匿名さん 2023-02-22 09:00:47 |
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【 西園寺 桜華 】
…ありがとう、
ふふ、そうね。今日は護衛がついてるもの。
( どうやら彼女には何でもお見通しのようで、兄たちのことを護衛と称した彼女の言葉に思わず緊張していた体も少しはほぐれて。駅前も観光客でにぎわっており、お昼時ということも相まってまるでお祭りでもあるのかという程度には人であふれかえっている。自分も兄も特に苦手なものやアレルギーがないため「 お昼ご飯どうしましょうか、? 」と一先ず隣にいる彼女に問いかけてみつつ、兄たちが此方に来るのを待って。 )
【 西園寺 奏 】
ずいぶんと賑やかだね。
…嗚呼、そうだ。桜華。知り合いの店に念のため席を取っておいてもらってるけれどどうする?到着したら昼時だから混んでいるかと思ってね。ここの郷土料理や創作料理の店だし、味も保証するよ。
( 賑やかだ、と笑う表情には妹とは対照的にどことなく楽しさがにじみ出ており、`観光地にきて楽しい`というよりは`人間観察が楽しい`というような表情ではあるが何はともあれ楽しそうで。妹たちに合流をすれば、出発前にこれを見越して念のため席予約をしておいたという店があるそうで。妹は人混みが苦手だし、今更どこかの店に並ぶのも時間がかかるだろう。多少値が張る店ではあるがどうせ自分が持つし、そんなことは妹たちは知らなくていいので言わないとして。「 類くんや琥珀ちゃんはどうかな。アレルギーとか嫌いなものがあれば変更してくれると思うけど、もし良ければ。 」とこてりと怠慢な動作で首をかしげて。 )
【藍沢 琥珀】
あたしは何でも食べられます。
( これだけ人がいれば食事処はいっぱいかもしれない。なんて思っていると、既に先手を打っていた彼女の兄にはさすがだなと感心して。こういうことがサラッとできるあたり大人なのだということを感じるとともに、自分の兄には到底同じようなことはできないだろうなとも思う。自分にアレルギーなどはないことを伝えると、改めて礼を伝えて。「奏さんのおかげで、美味しいもの食べられそうだね。」と嬉しそうに彼女に話し。)
【藍沢 類】
俺も何でも食べれますよ!
ありがとうございます!
( 彼女たちの元へと辿り着くと昼食の話に。予約をしていたことには、純粋にスマートだなと思い尊敬の眼差しを向け。自分にも苦手なものやアレルギーがないことを伝えると、ぺこっと頭を下げて礼を伝えて。郷土料理に創作料理、なんだか想像はつかないがきっと美味しいものであることに違いはないと思うと、今から楽しみで。)
【 西園寺 桜華 】
兄さんたら、いつの間に……。
ありがとう、助かるわ。
( 流石というかなんというか、我が兄ながらその用意周到さには驚いてしまう。ぱちぱちとヘーゼル色の瞳を何度か瞬きさせた後にふわりと笑えば、彼女の言葉に小さく頷きながら「 良かった、連れてきて正解だったかも。 」と悪戯っぽくこそこそと彼女に囁いてはくすくすと楽しそうに笑って。何やかんや言って頼りになる兄だなあと改めて悔しいような嬉しいような複雑な気持ちになれば、でも普段1人で生活できないしな、とすぐにドライな考えに切り替えて。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、良かった。
お店がここから近くてね、営業中は電話よりも直接店に顔を出した方が早いと思うから、ここで待てるかい?
( 相手方の兄妹どちらもアレルギーや好き嫌いがないことを確認しては、うんうんと満足気に頷いてから上記を。もう既に友人の店は営業しているので、電話よりも店へと直接行った方が良いと判断すれば妹たちにここで待つように指示を。あまり大人数でこの人混みの中を動くのは得策では無いし、そのまま店の前で待つのも迷惑だろう。「 類くん、一緒に来るかい? 」と、流石に恋人の2人の傍で男性一人で待たせるのは気の毒だろうと声を掛ければにこやかに微笑みながら首を傾げて。 )
【藍沢 琥珀】
大丈夫ですよ。桜華とここで待ってますね。
( 彼女と兄のやり取りを見ていると何だか微笑ましくなって思わず笑顔になってしまう。どうやら一足先に兄たちが店を確認してくるようだ。自分たちを待たせるということはそう遠くもない店なのだろう。もし万が一何かあっても、これだけ人通りのある場所なら、大丈夫だと思う。大人しく2人で待っていると頷けば、自分の兄を見て「兄さん、迷子にならないでよ」 と一応忠告を。)
【藍沢 類】
あ、はい!
…ったく、桜華ちゃんのことしっかり守れよ!
( 確かにこの恋人2人と自分が待っているのも何か居心地が悪い。気をつかってくれたのだと分かると頷いて。こちらを心配してか、からかっていらないことを言ってくる妹には仕返しに彼女のことをしっかり守れと捨て台詞を吐いて、前を進み始めた彼を追いかけて。「店ここから近いんですか?」と横に並んだ彼を見てそう問いかけ。)
────
【男A】
ねぇねぇ、そこの君すごく可愛いね。
俺たちと遊ばない?
( 駅前通りに佇む美少女を見つけると、仲間と近付き声をかけ。彼女の横にいる、綺麗な顔立ちの男を見て「こんな奴よりさ、俺らと遊んだ方が楽しいよ?」と、なんの遠慮もなしに彼女に向かって手を伸ばし。)
【藍沢 琥珀】
…、彼女に気安く触らないでくれません?
( 兄たちが離れていった途端こうだと内心呆れた様子で、桜華に近付いてくる男たちを見る。5.6人の仲間を引き連れており、妙に威圧感があるが、そんなこと言ってられない。こういうときに自分が本当の男だったら、と悔やむこともさながら、彼女を自分の後ろ手に隠し、伸びてきた手を遠慮なく叩いて払う。きっと男共を睨みつけると、一瞬怯んだ様子だったが、彼らにとって自分はひょろひょろの少年程度にしか映っていないのだろう。自分の様子にけらけらと笑う後ろの仲間とは裏腹に、手をはたかれた男の怒りを買ってしまったらしい。「桜華、後ろに隠れてて。」と小声で彼女にそう伝え。)
【 西園寺 奏 】
ん?うん、ここから5分くらいかな。
( 彼の言葉に柔らかく微笑みながらさらりと答えては、少し人気のなさそうな路地に入ったところにひっそりと佇む見るからに高級そうな店構えの前で足を止め。〝一見さんお断り〟と達筆な字で書かれた和紙が貼り付けてあるのを無視してそのままガラガラと扉を開ければ、外見から予想して取れるとおり1Fはカウンターのみで大将と向き合う形の店で。「 やあ、お世話になります。入れるかい? 」と強面の大将に声をかければどうやら2階に席があるようで、もう直ぐに入れるよ、と妹たちを呼びに行こうと後ろの彼をふりかえって微笑み。 )
【 西園寺 桜華 】
ッ、……。
( まるで狙ったかのように声を掛けてきた男たちに、思わずヒュッと息が詰まる。1人だけでもまだ怖いというのに、5,6人も柄の悪い男が近付けば声すらも出なくなってしまったようで。自分を庇うように後ろ手に匿ってくれる恋人に「 こはく、 」と不安と恐怖を滲ませた声で名前を呼んで。さすがの彼女もこんな人数相手では無理だ、と震える手で鞄の中から父に手渡された防犯ブザーを取り出せばいつの間にやら背後に居た男にその手を掴まれ、そのまま引き寄せられそうになり「 や、 」と小さな悲鳴を上げる。だがしかしその拍子にピンも抜けたのか防犯ブザーはけたたましい勢いで音を上げ。 )
【藍沢 類】
よかった、空いてて…、!?
防犯ブザーの音…!まさか。奏さん!行こう!!
( 無事店に入れそうだとほっとしたのも束の間、店を出た途端遠くから聞こえてくる防犯ブザーの音に、先程桜華が持っていたのを思い出す。二人の身に何あったのかと、すぐ様その場を駆け出して。)
【藍沢 琥珀】
桜華…!!
放せ!
( 後ろ手にいた彼女がいつの間にか背後に回っていた男に手を掴まれているのを目撃すると激昂し、ひとまず目の前の男たちをなぎら払うと。防犯ブザーの音に怯んだ隙に彼女を掴んでいる男に蹴りを入れ倒すと彼女を抱き寄せ。更に数人の男が自分の背後から襲いかかって来る気配を感じるも、彼女を守りながらでは応戦は厳しい。ぐっと衝撃がくるのを耐えるがそれはやってこず。)
【男たち】
なんだ…!!お前ら。
( 女を守ろうと抱き締めている彼の背後に向かって振り上げた腕だったが、気付けばそれは男の手によって阻止されており。見れば他の仲間も呆然としていて。)
【藍沢 類】
…おい、お前ら今すぐ帰った方が身のためだぞ。
そんなに待ってやれるほど、俺は優しくねぇからな。
( 間一髪、琥珀たちと男の間に滑り込み、男の突き出した拳を片方の手で受け止める。そのままその拳を掴むと、ギリギリと音を立てるくらいに強い力で押し返しながら低くドスの効いた声で男たちに忠告をして。)
【 西園寺 桜華 】
( 声ひとつ出せないように固まってしまった状態で彼女にただ抱きしめられながら先程男に掴まれた手を自身で掴み、彼女に助けを求めるように抱きつく余裕もなく桜華はただカタカタと小さく震えてしまうばかりで。今にも泣き出しそうなのを堪えながらぎゅ、と目を瞑れば、何やら鈍い音と同時に聞きなれた兄の声と彼女の兄の声がして。 )
【 西園寺 奏 】
驚いた。まさか本当に防犯ブザーが役に立つなんてね。
……琥珀ちゃん、守ってくれてありがとうね。さすがナイト様だ。
( その場にはそぐわない、やんわりとした口調と薄い唇にうかべた笑み。彼と走ってきたのであろうが息切れひとつせず、ただその瞳にだけは冷たい色が光っており。いつの間にか彼の足元に転がった二人の男のうちギリ、と顔色ひとつ変えずに1人の手の甲を踏みつければ「 さて。俺はテコンドーの使い手だし、彼は空手の全国選手だ。ちなみに向こうの彼女もね。俺としてはやめた方がいいと思うけど。痛いのはいやだろ? 」とその声は終始いつもと変わらず穏やかで、声だけならば男の手を踏みつけつつ喋っているとは思えないほどで。牽制は彼や琥珀ちゃんが既にしてくれている。ならば自分のすべき事は怯んだ彼らに逃げる隙を与える事、それに気づいて逃げるかどうかは男たちに任せる。……ただ、段持ちである彼らには過剰防衛とならないように手加減をしてもらはなければならないというのが1番難しいかもしれないが。 )
【藍沢 琥珀】
…!
2人とも…!
( 防犯ブザーの音を聞いてか、颯爽と駆けつけてくれた2人にほっと胸を撫で下ろす。しかしながら彼女に怖い思いをさせてしまったことと、守りきれなかったことにスッキリした気持ちにはなれないが、未だ震える彼女を胸に引き寄せ、背中をそっと撫でて「もう、大丈夫だよ。」と囁くように声をかける。)
【男たち】
ひっ…、い、いこうぜ…!
( あっという間になぎ倒され、明らかに力の差を感じたのか全員そそくさと退散していき。)
【藍沢 類】
…くそっ。
みんな怪我ないか?
…奏さん、ひとまずさっきの店に入りますか?
( 逃げ去っていく男どもを最後まで睨みつけたあと、後ろを振り返ると2人と、そして奏の方を見て。自分たちが離れてしまったがために、妹たちには怖い思いをさせてしまった、と少し悔しい思いを感じるが、今はとりあえず怖がっている彼女を落ち着かせることが先決だと、先程の店に行くかどうか彼に問いかけ。)
【 西園寺 桜華 】
……。
( 彼女に抱き寄せられ、やっと呼吸が自由にできるようになる。まだ抱きしめ返すことはできないし震えは止まらないけれど、彼女の服の裾を弱々しくつかみながら頷き返すことはできて。「 ……平気、よ。守ってくれてありがとう、 」と震える声で、自分の身を顧みずこちらを守ってくれた彼女を安心させようと真っ青な顔で笑って見せて。 )
【 西園寺 奏 】
いや、もう今日は旅館へ向かおうか。まだ日にちはあるし、1日くらい旅館で足を伸ばすのも悪くない。
旅館も車でそんなにかからないしね。借りてくるから待ってて。
( 元々旅館へは観光しがてら向かう予定だったが、こうなってしまえば外を歩かせるのも酷だろうと。それに店は明日行ったって今日の夜大人だけで飲みに行ったってもいい、そう考えては1度だけ妹の頭を撫でようとし───だがその手をおろし、類の方へぽんと手を置く。兄妹とはいえ、今妹に必要なのは自分ではないと。今度は申し訳ないが彼にもその場にいてもらって先程の知り合いの店へ車を借りに行き、暫くして車を走らせてくれば、皆を乗せそのまま旅館へと。ひとまず妹たちは2人きりにしてあげた方がいいだろうということで先に妹たちの部屋にチェックインをして「 ……さて、ひと段落かな。 」と妹たちが部屋に入ったのを確認しては深いため息を吐いて。妹の様子を見るに、今日はもう外には出られないだろう。夕食は元々旅館のものがついているから問題ないとは思うが。 )
類くんも。迷惑かけてごめんね。
……昔から、変な男に目をつけられやすいんだ、あの子。
もし琥珀ちゃんや類くんが怪我してたら遠慮なく教えてね、
【藍沢 琥珀】
( あの後は青い顔をした彼女を支えながら、何とか旅館の一室に辿り着いた。彼女をそっと座らせてあげると、部屋に備え付けてある湯のみに緑茶のティーパックを入れお湯を注ぎ。2人分のそれを部屋の中央にある台の上に置くと、彼女の隣にそっと腰を下ろして。「お茶飲もう。部屋に茶菓子もあったの見つけた。」と言うと、お茶と一緒に添えられていた和菓子を見せて、小さく微笑み。何とか彼女に安心してもらいたいと思うと、これくらいしかできず何とも歯痒い気持ちになるが、今はこうやってゆっくり過ごした方が彼女の為にもなるだろう。)
【藍沢 類】
いえ。…俺も琥珀も大丈夫です。
( 無事彼女たちを旅館の一室に入れてあげると、未だ少し心配そうに部屋の方を見つめて。彼の言葉には首を振り、自分の体のことは何にも気にしていなかったが今のところ痛い箇所などはなく。きっと妹の方もあの感じでは大丈夫だろうと思う。それにしても、彼の言い方からすると過去に何かあって男性に恐怖を抱いている、ということなのだろう。詳しくは聞かないが、とにかく後は自分の妹に任せようと、部屋に背を向けて彼の方を見る。)
俺らどうします?
夕食まで、まだ時間はありますけど…。
【 西園寺 桜華 】
ありがとう、琥珀。
…でも、ぎゅって、…して。
( お茶と茶菓子を勧められて、少しずつ落ち着いてきた頭でそれをぽや、と見つめる。だが何かを喉に通す気になれなくて、ただでさえ白い頬は血の気がまだなく青白さを保ったままで。少しの沈黙の間、ぽそりとつぶやくような声で零れたのは小さなわがまま。お茶の香りよりも彼女の匂いに包まれたくて、それからなによりも男に掴まれた感触を一刻も早く消したくて。彼女の為にここまで可愛くしたのに、こんなことならばオシャレなんてしなければよかった。と心の中では小さな後悔が渦巻く。ツンと鼻の奥が痛くなる感覚があるも泣くのはまだ、彼女が見ている前ではきっともっと心配をかけてしまう。「 …ぜんぶ、琥珀で上書きしてほしいの。 」ぽろりと出た言葉は紛れもない本心。脳内にある男たちの下品な声も、匂いも、感覚も。全部彼女で塗り替えたい。彼女も怖い思いをしたのに自分だけこうしてわがままを言うなんて不公平かもしれないが、今の桜華にはそんな気すらもつかえずに。 )
【 西園寺 奏 】
そうだねぇ、…とりあえず俺たちは交番に行こうか。
実はナンパって犯罪になりえる行為でね、`軽犯罪法違反`だとか`迷惑防止条例違反`だとか…桜華の場合は腕をつかまれたから暴行罪も適応されるかな。二人の遊ぶお金くらいにはなるんじゃない?
( にこ、と変わらずに穏やかにほほ笑めば彼の口から出たのはまさかの場所で。唇に手を当てつつサラサラと出る単語は職業病だろうか、それとも`よくあること`なので単純に慣れているのか。彼の表情からその真意は読めないが、物騒な発言とは裏腹にふわりと妹と同じように花が綻ぶように笑えば(最も目は全く笑ってはいないのだが)、「 ま、示談にするか放っておくかは妹に任せるけど。とりあえずさっき動画も撮ってたし証拠は十分、そういう手続きしてたらそのうち夕食の時間になるかなって。…あ、それとも何かしたいことあるかい?お腹がすいてたら何か小腹に入れてからにしようか。 」と彼の肩をぽん、と叩いてお兄さんが奢ってあげると大人っぽく口角をあげ、彼のブルーブラックを覗き込むようにして微笑んで。 )
【藍沢 琥珀】
ん…。
( 彼女に今必要なのは、自分なのだということが分かれば、彼女の恐怖が消えるのなら、何だってしようと思う。そっと彼女を自分の腕の中に引き寄せれば優しく背中を撫でて。「…あたしのことしか考えられなくしてあげる」と彼女の耳元で低く囁くように言い、少しだけ身体を離すと先程男に掴まれていた彼女の腕をそっと取り、自分の口元へ。掴まれていたであろう場所に口付けを落とすとそのまま視線は彼女へと移し。「触られたのどこ?」と尋ねる。)
【藍沢 類】
さすが弁護士…、じゃあとりあえず交番行きましょ。
( 彼の表情からは似つかわしくない言葉がつらつらと出てくると、何となく聞いたことはあるその犯罪名に呆気に取られ。この人こそ敵に回したら怖いのかもしれない、なんて思う。確かに先程までは空腹だったが、先の事件でなくなっており。それならばと交番に行くなら早い方がいいだろうと思うとそうしようと頷いて。「ご飯は今はいいかな…、旅館の夜ご飯楽しみにしときます。」それにしても動画まで撮ってあったなんて、全く気づかなかった。)
【 西園寺 桜華 】
っ、ん。
( ちゅ、と軽いリップ音を鳴らして唇を落とされた感触と、彼女のささやくような低い声に、思わず甘い声が漏れて体が跳ねてしまう。卑しい下世話な感情の渦巻く男の大きな手とは違う感覚に、まるで蕩けた蜂蜜のような瞳で彼女を見つめてははちみつ色の瞳からは音もなくはらはらと透明の雫がこぼれ、「 ぜんぶ、 」と小さな唇が動く。実際に触られていなくても、全身を舐め回すように見ていた男たちの視線が怖かった。普段からそういった視線を向けられること少なくないにしても、こうして実害が出てしまうとまた話が違ってしまう。すり、とまるで彼女の以外を感じたくないというように、猫が飼い主に自分の匂いをマーキングするように彼女に擦り寄れば、少しだけ震える小さな声で「 ごめんなさい、琥珀も…怖かったはずなのに 」と、あれだけの男たちに囲まれていたにも関わらず自分を第一に守ってくれた彼女へ告げて。 )
【 西園寺 奏 】
── ここまで付き合わせてしまってごめんね。ありがとう。助かったよ。
( 無事に交番での聴取を終え、マア確たる証拠があるのであとは警察が何とかしてくれるだろうとひと段落ついた頃。彼と肩を並べて交番から出てきては、まるで妹にするように彼の頭をぽん、と撫でてはふわりと柔らかく微笑んで。自分とさほど身長の変わらない彼とは目線が合わせやすく、日ごろあまり人の話を聞かない自分にしては珍しく彼のはっきりとした声は耳なじみが良いようで。「 それにしても類くん、とても強いんだね、足も速いし。力比べしたら俺よりも強いだろうなあ。 」とくすくす笑いながら先ほど男たちを簡単にのしていた彼を思い出して。新幹線内でテコンドーを教えてほしいなんて言っていたけど、そんなのが必要ないくらいだと笑えばそりゃあ女の子たちも放っておかないなと思う。あれだけ華麗にナンパから救い出されたら、どこの女の子も恋に落ちるというものだ。──ちなみに自分はどちらかというと、こういう時の後はおびえられることが多いのだが。奏はその理由を自分でも気づいていないようで。 )
【藍沢 琥珀】
…こわくないよ。あんな奴ら。
それよりも…桜華になにかあったらと思う方がこわかった…。
ごめんね、もっときちんと守ってあげられたらよかったのに。
( 口付けを落とした腕をそっと離すと、蜂蜜色の瞳から溢れてくる綺麗な雫にそっと唇を寄せて。彼女が全部と、言うのなら彼女の全てを自分の感触に上書きしようと、擦り寄る彼女をそっと抱き締める。その腕の中から聞こえてきたか細い声には、首を横に振って。男が何人でかかってこようが、ある意味闘い慣れた自分には差程怖さは感じなかった。何より怖かったのは、彼女を守れなかったらという事だけ。自分がもっとしっかりしていたら、もっと強かったら。こんなことになる前にあの男たちを追い払うことができたかもしれないのに。そんな後悔ばかりが頭の中をぐるぐると渦巻くのだ。彼女の首元に顔を埋めて、珍しく力ない声で謝罪をして。)
【藍沢 類】
いえ。
…まだまだですよ。俺なんて。
でも、こうやって誰かの助けになれたんだなって思うと、武道やっててよかったと思います。
( 交番にて事情聴取が終わるとほっと一息つく。交番から出た際に、彼から頭を撫でられふわりと微笑まれたことには少しだけ顔を赤くして。こんなふうに撫でられる経験がないので、どういう反応をしていいのか困るが、別に嫌な気分になっているわけではない。自分の武道に関して褒められれば、こんな風に誰かの役に立つのならばやっていて損はなかったと力なく笑う。体格もさほど変わらない彼だが、力比べをすれば、それは現役の自分が勝つだろう。しかし、威圧感という点では彼の方が勝っていたなあ、なんて先程のことを思い出して。「奏さんも、すごかったです。なんていうか、オーラありますよね。」と、尊敬の眼差しを向けて。)
【 西園寺 桜華 】
琥珀……、
( 彼女の力ない声にぎゅ、と心臓を鷲掴みにされたかのような錯覚に陥る。違う。貴方は最初から私の事守ってくれていた。ぐるぐると脳内を巡るそんな想いは言葉にならず、桜華はただただ彼女の謝罪に謝らないでと首を横に振ることしかできず。彼女が言っているのはきっとただの結果論ではなくて、もっと別のところだから。それでも自分を守ってくれたこの愛しい人に、謝らせたくなんて無かった。桜華はそっと彼女の両頬に手を添えて瞳を絡ませては、そのまま彼女の唇に自分の其れを押し当てて。「 私、何も怪我してないわ。ただ怖かっただけ。それも今琥珀のおかげで無くなったわ。……だから、平気よ。私、貴方に守ってもらったもの。 」まだ涙に濡れたヘーゼル色の瞳で彼女を見つめては、そのままこつりと額をつけて。〝だから謝らないで〟その一言こそ口にしないものの、いつの間にか桜華の震えはなくなっていて。 )
【 西園寺 奏 】
……人を守る拳だ。かっこいいね。
( 彼の言葉に1度だけぱちりと驚いたように瞬きをした後に、まるで将来の夢を語る子供を見るような、自分には無い何かを眩しがるような、そんな顔で笑って。彼のように真っ直ぐな人を見ていると、日頃〝人間の醜い部分〟を見てばかりの自分の心も真っ白に洗われるような気持ちになる。周りの環境ってやっぱり大事なんだな、とぼんやりと考えていたものの彼の言葉と眼差しにキョトン、と瞳を丸くして。おーら、と彼の言葉を小さな声で復唱したと思えばぷは、と吹き出して。「 職業病だよ、法廷では呑まれた方が負けだからね 」と可笑しそうにくすくすと笑いながら彼が思っているほど良い物ではなく社会人特有の病気だと。 )
【藍沢 琥珀】
ん…。ありがと。
本当に桜華が無事でよかった…。
( 彼女の言葉と、口付けはまるで魔法の様。先程までの自分の気持ちをいとも簡単に回復させるのだから。額同士を合わせ彼女と視線を絡ませ合うと微笑む。しかし、やはり彼女を守る為にもっと強くならなければならないという気持ちは変わらない。己も彼女の頬に手をそっと添え、ゆっくりと唇を彼女の唇に重ね合わせる。頬に添えていない方の手を彼女の背中へと回すと、少しだけ自分の方に引き寄せ深く唇を重ね合わせる。角度を変えて何度も。彼女を求める欲望は、簡単には収まってくれぬもので、口付けに夢中になりながらゆっくりと彼女を押し倒して。畳というのは床と違って柔らかくていいとは思うが、念の為彼女の頭に置かれていた座布団を敷く。唇を離すと彼女の首元へ顔を埋めて。)
…止めるなら今だよ?桜華。
【藍沢 類】
…そ、そっか。
弁護士って大変な仕事ですもんね。
( 自分の発言にくすくすと笑う彼には、何かおかしなことを言ってしまっただろうかなんて思い頭をかく。確かに彼の言うように、弁護士というのはどんなときも毅然とたち振る舞わなければならないのだろう。自分が想像しているより遥かに大変な職業なのだと思うし、それ故にやはりこの人は凄い人だとも思う。さて、時間もそれなりに経ったのでこの後は旅館の方に戻るかどうするかを彼に尋ねると、先程言っていたように大人2人で夜に飲みに行くのもありだなと考えて提案をして。)
旅館戻りますか。
…奏さんがよければ、夜飲みに行きません?
【 西園寺 桜華 】
ん、……ふっ…、。
( 角度を変えて何度も落とされる甘い唇に、どろりと脳の溶ける感覚がする。身体中を駆け巡る羞恥とそれから甘い暴力的な悦楽に身を委ねるように、彼女に引き寄せられるのもそのままに熱を帯びた体を彼女に預ける。時折唇から甘い吐息を漏らしながらふと閉じていた目を開ければ、彼女越しに天井がありいつの間に、と思う。そこまで自分は彼女とのキスに蕩けていたのか、なんて。自分のすっかり熱くなった首元に顔を埋めながら問い掛けられた言葉にぴくん、と体を跳ねさせたあと「 嫌(や)、……止めないで、 」と頬にも、それから耳にも、首筋にも。淡い朱を散らしながらぽそりと強請るように答えては座布団をきゅ、と手で握りながら潤んだ瞳を逸らして。 )
【 西園寺 奏 】
ふふ、俺も誘おうと思ってた。
( 彼からの問いかけに柔らかに垂れた瞳をそっと伏せては、ちょうど自分もおなじことを考えていたと笑って。折角こんな観光地に来たのだから、〝大人〟の楽しみも必要だろう。そういえばここら辺は日本酒が有名なんだっけ、の記憶の中の引き出しを漁っては「 類くん、お酒は何が好きなの? 」と折角ならば彼の好きなものを飲みたいなと微笑む。奏は煙草もお酒も人並みに嗜む(と自称しているが酒に関してはかなりのザルである)が、自分よりも肝臓が若いし彼のがたくさん飲むのかなあなんて首を捻りながら問いかけて。外に飲みに出かけるのもいいし、酒屋で地域酒を買って客室で飲むのもいい。どこが機嫌良さそうに形のいい唇をあげては、どうしようかなぁなんて考えて。 )
【藍沢 琥珀】
…好きだよ。桜華。
( 一つ一つの彼女の仕草や言葉が自分のツボにはまる。愛しくて愛しくて堪らない。いつもこうなると滅茶苦茶にしてしまいたい衝動と、優しくどろどろに溶かしてしまいたいなんて欲望が葛藤し、自分の心の中は冷静ではいられなくなる。勿論愛しい人を傷つけたくは無いし、やめてと言われればすぐに止めるくらいの理性は残っているわけだが、こんなふうに言われては抑えもきかないかもしれない。首元に何度も口付けを落としながら鎖骨の辺りまで下がると同時に、彼女の服へと手をかけていく。)
(/このあと、場面転換しようと思っているのですが、温泉に入る辺りにでもとばしますか??なにかしたいことがあれば何なりと!)
【藍沢 類】
あ、誘っておいてあれなんですけど、
そこまで酒は強くないんです、俺。
いつもは甘い酒ばっかですね。
( 誘った手前非常に言い出しづらいが、自分は差程酒に強くなく、恐らく付き合う程度には飲めるが酔ったあとはすぐに眠ってしまうのがいつものこと。大学の飲み会などで、友人に何度かお世話になったこともあるくらい。一方で彼は何だか強そうだと思えば、それならば尚のこと迷惑をかけないよう正直に始めから先に強くないことを申告しておかねばと話す。「酔っ払うとすぐ眠っちゃうみたいで。でもある程度は付き合えるので、ご心配なく!」と笑って。)
【 西園寺 桜華 】
( / 一旦背後のみで失礼致します!
折角温泉に来たので脱衣所からでも温泉に入ってる状態からでも、どちらかでも再開出来たらいいかなあと思います…!
そのあとは2人で仲良く同じ布団で寝てたりしたら次の日の観光とかに繋げやすいかな、と!
背後様の方で何かご希望の展開がございましたらなんなりとお伝えください~!! )
【 西園寺 奏 】
そうなの?
ふふ、眠っちゃうんだね。なんだかかわいい。
( あまり酒に強くなくすぐに眠ってしまうんだと言う彼の言葉にふふ、と柔らかい笑みを浮かべて。飲めない人間にとって酒の席に誘うというのはさぞかしハードルの高かったことだろう、そわそわと胸の奥から湧いてくるむず痒い感触に少しだけ不思議な気持ちになりながらそれでも嬉しいことには変わりなく。「 じゃあ、遠慮なく御相手してもらおうかな。 」彼の月夜のようなブルーブラックの瞳を覗き込みながら穏やかに笑えば、いいかい?とふわりとした黒髪を揺らして首をかしげ。 )
(/了解です!お風呂入っているところからのスタートにしました!)
【藍沢 琥珀】
───
( あれから部屋で可愛い彼女を独り占めしていると、あっという間に夕食の時間が来てしまい、まだまだ足りないと思いつつも昼食もとっていなかったこともあり、空腹は空腹だったため、続きは夜にとお預けを喰らってしまった。とにかく彼女も少し落ち着いたようで一安心。兄も交えて4人で豪華な夕食を頂き、食後暫くゆっくりしているとそろそろ温泉にでも行こうという流れになり、準備を済ませて大浴場へ。
ここの旅館は女性の大浴場と男性の大浴場はそもそも階が違うので、安心して移動ができる。こんなところでも何かあるのは避けたい。大浴場につくと脱衣所へ。入りに来ている人も少なくこれならゆっくり楽しめそうだと、荷物と脱いだ物をロッカーに入れて鍵を手首にかける。こういうとき、自分が服を脱ぐまで本当に女なのかどうなのかと周囲から視線を浴びることがあるが、ほぼ人がいないためそんな視線もなく。
大きな浴場に入ると身体を洗い、源泉掛け流しのお風呂へゆっくりと浸かり。)
はあー、気持ちいい…。
【藍沢 類】
かわいいなんてもんじゃないですよ…。
じゃあせっかくなんでお店で飲みましょうか。
( 「かわいい」だなんて、男の自分には似つかわしくない言葉だと苦笑して。過去に酒を飲んで寝てしまったときには、次の日に友人から苦言を呈された。きっと自分を運ぶのが大変だったのだろう。むしろ「かわいい」で言うなら、彼の方の仕草や笑顔の方がそれに値するだろう。旅行に来たのだ、せっかくならばお店で飲むのがいい。そう思うと、嬉しそうにそう返事をして。こんなに誰かと飲むことに楽しみな気持ちになったことが過去にあっただろうか。夜が待ち遠しくて仕方ない。)
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