』
「お母さんの心を完璧に扱えなかったから結界に溝ができたって可能性もあるね。どちらにせよ、早く病院に行ってあげて。」
『…でも今本部は、』
「大丈夫。これから私達でぶっ飛ばしに行くから。」
(満面の笑顔で言えば青年はインカムを装着し、初めてありのままの合成ソフト無しで話してくる。)
『-内部の案内なら任せて下さい。状況も、母を病院に送りながら話します!-』
「頼りになるね。任せたよ。」
(再び相手と車に乗り込んでは走り出す。結界の中と外の時間の流れは違う。外の世界ではまだ3分ほどしか経ってなかった様で。怒りは最高潮。相手はアクセルを踏み込み本部へと車を走らせて。)
『そこです。そこが狐緋人の元…本部です。』
(俺はあのオペレーターの青年の声に車を止める。)
「ここか。ひでぇもんだな」
(そこにあるのはネオンや電光が走っている元は世界遺産であったであろう建物。そう。日光東照宮だ。)
『後は本部からハッキングした場内のマッピングデータを全て送ります!』
「ありがとな。青年。最後に名前を聞いてもいいか?」
『僕の名は。マモル です。日影。燈。無事を祈っ…』
「祈るなよ。お前は目の前の大切なものを守れ。その名前に恥じないようにな。これは"最初"の仕事だ。」
『…っはい!』
(その声に俺も奮起しインカムを切る。燈を見ると小さく頷いた。)
「よし。行くか!」
(待っていたかのように境内の門が開く。すると)
『おや。お越し下さっていたのですねぇ。』
(少し怒気が混じった声でこちらに話かけてくるのは高級なスーツに身を包んだあの中年の男。)
「うるせぇな。待ってたんだろ?」
(俺は少し嫌味ったらしく言い返した。中年は続けて話す)
『まずは自己紹介をしなければいけませんねぇ。』
(隣で燈が『あ??』と呟くが中年は気にも止めず)
『私の名は…陰陽頭、安倍晴明(ハルアキラ)と申します。驚かれましたかな?。無理もない。私は晴明(セイメイ)の影武者だったのですよ。』
「なんだと…!」
『以前日影にはお話しましたねぇ。兄弟子が居たと。』
(燈が『まさか、じゃあ…!』と言うと。)
『えぇ。そのまさかですよ。私も兄と同じ始まりの寄子。闇の心門を開いた者ですよ。』
「…数百年生きながらえて何が目的だ。」
『私はね日影、燈。圧倒的な強者というのは兄の事だと思っていたのですよ。兄は…晴明は天才だった。そんな兄を私は尊敬していたのです。しかし何時しか兄は姿を消し、陰陽庁は私を陰陽頭として影武者に置いた。私は悲しみや嫉妬、寂しさに暮れ心門を開きそして禍憑鬼を生み出したのです。再び合間見えた時にはそんな私を兄は敵と見なし狐緋人となったのです。』
「何が言いてぇんだ』
『晴明は太陽のような輝きを放っていた。喜怒哀楽全てを人生として楽しんでいた。私はそれが許せなかった。私は兄の様になりたかった。だがなれなかった。どうしてだと思いますか?』
「知らねぇよそんなの。」
『私の兄が絶対的強者であったからだ!私は奴の後ろを歩くしか無かった。』
『なら最初から私が強者であればいい!世界を呑み込み私が君臨すればいい!』
『私は負与という術を完成させ禍憑鬼を生み出した。だがそれだけではない!負与は人間の精神や感情を作り変え人工的に寄子を作り出す。その寄子の負の感情を増幅させ闇の心門を開かせる。その力で邪神を呼び出しこの世界を丸呑みにするのだよ!』
「そしたらお前まで呑まれるだろ」
『その為の太陽くんじゃあないか。太陽くんの天照大神の力で私だけ闇から引き上げてもらうのだよ。正確には天照の核さえあればいい。つまり。太陽くんの心臓だ』
(初めて頭に血が登るという言葉が理解できた。握っていた手から血が流れているのに気付いた。)
(隣では燈も同様に握っていた刀からポタポタと血が落ちていた。)
「てめぇ…」
『いやはやそれだよ。誰かの為に必死になりうるその感情が私は憎い!そしてここまで話したのだ!死んでもらう為にも最初から全力を出させてもらおう!』
(俺が踏み込むより早く、燈が飛び出した。)
(刹那、『-待ちなさい-』『-待たれよ-』という声と共にハルアキラの動きが止まった。)
『なんだ!何が起きた!』
(ハルアキラが動揺しているとチリンと何処からか鈴がなる..すると『おとうさん、おかあさん。おともだちがそっちいきたいって!』と太陽の声がした。)
「太陽!?」
(俺が太陽の名前を呼んだ瞬間辺りが白い空間に変わる。目の前には鳥居のようなものが立っている。)
「ここは、どこだッ!」
(すると鳥居の中から『-ここじゃ-』と声がする俺は導かれるように鳥居の中に進んだ。)
『-もう少し近こう寄ってくれぬか、日影よ-』
「でけぇ....。」
(そこに居たのは見るに巨大な龍だった。しかしいつから居たのかも分からないその龍に妙な懐かしさと温かみを感じた。)
『-儂の名は倶利伽羅、火を司る龍神じゃ。遥か前からウヌの精神に凄めいておった。だが天照大御神様の…いや。太陽殿のお陰でこうしてウヌに合間見えた-』
「そうか、だから…。」
『-そうじゃ。ところで、今目の前の下衆に一撃入れようとしたじゃろ?奴には効かんぞ?奴は原始の寄子。憑いているのは恐らく邪神じゃろうよ-』
「じゃあお前の力でもくれんのか?」
『-飲み込みが早うて助かるわい。そうじゃ儂と印を結べ。さすればウヌの力になろうぞ-』
「どうすればいい。」
『-なぁに。簡単じゃよ。ウヌの好物を寄越せ-』
「は?んなもんもってねぇよ!」
『-いめーじじゃよ。想像せぇ-』
「わかったよ。」
(すると倶利伽羅の目の前に卵焼きが出てきた。)
『-なんじゃ。これは。-』
「卵焼きだよ。燈特製のな!」
(倶利伽羅は卵焼きを口に放ると)
『-おお!美味じゃ美味じゃ!』
「それで、この後どうすればいいんだよ」
『-うーむ。そうじゃなウヌのその、がんとれっと とやらに変わろう-』
「は?」
『-なんじゃ、儂を最初に使った不動明王は剣に憑依させて倶利伽羅剣!とか言っておったぞ?-』
「サラッとすげー事言うのやめろって」
『-ではいめーじせよ。そして名を叫べ!-』
(あー、ガントレットだし俺格闘専門だし...)
『-決まったかの-』
「おう!《倶利伽羅拳》急急如律令!」
(叫んだ瞬間左腕に龍の文様が浮かび上がり、装着しているガントレットから紅い龍鱗が生えてくる。俺の右手は龍の腕に変化していき紅の炎が纏っている。)
「あ、そうだ。そういえばもう一体いなかった?」
『-あぁ。夜刀神か。あやつは…そりゃウヌのツガイの方であろう?-』
(燈は大丈夫だろうか。)
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