名無しさん 2023-03-06 19:04:24 |
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「相変わらずかったいなぁ。細かいことはいーじゃんか」
耳まで赤く染まっている彼の様子に気をよくして、そんな堅いところも好きだけどななんてからっとした笑顔で告げて。
「ふーん、意外と近いところにあるもんなんだ。でも、折角だし遠くの街に行くのもありかも」
彼の手元にあるスマホを覗き見て、彼の言葉に考える仕草を1つ。
そう言えば遠くまで行こうなんて話も出ていたことを思い出し、折角なら遠出はどうかと提案し。
こ、細かい事じゃないだろう(明らかに動揺しながら言い)
うわっ(黎にスマホを除き込まれると、びっくりして)
そうだな、俺も遠くに行きたいと思ってたから丁度いいな。(また検索し直し)
遠くだと、ここからだと3時間くらいの所にあるな。それでもいいか?
「うわって、お化けじゃないんだからさぁ」
彼の驚きを至近距離で拾って、思わず身を引いて。
虫でもいるのかと思ってビビったじゃん、なんて呆れたように笑い。
「3時間かぁ…いいね!客室に露天風呂ついてるって最高すぎる」
人目を気にしないで楽しめるし、ちょっとお金持ちになった気分なんて子どもみたいな感想をこぼして。
あ、いや。驚いたのは、その、(恥ずかしかったからなんて言えず)
やっぱ、なんでもない。忘れろ。
それより目的地が決まったんだから、行くぞ!(再び黎と手を繋ぐと急いでここから出て行き)
「ふーん?…なーんか今日の要、らしくないっていうか」
疲れてるならしっかり休めよと首をこてんと傾げて微笑み。
「よぉーし!ハネムーン思いっきり楽しむぞ!」
再び繋がる手に、つい頬を緩めて。
空いた方の手を空へ突き出し、元気よく気合いを入れて。
そんな事ないよ。俺なら大丈夫だから(黎に心配をかけまいと無理して気丈に振る舞い、楽しい旅行にしようと思ったじゃないかと自分に言い聞かせて)
あぁ、ホントに楽しみだ。いつも殺しばかりしていて、それが当たり前になっていたから、黎と楽しい思い出を沢山作りたい
「俺も要といっぱい思い出作りたいな。楽しいことも嫌なことも全部大切にしたい」
例え苦しい思いをすることになっても、1つの思い出として懐かしむことができる日が訪れると嬉しいと思いながら、彼の言葉に頷いて。
自分にとって任務は欲を満たす遊びのような面もあって、後ろ暗い気持ちが生まれたことはなかったが。
この先、好きな彼と楽しい思い出を重ねていけるなら、そちらの方が何倍も満たされるような気がして。
黎、その俺でいいのか?(黎が殺しに関して快楽を感じているのは分かっていたので、一緒に逃げると言う事は、もしかしたらそれが出来なくなってしまうと言う事かもしれないのに、それでもいいのかなと思って問いかけ)
俺は勿論、黎といろんな所に行って、いろんな物を食べて、今まで出来なかった事がしたいと思ってる
「あぁ、要といる方が楽しそうだし。それに、そっちの事は気にしなくて大丈夫そうだから」
彼の問いかけにきょとんとして、すぐに会得がいったように頷いて。
彼に伝えるつもりはないが、一緒に逃げることを選んだ時点で追っ手が来ることは分かっていて。
かつての仲間だとしても…否、仲間だったからこそ、遊び甲斐があるだろうなんて胸を高鳴らせ。
「だから、その分楽しませてよね、ハニー」
彼の言葉に頬が緩むのを感じて。
締まりのない顔で笑いかけて。
そうか(黎がたのしそうなら、なんとかなるかもしれないなと思い)
今度はハニーかよ。(先程はダーリンと呼んでいたので、どっちだよと思い、思わずツッコンでしまい)
あ!黎、この駅だ。2人分の切符買ってくるから、ここで待っててくれ
「だってダーリンが嫌だって言うから、ハニーならいいのかなぁって」
やっぱりダーリンの方がよかったか、なんてにやにやしながら問いかけて。
エスコートが上手いし、ハニーよりダーリンって感じだよなぁと1人で納得し。
「はいはーい。俺も自販機で飲み物買ってくる」
彼が切符を買ってくれている間に、自動販売機でありふれた水を選んで。
どっちもやめろ。名前で呼んでくれ、、(少し呆れながら言うと、自販機に行くと言う黎に軽く返事をして、切符売り場に行き、行き先を確認して2人分の切符を買い)
流石にまだ裏切った事に気付いてないよな
(でも警戒は怠らないようにしようと思い)
「…まだ誰も追ってこないな。あの人のことだから、どーせこっちの状況知ってて泳がしてるんだろうけど」
拾われた時から何もかもが気に入らない狸爺め、と心の中で毒づいて。
2人で仲良く逃避行していることにも気づいていて、敢えて放置しじっくり狩りを楽しんでいるのだろうと溜息を1つ。
「かーなめ。水買ってきたぞー」
へらっとした笑みを貼り付けて彼の元へ戻って。
いつも飲んでいる水と変わらないけれど、出かけ先で飲むと美味しく感じるのは何でだろうな、なんて話しかけて。
あぁ、ありがとう。ほら、黎の分の切符。(水を受け取ると変わりに切符を渡し)
黎、何かおかしな事があったら言えよ。俺も警戒はしてるけど、何人で追ってくるかわからないからな(例え、一般人に紛れても今まで培った殺しの感覚は鈍っておらず)
黎の事が俺が守るから
「ありがと…ってか、要追われてんの?何で?旅行行ってる場合じゃなくない?」
切符を受け取ったところに、聞き流せない言葉が聞こえて。
追われているという彼は、何かの任務中なのだろうか。
であれば、こうして旅を楽しんでいる暇などないのではないだろうかと疑問に思って。
「守ってくれんのは嬉しいけど…任務ならそう言えよなぁ」
普通の旅行だと思っちゃったじゃん、要から遠くに行こうなんて言うの珍しいと思ったんだよな、なんて空を仰いで。
あ、いや、その任務の事は気にしなくていい(まさか黎を始末するよう命じられたなんて言えず)休暇と言うな任務とでも思ってくれていいからさ(自分でもかなり苦しい言い訳だなと思うも、咄嗟になんて言っていいのか分からず)
それより、電車がくるまで駅弁でも買わないか?電車で食べよう
(無理矢理、話題を変えて売店へ行き)
「そ…要がそう言うんなら気にしないでおく。でもさぁ、なーんか怪しいよなぁ」
何か隠し事でもしてるのかなんて聞く勇気もなく、怪しいまでに留めておいて。
あからさまに変わった話題にも突っ込む余裕もなくて。
自身の隠し事よりは軽いだろうと頭を振って、暗い考えを締め出す。
「駅弁いいじゃん!旅行って感じがする」
彼の方向転換に乗っかることにして。
黎は気にしなくていいよ(黎の頭に手を乗せ、軽く撫で)
あぁ、行くか(話題転換に乗ってくれた相手に対して、何処か安堵した部分があり)
結構いろいろあるんだな。黎はどれにする?俺は唐揚げ弁当にしようかな。(美味しそうだと思い手に取り)
「…気にしないでって言われると気になるのがヒトってもんだよなぁ。まぁ、気にしないけど」
彼の言葉にぽつりと溢すが、気にするなと言われれば気にしないように努めて。
「俺は幕の内弁当!いっぱいおかずあるとわくわくする…!」
値段は気にせず、見た目の彩りとお腹の虫が満足しそうな内容で選んで。
まぁ、そうかもな(確かに自分も気にするなと言われたら、余計気になるよなと納得するが、深く追求されず、安堵し)
黎は嫌いな食べ物とかないんだな。(黎が選んだ弁当を見ながら本音が出て)代金は俺が払うよ
(財布を取り出し)
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