主 2023-02-11 00:33:03 |
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( 相手と町娘が花街へ向かう頃、己も時を同じくして花街におり。
其の理由は依頼。珍しく昼からの依頼で何でも表向きは役人の麻薬の売人が大口の案件を抱えており身の危険を案じて其の案件が沈着するまで己に連れ立って欲しいと。
奇しくも其の案件とは兄に依頼した人間が企てた役人をおびき出す罠なのだが己は其の事を知らず。
役人と落ち合う場所、路地の影に来るも約束の時刻よりも幾分早く来てしまい。
時間を潰そうにも店の中へ入る気にはなれずに帳簿でも見返えそうかと懐に手を入れた時、
『…あ、露、…菊?今は勿のが良い?偶然だね。』
( 明るく手を振り近づいてきた男、素の装いをした兄がにこやかに話掛けてきて。
相手に“彼奴には気をつけろ”と言われていたものの警戒心はあまり無く「…ああ、」と反応は薄いが帳簿を取り出すのを止めて顔を上げる。
「別に呼び方は何でも良い。…あんたは花街に遊びにきたって…訳ではないよな。」
『まあね。多分、菊と同じような目的だよ。ねえ、少し時間あるならお茶しない?まだ昼間だしちょっと値は張るけどお茶だけ楽しめるところもあるからさ。』
「いや、遠慮しておく。…外の国から来たばかりなのに随分この辺りに詳しんんだな。」
『ふふ、情報通だからねぇ。さ、行こう。俺の奢りだよ。菊、栗が好きでしょ?栗ようかんが美味しいお店なんだ。』
「誰も行くとは…ッて、おい!」
( ぐいッと手を引かれて抗議しようとするも、推しの強さと其の胡散臭い笑顔の中にある無邪気さに負けて「約束があるから少しだけだ。」と念押しして大人しく後に付いていき。
其の頃、相手と町娘。夜の花街とはまた違い、活気がありお茶屋昼餉の呼び込みをしており綺麗に着飾った女性の声があちらこちらから聞こえていて。
『お兄さん男前やわぁ、可愛いお嬢ちゃん連れて妹さんかい?美味しいお菓子あるからうちのお店よかったら寄っていかん?』
『ちょっと、私が先に目を付けたのよ。お兄さん、よかったら夜も遊びに来て。うんとまけるから。』
( 女は瞳を輝かせ町娘そっちのけで香水の匂いを纏わせながら相手に寄り添い態とらしくふくよかな胸を押し付ける。
花街に入ってから此れが何度目かになる事態で中々目的地へ辿り着けずにいて。)
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