匿名さん 2023-02-22 09:00:47 |
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名前:西園寺 桜華(サイオンジ オウカ)
年齢:18歳(3年生)
性格:春のように穏やかだが冬のような冷たく冷静な部分もある、所謂みんなの憧れるお姉さまタイプ。基本的には無害だし自分への攻撃すらあまり気にしないが、自分の大好きな彼女に危害が加われば話が別。笑顔はそのままに相手を地の果てまでずうっと追いかけるしちゃんととどめを刺す。ただ決してその大きな愛を一気に伝えることはなく一般的に許容されると思われる大きさで渡すし残ったその感情を爆発させることなく自分の中にしまうことができる器用な女性。オトナ。でも本当はちょっと泣き虫だったり大きな音が苦手だったりとかわいらしい一面を持っている。(当たり前のように恋人の前でしか見せない)
容姿:ふわふわと柔らかで色素の薄いヘーゼル色の髪は胸元あたりまで伸びていて前髪はふんわりと右側にわけている。普段は髪をハーフアップでまとめており、白いリボンで留めている。瞳も髪の毛と同じヘーゼル色で少し陽に弱い。彼女の芯の強さを表すように上にぱっちりと上がった長いまつ毛や蠱惑的で大きなラウンドアイで、右目の下に涙黒子がある。肌はシミ一つない白い肌で、細い手足や腰と女性らしい豊満さがよく他人の目を集めがち。身長は166センチ、体重は48キロと?せ型。普段制服は着崩すことなく着用しているが足の長さ故スカートを巻き上げているように短く見えてしまう。顔立ちは可愛いというより綺麗と評されることが多いので可愛いと言われるのが少し気恥しい。
備考:一人称は「私(ワタシ)」二人称は「貴方」
好きなものは恋人、料理、ピアノ。苦手なものは大きな犬、男性。後者について顔にこそ出さないものの、一人になったときに思わずため息を吐いてしまう程度なものなので強いて言えば苦手なもの、に近い。家族構成は「父(政治家)・母(専業主婦)・兄(弁護士/24)」の四人家族で富裕層。男子生徒にはもちろん当たり前のようにモテるのだが、意外と女子生徒からは「お姉さま」として慕われている。幼少期からピアノを習っており、そこそこ大きなコンクールで優勝するほどの腕前。将来もピアニストとして活動するのではないかと周囲から噂されるが本人はどこ吹く風。
(/この度はお声がけありがとうございます!
自分で考えた軽い設定のみ置いておきます、
修正やここの設定こうしたいなどあればお気軽にお伝えいただければ・・・!
またお相手様のプロフィールは簡単なもののみで大丈夫です!
もしもっと深く設定を練る等ありましたら一緒にたくさん考えさせてください~!
絡み文等置いていただければ絡ませていただきますし、某トピの続きからでも大歓迎です!)
(/募集板で声をかけさせていただいた者です。トピ建て、そして素敵なプロフィールありがとうございます!!なんて理想通りのお姫様でしょう。絡むのが本当に楽しみになってきました!こちらもプロフィールを提出致しますので、何かあれば何なりと仰ってくださいね。)
名前/藍沢 琥珀( あいざわ こはく )
年齢/18歳(3年生)
性格/正義感が強く、困っている人を見ると放っておけない。その優しさが容姿と相まって「王子」と呼ばれることとなる。気さくで誰とでもすぐ打ち解けられるが、案外人付き合いは上辺だけで、適当だったりする。独占欲が強く、好きな人とは一緒にいたいし触れていたい。イタズラ好きな所があるが、それは好きな人限定。実は甘えるのが好き。
容姿/身長173cm。細身ですらっと伸びた手足。黒髪。髪型はセンターパートの前さがりショートヘア。瞳は普段は黒っぽい色をしているが、光を浴びると青みがかる。少し切れ長な目元だが、はっきりとした二重、長い睫毛が印象的。顔立ちは中性的で整っている。制服のスカートが無ければ確実に男と間違えられる。制服はそれなりにきちんと着ている。
備考/一人称「あたし」、二人称「君、名前」
家族構成、父(武道家)、兄(大学生21)、妹(中学生14)、愛猫。家は道場をひらいており、たくさんの門下生が通っている。和風な屋敷。母を幼い頃に亡くしている。
好きなもの、恋人、猫、甘い物。苦手なもの、裁縫(不器用)、絵。
男子を差し置いて周囲の女子の視線を奪う。告白は女子からしかされたことがない。
運動神経抜群で、色々な部活の助っ人をすることもしばしば。幼い頃から、父に武道を習う。特に空手、剣道は得意で全国大会出場実績もあり。
(/はちゃめちゃに素敵です…!!
正に王子と呼ぶに相応しいカッコ良さとイタズラ好きだったり絵や裁縫が苦手だったりの可愛さが共存していて最高です最高です!!桜華は勿論ですが中の人までキュンキュンです…!
すてきなPf提出ありがとうございます!
最初の絡み文の希望等はございますでしょうか…?特に無ければ絡み文を書いて頂ければこちらから絡ませて頂きますし、こちらから絡み文を投下させていただくことも可能です…!)
(/褒めていただいて嬉しい限りです!!よろしければ初回お願いしてもよろしいでしょうか?特に初回の場面に希望はないのでおまかせする形なりますが…。)
……きら きら ひかる よぞらの ほしよ 、
(柔らかなオレンジの夕陽差し込む放課後の教室。窓際の前から三列目という絶妙にバランスの良い自分の席に座りながら待つのは愛しの恋人。夕陽の光に照らされるきらきらと煌めくヘーゼル色の髪の毛をさらりと肩から落としながら、ぽつりぽつりと歌うのはきらきらぼし。決して大声ではなく耳を澄ませなければ聞こえないほどだが、ピアノをやっているだけあり音程はしっかりと揃っており、小さな子どもを寝かしつけるかのような優しい声で。大好きな恋人は部活の助っ人に出ており、一緒に帰りたいからと現在教室でそれを待っているのだ。まるでドラマのようなワンシーンに、部活の終わった男子生徒たちが廊下を通る度にそちらをちらちらと見ているが、桜華はそれを気にすることなくうとうとと船を漕ぎながら小さく歌を続けて。)
(/もちろんです、!
シチュエーション勝手に作ってしまいましたが、絡みにくい等ございましたらお気軽に仰ってください……!)
( 今日はバスケ部の助っ人として他校との練習試合に参加を。練習中も練習後も観客席に座る女子生徒から浴びる黄色い声援に何度か笑顔で手を振るも、本当に欲しい声援はここにはなく少し寂しい気持ちにもなる。試合が終わるとそそくさと着替えを済ませ荷物を担ぎ、恋人の待つ教室へ。聞こえてくる歌声に相変わらず綺麗な声をしているな、なんて思いながら入り口から中を覗くと夕陽に照らされる彼女が本当に美しく、見惚れてしまう。歌い終わる頃合いに彼女の元に近付き。)
お待たせ、桜華。
(/なんて素敵な場面でしょう!こちらこそ分かりにくい等あったら言ってくださいね。これからどうぞよろしくお願いします!)
────…こはく、?
(もう少しで蕩けるような意識も完全に落ちてしまう。そんな時に自分の耳を擽ったのは愛しくて優しい恋人の声。とろりとしたはちみつよりも甘く感じる苑声に眠る寸前にしか見せないようなふにゃりとした笑顔を浮べる。たしか今日の助っ人はバスケ部だっただろうか。女の子にきゃあきゃあと黄色い声援を向けられる恋人が見たくなくて──あとは単純に彼女が助っ人に行くのならば応援するまでもなく勝つので──今日は応援に行かなかったが、狭いコートをボールを匠に操り駆け抜ける彼女を見られなかったのは残念で。そうっと白魚のような手を伸ばして彼女の両頬に手を伸ばせば 「試合おつかれさま、」 とまだ少し寝ぼけているのか平仮名まじりのぽわぽわとした喋り方で彼女を労えば柔らかく微笑んで。)
(/こちらこそあまりに私得なトピに参加して下さりありがとうございます!
ぜひぜひ、これからよろしくお願いいたしますね! /返信不要)
ふ、なんだ。寝ちゃってたの?
風邪ひかないでよ。
( 声をかけた恋人の様子、このお姫様はどうやら半分夢の世界にいっていたらしい。まだ眠そうに、そして自分にしか見せないであろう可愛らしい笑顔を見ると、鼓動が速くなる。座っている彼女の前の席に腰を下ろし、彼女の方に身体を向けて座ると、頬に触れた綺麗な指。突然のことに目を丸くすると、自分を労るその言葉に嬉しそうに微笑み「ありがとう」と告げる。正直こんな教室で待たせている間に彼女に何かあったらと思うと本当は気が気でないのだが、彼女と自分の関係からしてなかなか応援に来て欲しいとも言えない。未だふんわりとした眠けが漂う彼女を見つめ、頬にある手に己の手を重ね合わせれば、少しだけ距離を縮めて低く囁くような声で呟く。無論周囲にはもう人の気配がないことは分かっていて。)
…お姫様は目覚めのキスが必要?
ん、っ……
( ふと距離を縮めた彼女の蠱惑的な囁きに思わずぴくりと肩を跳ねさせる。いつもよりも少し低くて意地悪な、自分しか聞くことのできない〝いつも優しくてにこやかな学園の王子様〟ではない彼女の一面。自分の手に重なった、自分よりも少しだけ骨ばったしなやかな手の感触。その2つが相まってそわりと腰をくすぐる感覚が桜華の目をもうすっかり覚ましてしまったのだが、でもいい子に待てができたお姫様にも、人の為に頑張って活躍をした王子様にも、ご褒美は必要だ。そんな言い訳を心の中で重ねながら、返事をする代わりに彼女のディープ・ブルーと自分のヘーゼルをキスを強請るかのように数秒だけ絡ませた後そうっと瞼を閉じて。 )
ん…、
( 彼女の瞼が閉じ長い睫毛が覆い被さる、それは肯定の合図だろう。彼女の魅惑的な唇を捉えるとそっと己のそれを重ねて、自分も瞼を閉じその感触を愉しむ。こんなに可憐で愛らしい彼女にこんなことができるのは自分だけ。そんな優越感にも浸りながらも、もっと愛しい恋人が欲しくなってしまうのは我儘だろうか。そっと名残惜しげに離した唇、ゆっくりと瞼を開き捉えた彼女の表情を見ると満足げに微笑み。そろそろ帰ろうと声をかけて。)
そろそろ帰らないと。
桜華の家の人心配するだろうし。
……っ、は、……。
(キスの最中、呼吸を停めてしまうのは自分の悪い癖。唇に重なる柔らかな感触と、自分に触れる優しい手、その2つだけでも十二分にくらくらと頭を酔わせるには十分なのにそこから更に彼女の香りが重なってしまったらといつも反射的に呼吸を停めてしまう。離れた唇に名残惜しさを感じながら情欲に蕩けた瞳を開ければ、彼女の青みがかった瞳がこちらを見つめていてまたどきりと胸が高鳴り。ああ、かっこいい、ずるい、だなんて普段彼女の周りにいる女子生徒のような脳直な考えを一瞬持ってはそれを持ち前の精神力でそうっと胸の奥にしまう。帰ろう、とこちらに声をかける彼女ににこりと微笑めば椅子の音も静かに優雅に立ち上がり、先程の口付けで少しだけ赤くなった自信の陶器の頬にそっと手を添えながらいたずらっぽくぽつりと返して。 )
ふふ、琥珀と一緒にいたと言えば平気よ。
……でも、そうね。こんなに赤くなったお顔で帰ったら〝心配〟されるかも。
ふ、そうかも。
でもあたしは今の桜華の顔好きだけどね。
( 確か大事な娘がこんな顔をして帰ってきた暁にはどんなことになるだろう。想像するとちょっと面白くて笑ってしまうあたり、自分も中々性格が悪いと思ってしまう。椅子から立ち上がると部活動のジャージなどが詰め込まれたリュックを担ぎ、未だに己の紅くなった頬に手を当てている可愛らしい彼女の姿を見ると純粋に思ったことを伝えて、「行こう」と教室を出るために歩みを進める。先程まで夕方の空だったのが、気付けば陽も落ち辺りは暗くなっていた。彼女の家と自分の家はそう離れてはいないため、彼女を送り届けてから自分の家に向かうのがいつものこと。高校を卒業してもずっと彼女の傍にいられるだろうか、なんて珍しく心配事をしながら玄関までの道を歩く。)
まぁ。……ふふ、琥珀ったら。
(くすくす、と鈴の転がるような声で可笑しそうに笑いながら自分のことをなんだって愛してくれる愛しの恋人に呆れてみせる。そんな顔が見れるのは貴方だけよ、なんて言葉は野暮であった。そんなこと自分も彼女もわかっているのだから。もうすっかり静かになり、暗んできたを彼女と並んで歩きながらふといつものように彼女の腕にするりと自身の腕を絡ませる。〝学園の姫と王子〟としてでも許される距離感はこれが限界だった。本当は恋人繋ぎをしたいけれど、でも恋人の顔をしている彼女を見るのは2人っきりの時で、自分だけでいいと思っている桜華のちぐはぐなワガママだ。と、昇降口まで辿り着きいつものように下駄箱の扉をかこんと開ければ、そこにはひとつのシンプルな白い手紙。 「……あら、」 と一言零せば特に驚きも慌てもする訳でもなく手紙を手に取り、差出人は誰かと裏面を見ると隣のクラスの男の子。無論話したことはないが、こうしてあまり接点のない人から手紙をもらうのは桜華も彼女も初めてではない。……最も、彼女は同性からのラブレターを自分よりも余程貰っているのだが。女の子は男の子よりも好きな人に手紙を渡す文化が進んでいるので。桜華としては少し困ったものである。 )
相変わらず、モテるね。
( 並んで歩くとき自分よりも幾分か背の低い彼女が、自分の腕にその細い腕を絡めてくるのが愛おしい。本当に自分が男だったならな、なんて思うこともしばしばあるが、男だったらきっと彼女は自分を好きになっていないだろう。下駄箱で靴を履き替える傍で、彼女が自身の下駄箱から取りだしたそれを見て。男子生徒から彼女への告白は日常茶飯事なので特に驚きはしないが、勿論いい気もしない。まじまじとその白い手紙を見ると、隣のクラスの男子から。多分この学校のほとんどの男子は彼女のことが好きだと思う。返事を返すのかどうかをちょっぴり心配そうに尋ね。)
返事、返すの?
ええ。折角丁寧に書いてくださったんだもの。
( 端麗な顔に不安の色をひっそりと滲ませながらこちらに問いかけてくる彼女に思わずさわさわと意地悪をしたいという心が芽生えてきたのか、桜華はその白いラブレターを大切そうにスクールバッグへとしまいにこ!と可愛らしい笑顔で上記を返して。そうして周りに誰も人がいないのを確認しては、そっと背伸びをして彼女の耳元に口元を寄せて 「 私にはもう既に大好きでいつも私の頭の中をぜぇんぶ占める王子様がいます、って。 」 とまるで猫が飼い主に甘える時のような小さく、でも強請るような声でそう告げては彼女の耳朶にちゅ、とキスを落としてはまた微笑して。 )
……っ、そんな可愛いこと言うと襲っちゃうよ?
( 心配が顔に出ていたのかは分からないが、突然の彼女の耳元での囁きと、耳朶に感じたリップ音に流石に冷静な表情では居られず。その満足そうな微笑みに、やられたと思うも、こんなことすら愛おしく思えてしまうのだから、本当に恋は盲目だなと感じる。彼女の髪を一束手に掬うと、少し姿勢を屈ませそこへ口付けを落とし、屈んだことで視線が同じくらいの位置にくると口付けたまま目線だけを彼女に向けてそう言い。どれだけ毎日彼女に触れたい気持ちを抑えていることか。こんな可愛いことをされては耐えられない。)
…あら、王子様は実はオオカミさんだったのかしら。
( まるで絵本の中の王子様がお姫様にそうするかのように、そうして目の前で自身の髪にキスを落とす恋人の目には暴力的な情欲がうっすらと滲んでおり。ぞわりと背中を駆けた独占欲や服従欲に似た何かを隠すように桜華はくす、と小さく笑顔を零して。だって今日は特に様々な女子生徒たちから色んな感情を彼女は向けられている。今だけは、いや、このあとずっと独り占めしても帰ってくるくらいだ。桜華は静かに彼女の唇の前に人差し指を立ててはふに、と指の腹で優しく彼女の唇に触れる。 「 ね、オオカミさん。今日はお姫様はおやすみなの。私は今日ひつじさんよ。 」 そう告げるといつもよりもずっと顔の近い彼女へいたずらっぽく微笑んで。 )
ははっ…、お姫様は羊さんだったのか。
どうりで美味しそうな香りがするわけだ。
( 彼女からの返しに思わず声を出して笑う。彼女とのこういう会話が好きだったりもする。手に掬っていた髪をそっと下ろすと体勢を元に戻し、お姫様もとい羊さんに微笑みかけ。彼女にもう少し触れていたいということに関して許可を貰えたのならば、この後彼女の家にでもお邪魔しようかな、と思いをめぐらせていると。そういえば、明日は休みだったことに気が付き、明日の予定を後で彼女に聞いてみようと思いながら、まずはこの後の予定を彼女に尋ね。)
この後、桜華の家にいってもいい?
────…えぇ、きて、?
( 計算通り。桜華はとろりと蕩けたヘーゼルに大好きな彼女を映しながら、普段の彼女からは想像できないほど熱を帯びた声でそう返事をして。これからの時間は自分が彼女のことを独り占めできるんだ、と心の中に咲いた独占欲の花は萎むことを知らず、桜華はにこりと美しく笑う。また体制を戻したのでいつものように見上げる形になった彼女を見つめながら、「 さっきの目覚めのキスじゃ足りないわ、 」と素直に自分の気持ちを吐露しては、今の自分はお姫魔ではないという免罪符を最大限有効活用してやろう、と彼女の青みのがかった瞳の中の自分の表情を見てまた笑い。 )
今日は随分と欲張りさんだね?
( 彼女の熱の篭った声を聞くと身体の芯が痺れるような感覚になる。こうも自分を翻弄させることが出来る存在は先にも後にも彼女しかいない。ヘーゼルの瞳に映り込む自分を見て、永遠にその瞳に自分だけを映してくれればいいのになんて思う。自分の恋人の色々な表情を見られることはとても嬉しいし、艶のある彼女の表情も自分だけが見られる特権だと思えば尚更、こんな表情の彼女を誰かに見せてなるものかと、内なる欲望に無理やり蓋をして「それなら、早くいこう」と彼女の手を取る。人も疎らな校門をくぐり抜けると帰路につき。)
うふふ、
( 自分の手を優しく引いて歩く彼女の姿を見て嬉しそうにうふうふと笑う。その姿はどこか駆け落ちをしようとする王子と姫のようで、人が疎らな中でも十二分に目を引く。彼女がこうして
エスコートをするのは自分だけでいいし、自分をエスコートするのも彼女だけでいい。そんな考えが浮かんでしまう自分は、やはり狭量な女なのだろうか。桜華は彼女と繋いだ手にきゅ、と柔く力を込めては帰路を2人で歩き。────閑静な住宅街にどしりと佇む大きな一軒家に着けば、桜華は「ただいま。」と玄関先から帰宅の挨拶を。夕飯の準備中だった母には既に彼女が家に来ることを伝えてあった為、あらあらいらっしゃい。と慣れた様子で声を掛けてくる。兄や父はまだ仕事中らしく家に不在なので、帰ってきた時に驚く顔が楽しみだ。そのまま2階の自分の部屋に真っ直ぐと上がれば、女性らしい白を基調としたシンプルながら上品な部屋のベッドにすとん、と座り。 )
……隣、きて?
( 閑静な住宅街にはあまり似つかわしく無い大きな邸宅。いつ見ても立派なその家の敷居を跨ぐと、玄関先に出てきた彼女の母親に余所行きの笑顔を貼り付け挨拶をして。2階へ続く階段を進むと彼女らしいシンプルかつ、綺麗に整理された部屋はいつ来ても落ち着く。担いでいた荷物をそっと邪魔にならないところに置くと、ご指名通りベッドに座る彼女の横へと腰を下ろす。ただの友達同士ならば、なんとも思わないだろうが、恋人である彼女にそんな風に呼ばれて期待しないわけがない。横にいる彼女の髪に手を伸ばすと、そっと撫でるように髪に触れて。)
桜華って、誘い上手だよね。
ふふ、だって琥珀にたくさん触って欲しいんだもの。
( まるで華奢な宝石に触るかのように繊細な相手の手を両手でそっと包んで自分の頬にぴとりと当てては上記を告げて花がほころぶような笑顔を浮かべ。世界でいちばん、だなんて子どもじみたことばではたりないくらいに愛している相手なのだ。自分の全てをあげたいし、触ってほしい。魂を半分あげてしまったかのように自分は彼女に心酔しているようで。普段はそんなことを少しもおくびにださないはずが、2人きりの密室ということが彼女を少しだけわがままにさせる。桜華は彼女のさらりとした優しい手にすり、と頬を擦り付けるような仕草をしては目線のみで彼女を見て、返ってくる言葉なんて分かりきっているくせに甘ったるい一言を漏らして。 )
それとも、こんなにはしたないわたしは嫌い、?
分かってるくせに。
どんな桜華でも、好きだよ。
( 長い睫毛から覗くその瞳がやけに扇情的に感じる。ぞくっとした感覚が背筋をかけ、もう彼女から視線を逸らせなくなってしまう。そんなことを言われて自分がなんて言うのかなど、彼女には分かりきっているはずなのに。でも彼女が望むなら何回だって言ってあげよう。花のような頬に寄せられた自身の手を離すことなく、そっと顔を寄せるとそのまま吸い込まれていくように彼女の唇に己のそれを重ね合わせ。先程の触れるだけの口付けとは違い、深く彼女を求めるように口付ける。)
ん、……
( 先程よりも、彼女の熱を感じる深いキス。桜華は思わずびくりと体を硬直させたあとにもっと、とでも強請るように腕をするりと彼女の首に回して。頭がくらくらとまるで酔っているかのように何も考えられなくなる。否、彼女のことしか考えられなくなってしまう。体いっぱいに感じる彼女の熱と、感情と、それから腰をくすぶるような情欲。桜華は熱に蕩けるような瞳で彼女の涼やかな中にも熱のある瞳を見つめては「 ───…すき、 」とキスの合間にそう伝えて。 )
…っ、桜華がもっとほしい。
( 首に回った腕、自身も片方の手で彼女の腰に手を回しより自分の体を密着させる。合間に漏れる吐息、そして囁かれた彼女からの愛の告白。もう何もかもどうでもよくなるくらい、頭の中が真っ白になると気付けばベッドへと彼女を押し倒す形になり。もっと、と溢れ出るのは彼女を求める際限ない欲望。彼女を見下ろす形になれば、少し乱れた呼吸と共に彼女への欲望を綴り、愛おしそうに、しかし熱の籠った視線を彼女へと向けて。)
あげる、……ッあげるわ、ぜんぶ。琥珀に───。
( もう、何かを考えることすら出来なかった。下に母が居ることや、普段の落ち着いた自分らしからぬ乱れた呼吸や蕩けた瞳さえ気にならなくなってしまうほど。それ程までに目の前の彼女に全てを捧げて……否、全てを喰らい尽くしてしまってほしいという桃色の甘い麻薬のような感情だけが桜華の脳内を支配していた。呼吸を乱してこちらを見下ろす彼女の瞳の熱に溶かされてしまいそうで、それでも彼女のブルーブラックの夜空のように深い瞳からは決して目をそらすことが出来なかった。自身の情欲に揺れる彼女は実に扇情的で学校で彼女に黄色い視線を向けている女子生徒たちは見ることはおろか、想像することすら叶わないだろう。彼女のそんな顔を見られるのも、こうして熱っぽい視線を向けられるのも自分だけ。桜華はそんなことをふと思いついては熱で潤んだ瞳で彼女を見つめて、ふわりと微笑み。 )
そんなこと言って、後悔しても知らないから。
( 全部、彼女の全ては自分のモノ。そう言われると満足気に微笑み。再び口付けを落とす。少し開いた彼女の唇に自分の舌を滑り込ませ、彼女の口内を堪能すると同時に片手で彼女の制服のシャツのボタンへと手をかける。ここは彼女と自分だけの空間とはいえ、下には家族がいるのに、同性で友人であることを利用し、こんなことをしてしまっている背徳感を感じつつ。しかし止まらない欲求に歯止めをかけることはできず、ただひたすらに自分の欲望に忠実な獣になったかのように貪り。)
(/背後失礼します!このあと場面転換した方がいいかなと思うのですが、何かやってみたいことなどありますか??)
っ、……、
( ふ、と長い睫毛を伏せる。〝こういう時〟の彼女の顔はとても格好良くて心臓に悪いし、そして何よりも気恥ずかしさが勝ってしまう。ぞわぞわと体を駆け巡る感覚と、熱にうなされるような蕩ける情欲。彼女のことをオオカミだなんて言ったけれど、自分は羊なんて可愛らしいものではなく、もっとはしたなく浅ましいものなんじゃないだろうという考えにすら陥ってしまう。だって羊は自分からオオカミに食べられたいだなんてお強請りはしない。自分はこの美しいオオカミに、骨の髄まで食べ尽くして欲しいと願ってしまうのだから。 )
( /背後様!私もちょうど場転してこのあとの展開をお聞きしようかと思ってました…!
この後の展開、此方から特に希望はございませんので琥珀さん背後様がやりたい展開に進めていただけたらな、と思います…! )
(/背後のみで失礼します!ではでは例えばですが、せっかくの学園ものなので、文化祭や体育祭などをやっても面白いかなと!文化祭であればミスコンテストで桜華ちゃん優勝してほしいですし(優勝確定)、桜華ちゃんを蹴落とそうとして悪戯をしかける女子たちから桜華ちゃんを守りたいという願望←いかがでしょうか!体育祭だったら琥珀が活躍できるのでそれも面白いかなと!!)
(/ 文化祭も体育祭も楽しそうです…!!
イタズラを仕掛けられてる桜華を守ってくれる琥珀ちゃんが見る前からもう既にカッコよくて好きですし、ミスコンで優勝する桜華も何故かミスターコンにエントリーを勝手にされていて男子を差し置いて優勝してしまう琥珀ちゃんも見たいです…!笑 そして体育祭で無双する彼女なんて見たら桜華がもう更にメロメロになるのが目に浮かびすぎて思わずにやけちゃいました……素敵……
せっかく素敵な案を出して頂けたのでどちらもしてみたいですし、順番にやってみたいなあと思うのですがいかがでしょうか…!?)
( / もちろん大丈夫です!体育祭でカッコよく女の子たちの心を盗んでいく琥珀ちゃん楽しみです…!!(私含め)(重要)
ありがとうございます、よろしくお願いします…!)
───
( 夏から秋に変わる頃。毎年行われる体育祭。運動好きな自分にとっては学園行事の中でも一番好きな行事だ。しかも今年は大好きな恋人と同じクラス。彼女に応援してもらえるというだけで体育祭に参加する意味があるというもの。種目は色々用意されているが、自分は徒競走を始め借り物競争、クラス対抗リレーに出場予定。体育祭後には、フォークダンスをするイベントがある。クラス事の色があり、自分たちは赤団となっている。赤のハチマキを頭に巻き、気合いは十分な様子で応援席に集まると、彼女の姿を見つけて。)
─桜華は何の種目に出るの?
あら、琥珀。
…ふふ、それがね。クラス全体種目以外なにもないの。
( 体育祭。いつもハーフアップにしている髪は邪魔にならないように高い位置でのポニーテールにしており、赤組であることを示す赤いハチマキはクラスの女の子がお揃い!と縛ってくれて頭の上で小ぶりなリボンのようになっている。今どきの女の子はkawaiiと学校行事を両立するものなのだ。現に他のクラスメイトの女子たちは猫耳だったりねずみ耳のようになっていたりネクタイのようになっていたりと様々だ。と、ふと喧騒の中でも耳に入る大好きな声に振り返れば今日も変わらず女子たちの視線を集める爽やかで美麗な自身の恋人が。彼女からの問いかけに困ったように眉を下げながら答えて。個人競技に出たくなかったという訳では無いが、やはり最後の文化祭となれば勝利のために個人競技に立候補する者や推薦される者も多く。無論愛する彼女は後者で、確か色んな競技に出ることになっているとクラスの女子がきゃいきゃいと話していたような…と記憶をなぞりつつ。そうしてにこりと微笑めば彼女の耳元にそっと唇を寄せて。)
だから今日は琥珀のことたくさん応援させてね。
お弁当も作ってきたから、一緒に食べましょ?
桜華に応援してもらえるのが何よりも楽しみ。
お弁当も、ありがとう。
( 一際目立つ彼女はポニーテールに赤団のハチマキがリボンのようになっていて、本当に可愛いし今すぐ写真にでも収めたい欲に駆られる。質問の返しにはどうやら彼女は個人種目には出ないようで、つまり自分のことを常に応援してもらえるということになる。嬉しそうに笑うと、応援をしてくれる彼女のために頑張ろうと思う。さらには昼食のお弁当まで作ってきてもらい、一緒に食べられるという特典つき。自身の耳元でそっとそれらの内容を伝える彼女が愛おしくて仕方がない。こちらも彼女の耳元に唇を寄せると、今日の髪型のことについて述べて。こんな可愛らしい彼女を見てにやにやしている男共が許せない。競技で自分が出場している間彼女のそばにいられないということだけが気掛かりなところで。)
…今日の髪型と、リボン似合ってる。
可愛すぎて他の人に見せたくないんだけど。
うふふ、最初は猫耳だったのよ。
でもダメだってみんなが言ったからリボンなの。
( 可愛い、と恋人に囁かれればパッと花が綻ぶように嬉しそうに口元を押えてうふうふと笑い。クラスで結んでもらっている当初は猫耳を作ってもらったのだが、完成した桜華を見て静かにクラスの女子たちは首を振ってそれを解いていたのは今思い返してもよく分からない。でもそれでも大好きな彼女からそう褒められるのは嬉しくて、あとでクラスの女の子にはお礼でクッキーを焼こうと考えて。「 琥珀こそ、あんまり今日カッコイイとこばかり見せちゃ嫌よ。学校中の女の子があなたのことをもっともっと好きになっちゃう、 」ふと彼女にいたずらっぽく告げたのは小さな嫉妬。体育祭で彼女に活躍しすぎるなということこそ、まるで魚に海の中で肺呼吸をしろというほどに無理な話だ。だからこれは桜華のわがまま。ほかの女の子に負ける気なぞサラサラないが、それでも恋人にきゃあきゃあと色めき立つ女の子を見るのはいい気はしないのである。 )
クラスの女子たちは懸命な判断をしたね。
…安心してよ。あたしが頑張るのは全部桜華のためなんだから。
( まさか、猫耳なんてものを彼女につけたら、学校中の男子がそれを見て倒れるくらいの破壊力があるだろう。クラスの女子はよく止めてくれたと頷いて。しかしながら、その姿を自分も見たかったなと少し残念そうに笑い。その後に紡がれた彼女の小さな嫉妬には、それは無理だなと苦笑を漏らす。なぜなら、応援をしてくれる彼女の為にも頑張らねばならないし、何より彼女にカッコイイ姿を見せたいのだ。自分が勝ちに行く理由は全て彼女の為。ふと、自分が全部の種目で1位を取ったら何かご褒美が欲しいと強請ってみて。)
ねぇ、全部1位とったら、ご褒美ちょうだい。
まあ。うふふ。珍しい。
王子様は何をご所望なのかしら?
( ご褒美が欲しい、だなんて彼女から珍しいおねだりを受ければ、きょとんとヘーゼルの瞳を丸くしたあとにすぐにくすくすと笑みをこぼし。こんなに幼いわがままを言ってくれるのも自分に対してだけ、と感じては母性本能に似た何かを感じてしまい、きゅうと胸が締め付けられるような感覚になり、なんでも叶えてあげなくなってしまう。これが惚れた弱みというものなのかしら、だなんて心の中で呟いては自身よりも幾分か背の高い彼女を見上げてこてりと首を傾げて。 )
私にできることなら喜んで。
やった。じゃあ考えとく。
( お願いに快く承諾が貰えると、珍しく子供のように無邪気に笑って。ただご褒美と言ったものの、今ぱっと思い浮かぶものは無くて、また考えてから返事をすると告げると、早速徒競走の招集放送がかかり。「じゃあ行ってくるね」と足取りは軽く、彼女に手を振ってから招集場所へと急ぐ。自分は、女子ではなく男子と一緒に走ることになっている。女子と走ると体格的にも能力的にも圧倒的に差がついてしまうための配慮だと教師に言われた。100m走のスタートラインに立つと、女子が色めきだっている中目もくれず、応援してくれている彼女の方を見ると手を振り。クラウチングスタートの姿勢を取る。ピストルの音と共に勢いよく飛び出せばあっという間にゴールラインのテープを切り。)
えぇ、いってらっしゃい。
頑張ってね。
( 可愛らしいお強請りを承諾したあとの彼女の無邪気な笑顔にまたきゅん、と胸を貫かれたあと、残念ながら召集がかかってしまい彼女は集合場所へと。ひらり、と彼女に手を振れば彼女が見えなくなったのを見て自分も待機場所へと。暫く名前も知らぬ男子生徒が走っているのをきゃいきゃいと可愛らしい野次を飛ばしながら見ている女子生徒たちと共に眺めていると『次!王子の番だ!』『きゃあ!頑張って!』と周りが一層色めき立ち。ふ、と其方を見ると確かに男子生徒に混じってスタートラインに立つ彼女の姿。「がんばって、」と手を振り返しながら告げた応援は〝王子がコチラに手を振った〟ことにきゃあきゃあと黄色い声を上げる女子生徒たちにかき消されてしまったが、きっと彼女には届いたはず。パァン、と小気味よい発砲音が聞こえたと思えばまるで彼女だけ重力が無いかのような軽やかな走りで風を切る姿を見て思わずそれに見惚れてしまい言葉を出すことも出来ず。彼女が1位になることは分かっていた、のだが。やはり間近でみるとあまりにそれが魅力的で、周りの女子生徒もめろめろと口元を押えており。)
( 1位と書かれた紙札を貰うと、これで1つ目の競技はクリアだと内心ガッツポーズを決める。一緒に走った男子からは「やっぱり本当は男なんじゃねぇか」なんて、恨み言を言われるが、それも慣れっこ。そんな言葉は気にせず彼女の元へ、と言いたい所だが引き続き「借り物競争」の招集が掛かってしまう。残念そうにしながらまた彼女へ視線を送ると招集場所へ。午前の部の自分が参加する個人種目は借り物競争で最後。それが終われば愛しい恋人とお昼ご飯が食べられる。それを励みに頑張ることにして。
借り物競争の自分の番となれば、先程と同じようにスタートラインにつく。徒競走と違うところはスタートして暫くしたところに紙が置いてあり、それに手に入れてくる物が書かれているというところ。先程同様ピストルの音が鳴り響くと一目散に紙をとり、お題を確認する。確認した後、脇目も振らず自分の愛しの恋人の元へ駆けて行き、少し息を弾ませながら彼女の手を取ると一緒に来て欲しいと頼みこみ。)
─桜華!一緒にきて!
『王子カッコよかったねぇ…!』
『ほんとにイケメンすぎる…同じクラスで良かったぁ』
( そんなクラスメイトたちの会話を聞いて、何故か自分の事のように嬉しくなるし自慢の恋人が褒められていることに得意げになってしまう。そうなの、琥珀はすごくかっこいいの。自分も本当はその輪の中に混ざってたくさん彼女のことを自慢したいが、それは我慢。私だけが知っていればいいだなんて思ってしまうのだ。と、どうやら次は借り物競争のようで恋人はこちらをチラリと見てまた召集されてしまった。でもこれで彼女のおねだりに1歩近づいた。いったい何がほしいのかしら、なんて首を捻っていればいつの間にか借り物競争が始まっており、何やら紙を見た恋人が真っ直ぐこちらへ走ってくる。来て、と手をとられ素直に立ち上がれば状況すら掴めないまま周囲にいた女子たちからまた黄色い悲鳴が上がる。「 っ、琥珀…!? 」学園の王子に借り物競争で選ばれる。確かにこんなに少女漫画のような展開は滅多に怒ることではなく、桜華自身も困惑しているようで瞳をぱちぱちと瞬きさせて。 )
後で説明するからっ。
( さすがの自分の恋人も急な出来事に驚いているようだった。ことの状況は後で説明する、と周囲を見渡すとまだ他の走者は借り物探しに苦戦している様子。今だと強引ながら手を引くと恋人を少し気遣いながらもゴールに向かって走り始め。なんとか2人でゴールテープを切るとゴール先にいる審判に紙を渡す。そこには「好きな人」と書かれており、手を繋いだままの彼女にもそれが見えるようになっていて。恋愛漫画的展開だなと自分でも思うが、そんなことを考える間もなく紙を見た瞬間体が動いたのは自分でも凄いと思うし、ある意味考える手間が省けて助かったとそのお題に感謝して。)
桜華のおかげで1位取れた。ありがとう。
っ、……!
( 〝好きな人〟。あまりに単純で、高校生の青春らしいお題。その文字が見えた途端普段人前では頬を赤らめることが少ない桜華の頬がリンゴのように色付き、彼女と手を繋いでいない方の手で口元を押えて。確かに公の場で王子と姫としてそれらしい振る舞いは普段からしているが、それでも彼女の真っ直ぐな愛情に思わずどきどきと心臓が高鳴り。心の準備をしていたらポーカーフェイスなんて幾らでもできるのに、こうして突然愛情を向けられると桜華はいつもぽわぽわと恋する乙女になってしまうのだ。周りの子達からの悲鳴も耳に入らなくて、彼女からのお礼でようやくハッと我に返ると、「 あ、ええと。ふふ、……私の方こそ。選んでくれて嬉しい。 」と桃色の頬のまま2人きりの時にしか見せないようなふにゃふにゃと幼い笑顔を浮かべて彼女と繋いでいる手を恋人繋ぎをしては、その握る手に軽く力を込めて。 )
…あー、だめだ。桜華と今すぐ2人きりになりたい。
( 彼女が見せる幼い笑顔、そして繋がれたままの手が恋人繋ぎになっていることにドキドキと胸が高鳴る。自分たちのクラスの控え場所に戻るまでの道すがら、不意に足を止めると彼女を見つめて周囲に聞こえないような声でそっと呟き。確かこの後は暫く昼食休憩になる、どこか2人きり、誰も邪魔が入らない場所に逃げて可愛い恋人を独り占めしたい。そんな欲望に駆られてしまう。こんなに欲望丸出しで、そろそろ彼女にあきられてしまうかもしれないなんて思うが、こればかりは止められない。)
……ふふ、琥珀ったら。
( 少しだけ顔の赤みも引いて、2人で控え場に戻る途中。彼女がこちらを見つめて小さな声で呟いた言葉に思わずくすくすと笑ってしまう。ちょうどこの後は昼食休憩だし、2人きりになれる場所に行ける機会はある。「よくってよ。2人きりになれる場所、行きましょう?」そう彼女を覗き込んで答えてはふわりと微笑んで。確か先日彼女の部活を待っている時間に自習をしていたら先生からもっと集中できる場所を、とのご好意で空き教室の鍵をもらったんだ、と思い出せば「2階の理科準備室の隣のお部屋の鍵、先日先生からお借りしたの。」と彼女に伝えてはそのまま空き教室へ向かい。今すぐ、とご所望の我が王子様のために教室にあるお弁当は後で取りに行けばいいや、なんて彼女にしては珍しく短絡的思考で。)
へぇ、すごいね。
( 今日の自分は些か我儘になっている気がする。すぐに了承してくれた彼女は、本当に自分を甘やかすのが上手いと思う。彼女いわく、先生からの好意で鍵を貰った空き部屋。その教師も果たして純粋な気持ちで彼女に鍵を渡したのかどうか分からないが、有難くこの機会に使わせてもらおうと向かった部屋。空き部屋ということで必要最低限のものしかないガランとした部屋は、どこか学校であることを忘れさせる。鍵を開け先に入った彼女の後ろ姿を眺め目を細めると、後ろ手にドアを閉め内側から鍵をかけ。そして彼女の後ろから腕を前方へ回し彼女をぎゅっと抱き締める。)
…はー、疲れたから癒して…。
ふふ、すごく素敵だったわ。
( 背後から彼女にぎゅう、と抱きしめられれば穏やかな微笑みを浮かべながら彼女の頭を優しく撫でて。こつん、と彼女の頭に自分の頭を触れさせながら彼女のさらりとしたハンサムショートの黒髪を軽く指で梳けば、他の人には見せない彼女の甘えん坊な部分に桜華の心は非常に穏やかで。男子生徒たちに混じっているにも関わらず活躍する彼女の姿は非常に──桜華はもちろんなのだが──女子生徒の乙女心を盗むには十分だった。きっと明日からの彼女の下駄箱はラブレターで溢れかえるし、それに部活のギャラリーだって増えてしまう。彼女が活躍してくれて嬉しい気持ちと、そんな嫉妬心からくるもやもやが桜華の胸の中をぐるぐると渦巻いては彼女の体温を独り占めするかのようにくるりと彼女に向き合うように体制を変えてぎゅ、と抱きしめて。 )
ありがと。桜華に応援してもらえたから頑張れた。
( 素敵だった、そう恋人に言われて嬉しくないはずは無い。思わず緩む頬に、照れたように笑って。こちらに向き直り抱き締め返してきた彼女の背中にまた腕を回せば自分も優しく抱き締め直す。何だか学校内のはずなのに、そうじゃない別の場所にいるような感覚に陥ってしまうのは、彼女と自分が2人きりこんなことをしているから。自分が参加するのも残すところ午後からのリレーだけ。絶対1位をとって、彼女にご褒美をもらいたいと意気込み。ふと自分の視線の先にある、リボンのハチマキをみると、猫耳も見たかったとぼそっと呟き。)
猫耳の桜華見たかったな…。
!……ね、琥珀。
お弁当を持ってくるわ。ちょっと待っててね。
( ぽつり、と彼女の薄い唇から漏れた言葉に思わず彼女に見えないように笑ってしまう。なんて可愛いことを言うんだろう、この恋人は。今すぐにぎゅっと抱きしめてあげたい衝動にかられたものの、ふと思いついたのは良いアイデア。桜華はするりと彼女の腕から抜けてお弁当を持ってくる、と告げては教室から出る際に彼女の頬にちゅ、とキスを落としてはその反応を見ることなくそのままぱたぱたと駆けて行き。暫くしてまた教室に戻ってきて、お弁当を片手にひょっこりと扉から顔を覗かせた桜華の頭にはハチマキで作られた猫耳が。そして手暇だった女子たちが更にアレンジを加えたのだろうか、髪形も猫耳に合うように編み込みのツインテールに変わっている。「教室にいた女の子にね、また作ってもらったのよ。……似合う、にゃん、?」折角猫耳を作ってくれたのだから、それらしいことをしたら喜んでくれるだろうか。そんな一心でお弁当を持っていない方の手で猫の手を作りこてりと首を傾げた口元に持ってきては、彼女の反応を伺って。一方、廊下からは猫耳を作ってもらっていた時に教室にいたのであろう男子生徒たちの桜華を探す声が響いていて騒がしいのだが。 )
…!
反則だって…っ。
( 頬に残った感触と、部屋から出ていく彼女。取り残された自分はただただ恋人の可愛さに打ちひしがれてしまう。部屋の中で椅子に座って大人しく待つ間、お弁当はどんなものだろうかとか、体育祭が終わったあとのフォークダンスは桜華と一緒に踊れるだろうかなど色々なことを考え。そうしている間に開いた扉の方を見ると、まさか先程の自分の願望がかなった姿の彼女が目の前に現れ。しかも想像を遥かに超える可愛さ。その可愛さに見惚れてしまう。現実世界だと認識するまでにどれほど時間がかかったか。ふと廊下から聞こえる男子生徒の声で我に返ると、彼女のこんな姿は絶対男子には見られてはいけないと思うとまた扉の鍵を内側から締めて。そして自分の願望を叶えてくれた彼女に再び抱き着くと、耳元でささやくように。)
可愛すぎるよ…、有罪。
ひゃ、……ふふ、午前中頑張ったプチご褒美。
( 耳元で囁かれてぴく、と反応をしてしまったもののすぐに少し恥ずかしそうにはにかんで。午前中の彼女の活躍は本当に素晴らしいもので、ささやかながら彼女の望んだことをプチご褒美として実行してみたのだった。本当でこんなことでいいのかしら、とは思ってしまうものの彼女の嬉しそうな反応を見ては桜華は満足気に笑い、だがしかし猫耳だけでも羞恥心を掻き立てるというのにツインテールというのは。最初は勢いでしてしまったもののだんだんと恥ずかしくなってきたのかじわじわと頬を赤らめると彼女に見えないようにぎゅ、と抱きついて。「 ……ご褒美だから、特別なのよ? 」普段はしてあげない、そんなイントネーションを含んだその言葉は羞恥で潤んだ瞳で彼女を見上げながらなのであまり覇気は無いし説得力もない。そしてどうせ彼女がお願いしたらいつでもしてしまうのは目に見えているのだ。 )
嬉しいけど、この部屋を出るときは外してよ。
ツインテールだけでも破壊力あるんだから。
( 普段とは違う彼女の様子に思わず頬を赤らめてしまう。本当に可愛い。しかしながらやはり気がかりなのは、この部屋から出た後のこと。絶対男子たちの眼には触れさせないと、この猫耳は外してほしいと困ったように笑い。ツインテールだけでもきっと男共は卒倒することだろう。絶対に見せてはいけないし、自分が彼女を男子から守らねばと意気込み。休憩時間も無限にある訳では無い。彼女を惜しくも解放をすると椅子に座り「お弁当食べよ?お腹空いた。」と笑って。)
うふふ、王子様の仰せのままに。
……最も、借り物競争のときに真っ先に走ってきてくれた誰かさんには負けるけれどね?
( くす、と穏やかな笑顔を浮かべながら悪戯っぽく上記を返して。借り物競争のお題が『好きな人』、さらに学園の王子が脇目も振らず自分の方へと真っ直ぐに走ってきてくれる。その姿に恐らく最高潮にドキドキをした女子生徒が一体何人いたことだろうか。破壊力なんてそんなものではない、人によっては人生で最大の思い出になりかねない。そんなことを地で行なってしまう彼女は、恋泥棒と呼ぶには相応しすぎるだろう。彼女の言葉にええ、と頷けば持ってきたお弁当を彼女の座る椅子の前の机に置き。しゅる、とお弁当を包んでいる布を解き、お弁当箱を開ければそこには彼女の好きなおかずはもちろん、可愛らしくハートの形に形作ったにんじんや、ノリで顔や口を作った熊のおにぎりなど。彼女の好みを入れつつも栄養価も考えたおかずが入っており。 )
お弁当…美味しそう…。
料理まで上手とか、桜華にできないことなんてないんじゃない?
( 蓋が開けられ、弁当の中身を覗き込むとそこには色とりどり、しかも様々な工夫がされたおかずが敷き詰められており、思わず感嘆の声を漏らす。自分も料理はできないわけではないが、こんな器用なことまではできないので、本当に尊敬に価すると頷きながら、スマホを取り出し写真を撮り。満足すると、手を合わせて「いただきます」と言い、お弁当と一緒に入っていた箸を使って、自分が大好きな甘めの卵焼きを取って食べる。恋人の作ったお弁当を2人きりでゆっくりと食べられるなんて、自分は幸せ者だとその口いっぱいに広がる甘い卵焼きに思わず微笑む。)
あら、昔は苦手だったのよ?
( 美味しそうに食べてくれる彼女を見て満足げに微笑みながら、さらりとそんなことを返す。そう、本来桜華は料理などは苦手分野だった。レシピ通りにやったって少しの火の加減などで味が変わってしまうし、食材の新鮮さによっても変わってきてしまう。教科書通りにいかない〝料理〟という分野は慣れるまでに時間がかかった。それでも得意になれたのは────「 誰かさんの胃袋を掴みたくて頑張ったの。どうやら計算通りだったみたい。 」とふわりと微笑みながら自身もおにぎりを手に取り一口食べて。今どきのお姫様は黙って王子様を待つだけではなく、ライバルから抜きんでるために。確実に王子のハートをゲットできるように努力をしなければならない、と。 )
へぇ。そんな風に思っててくれたなんて知らなかった。
そう思うと一層美味しく感じるね。
( お姫様が料理をする。そんな姿を誰も想像をできないだろう。苦手だったものを自分の為だけに克服し、頑張ってくれたのだと知るとなんとも感慨深いものがある。そんな相手の策にまんまとはまり、胃袋を掴まれてしまった。そもそも料理が上手くなかったとしても、自分は彼女の虜なのだが。自分も可愛らしいおにぎりをひとつ手に取ると、一口食べて満足気に笑って。これだけ美味しいものを作れるのだから将来はいいお嫁さんになれるだろう。無論そのお嫁さんを迎えるのは自分だといいなと思いそんなことを呟いて。)
桜華の作るものはどれも美味しいよ。いいお嫁さんになれる。
…琥珀のお嫁さん、?
( いいお嫁さんになれる。その言葉にぴた、と魔法にかけられたように固まってしまえば、少し経ったあとに少し不安そうな瞳で彼女の深い海の色のような瞳を見つめて。彼女以外の人の隣にいるつもりはないし、そんな自分は想像すらできないのだが、それでもやはり自分たちは同性同士だし、それに彼女は全国大会に出場するほど武道の道を究めている。将来そちらの道に進むことだってできるのだ。その時に自分が足かせになどはなりたくない。ふわりと芽吹いてしまった不安の種はとどまることを知らず、思わず彼女のお嫁さんだなんて聞いてしまった自分の軽率さに後悔をして。なぜだか鼻の奥あたりがツンとして、桜華は困ったように笑顔を浮かべればふるふるとその不安を払しょくするように首を振って。 )
ごめんなさい、なんでもないわ。
…お弁当、美味しいならよかった。また作らせてね。
…ごめん。何か不安にさせてしまったみたい。
言っとくけど、勿論あたしのお嫁さんになってもらうつもりだから。桜華が他の人のお嫁さんだなんて、考えたくもない。
( 彼女の表情が一気に曇ったことに気付くと、しまったと思う。自分は当たり前のように彼女が自分のお嫁さんに、と思っていたがそれは彼女を不安にさせてしまう言葉だったらしい。自分たちは同性で、いまの日本では結婚など法律上できないことは知っている。それ以外にもきっと思うことがあったのかもしれないが、自分は彼女以外と一緒になるつもりもなければ、彼女が他の奴のお嫁さんだなんて、考えるだけでも虫唾が走る。だから、安心して、と彼女の可愛らしい小さな手にそっと自分の手を重ねて。)
!……ふふ、うん。そうね。私も同じよ。
( ぽたり、と不意に零れた暖かな雫は彼女の手の甲に落ちて、そうして桜華はふわりと花が綻ぶように笑った。悲しい訳では無い。将来を悲観しているわけでもない。ただ、この高校生という若い2人の将来を約束するその優しい体温が。ただただ桜華は暖かくて透明の涙をポロポロと零す。彼女以外の人とこうすることも、隣に並ぶことすらも想像したくはないし、彼女が自分以外の女性と一緒になるというのならば鬼女にもなってしまうだろう。そんな感情に蓋をして、桜華は愛おしそうに彼女の手を自分の頬に当て、「だいすきよ、琥珀。……私の唯一。」と、春の陽のように暖かで穏やかな声色で彼女への気持ちを吐露して。 )
…泣いてる顔も悪くないけど、笑顔の桜華が1番だよね。
( 自身の手の甲に落ちた雫。まるで彼女の目から溢れ出るそれはきらりと光る宝石のよう。そして安心して笑みを見せる彼女に、自分も愛おしそうにほほ笑みを浮かべると、彼女の頬に寄せられる自身の手。「 あたしも、大好き。」と短いながらも、柔らかい声色で囁いて。いつか彼女と一緒になれる日がくることを願って、彼女の頬に添えられた手をそっと離し、彼女の左手をとって自分の口元へ。左手の薬指に口付けると、彼女を見つめ。)
!……ふふ、
( まるで指輪をその指にはめるように。未来への約束を、ここを予約とでもするように。そうして左手の薬指にキスを落とされた桜華はぱっと頬に朱を散らしながらも幸せそうに微笑んで。こんな幸せな時間がいつまでも続けばいいのに。そう思うものの時間というものは実に残酷なもので、もう昼休みが終わるまでには15分を切っており。桜華はそれに気付くとはた、と我に返り「 大変、もうこんな時間だわ。 」とヘーゼル色の瞳を丸くして。1位を取る以前に種目自体に出られなかったら意味が無い。愛する彼女の滅多にないお強請りを叶えてあげられるチャンスなのだ、しっかりと1位を取ってもらわないと桜華は困るのだった。 )
もう…?
仕方ない、行こうか。…あ。
( 彼女との楽しい時間というのはあっという間に過ぎてしまう。もうこんな時間になるのかと、恨めしそうに時計を見つめては仕方なく立ち上がり。良い感じにお腹も膨れ、これで午後からの競技も頑張れる。彼女に最後までいい所を見せなくては、と。部屋を出る前、猫耳とツインテールは元通りになっていることを確認すると、最後に、と彼女の頬に口付けをそっと落とす。「 絶対1位とるから。楽しみにしててね。」と告げて彼女へと手を差し出し、彼女の手を取ると扉を開け運動場へと足を進め。応援席に戻ったときに男子の視線が彼女に向くが、猫耳でもツインテールでもない姿に明らかに落胆の色を見せており、それに対して少し勝ち誇ったような笑みを浮かべる。最後の競技、リレーの召集がかかると、彼女に手を振って招集場所へ向かうことに。)
────…まって。
( 最後のリレーの召集がかかり、こちらに手を振って召集に向かおうとする彼女をふと呼び止めてはそのまま小走りで彼女に近づく。勿論他の生徒がたくさんいるのだが、桜華は彼女の肩頬に手を添えては少しだけ背伸びをしてちゅ、と彼女の頬にキスを。きゃあ、と周りの女生徒たちから上がる黄色い悲鳴と男子生徒たちの驚愕の顔。……無論、嫉妬の赤い炎に燃えている女子も何人かいるのだが。桜華はそれを見てふふ、と楽しげに笑っては「 …1番になれるように、おまじないよ。頑張ってね。 」と彼女の耳元でそっと囁いて。マアそんな事は方便で、実際はこんなにも体育祭で活躍した彼女に恋をしてしまったであろう女子生徒たちへの牽制が主なのだが。桜華はそれに満足したのか彼女の反応を見ることなくひらりと赤いハチマキとポニーテールを揺らして応援席へと戻り。 )
……!
ふ…、頑張ってくるね。
( まさかこんな人の目がある所で。我が恋人はどれだけ自分を驚かせるのだろうか。目を丸くした後に、耳元で囁かれた言葉には、口元に思わず笑みを浮かべ頑張ってくると伝えて招集場所へ。男子メンバーに混ざったクラス対抗リレー。男子を差し置いてだが、リレーのアンカーとなった自分は最終走者を示す赤のゼッケンを身につける。やはりクラスの優勝がかかる最後の種目とあらばその雰囲気はピリピリしたものがあり、さすがに少し緊張をしてしまう。いよいよ第1走者がピストルの音と共にスタートをすると、応援席からは声援が飛び交い。どうやら赤はスタートに遅れをとったのか、3位の位置に着けている。中々ここから挽回は難しいかもしれない。)
『ね、ね、ね、王子アンカーだよ!』
『やばい勝てるかなあ今3位じゃん!!』
『王子ーっ!大好き頑張ってー!!!』
( 我らが赤組はスタートに躓き現在3位。最下位でないだけマシ、と思うべきか。それとも優勝には届きそうもない、と諦めるか。応援席の生徒たちの反応はまさに様々で、今までの競技のどれよりも応援の声は大きく、走者がアンカーに近づくにつれヒートアップしていき。最後の体育祭。そして勝敗の決まる最後の競技。そう来るとさすがの桜華の心臓もいつもより早く高鳴っており。周り女子たちと同じように程よく赤の走者を応援しながらも、もうそろそろ彼女へとバトンが引き継がれるタイミングで少し戸惑いながらも、聞こえないだろうとは分かっていても「琥珀ッ……がんばって……!」と彼女へ1番のエールを送り。祈るように組まれた両手は不安からか少し震えていて、周りの生徒たちの盛り上がりも今までで最高潮に跳ね上がり。 )
( 変わらず順位は3位。アンカー前の走者が走っている間に指定されたレーンでバトンを待つ。いつもはそう緊張はしない自分も、最後の競技ということもあり僅かに緊張の色を滲ませる。そうこうしている間にやってきた走者がテイクオーバーゾーンに差し掛かった瞬間、タイミングを合わせて走り始め、上手くバトンを貰うことができた。後は全力で走り抜けるだけ。アンカーは1周走らなければならない。つまりチャンスはまだある。前にいる青、黄団のアンカーの背中を追い、なんとか2位に。ゴールまであと僅かのところで1位の男子と並ぶ。ゴールまで最後の力をふりしぼり駆け抜けたところで、ゴールを知らせるピストルが鳴り響き。審判を見ると、僅かに自分の方が先にゴールテープを切っていたようで。じわじわと1位を掴み取れたという実感が湧いてきて、思わず彼女の元へ走り出し、周囲の視線も気にせず彼女に抱き着き。)
やった!桜華!1位取れたよ!!
きゃっ、……っふふ、すごい!琥珀すごいわ!
( ぎゅう、と周りの視線も気にせず抱擁する彼女に少し照れたように目を見開くもすぐにぱっと笑って彼女を抱きしめ返し。彼女が1位を取ると信じて止まなかったが、それでもやはり実際に1位をあんな接戦の末掴み取ってくる彼女があまりにも素敵で。桜華はにこにこと彼女の方に顔を埋めては「 すごく格好良かった。 」とまだドキドキと高鳴っている心臓の音を隠すかのようにぽそぽそと言葉零して。 )
(/いつも楽しいやり取りありがとうございます。今週リアルが多忙を極めておりまして返信遅くなると思います。すみませんが宜しくお願いします。)
( / こちらこそいつもカッコよくて素敵な王子様とお話させていただいていてとっても楽しいですありがとうございます…!
多忙な中ご連絡頂きありがとうございます!どうぞ無理なさらない程度で結構ですので、ご自身の休息を第一にお過ごしください…!!! )
ありがとう。
桜華の応援のおかげ。
( 愛しい恋人を抱いているうちに落ち着きを取り戻すも、未だに胸のドキドキは止むことを知らず。ふと彼女から聞こえてきた言葉には、本当に嬉しそうに笑って彼女のおかげだと返し。そっと相手を離すと、「これで桜華にお願い聞いてもらえるね。」と子供のような笑みを見せて。しかしそのお願いはまたあとで2人きりになってから伝えることにしようと思い、一先ず体育祭の閉会式が行われるためクラスの場所へ戻ることに。
無論、赤団は総合優勝。クラス全員が喜びに湧いた。
まだまだ賑わっている皆を置いて、彼女の手を引きその円の中から脱出。)
桜華、かえろ。
(/お待たせしました!!実はまだ忙しく一先ずの顔見せとなりす。来週ももしかしたら、返信遅れるかもしれませんのでご了承ください…。桜華ちゃんとのやり取りを楽しみに頑張ります…。)
ん。……ええ、またね、みんな。
( 彼女の優しい手にそっと手を引かれてはふわりと笑顔を浮かべながらクラスメイトたちに手を振って。今日の体育祭のMVPは間違いなく彼女、このあとクラスはきっと打ち上げに行くのだろうが主役は行かなくて良いのかしらなんて思わず彼女の方を見るも、でもやっぱり絶対に100%彼女は女子生徒たちにきゃあきゃあと構われるんだろうと思ってしまえば彼女には申し訳ないが打ち上げのことはこのまま忘れていてもらおうと。こんなにもかっこいいのだ、そんなの打ち上げやらその帰り道やらこの後の学校生活で告白する子が増えるに決まってる。きゅ、と彼女の手を握っては「 ねえ琥珀、おねがいごとってなあに? 」と周りに聞こえないようにぽそぽそと彼女の耳元にそっと唇を寄せて聞いてみて。 )
( / お忙しい中お返事いただきありがとうございます…!!
私も琥珀ちゃんとのやり取りにいつもにこにこ元気をもらってます…!!
突然気温が高くなったり花粉もとんでもない事になっているみたいですので、ご自身の体調第一にのんびりペースで来て頂けたらと思います…! )
( 周囲に気付かれない内に上手く抜け出せた。この後クラスのメンバーは打ち上げに行くということも勿論知っているし、体育祭の最中何度か女子から絶対来て欲しいという旨の内容を聞いている。しかしそんなことに時間を使うより、自分にとっては彼女と過ごす時間が何より大切で。彼女の柔らかな手を引いて歩いていると、耳元で囁かれた言葉に、そういえば、と自分の言った言葉を思い出す。「お願いごと」実はずっと前から彼女としてみたいことがあり。それは2人きりでどこか知らない土地へ行きたいというもの。温泉やリゾート地なんかもいいが、正直彼女と一緒なら場所にそんなにこだわりはない。どうだろうかと、歩みを止めて彼女をじっと見つめ。)
あたしさ、桜華と旅行に行きたい。
(/お気遣いありがとうございます!
旅行の提案をしましたが、文化祭が終わったあとでも構いません!
あと、実はずっとやってみたいことがありまして、願望だけ置いておきますが。桜華ちゃんのお兄さんと、琥珀兄なんかもいつかは登場させたら面白そうだな、と。そしてその2人も仲良かったら嬉しい、という願望←
願望なので適当に流しといてください笑)
旅行……。
( 彼女から告げられた〝お願い〟に、ぱちりとヘーゼルを大きく丸くさせる。無論自分も彼女と旅行に行きたくない訳では無いし、むしろ行きたい。だが、それは彼女のお願いになるのだろうか。結果的に時分も……むしろ自分の方が得をしてしまっている。それは彼女へのご褒美にはならないのでは無いだろうか。「 それは、琥珀へのご褒美にならないんじゃないかしら…。私へのご褒美になっちゃうもの。旅行はもちろん行きたいけれど、そんな事でいいの、? 」こてり、と首を傾げながらそう彼女へと返しては、本当にそんなことでいいのかともう一度確認をするように。そうしてこんな事であるならもう1つお願い事を聞いたってお釣りが返ってくるほどだと。 )
( / かしこまりました…!!2人で旅行してる姿、もう始まる前から既に可愛くてニッコニコです……!!
兄同士の絡み、是非やってみたいです……!!兄2人妹2人でダブルデートとかしてても可愛い……!!!
ぜひ琥珀ちゃん背後様さえ良ければやらせてください! )
あたしのお願いか桜華にとってもいいものなら最高でしょ?
そうは言うけど、ほら、桜華のところ旅行許してくれるかわからないから。
( 彼女の反応に一瞬旅行のことを躊躇われたのかと思えば、どうやら自身のお願いが彼女にとってもご褒美になるとのこと。それならばそれで最高では無いかと、にっこりと笑って。自分はそれで満足だとでも言うように話しをするが、そうは言っても高校生、未成年が2人きりで旅行に行くという。しっかりとした家の彼女だ。もしかしたら家族に反対されるかもしれないという可能性もある。自分の家は放任主義なので万が一にも断られることはないと踏んでいる。)
(/嬉しいです!!こんな願望聞いてくださるなんて…。
桜華ちゃんお兄さんは弁護士さんでしたよね。うちの兄は大学生なので。初めましてのところからのスタートでも面白そうです。なんなら、保護者という名目で旅行についていっても楽しいかも←
妄想爆発してますので、これはちょっとという部分ありましたら遠慮なく言ってください!!)
ん、…そうね…。
( 彼女の言葉にふ、と表情を曇らせてはどうしたものかと。遠出でなければ彼女が一緒ならばと許してもらえている普段の外出も、旅行となれば話はきっと別だろう。でも高校生だからといってももう3年生だし、周りの子たちは夢の国だったりといろんな場所へ出かけている。それに何といっても`高校生としての琥珀`と出かけられる期限はもう少ししかないのだ。桜華は吹っ切れたかのように少しいたずらっぽい笑顔を浮かべれば「 琥珀と旅行しても良いって言うまでお父様と口を利かないって言うわ。 」と、父が自分に甘く弱いことを理解している上でなければ出ない思春期らしいアイデアを述べては、今まで反抗期らしい反抗はしてこなかったし、たまにはいいだろうと。 )
( / 確かに…!初めましても旅行に保護者で来るのもたのしそうです…!!!
お兄ちゃん同士、ぜったいに楽しそうなので提案してもらえてすごくうれしいです、たのしそう!
試しに兄のpfを下に置いておきますね…!!! )
名前:西園寺 奏(サイオンジ カナデ)
性別:男
年齢:24
性格:妹と同じように普段は穏やかでほわほわにこにこと優しく微笑んでいるタイプの近所の幼い女の子たち(稀に男の子)の初恋キラーなお兄さん。普段にこにこしている分まじめな表情をしている時(仕事中や考え事をしているとき)が数割増しで怖い。おっとり天然で怖いもの知らず、タバコのポイ捨てをしている強面のお兄さんにも「落としましたよ。」って笑顔で話しかけられるような感じ。危機感が薄く、あまり自分に興味関心がない、それよりも家族を大切にしたいし困っている人たちのために仕事をしてあげたい。
容姿:妹とは対照的に烏の濡れ羽色の髪。ゆるくウェーブしており長さが肩あたりまであるので普段はちょこんと結んでいたりハーフアップにしていたり業務に支障がない程度にしているが休みの日はほとんどおろしっぱなし。瞳はヘーゼル色でたれ目、まつげが太く長いためいつも眠たいようなとろんと蕩けた瞳の印象を受けるがふとした瞬間にとても鋭くなる。身長は177センチ、口元に黒子があり薄い唇が妙に色気だつ、一見したらホストと言われても遜色ないような容姿。ただ本人は自分のオシャレに対して興味がないので髪は長い期間切ってないだけだし服は妹のチョイス。黙っていたらTシャツにデニムでおしゃれな街とかにもでかけてしまう。男性にしてはしなやかな体格で、高校時代は女装コンテストを総なめにしていた。
備考:一人称`俺`、職業弁護士。高層マンションにて一人暮らし中。
生活能力がまったくなく物欲もないため、自分の家には必要最低限の家具しかそろっていないミニマリストの部屋のようになっている。食事も下手をすれば2日3日食べるのを忘れているというのもザラなので、度々桜華や母が生きているかチェックしに来ている。しっかり者ではあるのだが自分に興味がないだけ。よく言えば人に尽くす、悪く言えば自分を顧みないタイプ。幼いころからテコンドーを習っていた為細い割には荒事には強い。弁護士としてはまだまだ駆け出しなのだが、大手事務所に在籍をしているため同年代よりは稼ぎはしっかりしているらしい。未成年の妹たちがいる手前あまり表立って吸うことはないが、実は喫煙者。
ふ…あはは。そりゃお父さん絶対許しちゃうね。
( 彼女が悪戯な笑みを浮かべるものだからその内容を聞くと、思わず声を出して笑い。いくら家のルールが厳しいとはいえ、愛娘に口を聞いて貰えないとなるとなんでも許してしまいそうだ。そうはいえ、きっと心配して何かしらの手を打ってくるかもしれないが、何かあるなんてことはない。自分が彼女のそばにいる限り何も起こらないようにする。そう心の中で思いながら、そっと彼女の手を握って。)
──
(/なんと素敵なお兄様!!もう惚れました← うちの兄も置いておきます。何かあれば仰ってください!)
名前:藍沢 類(あいざわ るい)
性別:男
年齢:21
性格:明るく元気が取り柄。妹同様、正義感が強く困っている人は放っておけない。妹と正反対なのは、人付き合いがそれなりにあり、誰とでもすぐ打ち解けられるところ。優しく他人の気持ちに寄り添うことができる性格。面倒見もよい。妹2人のことは兄としてしっかりと守らねばという意識がある。人懐っこいところは大型犬のよう。
容姿:身長179cm。武道を嗜んでいるため、それなりに筋肉のついた体だが、服の上からだと細身に見える。顔立ちは妹の琥珀と良く似ていて、綺麗に整っておりどちらかといえば中性的。目も同じく青みがかった黒。二重と長い睫毛が印象的。髪は大学に入ってから染めており、少し暗めのアッシュブラウン。ツーブロックマッシュヘア。両耳にはピアスをひとつ開けている。服はラフな格好を好み、今どきの大学生と何ら変わりなし。
備考:一人称「俺」。大学3年生教育学部。実家住み。家が道場なのもあり、ひと通りの武道は父から習っている。空手、剣道、柔道など、どれも全国大会優勝経歴あり。妹ふたりとは仲は良い。母がいないことから、長兄として家事はこなしてきた。料理もある程度はできる。苦手なのは虫。酒にめっぽう弱く(酔うとすぐ寝る)、飲み会などでももっぱらソフトドリンク。道場を継ぐことは微塵も考えておらず、将来は教員を目指している。
それに、何があっても琥珀が守ってくれるでしょう、?
( そっと繋がれた手に視線を落とせば、ほかの人には見せないような穏やかなほほえみを零して上記を。そもそもナンパの類であれば隣にこんなにカッコいい恋人がいれば寄ってこないだろうし、それでも何かしらを仕掛けてくるのであれば(自分は)無視をすればいいだけだ。嗚呼いうのはほうっておけばどこかにいつの間にか消えるお化けのようなものなので。「 それに、琥珀になにかあったら私が守るもの。 」ふわり、と笑いながら告げた言葉はもちろん腕力的な意味ではなく。腕力で言ったらちょっと固い瓶のふたも開かないような非力ではあるが、頭脳でいったらそこら辺の人よりは賢い自信があるのでどうとでも立ち回れるはずだと。あと目いっぱいオシャレをするので女の子は近寄らせない。桜華としては自分よりも彼女が他の女の子に声を掛けられるほうが心配なのだ。こんなにかっこいいんだから声をかけられないはずがない。…マア最も彼女が他に目が移ろってしまうようなことは絶対に、万が一にもないのだが、彼女に気がなくても言い寄られている恋人を見るのは気分がいいものではないので。 )
( / ワーッ!!!類くんめちゃめちゃ素敵です…無自覚タラシだ…一番罪深いやつ…!!!
めちゃめちゃ大好きです…!!この二人のお話はどうやって始めましょうか…???旅行で初対面でもいいですし、街中でばったりでもいいなあ、と!! )
もちろん。あたしの桜華には指一本触れさせないんだから。
( 彼女の台詞には小さく笑みを零し。言うまでもなく、彼女に近寄ってくる輩が万が一にもいるならば、自分が制裁してくれる。絶対に指一本触れさせないし、ずっと隣に居て守るのが自分の役目だと思いつつ、彼女も自分のことを守るという言葉には、心底嬉しいと思う。どんな女の子に言い寄られても自分の中では桜華が世界一。いや宇宙一大切な存在。他の女男に興味などないのだから。「じゃあ今から旅行の計画、たてないとね?」と少し上機嫌な声色でそう言うと、彼女の手をそっと握って。)
(/繁忙期から抜け出しましたので、そろそろ普通に返せると思います!お待たせしました。
旅行で初対面にしましょうか!せっかくですので、この後旅行の話に場面転換して進めます?ちなみに旅行の宿泊先は旅館がいいなーと思っていますが、どうでしょう?琥珀・桜華で1部屋、兄ペアで1部屋で仲を深められたら←)
うふふ、そうね。
( 彼女の〝あたしの桜華〟という言葉一つで随分とご機嫌になってしまう自分がとても単純だとは思うが、嫌いじゃない。彼女に握られた手を自分もそっと繋ぎ返せば、ぱっと誰が見ても上機嫌だとわかるような幸せそうな笑顔を浮かべる。マア見てわかる通り、好きな人から独占されて嬉しいのであった。だってだいすきだもの。「 お仕事で色んなところに行くから、たしかお父様が色んな旅行雑誌を持ってたはずよ。 」と仕事柄様々な場所へ足を運んでおり、そのついでに趣味としてちらりと観光もしている父のこと思い出せばそれを見て場所を選ぶのも悪くない、と。最も、自分は彼女がいてくれたらどこでも楽しいのだが。 )
( / わ!繁忙期お疲れ様でした…!繁忙期疲れもあると思いますのでご自身のペースで返事をいただけたら嬉しいです…!
初対面・場面転換ともに了解です!
部屋割り私もその分け方で考えてました…!妹ペア兄ペアで当然のように別れてて可愛いです…!!)
ふふ、楽しみだね。
じゃあ今から決めようか。
( 彼女が嬉しそうな表情をするのを見るのが自分の何よりの幸せ。自分もつられて嬉しそうにすれば、さっそく今からでも彼女の家にお邪魔して、父の持っている雑誌を見て、旅行先を決めようと頷き。とはいえ、正直なところ旅行先なんて実は何でも良くて、彼女と二人でいられれば自分は満足なのだが、そんなこと提案した自分が言えたものではないので、それは黙っておくことにして。彼女の手を繋いだまま、そうと決まれば彼女の家に行こうと上機嫌で其方の方へ向かって歩き。 )
───
( あれから2週間ほど間が空き、温泉で有名な観光地へ?旅行に行くことが決まった。今日はいよいよ旅行当日。しかし、やはり未成年同士の旅行ということが、当然の事ながら彼女の親的にも納得のいかないものだったらしく、お互いに保護者として兄を同伴しての旅行ならばと条件を付けられ、仕方なくそれを飲むことに。ということで、待ち合わせの駅前には自分と横に兄が佇んでいる。今日は旅行なので当たり前だが私服姿に旅行バッグを担いで。シンプルな白のティーシャツに上から黒パーカー、長い足を強調させるスキニーパンツに履きなれたシューズ。兄はタートルネックの白セーター、その上からグレーのコート。黒のデニム。傍から見れば完全に男2人。兄と仲は悪い訳では無いが、たとえ自分の兄でも彼女にちょっかいをかけようものなら許すまいと少し気が張り。)
【藍沢 類】
おいおい、いい加減機嫌なおせよ。
観光地まわる時は、桜華ちゃんと2人でまわればいいだろ。俺だって四六時中お前と一緒にいる気はないからさ。
( 横に佇む妹から何やら自分に対する嫌なオーラが出ており。友人と2人仲良く旅行に行きたいはずだったのにそういかなかったことに納得がいかないのは分かるが、あくまで自分は保護者としてついて行くだけ。向こうにつけば、自分は彼女たちと一緒にくっついて回るつもりなんて微塵もなく、安心しろと溜息をつき。)
(/ありがとうございます!
こんな感じで場面転換してみましたが、いかがでしょうか。何か希望などありましたら仰ってください。ちなみに新幹線での移動を考えて駅に集合にしております!)
もう、兄さん。そんなにくっつかなくても変なところに行ったりしないわ……。
! ─── …… 琥珀!
( 待ちに待った旅行の当日。シンプルながらだからこそ元の体型の良さが求められるオフホワイトのフィッシュテールレースのオフショルダーワンピースに、普段ハーフアップにしている髪も編みおろしにして靴はレース調の白パンプスと〝正に気合いの入れたデート〟の格好で待ち合わせ場所で待つ恋人へと手を振り。遠目からでもわかるスラリと長い足に、シンプルだからこそ彼女の顔立ちの整いが際立つファッションに改めてきゅんと恋人へまた恋して。「 ごめんなさい、待った? 」とまだ待ち合わせの時間前ではあるのだが先に到着して待っていてくれた恋人へと眉を下げて謝罪を。こんなに素敵な2人が立っていたらさぞ女の子たちの視線を集めたことだろう、桜華はもう少し早く来ればよかったと小さく後悔して。 )
【 西園寺 奏 】
やあ、随分と早く待っていてくれたんだね。
待ったかい、ごめんよ。
( 桜華がアレンジしたのだろうか、普段は適当に降ろしているだけの髪型は右型だけ編み込んでかきあげたような髪型、上下黒のセットアップに同じく黒のハイネックと首元と指耳に光るシルバーのアクセサリーのアクセントと一見すればホストと両家のお嬢様のような格好で待ち合わせに現れてはにこりと人あたりの良さそうな笑顔を浮かべて。妹の恋人である彼女は見たこともあるし会話もあるが、隣にいるのがお相手方の兄なのだろうか。随分と若いんだなあと自分を棚に上げて思えば「 初めまして。桜華の兄の奏と言います。妹のわがままに付き合わせてごめんね、今日はよろしく。 」と仕事上の癖なのか元々のパーソナルスペースが狭いのか、ひらりと慣れた手つきで握手をしようと手を差し伸べて。 )
( / 場面転換ありがとうございます~!!
新幹線で移動してる4人想像したらあまりにかわゆくて、、、イケメンたちに囲まれる桜華があまりにお嬢様ポジションでにこにこしました…!!
あとあと個人的にお兄様にも警戒してる琥珀ちゃんあまりに可愛くてかっこよくて最高です…!ありがとうございます…! )
桜華!
……今日の桜華も、すごく可愛いよ。
( 向こうから歩いてくる愛しの彼女を見つけるなり、先程までの不機嫌はふっとんで嬉しそうに彼女の元へ駆け寄り。またいつにも増して可愛らしい服装の彼女に、心の底から賞賛の言葉を述べると、横にいる彼女の兄に「すみません。ついてきてもらうことになってしまって。」と申し訳なさそうに挨拶をして。しかしながら今日の彼女の兄はいつにも増して雰囲気がある。きっと彼女が色々とコーディネートをしたに違いない。 )
【藍沢 類】
…あ、いえ!
さっき来たところだったんで気にしないでください!
俺、藍沢 類といいます。宜しくお願いします!
( 妹の友人の桜華とは面識があるが、横にいる兄とは初対面。何だか雰囲気があり、思わずそのかっこよさ?綺麗さ?に一瞬見惚れてしまう。歳はこの前妹から聞いたような気がするが、わからない。自分より歳上なのは確かだろう。意識を取り戻すと、にっこりと笑って、差し出された手を握り返して。)
(/ふふふ…紅一点(?)お姫様ですね!!桜華ちゃん!
琥珀はなんとなく自分と似た風貌の兄を敵視しているようです笑)
うふふ、琥珀もすごくかっこいいわ。
一日中ずっと見てしまいそう。
( 彼女の言葉にぱっと花が綻ぶように笑えば、今日の為に新しく買った服はどうやら大正解だったようだと心の中で安堵して。名前の通り歩く度に水面を優雅に泳ぐ魚のヒレのようにスカートがふわりとひらめくフィッシュテールは自分とは対照的にシンプルかつすらっとした彼女との対比のつもりだった。その分彼女がよりスタイリッシュに見えるし、自分も優雅に見える。桜華も彼女の兄のほうへ向きなおれば「 お待たせしてすみません、お久しぶりです。今回はついてきてくださりありがとうございます、よろしくお願いしますね。 」と保護者の名目として付いてきてくれる彼女の兄へとふわりと微笑んで。まだ男性が苦手なのが治った訳ではないのだが、どことなく彼女と雰囲気の似ているお兄さんは苦手意識もさほどなくその表情は穏やかで。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ。俺はこんなことでもないと出不精だから外に出なくてね。
むしろ有難いことだよ。
…保護者という名目で来ているけれど、君たちのデートを邪魔するつもりはないから、好きに二人で楽しんでおいで。実は桜華が俺がいるのが気に食わないそうでね、ご機嫌斜めだったんだ。
( しっかりと挨拶をしてくれる妹の恋人に思わずふ、と柔らかな笑顔がこぼれる。なんてしっかり者のいい子なんだ、早くなんとかしてうちの子になればいいのになぁとしみじみ。桜華はしっかりはしているが妙なところでドライなので。後半は妹に聞こえないようにこっそりと囁けば、しぃ。と唇の前に人差し指をたてつつこそこそと。「 類くんか。素敵な名前だね。初対面の俺と旅行で申し訳ないけれど、妹のご機嫌のために付き合ってくれると嬉しいな。 」と申し訳なさのにじむ儚げな微笑みを浮かべれば、握られた彼の手の甲を反対の自分の手で包んではあくしゅ、と笑ってそっと手を放し。 )
( / 三人並んでいたら現地でのナンパがすさまじそうです…!!笑
旅行編もどうぞよろしくお願いいたします!/蹴推奨 )
そう言って貰えてよかった。
( 彼女から自分の服装についてお褒めの言葉を頂ければ、こちらも上機嫌。もともと私服には自信がなく、今回ばかりはと意気込んでショッピングに繰り出した甲斐があった。彼女の兄からの言葉には小さく笑って、彼女も自分と同じ気持ちだったのかと思うとなんだか面白い。それを言うなら機嫌をとってもらわなければいけないのは、こちらも同じだななんて思いつつ、兄同士もこれを機に仲良くなってくれたらいいななんて心の中で思い。兄たちがいることも差程気にもせず、彼女の手をそっととるとにっこりと笑って「そろそろ時間になるし行こうか。」と駅の中へと歩き始め。)
【藍沢 類】
え?あぁ、ありがとうございます。奏さん?も素敵な名前ですね!なんだかスタイルもいいし、モデルさんみたいだ。
( 桜華からの挨拶には、なんていい子だろうかと思うと、「こっちこそ、旅行なんて久し振りだから楽しみにしてたんだ。」と嬉しそうに。一方彼女の兄にやんわりと包まれた手に思わずドキドキしてしまう。自分の名前を褒められれば、相手の方こそぴったりの名前だと反対にそう褒めて。手が離されると、離れた手に鞄を担ぎ。今一度彼のことを頭から足の爪先まで見ると、本当にスタイルもよく一般人には見えないと言葉に出てしまい。)
!…ふふ、えぇ。
( 当然のように優しく握られた手に、思わず嬉しそうにぱっと表情を明るくさせる。先ほどまでの兄への八つ当たりの気持ちはどこへやら、こんな簡単なことで幸せな気持ちに変えてくれるのだからまるで彼女は魔法使いみたいだと思い。自分もアンティーク調の可愛らしい小さなトランクケースを持ちなおせば、これからの時間ずっと彼女のことを独り占めできるのだと。今日のためにいつもよりも少し良いヘアトリートメントやボディスクラブを使って自分磨きをしたのだ、好きな人のための努力は桜華にとって全く苦ではなくむしろ楽しかったようで、いつもよりも自分に自信をもって彼女の隣に並べる。「 あのね、お父様ったら心配だからってお家を出る前に防犯ブザーを持たせようとしたのよ。しかも3つも。仕方ないから1つだけ持ってきてあげたのよ。 」くすくすと可笑しそうに笑みを漏らしながら、今朝家を出る前に自分に防犯ブザーを渡してこようとした父親のことを思い出せば彼女にこそこそと密告して。 )
【西園寺 奏】
ふふ、褒め上手。
兄妹そろってオトすつもりかい?
( モデルみたい、と褒められれば特に謙遜するわけでもなくくすくすと穏やかに微笑んではこてりと首をかしげて彼と目線を絡めて。つん、と男性にしては白くしなやかな手で彼の鼻先を押せば「 今日のスタイリストさんの腕が良くてね。妹の手柄だよ。…さ、俺たちも行こうか。可愛い妹たちを見失ってどやされるのは俺だからね。 」と肩をすくめながらちょい、と人差し指で彼に`おいで`と示しながら先に歩き出して。初々しくてかわいいなあ、と他人事のように思っては彼のようにまっすぐな子はちょっとからかいがいがあるんだよな、と薄く整った口角をあげて。 )
【藍沢 琥珀】
ははっ…桜華のお父さんならしそうだよね。
ていうか、あたしもいるし。何なら兄2人もいれば桜華の護衛としては最強のメンバーでしょ。
( 隣に並ぶ彼女から聞いた話によるとどうやら彼女の父は本気で防犯ブザーを持たせるほど心配しているらしい。しかしながら武道の嗜みがある自分、そして自分よりも強い兄。そして彼女の兄も確かテコンドーをしていたと聞いたことがある。これ以上ないくらい最強の護衛を引連れていながら何を心配する事があるのだろうかと苦笑して。改札を通りホームにつくと既にきている新幹線を見つけ、乗り込むと自分たちの指定席を見つけて。「桜華、窓側座る?景色見れた方がいいでしょ。」と彼女に尋ねて。その後ににっこりと笑って小声で、「あたしは景色より桜華が見られればそれでいいから」と囁くように言い。)
【藍沢 類】
え??
わ!ちょっと待ってー!
( 彼の言葉には何のことか分からずはてなマークを浮かべる。鼻先を押されるその仕草に、やはり先程からのドキドキは止まらない。妙に色っぽいその雰囲気に、はたまた見とれていると、先に進み始めた妹たちを追うように歩き始めた彼に呼ばれ、我に返り少し小走りで妹たちの元へ向かう。新幹線に無事乗れると、当たり前だが妹2人は同じ席。初対面で申し訳ないが兄同士隣に座ることに。「奏さん、どっちがいいとかあります?俺こだわりないんで、せっかくなら窓側どうですか?」と尋ね。)
【 西園寺 桜華 】
うふふ、たしかに。
こんなに頼りになる人達はいないわね。
( 彼女の言う通り、この3人が居るのであればそれこそハイジャックにでも合わない限り安心だと思わずくすくすと笑ってしまい。空手と剣道など、様々な武道の道を極めている彼女と彼女のお兄さん。それからテコンドーを習得している兄。下手なSPよりも頼りになる人達に囲まれている中で話しかけてくる男はいないだろう。窓際へエスコートしてくれる彼女の小さな囁きに「 もう、琥珀ったら。 」と言葉では呆れているものの桜華の頬はぱっと薄紅色に染まり、相も変わらず自分に甘い彼女にきゅんと胸を高鳴らせて。ありがとう、とお礼を言いつつ彼女の厚意に甘えて窓際に上品に座っては、久しぶりの遠出…さらには隣には大好きな彼女がいることに少しそわそわと落ち着かないような気持ちになって。 )
【 西園寺 奏 】
ん?、ふふ。有難う。
でも俺は通路側で平気、類くんが窓側にどうぞ。
( 此方に気を使って窓際を薦めてくれる彼へにこり、と儚げに微笑めば自分は通路側で平気だとやんわりと窓側の席を指して。特に景色に興味はないし、通路側から景色が見れない訳でもない。それに妹や妹の恋人にはない明るさの彼を見ているのも退屈しないなという考えの元で。彼が窓側に座ったあとに自分も通路側に座っては「 まさか琥珀ちゃんの方もお兄さんが来てくれるとは思わなかったよ。俺一人で彼女たちは守りきれないからね。……それに、キミとならなんだか退屈しなさそう、 」すらり、と隣の彼への妨げにならない程度に長い足を組んでは安楽椅子探偵のようにそっと自身の指を絡めて。ふわふわと人畜無害そうな笑顔を浮かべれば彼の顔を覗き込むように視線を向けて。 )
温泉楽しみだね。
( 奥の席に座った彼女の隣へ腰掛ける。思いのほか席同士が近く、すぐ横に彼女が感じられて自分はとても落ち着く。彼女の綺麗な横顔と、窓から見える景色に目を細め。これから向かう温泉が有名な観光地だということを楽しみだと呟く。そもそも自分自身家族旅行というものに出かけたことがあまりない。だから今日を誰よりも心待ちにしていた。「桜華のところは、家族で旅行とかする?」と尋ねてみて。)
【藍沢 類】
俺がいなくても、琥珀もそれなりに強いんで心配はしてないんですけどね。奏さんはテコンドーやってたんですよね?俺やったことないんで興味あって。
( 結局窓側を譲ってもらえば、ぺこりとお辞儀をして大人しく奥の席に座る。彼が自分も来て助かったというので、笑いながら自分がいなくてもきっと妹がなんとかしてくれるだろうし、何より彼がテコンドーをやっていたというのは妹情報で知っていた。その話をぜひもっと聞きたいと目を輝かせて。ふと目に入るスラリと伸びた足が組まれる動作ひとつひとつが本当優雅で、そしてその瞳に見つめられると何だか気恥しい。退屈しなさそう、というのはどういう意味だろうか。少し困ったように「そうですかね?俺そんなに面白くないと思うんですけど…」と苦笑して。)
【 西園寺 桜華 】
えぇ、こうやって琥珀と温泉に行くの初めてだもの。
楽しみだけどちょっと緊張しちゃう。
( 彼女の言葉にふわふわと完全に2人きりの時にしか見せない穏やかな笑顔を浮かべては、別に互いの体を見るのは初めてでは無いのに改めてこうして温泉に入るとなるとまた気持ちが違ってくるのか眉を下げながら笑って。決して自分の体に自信が無いわけではない、日々彼女の横に並ぶお姫様としてストレッチやリンパマッサージを欠かさないし運動だってそれなりしている。でも恥ずかしいのは乙女の性なのだろうか。「 えぇ、毎年1回はどこかに連れて行ってもらっていたわ。兄さんが就職してからは行かなくなったけれど…。 」彼女の問いかけに少し悩ましげに首を傾げた後に左記を答えては、正に裕福な家庭のお嬢様の返事。国内外問わず旅行をしていた西園寺家だが、やはり長男が就職してからは行くことも無くなったと。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、よく知ってるね。
でも俺はキミたちと違って極めたと言うより少しかじった程度だし、空手と何となく雰囲気が似ているから類くんなら簡単だと思うな。
( 彼の言葉にやわらかくヘーゼルの目尻を下げては全国大会出場するような腕前ではないと。更に幼い頃から武道に触れてきた彼ならテコンドーのコツも直ぐに掴んでしまうと笑ってみせたらくすくすと通路側の肘掛で頬杖をついて。かじった程度、とは言いつつも悪漢の数人は簡単に制圧はできるのだが。「 そう?表情がくるくる変わって、わんちゃんみたいだ。 」と男性にしては女性らしいしなやかな手で彼の青みがかった黒髪をそっと撫でて。元々パーソナルスペースは狭いらしくその動作に特に迷い等はなく、本当に妹や弟にするような其れで。 )
【藍沢 琥珀】
恥ずかしがってる桜華も可愛い。
…そっか、じゃあ奏さんと出かけるのも久し振りなんだね。
( まさか、恥ずかしいだなんて言葉が出てくるとは思わなかった。お互いの身体を見せ合うことにはもう慣れていると思ったが、温泉となると話は別なのだろうか。しかしそんなところも可愛いと思ってしまう。本当に彼女のひとつひとつの表情が愛おしい。家族旅行については、しばらく行けていないよう。就職をすれば家族もなかなか揃わないのだろう。今日彼女の兄と出かけるというのも、もしかしたら彼女にとって久しぶりなのかもしれない。それならば、余計に楽しい思い出にしてあげなければと思う。)
【藍沢 類】
じゃあ!今度教えてください!
わー…、奏さん誰にでもそんなことしたら、恋人が泣きますよ。
( きっと彼はそう言っているが、そこそこ腕がたつに違いない。ぜひ今度基礎から教わってみたいと人懐っこい笑顔でそう伝える。ふと自分の髪に触れた彼の綺麗な指と、綺麗な笑みにまた胸が高鳴り。勝手ながら恋人がいる設定で話をしているが、誰彼構わずこんなことをしていては恋人も気が気ではないだろうと苦笑して。これだけ綺麗な人だ。恋人がいないとしても、弁護士、家はお金持ち、これだけ条件が揃えばたくさんの人に言い寄られているに違いない。)
【 西園寺 桜華 】
もう。からかわないで。
( 可愛い、と笑う彼女の頬をそっと両手で包めばよく手入れされたさくらんぼ色の唇をとがらせて少し怒ったような顔を見せて。マア最も、怒るどころか可愛いだなんて言いながら笑う彼女があまりにカッコよくてむしろときめいてしまったのだが。照れ隠しのようなもので。「 望んでのお出かけじゃなかったけれどね。お父様ったら兄さんを連れていかないと許してくれなかったんだもの。 」と、確かに兄と出かけるのは久々ではあるが決して望んで外出ではないと。その腹いせに現地で女の子にナンパされて困ればいいと自分のモテる力を尽くしてカッコよくしたので。かっこいい人が3人並べばその分自分の彼女へ行く視線も分散されればいい、という打算も込めて。 )
【 西園寺 奏 】
あはは、俺でよければ喜んで。
( もし彼にしっぽがあったら今頃ブンブン振ってたんだろうなあ、なんて若干失礼なことを考えてしまったが、現に彼に犬の耳としっぽの幻覚が見えてしまうのも事実で。奏は彼の言葉に快く了承を返しては、その後に続いた言葉にキョトン、と瞳を丸くさせ。しばらくして彼の言葉の意味を理解しては「 残念ながらそういう関係の人はいなくてね。昔から色恋に縁がないんだ。 」と困ったように笑いながら肩を竦めて。正確に言えば〝色恋に縁がない〟というよりは付き合って1週間で『私に興味無いんでしょ』と振られたり一般的に言うメンヘラ(男女問わず)にストーカーされたりと非常に賑やかではあるのだが、どうやらそれには無自覚のようで。 )
【藍沢 琥珀】
あはは、ごめんごめん。
それは、こっちも同じなんだけどね…。
( 彼女が怒った顔を見せたので口では謝りの言葉を出すものの、その怒った顔さえ可愛いと思ってしまったことは言えない。頬に触れる手に自分の手を重ねて、笑って誤魔化し。兄が同伴なのは不本意だという彼女に、自分も同感だと頷く。実を言えばこちらは兄はついてこなくてもよかったのだが、彼女のところが兄を連れてくると言ってしまったがために、こっちの兄も旅行に行きたいということでついてくることになったのだ。これを機会に兄同士、仲良くなってくれればまあいいかと思っているが、邪魔をされたという思いは拭えない。)
【藍沢 類】
絶対うそだ…。こんなイケメンが放っておかれるはずないでしょ。
( 快く了承してもらえたことには、ガッツポーズで喜び。今度うちの道場にぜひ来てもらおうなんて、勝手に計画を立てつつ。色恋沙汰に縁がない。という彼の言葉を聞くと思わずびっくりした表情を浮かべてしまい。絶対彼が気付いていないだけで周囲には彼に想いを寄せる人が沢山いるに違いない。天然、鈍感?どちらにせよ、ある意味周囲にいる人間は大変そうだとまで思ってしまい。)
【 西園寺 桜華 】
……今は2人きりよ。
( 彼女も同じ気持ちだったんだと分かれば、ぽわぽわと心に暖かな太陽が降り注いでいるような気持ちになれば、そっと彼女の手に自身の手を重ね恋人繋ぎをして。こてん、と彼女の肩に自身の頭を乗せては上記を甘えるように囁いて。新幹線の中でこうしてお互い身を寄せ合うカップルはよく居るし、このくらいなら許されるだろうと。「 それに、旅館のお部屋だって別々だもの。 」と顔が近くなったことにより囁くようにぽそぽそとした小さな喋り方になる。まるで眠る寸前に恋人と仲つむまじく囁き合う時のようだとふと思ってしまえば、うふうふと楽しそうに笑って。 )
【 西園寺 奏 】
あはは、嘘じゃないよ。
付き合っても1ヶ月持たないしね、俺。
( こちらの言葉に分かりやすく驚いてくれる彼の様子に思わず笑ってしまえば、恋人ができたとしても長くは続かないんだと。マアそれもそのはず、学生時代は法学の勉強で忙しく今は仕事に忙殺されている。更に言えば元々奏でがそこまで深く人に興味を持てないため、他の人達のように身を削ってでも彼女に尽くしてあげることが出来ないのだ。そうでもなければ自分の食事を忘れて救急車で運ばれるなんてことはないだろう。「 類くんこそ、かっこいいし話しやすいからモテるだろう?こんなところに着いてきていいの? 」と、友人も多ければさぞかしモテるだろうと笑って。 )
【藍沢 琥珀】
…そうだね。
旅館だからきっと部屋着は浴衣なんだろうね。
桜華の浴衣姿楽しみ。
( 肩にのせられた彼女の頭。こんなことを言うと変態みたいだが、彼女からはいつもいい香りがする。花のようないい香り。自分も応えるようにそっと恋人繋ぎの手をぎゅっと優しく握り、彼女の頭の方に自身の顔を寄せて。新幹線の中他にも人はいるがそんなこと気にならないくらい、今は2人だけの時間が流れている。部屋では二人きり。ふた今日の夜のことを思えば、きっと旅館というくらいなのだから部屋着には浴衣が用意されているはず。きっとどんな浴衣でも彼女なら似合うだろう。自分もこそこそと囁くような話せば、なんだか秘密の会話をしているようだなと思い。)
【藍沢 類】
あー、まぁ、奏さんほどではないと思いますけど、それなりに告白とかされるんですけどね。俺、大会とかで結構色々なところいかなきゃで、中々恋人に割く時間とれないんですよ。もちろん、恋人は欲しいとは思いますけど、理解のある人見つけるのって難しいですよね。
( 1ヶ月も続かないのはどうしてなのだろうかと疑問に思うも自分の話を振られると、困ったように頭をかく仕草を見せ。確かにこの容姿なので声をかけられたり、告白をされたりすることもある。しかし、大学に通いながら武道の稽古、そして休みの日には大会に出場するためあちこち飛び回っている期間もある。そうするといざ付き合っても、思っていたのと違うと別れを切り出されることがしばしば。社会人になっても、続けたい趣味だと思えばこそ、理解のある人の少なさに参ってしまう。)
(/背後失礼します!そろそろ目的地に到着でどうでしょう!観光地巡りでは、何かハプニングでも起こしますか?ナンパされるとか、暴漢に絡まれて戦うとか←それとも平和に観光でもいいと思いますがいかがでしょう。)
【 西園寺 桜華 】
あら、気の早いこと。
( 浴衣姿が楽しみだと笑う彼女を見て、自分もくすくすと笑ってしまう。こんなに広い新幹線内なのに、こうしてくっついているのが何だかおかしくて、でも穏やかで心が落ち着くような。そんな気がして桜華は春の光のように穏やかな表情で。「 でも嬉しいわ。 」と彼女に甘えるようにすり、と小さく頬を擦り寄せては鈴のような声で笑って。そうはいったものの自分も彼女の浴衣姿を楽しみにしていることは明白で、自分の浴衣姿なんて花火大会でもあれば披露する機会はあるが彼女の浴衣姿は滅多に見れるものでは無いので。 )
【 西園寺 奏 】
理解のある恋人、ね……。
( 彼の言葉にふむ、と悩ましげに腕を組んでは口元に手を置いて唇をとん、とん、と軽く叩き。マア確かに大会というのはどんどん順位が上がるにつれ各地に行って自身のランクを上げていかねばならないし、それに対して体のメンテナンスだったりが必要だ。ただ女の子というのは───無論例外もいるが───常に恋人と共に在りたいという人が多い。彼の言うとおり理解のある恋人を見つけるのが早いのだろうと。「 逆に年上とかはどうなのかな。ホラ、社会人とかだったら四六時中君にかまって欲しいなんて思わないんじゃないかな。……そうだな、俺みたいな。ふふ、なんちゃって。 」と冗談交じりに告げてはふわりと首を傾げながら柔らかく口角を緩めてみせて。 )
( / そうですね…!早めに目的地に行っちゃった方がスムーズで良いと思います!
ナンパ……絡まれて戦う……!すごく面白そうです、せっかく兄2人や琥珀ちゃんが強いのでその設定を活かして武力を駆使できるし、桜華の男性が苦手な設定も活かせそうで楽しいと思います…!!!! )
【藍沢 琥珀】
( それから新幹線内で暫く彼女と他愛もない会話を楽しみ、時折窓の外に広がる見たことの無い景色に心を躍らせていると、あっという間に目的地に着き。新幹線が駅に停ると、腰を上げ荷物置きに置いていた自分と彼女のものを取りそれを担ぐ。忘れ物などがないかを確認しつつ、片方の手は勿論彼女へと差し出して。「行こうか。」と言い、彼女の手が自分の手に重なったことを確認するとゆっくりと新幹線内を移動し、ホームへと降りて。さすが観光地と言うだけあって駅内も観光客らしき人で溢れている。)
【藍沢 類】
歳上…、まぁ確かに社会人だったらいいのかも?
ふっ!?え!?…あはは、もう奏さん、からかわないで下さいよ!!
( 彼の言葉には、確かにと頷く。しかしながら社会人の恋人なんてどうやってつくるんだろうか。大学生の自分とは接点がなさすぎて、皆目見当もつかない。それに社会人から見たら大学生と付き合うことにメリットはあるのだろうか。先程駅で買ったペットボトルのお茶を口につけ、そんなことを考えていると、彼の口から出た冗談に、目を丸くして固まり。冗談だと笑う彼に少しだけムッとした顔をしてそう言うと、内心彼ならありなのか?と思ってしまう自分もいて。そうこうしているうちに目的地に着き。)
あ、降りなきゃですね。
(/よーし!!じゃあ桜華と琥珀が2人でいる所、話しかけてきた輩共を兄2人+琥珀でコテンパンにやっつけちゃいましょう!!)
【 西園寺 桜華 】
( さも当然のように自分の荷物まで持ってくれる彼女に、またキュンとする。こういった細やかな気遣いが彼女は本当に上手く、正に〝 理想の王子様〟だ。桜華はありがとう、と彼女へお礼を告げながらその好意に甘えてそっと彼女の手を繋ぎ。ざわざわと既に駅の構内から賑わっている様子を見れば「 わ、すごい人。人気な観光地だけあるのね…。 」と、やはり人混みは少し怖いのか無意識のうちに彼女と繋いだ手にきゅ、と力を込めて。 )
【 西園寺 奏 】
ふ、 ふふ。ほら、やっぱりおもしろい。
( 彼の慌てた様子だったりムッとした表情に思わずぷは、と吹き出してしまえばそのまま可笑しそうに笑って。こんな年上の男にからかわれてもいい反応をしてくれるなんてほんとにいい子だなあとなんやかんや初対面ながらも彼と楽しく談笑していたのもいつの間にか目的地の駅に着いたようで。「 うん、降りようか。桜華たちもちゃんと降りてくれてるね。 」と遠目なが2人仲睦まじく手を繋ぎ駅におりている様子を横目に自分も棚上のケースを持ち、彼の分も取ればそれを彼に手渡して駅へと降り立ち。 )
( / それか琥珀ちゃんが桜華のために飲み物を買いに行った隙に、とかですね…!シチュエーションはお任せします、沢山考えて下さりありがとうございます……!
楽しみです、よろしくお願いします……!! /蹴り可 )
【藍沢 琥珀】
…、大丈夫だよ。
あたしがずっとそばに居るから。
( さすが人気の観光地だけはあると人混みを避けながら歩いていく。しかし、彼女の手に少し力が籠ったことや、人混みに入った途端に表情も固くなったことを見逃しはしなかった。彼女を安心させるように声をかけ、微笑むとちらっと後ろを見て。「しかも後ろに護衛2人もいることだし、ね?」何も気にせず彼女には楽しんで欲しい。駅を出ると、昼食の時間帯にさしかかっており、たしかにお腹も空いたので、これからどうするかを相談することにして。)
【藍沢 類】
( 初対面ということを忘れるくらいに話は盛り上がり。やはりこんな歳下の自分と楽しく会話してくれるくらい良い人なのに、世の中の女性たちというのは何が不満なのだろうかと先程の恋人の話を思い出し。そんなことを思っているといつの間にか目的地に着いて、荷物を下ろしてくれた相手に礼を伝え、自分たちも妹のあとを追い。)
うわー…めちゃくちゃ人いますね。
(/了解です!いつもありがとうございます。)
【 西園寺 桜華 】
…ありがとう、
ふふ、そうね。今日は護衛がついてるもの。
( どうやら彼女には何でもお見通しのようで、兄たちのことを護衛と称した彼女の言葉に思わず緊張していた体も少しはほぐれて。駅前も観光客でにぎわっており、お昼時ということも相まってまるでお祭りでもあるのかという程度には人であふれかえっている。自分も兄も特に苦手なものやアレルギーがないため「 お昼ご飯どうしましょうか、? 」と一先ず隣にいる彼女に問いかけてみつつ、兄たちが此方に来るのを待って。 )
【 西園寺 奏 】
ずいぶんと賑やかだね。
…嗚呼、そうだ。桜華。知り合いの店に念のため席を取っておいてもらってるけれどどうする?到着したら昼時だから混んでいるかと思ってね。ここの郷土料理や創作料理の店だし、味も保証するよ。
( 賑やかだ、と笑う表情には妹とは対照的にどことなく楽しさがにじみ出ており、`観光地にきて楽しい`というよりは`人間観察が楽しい`というような表情ではあるが何はともあれ楽しそうで。妹たちに合流をすれば、出発前にこれを見越して念のため席予約をしておいたという店があるそうで。妹は人混みが苦手だし、今更どこかの店に並ぶのも時間がかかるだろう。多少値が張る店ではあるがどうせ自分が持つし、そんなことは妹たちは知らなくていいので言わないとして。「 類くんや琥珀ちゃんはどうかな。アレルギーとか嫌いなものがあれば変更してくれると思うけど、もし良ければ。 」とこてりと怠慢な動作で首をかしげて。 )
【藍沢 琥珀】
あたしは何でも食べられます。
( これだけ人がいれば食事処はいっぱいかもしれない。なんて思っていると、既に先手を打っていた彼女の兄にはさすがだなと感心して。こういうことがサラッとできるあたり大人なのだということを感じるとともに、自分の兄には到底同じようなことはできないだろうなとも思う。自分にアレルギーなどはないことを伝えると、改めて礼を伝えて。「奏さんのおかげで、美味しいもの食べられそうだね。」と嬉しそうに彼女に話し。)
【藍沢 類】
俺も何でも食べれますよ!
ありがとうございます!
( 彼女たちの元へと辿り着くと昼食の話に。予約をしていたことには、純粋にスマートだなと思い尊敬の眼差しを向け。自分にも苦手なものやアレルギーがないことを伝えると、ぺこっと頭を下げて礼を伝えて。郷土料理に創作料理、なんだか想像はつかないがきっと美味しいものであることに違いはないと思うと、今から楽しみで。)
【 西園寺 桜華 】
兄さんたら、いつの間に……。
ありがとう、助かるわ。
( 流石というかなんというか、我が兄ながらその用意周到さには驚いてしまう。ぱちぱちとヘーゼル色の瞳を何度か瞬きさせた後にふわりと笑えば、彼女の言葉に小さく頷きながら「 良かった、連れてきて正解だったかも。 」と悪戯っぽくこそこそと彼女に囁いてはくすくすと楽しそうに笑って。何やかんや言って頼りになる兄だなあと改めて悔しいような嬉しいような複雑な気持ちになれば、でも普段1人で生活できないしな、とすぐにドライな考えに切り替えて。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、良かった。
お店がここから近くてね、営業中は電話よりも直接店に顔を出した方が早いと思うから、ここで待てるかい?
( 相手方の兄妹どちらもアレルギーや好き嫌いがないことを確認しては、うんうんと満足気に頷いてから上記を。もう既に友人の店は営業しているので、電話よりも店へと直接行った方が良いと判断すれば妹たちにここで待つように指示を。あまり大人数でこの人混みの中を動くのは得策では無いし、そのまま店の前で待つのも迷惑だろう。「 類くん、一緒に来るかい? 」と、流石に恋人の2人の傍で男性一人で待たせるのは気の毒だろうと声を掛ければにこやかに微笑みながら首を傾げて。 )
【藍沢 琥珀】
大丈夫ですよ。桜華とここで待ってますね。
( 彼女と兄のやり取りを見ていると何だか微笑ましくなって思わず笑顔になってしまう。どうやら一足先に兄たちが店を確認してくるようだ。自分たちを待たせるということはそう遠くもない店なのだろう。もし万が一何かあっても、これだけ人通りのある場所なら、大丈夫だと思う。大人しく2人で待っていると頷けば、自分の兄を見て「兄さん、迷子にならないでよ」 と一応忠告を。)
【藍沢 類】
あ、はい!
…ったく、桜華ちゃんのことしっかり守れよ!
( 確かにこの恋人2人と自分が待っているのも何か居心地が悪い。気をつかってくれたのだと分かると頷いて。こちらを心配してか、からかっていらないことを言ってくる妹には仕返しに彼女のことをしっかり守れと捨て台詞を吐いて、前を進み始めた彼を追いかけて。「店ここから近いんですか?」と横に並んだ彼を見てそう問いかけ。)
────
【男A】
ねぇねぇ、そこの君すごく可愛いね。
俺たちと遊ばない?
( 駅前通りに佇む美少女を見つけると、仲間と近付き声をかけ。彼女の横にいる、綺麗な顔立ちの男を見て「こんな奴よりさ、俺らと遊んだ方が楽しいよ?」と、なんの遠慮もなしに彼女に向かって手を伸ばし。)
【藍沢 琥珀】
…、彼女に気安く触らないでくれません?
( 兄たちが離れていった途端こうだと内心呆れた様子で、桜華に近付いてくる男たちを見る。5.6人の仲間を引き連れており、妙に威圧感があるが、そんなこと言ってられない。こういうときに自分が本当の男だったら、と悔やむこともさながら、彼女を自分の後ろ手に隠し、伸びてきた手を遠慮なく叩いて払う。きっと男共を睨みつけると、一瞬怯んだ様子だったが、彼らにとって自分はひょろひょろの少年程度にしか映っていないのだろう。自分の様子にけらけらと笑う後ろの仲間とは裏腹に、手をはたかれた男の怒りを買ってしまったらしい。「桜華、後ろに隠れてて。」と小声で彼女にそう伝え。)
【 西園寺 奏 】
ん?うん、ここから5分くらいかな。
( 彼の言葉に柔らかく微笑みながらさらりと答えては、少し人気のなさそうな路地に入ったところにひっそりと佇む見るからに高級そうな店構えの前で足を止め。〝一見さんお断り〟と達筆な字で書かれた和紙が貼り付けてあるのを無視してそのままガラガラと扉を開ければ、外見から予想して取れるとおり1Fはカウンターのみで大将と向き合う形の店で。「 やあ、お世話になります。入れるかい? 」と強面の大将に声をかければどうやら2階に席があるようで、もう直ぐに入れるよ、と妹たちを呼びに行こうと後ろの彼をふりかえって微笑み。 )
【 西園寺 桜華 】
ッ、……。
( まるで狙ったかのように声を掛けてきた男たちに、思わずヒュッと息が詰まる。1人だけでもまだ怖いというのに、5,6人も柄の悪い男が近付けば声すらも出なくなってしまったようで。自分を庇うように後ろ手に匿ってくれる恋人に「 こはく、 」と不安と恐怖を滲ませた声で名前を呼んで。さすがの彼女もこんな人数相手では無理だ、と震える手で鞄の中から父に手渡された防犯ブザーを取り出せばいつの間にやら背後に居た男にその手を掴まれ、そのまま引き寄せられそうになり「 や、 」と小さな悲鳴を上げる。だがしかしその拍子にピンも抜けたのか防犯ブザーはけたたましい勢いで音を上げ。 )
【藍沢 類】
よかった、空いてて…、!?
防犯ブザーの音…!まさか。奏さん!行こう!!
( 無事店に入れそうだとほっとしたのも束の間、店を出た途端遠くから聞こえてくる防犯ブザーの音に、先程桜華が持っていたのを思い出す。二人の身に何あったのかと、すぐ様その場を駆け出して。)
【藍沢 琥珀】
桜華…!!
放せ!
( 後ろ手にいた彼女がいつの間にか背後に回っていた男に手を掴まれているのを目撃すると激昂し、ひとまず目の前の男たちをなぎら払うと。防犯ブザーの音に怯んだ隙に彼女を掴んでいる男に蹴りを入れ倒すと彼女を抱き寄せ。更に数人の男が自分の背後から襲いかかって来る気配を感じるも、彼女を守りながらでは応戦は厳しい。ぐっと衝撃がくるのを耐えるがそれはやってこず。)
【男たち】
なんだ…!!お前ら。
( 女を守ろうと抱き締めている彼の背後に向かって振り上げた腕だったが、気付けばそれは男の手によって阻止されており。見れば他の仲間も呆然としていて。)
【藍沢 類】
…おい、お前ら今すぐ帰った方が身のためだぞ。
そんなに待ってやれるほど、俺は優しくねぇからな。
( 間一髪、琥珀たちと男の間に滑り込み、男の突き出した拳を片方の手で受け止める。そのままその拳を掴むと、ギリギリと音を立てるくらいに強い力で押し返しながら低くドスの効いた声で男たちに忠告をして。)
【 西園寺 桜華 】
( 声ひとつ出せないように固まってしまった状態で彼女にただ抱きしめられながら先程男に掴まれた手を自身で掴み、彼女に助けを求めるように抱きつく余裕もなく桜華はただカタカタと小さく震えてしまうばかりで。今にも泣き出しそうなのを堪えながらぎゅ、と目を瞑れば、何やら鈍い音と同時に聞きなれた兄の声と彼女の兄の声がして。 )
【 西園寺 奏 】
驚いた。まさか本当に防犯ブザーが役に立つなんてね。
……琥珀ちゃん、守ってくれてありがとうね。さすがナイト様だ。
( その場にはそぐわない、やんわりとした口調と薄い唇にうかべた笑み。彼と走ってきたのであろうが息切れひとつせず、ただその瞳にだけは冷たい色が光っており。いつの間にか彼の足元に転がった二人の男のうちギリ、と顔色ひとつ変えずに1人の手の甲を踏みつければ「 さて。俺はテコンドーの使い手だし、彼は空手の全国選手だ。ちなみに向こうの彼女もね。俺としてはやめた方がいいと思うけど。痛いのはいやだろ? 」とその声は終始いつもと変わらず穏やかで、声だけならば男の手を踏みつけつつ喋っているとは思えないほどで。牽制は彼や琥珀ちゃんが既にしてくれている。ならば自分のすべき事は怯んだ彼らに逃げる隙を与える事、それに気づいて逃げるかどうかは男たちに任せる。……ただ、段持ちである彼らには過剰防衛とならないように手加減をしてもらはなければならないというのが1番難しいかもしれないが。 )
【藍沢 琥珀】
…!
2人とも…!
( 防犯ブザーの音を聞いてか、颯爽と駆けつけてくれた2人にほっと胸を撫で下ろす。しかしながら彼女に怖い思いをさせてしまったことと、守りきれなかったことにスッキリした気持ちにはなれないが、未だ震える彼女を胸に引き寄せ、背中をそっと撫でて「もう、大丈夫だよ。」と囁くように声をかける。)
【男たち】
ひっ…、い、いこうぜ…!
( あっという間になぎ倒され、明らかに力の差を感じたのか全員そそくさと退散していき。)
【藍沢 類】
…くそっ。
みんな怪我ないか?
…奏さん、ひとまずさっきの店に入りますか?
( 逃げ去っていく男どもを最後まで睨みつけたあと、後ろを振り返ると2人と、そして奏の方を見て。自分たちが離れてしまったがために、妹たちには怖い思いをさせてしまった、と少し悔しい思いを感じるが、今はとりあえず怖がっている彼女を落ち着かせることが先決だと、先程の店に行くかどうか彼に問いかけ。)
【 西園寺 桜華 】
……。
( 彼女に抱き寄せられ、やっと呼吸が自由にできるようになる。まだ抱きしめ返すことはできないし震えは止まらないけれど、彼女の服の裾を弱々しくつかみながら頷き返すことはできて。「 ……平気、よ。守ってくれてありがとう、 」と震える声で、自分の身を顧みずこちらを守ってくれた彼女を安心させようと真っ青な顔で笑って見せて。 )
【 西園寺 奏 】
いや、もう今日は旅館へ向かおうか。まだ日にちはあるし、1日くらい旅館で足を伸ばすのも悪くない。
旅館も車でそんなにかからないしね。借りてくるから待ってて。
( 元々旅館へは観光しがてら向かう予定だったが、こうなってしまえば外を歩かせるのも酷だろうと。それに店は明日行ったって今日の夜大人だけで飲みに行ったってもいい、そう考えては1度だけ妹の頭を撫でようとし───だがその手をおろし、類の方へぽんと手を置く。兄妹とはいえ、今妹に必要なのは自分ではないと。今度は申し訳ないが彼にもその場にいてもらって先程の知り合いの店へ車を借りに行き、暫くして車を走らせてくれば、皆を乗せそのまま旅館へと。ひとまず妹たちは2人きりにしてあげた方がいいだろうということで先に妹たちの部屋にチェックインをして「 ……さて、ひと段落かな。 」と妹たちが部屋に入ったのを確認しては深いため息を吐いて。妹の様子を見るに、今日はもう外には出られないだろう。夕食は元々旅館のものがついているから問題ないとは思うが。 )
類くんも。迷惑かけてごめんね。
……昔から、変な男に目をつけられやすいんだ、あの子。
もし琥珀ちゃんや類くんが怪我してたら遠慮なく教えてね、
【藍沢 琥珀】
( あの後は青い顔をした彼女を支えながら、何とか旅館の一室に辿り着いた。彼女をそっと座らせてあげると、部屋に備え付けてある湯のみに緑茶のティーパックを入れお湯を注ぎ。2人分のそれを部屋の中央にある台の上に置くと、彼女の隣にそっと腰を下ろして。「お茶飲もう。部屋に茶菓子もあったの見つけた。」と言うと、お茶と一緒に添えられていた和菓子を見せて、小さく微笑み。何とか彼女に安心してもらいたいと思うと、これくらいしかできず何とも歯痒い気持ちになるが、今はこうやってゆっくり過ごした方が彼女の為にもなるだろう。)
【藍沢 類】
いえ。…俺も琥珀も大丈夫です。
( 無事彼女たちを旅館の一室に入れてあげると、未だ少し心配そうに部屋の方を見つめて。彼の言葉には首を振り、自分の体のことは何にも気にしていなかったが今のところ痛い箇所などはなく。きっと妹の方もあの感じでは大丈夫だろうと思う。それにしても、彼の言い方からすると過去に何かあって男性に恐怖を抱いている、ということなのだろう。詳しくは聞かないが、とにかく後は自分の妹に任せようと、部屋に背を向けて彼の方を見る。)
俺らどうします?
夕食まで、まだ時間はありますけど…。
【 西園寺 桜華 】
ありがとう、琥珀。
…でも、ぎゅって、…して。
( お茶と茶菓子を勧められて、少しずつ落ち着いてきた頭でそれをぽや、と見つめる。だが何かを喉に通す気になれなくて、ただでさえ白い頬は血の気がまだなく青白さを保ったままで。少しの沈黙の間、ぽそりとつぶやくような声で零れたのは小さなわがまま。お茶の香りよりも彼女の匂いに包まれたくて、それからなによりも男に掴まれた感触を一刻も早く消したくて。彼女の為にここまで可愛くしたのに、こんなことならばオシャレなんてしなければよかった。と心の中では小さな後悔が渦巻く。ツンと鼻の奥が痛くなる感覚があるも泣くのはまだ、彼女が見ている前ではきっともっと心配をかけてしまう。「 …ぜんぶ、琥珀で上書きしてほしいの。 」ぽろりと出た言葉は紛れもない本心。脳内にある男たちの下品な声も、匂いも、感覚も。全部彼女で塗り替えたい。彼女も怖い思いをしたのに自分だけこうしてわがままを言うなんて不公平かもしれないが、今の桜華にはそんな気すらもつかえずに。 )
【 西園寺 奏 】
そうだねぇ、…とりあえず俺たちは交番に行こうか。
実はナンパって犯罪になりえる行為でね、`軽犯罪法違反`だとか`迷惑防止条例違反`だとか…桜華の場合は腕をつかまれたから暴行罪も適応されるかな。二人の遊ぶお金くらいにはなるんじゃない?
( にこ、と変わらずに穏やかにほほ笑めば彼の口から出たのはまさかの場所で。唇に手を当てつつサラサラと出る単語は職業病だろうか、それとも`よくあること`なので単純に慣れているのか。彼の表情からその真意は読めないが、物騒な発言とは裏腹にふわりと妹と同じように花が綻ぶように笑えば(最も目は全く笑ってはいないのだが)、「 ま、示談にするか放っておくかは妹に任せるけど。とりあえずさっき動画も撮ってたし証拠は十分、そういう手続きしてたらそのうち夕食の時間になるかなって。…あ、それとも何かしたいことあるかい?お腹がすいてたら何か小腹に入れてからにしようか。 」と彼の肩をぽん、と叩いてお兄さんが奢ってあげると大人っぽく口角をあげ、彼のブルーブラックを覗き込むようにして微笑んで。 )
【藍沢 琥珀】
ん…。
( 彼女に今必要なのは、自分なのだということが分かれば、彼女の恐怖が消えるのなら、何だってしようと思う。そっと彼女を自分の腕の中に引き寄せれば優しく背中を撫でて。「…あたしのことしか考えられなくしてあげる」と彼女の耳元で低く囁くように言い、少しだけ身体を離すと先程男に掴まれていた彼女の腕をそっと取り、自分の口元へ。掴まれていたであろう場所に口付けを落とすとそのまま視線は彼女へと移し。「触られたのどこ?」と尋ねる。)
【藍沢 類】
さすが弁護士…、じゃあとりあえず交番行きましょ。
( 彼の表情からは似つかわしくない言葉がつらつらと出てくると、何となく聞いたことはあるその犯罪名に呆気に取られ。この人こそ敵に回したら怖いのかもしれない、なんて思う。確かに先程までは空腹だったが、先の事件でなくなっており。それならばと交番に行くなら早い方がいいだろうと思うとそうしようと頷いて。「ご飯は今はいいかな…、旅館の夜ご飯楽しみにしときます。」それにしても動画まで撮ってあったなんて、全く気づかなかった。)
【 西園寺 桜華 】
っ、ん。
( ちゅ、と軽いリップ音を鳴らして唇を落とされた感触と、彼女のささやくような低い声に、思わず甘い声が漏れて体が跳ねてしまう。卑しい下世話な感情の渦巻く男の大きな手とは違う感覚に、まるで蕩けた蜂蜜のような瞳で彼女を見つめてははちみつ色の瞳からは音もなくはらはらと透明の雫がこぼれ、「 ぜんぶ、 」と小さな唇が動く。実際に触られていなくても、全身を舐め回すように見ていた男たちの視線が怖かった。普段からそういった視線を向けられること少なくないにしても、こうして実害が出てしまうとまた話が違ってしまう。すり、とまるで彼女の以外を感じたくないというように、猫が飼い主に自分の匂いをマーキングするように彼女に擦り寄れば、少しだけ震える小さな声で「 ごめんなさい、琥珀も…怖かったはずなのに 」と、あれだけの男たちに囲まれていたにも関わらず自分を第一に守ってくれた彼女へ告げて。 )
【 西園寺 奏 】
── ここまで付き合わせてしまってごめんね。ありがとう。助かったよ。
( 無事に交番での聴取を終え、マア確たる証拠があるのであとは警察が何とかしてくれるだろうとひと段落ついた頃。彼と肩を並べて交番から出てきては、まるで妹にするように彼の頭をぽん、と撫でてはふわりと柔らかく微笑んで。自分とさほど身長の変わらない彼とは目線が合わせやすく、日ごろあまり人の話を聞かない自分にしては珍しく彼のはっきりとした声は耳なじみが良いようで。「 それにしても類くん、とても強いんだね、足も速いし。力比べしたら俺よりも強いだろうなあ。 」とくすくす笑いながら先ほど男たちを簡単にのしていた彼を思い出して。新幹線内でテコンドーを教えてほしいなんて言っていたけど、そんなのが必要ないくらいだと笑えばそりゃあ女の子たちも放っておかないなと思う。あれだけ華麗にナンパから救い出されたら、どこの女の子も恋に落ちるというものだ。──ちなみに自分はどちらかというと、こういう時の後はおびえられることが多いのだが。奏はその理由を自分でも気づいていないようで。 )
【藍沢 琥珀】
…こわくないよ。あんな奴ら。
それよりも…桜華になにかあったらと思う方がこわかった…。
ごめんね、もっときちんと守ってあげられたらよかったのに。
( 口付けを落とした腕をそっと離すと、蜂蜜色の瞳から溢れてくる綺麗な雫にそっと唇を寄せて。彼女が全部と、言うのなら彼女の全てを自分の感触に上書きしようと、擦り寄る彼女をそっと抱き締める。その腕の中から聞こえてきたか細い声には、首を横に振って。男が何人でかかってこようが、ある意味闘い慣れた自分には差程怖さは感じなかった。何より怖かったのは、彼女を守れなかったらという事だけ。自分がもっとしっかりしていたら、もっと強かったら。こんなことになる前にあの男たちを追い払うことができたかもしれないのに。そんな後悔ばかりが頭の中をぐるぐると渦巻くのだ。彼女の首元に顔を埋めて、珍しく力ない声で謝罪をして。)
【藍沢 類】
いえ。
…まだまだですよ。俺なんて。
でも、こうやって誰かの助けになれたんだなって思うと、武道やっててよかったと思います。
( 交番にて事情聴取が終わるとほっと一息つく。交番から出た際に、彼から頭を撫でられふわりと微笑まれたことには少しだけ顔を赤くして。こんなふうに撫でられる経験がないので、どういう反応をしていいのか困るが、別に嫌な気分になっているわけではない。自分の武道に関して褒められれば、こんな風に誰かの役に立つのならばやっていて損はなかったと力なく笑う。体格もさほど変わらない彼だが、力比べをすれば、それは現役の自分が勝つだろう。しかし、威圧感という点では彼の方が勝っていたなあ、なんて先程のことを思い出して。「奏さんも、すごかったです。なんていうか、オーラありますよね。」と、尊敬の眼差しを向けて。)
【 西園寺 桜華 】
琥珀……、
( 彼女の力ない声にぎゅ、と心臓を鷲掴みにされたかのような錯覚に陥る。違う。貴方は最初から私の事守ってくれていた。ぐるぐると脳内を巡るそんな想いは言葉にならず、桜華はただただ彼女の謝罪に謝らないでと首を横に振ることしかできず。彼女が言っているのはきっとただの結果論ではなくて、もっと別のところだから。それでも自分を守ってくれたこの愛しい人に、謝らせたくなんて無かった。桜華はそっと彼女の両頬に手を添えて瞳を絡ませては、そのまま彼女の唇に自分の其れを押し当てて。「 私、何も怪我してないわ。ただ怖かっただけ。それも今琥珀のおかげで無くなったわ。……だから、平気よ。私、貴方に守ってもらったもの。 」まだ涙に濡れたヘーゼル色の瞳で彼女を見つめては、そのままこつりと額をつけて。〝だから謝らないで〟その一言こそ口にしないものの、いつの間にか桜華の震えはなくなっていて。 )
【 西園寺 奏 】
……人を守る拳だ。かっこいいね。
( 彼の言葉に1度だけぱちりと驚いたように瞬きをした後に、まるで将来の夢を語る子供を見るような、自分には無い何かを眩しがるような、そんな顔で笑って。彼のように真っ直ぐな人を見ていると、日頃〝人間の醜い部分〟を見てばかりの自分の心も真っ白に洗われるような気持ちになる。周りの環境ってやっぱり大事なんだな、とぼんやりと考えていたものの彼の言葉と眼差しにキョトン、と瞳を丸くして。おーら、と彼の言葉を小さな声で復唱したと思えばぷは、と吹き出して。「 職業病だよ、法廷では呑まれた方が負けだからね 」と可笑しそうにくすくすと笑いながら彼が思っているほど良い物ではなく社会人特有の病気だと。 )
【藍沢 琥珀】
ん…。ありがと。
本当に桜華が無事でよかった…。
( 彼女の言葉と、口付けはまるで魔法の様。先程までの自分の気持ちをいとも簡単に回復させるのだから。額同士を合わせ彼女と視線を絡ませ合うと微笑む。しかし、やはり彼女を守る為にもっと強くならなければならないという気持ちは変わらない。己も彼女の頬に手をそっと添え、ゆっくりと唇を彼女の唇に重ね合わせる。頬に添えていない方の手を彼女の背中へと回すと、少しだけ自分の方に引き寄せ深く唇を重ね合わせる。角度を変えて何度も。彼女を求める欲望は、簡単には収まってくれぬもので、口付けに夢中になりながらゆっくりと彼女を押し倒して。畳というのは床と違って柔らかくていいとは思うが、念の為彼女の頭に置かれていた座布団を敷く。唇を離すと彼女の首元へ顔を埋めて。)
…止めるなら今だよ?桜華。
【藍沢 類】
…そ、そっか。
弁護士って大変な仕事ですもんね。
( 自分の発言にくすくすと笑う彼には、何かおかしなことを言ってしまっただろうかなんて思い頭をかく。確かに彼の言うように、弁護士というのはどんなときも毅然とたち振る舞わなければならないのだろう。自分が想像しているより遥かに大変な職業なのだと思うし、それ故にやはりこの人は凄い人だとも思う。さて、時間もそれなりに経ったのでこの後は旅館の方に戻るかどうするかを彼に尋ねると、先程言っていたように大人2人で夜に飲みに行くのもありだなと考えて提案をして。)
旅館戻りますか。
…奏さんがよければ、夜飲みに行きません?
【 西園寺 桜華 】
ん、……ふっ…、。
( 角度を変えて何度も落とされる甘い唇に、どろりと脳の溶ける感覚がする。身体中を駆け巡る羞恥とそれから甘い暴力的な悦楽に身を委ねるように、彼女に引き寄せられるのもそのままに熱を帯びた体を彼女に預ける。時折唇から甘い吐息を漏らしながらふと閉じていた目を開ければ、彼女越しに天井がありいつの間に、と思う。そこまで自分は彼女とのキスに蕩けていたのか、なんて。自分のすっかり熱くなった首元に顔を埋めながら問い掛けられた言葉にぴくん、と体を跳ねさせたあと「 嫌(や)、……止めないで、 」と頬にも、それから耳にも、首筋にも。淡い朱を散らしながらぽそりと強請るように答えては座布団をきゅ、と手で握りながら潤んだ瞳を逸らして。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、俺も誘おうと思ってた。
( 彼からの問いかけに柔らかに垂れた瞳をそっと伏せては、ちょうど自分もおなじことを考えていたと笑って。折角こんな観光地に来たのだから、〝大人〟の楽しみも必要だろう。そういえばここら辺は日本酒が有名なんだっけ、の記憶の中の引き出しを漁っては「 類くん、お酒は何が好きなの? 」と折角ならば彼の好きなものを飲みたいなと微笑む。奏は煙草もお酒も人並みに嗜む(と自称しているが酒に関してはかなりのザルである)が、自分よりも肝臓が若いし彼のがたくさん飲むのかなあなんて首を捻りながら問いかけて。外に飲みに出かけるのもいいし、酒屋で地域酒を買って客室で飲むのもいい。どこが機嫌良さそうに形のいい唇をあげては、どうしようかなぁなんて考えて。 )
【藍沢 琥珀】
…好きだよ。桜華。
( 一つ一つの彼女の仕草や言葉が自分のツボにはまる。愛しくて愛しくて堪らない。いつもこうなると滅茶苦茶にしてしまいたい衝動と、優しくどろどろに溶かしてしまいたいなんて欲望が葛藤し、自分の心の中は冷静ではいられなくなる。勿論愛しい人を傷つけたくは無いし、やめてと言われればすぐに止めるくらいの理性は残っているわけだが、こんなふうに言われては抑えもきかないかもしれない。首元に何度も口付けを落としながら鎖骨の辺りまで下がると同時に、彼女の服へと手をかけていく。)
(/このあと、場面転換しようと思っているのですが、温泉に入る辺りにでもとばしますか??なにかしたいことがあれば何なりと!)
【藍沢 類】
あ、誘っておいてあれなんですけど、
そこまで酒は強くないんです、俺。
いつもは甘い酒ばっかですね。
( 誘った手前非常に言い出しづらいが、自分は差程酒に強くなく、恐らく付き合う程度には飲めるが酔ったあとはすぐに眠ってしまうのがいつものこと。大学の飲み会などで、友人に何度かお世話になったこともあるくらい。一方で彼は何だか強そうだと思えば、それならば尚のこと迷惑をかけないよう正直に始めから先に強くないことを申告しておかねばと話す。「酔っ払うとすぐ眠っちゃうみたいで。でもある程度は付き合えるので、ご心配なく!」と笑って。)
【 西園寺 桜華 】
( / 一旦背後のみで失礼致します!
折角温泉に来たので脱衣所からでも温泉に入ってる状態からでも、どちらかでも再開出来たらいいかなあと思います…!
そのあとは2人で仲良く同じ布団で寝てたりしたら次の日の観光とかに繋げやすいかな、と!
背後様の方で何かご希望の展開がございましたらなんなりとお伝えください~!! )
【 西園寺 奏 】
そうなの?
ふふ、眠っちゃうんだね。なんだかかわいい。
( あまり酒に強くなくすぐに眠ってしまうんだと言う彼の言葉にふふ、と柔らかい笑みを浮かべて。飲めない人間にとって酒の席に誘うというのはさぞかしハードルの高かったことだろう、そわそわと胸の奥から湧いてくるむず痒い感触に少しだけ不思議な気持ちになりながらそれでも嬉しいことには変わりなく。「 じゃあ、遠慮なく御相手してもらおうかな。 」彼の月夜のようなブルーブラックの瞳を覗き込みながら穏やかに笑えば、いいかい?とふわりとした黒髪を揺らして首をかしげ。 )
(/了解です!お風呂入っているところからのスタートにしました!)
【藍沢 琥珀】
───
( あれから部屋で可愛い彼女を独り占めしていると、あっという間に夕食の時間が来てしまい、まだまだ足りないと思いつつも昼食もとっていなかったこともあり、空腹は空腹だったため、続きは夜にとお預けを喰らってしまった。とにかく彼女も少し落ち着いたようで一安心。兄も交えて4人で豪華な夕食を頂き、食後暫くゆっくりしているとそろそろ温泉にでも行こうという流れになり、準備を済ませて大浴場へ。
ここの旅館は女性の大浴場と男性の大浴場はそもそも階が違うので、安心して移動ができる。こんなところでも何かあるのは避けたい。大浴場につくと脱衣所へ。入りに来ている人も少なくこれならゆっくり楽しめそうだと、荷物と脱いだ物をロッカーに入れて鍵を手首にかける。こういうとき、自分が服を脱ぐまで本当に女なのかどうなのかと周囲から視線を浴びることがあるが、ほぼ人がいないためそんな視線もなく。
大きな浴場に入ると身体を洗い、源泉掛け流しのお風呂へゆっくりと浸かり。)
はあー、気持ちいい…。
【藍沢 類】
かわいいなんてもんじゃないですよ…。
じゃあせっかくなんでお店で飲みましょうか。
( 「かわいい」だなんて、男の自分には似つかわしくない言葉だと苦笑して。過去に酒を飲んで寝てしまったときには、次の日に友人から苦言を呈された。きっと自分を運ぶのが大変だったのだろう。むしろ「かわいい」で言うなら、彼の方の仕草や笑顔の方がそれに値するだろう。旅行に来たのだ、せっかくならばお店で飲むのがいい。そう思うと、嬉しそうにそう返事をして。こんなに誰かと飲むことに楽しみな気持ちになったことが過去にあっただろうか。夜が待ち遠しくて仕方ない。)
( / ありがとうございます…!! )
【 西園寺 桜華 】
──── まあ。貸切みたい。
( すらりと締まるところは締まり豊かであるところは女性らしい柔らかな体をハンドタオルで最低限隠し、普段下ろしている髪をヘアクリップでまとめた状態で自分たち以外の人気がない大浴場をぐるりと見回せばぽつりと呟いて。体にぽつぽつと咲いた愛された証拠の赤い小花…もといキスマークはどうしようかと思っていたがこれならば気にする必要も無いだろう。掛け湯も済ませ彼女の入っている源泉かけ流しのお風呂へちゃぷ、と静かな水音を立てて入ってくればそのまま彼女の横へと落ち着いて。「 ぽかぽかだわ。気持ちいい。 」と白魚のような手でお湯をすくいあげてはにこにこふわふわと穏やかに微笑んで。 )
【 西園寺 奏 】
( あれから彼と旅館に戻り、それから妹たちと合流をすれば先程よりも随分顔色の良くなった妹が。やっぱりこういう時は恋人が1番の良薬なんだなあとふと思ってしまえば、妹の成長が嬉しい反面どこか寂しくもあり。さすが人気旅館ということもあり夕飯は豪華で味も十二分に素晴らしいものでこの後のお楽しみのために夕飯の際は烏龍茶で我慢をし。夕飯も済ませ、軽く食後の休みを挟んでも時刻はまだまだ夜遊びを始めるには十分な時間だ。旅館の夕飯はだいたい早いので。どうやら観光街ということもあり近くの酒場辺りは旅館の浴衣で出歩くことが許されているらしく浴衣に羽織りを着て「 ん、類くんそろそろ行こうか? 」と彼の方を振り返り。普段はスーツかハイネックが多いため首元が少しスースーするのが気になってしまったため髪こそ下ろしているが、先程のホスト感はなくなったもののどこか人妻感が出てしまったのは否めないが。 )
【藍沢 琥珀】
…これだけ大きいお風呂なら泳げそう。
( 隣に来た彼女を見ると、本当に息を飲むほど美しいと改めて思う。そんな彼女の肌に残る愛し合った痕跡を見つけると満足気に笑って。大きいお風呂に少し子どものようにはしゃぎたくなる気持ちを吐露すると、くすくす笑って顔にかかった前髪をかき上げる。「外に露天風呂もあるみたいだけど、行ってみる?」と大浴場から外に繋がる扉を見つけるとそう尋ねてみて。)
【藍沢 類】
はい!いきましょ!
( 豪華な夕食をお腹いっぱい食べた後、暫くして浴衣に着替え彼と共に街へ繰り出す準備を。自分の浴衣姿とは違い、大人の色気?なるものが溢れ出る彼を何となくまじまじと見てしまい。「浴衣似合いすぎません??」と正直な感想を相手に伝えて。これは街出たらすぐ逆ナンパ(もしかしたらナンパもありえるかも)にでもあいそうだと、内心思いながら。)
【 西園寺 桜華 】
あら、琥珀ったら。
( 彼女の言葉に思わずくすくすと思わず笑ってしまえばプールでも行きたいのかしらなんてふと思って。市民プールなどの一般的なプールはあまり好ましくなく行けないがホテル等に隣接しているプールなら確かに彼女と行ってみたいななんて考えて。と、ふと彼女の方を向けば艶やかなブルーブラックの前髪をかきあげる彼女を見てあまりに女性泣かせなその姿にぱっと顔を赤くしては 「 そ、うね。お外に出ましょ。 」とその表情を見せないように静かに其の源泉かけ流しの風呂から出て。彼女の先程の行為がなんだか、〝さっき〟の時間を思い出してしまうようで、温泉のせいでは無い体の火照りを感じ。 )
【 西園寺 奏 】
ん?……ふふ、そう?
あんまり着方とかに詳しくないからすぐに着崩れちゃうんだけどね。
( パチリ、と彼の言葉に驚いたように1度瞬きをしたあとにすぐに少し照れたように頬を赤らめてはにかめば、こういう時でもないと浴衣になんて袖を通さないので着付けるのは苦手だと答え。いつも家族で旅行に行った時なんて朝になったらはだけているどころかほぼ着ていないレベルで崩れており妹や母が呆れていた記憶がある。打算などひとつもない彼の真っ直ぐな感想に照れてしまったのを誤魔化すように「 行こうか、 」 とひとつ咳払いをしたあとにふわりと笑って温泉街へと歩き出して。 )
【藍沢 琥珀】
…桜華、顔赤くない?
逆上せた?
( こんな風に彼女と大きなお風呂に入るのは初めて。恋人と堂々とお風呂へ入れることには、女性同士でよかったと思う反面、好きな人の身体へと視線が移ってしまうのを押さえつけるのは大変なのだが。彼女が自分より先に露天風呂の方へ移動してしまったので、自分も後を追い。ふと外に出た所で、彼女の肌が白いせいもあるが顔が赤いような気がして。彼女の横に並ぶと、顔を覗き込んで。 )
【藍沢 類】
はい!
( 少し照れたような相手の様子には、歳上なのだが可愛いなんて思うと小さく笑って。行こうという彼の横に並んで歩き。温泉街へ出ると、昼間に比べると少ないがちらほら観光客がいて。自分たちと同じように浴衣で歩いている人も多い。どこの店にしようかと悩むくらいにはそれなりに飲める店が軒を連ねていて。その中でも比較的入りやすそうな居酒屋を見つけると「こことか、どうですか??」と相手に尋ねて。)
【 西園寺 桜華 】
……琥珀が、カッコよくて。ずるいの。
( 彼女からふと顔を覗き込まれれば、逆上せたと嘘をついて彼女に心配をかけさせるわけにもいかずにキュ、と握ったタオルに力を込めて。露天風呂に浸かれば中よりも外気温で涼しいはずなのに顔の赤さは引いてくれないまま、よわよわと吐露して。「 もっと自分がかっこいい自覚持って、……どきどきして壊れちゃう。 」とお湯の蒸気で濡れた睫毛をそっと伏せては首元や肩まで薄紅色に染めては小さな声でそう告げたあとふい、とそっぽを向いて。 )
【 西園寺 奏 】
うん。良さそう。
お店見つけるの上手だね。あんまりこう言うお店来ないからすごく助かるよ、ありがとう。
( 彼の指した店に目を向けると、大衆的でありつつも今風な。他の店よりも比較的入りそうな居酒屋で。普段知り合いの店やバーでしか飲まない自分にとってこういった居酒屋の判断基準に疎いためこうして見つけてくれるのがありがたく。暖簾をくぐりガラガラと音を立てながら戸を開ければ、外観からの期待通りの店内。「 こんばんは。2名入れますか? 」とカウンター内に居る大将らしき人物に声をかければそのままカウンター席へ案内され。店内は賑わっているものの、都会のチェーンの居酒屋などとは違い騒ぐ大学生や声の大きなサラリーマンなども居らず落ち着いた地元の居酒屋といった感じで。カウンターに飾られている日本酒の瓶のセンスも良く、ここなら確かに期待できそうだと思わず頬が緩んでしまい。 )
【藍沢 琥珀】
…!ははっ…、それは困ったなぁ。
( 温まった身体に少し寒い位の冷気が心地よい。自身も彼女に続くと露天風呂へとゆっくり浸かる。逆上せた訳ではないが、なぜそんなに顔が赤いのか、はたまた自分に迷惑をかけまいと無理をしているのか心配に思っていると、自分のことを「かっこいい」と言った彼女の言葉に思わず目を丸くして。白魚の肌が薄桃色に染まりながら、自身から顔を背けてしまった彼女に小さく笑う。好きな人にかっこいいと言って貰える為に日々努力をしているわけだが、それが報われていたようでただただ嬉しい。壊れてしまっては困るが、彼女がそんな風に自分を意識してくれると知ると少しだけ意地悪そうな笑みを浮かべ、そっぽを向いた彼女の耳元に唇を寄せて囁くように言う。大浴場は見た限り人はもう居らず、露天風呂も彼女と2人きり。身体を彼女の方へ少し密着させると、細い彼女の腰にそっと腕を回して。)
…そんなこと言ったら、あたしは桜華が可愛すぎて、とっくに壊れちゃってるけど?
【藍沢 類】
いえいえ!
なんだか、入りやすい店で良かったですね。
何飲みますか??
( 彼に感謝されると自分はただ通りかかった店を選択しただけだと笑って。カウンターに通されると、さっそくと飲み物のメニューに目を移す。思ったよりも酒の種類も料理の数も多くて、これは迷ってしまうなとメニューと睨めっこをし。彼もメニューを見ているため、その間に大将におすすめのおつまみを何品か用意して貰うことにして、ついでにオススメのお酒も聞き出す。こういうときに臆せず誰にでも明るく話せるのは、自分の長所だと言ってもよい。「この日本酒おすすめですって。あ、でもいきなり日本酒だと酔い回るかな。」 と彼に情報を伝えると、自分は一先ず1杯目は弱めのものでも選択しようかと考えて。)
【 西園寺 桜華 】
ひゃ、……っ。
( 耳元で囁かれた彼女の意地悪い囁きに思わず甘い声をあげてはここが外で尚且ついつ人が来るか分からない状況ということもあり、ぱしゃりと水音を立てながら慌てて自身の口元を両手で抑える。するり、と自身の腰に回った彼女の腕と先程よりも密着度の増した暖かな体温になにだかいつにも増してどきどきと心臓が早鐘のように鳴り、彼女に聞こえてしまうとギュッと目を瞑り。温泉に浸かっていたせいかいつもよりも熱のある彼女の体温と、ぽたりと自分の肩に落ちた雫にまたびくりと肩を揺らしては「 ……だめ、 」とふるふると弱々しく首を振り漸くぽそりと一言を。一体何に対しての〝だめ〟なのか、人が来てしまうからダメなのか、壊れてはダメなのか、それともその色気をそんなに振りまいてはダメなのか、それを明言する余裕もないのかやっと開いた桜華のヘーゼルは羞恥で潤んでいて。 )
【 西園寺 奏 】
……ふふ、じゃあお言葉に甘えて俺は日本酒にしようかな。
( 自分がメニューに目を滑らせている間、いつの間にやら大将に適当なつまみだったりおすすめの日本酒だったりを聞き出していた彼に思わず関心してしまう。こうして人の心をいとも簡単にアイスブレイクしてその隙間に入り込めるというのは本当に才能であり、また自分にはない才能であるので思わず彼の優しい青みを帯びた瞳を見つめて甘えてしまう。せっかく彼が聞いてくれたのならそれが飲みたいな、と。「 類くんは確かに弱いお酒から始めた方がいいかもね、 」酒の種類に悩んでる彼を見てくすくすと笑みをこぼしてしまえば、マア万が一彼が寝てしまってもタクシーやらなんやら旅館に帰る手段はいくらでもあるから平気だろうと微笑ましげに悩む彼を見つめて。 )
【藍沢 琥珀】
…なーんてね。さすがに人が来そうな場所では何もしないよ。
( 彼女の「だめ」 の言葉と声を抑える仕草に背筋にぞくぞくとした何かが走るのを感じ、もっと意地悪したくなるものの、少しの理性に掴まって離れると、平気なふりをして笑ってみせる。さすがに他の人が来そうな場所で、彼女の嫌なことはできないし、それくらいの分別はつく。「残念だけど、部屋で、ね?」なんて言うと大分身体も温まり、もうそろそろ上がろうかと彼女にどうするか尋ねて。この後は彼女と部屋でゆっくりと二人だけの時間をすごすのもいいし、館内を散歩がてらまわってみるのもいいと思いながら自分もどうしようか考えて。)
桜華、そろそろあがろうか。
【藍沢 類】
おお。味の感想聞かせてくださいね。
( 早速日本酒を注文した相手には、さすがお酒に慣れているのだなと感心し、自分は一先ずレモンサワーを選択して。せっかく大将がすすめてくれているのだから、後で日本酒も少しくらいは飲みたいと思い、先に飲む相手に感想を教えてもらおうと頼み込み。出された枝豆などのちょっとしたおつまみのもりあわせをひとつ摘む。「奏さんは酔うとどあなるんですか?」なんて、酒は強いと知っていながらもどうなるのか気になり聞いてみて。)
【 西園寺 桜華 】
っ、……ばか、えっち。
( そのまま此方の熱を上げるだけ上げて平気な顔でさらりと離れた彼女の言葉にかあっと頬を赤らめてはムキャ!と他人がいる前では決して見せない幼い怒りを露わにして。ぺち、と彼女の二の腕あたりを大して力の込めていない手で叩けばまだむす、と薔薇色の唇を少しだけ尖らせながら「 出るわ。……誰かさんのせいで逆上せちゃいそうだもの。 」と立ち上がれば艶やかな肌は当然のように水を弾きつつぽたぽたと雫を落とし。来る時は気にする余裕もなかった館内でも見て回ろうかしら、それともせっかく素敵なお部屋だしのんびりするのもいいわ、とぼんやり考えながらそのまま脱衣場へと歩き。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、もちろん。
なんなら一口飲んで気に入ったら頼めばいいよ。
( 彼の言葉に、なんだかお酒を覚えたての後輩みたいだなと思わず微笑ましく思ってしまえば折角強い人間が居るのだから少しずつ味わって1番美味しかったものを自分で頼めばいいと。はらり、と耳から落ちる髪を改めて耳にかけ直しつつ彼の言葉にん?と緩く首を傾げてはしばらく悩んだような仕草を見せた後に「 ん…そうだなあ、若い頃は酔うとよく脱いでたらしいよ。今ではそんなんになるまで外で飲まないけどね。 」と若かりし頃の思い出に困ったように笑いながら答えて。もっとも、今でも家で一人で飲む時などは気が付いたら上半身裸で寝ている時があるのだが。あまり外では良いものとは言えないし、あと教育に悪いと友人に怒られるので最近はセーブをしているようで。 )
【藍沢 琥珀】
ふふ、ごめんごめん。
( こちらの言動に怒った様子の彼女。そんな姿さえ一々可愛く、怒られているはずなのに、にこにこと笑ってしまう。自分より先に風呂から上がった彼女に、さすがに調子にのりすぎたかと思うと謝りながら自分も風呂から上がり。脱衣所へ戻るとバスタオルで身体や髪を拭きながら「やっぱりあれだね、温泉といえば風呂上がりに牛乳じゃない?あとで売ってたら買おうかな。」なんて、言いつつ風呂場から出たところに牛乳の自動販売機みたいなものがあったような気がして。一通り体を拭き終えると下着と浴衣を身にまとい。浴衣の柄と色は、チェックインの際に自分で選ぶことができた。自分は青に近い藍色に所々に白の花びらが咲くシンプルな柄で。)
【藍沢 類】
え、そうなんですね。
それは…なんというか破壊力がすごそうで。
( 彼のものを1口くれるというので、有難くそうすることにして。酒に酔った彼が、脱いでしまうことを聞くと思わず顔を赤らめて、それは意外だと目を丸くする。こんな美人がいきなり暑いだなんて言って脱ぎ始めたら、それは周りは困るだろう。最近はそんなことはないと聞くと少しほっとして。しかしながら、彼のひとつひとつの仕草が綺麗で、思わず見蕩れてしまう。届いたレモンサワーと、彼の前に置かれた日本酒。日本酒を小さなお猪口に注ぐと、「とりあえず、乾杯、ですかね」とレモンサワーの入ったグラスを彼の方へ向けて。)
【 西園寺 桜華 】
ふふ、温泉の醍醐味ね。
確か出て左側にあったと思うわ。
( ポンポン、と叩くようにしながら丁寧に髪の水分を拭き取り、それから乾燥防止にボディクリームを塗りながら彼女の言葉にくすくす笑いながら返せば自分も後で飲もうかな、と。中学生の時までは給食でよく飲んだけれど高校生になってから牛乳飲む機会がめっきり無くなったなあなんて考えつつ彼女の方を見れば彼女の精錬とした雰囲気によく似合う藍色に白い花弁の舞う旅館浴衣に思わず見蕩れてしまう。和服まで着こなしてしまうなんて。「 ……浴衣、とっても素敵。 」とふわりと微笑んでは自分もクリーム色の生地に薄桃色のさくらがデザインされたフェミニンながら上品なデザインが気に入った浴衣に袖を通しつつ慣れた仕草で着付けて、髪は緩くヘアクリップで纏め湯冷ましに項をぱたぱた仰ぎ。 )
【 西園寺 奏 】
はは、……酔わせてみる?
( 顔を赤くした彼の反応がやっぱりなにだか自分のイタズラ心を刺激されるのかくすくすと可笑しそうに笑った後にテーブルに両肘をついて頬杖をついてはこてん、と首を傾げつつ彼の瞳をじ、と見つめたあとに〝なんちゃって〟とやはりアッサリと冗談だとネタバラシを。気を利かせて酌をしてくれた彼に良いのに、なんて笑いつつそれを受ければ少し気恥しい気持ちもありつつありがとう、と。「 ───大人の夜に、 」とふわりと柔らかく口角を上げながら乾杯するようにお猪口を軽くくい、と彼の方へ持ち上げたものの、ここが大衆居酒屋だと思い出せば彼のグラスにかちん、とお猪口をあてて。 )
【藍沢 琥珀】
ありがとう。桜華の浴衣姿もとても綺麗だよ。
( 彼女も牛乳を飲みたいというので、後で一緒に買いに行くことが決まれば嬉しそうにして。ショートヘアなのでタオルドライさえすればすぐ乾く髪であるが、彼女ほど長ければ乾かすのにきっと時間がかかるだろうと思う。髪をまとめて留めた彼女のうなじがとても綺麗で、はたまた自分とは対比された明る陽の中に桜が咲く浴衣が似合っていて此方も思わず見蕩れてしまう。ついつい無意識の内に彼女のうなじへと手を伸ばし、「髪あげるとなんか色っぽいよね」と呟きながらそこへ触れて。)
【藍沢 類】
奏さんのは本気か冗談か分かりにくい…!
( 彼と視線が合った瞬間、ドキドキと鼓動が速くなるのを感じる。冗談だと言う相手に、顔を真っ赤にさせながらこれはからかわれたのだと分かると少し頬を膨らませてそう言い。乾杯を済ませるとレモンサワーに口をつけて。爽やかなレモンの風味、少し強めの炭酸がすっきりしてとても飲みやすい。思わず「はー、美味しい」と声を漏らすと、彼の飲む日本酒はどうだろうかと飲んだあとの反応を伺って。)
【 西園寺 桜華 】
っあ、…。
( ぴたり、と全く意図していなかったタイミングで項に触れられればぴくんと肩を跳ねさせて甘い声を上げてしまう。周囲に人がいなかったからまだいいものの、桜華は慌てて両手でそっと口元を抑えては悪戯好きな自分の愛しい彼女へ抗議の目を向けて。だがしかしそんな声を上げてしまった手前気恥ずかしさもあるのか彼女の手を取ってドライヤーのある鏡の前へと。「 もう良い子でお座りしていてちょうだい。ちゃんと髪は乾かさなきゃだめよ、`王子様`。 」と彼女の椅子に座らせては痛みのないブルーブラックの髪をドライヤーで優しく乾かし始めて。幼い頃から自分を顧みない兄が濡れっぱなしの髪を放置していた為人の髪を乾かすのに慣れているのかその手つきに迷いはなく、熱いところないですか?なんて美容師のように彼女に問いかけてはふわりと笑って。 )
【 西園寺 奏 】
…っふふ、あはは、類くんは本当におもしろいね。
( 顔を真っ赤にしてこれでもかというくらい良い反応を見せてくれた彼に、わかってはいたもののやはりそれが可愛くて弾けるようにぱっと笑って。妹にこんな風にしてもあしらわれるだけだし(本当にあの子は彼女にしか興味がないので)、友達にやってもみんな慣れてしまったのか『お前普段それで女落としてんのか』『その顔がなければ最悪のくせに!』とプロレス技で締められるし。こんな反応してくれる彼がツボにはまって仕方がないようで。一口煽った久しぶりの日本酒は、ほのかな米の甘味の中にのどの焼けるような辛さが特徴的で、だがしかしスッキリと飲みやすかった。おそらく彼でもこれなら飲めるだろうと判断しては「 ん。結構辛口だけど美味しい。飲んでみる? 」と彼のほうに御猪口を差し出して。本来であれば飲みさしを渡すのは申し訳ないとは思うのだが、たった一口のために店員さんに御猪口を何個も持ってこさせるのは申し訳ないので彼には我慢してもらうとして。もし飲めるようだったら新しくもらえばいいのだ。 )
【藍沢 琥珀】
はは…、お姫様に乾かしてもらえるなんて光栄だなぁ。
( 彼女の反応、そしてこちら睨むその視線に、やってしまったと思いながら手を引っ込めて。いい加減にしないと本当にそっぽを向かれかねない。そんなことを思っていると手を引かれて椅子に座らせられる。美容師のように自身の髪をドライヤーで乾かしてくれる彼女の言葉には、くすくすと笑いながら「大丈夫でーす」と伝え。こんなふうに髪を乾かしてもらったのはいつぶりだろうか。昔、小さい頃に母に乾かしてもらったときの記憶が蘇る。彼女の優しい手と母の手は何だか似ている、なんて珍しく感傷に浸っていると乾いたようで「ありがとう」と笑って礼を伝えて。)
【藍沢 類】
もう、からかいすぎですよ。
の、飲んでみます。
( 面白いと言われるのが何だか悔しいような恥ずかしいような妙な気持ちになると、なんと返していいのか分からない。彼の花が咲くような笑顔には、まだ胸の高まりが抑えきれず。ふと日本酒を煽った相手が、美味しいというので1口だけ飲ませてもらおうとした矢先、彼から差し出されたのは飲みかけのお猪口。大学の飲み会で、回し飲みなんてこともしたことはあるが、彼とのそれはまた違うもので。しかし変に意識しているのも変だとお猪口を受け取れば、少しだけ口を付けて。僅かな量でも口いっぱいに広がる強い酒感、しかし思ったよりも後味はすっきりしており。 )
【 西園寺 桜華 】
ふふ。いいえ。
( 最後に自分も使っているヘアオイルを軽く毛先に揉み込めば終わり。ぽん、と優しく彼女の両肩に手を置いて終わったの合図をすれば彼女の頭に軽くキスを落として。ヘアオイルはさっぱりとした匂いで重たくもないのでドライヤーからの熱を補修するのが目的らしく、いつも自分が眠る前の匂いが彼女からするのが不思議な感覚で。「 私も乾かすから待っててね。お外(脱衣所を出た先)で待っていても平気よ。 」 と、そこら辺の男よりもずっとずっと顔の整った彼女1人で脱衣所に居るのはすこし居心地が悪いだろうと。自分も直ぐに乾かし終われば良いのだが、残念ながら髪の長さ的にそういうわけもいかないので少しでも彼女の居心地がいい場所で待ってて、と。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、どう?
( 甘口の方が良かったかな、なんて彼の方を見てふと考えつつ首を傾げては味の感想を問い。酒の飲める人間の〝これならイケる〟は酒を飲まない人間からすると大抵イケないものなのであるが。「 もしもっと甘いのが良かったら甘いの頼もうね 」とふわふわぽわぽわ微笑んではテーブルにまた頬杖を着いてはこてりと首を傾げながら彼の方にヘーゼルの瞳を向けて。先程頼んだこまごましたおつまみ類が運ばれてくれば、メニューこそどこの居酒屋にもありそうなものではあるがどれも皿や盛りつけに拘っており女の子なら写真撮るんだろうなあ、なんて普段SNSをやらない奏でさえ感心して。 )
【藍沢 琥珀】
ん、ありがと。
( 髪を乾かし終えた後につけられたヘアオイルからは、よく知った香りがする。普段彼女の髪がふわふわと動く度に香る、彼女にぴったりな可憐な香りに包まれて何だか不思議な気持ちになりつつ「おそろいのにおいだね」とにっこり笑って。これを機に彼女とお揃いのヘアオイルを買ってみるというのも悪くないな、と思っていると、自身の髪を乾かすという彼女。先に出て待っていればと言われるものの彼女の髪を乾かす様子を見ていたい、という気持ちの方が今は強く「…桜華が乾かし終わるまで見てていい?」と、彼女に一応了承を貰おうと尋ねて。)
【藍沢 類】
思ったより飲みやすいです。
でも、俺には強いかな…。ありがとうございました!
( 味の感想を求められると、確かに飲みやすいお酒ではあるがまだ日本酒自体の味に慣れていない為か、美味しいというより酒感が強いというのが正直な感想で。苦笑するとお猪口を相手に返し、一応礼を告げる。次々と運ばれてくる料理の盛りつけ方が綺麗で、思わず「うわー、きれいすぎて食べるの勿体ないな」と感嘆の声を漏らしてしまう。ちらっと横を見ると彼もその盛りつけには感心しているよう。その表情もとても綺麗だななんて思っていると、これまで気が付かなかったが、この店にいる他のお客さんも彼の美しさを口々に噂しているのが耳に入り。ちょっと冗談交じりで下記を述べると、小さく笑って。)
奏さん、ひとりでここきてたら絶対声掛けられてますよ。
俺と一緒でよかったですね。
【 西園寺 桜華 】
うふふ、おそろい。
( 彼女の言葉にぱっと嬉しそうにはにかめば、普段服の系統や何から何まで正反対と言ってもいい自分たちの数少ない〝おそろい〟にうふうふと笑ってしまい。彼女から自分と同じ香りがするというのはなんだかとても不思議な周りへの優越感を感じてそわりと胸の奥がざわめくのを感じたものの、彼女からの言葉にふと我に返れば思わずキョトンとヘーゼルを丸くして。「 ええ、もちろん。ふふ、そんなに面白いものでもないと思うわよ? 」とくすくすと笑いながらアンティーク調の可愛らしいヘアブラシを器用に使って丁寧にドライヤーで髪を乾かしはじめて。 )
【 西園寺 奏 】
、……あはは。じゃあさしずめ類くんは俺のナイト様ってことだ。
( きょとん。と彼の言葉に目を丸くしてはだがすぐにその言葉の意味を理解してくすくすと笑い出してしまえば一口酒を煽りながら彼の方をちらりと見て。たしかに先程からちらちらとこちらの様子を伺う女性客や何やらヒソヒソ話している声(興味が無いので何を話しているかは分からないが)が聞こえるが、それら全てが自分に対してのことではなく無論彼への其れも混じっているだろう。「 無事に俺をお部屋まで届けてね、ナイト様。 」と悪戯っぽくふわりと微笑んでは彼と目線を絡めて。 )
【藍沢 琥珀】
( 彼女がブラシを使い丁寧に髪をとかしている様を頬杖をつきながらじっと眺めて。ブラシが通る度に彼女の絹のような綺麗な髪が靡く。それを見ていると触れたいと思う気持ちと、我慢をしなくてはと思う気持ちとがせめぎ合い、心が落ち着かない。しかしながらこうやって髪を乾かす様子をじっと見ていられるのも自分の特権だな、なんて思いつつ髪が乾くのをじっと待ち。)
【藍沢 類】
な、ナイト!?
は、はい!勿論です!!
( 彼からの返しには思わず目を丸くして驚き。ナイトなど言われたことはなくなんと返していいのかはわからないが、彼に言いよってくる輩がいれば成敗すればいいということだろうか。なんてぐるぐる考えつつ、彼と視線が絡み合えば頬を赤くして勢いの良い返事を返し。照れ隠しに手元のレモンサワーをまた1口飲んで。)
【 西園寺 桜華 】
( なんでもないようなフリをして出来るだけいつも通りに柔いヘーゼルの髪を乾かしているつもりだが、どうしても隣からこちらを見つめる2つのブルーブラックをどうしても意識してしまう。でもなんだか彼女のその様子が母親が化粧をしているのをじっと見ている子供のようにも見えて思わず頬を弛めてしまう。髪を乾かしおわり仕上げに先程彼女につけたものと同じヘアオイルを読み込んでは髪が痛まないようにゆるい三つ編みを編んでそれを肩から垂らし。「 お待たせ、……待たせてしまってごめんなさい、退屈じゃなかった? 」とゆるりと首をかしげれば結局最後まで隣で待っていてくれた彼女へ謝罪をしつつ退屈ではなかったかと。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、元気なお返事。
( 緊張の入り交じった彼の返事に機嫌良さそうに酒で濡れた唇を緩く吊り上げて。素直で可愛いなあなんて普段自分の周りには居ないような彼をもっとからかいたくなってしまうが、あまりそうしてはきっと彼を困らせてしまうだろうと我慢して。くい、とまたひとくち酒を煽り徳利を持ち上げればもういつの間にか中身が空になっていることに気付き、「 類くんといるとなんだかお酒を飲むスピードが早くなるみたいだ。…なにか新しい飲み物頼むかい? 」とゆるりと首を傾げる。いくらレモンサワーと言えどそろそろ彼はソフトドリンクに変えた方がいいのだろうか、まだ彼の力量も分からないので新しく注文する訳にも行かず彼の方へメニューを見やすく傾けながら自分はそれを覗き込むように彼の肩口からメニューを覗いて。 )
【藍沢 琥珀】
ううん。楽しかった。
( 彼女の姿に見惚れているといつの間にか髪を乾かし終えた彼女。三つ編み姿も中々見ないけど、可愛いなんて思いながら椅子から立ち上がり、にっこりと満足気に笑い。待たせたなんてとんでもない。こちらが見ていたくてここに留まったのだから謝らないでほしいと首を振り。「牛乳買いに行こ?」 と自分の荷物を手に持つと、はやくはやくという子供のように彼女の手を取って。)
【藍沢 類】
あー……じゃあ、俺はこの梅酒でも飲んでみようかな。奏さんは?
( 一々色っぽい彼の表情に終始どこを見ていいのか分からないが、目をそらす事もなんだか出来ずにいると、既に空になった徳利を見てドリンクメニューを見る。自分もレモンサワーが終わりかけているので、とメニューを見ると梅酒の文字が目に入り。比較的飲みやすく、好きな味でもあるので梅酒はたまに飲む。彼は次に何を頼むのかと気になり聞いてみて。)
【 西園寺 桜華 】
わ、……ふふっ、琥珀ったら。
( まるで小さな子どもが母親の手を引くように甘える彼女の様子に思わずきゅん、と胸が締め付けられるような甘い感覚を覚えてはふにゃふにゃと思わず柔く笑ってしまい。自分の荷物を持って彼女に手を引かれるがまま自動販売機の前についてはそういえば冷たい牛乳って久しぶりに飲むなあ、とふと考える。眠れない夜にホットミルクを飲むことはあるけれど、給食で飲んで以来かもしれない。「 なんだか中学生に戻ったみたい。 」と自動販売機に並ぶ瓶牛乳を何にしようかなと悩みながらそんなことをぽろりと零してはくすくすと笑って。 )
【 西園寺 奏 】
んー、俺はこっちの日本酒かな。すごく辛口なんだって。
( 彼の注文しようとする梅酒も店によってなかなか味が違うのでそそられるが、やはり地酒が飲みたいという気持ちが買ったのか変わらず日本酒のようで。おつまみも摘んでいるとはいえ、自分にしては珍しいハイペースで飲んでしまっているなとふと我に返れば柄にもなくはしゃいでいるらしい自分に気づいて思わず笑ってしまう。「 ……類くんと一緒にいると楽しいな、1人の方が好きなのに不思議だ。 」とアルコールが入っているため少しだけ水分量の増したとろんとした瞳で彼を見つめては柔らかく微笑んで。 )
【藍沢 琥珀】
確かに、瓶の牛乳なんて飲む機会ないし。
あたしはこれにしよ。
( 自動販売機の前に立てば瓶の牛乳が並んでおり。意外とある種類に思わず感嘆の声を漏らし。彼女の言うように中学生以来だと思うと何だか懐かしい思い出が蘇る。普段から牛乳は飲む方ではあるが、瓶の牛乳はなかなか飲まないのでウキウキとした気持ちで自動販売機を眺める。普通の牛乳の他にも、味が濃いもの、カロリーが控えめなもの、更にはフルーツ牛乳、コーヒー牛乳も取り揃えられており。悩んだ末、普通の牛乳を選択し購入することに。彼女は何を選ぶのかなと、取り出した牛乳瓶の蓋を開けながら眺めては「これだけあると悩むよね。」と苦笑し。)
【藍沢 類】
うわ…さすがですね。
( 辛口の日本酒を選択する彼を見て、やはり酒に強いということを実感すれば尊敬の眼差しを向ける。自分の分とまとめて注文するとすぐに運ばれてくるお酒。摘みも美味しいし、本当にいいお店だと思っていると、横から感じる視線。少しお酒を飲んでいるせいかふにゃっとした笑みを浮かべる彼に、またドキドキとしてしまい。更にはそんなことまで言われては、変に意識してしまいそうになる。自分の理性と戦いながら、にっこりと笑って自分の思いを伝えて。)
…俺も、奏さんといるの楽しいです。
できれば、これからもこんなふうに仲良くしてもらえたら嬉しいです。
【 西園寺 桜華 】
ん、そうね……。
( 迷う、という彼女の言葉に同意しつつも桜華が選んだのはカロリーが控えめな牛乳。最近彼女と一緒にご飯を食べに行ったりだとかが増えてしまいちょっとお腹が柔らかくなってきてしまったような気がするので、少しでも悪足掻きを。最低限のストレッチや運動はしているものの普段からスポーツや武道で運動している彼女とはやはり消費カロリーが違うのだ。「 …うふふ、 」とちょっと恥ずかしそうにはにかみながらカロリーが控えめな牛乳を購入し取り出せば彼女と同じように蓋を開けようと力を込めて。 )
【 西園寺 奏 】
……ふふ、なんだか告白みたい。
( くす、と思わず彼の優しい言葉に微笑んでしまえば告白みたいだと。今のはからかっている訳でもなんでもない本心な訳だが、やはりその口調はいつもと変わらずにふわふわと穏やかで。ふわりと漂うお酒の匂いと自分の香水の匂いが混じり合い、何となくいつもよりもよった気分になる。「 もちろん、末永くよろしくね? 」と髪を耳にかけながら微笑めばこてりと首を傾げて彼を見つめ。自分と同じように彼が今のこの時間を楽しんでくれているなら何よりだ、と。 )
【藍沢 琥珀】
…カロリー控えめのやつって、味結構違うのかな?
( 彼女がカロリーを気にしているとは思わなかった。風呂場で見ても細くて寧ろもう少し肉が着いてもいいくらいだとすら思うのだが、そこはあえて何も言わない。牛乳をひとくち飲むと、ふと横目で彼女が蓋を開けようとしているところを見て。カロリー控えめと言うがどれくらい味に差があるのか気になり「あとで一口ちょーだい?」と言うと、彼女が蓋を開けるのを待ち。)
【藍沢 類】
…反則すぎません…??奏さん、俺より年上なのになんでそんな可愛いんですか…?
( 告白、なんてつもりはなかったが、この際告白でもいいかもと思えるくらいに自分は彼に酔っている。彼の言葉に頭を抱える仕草をすると、少しむっとした表情でなぜそんなに可愛いのかと思っていたものが全部言葉となってあらわれており。おそらく自分は彼に恋をしてしまったらしいことを自覚すると、梅酒をちびちびと口につけ、この感情をどうしたものかとぐるぐると頭の中で考えて。)
【 西園寺 桜華 】
ん、……ちょっとあっさりしてる…ような、?
( こくん、と1口牛乳を飲めば普段飲んでいるものと特に大差がないように思えて不思議そうに首を傾げながら少々歯切れの悪い様子で答え。あまり牛乳に拘って飲むことがないせいかその表情は何やら悩ましげで。と、彼女の言葉にぱっと笑えば「 もちろん、どうぞ。 」と特に何の躊躇いや恥じらいもなく自分の持っていた瓶を渡せば彼女は何か味の違いが分かるだろうかと少し期待の色の滲む瞳で彼女を見上げて。 )
【 西園寺 奏 】
、……かわいい、?
( 反則、可愛い、という彼の言葉に思わずヘーゼル色の瞳を丸くしてしまう。カッコイイだの存在が教育に悪いだのという言葉はこれまでの人生腐るほど言われてきたが、可愛いと評されるのははじめてでその表情は普段落ち着いている彼にしてはまだ言葉が呑み込めていないのか少々驚いているようで。暫く不思議そうに瞬きをし、漸くそれを噛み砕き理解したと思えばじわり、と頬や耳に朱を散らしつつ「 初めて言われた、……なんだかちょっと恥ずかしいね。 」と口元を手の甲で抑えながらふい、と彼から視線を逸らし。 )
【藍沢 琥珀】
…ん。
( 彼女からそちらの瓶を受け取ろうとしたところ、こちらを見上げてくる彼女の表情が可愛らしく。ふ、と小さく笑った後周囲に誰もいないのを確認して、そっと口付けを。彼女の唇をぺろっと舐めると、「んー、キスじゃ味は分からないか」と少し悪戯っぽくにこにこと笑い、牛乳瓶を受け取り何事も無かったようにちょびっと口をつけて。味は確かに薄いのかもしれないが、思っていたより普通に牛乳だったことに感心して。これを最初には出されてもカロリー控えめのものだなんて思わない。牛乳瓶を彼女に何事もなかったかのように返し。)
【藍沢 類】
え、え?はじめて??
( 困惑というか、少し恥ずかしそうにする彼の表情が何とも言えず。それより可愛い発言が余程驚きだったのか、初めてだという彼にはこちらがびっくりしてしまい。それと同時に彼の可愛い一面を知っているのは自分だけなのかもしれない、なんて自惚れを。そうなるとうずうずとしている手をぎゅっと握った後に、そっと彼の赤く染まった耳へと手を伸ばし、耳、そしてその綺麗な髪を撫でるようにそっと触れると、意地悪っぽい笑みを浮かべ。)
奏さん?耳まで赤いですよ。酔っちゃいました??
【 西園寺 桜華 】
!っ、…?、?
( 何の心の準備もしていなかったところに突然降って来た柔らかい唇の感触と、ぺろりと唇を舐められた感触に思わず体が硬直してしまう。彼女から牛乳瓶を受け取った状態のまま暫く大きなヘーゼルの瞳をまん丸にして彼女を見つめていたかと思えば、漸く今自分の身に何が起こったのか自覚したらしくじわじわと頬が赤くなるのはもちろん浴衣の襟から除く首元まで火照らせて。「 ぁ、ええと、…… 」と普段の桜華らしくない、彼女と二人きりの時にしか見せないようなふにゃふにゃとした瞳をさ迷わせれば、どうしてこの人はこんなにカッコイイのと一周まわって頭の中ではどこか冷静で。彼女の意地悪な笑顔に弱い桜華はそだけでめろめろと腰が抜けてしまいそうになるらしく。 )
【 西園寺 奏 】
ん、ッ……。
( ふと自身の耳に届いた手の感触に、思わずびくりと肩を跳ねさせてしまう。どうやら彼は思ったよりも悪戯好きなようで、髪に触れる手は優しいがどこかこちらをからかう様な、そんな色を帯びている。酒には滅多に酔わないはずなのに、雰囲気に酔ってしまっているのだろうか。自分らしくもない。「 …君のおかげで、ね。……酔わせてどうするつもり? 」とせめてもの抵抗なのかまだ顔や耳をほてらせたまま、キュッと眉根を寄せて困ったように微笑えめば逆に彼の方にひとつ問いかける。普段自分が人の優位に立つことが多い分、こういった意味で優位に立たれるの経験がないため内心は密かに焦っており。 )
【藍沢 琥珀】
…桜華、飲み終わったらどうする?部屋でゆっくりする??
( 自分の行動に視線をさ迷わせ戸惑う彼女が可愛くて仕方ない。心底自分は彼女に心酔しているなと自分に呆れながら、残りの牛乳を飲み干して。彼女が飲み終わるのを待ちながらこの後どうするかを相談し。館内を浴衣で回るのもいいし、部屋で2人で過ごすのも捨てがたい。夜はまだまだこれからだし、どちらでも構わないが彼女はどうだろうかと尋ねて。)
【藍沢 類】
…!
え、いや…あの。すみません、調子に乗りました。
( 経験した事の無いこの感覚。彼にそう言われ、はっと我に返る。自分は何をしているのか、と。どうするつもり、なんて問われて、どう答えていいのか分からなくなり、そっと手を引っこめては視線をさ迷わせ。これだから、こういうことに経験のない自分を呪いたくなるる。大人だったらどう回答するのが正解なんだろうか、困ったように笑顔を浮かべると相手に謝罪をして。)
【 西園寺 桜華 】
……ん、
( 顔や体の火照りを冷ますかのようにちまちまと牛乳を飲み進めれば、飲み終わる頃には胸の動悸や顔の火照りもすっかり収まった様子でふう、と一息。彼女の言葉にんー、と少し悩ましげな声を出しつつ、彼女の瓶と自分の瓶を返却カゴにそっと置いては少し悩んだ後に「 せっかく琥珀も浴衣だから、2人でちょっと歩きたいわ。……だめ、? 」と彼女の浴衣の裾をきゅ、と緩く引っ張って強請るように彼女のブルーブラックの瞳を見つめて。 )
【 西園寺 奏 】
……そこで引くのはずるいな、
( スっ、と離れた熱を持った手と彼の表情に、思わずくすくすと笑ってしまう。…先程まで自分の傍にあった熱が離れたことに柄にもなく寂しいと思ってしまった自分に対しても。自らから離れた彼の手に自分の手を縫い付けるように指を絡めては「 あと一歩押してくれたら、俺はそれに流されたのに。 」と熱に浮いた声を零して。そう、もし彼があと一歩だけこちらに無理やり来てくれたら。それは自分のわがままだ。何か言い訳がないと動けなくなってしまった大人の悪い癖。奏はまたふ、と口元だけで緩く微笑めばその手をまた自分の頬に触れさせて。 )
【藍沢 琥珀】
…いいよ?じゃあ行こうか。
( 牛乳瓶を返してもらえば礼を伝えて。自分の浴衣の裾を引っ張る我儘を言う子供のような彼女の姿。まさかそんな愛らしい姿が見られるとは思わず、内心抱き締めたい気持ちでいっぱいになる。そんな彼女の申し出を誰が断れるだろうか。こちらを見上げるその瞳を見つめにっこりと笑うと頷いて、再び彼女の手を取りゆっくりと歩き始めることに。旅館内はちらほらと、旅行客の人達が歩いている。売店を通りかかると、色々なものが売られていて。)
【藍沢 類】
…、流されてくれるんですか?
( 再び戻された彼の頬。そして絡み合う彼の指と自分の指。最早自分の思考の領域を超えているその行動に、戸惑いながらも僅かに期待を膨らませた視線を彼に向け、そう尋ね返し。ふと、ここが店であることを思い返し我に返ると、彼にしか聞こえないような声で「店、出ませんか。」と提案を。自分はもうある程度飲んで食べ終わっていたので、いつでも店を出ることは可能だ。しかし店を出たからといってこの後の計画があるわけでもない。動かない頭で、どうしたらいいのかを必至に考えて。)
【 西園寺 桜華 】
わあ、…。
( 彼女と手をつないで歩くのが桜華は好きだった。目は口程に物を言うとは言うけれど、手も同じのようでなんとなく彼女の考えていることがわかるから。心の底から自分を大切にしてくれているという実感が湧いて、思わずうふうふとほおが緩んでしまう。旅館内でもやはり観光客は自分たちのほかにもいるようで、今はやりの女子旅だろうか、女子高生が女子大生くらいの若い女の子たちの視線は紛れもなく自身の隣にいる彼女に向けられていることに気づき思わず繋ぐ手にきゅ、と柔く力を込めて。通りかかった売店に並ぶお土産の数々を見れば感嘆の声を漏らし、特に何かが欲しいという訳でもないがやはり見慣れないお菓子だったり郷土品のようなものは目を引いてしまうようで。「 いろいろ売ってるのね、 」なんて色んなものに視線を奪われてしまえば、隣の彼女の見上げてふわりと微笑えみ。 )
【 西園寺 奏 】
……うん、いいよ。出ようか。
( 彼からの提案に変わらずふわりと穏やかな笑顔を浮かべては、慣れた動作でカードを店員に渡して会計を済ませてしまい。男同士とはいえ、自分は年上だし社会人なので。あと妹たちのわがままに付き合わせてしまったお詫びということで。店員に丁寧に店先まで見送られ、先ほどよりも人がまばらになった温泉街を歩けば「 さて、…このあとはどうしようか? 」と変わらず穏やかな笑みを浮かべつつ、緩くウェーブがかった艶のある黒髪を揺らし首をかしげて。彼がしたいことがあればバーでもなんでも付き合うし、もしないのであればせっかく良い旅館に泊まっているのだから旅館の一室でゆっくりするのもいいだろう。…狡い言い方かもしれないが、あくまで主導権は彼にあるんだと言いたげなヘーゼルの瞳は相も変わらず穏やかで。 )
【藍沢 琥珀】
( 隣の彼女の手に力が籠ったのを感じ、どうしたのだろうかと思うも、それは旅行客の女性が自分のことを見ていることが関係しているのだと分かり、そっと安心させるように手をぎゅっと握り返して。売店に並ぶ品物の数々を見て、自分も簡単の声を漏らしていれば、お土産の中にビーズ細工の綺麗なブレスレットが目に入り。そっと手に取ると彼女に見せて。ピンクをベースにしたその品物の横には、ブルーベースのものもあり、2人でお揃いで着けたい。と少しわがままを言ってみて。)
これ、かわいい。桜華とお揃いでつけたいな。
【藍沢 類】
…あ!ちょっと歩くんですけど、奏さんに見せたい場所があるので、そこへ寄り道してもいいですか??
( 彼に会計をしてもらうと、なんだか申し訳ない気持ちになるも、遠慮してもそこは譲らなさそうな彼の態度に仕方なく甘えることにして。この後どうするかと言われると、先程の流れからして、部屋に戻ってゆっくりと過ごす、ことも正解なのかもしれないが、ふとこの温泉地について調べたときに見つけた穴場スポットが気になり。彼の了承を貰うとそちらへ向かって歩き始める。少し高台にあるその目的地に着くと、温泉街の夜景が一望でき、ゆらゆらと温泉街の街灯が煌びやかに動いている。)
【 西園寺 桜華 】
素敵、……。
( きらきらと美しく光るビーズ細工のブレスレットは、クラスメイトの女の子が年上の彼氏に買ってもらったというダイヤのネックレスよりも何だか輝いて見える。ピンクとブルーの其れを此方に見せながら可愛らしくお強請りしてくれる彼女にきゅん、と胸を高鳴らせながら「 私も、琥珀とお揃いがいいわ。 」 と今すぐに彼女に抱きついてしまいたい気持ちを抑えてふにゃりと微笑み。まるでお互いを淡く縛り付ける繋ぐ鎖のような其れは、桜華の胸の奥の浅はかな嫉妬心を緩やかに噛み殺していくようでさっきまでの黒い気持ちはあっという間にどこかに行ってしまい。 )
【 西園寺 奏 】
、──── ……。
( 彼の言う見せたい場所というのに全く心当たりがないのか、はて何だろうと着いて言ったのも束の間。少し高台にある人気のないその場所からは、まるで灯篭のようにぽつぽつと輝く温泉街の明かりが一望できる場所で思わず奏もその美しさに言葉をなくして。高台が暗いせいか夜空に輝く星々も同時に見ることの出来るその場所は、都会の喧騒とは程遠いゆったりとした時間が流れている。ヘーゼルの瞳に揺れる街灯の光をきらきらと映しながら「 こんな場所があったなんて、……すごく綺麗だ、 」と自然と緩んでしまう頬と自分が思っているよりもずっと柔らかく聞こえの良い声が溢れれば、連れてきてくれてありがとうと隣にいる彼に微笑みかけて。 )
【藍沢 琥珀】
よかった。じゃ、あたし桜華の買うから。桜華はあたしの買って?
( 綺麗なブレスレットとはいえ、ビーズ細工。彼女はどんな反応を示すだろうかと少し不安げだったが、杞憂だったようで。そうと決まれば手に取った彼女用のピンクベースのブレスレットをそのまま、ブルーベースのブレスレットを彼女に渡しお互いのものを買うという提案をして。なんだかんだ言ってお揃いのものというのは持っていないので、こちらも柄にもなくはしゃいでおり。)
【藍沢 類】
噂どおり綺麗だ。
よかった。見に来れて。
( 彼の隣でその光の海を眺めていると、彼から聞こえた感想にそちらの方を向く。暗がりではあるが、星や月、そして街の灯りに照らされた横顔、そして柔らかな微笑みに照れくさそうに笑って。そんな彼の微笑みが眩しく映るのはきっと自分は彼が好きだからなのだろう。自分の気持ちに気付いてしまったからには誤魔化せはいなと感じつつ、彼の表情をじっと見つめて。)
【 西園寺 桜華 】
うふふ、プレゼント交換みたい。
( この旅行に来てから、なんだか学校で見るいつもの彼女とはまた違った彼女の一面がたくさん見れてるなあなんて思わず表情が緩んでしまう。いつものスマートで格好いい彼女のことも大好きだが、こうしてたくさん笑ってわがままを言ってくれる彼女のことも大好きだと相も変わらず自分が彼女に首ったけだということを自覚する。会計を済ませ、すぐ使いますだなんて言って包装等をしないまま店員さんからブルーベースのブレスレットを受け取れば「 …ずうっと私の隣にいてくれますように。 」なんて彼女に聞こえないように小さな声でブレスレットに言葉を落とす。ちゅ、とそのままブレスレットに軽くキスを落とす姿は、絵本の中で王子様がお姫様を呪いから目覚めさせるキスによく似ているが、今回に至っては`お姫様が王子様を縛る呪いのキス`だ。この呪いは簡単にはきっと解けない。だって魔女じゃなくお姫様がかける呪いなんだから。桜華は売店から少し離れたところで彼女の会計を待てば、早く彼女にこのブレスレットをつけてほしいな、と自然とふわふわ笑ってしまい。 )
【 西園寺 奏 】
…ん、なあに?
( 美しいその風景を眺めていると、ふと視線に気づいて彼のほうへ顔を向ける。此方を真っすぐに見つめる夜空を思わせるブルーブラックの瞳と目線が絡めばくす、と優し気な笑みを零しながら首を傾けて。彼のその瞳に籠った熱情が何を示しているかは一目瞭然なのだが、奏はそこから先には進めない。男性同士ということに偏見があるわけでもない、彼はとても素直で人としても尊敬できる素敵な人だ。年齢的にだって犯罪という訳でもない。…だけど、大学生なのだ。普段大人と関わる機会がなく、憧れを恋愛感情だと勘違いしている場合だってある。もしも彼の好意に甘えてそういう関係になったとて彼が社会を見た後に自分から醒めてしまうかもしれない、だなんてありもしないもしもに怯えているだけだ。奏ではそんな自分らしくもない弱気な気持ちを胸に隠せば、「 そんなに見られたら穴が開いちゃいそうだ。 」なんて笑うことしかできずに。 )
【藍沢 琥珀】
お待たせ。
桜華、手出して?
( レジで購入したピンクベースのブレスレットは、色は可愛らしいが、ビーズの形状はシンプルで決して子供っぽくはない。キラキラと光るそのピンクを見つめて、きっと彼女が着けたら良く似合うだろうと想像し微笑む。一足先に自分用のものを購入し終えていた彼女の元へ行くと、早速と言わんばかりに彼女の手を取り。購入したばかりのブレスレットをそっとはめてみる。やはり、想像どおり彼女によく似合う。)
【藍沢 類】
…、奏さん。
俺、奏さんに惹かれてるかもしれません。
( どこか感情を押し殺したように笑う彼を見て、思わず彼の名を呼んだ。酒が入っているからか、すんなりと自分の想いは口から出て。それでも、惹かれているかも、という不確実な想いはまだ今日会ったばかりだということ、後は自分よりも彼がずっと大人だということを懸念する表れ。彼が優しくしてくれるのは、自分が年下だから。そんなことは分かっているけれど、それが今は悔しい。じっと彼を見つめては、「好きになってもいいですか」と単刀直入に聞いてみて。)
【 西園寺 桜華 】
…… 結婚式みたい、
( 彼女の優しい手がそっと自分の腕にブレスレットを嵌めてくれるのを見て、思わずと言ったように言葉が溢れる。じんわりと胸を温める気持ちは穏やかで、桜華の瞳も幸せそうに綻んでおり。彼女が嵌めてくれたブレスレットは先程陳列していた時よりも何だか輝いて見えて、どんな宝石よりも綺麗だ。まるで宝物に触れるかのような優しい手つきで自分もブルーベースのブレスレットを彼女の腕にそっと嵌めては、ふわりと華が綻ぶような笑顔を浮かべて。 )
【 西園寺 奏 】
……ずるいなぁ、俺がNoなんて言えるわけないのに。
( 彼に名前を呼ばれた途端、先程までの自分の気持ちが優しく溶かされていくような不思議な気持ちになる。彼はどうやら人の心を溶かすのが上手いようで、彼からの問いに思わず眉を下げて笑ってしまう。ぎゅう、と胸を締め付けられる感覚は久しぶりで、苦しいのにでも心地がいいようで。今にも泣きそうな顔でくしゃり、と笑ってはそっと彼の頬に手を添えて「 好きになって、俺の事。 」と彼のブルーブラックの瞳を真っ直ぐに見つめて。 )
【藍沢 琥珀】
はは、ほんとだね。
( 彼女の手首に飾られたブレスレットはやはり彼女にぴったりで、それを見て満足気に微笑むと今度は彼女が自分にブレスレットを嵌めてくれる。彼女の言葉に少し笑って確かに結婚式の指輪交換のようだと頷くと、彼女の左手をそっととると「本物は大人になってからね?」と彼女の薬指にそっと口付けを。そのままその手をつないで、部屋に戻ろうと提案をして。)
部屋、戻ろうか。
【藍沢 類】
…っ、奏さん。
( もしかしたら上手くはぐらかされるかも、とか。断られてしまうかもという一抹の不安を抱えていたが、彼の言葉にその不安はすぐになくなる。少し泣きそうな彼の笑顔を見て胸を締め付けられると自分の頬に彼の手が触れたことを合図に、ぐいっと彼を引き寄せてそのまま自分の腕の中へ。ぎゅっと抱き締めれば、「好きです、付き合って下さい」と思いの丈を素直に伝え。)
【 西園寺 桜華 】
── …えぇ。
( まるで本物の王子様のように、長いまつ毛を伏せて自分の薬指にそっと口付けを落とす彼女を見て、うっとりと瞳を蕩けさせる。自分の左手の薬指に場所を落ち着けていいのは彼女とのリングだけだし、それ以外をつける気も予定もサラサラない。スマートな仕草でそのままエスコートをしてくれる彼女にまた性懲りもなく何度でもときめけば「 そうね、湯冷めしちゃう前に戻りましょ。 」と彼女の手を優しく握り返しながら自分たちの部屋へと戻り。 )
【 西園寺 奏 】
っ、…。
( ぎゅ、と手を引かれて彼に抱きしめられる。飲み会などでふざけて男に抱きしめられることはあれど、こんな風に胸を締め付けるような痛みが伴ったのは過去に一度もなかった。それと同時に、体の底から熱が沸き上がるような感覚も。恐る恐る、と言ったように自分もきゅ、と彼の体を抱きしめ返せば「 うん、俺も君の…類くんのことが好きだよ。 」と彼の肩口に顔をうずめながら、ぽつりぽつりと小さいながらしっかりとした声で答えて。自分とさほど身長は変わらないはずなのに自分よりもずっと筋肉のついたその体は暖かく、奏はそれに甘えるように無意識に身を寄せて。 )
【藍沢 琥珀】
……あ!布団敷いてある。
( 部屋に戻ると敷かれた2組の布団。普段はベッドで寝るのが常なので、布団で寝るのは空手の練習合宿以来。案外悪くないものだなと思いながら、布団の上にごろんと横になるとひと息ついて。「どうせ寝るとき一緒だし、布団1つしか使わないよね」なんて、悪戯な笑みを浮かべると彼女を見上げて。)
【藍沢 類】
俺。奏さんのこと大事にします。
( どれほどの間彼を腕の中に抱き締めていただろうか、そんなに長くは無いが、この時が永遠に続けばいいのになんて思ってしまう。そっと彼を解放すると、僅かに赤くした頬で彼のヘーゼルの瞳を見つめる。まだ会ったばかりでお互い何も知らないはずなのに、これだけ惹かれてしまうのにはなにか理由があるのかもしれない、なんて思いつつ彼の頬に手を添えて。)
【 西園寺 桜華 】
!…もう、
( ごろん、と先に布団に転がった彼女の言葉と、こちらを見つめる深い夜空の色の瞳にぱっと顔を赤くさせる。だがしかし彼女の言葉を否定しないのは、自分も最初からそのつもりであったから。元々彼女の温もりが隣にないと少し眠りが浅くなってしまうのだ。桜華はくす、と穏やかな笑みを浮かべたあとに彼女に向き合うようにころんと寝転がれば、そのまま彼女の胸元にそっと体を寄せて、長いまつ毛に覆われた瞳を閉じる。優しい彼女の体温にじんわりと心が解けていくようで「 ……だいすき、 」 とはちみつのように甘く蕩けた声で言葉をこぼして。 )
【 西園寺 奏 】
…ふふ、うん。大切にして。
俺も、類くんのことを大切にする。…ううん、もうとっくに大切なんだ。
( 彼の暖かな手が頬に触れる感触にふわりと穏やかに微笑んでは彼の手にそっと自分の手を重ね、そっと瞳を閉じる。今日会ったばかりなのに、触れた部分から何故か彼がどれだけ自分のことを大切にしてくれているのかが伝わってくるようで胸がそわそわと心地よい落ち着かなさで。「 …気持ちいい、 」と同じ男の手なのに自分の手よりもずっと暖かくて男性らしい大きな手の体温はとても安心するようで、其れにすり、と頬を寄せては無意識に情欲の混じったヘーゼルを彼に向けて。 )
【藍沢 琥珀】
…知ってる。あたしも好きだよ。
( 自分の横に寝転び、自分の胸に顔を埋める彼女。細身とはいえ自分の方が体格は大きい。すっぽりと彼女を覆うように抱きしめ返すと、彼女の言葉に小さく笑ってそう答え。彼女の髪から香る甘い香りに、目を閉じるとこのまま眠れそうで。彼女とこうやっているとひどく落ち着く。「…このまま寝る?」と呟くように囁くと、彼女の背中に回していた手で、背中をそっと撫でて。)
【藍沢 類】
( 彼の言葉には嬉しさのあまり涙が出そうになるのを堪え。こんな風に想いが通じ合う瞬間というのは、色々な感情が込み上げてくるものなのか。自分の手に擦り寄る彼の頬は自分の手に比べれば少し冷たい。自分は酒と興奮とでこれだけ熱くなっているのだと思い知らされて恥ずかしい。ふとこちらを見つめるヘーゼルに吸い込まれるように、気が付けば口付けをし。)
【 西園寺 桜華 】
ん、……。
( 自分と同じ香りを纏っているはずなのに、なぜだか違う香りにも感じるのは本来の彼女の香りが在るからなのだろう。桜華はその香りに包まれていることに安心しきって瞳を閉じれば、彼女の問いにYESともNoとも取れぬ返事をしてはぎゅう、と抱きしめ。折角の旅行だから彼女とお話を沢山したい気持ちも、このままひとつになって溶けてしまいたいという気持ちも、どちらも自分の中でせめぎ合っていて決着がなかなか付かない。恋人である彼女の目の前でしか見せないわがままな姿を見せつつ、桜華はふにゃりと自分を優しく包んでくれている彼女に微笑んで。 )
【 西園寺 奏 】
───── ん、……。
( 自身の唇に重なる柔らかい感触に、ぱちりと1度ヘーゼルの瞳を丸くした後にすぐに其れをそっと閉じる。酔った男友達と唇を重ねることは今までにあったが、ここまで穏やかでふわりと宙に浮いてしまうような感覚のキスは初めてで。キュ、と空き手で彼の浴衣をそっと掴めば、もうすっかり酔いは冷めたはずの体がまたカッと熱くなっていくのを自覚してしまい。気持ちいい、だとか、柔らかい、だとか。まるでハジメテのような感想しか頭に浮かばず、ようやく唇が離れればとろんと蕩けたはちみつ色の瞳で彼を見つめて。 )
【藍沢 琥珀】
ふ…、どっちか分かんないけど、折角だし眠れるまでもう少しお話しようか。
( 彼女の返事はどちらとも取れる。なんだかその様子がおかしくって小さく笑えば、もう少しだけ2人が夢に落ちるまで話でもしようかと提案を。彼女の髪を片手でふわふわと撫でながら、明日の予定でも相談し、今日は観光ができなかったため明日ゆっくりと観光ができればいいと思いながらも、今日あったことで怖い思いをした彼女を心配しつつ。)
明日どこ行こうか。…、そういえば桜華もう大丈夫?明日ももし人混みが怖かったら、ゆっくりするのもありだからね。
【藍沢 類】
…帰りましょうか。
( 蕩けた彼の表情にまたドキドキと心臓が早鐘を打ち。このままいくと自分の理性が崩壊しそうだと、なんとか自制をして彼から離れ。彼の手を繋いでこのまま宿まで帰ることを提案し。夜風が冷たくなったにもかかわらず自分の体は燃えるように熱い。きっと顔も赤くて、男としては情けない顔をしているかもしれない。ゆっくりと高台の夜景を後ろにして歩き始め。)
(/背後失礼します!!ふとこの前頭の中で想像が膨らんだのですが、琥珀&桜華の出会い編というのもやってみたいなと…もし余裕があれば!)
【 西園寺 桜華 】
……琥珀がいるからへいき、
( ふる、と彼女に抱きついたまま首を横に振れば、どこかいつもよりも何処かたどたどしいような幼い口調で平気だと答えて。もう怖い気持ちはなくなったのか、昼間のことを思い出しても自分の髪を優しく撫でてくれる彼女の手の感触に体がどろどろと溶けていくような不思議な感覚がそれを塗りつぶすかのように上書きをしてくれるようで桜華の口調に怯えは泣く。「 せっかく2人でおでかけできるんだもの、……あんな人達に邪魔されたくない、 」もういっそのこと明日は地味なお洋服で出掛けてしまおうか、と思うもののそれは自分の乙女心がどうしても許してくれそうにない。でも彼女の手を煩わせたくはないというちぐはぐな気持ちを抱えながら、彼女は平気かしらとちらりと見上げて。 )
【 西園寺 奏 】
……ふふ、あったかい。
( 彼と繋いだ手が暖かい事にくすくすと笑ってしまえば、するりと繋いだ手を恋人繋ぎにして彼の手の甲を指先でそっと撫でて。自分の一挙手一投足にこんなにくるくると色んな表情を見せてくれる、なんだか大きなわんこのような彼なのに先程真っ直ぐ見つめられた時や唇を重ねた時は狼のような鋭さを感じて。若い子ってすごいなあなんて他人事のように考えれば「 類くんの手は大きいね、 」 と同じ男のはずなのに自分より大きく感じる彼の手を見下ろして。 )
( / !!!出会い編私もやって見たいと思ってました…!!
幼い頃でもいいし高校生からでもいいし、最初は桜華が琥珀ちゃんに苦手意識を持っていたり(逆でも可)したらいいなあ……なんて思っていたので嬉しいです、!ぜひやりましょう…!! )
【藍沢 琥珀】
ん。じゃあ2人でゆっくり楽しもう。
( 彼女がそういうのであれば大丈夫なのだろう。しかしながら無理をさせてはいけない。そして次こそは自分が必ず彼女を守り抜くのだと心の中で決意すれば、こちらを見あげてくる彼女に微笑み、彼女の白くて柔らかな頬にそっと唇を寄せて。「桜華かわいい」と、思わず呟いてしまう程彼女の全てが愛おしくて堪らない。)
【藍沢 類】
そう、ですか?…奏さんの手は綺麗ですね。
( 手の繋ぎ方が恋人繋ぎになると、またドキッと心臓が跳ねる。この人は自分をどうしたいのだろうか、なんて悩ましげに彼を見るもきっとこれは彼にとって普通のことだろう。歩いていると、自分の手に関して大きいという彼。確かに、自分と相手とを比べると大分違う。彼の手は自分の手とは違い、ほっそりとしていて綺麗だ。 )
(/嬉しいです!!では旅行編が終わったら過去編を挟みましょう!!個人的には高校生からがいいです!入学の頃から。最初は桜華ちゃん琥珀のことあまり得意ではない設定がいいですね。琥珀入学当初からきっと男らしかったでしょうし。逆に琥珀は桜華のこと気になってたらいいな。)
【 西園寺 桜華 】
……んふふ、
( 頬に降ってきた彼女の柔らかな唇の感覚に桜華は思わずふにゃふにゃと笑って、また彼女にぎゅうと体を擦り寄せて。彼女の暖かな体温と2人きりしかいないこの空間は何だか落ち着いて、眠たい其れと2人きりだけの空間がなんだか酩酊しているように頭をぽわぽわと惑わせているようで。桜華はそっと彼女の唇に自身の唇を重ねては「 仕返し、 」としてやったりとでも言いたげな自慢げな笑顔を浮かべては彼女のブルーブラックの瞳を見つめて。 )
【 西園寺 奏 】
そう?ふふ、一般的な手だと思うけど。
( 彼の言葉にくすくすと笑いながら彼と繋いでいない方の手をそっと空に透かすように眺めてはなんの面白みもない、家事や彼のように武道を極めている訳でもない真っ白ななんの傷も無い手で。綺麗と言うよりも何にもしていない人間の手だなぁ、なんて心の中でぼんやりと思っては、自分よりも彼のような誰かを守る手のほうがよほど素敵だと苦笑して。「 俺の手すき? 」となんの気なしに、まるで明日の天気を聞くかのようにさらりとそう問いかけては彼の方に目線を向けてこてりと首を傾げ。 )
( / 了解しました!
片思いなの最高ですね…!!!最初がそれから今のここまで来たんだと思うとめちゃめちゃニコニコしてしまいます……! )
【藍沢 琥珀】
…、こんな可愛い仕返しされたら、寝かせたくなくなっちゃうよ。
( 幸せそうな彼女を見てこちらも嬉しそうに微笑んでいると、不意に触れた唇と唇。少し悪戯心が垣間見える彼女の表情にこれまたドキッとしてしまう。自分だけに見せる顔。仕返しに仕返しと言わんばかりに、こちらも口元に悪戯な笑みを浮かべると彼女首元をなぞる様に指を添わせ。無論明日もあるし早く寝た方がいいのは分かっているが、寝かせたくないという悪魔の囁きに今屈してしまいそうになる。僅かに期待と熱の篭った視線を彼女に向けて。 )
【藍沢 類】
好きです。
( こちらに視線を合わせてくる彼。手が好きか、こんな質問生まれてこの方したことはないが、すぐに答えは出る。さらさらとした触り心地の良い肌質、すらっと伸びた指、ずっと触れていたいと思う。暫く歩くと旅館につき、部屋へと戻ればそっと手を離して「お茶でも飲みますか」と備え付けのポットを見て。正直恋人となった今部屋に2人きりでいるのが落ち着かず、そわそわしてしまい。)
(/私も考えてました!どうやって琥珀は桜華に惚れてもらおうかな……。旅行とシチュエーションは被りますけど、絡まれているところを助けるか、はたまた人助けをしているところを目撃してとか。すごく妄想が膨らみます。)
【 西園寺 桜華 】
あら、……寝かせてくださるよていだったの?
( つい、とそっと彼女の両頬に両手を添えてはにこりと唇を釣り上げて。口調こそたどたどしいものの、その瞳には間違いなくめのまえの彼女を誘惑するような色が滲んでいて。彼女のこの熱の篭った瞳が好き、だってその瞳に映るのもその瞳を見つめることが出来るのも自分だけだから。桜華はそっと彼女を抱きしめては「 まだ眠たくないわ、 」 と彼女の耳元でぽそりと呟いて。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、じゃあ飲もうかな。
類くんはいる、?
( 誰が見ても緊張している様子の彼に思わずくすくすと笑ってしまえば可愛いなあなんて思いながらポットの方へと移動して、彼の方へ問いかけて。慣れた様子で自分の分を入れつつも「 お茶を自分で入れるの久しぶりだあ 」なんて、いつもは事務所の女の子が積極的に入れてくれるせいかのんびりとした口調で零して。 )
( / 絡まれているとこ助けてもらうのも人助けしてるのを見てだんだん気になっていっちゃうのもどっちも可愛いです…!!あり…!!
最初はつんつん(他人行儀?)な桜華がだんだん琥珀ちゃんに攻略されていくのも目に浮かびます、笑 )
【藍沢 琥珀】
ふ、ばれてた?
( 彼女のたどたどしい口調にくすくすと笑って。勿論彼女が眠たいのならば、寝かせてあげるつもりだった。しかし彼女の瞳は自分を誘惑する、それはそれは危険な色を含んでいて。そっと上体を起こし上になれば、唇を耳元へ。「夜はまだまだ長いし」と囁くように言い、彼女の浴衣の帯に手を。帯をしゅるっと緩めると。)
浴衣っていいよね。脱がせやすくて。
【藍沢 類】
あ、いります!!
ありがとうございます。
( ソワソワしているのは恐らくバレている。自分の分もお茶を入れてくれるという相手には、素直に礼を言い。彼の言葉を聞くと、普段は自分で入れないのは当たり前だろうなと頷き。そんな相手に入れてもらえるなんて、と少し嬉しそうに。部屋の中は既に布団が敷かれているため、窓側にある2つの椅子とテーブルへ。 )
(/攻略楽しみです!!笑)
【 西園寺 桜華 】
──── …琥珀ったら。
( 彼女の言葉にぱちり、とヘーゼルを丸くしたかと思えばすぐにくすくすと笑ってしまい。着物の着付けを自分で出来る自分にとって気崩れないようにしっかりと帯を締めることでもいくらでもできるのに敢えて緩く締めていたと教えてしまったら彼女は自分のことをはしたないと笑うだろうか。…それでもきっと自分のあさましい心臓はときめいてしまうのだろうが。桜華はするりと彼女の首の後ろで指を絡めるようにしてふわりと微笑んでは「 えっち、 」と既に熱情を孕んだ甘ったるい声で小さく囁いて。 )
【 西園寺 奏 】
はい、どうぞ。
( 窓辺のテーブルにそっと彼の分の湯のみと自分の湯のみを置けば彼の正面にそっと腰をかけて。はしたないとは分かっていてもなんだか浴衣な窮屈な足元が落ち着かないのかするりと足を組めば肘置きに頬杖をつきながら「 うん、お部屋もやっぱり落ち着くね。 」とほわほわ笑い。先程の居酒屋や高台の景色もまた心が穏やかになる力を持っていたが、やはり他の人の目の無い屋内というのはまた違うのかほろ酔いの状態なのが殊更それを感じさせるのか、そっと窓の外の景色を眺めながら口角を上げて。 )
( / 私も楽しみです…!!
いつもよりも桜華の態度が素っ気なくなってしまいますがどうぞご容赦ください…!!!!)
( / お忙しい中ご連絡ありがとうございます…!!
学期初めはどこも忙しいかと存じますので、どうぞお体に気をつけてご無理なさらないよう……!)
( / とんでもないです…!
本当にリアル優先・体調(休養)優先で大丈夫ですのでご無理なさらず…!!
むしろこうしてご連絡いただけてすごくありがたいです、ありがとうございます…! )
【藍沢 琥珀】
ふ、えっちなこと考えちゃうのは桜華のせいだから。
( 彼女の言葉にはこちらもくすっと笑って。もともと否定する気もなく。こんな彼女を前にしてそういった感情を抱かずにはいられない。そっと彼女の可愛らしい唇へと再び口付けを落とし。わざと啄む様な口付けを何度も繰り返し、時折彼女の表情を眺める。愛おしくて堪らず、こうやって何度も彼女を求めてしまう自分は本当に堪え性がないと思う。欲望に忠実な獣にでもなったかのように彼女を本能のままに愛せば、いつのまにか夜は更けて行った─。
翌朝、窓から零れる朝の光に目を細める。薄ら目を開けながら自分の腕の中には彼女の温もりを感じ、幸せそうに微笑むと僅かに抱き締めていた腕に力を込めて。)
(/場面転換させていただきました!!)
【藍沢 類】
ありがとうございます。
…もう酔い冷めちゃいました?
( 置かれた湯呑みを受け取り感謝の言葉を伝えると、それに口をつけて1口。ほっと一息を着いたところで、正面に座る彼を見れば足を組んでおり。浴衣からその綺麗な足が僅かに見えているのに思わず生唾を飲めば、気まずそうに窓の外へ視線を向けて酒の酔いは冷めたのだろうかと尋ねてみて。もともと酒を飲んでもそんなに変わった様子を見せていなかった相手だが、今もそんなに変わらないように見える。自分もそんなに飲まなかったため、酔っている感覚はなく。 )
(/お待たせしました!!今日からまたお返事出来ると思います。よろしくお願いします!)
【 西園寺 桜華 】
( 喉も、体も、全部が全部心地の良い倦怠感に包まれている中での睡眠というのは実に深いようで、柔らかな髪を白い布団に広げながらすやすやと穏やかな寝息を立てる桜華にはあまり起きる気配がない。その代わりキュ、と柔く彼女の浴衣を掴んでいる手も離す気配もないのだが。何かいい夢を見ているのかふわりと緩められた表情と窓から零れる陽の光が長いまつ毛によって目元に影を落としているそれらはお姫様と呼ぶに相応しい美しさなのに、首筋や胸元に残る赤い花たちが妙に生々しいちぐはぐな光景で。普段は朝陽が差し込めば自然と目が覚めるほど寝起きが良い方なのに、なにだか今日は目を覚ます気配がなく、ただただ彼女の体温に安心しきって眠っており。 )
【 西園寺 奏 】
ん、?もう結構シラフに近いかなあ。
( ふ、と窓に向けていたヘーゼルを彼の方へ戻せばこてりと首を傾げた後に上記を答えて。飲んだとはいえ2合くらいだし、食事も一緒にしていたのでそこまでアルコールが回っているという感覚ももともとなかった。…空気感に酔っていたかと聞かれたら答えはイエスかもしれないが。ふと`妹の恋人の兄`から`恋人`となった彼の方を見れば彼はなにだか不自然に窓のほうへ視線を向けており、ハテなんだろうと自分の体を見下ろしてみたらそういえば足を組んでしまったことにより浴衣がはだけているな。と。奏はなるほどなるほどとにこりと微笑めば「 どこ向いてるの?せっかく恋人が目の前にいるのに。 」と肘置きに頬杖をつき足を組んだそのままの状態でからかい交じりに問いかけて。 )
( / おかえりなさいませ…!御用事落ち着かれたようでなによりでございます!
こちらこそよろしくお願いいたします…!!! )
【藍沢 琥珀】
( ここまで起きないのは彼女にしては珍しいなと、その美しい眠り姫の寝顔を堪能して。まだ朝食までは時間があるし、もう少しゆっくりしていてもいいが、少し悪戯心も疼き始め眠っているお姫様の頬にそっと口付けを落とす。王子様の目覚めのキス。長い睫毛が被さるその目がいつ開くだろうと様子を観察しながら、頬、唇、首筋へと順番に口付けを。)
【藍沢 類】
へ!?
いや、その…脚が見えてるから…なんとなく見ちゃダメかと。
( 窓の外へ不自然に視線を移していたことがバレてしまったことに対する図星な反応。いくらなんでも分かりやすすぎる。と自分に内心ツッコミをいれると、視線をちらりと彼へ戻す。やはり浴衣から覗くその綺麗な足に目がいってしまうと、困ったようにそんな風に言い。男同士だし、ましてや恋人同士なのだからそれくらい、と思うが、彼のそれは別次元の美しさと艶めかしさがあり。)
【 西園寺 桜華 】
─── ……ん、……こはく……?
( お姫様が目を覚ますのは、いつだって真実の愛のキス。そうしてどの物語もめでたしめでたしで終わるのだ。桜華たちの場合は、これから今日が始まるのだけれど。ぱち、ぱち、と何度か瞬きを繰り返しては、まだ眠たそうに蕩けているヘーゼルで彼女を見つめながらぽつりと名前を呼んで。好きな人のキスで目覚めて、一番最初に見るのが好きな人の顔で、一番最初に発す言葉が好きな人の名前。寝起きということを差し置いてもぽわぽわと何だか胸が暖かくなり、桜華はふわりと花が綻ぶように笑い。 )
【 西園寺 奏 】
見ちゃダメ?
……ふ、ふふ。ははっ。
( 足が見えているから見ちゃダメ、という彼の言葉にきょとん。と瞳を丸くした後に思わず吹き出してしまえばそのままくすくすと笑ってしまい。女の子の足ならともかくこんな男の無骨な足を見ちゃダメだなんて、と思いながら自分の足を見るもやはりそこにあるのは確かに男としては靱やかではあるがマァただの足で。「 俺たち恋人同士なんだから、これ以上だってこれから見るだろう? 」と矢張りくすくす笑いながらこてりと首を傾げれば、足くらいでそんな反応をされちゃあこれからが思いやられるなあとその表情は実に楽しそうで。 )
【藍沢 琥珀】
ん…おはよう、お姫様。
中々起きないから、どうしようかと思った。
( ようやく目を覚ましたお姫様にふふと小さく笑うと、彼女の額にそっと口付け。いつもより目覚めが遅かった彼女に「きのう無理させちゃった?」と少し心配そうに見つめて。白い肌に綺麗に咲く赤を指でそっと撫で、目を細める。そのまま手を彼女の髪へと移動させると布団の上に広がる綺麗な髪に優しく触れ。 )
【藍沢 類】
いや…、まぁそうですけど…。
奏さんの脚、綺麗じゃないですか。
( これからこれ以上も見る、なんて当たり前なのだが、どうにも緊張してしまう。中学生や高校生でもあるまいし、こんなことで一々動揺してしまう自分に「俺かっこ悪いな…」と頭を押さえ。しかし、彼の脚が綺麗なのは本当で、それこそ隣に座っていれば触ってしまいたくなる。いくらなんでも恋人になりたての今の状況で、手を出すのは節操がないと思われてしまうのではとまた色々と考えてしまい。)
というか、俺。男の人と付き合うの初めてなんですよ。
なんで、色々わかんないと言うか…
【 西園寺 桜華 】
ううん、私がもっとってお強請りしたんだもの。
( 此方を心配そうに見つめてくれる優しい夜空色の瞳を見つめては安心させるようにふにゃりと微笑めば、昨日ずっと自分の傍にあった彼女の体温をまた確かめるようにすり、と身を寄せて。彼女は無理をさせてしまったかと言うが、正直なところ自分が彼女の熱をたくさん強請ってしまったのだから自業自得なのである。むしろ自分が付き合わせてしまったとすら思えてしまうほどに。昨日さんざん自分を弄んだ彼女の手をそっと捕まえてはそれを労わるように両手で包み「 私こそ、…その、たくさんしてってお強請りしてごめんね? 」と上目使いで彼女を見つめて。 )
【 西園寺 奏 】
…たしかに、そういわれてみたら俺も男の人と付き合うのは初めてだなあ。
( 彼の言葉にふむ、と考えこめば確かに自分も同性と交際するというのは初めてだと。キスくらいなら酔っ払った友人と若い時にいくらでもしたことがあるが、その先となれば自分も全く未知の領域だ。そもそも、彼は俺を抱けるのだろうかとこてりと首をかしげて自分の体を見下ろしてみるもなんかこう、白くて細っこいだけで大して面白みのない体なので興奮するかと言われたら正直しない。顔はマァ両性的だといわれるのでそうなのだろうが。対して彼の体は細いのにガッシリとしたいわゆる細マッチョと言われる部類であるだろうきれいな体をしている。素直に格好いい。…今度男同士のやり方…というか誘い方も含めてゲイの友人に聞いてみるか、と考えては「 ゲイの友達に聞いてみるね。 」とふわりと相変わらず穏やかな笑顔で`友達に聞く`と。 )
【藍沢 琥珀】
何言ってんの。お姫様の可愛いお願いを叶えるのが私の幸せなの。
( 彼女の可愛らしい謝罪を聞けば、にっこりと笑い。ほっぺたを優しく摘み。そのまま上体を起こせば、大きく伸びをして。「さて、朝ごはん食べに行こうか」とまだ横になっている彼女を愛おしそうに見下ろして。正直まだゆっくりしていてもいいけど、今日は2人で観光に出かける予定。それが楽しみでそわそわしてしまい。)
【藍沢 類】
いや…!友達に聞かなくていい!!…です。
( 相手が友達に聞くと言うので、ばっと顔を上げて首を横に振り。思わず前のめりになって彼に近付けば、ふと冷静に我に返って。そんなことをゲイの友達に聞くものなら、その後どうなるのか想像が着く。それは絶対に避けなければならない。「俺が、自分で勉強します!!」と意気込んで言うと、言ってから自分は何を言っているんだと思う。)
【 西園寺 桜華 】
うふふ、そうね。
そろそろご飯に行かなきゃ、
( 彼女の言葉にこちらもくすくすと笑って同意をし上体を起こそうとするもやはり心地よい体の怠さが抜けきらずに。そうだ、とふと思いついてしまえば自分の精一杯の可愛い笑顔を浮かべながら両手を彼女の方に差し出しては「 だっこ、 」と幼い子どもがせがむ様にたどたどしく強請って。 )
【 西園寺 奏 】
わあ。
( ぐい、と彼に顔を近づけられたらびっくりしたようにヘーゼルを丸くさせて。彼が自分で勉強するとなんとも頼りがいのある言葉を投げてくれる彼に思わずクスリと笑顔を零してしまう。そんなに嫌なのかなぁと考えるも、マァ普通に考えて自分の恋人が自分じゃない男に恋愛指南を受けるのは嫌なのだろうというごく常識的な考えは浮かばないあたり奏もどこか抜けており。「 じゃあ、類くんが勉強して俺に教えてくれるの? 」 とこてりと首を傾げては(奏にとっては) ごくごく単純な質問をなげかけて。 )
(/すみません…!!こちらの体調不良により確認するのが遅くなりました…。毎度おまたせしておりますが、あと一週間程お返事まちまちになると思います…、ご迷惑おかけしますがよろしくお願いします!!はやく琥珀と桜華のお出かけシーンの続きがしたい…)
( / わ!とんでもないです…!ご体調は大丈夫ですか…??
最近気温差が激しいですし、お仕事もお忙しかったようですので、どうぞ体調第一にまずはゆっくり休養なさってください…!!
私もその間に出会いのシーンやお出かけのシーン、お兄ちゃんズの今後をゆったり考えて待っておりますので、此方は気にせずおやすみくださいませ…!お大事になさってくださいね……!!! )
【藍沢 琥珀】
ふふ、可愛い。
( まさかのだっこをせがまれると、その可愛さに胸はキュンキュンして。彼女の腕をそっと取ると、自分の方に引き寄せそっと抱き締めると、お姫様抱っこにして。「お姫様、とりあえず着替えしますか?」と、にこにこと上機嫌で彼女を見つめると、自分も朝食に行く前に着替えをしようと思いながら。)
【藍沢 類】
うっ…、教えます…。頑張って勉強するんで待っててください…。
( 彼の首を傾げる仕草に思わず赤面し、口元をおさえるとうんうんと頷いて。とは言ってもどうやって勉強すればいいんだと困ったように眉を顰める。自分の周りには知る限り同性愛者はいないし、ここはネットを頼りにするしかないのかと本気で悩み始めて。)
(/お待たせしました!!まだ返信不定期になるかもですが、少し早めにお返しできるときは返します!!)
【 西園寺 桜華 】
きゃあ、うふふ。
( ひょい、と軽々自分を姫抱きしてしまう彼女にまたキュンキュンと心をときめかせては、彼女の首元にすり寄るように甘えながら楽しそうに笑って。だがそうしてずっと遊んでいる訳にもいかないために、彼女の問いにくすくすと笑いながら「 ええ、お着替えするわ。王子様。 」と答えてはやっぱり彼女のために可愛いお洋服にしようと改めて決めて。だって今日は自分じゃなくて彼女が女の子にナンパされるかもしれないし、そうしたら可愛い自分じゃないと私のだよってアピールできないから。桜華は彼女の頬にちゅ、とキスすると「 起こしてくれてありがとう、 」と花のように微笑んで。 )
【 西園寺 奏 】
……ふふ、嘘。
からかってごめんね。俺も一緒に勉強したいな。
( 彼の可愛らしい赤面姿にももうすっかり慣れて、でもそれを引き起こしているのが自分だという妙な優越感が新たに自分の中に芽を出す。どうやって勉強しようと悩む彼に上記を告げながらそっと椅子から腰を上げれば、口元にある彼の手を自身の頬に持ってきてはその暖かな手を自身の頬に当てて、「 ……せっかく初めての彼氏なんだから。だめ、? 」と甘えるように蕩けたヘーゼルで彼の夜空のような瞳を見つめて。 )
( / とんでもないです…!!体調の方はいかがでしょうか…?無理せずご自身の体調を大切にしてあげて下さいね…!
私の方ものんびり気楽にやらせて頂いておりますので、背後様もどうか気楽に楽しんで頂けたら幸いです……! )
【藍沢 琥珀】
どういたしまして。あたしも着替えよっと。
( お礼を言われるとそっと彼女を降ろし自分も着替えをすべく、荷物から適当に服を選ぶ。彼女の前で着替えることに恥ずかしいという感情はもうないので、浴衣を脱ぎ早々と着替えをする。半袖の白いtシャツに、ジーンズとシンプルな格好だが、見かけにインパクトはあるので、決して地味には見えない。きのう2人でお揃いで購入したブレスレットを左手首につけて。)
【藍沢 類】
!…あ~もう!!
なんでそんな可愛いこと言っちゃうんですか…。
( 手を彼の頬へと運ばれれば目を丸くして。どうしてこうも彼は自分の心をくすぐるようなことをしてくるのだろうか、と声にならない声をあげて少し恨めしそうに、でも頬を赤く染めて「…一緒に勉強しましょ」とつぶやくように言い。触れた艶やかな頬をそっと撫でてみて。今すぐ彼を奪ってしまいたい欲望と、こうやって一緒に勉強しようといっている彼を尊重したいという気持ちとが合わさり合いどうしていいのか分からなくなる。)
(/いつもありがとうございます!琥珀桜華の過去編、文化祭編はやくやりたくてうずうずしてます。笑)
【 西園寺 桜華 】
……琥珀、今日もかっこいい。
( 自分も早速着替えようと、するりと浴衣を脱いでは下着姿になり、自分の荷物から着替えを出そうとすればもう着替えた彼女が目に入り。シンプルな白Tシャツとジーンズが彼女のスタイルの良さとクールだが甘い顔立ちを強調させるようで、ぽぽぽ、と無意識に頬を薄紅色に染めながらふにゃりと微笑んで。一方の自分はすらりとした足を強調する白のフレアミニスカートに柔らかなパステルピンクのシアーブラウス、髪型は高い位置でふんわりと結んだポニーテールを白いリボンで彩っており左手首には彼女とお揃いのピンクのブレスレットが着いていて。「 うん、できた。 」とふわりと微笑んでは最後にリップを塗って支度はできたらしく。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、くすぐったい。
( すり、と彼の大きな手に頬を優しく撫でられればぴく、と思わず小さく反応してしまいながらくすくすと擽ったそうに笑って。同じ男であるはずなのに、ずっとずっと彼の暖かい手の方が頼りがいがあって大きく感じる。今までこうして同性と触れ合って安心感を覚えたことは無かったのに、それに何より自分の方がお兄さんなのに。彼には甘えちゃうなあなんて自分らしくないことを考えては「 類くんの手は気持ちいいね 」 と自分が思ったよりもずっと甘ったるい声でぽそりと呟いて。 )
( / こちらこそいつも本当にありがとうございます…!!
私も過去編も文化祭編もやりたくてうずうずしています…!どっちもすごく楽しみ…!! )
【藍沢 琥珀】
…ありがと。
そういう桜華も…、んー他の人に見せたくないな。こんな可愛い姿。
( 自分をかっこいいと褒めてくれる彼女に微笑むと礼を伝えて。着替え終えた彼女の姿を視界に捉えると、こちらはなんとも微妙な表情を示し、こんな可愛い姿を他の人に晒してしまうことが惜しくて仕方ないといった様子。できることなら、こんな可愛らしい姿でいる彼女を見られるのは自分だけがいい。ぎゅっと思わず抱きしめて少し拗ねたような声でそう言い。)
【藍沢 類】
そう、ですか?
奏さんの手よりごつごつしてるだろうし、あんまり触り心地がいいとは言えないですよ?
( 彼の発言には少し不思議そうに、だけど、なんだかそんな声色で言われれば照れくさいような恥ずかしいような、よく分からない感情になり。自分の手は、いかにも男らしい手で、触っていて気持ちがいいだなんてことはないだろう。彼の手の方がずっと触っていて気持ちがいい。そして、こうやって触れている彼の頬も。)
(/ですね!過去編先にします??)
【 西園寺 桜華 】
まあ。うふふ、琥珀ったら。
( ぎゅう、と可愛らしい彼女の嫉妬に抱きしめられれば満更でもないようににこにこふわふわ微笑んで。自分もふわりと優しく彼女を抱きしめ返せばよしよしと彼女の頭を撫でながら「 もう、あんまり可愛いこと言わないでちょうだい。 」と自分も彼女にめろめろの様子でちゅ、と彼女の唇にキスをして。 カッコよくて可愛いだなんてなんて最強なんだろう、と自分の自慢の彼女に尽く心酔してしまい桜華はまた彼女に甘えるように抱きついて。 )
【 西園寺 奏 】
ううん、あったかくて大きくて安心する。
( 彼の手に自分の手を添えては甘えるように其れにすり、と擦り寄れば心の底から安心しているような穏やかな声でぽそりと囁いて。自分の手は白くヒョロっこいだけの手なのでそこまで面白みもなく、彼のような安心感があるかと言われたら全くないなと自分でも自覚しているようで無い物ねだりだななんて思ってしまい。「 俺の好きな手だ、 」 とふにゃりと気の抜けた笑顔を浮かべてはにこにこふわふわと微笑んで。 )
( / 過去編先にしちゃいましょう…!!! )
【藍沢 琥珀】
ふふ、そろそろ行こっか?
( 自分を可愛いだなんて言ってくれるのも彼女ただひとり。彼女からの口付けには幸せそうな表情を浮かべて。ずっとこのまま腕の中に閉じ込めたいと思うが、今日は2人で楽しくお出かけをするのだと思えば体を解放し、そっと手を繋ぐとまずは朝食を食べに行こうと、旅館内の朝食会場まで行くことに。朝食会場にはきっと、兄たちもいるだろうが、それ以降は自分と彼女2人きりの時間。いつもに増して上機嫌になり。)
【藍沢 類】
それなら、よかったです。
…そろそろ寝ますか?明日せっかくなんで、奏さんと観光したいし。
( 未だに自分の手を褒めてくれるのは何だか恥ずかしくて。ふと、もう夜も更け、いい時間になっていることに気づけばそろそろ布団に入って寝ようと提案を。まだ起きていたい気持ちもあるが、明日は恋人とデートを楽しみたい気持ちの方が大きい。素直にそう伝えると、どうだろうかと相手の反応を伺い。)
【 西園寺 桜華 】
ええ、行きましょ。
( 優しく繋がれた彼女の手を自身もきゅ、と握り返せばふわりと微笑んで朝食会場へと歩き出して。こうして旅行に来て旅館の朝ごはんを食べるというのも随分と久しぶりで、柔らかな陽が差し込む窓たちに目をやれば昨日の騒ぎが嘘だったかのように穏やかな気分で。「 兄さんたちちゃんと起きられるかしら。 」とまるで他人事のように(実際桜華としては他人事である)問いかけては、もし起きれなかったら朝食のあとに電話くらいはしてあげようと優しいんだかそうじゃないんだか分からないようなことを考えながら隣を歩く彼女を見上げてにこにこと微笑んで。 )
【 西園寺 奏 】
ん、……本当だ。もうこんな時間だね。寝よっか。
( 彼の言葉にふ、と自分も我に返って左腕の時計を見遣ればもう時計の針はてっぺんから少し進んだ場所にあり。そろそろ寝なければ明日の行動に響くな、と自分もかの言葉に同意しては音もなくふわりと立ち上がればそのまま布団の敷いてある部屋の方へと。……さて問題はこの後。自分たちは晴れて恋人同士となったわけだが、こういう場合は一緒に寝るのだろうか。相手が女の子なら1度別々の布団に入って〝おいで〟と自分の布団を叩けばいつもめろめろと入ってくるが、相手は同性だ。果たしてそれでいいのだろうか。と考え込んでしまえば、マァ考えても仕方がないなとあっさり考えを放棄しては「 一緒に寝る? 」と驚くほどどストレートに、優しげな微笑みと共に首を傾げて。 )
【藍沢 琥珀】
( 朝食会場に辿り着いたものの、やはりそれぞれの兄の姿は見当たらず。とりあえず2人で席につき、「やっぱり起きてなかったね」と彼女に笑いかける。どうやら旅館朝食はバイキング形式らしい。美味しそうな香りが立ち込める会場を見渡すと、朝食といえどいろいろな料理が並んでいてとても悩ましい。2人で取りに行こうと、立ち上がるとやはり自分たちは相当目立つようで。特に彼女なんて、こんなにも可愛らしい格好をしているあまり男性客の視線はそちらに釘付けになっている。彼女の傍にいようと心にきめながら一緒に食べるものを選びに行き。)
……食べすぎちゃいそうだね。
【藍沢 類】
い、一緒に?
( 布団が2組敷かれた部屋を見て、変に意識してしまって。そんなことを考えず、大人しく寝ようと足を踏み出したそのとき、彼からの言葉にすごく間抜けな声を出してしまって赤面する。そりゃ恋人同士になったのだから、一緒にということは同じ布団で寝ることを意味するのだろうが。彼にとってはもしかしたら何とも思っていないのかもしれないが、自分にとっては一大事。しかしひとつ深呼吸をしてから覚悟を決めたように頷いて。)
……一緒に寝ますか。
(/おまたせいたしました!いつもお待たせばかりしてすみません……。待っていてくださりありがとうございます!!)
【?西園寺 桜華 】
ほんとうに!……あ、見て。くまさんのパンケーキですって。
( 朝食はどうやらバイキング形式のようで、どれも美味しそうな和食やら洋食が並ぶ中でふと目に入ったのは所謂〝SNS映え〟を意識したのであろう、くまの形をしたパンケーキにチョコで可愛らしく顔が書いてあるパンケーキ。それを1つお皿に乗せて〝 かわいくて美味しそう! 〟とにこにこふわふわ嬉しそうに笑いながら彼女に見せては、その周りにぶどうやら苺やらフルーツを乗せてあっという間に可愛らしいワンプレートが完成し。高い位置のポニーテールということもあり歩くとふわふわと揺れるしっぽが楽しいのか、それとも大好きな彼女と目が覚めた瞬間から一緒だったことが上機嫌の原因か…恐らく後者なのだが、とにかくにこにこと楽しそうで。 )
【 西園寺 奏 】
ほんと?よかったあ。
俺いつもクッション抱いて寝るんだけどね、今日はそれがないから眠れるか不安だったんだ、
( 彼の返事にぱあ、と表情を和らげてはするりと彼の手を取っていつものようににこにこ穏やかに上記を告げて。普段は妹がプレゼントしてくれた円柱型の抱き枕を抱いて眠っているのだが、彼の腕ならきっと丁度いいだろうと笑って。そのまま先に布団に横になれば、自分の隣をポンポンと叩いて〝おいで〟と合図して。浴衣を着るのが下手なのかちょっとはだけたりはしているけれど、その瞳はもう眠たいのかとろんと蕩けていて「 おいでー、 」 とふにゃふにゃ微笑んで。 )
( / とんでもない!こちらこそいつも御相手をしてくださってありがとうございます…!!! )
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