かつて皇太子師貞親王(後の花山天皇)の命にて那智山の化け物と対峙した安倍晴明は気付いたのだ。
いくら陰陽道を極めようとも人ならざるものに人の身では適わぬと。
晴明はその人の思考や負の念から生み出された人ならざる存在《禍憑鬼-マガツキ-》と呼んだ。
花山天皇の退位後 晴明は陰陽頭の職位を蹴り禍憑鬼に対抗すべく策を練り、辿り着いたのが人の身で在りながらその身に霊を憑かせる《憑緋人-キビト-》であった。
その後晴明は自身の陰陽師としての全力をもって完成させた召喚印で一体の神霊を呼び寄せた。
それこそが【九尾の狐】であった。
正に全知全能 数多の妖怪の中で最強といえるだろう。
だが悪しき存在とも言われる霊。
一歩間違えれば晴明の前にあるのは平和とは程遠いもの。
だが九尾の狐は晴明に向かいこう言った。
「分かっておる。不思議じゃのう。人の負の念が生みし化け物とは。
…余も人ばかりを化かすのはもう飽きた。
ならばこの先幾万年人がもたらす良き時代に目を向けるのも悪くなかろう。
そうじゃ。折角余が憑くのじゃ。貴様の憑緋人ではなくこうなのるがよい。
《狐緋人-キビト-》とな。」
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